良くある減点ポイントと高得点の書き方 8 「図を書いたら好感されるは×」
2017.01.27
技術士試験ではどうやったら高得点が取れるか、一般的には高度な技術を披露すれば手堅いと考えられているようです。しかし実態はそうではなく、数々の稚拙な書き方によって大きく減点されています。まずはこうした減点要因をなくすこと、そうすれば自然と技術内容を読んでもらえて、技術士にふさわしいことがアピールできるというものです。
今回のシリーズでは添削答案や試験当日の再現答案より、減点につながった答案の書き方と、本来どうあるべきかという高得点を狙える書き方についてご説明します。今回は9回シリーズの第8回目で
「図を書いたら好感されるは×」
です。
技術士試験では課題、解決策、留意点などの論理的な展開が求められ、文章の内容が分かりにくくなりがちです。このため、わかり易い文章や図表による明快な表現が良いと考えられているようです。このため答案用紙の3分の1から2分の1程度を割いて図表を書き込んで説明する方法が良いと考えている人がいるようです。
さらに図表の枠を超えて、文字ばかりのパワーポイントのスライドのような要点をまとめた図を書く方もいるようです。
しかし、技術士試験では図表による表現を求める事はほとんどありませんし、そうした表現よりも的確な文章による表現が優先すると考えられます。このため、文章の流れと直接関係のない図表は文脈を乱すこととなりますし、表現の助けにならない図表はマイナス印象を与えてしまいます。つまり答案のスペースを文章を書かずに図表で埋めてごまかしているという消極的な姿勢と、試験官に判断されてしまうのです。
このため、特別必要のない限り図や表による表現は使わないことが得策です。どうしても必要な場合は答案用紙の 4分の1以下程度の小さなスペースで表現すべきだと考えます。
平成28年電気電子部門、情報通信のIII−1問題は、
車の自動運転システムはレベル1〜4まであり、レベル3以上ではシステムが高度となる。(1)レベル3、4で重大となる課題(2)技術的解決策(3)問題点と対処方法について述べよ。
という問題に対して、
(1)の課題を述べる前に下記のような自動運転支援システムの概略図を書いた方がいらっしゃいました。

しかし、問題文ではこのような概略情報求めているわけではなく、さらに突っ込んだ具体的な課題解決策を求めています。図を描くことによって説明の助けにはなるかもしれませんが、あまり役に立たない前置きの説明に過ぎません。ですのでここではこのような文脈と直接関係のない概略図を描いて答案用紙を割くのではなく、
図で表現したい本質的事項を言葉で表して文章で書く
ことが望ましいといえます。
技術士論文試験では、採点基準がわからないために、講師が過去の合格体験に基づいて独自に教えるスタイルが多いようです。しかし合格基準は文部科学省技術士分科会よって明らかにされており、そうした昔の経験は脱却し、新しいコンピテンシー尺度を目指した指導を行うべきです。
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