H29年 建設・鋼コン Ⅱ-1-1 模範解答と解説
Aグループ … 鋼構造
II−1−1
次に示す高性能鋼から2つを選び,それぞれの特徴や利点を示し,鋼構造物における使用上の留意点について述べよ。(選択した鋼材を明記すること。)
(1) 橋梁用高降伏点鋼(SBHS)
(2) 建築構造用圧延鋼材(SN)
(3) 建築構造用高強度鋼材(SA)
(4) 耐候性鋼
(5) ステンレス鋼
(6) 耐火鋼
(7) 超高カボルト
(8) クラッド鋼
模範解答1 簡易答案形式1 添削回数4 専門とする事項 鋼橋設計
1.橋梁用高降伏点鋼(SBHS)
(1)特徴や利点
①高強度(500N/mm2)→長支間の主桁板厚低減→コスト縮減
②従来の高強度鋼材の溶接効率(SM570:予熱必要、入熱量7kJ/mm)と比較し、効率が良い(予熱不要、入熱量10kJ/㎜)ため、制作日数縮減
(2)使用上の留意点
①高強度だから板厚低減可だが、たわみ増加→固有振動数減少→風による発散振動の発現風速が低下し構造物崩壊の危険→減衰付加や風の制御
2.耐候性鋼材
(1)特徴や利点
①鋼材に添加したP,Cu,Cr等の合金元素で生ずる非晶質層(保護被膜)と外層さびの2層構造で保護性さびを形成し腐食速度を低下→塗装不要で維持コスト縮減
(2)使用上の留意点
①飛来塩分量が0.05mdd未満の地域でも、地形により局部的に塩分が滞留し腐食が生じる場合あり→部分塗装区間を設ける
②層状さびは、鋼材に食い込むため、補修時において完全除去が困難→ブラスト前に電動工具でさび除去
模範解答1 簡易答案形式2 添削回数2 専門とする事項 鋼橋設計
(1) 橋梁用高降伏点鋼(SBHS)
(1)特徴や利点
①高強度(500N/mm2でSM570の1.1倍)だから、長支間の主桁板厚低減→コスト縮減が可能。
②従来の高強度鋼材の溶接効率(SM570:予熱必要、入熱量7kJ/mm)と比較し、効率が良い(予熱不要、入熱量10kJ/㎜)ため、制作日数の縮減が可能。
(2)使用上の留意点
①高強度だから板厚低減が可能だが、部材剛性低下でたわみ増加→固有振動数減少。よって、風による発散振動の発現風速が低下し構造物崩壊の危険→減衰付加や風の制御が必要。
2.耐候性鋼材
(1)特徴や利点
①鋼材に添加したP,Cu,Cr等の合金元素で生ずる非晶質層(保護被膜)と外層さびの2層構造で保護性さびを形成し、腐食速度を低下→塗装不要で維持コスト縮減
(2)使用上の留意点
①飛来塩分量が0.05mdd未満の地域でも、地形や構造により局部的に塩分が滞留し腐食が生じる場合あり→塩分滞留部から通気性が良い位置までの全部材への塗装を実施(質問:桁端部塗装と言書けば、意味が通じますが、汎用性を考えると×でしょうか?それとも例として桁端部塗装を挙げるのはいかがでしょうか?)。
②塗装による補修時において、ケレン後の戻りさびが一般鋼材より早く生ずる。→ケレン後3時間以内(一般鋼材4時間以内)に下塗りを実施。
1.橋梁用高降伏点鋼(SBHS)
(1)特徴や利点
①高強度(500N/㎜2でSM570の1.1倍)であるため、長支間の主桁板厚の低減やコストの縮減が可能である。
②従来のSM570の溶接効率(予熱必要、入熱量7kJ/mm)と比較し、効率が向上しているため(予熱不要、入熱量10 kJ /㎜)、制作日数の縮減が可能である。
(2)使用上の留意点
板厚の低減に伴い、部材剛性低下とたわみの増加が生じ固有振動数が減少する。このため、風による発散振動の発現風速が低下し構造物が崩壊する危険が生ずることから、減衰付加や風の制御が必要である。
2.耐候性鋼材
(1)特徴や利点
鋼材に添加したP,Cu,Cr等の合金元素で生ずる非晶質層(保護被膜)と外層さびの2層構造で保護性さびを形成し、腐食速度を低下できる。このため、塗装が不要となり、維持コストの縮減が可能である。
(2)使用上の留意点
①飛来塩分量が0.05mdd未満の地域でも、地形や構造により局部的に塩分が滞留しやすい部位は塗装が必要である。
②再塗装による補修時において、ケレン後の戻りさびが早く生じるため、一般鋼材より早く下塗りを行う。