H30/2018年 建設・土質基礎 Ⅱ−1−2 問題 模範解答と解説
地盤の変形係数について、基礎の設計における主な利用目的を説明せよ。また、変形係数を求めるための調査・試験方法を3つ挙げ、それぞれの方法を概説するとともに得られた変形係数の利用上の留意点について説明せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 3回 2019.2.1 専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項
1. 地盤の変形係数について、基礎の設計における主な利用目的
変形係数は土の応力-ひずみ曲線から得られ、地盤反力係数の推定に利用される。
2.変形係数を求めるための調査・試験方法の概説
1)標準貫入試験
SPTサンプラー30㎝貫入時の打撃回数N値より、換算式にて変形係数を求める。
2)孔内水平載荷試験
孔壁を加圧し、その時の圧力と孔壁の変位の関係から、地盤の変形係数を求める。
3)一軸圧縮試験
供試体に側圧のない状態で圧縮する試験で、一軸圧縮強さ及び変形係数を求める。
3.得られた変形係数の利用上の留意点
1)標準貫入試験
軟弱地盤ではN値が低く、変形係数が小さな値となり期待できない。
2)孔内水平載荷試験
軟弱地盤において応力開放により孔壁が内側に膨らんでいた場合、実際の地盤の変形係数よりも試験値が小さくなる傾向にある。
3)一軸圧縮試験
砂を含有した試料は、変形係数が小さくなる傾向がある。
模範解答2 (答案形式) 添削履歴 3回 2019.6.4 専門事項 軟弱地盤
1.地盤の変形係数が基礎の設計における利用目的
地盤に構造物が載荷した場合に、地盤の変形(特に杭の設計で必要)を予測する。例えば沈下量S=B(1−ν
2
)/(E)×I:B=基礎幅、ν=ポアソン比、I=沈下係数、E=地盤の変形係数。
2.調査・試験方法と利用上の留意点
①平板載荷試験:直径30cmの載荷板に鉛直方向に載荷して、荷重―歪曲線より地盤の変形係数を求める試験である。
留意点:使用は測定結果の1/2として利用する。
変形係数は、載荷板直径の2倍が影響範囲となる為、以深の地盤状況をボーリング調査等により把握する。
②土の一軸圧縮試験:不攪乱試料から、直径5cm高さ10cmの供試体を作成し、鉛直方向に載荷して荷重―歪曲線から求める試験である。変形係数E50=(一軸圧縮強度×1/2)/(破壊荷重歪の1/2)。
留意点:変形係数はそのまま使用出来るが、サンプリング時の試料に乱れがあると測定値が過小評価される為に、利用は当地区の既往データ等を参考にする。
③孔内水平載荷試験:ボーリング孔壁を利用して、孔壁にゴムチューブ(60cm)を敷設して加圧し、圧力―孔壁の変位(排水量)から求める試験である。
留意点:値はそのままで使用出来るが、孔壁の状況で過小評価される為、利用は既往データ等を参考にする。