H29年 電気・電気設備 Ⅱ−2−2 問題 模範解答と解説
問題文 Ⅱ-2-2 高い電気の品質が要求されるビルにおいて、電気設備の技術者として交流無停電電源装置(UPS)を計画するに当たり、以下の問いに答えよ。
(1) 常時インバータ給電方式の概要と、他の給電方式と比較して常時インバータ給電方式を採用する場合の理由を述べよ。
(2) 計画する時、下記手順について留意する事項を述べよ。
負荷の計算とUPSの容量機器構成と供給信頼性電源システム(商用・発電機)との協調、UPS負荷との協調模範解答1 (簡易答案形式1) 添削履歴 3回 完成日2018/5/2 専門事項 ビル電気設備
1.常時インバータ給電方式の概要
商用電源と同期しながら、インバータを通して負荷に定電圧、定周波数の安定した正弦波の電力を供給する。電圧変動や停電が発生した際は、無瞬断で蓄電池から電力供給し、負荷をバックアップする。
採用理由:高品質な電力、高信頼性、ノイズ除去、高周波電流抑制等の特徴があるから、サーバー等の瞬時停電や電源トラブルを発生させると影響が大きい重要負荷設備へ導入する際、採用を検討する。
2.計画時の留意点
2-1:負荷計算とUPS容量:過負荷によるUPS停止を防止する為、総容量(VA)及び総容量(W)に1.1〜1.3倍の余裕率を掛け、算出値より大きい容量のUPSを選定する。
2-2:機器構成と供給信頼性:整流器、インバータ、蓄電池から構成される。インバータ停止が発生すると給電停止の恐れがある為、商用電源へのバイパス切替回路を設け、別回路で電力供給する。
2-3:電源システム・UPS負荷との協調
(1)電源システム:バイパス切替による商用電源切替時、瞬断切換や出力停止の恐れがある。信頼性構築の為UPSを複数並列に接続した並列冗長運転構成とする。
(2)UPSとの協調:大電流機器をUPSに接続すると過負荷により給電停止の恐れがある。瞬間的に大電流が流れる機器はUPS接続せず、商用・発電機回路を用いる。
模範解答1 (簡易答案形式2) 添削履歴 1回 完成日2018/5/27 専門事項 ビル電気設備
1.検討項目の概要
(1)電気工作物に関する接地工事の種類
A種:高圧などの電気機器に対して行う接地工事となる。高い電圧の電気設備による感電は、大きな損傷を受けるため、接地抵抗値は10Ω以下とする。
B種:低圧の電路と高圧の電路の接触を防ぐための接地である。B種接地線がないと、変圧器の故障で低圧と高圧が接触した場合、低圧の200Vや100Vの電路に高圧の6,600Vが流れる事故が発生する。100Vや200Vで使用する機器に高圧を印加すれば、焼損・故障する。接地抵抗値は、電力会社の送電線や電柱から来る配電用の電線距離・サイズによって変動するため、電力会社に問い合わせて数値を決定する。
C種:300Vを超える低圧の電路に接続される機器は、100Vや200Vの機器による感電事故よりも危険性が高いため、A種と同様に10Ωの接地抵抗値を確保する。
D種:住宅や業務用施設の照明、コンセント、換気扇や冷蔵庫に使用されている接地工事である。接地抵抗値は100Ω以下を確保する。
(2)低圧電路の接地方式
等電位接地:接地を共通して電位差を無くし、雷サージ電流を抑える。
中性点接地:変圧器の二次側の中性点を接地する。
(3)等電位ボンディング
導体間の電位差を軽減する接地、誘導雷の被害を軽減する。
(4)EMC接地
機器の正常動作のために電磁波や等を遮蔽する。
2.技術提案と留意点
(1)等電位ボンディング
1)具体的な技術提案
直撃雷や誘導雷に応じたてSPDを設置する。
2)留意点
LPS保護レベルにより設置されたSPDは、クラス別に落雷捕捉性能が違うため、SPDの劣化診断やボンディングの状態が確認できるように保守用のデバイス回路を設ける。中長期的に施設の用途規模に応じて保護レベルの設定を行う。
(2)EMC接地
1)具体的な技術提案
フィルタリング:コンデンサやリアクトルを組合せてノイズ対策を行う。
シールディング:ケーブルのシールディングや電磁シールド、磁気シールドなどの材料を用いる。
グラウンディング:アースすることでノイズ対策を行う。
2)留意点
高調波発生機器を単独にC種接地し、PWMコンバータや進相コンデンサ(リアクトル付)による高調波吸収設備を設置して系統側へ高調波を抑えた回路とする。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 3回 完成日2018/5/11 専門事項 ビル電気設備
1.常時インバータ給電方式の概要
商用電源と同期しながら、インバータを通して負荷に定電圧、定周波数の安定した正弦波の電力を供給する。停電発生時は運転切り換え時の断時間を発生することなく、バッテリーから電力供給可能である
採用理由:本方式は通常時、電源異常時ともに、常に整流器とインバータを通して電力供給することで、電源ノイズ等、商用入力の乱れに左右されずに、常に整えられた高品質な電力を供給することができる。更にバッテリーへの切り替えは無瞬断で行なわれる為、出力がとぎれる事は無い。無瞬断且つ高品質な電力供給が可能である事から、資産・データの保護を担う重要な電源対策として,サーバーやネットワーク機器をはじめとした各種装置・設備に活用される。
2.計画時の留意点
2-1:負荷計算とUPS容量
UPSは停電発生時のバッテリー動力切り替えの際、電力供給が途切れてはならない為、サーバーなどの接続機器を停止する為に必要なバックアップ時間を決め、バックアップ時間をカバー出来る容量のUPSを選定する。UPSによるバックアップ時間はバッテリー劣化を考慮し、2倍以上とする。
更に過負荷によるUPS停止を防止する為、総容量(VA)及び総容量(W)に1.1〜1.3倍の余裕率を掛け、算出値より大きい容量のUPSを選定する。
2-2:機器構成と供給信頼性
整流器、インバータ、蓄電池から構成される。インバータ停止が発生すると給電停止の恐れがある為、商用電源へのバイパス切り替え回路を設け、別回路で電力供給する事で信頼性を確保する。
更に落雷によって生じるコモンモードノイズにより、電力線にノイズが重畳する恐れがある為、UPS入力側に避雷器を設置しノイズを阻止する。避雷器のクランプ電圧(約600V)以下のノイズは阻止できない為、UPSの入力側へ変圧器を設置する事でノイズ阻止を図る。
2-3.電源システム・UPS負荷との協調
(1)電源システム
バイパス切り替えによる商用電源切り替え時に、瞬断切換や出力停止の恐れがある為、信頼性構築を目的に、UPSを複数並列に接続した並列冗長運転構成とする。本構成により、保守・点検時の停止操作や故障発生時に1台のUPSが停止・解列する場合でも、無瞬断切換にて残りのUPSで負荷への給電を継続させる。
(2) UPSとの協調
大電流機器をUPS接続すると、過負荷により給電停止する恐れがある。この対策として瞬間的に大電流が流れるレーザープリンタ等の機器はUPS接続せず、商用・発電機回路を用いる。更にモーター、コイル等誘導性の装置に使用する場合は突入電流の影響で正常動作しない可能性がある為、事前に動作確認を実施する。
模範解答2 (簡易答案形式1) 添削履歴 3回 完成日2018/4/28 専門事項 ビル電気設備
1.検討項目の概要
(1)電気工作物に関する接地工事の種類
A種:高圧などの電圧が高い機器の金属製外箱などの接地、B種:高圧と低圧を結合する変圧器の中性点の接地、C種:300Vを超える低圧の機器の金属製外箱などの接地、D種:300V以下の機器の金属製外箱などの接地
(2)低圧電路の接地方式
等電位接地:接地を共通して電位差を無くし、雷サージ電流を抑える。
中性点接地:変圧器の二次側の中性点を接地する。
(3)等電位ボンディング:導体間の電位差を軽減する接地、誘導雷の被害軽減
(4)EMC接地:機器の正常動作のために電磁波等を遮蔽する。
2.技術提案と留意点
(1)等電位ボンディング
1)具体的な技術提案:直撃雷、誘導雷に応じたSPD設置
2)留意点:LPS保護レベルにより設置されたSPDは、クラス別に落雷捕捉性能が違うため、SPDの劣化診断やボンディングの状態が確認できるように保守用のデバイス回路を設ける。中長期的に施設の用途規模に応じて保護レベルの設定を行う。
(2)EMC接地
1)具体的な技術提案:フィルタリング、シールディング、グラウンディング
2)留意点:高調波発生機器を単独にC種接地し、PWMコンバータや進相コンデンサ(リアクトル付)による高調波吸収設備を設置して系統側へ高調波を抑えた回路とする。
模範解答2 (簡易答案形式2) 添削履歴 1回 完成日2018/5/3 専門事項 ビル電気設備
1.常時インバータ給電方式の概要
商用電源と同期しながら、インバータを通して負荷に定電圧、定周波数の安定した正弦波の電力を供給する。電圧変動や停電が発生した際は、無瞬断で蓄電池から電力供給し、負荷をバックアップする。
採用理由:サーバールーム等の重要負荷設備は、瞬時停電や電源トラブルを発生させると影響が大きい事から、高品質な電力、高信頼性、ノイズ除去、高周波電流抑制等の特徴がある本方式を採用する
2.計画時の留意点
2-1:負荷計算とUPS容量:過負荷によるUPS停止を防止する為、総容量(VA)及び総容量(W)に1.1〜1.3倍の余裕率を掛け、算出値より大きい容量のUPSを選定する。更にUPSによるバックアップ時間は、バッテリー劣化を考慮し2倍以上とする。
2-2:機器構成と供給信頼性:整流器、インバータ、蓄電池から構成される。インバータ停止が発生すると給電停止の恐れがある為、商用電源へのバイパス切替回路を設け、別回路で電力供給する事で信頼性を確保する。
2-3:電源システム・UPS負荷との協調
(1)電源システム:バイパス切替による商用電源切替時、瞬断切換や出力停止の恐れがある。信頼性構築を目的に、UPSを複数並列に接続した並列冗長運転構成とする。
(2)UPSとの協調:大電流機器をUPSに接続すると過負荷により給電停止の恐れがある。この対策として、コピー機等の瞬間的に大電流が流れる機器はUPS接続せず、商用回路・発電機回路を用いる。
模範解答2 (答案形式) 添削履歴 1回 完成日2018/5/12 専門事項 ビル電気設備
1.検討項目の概要
(1)電気工作物に関する接地工事の種類
A種:高圧などの電気機器に対して行う接地工事となる。高い電圧の電気設備による感電は、大きな損傷を受けるため、接地抵抗値は10Ω以下とする。B種:低圧の電路と高圧の電路の接触を防ぐための接地である。B種接地線がないと、変圧器の故障で低圧と高圧が接触した場合、低圧の200Vや100Vの電路に高圧の6,600Vが流れる事故が発生する。100Vや200Vで使用する機器に高圧を印加すれば、焼損・故障する。接地抵抗値は、電力会社の送電線や電柱から来る配電用の電線距離・サイズによって変動するため、電力会社に問い合わせて数値を決定する。C種:300Vを超える低圧の電路に接続される機器は、100Vや200Vの機器による感電事故よりも危険性が高いため、A種と同様に10Ωの接地抵抗値を確保する。D種:住宅や業務用施設の照明、コンセント、換気扇や冷蔵庫に使用されている接地工事である。接地抵抗値は100Ω以下を確保する。
(2)低圧電路の接地方式
等電位接地:接地を共通して電位差を無くし、雷サージ電流を抑える。
中性点接地:変圧器の二次側の中性点を接地する。
(3)等電位ボンディング
導体間の電位差を軽減する接地、誘導雷の被害を軽減する。
(4)EMC接地
機器の正常動作のために電磁波や等を遮蔽する。
2.技術提案と留意点
(1)等電位ボンディング
1)具体的な技術提案
直撃雷や誘導雷に応じたてSPDを設置する。
2)留意点
LPS保護レベルにより設置されたSPDは、クラス別に落雷捕捉性能が違うため、SPDの劣化診断やボンディングの状態が確認できるように保守用のデバイス回路を設ける。中長期的に施設の用途規模に応じて保護レベルの設定を行う。
(2)EMC接地
1)具体的な技術提案
フィルタリング:コンデンサやリアクトルを組合せてノイズ対策を行う。
シールディング:ケーブルのシールディングや電磁シールド、磁気シールドなどの材料を用いる。
グラウンディング:アースすることでノイズ対策を行う。
2)留意点
高調波発生機器を単独にC種接地し、PWMコンバータや進相コンデンサ(リアクトル付)による高調波吸収設備を設置して系統側へ高調波を抑えた回路とする。