H30/2018年 建設・施工 Ⅱ−1−1 問題 模範解答と解説
軟弱地盤において、橋台の背面に盛土を計画する場合に留意すべき点を2つ挙げ、それぞれの対策工について概説せよ。
模範解答1 (答案形式1) 添削履歴 4回 2019.4.17 専門事項 工程管理
1.軟弱地盤上において、橋台背面に盛土を計画する場合の留意点
①盛土施工範囲における軟弱地盤の側方流動:軟弱地盤層が厚い箇所(20m以上)
で、急速な盛土載荷を行うと軟弱地盤層の側方流動が発生し基礎地盤の破壊が
発生し、周辺地盤の変位に留意する
②施工時における橋台の変位許容値を設定:軟弱地盤層を有する箇所での盛土載荷施工においては、盛土の安定や沈下及び周辺地盤の変状を生じ橋台の平面移動・基礎杭の損傷等起こしやすい。そのため工事警戒値、中止値を定め施工中の変位に留意する
観測では「見守る」だけのことです。必要なのは監視して、値が基準値を超えたら行動することです。そのねらいを言葉にして見出しに表すようにしてください。
2.軟弱地盤上の盛土施工対策工
①深層混合処理工法:軟弱地盤層を固結材により改良し、支持層に定着させることで、すべり破壊の抑制、沈下抑制、周辺地盤の変状抑制する。
②動態観測:盛土施工中、橋台や基礎地盤の急激な変位や破壊を未然に予測、防止するため、橋台には沈下計、傾斜計を設置。基礎地盤には層別沈下計や地表面変位杭等を設置し、橋台の変位が発生し許容値を超えた場合に施工を中止し、施工方法を見直し、緩速盛土や地盤改良工を追加で検討する。
ここも「追加で検討」とは何をどうするのか。具体的に対策工を示すように。
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 4回 2019.4.22 専門事項 工程管理
軟弱地盤上において、橋台背面に盛土を計画する場合の留意点① 盛土載荷範囲における軟弱地盤の側方流動:
軟弱地盤層を有する地盤で急激な盛土載荷を行うと軟弱地盤層が側方流動する。側方流動を起こした地盤内の粘性土は著しく強度が低下する。周辺地盤の隆起が出やすい為、地盤の安定性を向上させる補強工事を検討する
② 施工時における橋台の変位
軟弱地盤層を有する箇所での盛土載荷施工においては、盛土の安定性や沈下及び周辺地盤の変状を生じ、橋台の平面移動・基礎杭の損傷等起こしやすい。現地ボーリングを行い、設計地層と相違がないか確認し、許容変位量を決める。
軟弱地盤上の盛土施工対策工① 深層混合処理工法
盛土載荷範囲の軟弱地盤層を固結材と軟弱土を撹拌し改良することで、すべり破壊の抑制、沈下抑制、周辺地盤の変状を抑制する
② 変位観測による追加対策
盛土施工時、橋台や基礎地盤の急激な変位や破壊を未然に予想し、防止するため、橋台には沈下計、傾斜計を設置。基礎地盤には層別沈下計や地表面変位杭等を設置し、軟弱地盤層の圧密沈下量等をモニタリングする。変位量が許容値を超える場合は、バーチカルドレーン工法や深層混合処理工法等追加の対策をする
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.4.25 専門事項 工程管理
1.橋台背面に盛土を計画する場合の留意点
①盛土載荷範囲における軟弱地盤の側方流動
急激な盛土載荷を行うと安定していた軟弱地盤層が側方流動を起こす。側方流動を起こした地盤内の粘性土は著しく強度が低下し、橋台に変位を生じさせる可能性がある。そのため地盤の安定性を向上させる補強工事を検討する。
②施工時における橋台の変位
盛土載荷施工においては、沈下及び周辺地盤の変状を生じ、橋台の平面移動・基礎杭の損傷等を起こしやすい。現地ボーリングデータと設計地層に相違がないか確認し、橋台の許容変位量を検討する。
2.軟弱地盤上の盛土施工対策
①深層混合処理工法
軟弱地盤層の安定を図る為、盛土載荷範囲の軟弱地盤層を固結材と撹拌し改良することで強度を増し、すべり破壊・沈下・周辺地盤の変状を抑制する。
②動態観測による追加対策
盛土施工時、橋台や基礎地盤の急激な変位や破壊を未然に予想し防止する為、橋台には、沈下計・傾斜計を設置。基礎地盤には、層別沈下計や地表面変位杭等を設置する。施工時は、軟弱地盤層の圧密沈下量等をモニタリングし、変位量が許容値を超える場合は、バーチカルドレーン工法や深層混合処理工法等追加の対策を行い変位を減少させる。
解説
留意点とは何か。軟弱地盤の施工では、周辺地盤の変状により構造物の損傷等起こしやすいため、
変位量について警戒値、中止値を定めて施工中の変位に留意する。
というような対策提案となりがちです。しかし中止値とか手段的話ではなく、不測の事態としてどのようなことが起きるかを予測して、対策すべき方針を示すことです。つまり「〇〇に留意する」では意味不明なので、この文は使用せず、具体的に1番ありそうなことを推論して「〇〇となる場合は〇〇する」と表現してください。
つまり留意点では、経験や知見、予測的対処能力が求められているということです。
模範解答2 (答案形式) 添削履歴 4回 2019.4.10 専門事項 施工計画
1.軟弱地盤上の盛土の留意すべき点
①側方移動
軟弱地盤上に橋台を施工した後に、背面に盛土等の偏載荷重を載荷した場合、軟弱地盤の安定が崩れる。塑性流動を起こし構造物が側方に移動して、橋軸方向に大きな変位や傾斜が生じる。その結果、パラペットや伸縮装置、沓が破損する。
②背面盛土の沈下
軟弱地盤上の盛土は、盛土の進行とともに、基礎地盤の圧密沈下が発生し、橋台の背面盛土が沈下する。その結果、橋台と背面盛土の間に段差が生じ、路面の不陸や排水の不良が発生する。
2.対策工
①側方移動
軟弱地盤上の盛土荷重を減少し、基礎地盤の沈下を軽減する軽量盛土工法である。大型の発泡スチロールブロックを盛土材料に使用するEPS工法を実施する。地下水位が高い場合は、水とセメントと気泡を混合して軽量化した盛土材を使用する気泡混合軽量盛土工法とする。
②背面盛土の沈下
深層混合処理工法が有効である。セメントミルクを攪拌翼先端から吐出し、現位置土と混合攪拌する。柱状またはブロック状の改良体を築造し、支持力向上と沈下抑制を図る。
模範解答3 (簡易形式1) 添削履歴 1回 2019.4.29 専門事項 施工計画、施工管理
1.橋台の背面盛土を計画する場合の留意点
1)盛土による軟弱地盤の圧密沈下
盛土載荷により軟弱地盤に圧密沈下が発生し、橋台と盛土部に段差が生じる。
2)盛土による軟弱地盤の滑り崩壊や側方流動
盛土加重により軟弱地盤が崩壊や側方流動を起こし、橋台躯体の変異や基礎杭の損傷が起きる。
2.対策工法
1)圧密沈下対策
①サンドドレーン工法、プレロード工法の実施により圧密沈下を促進させ、残留沈下量低減や地盤強度の増加を図る。
②EPS工法や気泡混合軽量土による載荷重の軽減
2)滑り崩壊や側方流動対策
①深層混合処理工法による滑り崩壊、沈下の低減
模範解答3 (簡易形式2) 添削履歴 1回 2019.5.5 専門事項 施工計画、施工管理
1.橋台の背面盛土を計画する場合の留意点
1)盛土による軟弱地盤の圧密沈下
盛土載荷により軟弱地盤に圧密沈下が発生し、橋台と盛土部に段差が生じ走行に支障を来す。
2)盛土による軟弱地盤の崩壊や側方流動
盛土荷重により軟弱地盤が滑り崩壊や側方流動を起こし、躯体の変位による隙間及び伸縮装置の遊間異常や、杭基礎の損傷が起きる。
2.対策工法
1)圧密沈下対策
① 軟弱地盤へのバーチカルドレーン工法とプレロードの実施により、圧密沈下を促進させ、残留沈下量低減や地盤強度の増加を図る。
② 盛土本体の荷重を軽減させるため、EPS工法や気泡混合軽量土による軽量盛土を行なう。
2)滑り崩壊や側方流動対策
① セメント系改良材により深層から基礎地盤改良を実施し、地盤のせん断抵抗を向上する。
改良率が低い場合には、軟弱土のすり抜けや、改良体の曲げ・せん断破壊により、基礎に過大な側方流動圧が作用する可能性が考えられるため、改良率は78.5%以上と設定する必要がある。
模範解答3 (答案形式) 添削履歴 2回 2019.5.9 専門事項 施工計画、施工管理
1)盛土による軟弱地盤の圧密沈下
盛土載荷により軟弱地盤に圧密沈下が発生し、橋台と盛土部に段差が生じ走行に支障を来す。
2)盛土による軟弱地盤の崩壊や側方流動
盛土荷重により軟弱地盤が滑り崩壊や側方流動を起こし、躯体の変位による隙間及び伸縮装置の遊間異常や、杭基礎の損傷が起きる。
2.対策工法
1)圧密沈下対策
①軟弱地盤へのバーチカルドレーン工法とプレロードの実施により、間隙水を排出し盛土構築前に圧密沈下を促進させ残留沈下量の低減や地盤強度の増加を図る。
盛土はできる限り緩速で行ない、余盛りを行なって供用後の沈下を抑制する。
②盛土本体の荷重を軽減させるため、EPS工法や気泡混合軽量土による軽量盛土を行なう。
2)滑り崩壊や側方流動対策
セメント系改良材により深層から基礎地盤改良を実施し、地盤のせん断抵抗を向上させ地盤支持力の増強を図る。
改良は、接円改良(改良率78.5%)以上を有するようにする。基礎に過大な側方流動圧を防ぐため、十分な改良効果を得て、軟弱土のすり抜けや、改良体の曲げ・せん断破壊を防止する。