鉄道設計技士試験 平成30年度 専門試験Ⅱ(論文)問題
業績論文(すべての試験区分に共通)
問
あなた自身が行った業務のうち、受験申請書に記入した主な業績等から、鉄道設計技士として最もふさわしいと思う業務を1つ選び、論文の表題を解答用紙の所定の欄に記入した上で、以下の項目について解答用紙に801字以上1、600字以内で述べなさい。
①その業務の概要、実施時期およびあなた自身の役割
②技術上の課題とそれを解決するために、あなた自身が採った方策とその理由
③あなた自身が採った方策に対して、現時点で改善すべき点
見識論文
以下の問題は、あなたの鉄道技術に関する見識を問うものです。あなたの受験する試験区分(分野)の問題(4題)の中から1題を選択して、解答用紙に選択した問題の番号を記入の上、解答用紙に801字以上1、600字以内で述べなさい。
鉄道土木
問1−1
「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」第九十条およびその解釈基準では、施般及び車両の定期検査について定められている。保線の分野において、以下の3項目について具体的に述べなさい。
① 定期検査の必要性
② 検査基準日、許容期間及び検企基準日の変史
③ 事故防止のために検査結果に対してどのような処置が必要と考えるか
問1−2
普通分岐器(N型・関節構造)を1種類あげた上で、ポイント部における不転換等信号障害事故を起こしうる以下の8つの項目の中から3つを選択し、それぞれについて発生しうる事故の内容と、それを防止するための保守上の留意点を具体的に述べなさい。
- ポイント部の著大な軌道変位(狂い)
- レールのふく進
- レール(7)フロー
- 転てつ棒ボルト、カラーの損耗
- ポイント後端部のボルト締め付け状況
- 脱落防止金具の取り付け不良
- 床板すべり面のきず、油切れ
- 雪害および凍結(異物の介在)
問1−3
鉄道構造物の新設にあたり、盛土と橋台等の構造物との接続部において、アプローチブ・ツクを設ける場合がある。そこで、以下の3項目について具体的に述べなさい。
① アプローチブロックの概要および期待される性能
②粒度調整砕石を用いたアプローチブロックの施工管理
③セメント改良土を用いたアプローチブロックの材料および施工の留意点
問1−4
鉄道檎造物等設計標準・同解説にもとづき鉄道構造物の般計を行う場合を想定し、以下の3つの問いについて具体的に述べなさい。
① 構造物の性能照査を限界状態般計法により行う場合における性能照査の流れを概説しなさい。
② 構造物に一般に般定される3つの要求性能について、それぞれの内容を概説しなさい。
③ 有限要素法等の数値解析手法を用いて般針応答値を算定するメリットと留意点を述べなさい。
鉄道電気(強電分野)
問2−1
電車線設備の設計または施工に起因して、ちょう架線が断線する主な原因として、①「地絡」によるもの、②「循環電流」によるもの、③「腐食」によるもの、の3つが挙げられる。これら3つの原因のそれぞれについて、断線に至るメカニズムと電車線設備における防止対策を具体的に述べなさい。なお、電車線設備の設計または施工に起因しない、飛来物、倒木もしくはクレーン車などの部外要因、地震もしくは強風などの自然要因、および破損したパンタグラフ(車両設備)に起因する断線は除くこと。
問2−2
パンタグラフすり板の材料は、銅系焼結合金または鉄系焼結合金を中心とした「金属すり板」と、カーボンに金属を含浸したメタライズドカーボンすり板または純カーボンすり板(ここでは「カーボン系すり板」と総称する。)に大別される。以下の3つの観点において、「金属すり板」と「カーボン系すり板」の特徴を比較して具体的に述べなさい。
① 電車線設備や車両設備における維持管理コストの観点
② 電車線設備において発生しうる事故・障害の観点
③ パンタグラフすり板において発生しうる事故・障害の観点
問2−3
既設直流変電所の整流器回路機器(整流器用変圧器及びシリコン整流器)の経年更新を計画する際、予算制約等の理由により複数バンクの整流器回路を一括更新することが不可能な状況下において、回路機器を順次部分更新する過渡的な対応を採るケースを考える。
「高調波抑制対策ガイドライン」を考慮した般計上の留意事項を勘案し、以下の3項目について具体的に述べなさい。
① 直流変電所において整流器回路から発生する高調波の発生メカニズム
② 直流変電所において整流器回路から発生する高調波の抑制方法
③ 複数の整流器回路相互間に生じる循環電流が回路機器に及ぼす彫響とその対策
問2−4
変圧器が、汕入変圧器(絶緑冷却媒体として拡油を使用。)である場合と、SF6ガス入変圧器(絶緑冷却媒体として六フッ化硫黄を使用。)である場合について、以下の4つの観点の中から3つを選択し、それぞれの観点から油入変圧器とSF6ガス入変圧器を比較して具体的に述べなさい。
・ 冷却性能に起因する変圧器容量・外形の違い(スイッチギヤとの組み合わせも含む)
・ 消火対策
・ 冷却媒体の漏洩が環境に及ぼす彫響
・ メンテナンスを行う煦の相凛点や注隶すべき点
鉄道電気(弱電分野)
問2−5
ATSには各種方式がある。連続制御方式と点制御方式を比較して、その違いを具体的に述べなさい。
また、ATSの連続制御方式・点制御方式のいずれかを選び、地上設備や地上子の設置位置について考慮すべき点を下記の2つの観点から具体的に述べなさい。(連続制御方式・点制御方式のどちらを選択したか明記すること。)
・保安及び安定輸送確保の観点
・施工及び保守の観点
問2−6
列車間の間隔を確保する装置による移動閉そく方式と、固定閉そく方式の相違に関して、以下の3項目について具体的に述べなさい。
① 移動閉そく方式と固定閉そく方式の概要
② 移動閉そく方式によるメリット
③ 移動閉そく方式を実現する際の課題とその解決策
問2−7
駅の放送般備は、ホームやコンコースにおいて、案内、注意喚起、非常時の避難誘導等を行ううえで重要な設備であり、安全・安定輸送の確保及び旅客サービスの向上には不可欠な設備である。駅構内放送般備を設計するにあたって必要となる、スピーカの接続方法に関して、以下の3項目について具体的に述べなさい。
① 放送般備を構成する増幅器とスピーカの接続方法であるハイインピーダンス接続とローインピー
ダンス接続について、それぞれの概嬰
② 接続方法毎の、接続できるスピーカの数に関する特徴あるいは制約
③ 接続方法毎の、伝送距離、効率及び音質
問2−8
走行中の列車から、車蔵機器のモニタリング情報を地上へ伝送する無線回線を構成したい。このとき、①無線局免許が必要な300M11Z帯の無線機を利用する方式、②700M11Z帯の携帯電話(LTE)を利用する方式、③2.45GHZ帯の無練LANを利用する方式、の3つの方式について、各方式のメリットと回練を構成する際に考慮すぺき事項についで具体的に述ぺなさい。
鉄道車両
問3−1
鉄レール上を鉄車輪が走行する鉄道車両にとって、ばね下質量の軽減は必須の課題である。
鉄道システムの中で、ばね下質量が大きいことで生じる課題について具体的に述べなさい。
また、台車のばね下質量の軽減策として有効と考えられる台車の機器を2つあげ、それぞれの機器について軽減手法と課題を具体的に述べなさい。
問3−2
一般的な一体輪軸の車輪踏面形状とその設計に関して、以下の3項目について具体的に述べなさい。
① 鉄道車両の車輪踏面形状の特徴
② 車両運動の観点から、車輪踏面形状が①の特徴を有する理由
③ 乗り上がり脱線防止の観点から、車輪踏面形状が①の特徴を有する理由
問3−3
鉄道車両のブレーキ事故事例について、以下の4つの亊例の中から1つを選択し、①推定されるブレーキ事故の状況、②推定されるブレーキ事故の要因、③その対策を具体的に述べなさい。なお、対策については、車両における技術上の対策を対象とする。
・ 踏切内に進入した小型トラックと衝突し、ブレーキカが得られず暴走
・ 車両検査後の不備により、ブレーキカが得られず暴走
・ 引上線に留置されていた車両が、下り勾配を逸走
・ 積雪時に必要ブレーキカが得られず、先行車両と衝突
問3−4
鉄道事業者Aでは、路線によって3両編成から8両編成まで複数種類の編成を使い分けていたが、今後製作する新形式車では、A社内で必要とする全ての編成両数に対応し、両数の変更にも容易に対応できる標準車両を設計することにした。
A社で採用する標準車両の方式を以下に示す2方式から選定する際に、検討すべき設計上の留意事項を3つ上げ、それぞれの項目に対し、方式1と方式2の得失を比較して具体的に述べなさい。
方式1:電動車・付随車組合せ方式
標準電動車Mには主電動機4台及びその駆動用インバータ(VVVF)、集電装置等の主回路システムを搭載し、標準付随車Tには補助電源装置(SIV)を搭載する。編成両数に応じて、必要な数の電動車と付
随車を組合せる。
方式2:電動台車十付随台車方式
車両内の片方の台車を電動台車、他方の台車を付随台車とし、1両に主電動機2台及びVVVFとSIVを一体化した装置を搭載する。集電装置付きのM1と集電装置無しのM2を組合せて編成を構成する。