Q.技術士試験の問(3)における「リスク」「懸念事項」「将来的な懸念事項」「波及効果」は、どのように書き分ければよいですか?
A.
この4つは似た表現ですが、試験で問いたい内容はそれぞれ異なります。違いを理解しておくと、設問ごとに迷わず答案を組み立てることができます。
1.「新たに生じうるリスク」
これは、提案した解決策を実施したことによって発生する可能性のあるリスクを問うものです。
例えば、鋼橋にIoTモニタリングを導入した場合であれば、
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センサー故障による誤診断
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サイバー攻撃による監視機能停止
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点検員の現場確認能力の低下
などが考えられます。
つまり、「解決策にはどのような弱点や失敗要因があるか」を考え、その対策を書く設問です。
2.「専門技術を踏まえた懸念事項」
懸念事項は、解決策を実施した結果として、新たに問題となる技術的課題です。
例えば、補修・補強工事を進めた結果、
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新旧部材の耐久性の差が生じる
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維持管理対象が増え点検負担が増加する
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高性能材料の更新費用が将来増加する
などです。
リスクが「失敗する可能性」であるのに対し、懸念事項は成功したとしても新たに考えなければならない課題と考えると整理しやすくなります。
3.「将来的な懸念事項」
これは、社会や技術の変化を踏まえ、将来発生し得る課題を問う設問です。
例えば、
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気候変動により設計外力が増加する
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技術者不足がさらに深刻化する
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老朽化施設の急増により維持管理需要が増大する
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AIやDXの急速な進展により技術基準の見直しが必要になる
など、中長期的な視点から専門技術者として考察します。
4.「波及効果」
波及効果は、提案した解決策によって周囲へ広がる好ましい効果です。
問(2)で書く効果は「その解決策そのものの直接効果」ですが、波及効果はさらに広い範囲への影響を書きます。
例えば、橋梁の予防保全を推進した結果であれば、
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ライフサイクルコストの縮減
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道路ネットワークの信頼性向上
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地域経済活動の安定
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技術データの蓄積による維持管理技術の高度化
などが波及効果になります。
書き分けのポイント
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リスク:解決策が失敗・機能低下する可能性
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懸念事項:解決策が成功しても新たに生じる技術的課題
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将来的な懸念事項:社会・技術環境の変化によって将来想定される課題
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波及効果:解決策の効果が他分野・地域・社会へ広がるプラスの影響
これらは別々の概念ですが、共通して重要なのは、「解決策を実施した結果として何が起こるか」を技術者として予測する力です。
技術士試験では、提案するだけで終わるのではなく、その先に起こり得る影響まで見通しているかが評価されます。実務では一つの対策が新たな課題を生み出すことは珍しくありません。そのため問(3)では、専門技術者としての経験や実践力を確認する目的で、毎年のようにリスクや懸念事項が問われています。