H29年 化学・セラミック無機 Ⅱ−1−3 問題 模範解答と解説
問題文 Ⅱ-1-3
粒子(または粉体)を取り扱う際に、液体中への粒子の分散状態が重要となる場合が多い。粒子の液体中への分散に関し、
(1)分散状態の評価方法を二つ挙げて説明し、
(2)分散状態の制御(または向上方法)を二つ挙げて説明せよ。
模範解答1 (簡易答案形式1) 添削履歴 2回 完成日2018/3/24 専門事項 化学品製造
1. 分散状態の評価方法
1)粒子径分布測定による評価
粒子径分布を測定することで、凝集粒子の有無や大きさ、その割合を把握できるため、分散状態を評価できる。
2)ゼータ電位測定による評価
ゼータ電位を測定することで、粒子間の反発力の目安を知ることができるため、分散状態を評価できる。
2.分散状態の向上方法
1)ぬれ性の向上
液中で凝集している粒子に湿潤剤を添加すると、液体に濡れやすくなり、粒子間に存在する空気が液体に置き換わる。このため、粒子を解こうされ、分散性が向上する。
2)立体障害反発の付与
粒子表面に高分子分散剤を吸着させると、高分子により粒子同士の接近が抑制され、立体障害反発となる。このため、分散を安定化できる。
模範解答1 (簡易答案形式2) 添削履歴 1回 完成日2018/4/15 専門事項 化学品製造
1. 分散状態の評価方法
①粒子径分布の測定
粒子径分布の大小で分散状態の良悪を評価する。粒子の凝集塊が大きいほど粒子径は大きく、凝集塊が解砕され単位粒子(一次粒子)に近づくほど粒子径は小さくなる。
②ゼータ電位の測定
ゼータ電位の絶対値の大小で、分散状態の良悪を評価する。ゼータ電位の絶対値が大きいと、粒子間の電気的な反発力が強くなり粒子は分散する(DLVO理論)。
2. 分散状態の制御方法
①高分子の吸着
粒子に高分子を吸着させることで分散を向上できる。粒子が接近すると、吸着した高分子の鎖が圧縮されるため、復元しようとする力が働く。その結果、粒子同士は引き離される。
②静電斥力による安定化
液の水素イオン濃度(+)または水酸化物イオン濃度(-)を増加させることで分散が向上できる。H+濃度を増加させると粒子は+に帯電し、OH-濃度を増加させると粒子は-に帯電する。同符号同士に帯電した粒子は反発するため、分散する。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 2回 完成日2018/4/17 専門事項 化学品製造
(1) 分散状態の評価方法
①粒子径分布の測定
粒子径分布の大小で分散状態の良悪を評価することができる。粒子の凝集塊が大きいほど粒子径は大きく、凝集塊が解砕され単位粒子(一次粒子)に近づくほど粒子径は小さくなる。
②ゼータ電位の測定
ゼータ電位の絶対値の大小で、分散状態の良悪を評価することができる。ゼータ電位の絶対値が大きいと、粒子間の電気的な反発力が強くなり粒子は分散する(DLVO理論)。ゼータ電位は、電気泳動法により、粒子表面に対イオンによって形成された電気二重層、すなわち界面の電位差を測定する。
(2) 分散状態の制御方法
①高分子の吸着
粒子に高分子を吸着させることで分散を向上できる。粒子が接近すると、吸着した高分子の鎖が圧縮されるため、復元しようとする力が働く。その結果、粒子同士は引き離される。
②静電斥力による安定化
液の水素イオン濃度(+)または水酸化物イオン濃度(-)を増加させることで分散が向上できる。H+濃度を増加させると粒子は+に帯電し、OH-濃度を増加させると粒子は-に帯電する。同符号同士に帯電した粒子は反発するため、分散する。