上下水道部門(下水道)のN様はこの日、福井県より来られて10:00〜12:00に面談コーチングを受けられました。

講座の指導では問題予想の分析は次のような手順で過去問を分析します。
これらの作業をコーチングで行い、ホワイトバードに書きだしていきました。

一般的には予測と言えば、キーワードの予測が普通ですが、これではその年の特定の材料が出てくるだけで問題文が絞り込めず、問題文を見誤ります。
たとえば2011年ですと、東日本地震に関連する「災害」がキーワードとなりますが、そこから得られるものは「避難」や「補強」などの特定の対策名にすぎません。しかし、技術士試験ではもっと広範で実務的な対策法が求められるわけです。このわけとして次のようなことが考えられます。
技術士は、
専門分野に関連する社会情勢(つまりキーワード)に関心を持たねばならない。専門分野の問題を上手に解決できる必要がある。難易度の高いビジネス課題に対応できる。ということが求められています。これらの問題作成要因を整理しますと、
要因の性格 | 例 | 出題のねらい | |
要因1 | キーワード | 低炭素、長寿命、安心安全 | 最新の話題 |
要因2 | 専門分野の解決 | 品質、コスト、安全などに関する技術管理能力 | 専門技術の知識 |
要因3 | ビジネス課題 | 社会的変化対応、トレードオフ、事例適応課題 | 実務的能力 |
このように、「キーワード」の予測、上記表の要因1は、過去問分析の入り口にすぎないことがわかります。一方、出題者の本当のねらいは要因2、3にあり、これらは毎年変わらずにベースあって、受験者の能力を測定しているのだということが解ります。
つまり、問題文は、技術者として必須な能力である要因2、3をベースとして、そのほかに最新の話題を材料として問題が作られているのだということです。このため出題傾向はこのような式にたとえられます。
要因1 要因2 要因3
問題文 = 話題(キーワード) × 専門分野の解決 ÷ ビジネス課題
一般に高い能力を持つ管理技術者は次のような能力に長けています。実はこれらはコンピテンシーの典型なのです。
社会的状況などの変化に対応して、臨機応変に発生した問題を解決できる。コストと品質のトレードオフ問題など普通には答えが出ない場合でも上手に解ける。与えられた概念を特定の事例にあてはめて効果的に応用出来る。問題がどこにあるかわからない場合にも、系統的、探索的に対処できる。技術士試験の入門者が難しいと感じるのはこの要因3が原因だと思われます。経験の少ない方には要因3は予測困難なため、熟練者の指導を仰ぐ必要があると思われます。
以上のことから、問題予測は、
問題を分類してキーワードなどの傾向を把握する出題者が技術者に求めている能力を推し量る受験者自らの力で過去問から類題として予想問題を作成する熟練者と話し合って修正、確認する熟練者によって上記要因3に相当するビジネス課題の要素を問題に付加するといった手順で出来ると考えます。
たとえば上下水道部門の必須科目問題はこのようになります。
年度 | 要因1 キーワード | 要因2 コンピテンシー | 要因3 ビジネス課題 |
23 | 電力使用量削減の必要性 技術的対策 ハード面、ソフト面 | 技術者としての役割認識 合理的解決法 | ハードソフト両面戦略 |
22 | 業務指標(PI) 今後の検討課題、その技術的対応 | 指標による技術管理 持続可能な水循環の構築 | 指標による管理 |
21 | 上下水道の役割 機能が麻痺 | 役割と機能停止時の影響 上水、下水の共同対策 | 影響予測、ケーススタディー |
20 | 健全な水環境系のための技術的対策 | 現状と課題、健全な水環境系を構築するための技術的対策 | 論理的問題解決プロセス |
この後は、先の式に従ってあてはめていけば良いのです。
要因1 要因2 要因3問題文 = 話題(キーワード) × 専門分野の解決 ÷ ビジネス課題
要因1は最新のトレンディーな話題から選択します。
一方、要因2は技術者に必須な要求事項を類推します。
要因3はいくつか過去に出た形式とほとんど同じと考えます。
このほか、N様は選択科目の分析では「キーワード」以外に「問題文の条件」や「要求事項」で分析しています。

N様は下の写真のように、コーチングを利用して短期間で問題予想されています。
