要因、課題、解決策の書き方・・それはロジカルシンキング
2017.05.22
技術士試験で求められる、要因、課題、解決策についてどの様に答えたら良いか、お悩みの方が多いようです。しかしこの言葉の定義は決まっており、すなわち技術者コンピテンシーを確かめるため、問題が論理的に説かれているか、すなわち
ロジカルシンキングができているか
を問いかけているのです。ITH様の答案で確認してみましょう。
H28年、建設部門、鉄道科目のII-1-1問題はこうでした。
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II-1-1 踏切事故の現状と課題を簡潔に述べるとともに、事故防止のための方策3つ挙げ、その内容を述べよ。
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それに対してITH様は次のように考えられていました。
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1. 要因
踏切事故は踏切横断者(自動車、歩行者)が列車接近直前横断により渡り切れないこと、落輪やエンスト等による停滞により踏切内に取り残されてしまうことにより発生している。
2.踏切事故の課題
交通弱者も含めてすべての踏切横断者が列車接近前に踏切を渡り切ることができるように列車接近を警報すること、また踏切を円滑に通行することができるように設備を整えること
3.事故防止の方策
3、4種踏切を警報機と遮断機のある1種化へ改良、全方位警報機への取替え
障害物検知装置、非常停止ボタン、踏切内照明
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このため指導では、
- 現状分析の要因は根本的原因まで分析すること
- 課題の立案は要因をもとに技術的な視点でもって前向きに提案すること
- 方策の項では具体的に何をどうするか説明すること
の3点を申し上げました。
現状分析の要因は根本的原因まで分析すること
踏切事故の現状についての分析では踏切横断者が渡り切れないことや踏切内に取り残されてしまうことが要因とされていましたが、しかしこれらは結果としての現象であってその根本原因品を明らかにしないと対策が立案できません。
課題の立案は要因をもとに技術的な視点でもって前向きに提案すること
課題の内容が「踏切を渡りきることができるようにする」となっていましたがこれは、事故の要因である「踏切を渡り切れない」の言葉を逆にしたに過ぎません。これでは解決の視点が見えていません。
そこで課題を述べる時は技術的にどう結果を書いていくかということを具体的に考えねばならないのです。ここでの問題、すなわち踏切を渡りきることができない要因が歩行路の形状にあることから、それらを改善していくことが渡りきる事を可能にさせると考えられます。
方策の内容は具体的に何をどうするかということを述べなければなりません。解答では「 3種、4種の踏切を1種に変更する」と言うこれは国土交通省が鉄道会社の方針です。
しかしこれでは何の意味が解りません。すなわち踏切が、警報だけでなく遮断機のある踏切するということ、また運転士の停止信号を送るための非常停止ボタンを設置することも必要です。
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まとめ
こうした現状分析、課題設定、方策の提案では、技術士の考え方を比較に伝えること、コミニケーション方正しく行うことなどが大切です。こうしたことを守ることによって、技術者の資質能力が正しく試験官に伝わり、あなたの印象を信頼性の高いものにする事は間違いありません。