H30/2018年 建設・土質基礎 Ⅱ−2−1 問題 模範解答と解説

問題 H30 Ⅱ-2-1 (2枚以内にまとめよ:解答の目安は各問につき1枚程度)

地下水位が高い軟弱地盤上に圧密沈下を許容した盛土造成が計画されている。しかし、概略検討の結果、軟弱地盤対策が必要である。以下の問いに答えよ。

(1)圧密沈下及び安定の検討に必要な軟弱地盤の物性値とそれらを得るための試験を挙げ、圧密沈下及び安定に関する検討方法についてそれぞれ述べよ。

(2)載荷重工法とバーチカルドレーン工法の併用工法の原理と効果、及び、完成後の残留沈下量が許容値以下であることを確認するために必要な計測と沈下管理方法を述べよ。また、施工中の法部分の安定性の判定に必要な、施工中の調査と計測管理方法を説明せよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 5回 2019.4.4   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

(1)-1圧密沈下及び安定の検討

①湿潤密度試験:湿潤単位体積重量

②圧密試験:圧縮指数,体積圧縮係数,圧密降伏応力,e-logp曲線,初期間隙比

③三軸圧縮試験:強度増加率

④一軸圧縮試験:粘着力

(1)−2圧密沈下及び安定に関する検討方法

 圧密沈下は、沈下の影響及び維持管理の対応等を考慮して残留沈下量の許容値を設定し、対策工を実施するか、あるいは維持管理による対応を検討する。安定は円弧すべりを仮定した安定計算法により、圧密に伴う強度増加を考慮した検討を行う。

(2)−1載荷重工法とバーチカルドレーン工法の併用工法の原理と効果

原理:載荷重工法では軟弱地盤に予め荷重し、一方、バーチカルドレーン工法ではドレーン柱の打設で間隙水の排水距離を短くし、両者の相乗効果で圧密を促進する。

効果:過剰間隙水圧をドレーン柱で効率的に排水し、圧密期間を短縮できる。

(2)−2完成後の残留沈下量が許容値以下の確認計測と沈下管理方法

計測は沈下量及び沈下速度の変化により、完成後の沈下挙動を推定する。

沈下管理は、設計時の予測と異なる場合、将来の沈下挙動を推定し、盛土に支障が生じるおそれがある場合、必要に応じて施工にフィードバックする。

(2)−3法部分の安定性の判定に必要な、施工中の調査と計測管理方法

法部分の安定を基礎地盤の挙動により判定するため、盛土法尻を挿入型傾斜計によって計測し、法尻の水平変位速度が1.5㎝/日より小さいことを監視する。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 1回 2019.4.7   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

(1)-1圧密沈下と安定検討に必要な物性値と試験

圧密沈下では、沈下量、沈下速度を予測するために必要な圧密特性の把握するため、安定では、円弧すべりの安定計算に必要な定数を取得するため、以下の①〜④を必要とする。

①湿潤密度試験:湿潤単位体積重量

②圧密試験:圧縮指数,体積圧縮係数,圧密降伏応力,e-logp曲線,初期間隙比

③三軸圧縮試験:強度増加率

④一軸圧縮試験:粘着力

(1)−2圧密沈下及び安定に関する検討方法

 圧密沈下は、沈下の影響及び維持管理の対応等を考慮して残留沈下量の許容値を設定し、対策工を実施するか、あるいは維持管理による対応を検討する。安定は円弧すべりを仮定した安定計算により、圧密に伴う強度増加を考慮した検討を行う。

(2)−1併用工法の原理と効果

原理:載荷重工法は軟弱地盤に予め荷重をかけることで、圧密沈下を促進し施工後の沈下を軽減する。一方、バーチカルドレーン工法はドレーン柱を適切な間隔で設置することで、間隙水の排水距離を短くし、圧密沈下の促進と地盤強度の増加を図る。併用工法は、両者の相乗効果で圧密沈下を促進する。

効果:載荷重工法単独では粘性土層内に過剰間隙水圧が発生し、排水距離が長いと圧密沈下の収束が長期化する。このため、バーチカルドレーン工法により、間隙水をドレーン柱で効率的に排水し、圧密期間の短縮が図れる。

(2)−2残留沈下量の計測と沈下管理方法

計測は沈下量及び沈下速度の変化により、完成後の沈下挙動を予測し、設計時の予測と一致するかを確認する。設計時の予測と異なる場合、双曲線法又はlogt法によって将来の沈下挙動を推定し、また、不等沈下により盛土に段差等の支障が生じるおそれがある場合、必要に応じて施工にフィードバックし、プレロードの量、放置期間及び除去の期間等を沈下管理により判定する。

(2)−3法部の安定を判定する調査と計測管理方法

 法部分の安定を基礎地盤の挙動により判定するため、盛土法尻を挿入型傾斜計によって計測し、水平変位速度が1.5㎝/日より小さいことを監視する。これ以上となる場合、盛土の施工速度を落とすなど慎重な施工を行う。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.4.11   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

(1)-1圧密沈下と安定検討に必要な物性値と試験

①湿潤密度試験:湿潤単位体積重量

②圧密試験:圧縮指数,体積圧縮係数,圧密降伏応力,e-logp曲線,初期間隙比

③三軸圧縮試験:強度増加率

④一軸圧縮試験:粘着力

(1)−2圧密沈下及び安定に関する検討方法

 圧密沈下は、得られた圧密特性から沈下量を計算し、盛土への沈下の影響及び維持管理の対応等を考慮して設定した許容値以下であることを検討する。許容値の設定は10〜30㎝とすることが多く、許容値を超えることが懸念される場合、対策工を実施するか、あるいは維持管理による対応を検討する。

安定の検討は、軟弱地盤を含む盛土の円弧すべりを仮定した安定計算法(フェレニウス法)により行う。計算を行う際は、圧密に伴う強度増加を考慮した検討を行い、安全率が最も小さい危険円弧すべりを抽出する。計画安全率は、構造物によって1.2〜1.5とし、この値より小さくなる場合、押え盛土、上載荷重の軽減及び軟弱地盤の地盤改良などの対策の検討が必要となる。

(2)−1併用工法の原理と効果

原理:載荷重工法は軟弱地盤に予め荷重をかけることで、また、バーチカルドレーン工法はドレーン柱を適切な間隔で設置することで、圧密を促進し地盤の強度増加を図る。したがって、併用工法は両者の相乗効果により地盤の強度増加を効果的に行うことができる。

効果:バーチカルドレーン工法を併用することにより、間隙水をドレーン柱で効率的に排水し、圧密期間の短縮が図れる。

(2)−2残留沈下量の計測と沈下管理方法

計測は動態観測に基づき得られた沈下量及び沈下速度の変化により、完成後の沈下挙動を予測し、設計時の予測と一致するかを確認する。設計時の予測と異なる場合、双曲線法又はlogt法によって将来の沈下挙動を推定する。また、不等沈下により段差等の支障が生じる恐れがある場合、必要に応じて施工にフィードバックし、プレロードの量及び放置期間等を沈下管理により判定する。

(2)−3法部の安定を判定する調査と計測管理方法

 法部分の安定を基礎地盤の挙動により判定するため、盛土法尻の水平変位を挿入型傾斜計によって計測し、水平変位速度が1.5㎝/日より小さいことを監視する。この値以上となる場合、直ちに工事を一時中止して、さらに動態観測を続け、その後の挙動に注意する。工事中止後も不安低下に進む傾向が続く時は、盛土を一部撤去するなどの対応をとり、1.5㎝/日より小さくなった場合は、施工速度を落とすなど慎重な施工を行う。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.6.7   専門事項 軟弱地盤

(1)検討に必要な物性値を得る試験と検討方法

①圧密沈下に必要な物性値:

a)圧密降伏応力pc(KN/m

)、圧縮指数Ccは圧密試験(段階載荷)から求める。

b)基盤地盤のせん断力C(KN/m

2

)は三軸圧縮試験から求める。土の状況により各種の試験法が有るが、今回は間隙水圧が発生する為、CUbar法から求める。

②圧密沈下と安定に関する検討方法

a)盛土による圧密沈下量及び沈下時間の検討方法

圧密沈下量の推定:増加荷重が圧密降伏応力Pcを超える場合は、正規圧密領域と判断され、沈下(一次圧密)が発生する。特に泥炭地盤では二次圧密量が多く無視できない。沈下量の算定式S=(e0-e1/1+e0)H、Δe法(e−logP)により推定する。 

沈下時間の推定:圧密時間は、圧密時間Tに関する係数として圧密係数Cvが定義され、時間係数Tv=(Cv/H

)Tから求められる。

b)盛土に伴う基礎地盤の安定

盛土時点で基礎地盤の破壊が予測される事から、盛土時の立ち上がり時点で安定計算(円弧すべり:分割法)の計算により安全率Fs=1.2以上となる盛土高さ(限界盛土高)決定する。

(2)併用工法の原理と効果

a)原理と効果

原理:載荷重工法とは予め盛土等により荷重を載荷して沈下および沈下時間を促進させる工法をいう。さらに、沈下時間が長期に渡る場合には排水距離を短くして圧密時間を短縮するバーチカルドレーン工法を併用する。

効果:沈下時間の抑制効果については排水距離の2乗に反比例するので、ドレーン工法により排水距離を短くすることで、圧密時間を短縮する改良効果がある。

b)完成後の計測と管理方法

 動態観測による盛土中央と法先について、沈下量を測定する。また、圧密特性の異なる土層が有る場合は、各層別沈下計も同時に測定する。

 一方残留沈下量の推定方法は、実測から得られる時間―沈下曲線から、双曲線に沿って減少する双曲線法により推定する。施工速度5cm/日以下になる様に施工を管理する。

c)盛土の安定性と、施工中の計測管理法

 盛土の沈下量と盛土法尻部の水平変位量を計測する。

また、盛土の安定管理の指標として、地盤の変形(沈下量S、水平変位/沈下量S)を確認する事が一番簡便であり信頼性が高い。管理図による破壊予測図があり、この管理図の破壊ゾーンに入らない様に盛土期間中は管理を実施する。

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