平成28年度の技術士二次試験合格者が発表
日本技術士会より平成28年度の合格者統計が発表されました。平成13年以降の比較的新しい年度について、合格者数の傾向を確認してみました。
1. 総合技術監理部門を除く部門の、申込者・受験者・合格者数
まず、総合技術監理部門を除く部門では、近年では申込者は30000〜26000人、受験者は20000人前後、合格者は約3000人で推移しています。それに対して合格率は、受験者に対する比で約14%程度となっています。各年度ごとの値を以下に列挙してみました。
年度 申込者 受験者 合格者 申込者に対する合格率(%) 受験者に対する合格率(%)
13 41758 26507 4314 10.3 16.3
14 50129 30725 5562 11.1 18.1
15 6766 4729 895 13.2 18.9
16 19062 11705 2030 10.6 17.3
17 25588 15890 2627 10.3 16.5
18 25912 15711 2390 9.2 15.2
19 26418 20229 3143 11.9 15.5
20 29994 23205 3635 12.1 15.7
21 30223 23479 3572 11.8 15.2
22 31627 24292 3577 11.3 14.7
23 29450 22967 3310 11.2 14.4
24 27982 21194 3144 11.2 14.8
25 27138 19830 3370 12.4 17.0
26 26300 20001 2936 11.2 14.7
27 26739 21585 2985 11.2 13.8
28 27645 21885 3175 11.5 14.5
上記のデーターをグラフで年度毎の変動を確認してみました。申込者、受験者を表す青、緑の折れ線は15年に鋭く落ち込んで、その後回復傾向にあります。平成15年は試験制度改正により一次試験が設けられた年であり、この試験を敬遠する受験者が試験の申し込みを回避したためです。申込者はその後増加し、現在は約26000人程度で安定しています。
これに対して合格者数(赤線)もほぼ同じようにピークと底をつけて、現在は3,000人程度となっています。合格者数の折れ線が申込者数とほぼ重なることから、全体の合格率自体は一定に保たれている様子が伺えます。
1つだけ興味深い点が見受けられるのは、平成25年に合格者がやや増えている点です。この年は試験制度の改正により、数科目の論文が択一試験となり、選択科目の論文Ⅲが新たに増えました。試験制度改正の初年度に当たることから、試験基準がやや甘くなったことが考えられます。
2. 総合技術監理部門の、申込者・受験者・合格者数
次に、統計数値から総合技術監理部門だけの申込者・合格者数を出してみました。
各年度ごとの値を以下に列挙してみました。
年度 申込者 受験者 合格者 申込者に対する合格率(%) 受験者に対する合格率(%)
13 9220 7944 2267 24.6 28.5
14 13405 10397 3516 26.2 33.8
15 2165 1699 783 36.2 46.1
16 6535 4436 1407 21.5 31.7
17 5865 4089 1037 17.7 25.4
18 5587 3963 815 14.6 20.6
19 4446 3283 647 14.6 19.7
20 4305 3218 508 11.8 15.8
21 4391 3264 697 15.9 21.4
22 4805 3570 540 11.2 15.1
23 4826 3719 518 10.7 13.9
24 4861 3654 265 5.5 7.3
25 4259 3293 431 10.1 13.1
26 4135 3206 562 13.6 17.5
27 4084 3293 664 16.3 20.2
28 3990 3147 473 11.9 15.0
こちらもグラフで年度毎の変動を確認してみました。申込者、受験者を表す青、緑の折れ線は15年に鋭く落ち込んで、一時回復します。しかし、その後は先のグラフ1(総合技術監理部門以外)と違って今なお漸減傾向にあります。申込者数は現在は約4000人程度となっています。 これに対して合格者数(赤線)もほぼ同じようにピークと底をつけて、現在は500人程度となっています。合格者数の折れ線は申込者数より下に来ていることから、申込者数もさることながら合格者数は更に低下しているいる様子が伺えます。
平成14年に合格者がピークをつけ、翌年平成15年に大きく落ち込んでいますが、こうした合格者の変動とは別に、合格率の変動はそれほど大きな動きとはなっていません。このことから受験者数とは別に合格率は毎年ほぼ一定に保たれるように考慮されていると考えられます。その後、平成25年にもピークをつけており、こちらは試験制度改正の年にあたることから、試験の考課がこの年だけやや甘くなったことが考えられます。
そして現在はというと、対受験者比で14%程度とかつてない低水準に落ち着いており、技術士試験自体がが難関となって定着してしまっている様子が伺えます。
来年平成30年度には新たに試験制度改正が予定されています。この改正によってもひょっとしたら、かつて平成25年に見られたように合格率がやや高まる可能性はあるかもしれません。試験制度改正の初年度に受験する事は、新たな勉強内容が増えることにより、負担となる一面もありますが、
「変化(Chage)はチャンス(chance)ととらえて、チャレンジ(Challenge)する」
ことを忘れないようにしてください。
4. 総合技術監理部門の合格率
総合技術管理部門の合格率は平成15年にピークを付けた後、急角度に低下し、平成24年に底をつけて、現在はやや落ち着いて戻している様子が伺えます。平成28年の合格率は、対受験者数比で約15%となっています。
平成25年の試験制度改正初年度の合格率がアップする現象は総合技術監理部門では見られません。平成28年に、合格者数、合格率が共に低下する傾向を示し、総合技術監理部門は難関となっている様子が伺えます。