さてこの「問題点」の意味ですが、問題解決の分野ではきわめて明確に定義されています。それは一言で言うと
「理想の状態」と「現実の状態」の「差」
です。たとえば営業マンであれば「売上実績」や「業務の進捗状態」といった理想のラインがあります。これが「理想の状態」であり、これが途中から落ち込むと、「現実の状態」との間に「差」が生じて問題となります。「問題点」を表現するには、ただこの「差」を示せばよいのです。
この話は簡単な図に表せます。下図を見てください。求められている状態をあらわす水平線に対して、実際は途中から折れ曲がって降下しています。これによって生じる縦の「差」が問題点です。「問題点」を表現することは、この「縦方向の距離」あるいは「下降」をあらわすことにほかなりません。

なぜ「問題点」が求められるか? 価値ある「問題点」を設定するには?
ではどうして「問題点」が大事なのでしょうか。それは、専門分野での問題解決が技術士の使命だからです。優れた技術士であるためには、大きな「問題点」に取り組まねばならず、また上手に問題解決を行うには正しく「問題点」を設定する必要があります。この意味で「問題点」の認識は技術士の能力を測る重要な要素となるのです。