H30/2018年 建設・土質基礎 Ⅱ−1−3 問題 模範解答と解説
問題 H30 Ⅱ-1-3 (1枚以内にまとめよ)
杭基礎に負の摩擦力が発生する原理と杭基礎への影響を説明せよ。また、負の摩擦力に対して検討する際の留意点を3つ挙げ、その概要を説明せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 7回 2019.3.15 専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項
1. 負の摩擦力が発生する原理と杭基礎への影響
負の摩擦力は、周辺地盤が圧密等によって沈下することで、杭へ下向きに作用する摩擦力である。
杭基礎への影響は、以下の①〜③である。
①杭周辺地盤の沈下により杭頭が突出し、曲げ及びせん断応力が作用し破壊する。
②杭の軸力圧縮強度を上回る場合、杭が圧縮破壊する。
③杭に作用する押込み力が極限支持力を超え、杭先端が支持層にめり込む。
2.検討する際の3つの留意点と概要
1)群杭による負の摩擦力の低減
摩擦杭の場合、地盤と一体となって構造物が沈下するため、群杭により負の摩擦力の低減を図る。
2)すべり層材による負の摩擦力の低減
杭に作用する押込み力が極限支持力を超えた場合、杭が圧縮破壊するため、すべり層材の塗布による負の摩擦力の低減を図った杭を検討する。
3)地盤沈下の軽減
地盤沈下し杭が突出した際、構造物との段差が生じるため、杭施工前に圧密促進対策を検討し地盤沈下を軽減する。
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 0回 2019.3.15 専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項
1. 負の摩擦力が発生する原理と杭基礎への影響
負の摩擦力とは、周辺地盤が圧密等によって沈下することで、杭へ下向きに作用する摩擦力である。
杭基礎への影響は、以下の①〜③である。
①杭周辺地盤の沈下により杭頭が突出し、曲げ及びせん断応力が作用し破壊する。
②杭の軸力圧縮強度を上回る場合、杭が圧縮破壊する。
③杭に作用する押込み力が極限支持力を超え、杭先端が支持層にめり込む。
2.検討する際の3つの留意点と概要
1)群杭による負の摩擦力の低減
摩擦杭の場合、地盤と一体となって構造物が沈下するため、群杭により負の摩擦力の低減を図る。
2)すべり層材による負の摩擦力の低減
杭に作用する押込み力が極限支持力を超えた場合、杭が圧縮破壊するため、すべり層材の塗布による負の摩擦力の低減を図った杭を検討する。
3)地盤沈下の軽減
地盤沈下し杭が突出した際、構造物との段差が生じるため、杭施工前に圧密促進対策を検討し地盤沈下を軽減する。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 2回 2019.3.22 専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項
1.負の摩擦力が発生する原理と杭基礎への影響
負の摩擦力は、杭の周辺地盤が圧密等によって沈下することで、杭へ下向きに作用する摩擦力である。
杭基礎への影響は、以下の①〜③が考えられる。
①杭周辺地盤の沈下により杭頭が突出し、曲げ及びせん断応力が作用し杭が破壊する。
②下向きに作用する摩擦力によって杭の軸力圧縮強度を上回る場合、杭が圧縮破壊する。
③杭に作用する押込み力が極限支持力を超え、杭先端が支持層にめり込み、支持地盤が破壊する。
2.検討する際の3つの留意点と概要
1)群杭効果による負の摩擦力の低減
摩擦杭の場合、地盤と一体となって杭とともに構造物が沈下するため、群杭や捨て杭を設置し、群杭効果を利用して負の摩擦力の低減を図る。
2)すべり層材料による負の摩擦力の低減
杭に作用する押込み力が極限支持力を超えた場合、杭が圧縮破壊するため、膨潤性塗料や潤滑剤等のすべり層材料を塗布することによる負の摩擦力の低減を図った杭を検討する。
3)地盤沈下の軽減
支持杭で地盤沈下した際、杭が突出し構造物との段差が生じるため、杭施工前にプレロード工法やバーチカルドレーン工法などを併用した圧密促進対策を検討し地盤沈下の軽減を図る。
模範解答2 (答案形式) 添削履歴 5回 2019.6.6 専門事項 軟弱地盤
1.負の摩擦力の原理と杭基礎への影響について
①原理:粘性土の軟弱地盤おい沈下量の助長や、支持杭では杭の支持力より負の摩擦力が大きくなり杭の許容支持力より大きくなる。
②杭基礎への影響:支持杭では杭の支持力と負の摩擦力が合計され、この値が杭体の許容支持力を超える場合には、杭が座屈すると言う影響が発生する。
2.検討時の留意点
①支持力:
軟弱層を15m以上貫いて杭が打設されている場合では、軟弱層の圧密が進行中で、座屈の可能性が高い場合に杭の支持力については、群杭工法やフリクションカット工法等(SL材塗布杭、二重管杭)について検討する。
②杭頭沈下量:
上載荷重、軟弱地盤の土質や層厚、地下水位に留意して沈下量を算出し、沈下量が大きい場合にSL材塗布杭、二重管杭等の支持力について検討する。
③杭の鉛直支持力:
杭の支持力は、設計技術者の設計思想によるが、杭の根入れ状況により通常の安全率(摩擦杭4を支持杭3)で有るが、支持杭の安全率と同等に利用でき経済的な設計ができるかを検討する。