R1/2019年 建設・道路 Ⅱ−1−1

問題文

 車道の曲線部においては、当該道路の設計速度に応じた最小曲線半径が道路構造令にて定められているが、その算定の考え方及び適用に当たっての留意点を述べよ。

模範解答1  (簡易形式1)  添削履歴 1回 2019.07.24  専門事項 道路設計

1.最小曲線半径算定の考え方

  道路の曲線部において、直線部と同様に安定した快適な道路条件を確保する。このため、曲線走行時の遠心力等が、タイヤと路面の摩擦限度以下となるように最小曲線半径を決定する。

具体的には、曲線部外側への横すべりや転倒を防止し、走行速度と片勾配、および摩擦係数等の要素により設計速度の2乗÷127(片勾配tanα+摩擦係数)で算定する。

この時の片勾配は、走行性、自転車等の分離、地域性等を考慮して決定する。

また、摩擦係数は路面の凍結や湿潤時の走行安全性を考慮し0.1〜0.15とする。

2.適用に当たっての留意点

車線逸脱に起因する死傷事故は、曲線半径が小さいほど多くなるため、最小曲線半径は極力避け、経済・安全性、地形と調和を考え適切な値を使用する。

②山地部で、道路種級に応じた最小曲線半径により莫大な土工費が発生する場合、設計速度を低減、曲線半径を小さくし費用便益比有利の場合は設計速度の低減を行う。この場合、運転者が自然に速度低下できる一定区間を確保する。

③第3種道路で自転車道等を設けない場合、自転車の走行安全性を考慮し最大片勾配を6%とする。

模範解答1  (簡易形式2)  添削履歴 3回 2019.07.30  専門事項 道路設計

1.最小曲線半径算定の考え方

  道路の曲線部において、直線部と同様に安定した快適な道路条件を確保する。このため、曲線走行時の遠心力等が、タイヤと路面の摩擦限度以下となるように最小曲線半径を決定する。

具体的には、曲線部外側への横すべりや転倒を防止し、走行速度と片勾配、および摩擦係数等の要素により、設計速度の2乗÷127(片勾配tanα+摩擦係数)で算定する。

この時の片勾配は、走行性、自転車等の分離、地域性等を考慮して決定する。

また、摩擦係数は凍結・湿潤時には、低下するため安全性を考慮し厳しい値とする。

2.適用に当たっての留意点

車線逸脱に起因する死傷事故は、曲線半径が小さいほど多くなるため、最小曲線半径は極力避け、経済・安全性、地形と調和を考え余裕のある曲線半径を使用する。

②山地部で、道路種級に応じた大きな曲線半径により莫大な土工費が発生する場合、設計速度の低減を行うことで曲線半径を小さくし、運転者が自然に減速できる一定区間を確保する。

③第3種道路で自転車道等を共用する場合は、路面湿潤時の自転車不安定による転倒事故防止のため最大片勾配を6%とする。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 0回 2019.08.5  専門事項 道路設計

1.最小曲線半径算定の考え方

 道路の曲線部において、直線部と同様に安定した快適な道路条件を確保する。このため、曲線走行時の遠心力等が、タイヤと路面の摩擦限度以下となるように最小曲線半径を決定する。

具体的には、曲線部外側への横すべりや転倒を防止し、走行速度と片勾配、および摩擦係数等の要素により、設計速度の2乗÷127(片勾配tanα+摩擦係数)で算定する。この時の片勾配は、走行性、自転車等の分離、地域性等を考慮して決定する。

また、摩擦係数は凍結・湿潤時には低下するため、安全性を考慮し厳しい値とする。

2.適用に当たっての留意点

車線逸脱に起因する死傷事故は、曲線半径が小さいほど多くなるため、最小曲線半径は極力避け、経済・安全性、地形と調和を考え余裕のある曲線半径を使用する。

②合理的な曲線半径を採用する

山地部で、道路種級に応じた大きな曲線半径により過大な土工費が発生する場合、設計速度の低減を行うことで曲線半径を小さくし、運転者が自然に減速できる一定区間を確保する。

③自転車の安全性確保を図る

第3種道路で自転車道等を共用する場合は、路面湿潤時の自転車不安定による転倒事故防止のため最大片勾配を6%とする。

R1/2019年 建設・道路 Ⅱ−1−2

問題文

 平成30年3月の道路法改正により創設された、重要物流道路制度の目的を説明せよ。また、重要物流道路制度の概要について述べよ。

模範解答1  (完成答案)  添削履歴 2回 2019.09.26 専門事項 道路設計

1.制度の目的

 物流需要が増加にある我が国では、少子高齢・人口減少に伴い物流業界の働き手が不足し、物流機能の効率化が求められている。また、施設老朽化や地震による道路陥没や崩壊が発生し、道路構造の脆弱性が露呈した。これにより、平常時は大量輸送による物流生産性向上、災害時は安定した物流を確保する為、道路構造強化し強靭な物流網を構築することを目的とする。

2.制度の概要

①道路構造の強化

 大量輸送による物流機能の効率化を図る為、国際海上コンテナ車の走行に支障のない道路構造とする。海コン車の車両重量に対し、舗装構造の耐久性や構造物主部材の耐荷重性の向上を図るものとする。

②ネットワークの連続性確保

 災害時も物流機能を維持する為、対象路線の構造上脆弱な箇所を迂回可能な経路を代替路とする。海コン車の車両寸法に対し、代替路は①に示す構造の強化を図る他、単路及び交差点は車両旋回性能や車道部建築限界4.8mを考慮した構造とする。

③災害時の輸送機能確保

 被災地への安定的な輸送経路を確保する為、迅速な道路啓開により速やかにネットワークを回復する。当該道路構造物の耐震性能は、レベル2地震動に対し性能2を満足する構造とする。

R1/2019年 建設・道路 Ⅱ−1−4

問題文

   道路土工構造物の点検において、切土法面の崩壊に繋がる変状事例を1つ挙げて、点検時の着目ポイントを2つ述べよ。また、当該変状が切土法面の崩壊に至るメカニズムについて述べよ。

模範解答1   (簡易答案1)    添削履歴2    作成日2019/12/23    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1.切土法面の崩壊に繋がる変状事例について

表層崩壊:山の表面をおおっている土層が、厚さ0.5m〜2.0mの浅い部分だけが崩れるものを言う。崩れる土層は一般的に風化残積土が多い。

2.点検時における着目ポイント

1)切土勾配

切土勾配が安定勾配を確保しているかを確認。急勾配になるほど表層崩壊が生じやすい。

2)排水施設

排水施設の損傷有無を確認。排水施設が損傷することにより、切土のり面内の含水比が増え、表層崩壊を誘発させる。

3.切土法面の崩壊に至るメカニズム

降雨によって表層崩壊のメカニズムを以下に示す。

・表層のゆるい土砂に雨水が多量に浸透する。

・過剰な間隙水圧が発生した表層とその下にある不透水層の上面に水みちを作りながら不透水層上面をすべり面として表層崩壊が発生する。 15行325文字

模範解答1   (簡易答案2)    添削履歴5    作成日2020/1/4    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1.変状事例 斜面部におけるはらみだし 

切土表面が乾湿を繰返すことにより、切土部の風化が進展して地山の強度が低下する。それと伴に、切土内に膨潤性粘土が存在すると切土法面の背面に対して土圧が長期間作用する。これにより、切土斜面が凸状となるはらみだしが発生する。

2.点検時の着目ポイント 

1)き裂

はらみだしが生じることにより、地山すべりが生じやすくなる。その際に発生するき裂の有無や、地震による重力作用により斜面に発生する開口き裂の有無、谷側斜面が鉛直方向にズレ落ちる段差き裂の有無を確認する。なお、点検時にはき裂の有無だけでなく、き裂部からの雨水浸透を考慮してき裂の発生位置、き裂幅、き裂深さを確認する必要がある。

2)切土勾配

切土勾配が急なほど切土材が下側に流出し、はらみだしが生じやくなる。そのため、切土勾配が道路土工要綱等に記載されている基準値を満足しているかを確認する必要がある。一般的に軟岩の場合は60度、風化の著しい岩では40度、砂利やマサ土、関東ローム等では35度より緩勾配とすることとなっている。

3.はらみだしが切土法面の崩壊に至るメカニズム 

はらみだしが発生することにより、地山のすべりを誘発して上面部や斜面部にき裂が生じやすくなる。雨水等がき裂の開口部から切土内に浸透することにより地山のせん断力が低下する。これにより、切土法面の安全性が低下して斜面崩壊が発生する。   586字

模範解答1   (完成答案)    添削履歴0    作成日2020/1/6    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1.切土法面の崩壊に繋がる変状事例について

 変状事例としては、斜面部におけるはらみだしが挙げられる。切土内に膨潤性粘土が存在すると切土法面の背面に対して土圧が長期間作用する。これにより、切土斜面が凸状となるはらみだしが発生する。

2.点検時における着目ポイント

(1)き裂

はらみだしが生じることにより、地山すべりが生じやすくなる。その際に発生するき裂の有無や、地震による重力作用により斜面に発生する開口き裂の有無、谷側斜面が鉛直方向にズレ落ちる段差き裂の有無を確認する。なお、点検時にはき裂の有無だけでなく、き裂の発生位置、き裂幅、き裂深さを確認する。

(2)切土勾配

切土勾配が急なほど切土材が下側に流出し、はらみだしが生じやくなる。そのため、切土勾配が道路土工要綱等に記載されている基準値を満足しているかを確認する必要がある。一般的に軟岩の場合は60度、風化の著しい岩では40度、砂利やマサ土、関東ローム等では35度より緩勾配とすることとなっている。

3.はらみだしが切土法面の崩壊に至るメカニズム 

はらみだしが生じることにより、地山にき裂が生じやすくなる。雨水等がき裂部を通して切土内に浸透することにより地山のせん断力が低下する。これにより、切土法面の安全性が低下して斜面崩壊が発生する。

解説

(1)問題趣旨に対する考え方、取り組み方などについて

課題、解決策は、客観的に判断して作成する必要がある。

結論ありきで、解答を作成してはいけない。

問題文から現況の状況を想定し、回答する必要がある。

知識があることを特段アピールする必要はない。

本講座の指導方針は、受講生様にはヒントを与えて、自ら考える練習をしていただいております。解答そのものを与えても勉強になりません。これは論理的考察力向上のためです。どうすれば正解できるかを考え、骨組みを立てていくことが大切です。

 (2) 論旨のまとめ方、書き方などについて

自ら一方的に「〇〇を提案する」では調整になりません。

調整相手、調整内容について再確認する必要があります。

技術士としてふさわしい調整内容なのか?

当たり前の事を書いているだけでは点は貰えません。独断も駄目です。

誰のための対策案なのか。その事を理解したうえで留意点や対応策を整理しなければならない。

同じ説明を何度もしない。まわりくどい言い方はダメ。

技術士としての解決能力を有していることを示す必要がある。

回答案の考え方が最後まで一貫しており、途中で発散したり、考えが変わったりしたらいけません。

R1/2019年 建設・道路 Ⅱ−2−1

問題文

 ある市街地の生活道路(地区に住む人々が地区内の移動あるいは地区から幹線街路に出るまでに利用する道路)地区において、地区に関係のない自動車の走行やスピードの出しすぎなどの問題が発生しており、交通安全対策(ゾーン対策)が検討されている。この対策の担当責任者として、下記の内容について記述せよ。

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的・効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

模範解答1  (簡易形式1)  添削履歴 6回 2019.09.4  専門事項 道路設計

1.査検討すべき事項と内容

道路地図上で、幹線・生活道路を含む道路網調査し、抜け道の特定を行う。

②主要地点で、平日の7時〜19時の車種別、人、自転車等の交通量を調査する。

③幅員構成:計画横断構成決定のため、現況の道路幅員について調べる。

④交通事故調査:過去3年間の交通事故(人身)について、確認する。

⑤民間プローブデータから調査エリアの主経路の急ブレーキ・減速箇所を抽出する。

2. 事業を進める手順

道路・交通状況に応じて機能を設定:ゾーン内交通を主要道路に導き、また沿線サービス機能を確保するため、道路幅・車交通量に応じ歩行者・自動車の同一路面、または、歩車分離構造にするか決定する。

②迂回車抑制および、内々交通の車速抑制を図る箇所選定を行う。

③横断構成:車道幅員は停車、乗用車すれ違い、消防活動を考慮し4mを確保し、残りの部分は、青色で着色し歩行者等の通行区分を明示する。

④溜まり空間設置:歩行者の滞留、コミュニティ形成場所として設置する。

3. 事業を効率的に進める関係者との調整方策

(1)   車速を低速(30km/h以下)に抑制し重大事故を防止するため法的規制(ゾーン30設定)を公安委員会に求め、地域の道路交通環境の保全を図る。

(2)   危険ポイント(急ブレーキ、減速箇所、視距の悪い交差点等)について、事故防止のため、視覚的明示、減速構造の必要性を公安委員会・道路管理者に提示し、設置を両者に促す。

(3)   幹線道路で、ラッシュ時の進入禁止標識(電光式)を、予告(生活道交差点手前約300m)、交差点直近の2カ所へ設置が効果的なことを公安委員会に説明し設置を促す。

(4)   交通ラッシュ時の通過車両の進入防止のため、公安委員会に可動式ポラード設置による抑止効果の有効性について提示し、併せて生活道管理者に説明し、生活道路管理者へ設置を促す。

模範解答1  (簡易形式2)  添削履歴 0回 2019.09.6  専門事項 道路設計

(1)調査検討すべき事項と内容

道路網の抜け道特定

道路地図上で、幹線・生活道路を含む道路網調査し、抜け道の特定を行う。

②現況交通量

主要地点で、平日の7時〜19時の車種別、人、自転車等の交通量を調査する。

③既設道路幅員

計画横断構成決定のため、現況の道路幅員について調べる。

④交通事故

過去3年間の交通事故(人身)について、確認する。

⑤民間プローブデータから調査エリアの主経路の急ブレーキ・減速箇所を抽出する。

(2)事業を進める手順

計画道路構造決定

ゾーン内交通を主要道路に導き、また沿線サービス機能を確保するため、道路幅・車交通量に応じ歩行者・自動車の同一路面、または、歩車分離構造にするか決定する。

②迂回車進入禁止および減速箇所選定

迂回車抑制および、内々交通の車速抑制を図る箇所選定を行う。

③横断構成決定

車道幅員は停車、および乗用車すれ違い、消防活動等を考慮し4mを確保し、残りの部分は、青色で着色し歩行者等の通行区分を明示する。

④溜まり空間設置

歩行者の滞留、コミュニティ形成場所として溜まり空間を設置する。

(3)事業を効率的に進める関係者との調整方策

道路交通環境保全のためゾーン30設定

車速を低速(30km/h)に抑制し重大事故を防止するため法的規制(ゾーン30設定)を公安委員会に求め、地域の道路交通環境の保全を図る。

②危険カ所の視覚明示・減速構造提示

危険カ所(急ブレーキ、減速箇所、視距の悪い交差点等)について、事故防止のため、視覚的明示、減速構造の必要性を公安委員会・道路管理者に提示、設置を両者に促す。

③幹線道路の進入禁止標識

幹線道路で、ラッシュ時の進入禁止標識(電光式)を、予告(生活道交差点手前約300m)、交差点直近の2カ所へ設置が効果的なことを公安委員会に説明し設置を促す。

④生活道路入口の可動ポラード設置

交通ラッシュ時の通過車両の進入防止のため、公安委員会に可動式ポラード設置による抑止効果の有効性を提示し、併せて生活道管理者に説明し設置を促す。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 0回 2019.09.7  専門事項 道路設計

(1)調査検討すべき事項と内容

道路網の抜け道特定

道路地図上で、幹線・生活道路を含む道路網調査し、抜け道の特定を行う。

②現況交通量

主要地点において、平日の7時〜19時の車種別、人、自転車等の交通量を調査する。

③既設道路幅員

横断構成決定のため、現況の道路幅員を調べる。

④交通事故

過去3年間の交通事故(人身)について、確認する。

⑤民間プローブデータから調査エリアの主経路の急ブレーキ・減速箇所を抽出する。

(2)事業を進める手順

計画道路構造決定

ゾーン内交通を主要道路に導き、また沿線サービス機能を確保する。そのため、道路構造は、道路幅員・車両の交通量に応じ歩行者・自動車の同一路面、または、歩車道分離構造にするか決定する。

②迂回車進入禁止および減速箇所選定

迂回車の抑制および、内々交通の車速抑制を図る箇所選定を行う。

③横断構成決定

車道幅員は、停車、および乗用車すれ違い、消防活動等を考慮し4mを確保し、残りの部分は、青色で着色し歩行者等の通行区分を明示する。

④溜まり空間設置

歩行者の滞留、コミュニティ形成場所として溜まり空間を設置する。

(3)事業を効率的に進める関係者との調整方策

道路交通環境保全のためゾーン30設定

車速を低速(30km/h)に抑制し重大事故を防止するため、法的規制(ゾーン30設定)を公安委員会に求め、地域の道路交通環境の保全を図る。

②危険カ所の視覚明示・減速構造提示

危険カ所(急ブレーキ、減速箇所、視距の悪い交差点等)の事故防止を図る。そのため、視覚的な明示、減速構造の必要性を公安委員会・道路管理者に提示し、設置を両者に促す。

③幹線道路の進入禁止標識

幹線道路で、ラッシュ時の進入禁止標識(電光式)を、予告(生活道交差点手前約300m)、交差点直近の2カ所へ設置が効果的なことを公安委員会に説明し設置を促す。

④生活道路入口の可動ポラード設置

交通ラッシュ時の通過車両の進入防止のため、公安委員会に可動式ポラード設置による抑止効果の有効性を提示し、併せて生活道管理者に説明し設置を促す。

解説

(1)課題の分析のしかたについて 

問題文から現地の状況を概略イメージすると正解に早くたどり着けます。

問いかけ文に対し、現在の社会的な要求に対し、技術基準等を踏まえ大まかな要点を抽出するように。

調査事項は、重要3点に絞り手順を基に何のために調査・検討するかよく考えると良いでしょう。

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

設計条件を整理し、概略イメージを図面表示すると分かりやすいです。

表題は意図を明確に記述しないと、提案内容が伝わらないので下記のように書いてください。

例:道路橋の耐震設計 → 修正後 道路橋の耐震(レジリエンス)設計

(3) 留意点などの考え方、書き方などについて

内容は、与条件との関連性を考え、具体的な案を提示するように。与条件と関連付けし、手順に沿い専門技術が表れる表現とすると良いでしょう。

一文は3行以内とし、主語・述語の明確化を図ること。

不要な前提文は避けること。←主点がぼやけるため前置き文は削除するように。

 この受講者様は、答案作成について次のようにお考えになったそうです。

 都市計画決定時には、平面図、橋を含む縦断図、標準断面等概略設計が決まっていて、提案できるのは、河川・鉄道橋梁そのものの詳細設計に限ると当初考えた。しかし、技術士の問題文は、コンピテンシーを測る目的で作成されているので、あらかじめ制約条件で方策が決まっていては試験にならない。建設部門道路としての資質能力なので、道路の形状や施工について巧みに検討して見せなければならないと考えた。このため、現実的には制約はあるかと思うが、道路計画主体に他との調整も含めて、多少自由に仕事を離れてベストの提案をすべきと気づいた。

 「技術士問題がコンピテンシーを測る目的で作成されている」とはさすがです。このため現実的な制約条件に左右されることはなく、多少自由に答案としてベストの提案をするのが合格の早道です。

(4) 調整の考え方、書き方などについて

 関係者の意見は、各者ごとでなく要求事項としてまとめた方が読み手に意見の違いが明確に伝わりやすい。

また、文末は言い切りの表現をすることで、インパクトのある、すっきりした文面としてください。

一文は3行以内とし、主語・述語の明確化を図るように。

接続語を工夫しないと、微妙な提案趣旨が伝わらないときがあるのでご注意ください。

模範解答2   (簡易答案1)    添削履歴8    作成日2020/5/13    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1.調査、検討すべき事項

①抜け道の特定 主経路の抜け道利用が想定される為、周辺の道路網を調査する。

②加速・急減速地点の特定 車両走行速度及び急減速地点を抽出する為、民間プローブデータで確認する。

③規制時間帯の特定 対策を要するピーク時交通量を把握する為、現況交通量調査を実施する。

④歩行空間の確保 歩行者優先の道路横断構成とする為、支障となる地上設置物を調査する。

2.手順について、留意すべき点、工夫を要する点

①進入防止箇所の選定 抜け道利用を防止する為、時間帯車両通行規制及びライジングボラード設置を計画する。

②速度抑制箇所の選定 車両走行速度を抑制する為、走行速度30km/hを超える箇所にハンプ・狭さく及びシケイン設置を計画する。

③道路横断構成の決定 通行・沿道サービス機能を向上する為、歩車混在もしくは歩車分離構造の道路横断構成を決定する。

④視認性の向上 運転者の視認性向上の為、路側帯及び交差点30m手前の区間にカラー舗装とイメージハンプを組み合わせた設置を計画する。

3.関係者との調整方策

① 計画案を示したところ、地区住民からは車両通行止めを要求され、逆に道路管理者からは歩道設置を要求される。そこで、歩行者の通行量が多い時間帯に車両通行規制することで、両者が満足する安全性の高い提案を取りまとめる。

② カーナビ事業者に対し、ナビゲーションソフトの改善を要求するが、拒否される。そこで、交通管理者を説得し、交通管理者からカーナビ事業者に対し申し入れをしてもらい、システム更新を図る。これにより経済的で安全性の高い提案を取りまとめる。

模範解答2   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/5/14    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1.調査、検討すべき事項

①抜け道の特定  主経路の抜け道利用が想定される為、対象地区周辺の道路網を調査する。

②加速・急減速地点の特定  対象地区の車両走行速度及び急減速地点を抽出する為、民間プローブデータで確認する。

③規制時間帯の特定  対策を要するピーク時交通量を把握する為、車種別、歩行者及び自転車の昼間12時間現況交通量調査を実施する。調査箇所は、幹線道路と抜け道との交差点とする。

④歩行空間の確保  歩行者優先の道路横断構成とする為、支障となる地上設置物を調査する。

2.手順について、留意すべき点、工夫を要する点

①進入防止箇所の選定  抜け道利用を防止する為、幹線道路と抜け道との交差点に対し、時間帯車両通行規制及びライジングボラード設置を計画する。

②速度抑制箇所の選定  車両走行速度を抑制する為、致死率が飛躍的に上昇する走行速度30km/hを超える箇所にハンプ・狭さく及びシケイン設置を計画する。

③道路横断構成の決定  通行・沿道サービス機能を向上する為、現況交通量及び現況道路幅員に応じ、歩車混在もしくは歩車分離構造の道路横断構成を決定する。

④視認性の向上  運転者の歩行者及び交差点に対する視認性向上の為、路側帯及び交差点30m手前の区間にカラー舗装とイメージハンプを組み合わせた設置を計画する。

3.関係者との調整方策

①歩行者の安全性向上  計画案を示したところ、地区住民からは車両通行止めを要求され、逆に道路管理者からは歩道設置を要求される。そこで、歩行者の通行量が多い時間帯に車両通行規制することで、両者が満足する安全性の高い提案を取りまとめる。

②カーナビシステムの改良  カーナビ事業者に対し、ナビゲーションソフトの改善を要求するが、拒否される。そこで、交通管理者を説得し、交通管理者からカーナビ事業者に対し申し入れをしてもらい、システム更新を図る。これにより経済的で安全性の高い提案を取りまとめる。

模範解答2   (完成答案)    添削履歴3    作成日2020/5/20    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1.調査、検討すべき事項

①抜け道の特定

 対象地区周辺の道路網を調査し、第4種第4級の設計交通量500台/日を超える道路を抜け道として選定する。

②加速・急減速地点の特定

 民間プローブデータで対象地区の車両走行速度及び急減速地点を調査し、第4種第4級の設計速度30km/hを超える区間を選定する。

③規制時間帯の特定

 幹線道路と抜け道との交差点にて昼間12時間現況交通量を調査し、車両走行台数が都市部の30番目時間交通量(K値9%)を超える時間帯を選定する。

④歩行空間の確保

 現況道路幅員及び歩行に支障となる地上設置物を調査し、車椅子の有効幅員1.0m以上の歩行空間を確保する。

2.手順について、留意すべき点、工夫を要する点

①進入防止箇所の選定

 抜け道利用を防止する為、幹線道路と抜け道との交差点に対し、時間帯車両通行規制及びライジングボラード設置を計画する。

②速度抑制箇所の選定

 車両走行速度を抑制する為、致死率が飛躍的に上昇する走行速度30km/hを超える箇所にハンプ・狭さく及びシケイン設置を計画する。

③道路横断構成の決定

 通行・沿道サービス機能を向上する為、現況交通量及び現況道路幅員に応じ、歩車混在もしくは歩車分離構造の道路横断構成を決定する。車道幅員は、車両同士のすれ違い及び消防活動を考慮し、4m以上を確保する。

④視認性の向上

 運転者の歩行者・交差点に対する視認性向上の為、路側帯及び交差点30m手前の区間にカラー舗装とイメージハンプを組み合わせた設置を計画する。

3.関係者との調整方策

①歩行者の安全性向上

 計画案を示したところ、地区住民からは車両通行止めによる歩行空間確保を要求され、逆に道路管理者からは歩道設置による車両走行空間確保を要求される。そこで、通勤通学時間帯に車両通行規制することで、両者が満足する安全性の高い提案を取りまとめる。

②カーナビシステムの改良

 カーナビ事業者に対し、ナビゲーションソフトの改善を要求するが、個別対応の困難性から拒否される。そこで、交通管理者を説得し、交通管理者からカーナビ事業者に対し申し入れをしてもらい、システム更新を図る。これによりソフト面による経済的で安全性の高い提案を取りまとめる。

解説

(1)問題の分析のしかたについて

調査事項を生かした検討方針を記述するようにしてください。データ収集のみの調査では×です。

【R1Ⅱ-2-1道路】は、最近の社会情勢を反映して出題された問題で、そうした社会問題認識があるかどうかが問われます。

一つ一つ検証しながら地道に調査・検討を進めるより、仮設やシナリオに基づき単刀直入に解くように。

調査はやらないよりやった方がいい、というようなあいまいな根拠では×。付随的事項にすぎません。

調査→検討の順に記述し、検討内容は具体性(道路設計指標、基準、値等)を持たせるようにしてください。

 例:抜け道としての利用が想定される経路を検討する。→第4種第4級の設計交通量500台/日を超える道路を抜け道として選定する。

(2)解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

遠すぎる要因は関連性が希薄となり、好ましくありません。

手順(全体→部分)を意識するように。

業務で実践しているものが少なからずあるはずなので思い出すように。

(3)留意点などの考え方、書き方などについて

「留意点」とは「性能を高める、方策の実効性を高める活動や提案」です。

書き方は「○○(性能を高める)○○の為、○○(具体的行動)○○する」が表現しやすい。

(4)調整の考え方、書き方などについて

自身にも関係者にも、目的とする結果が業務の成果と一致し、WIN-WINの関係となる内容とすること。

一方的に方法論と必要性を言い放つだけでは△。反対意見や要求に対し、こちらの譲歩や交換条件を記述する。

 例:○○から○○(困難な要求)○○される。そこで、○○(交換条件)○○し、提案を取りまとめる。

模範解答3   (簡易答案1)    添削履歴8    作成日2020/2/1    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1. 調査、検討すべき事項とその内容について

(1)生活道路を通過する交通量の調査

生活道路を抜け道としている交通量を調査。

(2)生活道路内における通過交通の速度調査

 通過交通の走行速度を調査し、走行速度を制限する対策を検討。

(3)生活道路内における道路幅員等の調査

 道路幅員や歩道の有無等を調査。

2.業務をすすめる手順について

(1)現況の交通量調査

 生活道路を抜け道として使用している通過交通量、時間帯を把握。

(2)ライジングボラードの設置

 ライジングボラードを設置して生活道路編の進入を抑制。

留意点としてはライジングボラードが解除時に通過交通が発生。

(3)ハンプの設置

速度抑制対策としてハンプを設置。

留意点としては速度を抑制しても歩行者との接触事故は発生。

(4)車との接触防止

 歩車道境界部にガードレールを設置。

留意点としては道路幅員狭く、ガードレール設置が不可。

3.関係者との調整方策について

(1)調査会社との調整

・子供と車の接触事故が高い時間帯は登下校も含め朝、昼、夕方。

・国交省の一般交通量調査における車の通勤ラッシュの時間帯は7 時〜9 時、

 帰宅ラッシュは17時〜19時。

・上記より、交通量調査時間は6時〜20時とする。

(2)道路管理者と調整

・ハンプ設置後も環境基準値(騒音60db、振動65db)以下であることを確認。

・基準値を上回る場合は、ハンプと路面の間に弾性材のシートを設置。

582文字

模範解答3   (簡易答案2)    添削履歴5    作成日2020/2/8    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1. 調査、検討すべき事項とその内容について

(1)生活道路を通過する交通量の調査

生活道路を抜け道としている交通量を調査し、流入量を削減することを検討する。

(2)生活道路内における通過交通の速度調査

 通過交通の走行速度を調査し、走行速度を制限する対策を検討する。

(3)生活道路内における道路幅員等の調査

 調査結果より、ハード対策(ガードレールの設置等)、ソフト対策(速度抑制標識等)を検討する。

2.業務をすすめる手順について

(1)現況の交通量調査

 1日のうち生活道路を抜け道として使用している交通量、通過交通が多い時間帯を把握する。

(2)ライジングボラードの設置

 ライジングボラードを設置して生活道路への進入を抑制する。留意点としてはライジングボラードが解除時に通過交通が生活道路に進入することが考えられる。

(3)ハンプの設置

通過交通の速度を抑制させるため、ハンプを設置する。留意点としては速度が抑制されたとしても歩行者との接触事故は発生すると考えられる。

(4)車との接触防止

 歩車道境界部にガードレールを設置する。設置不可な場合は、カラー舗装による歩道の明確化、速度抑制標識等を設置してドライバーに注意を促す。

3.関係者との調整方策について

(1)調査会社との調整

より効率的に交通量調査を実施するため、従来の12時間、24時間調査にとらわれない合理的な調査時間について調査会社と調整する。まず一次調査で歩行者、通過交通が多い時間帯を求め、次に国交省の交通量データを基に、歩行者が最も影響を受ける時間帯(例、朝6時〜夜20時)を絞る。このような手順で本調査(二次)は短期間で影響を調査するよう促す。

(2)地元住民との調整

通過交通車の速度抑制対策のためハンプを設置すると、走行時に騒音が発生するため、設置後住民に評価してもらう。私は環境基準値(騒音60db、振動65db)未満を確認して、公聴会にて公正な環境レベルであることを住民に説明するとともに、住民、専門家らの意見を整理して必要に応じて防振対策を検討する。

模範解答3   (完成答案)    添削履歴6    作成日2020/2/17    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1.調査、検討すべき事項とその内容について

(1)周辺の幹線道路も含めた交通量調査

現況の交通流を調査し、生活地区に関係のない自動車が何故生活道路を利用しているのか、その要因を確認する。

(2)生活道路内における速度超過の要因を調査

 速度超過が生じやすくなる要因を把握するため、生活道路内における線形、見通し、道路幅員等を調査する。

(3)接触事故に対する現況の安全対策調査

 生活道路内において、接触防止対策として歩車分離構造等の安全対策が実施されているかを確認する。安全対策が未実施や不十分な場合には、ガードレール設置等の安全対策を検討する。

2.業務をすすめる手順について

(1)現況調査(交通量調査含む) 

 生活道路内に進入する自動車の割合、歩行者との接触事故の危険性を把握するため、現況調査時間は歩行者が多い通勤、登下校時間を包括するように決定する。

(2)速度抑制対策

 生活道路内の速度抑制対策としてハンプを設置する。ハンプの設置位置は、速度超過が生じやすく歩車分離構造等の安全対策が施されていない箇所や、通学路として指定されている区間を優先する。 

(3)歩車分離対策

 歩車分離構造により接触事故を防止する。道路幅員に余裕がある場合は歩車道境界部にガードレールを設置し、余裕がない場合は歩道部をカラー舗装により明確化して、視覚的にドライバーに歩行者へ注意を促す。

(4)車両の進入規制対策

 道路構造上、やむを得ない場合はライジングボラードにより道路を封鎖し、接触事故を防止する。ゴム製のライジングボラードを用いて車両接触時の車体損傷の軽減、高輝度LEDを常時点滅させ、ドライバーへの視認性を確保、する。

3.関係者との調整方策について

(1)調査会社との調整 

 交通量の一次調査として歩行者、通過交通が多い時間帯を求め、次に国交省の交通量データを基に、歩行者が最も影響を受ける時間帯(例、朝6時〜夜20時)を絞る。このような手順で本調査(二次)は短期間で影響を調査するよう促す。

(2)地元住民との調整

通過交通車の速度抑制対策のためハンプを設置すると、走行時に騒音が発生するため、設置後住民に評価してもらう。私は環境基準値(騒音60db、振動65db)未満を確認して、公聴会にて公正な環境レベルであることを住民に説明するとともに、住民、専門家らの意見を整理して必要に応じて防振対策を検討する。

R1/2019年 建設・道路 Ⅲ−1

問題文

   2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の円滑な運営には、大会関係者及び観客の輸送を安全、円滑に行うことが求められるため、高度な交通マネジメントが必要である。このような状況を踏まえ、交通マネジメントの実施計画を策定する道路技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)    平時の交通処理能力を大幅に上回る大会期間中の交通需要に対して、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)    (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)   (2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

模範解答1  (簡易形式1)  添削履歴 4回 2020.04.29  専門事項 道路設計

4(1)大会期間中の交通需要に対する課題・分析 

1)道路規制による渋滞回避:都心部への流入抑制のため首都高速道の本線料金所で開放レーン数を制限し、また、交通混雑箇所を中心に高速道路の入口を閉鎖する。

会場集中地区は、通常交通に関係車が加わり混雑するため、地区内企業は、混雑時間の回避移動し会場周辺は一般車と関係車の輻輳を避ける。

2)一般道の信号制御:都心部への交通流入量減少のため環状七号線の信号機において午前5時から12時の間、都心方向の青時間を短縮する。

3)パーク&ライド促進:競技会場全エリアの渋滞緩和のため、進入車両に対し、圏央道と外環状道路間でパーク&ライドを促進し、都心直結する鉄道路線駅周辺の自動車通行を抑制する。専用の駐車場の満空検索サイト創設し、短時間入庫を促す。

4)高速道ダイナミックプライシングで夜間通行へのシフト:首都高速道の通行車は、期間中の混雑交通減少の観点から通行料金は夜間(0〜4 h) の半額、6h〜22h間は、1000円上乗せし夜間通行へシフトし通行量の平準化を行う。

  (2)最も重要な課題および解決策

交通混雑圏内への交通流入制限

1)     高速入口レーン規制・IC封鎖:首都高速道路の圏央道及び外環状道路の本線主要料金所において日々の交通需要に応じてレーン数を制限し流入交通量を減少する。渋滞状況から判断し、適切に一般道からの入口を選定し封鎖する。

2)     一般道の混雑回避・通行規制:会場集中地区内の混雑回避のため企業の移動時間は混雑時間(7〜12h、17〜19h) を避けた時間帯で移動する。また、会場周辺は一般車進入禁止エリア設定し通過交通を排除する。  

  (3)解決策に共通するリスクと対策

共通するリスク:大会中は、関係車交通が加わり全体交通量が増加する。首都高速道の道路規制や通行料高騰により、高速道の交通量は減少するが、これが一般道に転換され、一般道の広域範囲で渋滞が発生する。

②対策:高速道路を含む広域的道路網で主要ポイントにおいて交通ピーク時の渋滞シミュレーションによる交通量解析を行い、渋滞予測マップを作成し事前広報により広域的な渋滞緩和を促す。

 

模範解答2   (簡易答案1)    添削履歴1    作成日2020/6/8    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1.交通需要に対する課題

①高速道路の交通容量確保  都市中心部の一般交通に開閉会式及び競技種目開始時間に合わせ競技大会関係者及び観客の移動による交通が加わり、渋滞が発生する。高速道路の交通容量を確保する為、東京外環道圏の都心方向本線料金所レーン数を終日制限する。TSM

②夜間交通への転換  TDM及びTSMにより抑制された昼間交通量を高速道路の夜間交通へ転換する為、0〜4時は5割引、6〜22時は千円上乗せし交通量を平準化する。ダイナミックプライシング

③パーク&ライド推進  会場へ移動する観客の自動車交通量を低減する為、圏央道と外環道間の都心に直結する鉄道路線のある鉄道駅周辺でパーク&ライドを推進し、鉄道への移動手段変更を図る。TDM・公共交通輸送マネ

2.交通容量確保に関する課題と解決策

①流入制限し混雑調整  都心方向本線料金所レーン数制限で交通容量確保が困難な場合、東京外環道圏の都心方向入口を閉鎖する。選手村・競技場付近は終日とし、その他は交通状況に応じ段階的に閉鎖し、平日の15%低減を図る。

②一般道路の通過交通抑制  都市中心部の一般交通に放射状道路から通過交通が加わり、渋滞が発生する。都心一般道路の交通容量を確保する為、環状七号線から都心方向の信号青時間を5時〜12時で短縮し通過交通を抑制する。

③優先レーンの整備  移動手段の変更により公共交通を利用する観客を安定して競技会場まで輸送しなければならない。需要増加に対するバスの運行本数増加とピストン輸送を確保する為、優先レーン(競技開始1時間前)を整備する。

解説

【2020/05/30】

◎一般論ではなく、東京オリンピックに特化したケーススタディですので東京の地理、道路網を考慮することです。

1.交通需要に対する課題

●交通需要に限られている←2の本題?⇒多面的に視点を広げる

①東京都心中心部の一般交通はどこを走行?競技大会の関係者、観客はどこからどこへ移動?⇒時間がキー、何時?時間交通量の平準化

②一般的な渋滞緩和策。オリンピックがなくても。東京でなくても当てはまることは好ましくありません。

2.TDMの活用に関する課題と解決策

●一般論としての技術提案では△。

①競技場の周りなのか?

②専用・優先レーンの整備⇒時間

③民間プローブデータをどう活用するのか。未来の対策は解決策ではない。わかっていることから提案する。

3.新たに生じうるリスクと対策

●リスクとは?

①どのくらい増加する?何dB?耐えられなくなる程上昇するか?

②落橋などと究極的な危険性を訴える。

技術知識  下記2つを混同しないように。

TDM:自動車利用者の交通行動の変容を促す(国・自治体・企業etc)

TSM:通行抑制・通行制限によるTDM補助(警察・高速道路会社etc)

 

模範解答2  (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/6/11    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1.交通需要に対する課題

①高速道路の交通容量確保  都心中心部の一般交通に開閉会式及び競技種目開始時間に合わせた競技大会関係者及び観客の移動による交通が加わり、渋滞が発生する。競技大会関係者の輸送ルート(ORN)である高速道路の交通容量を確保する為、TSMを活用し、東京外環道圏の都心方向本線料金所解放レーン数を終日制限する。

②パーク&ライド推進  観客が利用する競技会場周辺の駐車場が満車になると、駐車場探しによるうろつきが生じ、競技会場周辺の交通容量低下をもたらす。協議会場へ移動する観客の自動車交通量を低減する為、TDM及び公共交通輸送マネジメントを活用し、圏央道と外環道間の都心に直結する鉄道路線駅周辺でパーク&ライドを推進し、鉄道への移動手段変更を図る。

③夜間交通への転換  昼間交通量が抑制される環境の中、常時と変わらない経済活動を維持しなければならない。TDM及びTSMにより抑制された昼間交通を高速道路の夜間交通へ転換する為、ダイナミックプライシングの考え方で0〜4時は5割引、6〜22時は千円上乗せし、交通量を平準化する。

2.交通容量確保に関する課題と解決策

①流入制限し混雑調整  都心方向本線料金所レーン数制限で交通容量確保が困難な場合、東京外環道圏の都心方向入口を閉鎖する。選手村・競技会場付近は終日、その他は高速道路交通量増加に応じ段階的に閉鎖し、平日交通量の15%低減を図る。

②一般道路の通過交通抑制  都心中心部の一般交通に放射状道路から通過交通が加わり、さらに競技大会関係者及び観客の移動による交通が加わり、渋滞が発生する。都心一般道路の交通容量を確保する為、環状七号線から都心方向の信号青時間を5時〜12時で短縮し通過交通を抑制する。

③優先レーンの整備  移動手段の変更により公共交通を利用する観客を安定して会場まで輸送しなければならない。需要増加に対するバスの運行本数増加とピストン輸送を確保する為、競技開始1時間前は専用となる優先レーンを整備する。大会関係車両も同レーンを専用レーンとして利用し、ORNを補完する。

3.新たに生じうるリスクと対策

①騒音抑制  東京外環道圏及び環状七号線で抑制された交通は経路を変更し迂回する。迂回路に選定される一般道路は常時と比較し交通量が増加し、幹線道路に近接する空間の環境基準値70dBを超え新たに騒音被害が想定される。騒音を抑制する為、排水性舗装を採用する。排水性舗装は耐流動性を確保する為、上層は粒径小、下層は粒径大の2層式とする。

②構造脆弱部の補強  迂回路に選定される一般道路に存する橋梁及び高架は常時と比較し交通量が増加し、許容応力度超過による急激な損傷進行が想定される。損傷箇所把握し補強する為、物理的影響を受ける箇所を重点的に点検する。点検箇所はRC床版部、鋼材断面変化部及び溶接接合部とする。補修設計は、照査荷重にB活荷重を適用する。

 

模範解答2   (完成答案)    添削履歴2    作成日2020/6/13    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1.交通需要に対する課題

①高速道路の交通容量確保

 都心中心部の一般交通に開閉会式及び競技種目開始時間に合わせた競技大会関係者及び観客の移動による交通が加わり、渋滞が発生する。

 交通の集中による渋滞発生を抑制し、競技大会関係者のオリンピック・ルート・ネットワーク(ORN)である高速道路の交通容量を確保する為、交通システムマネジメント(TSM)を活用し、東京外環道圏の都心方向本線料金所解放レーン数を終日制限する。

②パーク&ライド推進

 観客が利用する競技会場周辺の駐車場が満車になると、駐車場探しによるうろつきが生じ、競技会場周辺の交通容量低下をもたらす。

 不要な交通を排除して交通容量を維持し、競技会場へ移動する観客の自動車交通量を低減する為、交通需要マネジメント(TDM)及び公共交通輸送マネジメントを活用する。圏央道と外環道間の都心に直結する鉄道路線駅周辺でパーク&ライドを推進し、鉄道への移動手段変更を図る。

③夜間交通への転換

 昼間交通量が抑制される社会環境の中、常時と変わらない経済活動を維持しなければならない。

 物流停滞による経済活動低下を防止し、TDM及びTSMにより抑制された昼間交通を高速道路の夜間交通へ転換する為、ダイナミックプライシングの考え方で0〜4時は5割引、6〜22時は千円上乗せし、交通量を平準化する。

2.交通容量確保に関する課題と解決策

①流入制限し混雑調整

 高速道路の都心方向本線料金所解放レーン数制限で交通容量の確保が困難な場合、東京外環道圏の都心方向入口を閉鎖する。

 閉鎖箇所及び時間として選手村・競技会場付近は終日、その他は高速道路交通量増加に応じ段階的に閉鎖し、平日交通量の15%低減を図る。

②一般道路の通過交通抑制

 都心中心部の一般交通に放射状道路から通過交通が加わり、さらに競技大会関係者及び観客の移動による交通が加わり、渋滞が発生する。

 渋滞発生を抑制し、都心一般道路の交通容量を確保する為、環状七号線から都心方向の信号青時間を5時〜12時で短縮し通過交通を抑制する。

③優先レーンの整備

 移動手段の変更により公共交通を利用する観客を円滑に会場まで輸送しなければならない。

 公共交通需要増加に応じバスの運行本数増加とピストン輸送を確保する為、競技開始1時間前は専用となる優先レーンを整備する。合わせて競技大会関係車両も専用レーンとして利用し、ORNを補完する。

 また、専用レーン時間帯の一般交通が走行可能な車線数減少による交通容量低下を最小限とする為、バスや競技大会関係車両の位置情報をGPSで把握し、優先レーン到着時間の精度を向上させる。

3.新たに生じうるリスクと対策

①騒音抑制

 東京外環道圏及び環状七号線で抑制された交通は経路を変更し迂回する。迂回路に選定される一般道路は常時と比較し交通量が増加し、幹線道路に近接する空間の環境基準値70dBを超え新たに騒音被害が想定される。

 騒音を抑制し沿道環境を保全する為、排水性舗装を採用し、施工期間短縮を図る為、切削オーバーレイ工法により更新する。排水性舗装は耐流動性を確保する為、上層は粒径小、下層は粒径大の2層式とする。

②構造脆弱部の補強

 迂回路に選定される一般道路に存する橋梁及び高架は常時と比較し交通量が増加し、許容応力度超過による急激な損傷進行が想定される。

 損傷箇所を補強し長寿命化を図る為、物理的影響を受ける箇所を重点的に点検する。点検箇所はRC床版部、鋼材断面変化部及び溶接接合部とする。

 また、補強を要する箇所の補修設計は、25t大型車交通量の多い路線とするB活荷重を照査荷重として適用する。

Ⅲ−1問題は、一般論ではなく、東京オリンピックに特化したケーススタディと考えるように。すなわち東京の地理、道路網に触れて答える。

(1)課題の分析のしかたについて

課題は1系統に限られてはいけません。「多面的に視点を広げる」とあるので幅広にするように。しかも具体的に。

課題に対し一般的な解決策を提示してはなりません。具体的に書くことです。

安直な(わかりきった)解決策は回答になりません。具体的に書く。

⇒具体的とは:設計指標、基準、値、分野の技術、計算式、予測技術、専門的検証方法、実験etc

課題における着目点として大事なことは、一日のうち何時ごろなのかです。

これは、東京の渋滞は朝、夕にしか現れないため、時間帯別交通量を考えて、オリンピック関係者の運行計画をすることです。これはラッシュ時に交通量が増加することはともかく、曜日や日別の時間も含みます。

 東京オリンピックのTDM施策として平日15%減(休日並)の交通環境を目標とし、その手法と「時間」を絡めると

 1.料金所レーン数終日制限

一般交通(強いて言えばラッシュ時)に観客の自動車が加わると混むから移動手段変更、夜間交通への転換

 2.高速道路入口閉鎖。選手村・競技会場付近終日、その他は交通状況で段階的。

環七から都心方向信号青時間5時〜12時で短縮。

観客移動は競技開始1時間前がピーク。すなわちその時間重点的に輸送。

 というように、各項目で「時間」に着目して提案が出てきます。

(2)解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

一般論、小手先の技術では△で、具体的に書くことです。

未来の対策の目論見は解決策ではありません。すでにわかっていること、実用段階にあることを提案する。

(3)リスクの導き方、書き方などについて

リスクとはなにか?言葉の定義を正確にする。

そのリスクはどのくらい増加する?具体的に言うと何dB?耐えられなくなる程上昇するか?

落橋など具体的に危険性を訴える。

R1/2019年 建設・道路 Ⅲ−2

問題文

 橋梁、トンネル等の道路構造物については、平成25年から平成26年にかけての道路法、同施行令及び同施行規則の改正を経て、平成26年度に策定された定期点検要領等に沿って各道路管理者において点検が実施されており、平成30年度で一巡目の定期点検が完了したところである。道路構造物のメンテナンスを担当する技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)地方公共団体が、二巡目となる道路橋の定期点検を実施するに当たって、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

模範解答1  (簡易形式1)  添削履歴 6回 2019.09.4  専門事項 道路設計

(1)地方公共団体による二巡目点検時の課題・分析

橋の構造特性に応じた塩害や大気(CO2による中性化)などの自然条件、交通荷重等により物理的影響を受けることが判明したためRC橋床版部、および鋼橋の断面変化部、溶接接合部等を重点的に点検する。

②高所・狭隘箇所等のため物理探査や写真判定により、近接目視点検と同等の健全性の診断を行い、点検作業を効率化する。

③ランクⅠ橋梁(約4割)は、急速な老朽化は考えにくいため点検量を削減する。地域・路線・大型車交通量からグループ分けし、代表的な約1割を損傷点検する。

(2)課題(荷重が集中する部位の点検補修)の解決策

①  RC橋:活荷重を直接支持する床版部

床版は活荷重で損傷し、融雪剤が浸透し鉄筋錆・膨張しひび割れを生ずる。下面は、ひび割れにCO2進入、中性化し鉄筋錆び、浮き・剥離する。

補修設計は、大型車実荷重に対する耐荷力照査を行い、不足する場合は、軽量で引張強度の高い炭素繊維により断面補強し耐荷力の向上を図る。

幹線道路での照査荷重は、B活荷重を適用し、T荷重載荷による活荷重・死荷重による曲げMを計算し、床版の発生応力(CO、鉄筋)を求め、耐荷力を算定し不足分を補強する。

②  鋼橋:桁断面変化・溶接接合部

鋼桁の断面変化・溶接部は疲労亀裂が発生し、また、支承の錆びによる機能不全により、鋼桁の下部溶接部が亀裂発生し上部 に進展する。鋼桁亀裂部に亀裂進展防止のため先端部にストップホールを行い、当て鋼板を効力ボルトで摩擦接合により補修する。支承部は、耐震性向上を目指し免振型ゴム支承に交換する。幹線道路での照査荷重は、上記①と同様にB活荷重を適用し鋼桁の欠損断面でL荷重載荷し、格子解析により曲げモーメント、剪断力を算出し、桁許容応力度の超過分を補強する。

 (3)解決策の新たなリスクと対策

①過大補強でシート剥離の恐れ:床版厚が薄い場合、繊維シートの補強量過大により既設CO界面の付着応力が増加しシート剥離の恐れがある。実荷重に対する耐荷力を確保するため、許容応力度設計法により、必要な繊維シート量を算定し、繊維シートの許容応力度以下とする。

②摩擦接合面のすべり係数確保:母材の表面粗さが不十分(すべり係数<0.4)の場合、当て板への荷重伝達が乏しく母材腐食部の分担が大きくなり腐食部で降伏する恐れがある。このため、母材の2種ケレン及び、当て板の無機ジンク塗布を行い、すべり係数を確保する。

模範解答1  (簡易形式2)  添削履歴 0回 2020.01.20  専門事項 道路設計

(1) 地方公共団体による二巡目点検時の課題・分析

物理的影響部の重点点検:橋の構造特性に応じた塩害や大気中の二酸化炭素(CO2)による中性化などの自然条件、交通荷重等により物理的影響を受けることが判明した。そのため鉄筋コンクリート(RC)橋床版部、および鋼橋の断面変化部、溶接接合部等を重点的に点検する。

②高所・狭隘箇所の点検効率化:高所・狭隘箇所等は、物理探査や写真判定により近接目視点検と同等の健全性の診断を行い、点検作業を効率化する。

③ランクⅠ橋梁の点検低減:ランクⅠ橋梁(約4割)は、急速な老朽化は考えにくいため点検頻度量を低減する。地域・路線・大型車交通量からグループ分けし、代表的な約1割を損傷点検する。

(2)課題(荷重が集中する部位の点検補修)の解決策

①RC橋の活荷重を直接支持する床版部:床版は活荷重を直接受けるため損傷を受けやすく、また、寒冷地では、冬期の融雪剤が浸透し鉄筋が錆び、膨張によりコンクリート(CO)のひび割れを生ずる。床版下面は、ひび割れにCO2が進入し、COの中性化により鉄筋が錆び、かぶりCOが浮き・剥離する。補修設計は、大型車実荷重(245KN)に対する耐荷力照査を行い、不足する場合は、軽量で引張強度の高い炭素繊維により断面補強し耐荷力の向上を図る。

なお、幹線道路での照査荷重は、B活荷重を適用し、T荷重載荷による活荷重・死荷重による曲げモーメントを計算し、床版の発生応力(CO、鉄筋)を求め、耐荷力を算定し不足分を補強する。

②鋼橋の桁断面変化・溶接接合部:鋼桁の断面変化・溶接部は応力が集中し疲労亀裂が発生する。また、支承の錆びによる機能不全により、鋼桁の下部溶接部が亀裂発生し上部に進展する。

鋼桁亀裂部に亀裂進展防止のため先端部にストップホールを行い、当て鋼板を効力ボルトで摩擦接合により補修する。支承部は、耐震性向上を図るため、免振型ゴム支承に交換する。幹線道路での照査荷重は、上記①と同様にB活荷重を適用し鋼桁の欠損断面でL荷重を載荷し、格子解析により曲げモーメント、剪断力を算出し、桁許容応力度の超過分を補強する。

 (3)解決策の新たなリスクと対策

①過大補強でシート剥離の恐れ:床版厚が薄い場合、繊維シートの補強量過大により既設CO界面の付着応力が増加しシート剥離の恐れがある。実荷重に対する耐荷力を確保するため、許容応力度設計法により、必要な繊維シート量を算定し、繊維シートの許容応力度以下とする。

②摩擦接合面のすべり係数確保:母材の表面粗さが不十分(すべり係数<0.4)の場合、当て板への荷重伝達が乏しく母材腐食部の分担が大きくなり腐食部で降伏する恐れがある。このため、母材の2種ケレン及び、当て板の無機ジンク塗布を行い、すべり係数を確保する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2020.01.29  専門事項 道路設計

(1)地方公共団体による二巡目点検時の課題・分析

物理的影響部の重点点検

橋の構造特性に応じた塩害や大気中のCO2による中性化などの自然条件、交通荷重等により物理的影響を受けることが判明した。そのためRC橋の床版部、および鋼橋の断面変化部や溶接接合部等を重点的に点検する。

②高所・狭隘箇所の点検効率化

高所・狭隘箇所等の橋梁点検は、人力により近接で行うため、足場設置や車両点検時の車線規制が必要となる。このため、物理探査や写真判定により近接目視点検と同等の健全性の診断を行い、点検作業を効率化する。 

③ランクⅠ橋梁の点検低減

ランクⅠ橋梁は、全橋梁の約4割を占めるが急速な老朽化は考えにくいため点検頻度を低減する。

したがって点検は、地域・路線・大型車交通量からグループ分けし、代表的な橋梁を選定し点検する。

(2)課題(荷重が集中する部位の点検補修)の解決策

①RC橋の活荷重を直接支持する床版部

・課題  

床版は、繰返し活荷重により疲労損傷を受ける。寒冷地では、融雪剤により鉄筋錆び、またCO中性化で鉄筋が錆び、かぶりCOの浮き・剥離が発生する。   

損傷個所は、赤外線検査によりCO変状カ所を遠望非接触で高精度・定量的に検出する。その後、撮影画像を分析し、ひび割れ幅が大きい箇所やCOの浮き・剥離箇所は、中性化により鉄筋腐食が懸念されるため、アルカリ度調査(PH試験)を行う。

・解決策

補修設計は、大型車実荷重(245KN)に対する耐荷力照査を行い、不足する場合は、軽量で引張強度の高い炭素繊維により断面補強し、耐荷力の向上を図る。

現橋の耐荷力評価のため、幹線道路橋の照査荷重は、大型車の走行頻度が高い条件としたB活荷重を適用する。耐荷力計算は、耐久性を考慮したT荷重(200KN)載荷による活荷重・死荷重による曲げモーメントを計算する。そのうえで、床版の発生応力(CO、鉄筋)を求め、耐荷力を算定し不足分を補強する。

②鋼橋の桁断面変化・溶接接合部

・課題 

鋼桁の疲労亀裂の発生頻度が高い断面変化・溶接部や、支承発錆による機能不全により、鋼桁の下部溶接部の亀裂発生箇所を点検する。

亀裂部点検は近接点検の他、詳細調査を行う。表面傷は、磁粉探傷試験により検出し、内部傷は、超音波探傷試験で検査する。

・解決策

鋼桁補修は、亀裂部に亀裂進展防止のため先端部にストップホールを行い、当て鋼板を効力ボルトで摩擦接合により補修する。支承部は、耐震性向上を図るため、免振型ゴム支承に交換する。

現橋の耐荷力算定のため、幹線道路橋の照査荷重は、上記①と同様にB活荷重を適用し鋼桁の欠損断面でL荷重(等分布荷重)を載荷する。これにより、格子解析により曲げモーメント、剪断力を算出し、桁許容応力度の超過分を補強する。

(3)解決策の新たなリスクと対策

①過大補強でシート剥離の恐れ

既設床版厚が薄い場合は、炭素繊維シートの補強量が過大になると既設CO境界面の付着応力が増加しシート剥離の恐れがある。

このため、実荷重に対する耐荷力を確保し、許容応力度設計法により、必要な繊維シート量を算定のうえ、炭素繊維シートの発生応力を許容応力以下とする。

②摩擦接合面のすべり係数確保

母材の表面粗さが不十分(すべり係数<0.4)の場合、当て板への荷重伝達が乏しく母材腐食部の分担が大きくなり腐食部で降伏する恐れがある。

これを防止するため母材の2種ケレン及び、当て板の無機ジンクリッチペイントの塗布を行い、すべり係数を確保する。

模範解答2   (簡易答案1)    添削履歴10    作成日2020/4/1    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1.多面的な観点から見た課題について

(1)自然環境や交通量による消耗、劣化を考慮した点検箇所絞り込みによる効率化 

海岸沿岸道路や降雪地域、大型車交通量等が多い路線を重点的に点検する。

(2)ドローンを活用撮影による仮設足場の合理化 

 ドローンを活用した画像診断を行うことにより足場の設置が不要となる。これにより点検の効率化が図れる。

(3)IOT、物理探査技術による非破壊検査の導入

 通信技術、非破壊検査技術を用いて検査を効率化する。

2.最も重要と思われる課題を1つ挙げ、その対策案を述べる

2.1 最も重要と思われる課題

IOT、物理探査技術による非破壊検査の導入

2.2 課題に対する解決策

(1)水中3Dスキャナーによる橋脚の洗堀調査

 水中3Dスキャナーを活用してデータを収集することにより、より効率的に時系列で洗堀の進捗状況を把握することが可能となる。

(2)電磁波技術を活用した非破壊で橋梁床版上面の損傷調査

計測車両の後部に電磁場装置を搭載させることで交通規制を行うことなく、床板の損傷有無を把握することが可能となる。

(3)橋梁モニタリングシステム

橋梁において光ファイバーや3次元加速度計を用いてひずみや振動などを常時からモニタリングを行い、異常が確認された際に点検・補修を行うことが可能となる。

3.新たに生じるリスクとそれへの対策

(1)リスク:変状データの見落とし

 変状は複数の要因が重なり合って生じる。そのため、物理探査のみでは一部分の変状要因しか把握できずに、他の損傷要因を見落とす危険性がある。また、モニタリングデータを確認する際に判定しやすい大きな損傷のみに着目し、小さな損傷を見落として知らないうちに構造劣化が進み、重大事故を招く恐れがある。

(2)対策:危険因子の正確な推定

 現場条件(交通量、降雪の有無、凍結防止剤の散布、海岸沿い等)の整理、道路付属物の損傷状況等による漏水の有無等を確認し、危険因子を整理する。

 モニタリングデータの確認をする際には、一次選別として安全側に閾値を設定して橋梁に潜んでいる変状を見落とす危険性を回避する。抽出変状箇所に人的資源を集約投入して診断を行い効率的で信頼性の高い診断を可能とする。

模範解答2   (簡易答案2)    添削履歴4    作成日2020/4/7    建設部門  科目:道路    専門事項 道路設計

1. 多面的な観点から見た課題について

(1)自然環境等の劣化を考慮した点検箇所絞り込み  

海岸沿岸道路や降雪地域、大型車交通量等が多い路線を重点的に点検する。

(2)ドローンを活用撮影による仮設足場の合理化 

 橋梁の高所部等においてはドローンを活用した画像診断を行うことにより足場の設置が不要となる。これにより点検の効率化が図れる。

(3)IOT、物理探査技術による非破壊検査の導入

 IOT、物理探査技術を活用して、橋梁等におけるコンクリート構造物内における鉄筋腐食、はく離や浮き等の有無を確認してスクリーニングを行うことにより、打音点検個所を減少することができる。

2.最重要課題と対策 

2.1課題 : IOT、物理探査技術による非破壊検査の導入

2.2解決策

(1)水中3Dスキャナーによる橋脚の洗堀調査

橋脚の洗堀を測るために、水中で点群データを収集できる機能を持った3Dスキャナーを用いて橋脚部周辺を可視化し、点検時間を短くする。

(2)電磁波技術を活用した非破壊で橋梁床版上面の損傷調査

橋梁床版上面の損傷箇所を特定するために、舗装表面上から電磁波を放射して反射波の強弱及び位相を計測することで点検時に舗装の切削が不要となる。

(3)橋梁モニタリングシステム

橋梁において光ファイバーや3次元加速度計を用いてひずみや振動などを常時からモニタリングを行い、異常が確認された際に点検・補修を行うことで点検頻度を抑制する。

3.新たに生じるリスクとそれへの対策

(1)リスク:重大事故の誘発が懸念

 モニタリングにより損傷が確認された場合、コンクリート表面部のみに着目してしまい、コンクリート内部の鉄筋腐食を見落とす可能性がある。その損傷が進展して構造劣化を引起こし、重大事故を招く恐れがある。

(2)対策:総合的な判断を実施

変状は複数の要因が重なり合い発生するため、物理探査のデータのみだけでなく舗装表面や床板下面の損傷状況、自然環境等を考慮して変状のメカニズムを推定して、点検を実施する。

解説

(1)課題の分析のしかたについて

この答案は、渋滞、交通事故、災害時のネットワークを想定すれば書きやすいでしょう。

出題問題が変わっても渋滞、事故、災害、環境を軸にすれば正解しやすいでしょう。

最初に骨子で論文構成を行えば、試験当日も時間的に余裕ができます。

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

国土交通省の白書に書いてある事項だけでは駄目で、他の受験者と同じ回答になって差別化できません。

論文で得た知見をどのように方策に繋げるか、独創的な提案、工夫が得点の鍵となります。

ご自身の考察たけではなく、ネット検索の研究論文の知見も付加してまとめると難解です。そのようなときは。電話、スカイプで講師と話し合いするとよいでしょう。添削だけでは一方交通となる可能性が高いので、話し合いで疑問点を解決しましょう。

今回、講師の側からネット検索で入手した研究論文、「道路交通量のリアルタイムシミュレーション」を受講者様に提供しました。しかし、それを書き写すのではなく、書かれている内容を受講者様ご自身で解釈されて、自身の提案である「物流の効率化」を実現するために応用したことが良かったです。論文の成果や知見を上手く活用することができれば、技術士合格に近づくこと間違いありません。

研究論文から学んで応用すれば、専門的な提案ができるので合格率は飛躍的に高くなります。受験者の多くの方は、こうしたテクニックと無縁なため、効果的な技術プレゼンテーションができていない可能性があります。本講座では答案の提案につながる有益な論文情報も提供して指導しています。

(3)リスクの導き方、書き方などについて

将来起こる可能性の高いリスクを書く必要があります。しかも上記で述べた課題や解決策に共通したリスクを書く必要があります。単体の課題に該当するリスクでは駄目なので、かなり難解です。問題をこなして慣れるしかありません。

SDGsは専門の部門・科目に該当しそうなものをご自身で選定して提案してください。社会持続性の趣旨は、自社企業のBCPと誤解されている方が多いので要注意です。公益性を高めるという技術士に課せられた社会的使命を大まかに理解して対応することです。技術士倫理も技術士倫理綱領をよく暗記して提案することです。

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