見違えるほど良くなる業績の書き方 2 「大事と小事を区別し、苦労ではなく貢献に着目する! 」
2017.02.21
技術士試験の申し込み書には業務経歴の欄があり、自分がやってきた物件名を書くしかないと考えられているようですが、特別決まりがあるわけではありません。
一方、申し込書は口頭試験で考課の対象となり、その内容が合否を左右することとなります。このため申し込書の作成は答案と同じように内容を高めていかなければならないといえそうです。そこで、「業務経歴」と「業務内容の詳細」について業績の何を書けば合格につながるのか、文部科学省が求めるコンピテンシーの視点から合格に有利な申し込み書の書き方を考えてみたいと思います。今回は「見違えるほど良くなる業績の書き方」9回シリーズの2回目で
「大事と小事を区別し、苦労ではなく貢献に着目する! 」
です。
業績論文を書くときにまず最初に思い浮かべるのが、なぜその業務を行ったかと言う理由や目的です。実際の業務では何か問題点があって、対策を行う場合が少なくありません。このため業績の書き方は、問題点+対策という対にして書かれる場合が多いようです。例えば、
- 強度が足りず崩壊したため、〇〇を建設した。
- エネルギー消費量が大きいため、断熱構造にした。
というようにです。
こうした問題点+対策の書き方は、一見、業績を理解しやすいものにしてくれます。原因があって対策があるので論理的に納得しやすいわけです。問題点にぶち当たって苦労をしたためにそのことが記憶に強く残っているという、本人の強い記憶のせいもあります。しかし逆な見方をすれば、当たり前の対応をしたに過ぎず、誰がやっても同じ対応を取ったのではないか、と考えてしまいます。
これでは技術士らしさを表現することはできません。なぜならコンピテンシーとは普通の人が行う対応からは特別高い資質、能力を感じさせないからです。逆に、普通ではありえないような特別な、独創的な対応を行い、しかも結果が効果的であった場合にはコンピテンシーは高く感じられることとなります。このようにコンピテンシーにはレベルがあり、意識して高めることによって技術者の資質能力は自然と高いものと感じられるようになります。
例えば先程の例で申し上げますと、
- 〇〇を補強するため、巻き付け補強を採用した。
- 省エネ化するためZEB(ゼロエネルギービル)設計を行った。
というように異なる視点でまとめることも可能です。
前述の例との違いは、問題点ではなく、貢献の表現に重きを置いた表現となっている事はお分かりでしょうか。問題点より、技術者をしたの貢献に力を入れた表現をすることでコンピテンシーの高さを表現しています。業績を書くときには、成り行き的にどうしても、苦労したことを大きくとらえて問題点を中心に考えてしまいがちですが、しかしそうした自身の苦労から開放されて、冷静に業績を見つめることによって、本当に成果につながった貢献が何であったが見えてきます。この真の意味での貢献こそが業績論文で最も力を入れて果かねまならない大事な事項なのです。ですので、
苦労ではなく、貢献に着目すべき
といえます。
また業績の何を取り上げるかという着目点も大事なポイントとなります。付随的な書きやすい事項ではなく、業績の中心となる本質的な事項を取り上げねばなりません。すなわち
大事と小事を区別する
ことが重要なのです。業績の中の主要な問題点に取り組んで、その本質的な解決を提案しなければ貢献は強く訴えることがいません。
以上を整理すると技術士試験の申込書は、業績をただあるがままに見てもらうものではなく、合格を目指す場合、当然コンピテンシーを高めた表現としなければなりません。そのためには、業績の中の主要な事項を見極めて、その中心業務に絞り込んで、技術者としての貢献の大きさを訴えねばならないということです。こうした結果、見違えるほどを専門家らしい印象を与えることが可能となります。
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この結果、
- 自分は何をすべきか
- 何を誰に提案すべきか
- それはなぜか
と言うような自分にとって重要な疑問に対して明確な答えが持てるようになりその結果継続的な技術研鑽が行なわれるようになるということです。こうした自己変革がない限り、だらだらと暗記勉強を続けるだけでは技術士試験で高い資質能力を表現する事は難しいと考えられます。
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