見違えるほど良くなる業績の書き方 6 「具体的、定量的に書くと工夫が伝わりやすい」
2017.03.02
技術士試験の申し込み書には業務経歴の欄があり、自分がやってきた物件名を書くしかないと考えられているようですが、特別決まりがあるわけではありません。
一方、申し込書は口頭試験で考課の対象となり、その内容が合否を左右することとなります。このため申し込書の作成は答案と同じように内容を高めていかなければならないといえそうです。そこで、「業務経歴」と「業務内容の詳細」について業績の何を書けば合格につながるのか、文部科学省が求めるコンピテンシーの視点から合格に有利な申し込み書の書き方を考えてみたいと思います。今回は「見違えるほど良くなる業績の書き方」9回シリーズの6回目で
「具体的、定量的に書くと工夫が伝わりやすい 」
です。
業績論文を書くときに、いちばん苦労されるのが技術的背景をどうやって表現するかです。くどくど述べると冗長になるし、簡潔すぎると説明が足りなくなります。そこで多くの方が誤るのが、具体的ではない大雑把な表現でまとめてしまうことです。例えば、
- 配管ルートは圧力の問題がないように・・・する。
- 熱機器の配置は温度差換気を考慮した配置した。
と言うような、何かやったことが分かるが、具体的にどうしたかがわからない文章となっています。この2つは具体的には次のような内容を含んでいます。
- 配管ルートは管内圧力が400KPaを越えないようにする。
- 熱機器は温度差で効率よく換気されるよう高温機器を鉛直方向に配置した。
このように技術的留意点は定量的に書くとよりその記事的な根拠が明確となります。あるいは次のような方法でもわかりやすく技術的ポイントを伝えることができます。
応用した技術名を〇〇の法則等の名称表す。根拠となる計算式を示す。力学や流体など向き合っ方向を図で表す。身近な事例に例えて表現する。などの方法があります。
例えば身近な事例に例える表現として「ベルヌーイの法則」を表現してみましょう。これは流体のエネルギー保存の法則とも呼ばれます。すなわち流体の圧力エネルギーと運動エネルギーとは常にその総和が一定となるように両者がバランスされているというものです。これを風船の空気に例えるとこうなります。
風船に空気を吹き込むと、圧力エネルギーが蓄えられて、風船が膨れ上がります。これは流体のエネルギーが圧力の成分が100%の状態です。次に風船の口を開くと勢い良く空気が吹き出します。この時、風船の中の空気は圧力を失い、一方噴き出したあと運動エネルギーを得ています。つまり圧力エネルギーが減少し、運動エネルギーが増加することでエネルギーの総和は一定に保たれているということです。
長々とした説明となってしまいましたが、計算式で表すと1行で済むかもしれません。
このように技術者の問題解決においてその巧みさを表現するためには、そこで行われた工夫の内容を具体的に表す必要があり、その表現方法に先に挙げたような工夫が必要だと言うことです。ともすると具体的方策ではなく、「・・が無いように・・する」と言うような目的や機能を用いた漠然とした表現になりがちです。しかしそれでは、技術者としての貢献をしっかりと表現することはできません。
技術応用と言うと、よく誤解されるのが難しいや特別なことをやってのけたことと誤解されがちですが、普通に技術体系からしかるべき要素技術をケースバイケースで応用すれば技術者としては十分なのです。技術応用を説明しようとすると複雑な文章になってしまうことがよくありますが、その理由の1つが技術的な根拠がよく見えてない場合があると言うことです。どんな場合でも応用した技術が何だったのか明確に意識して、単刀直入に表すようにすればわかりやすくて根拠性に富んだ技術者貢献の表現になると思います。
このような技術応用の体験は、口頭試験でも主要なチェックポイントとなっています。いわゆる「技術士にふさわしい事は何か」という質問です。とても答えることが難しい質問だと思われているようですが、全然心配することはありません。ご自身の業績の中で、技術体系から部門科目の要素技術をどう応用して問題解決を行ったか、その応用の巧みさを表現できれば何も心配することはないと言うことです。
こうした技術者の貢献はコンピテンシーの尺度でチェックされることとなり、普通レベルの誰もが行う対応を書いている限りは特別能力が高いとは感じ取ってはもらえません。コンピテンシーには段階があり、普通レベルではありえない、サプライズの内容を含んだ工夫であったときに「とても優れている」と感じるのです。どうせ表現するならそのように高く評価してもらえるように記述したいものです。そのためには工夫の内容が具体的でかつ目的とする結果を得るために有効に貢献をしていること訴えれば良いのです。
技術士試験では、こうしたコンピテンシー尺度による評価の内情を誰も教えてはくれません。しかしこのことは文部科学省を技術士分科会のホームページにも記されており、技術専門家の評価として納得しやすいものです。本研究所ではこのような試験の原理に早くから着目して、効率よく学び合格することを提案しております。受験者の多くはあれこれ悩んで無駄な時間を過ごしながら試行錯誤で勉強法を見出すことが少なくありません。しかしそれでは無駄が多すぎます。出来る限り過去の教訓から不合格の要因を学んで、一回の受験で合格出来るように努力すべきです。
本研究所では、コーチングによる指導で受講者様の自己変革を導き、答案に対して前向き提案ができるように新たな視点での成長を促します。講師の前向きな言葉によって、ネガティブな考えを払拭して、いつも効率的に問題解決の考え方ができる様になるのです。
この結果、自分は何をすべきか、何を提案すべきか、それはなぜかと言うような自分にとって重要な疑問に対して明確な答えが持てるようになりその結果継続的な技術研鑽が行なわれるようになるということです。こうした自己変革がない限り、だらだらと暗記勉強を続けるだけでは技術士試験で一発合格は難しいでしょう。
当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、それぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、各個人の自己変革を促し、楽勝で一発合格出来るように指導しています。