R1/2019年 電気電子部門 必須科目 Ⅰ−1
問題文
我が国では、2015年に国連で採択されたSDGs(17の持続可能な開発目標)を基に、持続可能な取組の導入が奨励されている。電気電子分野においても、多様な取組が行われているが、大規模システムや複合的な機器などの技術開発で、当初の意図に反して、様々な弊害が発生している。また、当初の意図そのものに問題がある場合も少なくない。このようなアンバランスな状況下で、開発・生産と利用・消費との関係性における持続可能なバランスの確保について、広範囲に数多くの目標が議論されている。
(1)電気電子分野のシステム・機器における「開発・生産と利用・消費との関係性における持続可能なバランスの確保」の考え方に基づき、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。解答は、上記の関係性の観点を明記した上で、それぞれの課題について説明すること。
(2)(1)で抽出した課題の中から最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題の解決策を3つ示せ。
(3)上記すべての解決策を実行した上での新たな波及効果、及び懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)(1)〜(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
模範解答1 (簡易答案1) 添削履歴17 作成日2020/5/3 電気電子部門 科目:情報通信 専門事項 無線通信
1. 持続可能なバランス確保に向けた課題
a)VPPで再生可能エネルギー低コスト化:FIT制度は再生エネ推進加速、売電はコスト高でFIT継続は国民負担継続の弊害発生。再生エネ低コスト化にVPP推進。
b)ICT導入で道路交通渋滞回避:道路情報収集し交通整理にVICS導入、車集中で渋滞発生の弊害。センサ等情報からAI予測、情報通信にICT導入で渋滞回避策。
c)情報伝達活性化に拡張現実通信の推進:ICT普及でSNS、web会議等、遠隔でも情報伝達可能だが臨場感の欠落で現場感伝達不足の弊害。現場感の伝達にAR推進。抽出課題で現場感伝達をより正確にする点が持続可能バランス確保に最も重要。
2.拡張現実通信のシステム開発
a)テレイグジスタンス技術導入:拡張現実で有効なテレイグジスタンス技術に着目。コミュニケーションをよりリアルにする。コミュケーション活性化のため触覚、視覚センサを組み合わせ、制御AI情報通信。遠隔地で体感可能。
b)低遅延伝送にエッジコンピューティング導入:低遅延伝送にエッジコンピューティング技術に着目。遠隔でのAI制御伝送を低遅延とするURLLC技術を導入。通信時間を10m秒→1m秒に短縮。拡張現実化を迅速化。
c)情報伝送効率化に多様なインフラ連携導入:情報伝送効率化にヘテロジニアスネットワーク技術に着目。インフラ連携によりセンサ、AI情報取得を多種伝送手段可能。情報効率が向上し情報の迅速処理可能。
3.新たな波及効果・懸念事項とその対策
a)現場感情報拡充への波及:ARは未体感の人にも知り得る新たな手段として波及。センサ情報多く伝送高速化必要。NW伝送速度ボトルネック箇所を特定し改善。
b)移動体通信障害の懸念:AR情報移動伝達時の遮蔽物、ノイズ増大で無線通信障害の懸念。使用予想区域電波調査でAP設置し通達範囲を拡大し安定。
4.業務遂行での必要な要件
a)利用者の公益確保:AR装置導入は遠隔での現地体感を自ら遠方に行かず効果を享受。移動時間と移動費用が削減でき利用者の公益確保。
b)保守性の向上:AR情報通信装置を長期的維持で産業廃棄物削減。装置価値を確保のため機能拡張等を容易にするため保守性を向上。
模範解答1 (簡易答案2) 添削履歴2 作成日2020/6/16 電気電子部門 科目:情報通信 専門事項 無線通信
1. 持続可能なバランス確保に向けた課題
a)VPPで再生可能エネルギー低コスト化:FIT制度は再生エネルギー導入推進を加速させるが売電する際にコスト高でFIT継続は国民負担が継続する弊害がある。再生エネルギーの低コスト化のためVPP推進をする。
b)ICT導入で道路交通渋滞回避:道路情報の収集のため交通の整理にVICSを導入しても都市では車集中により渋滞が発生する弊害がある。センサ等の情報からAIによって道路状況を予測し情報を通信するICTの導入で渋滞を回避する。
c)情報伝達活性化に拡張現実通信の推進:ICTの普及でSNS、web会議等、遠隔でも情報伝達が可能になるが遠隔地での臨場感は欠落し現場感覚の伝達不足について弊害がある。現場間隔の伝達不足解消にARを推進する。抽出課題中で現場感覚伝達は、より現実性を保つコミュニケーション活性化が持続可能なバランスを確保する。
2.拡張現実通信のシステム開発
a)テレイグジスタンス技術導入:遠隔とのコミュニケーションの現実感UPに着目した。AR実現にテレイグジスタンス技術を提案する。触覚、視覚センサの感覚情報のAI判定融合結果を情報伝送し現地体感を可能とし、知覚感と現場感のバランスを確保する。
b)低遅延伝送にエッジコンピューティング導入:遠隔でのAI制御伝送を低遅延とするURLLC技術に着目した。低遅延伝送にエッジコンピューティング技術を提案する。その結果、情報通信時間を10m秒から1m秒に短縮し、拡張現実情報の音、画像、触感伝達のズレの低減でリアル感のバランスを保つ。
c)情報伝送効率化に多様なインフラを連携導入:インフラを連携させてセンサ、AI取得情報を多種の伝送方法活用手段に着目した。情報伝送効率化にヘテロジニアスネットワーク技術を提案する。情報伝送効率と伝送の堅牢化が向上し、情報伝送容量の偏りを回避し情報伝達のバランスを保つ。
3.新たな波及効果・懸念事項とその対策
a)現場感情報拡充への波及:ARは未体感の人にも知り得る新たな手段として波及効果が高い。センサ情報は多大であり伝送高速化が必要になる。NW伝送速度のボトルネック箇所を事前に特定する。センサ情報の到達時間の改善で時間バランス確保できる。
b)移動体通信障害の懸念:対象物移動時に、遮蔽物、ノイズ増大で無線通信障害の懸念がある。使用区域の電波調査でAPを増加し通達範囲バランス確保で通信安定させる。
4.業務遂行での必要な要件
a)利用者の公益確保:AR装置導入は遠隔での現地体感を自ら遠方に行かず効果を得られる。移動時間と移動費用が削減でき利用者の公益が確保できる。
b)保守性の向上:AR情報通信装置を長期的運用可能とし維持確保にUpDate等機能拡張をソフト化とし保守性を向上する。これで産業廃棄物を削減し持続可能性ができる。
模範解答1 (完成答案) 添削履歴5 作成日2020/7/19 電気電子部門 科目:情報通信 専門事項 無線通信
1. 持続可能なバランス確保に向けた課題
a)VPPで再生可能エネルギー低コスト化
FIT制度は、再生可能エネルギー生成装置導入の推進を加速させる。しかし、エネルギー生成効率が低いため、売電時は設備・運用費が大きくコスト高である。装置運用のためFIT制度の継続は、国民の税金負担となる弊害がある。再生可能エネルギーの低コスト化のため運用効率向上にVPPシステム導入の推進をする。
b)ICT導入で道路交通渋滞回避
道路交通情報を収集し交通整理のためVICSが導入されている。VICSの道路監視・情報発信では、都市部自動車集中は抑制できず、渋滞発生となる弊害がある。VICSの効果向上のため、道路、自動車に物体感知センサ等を設置し、補間的に道路情報を収集する。これらの情報とVICS情報をAI活用して道路状況を予測する。予測情報を伝送するためのICT導入で渋滞を回避する。
c)情報伝達活性化に拡張現実通信の推進
ICTの普及により、SNS、web会議等の活用機会が増加し、遠隔地との情報伝達が容易となる。しかし、単なる知覚情報伝送では、遠隔地での臨場感の欠落が発生し、現場感覚の伝達不足となる弊害がある。現場感覚の伝達不足の解消に拡張現実情報通信を導入する。
抽出した課題の中で、現実性を保つコミュニケーションの活性化が最も持続可能なバランスを確保する。そのため、拡張現実情報通信の開発は重要である。
2.拡張現実情報通信のシステム開発
a)テレイグジスタンス技術導入
遠隔地とのコミュニケーションの現実感向上に着目した。そこで、拡張現実情報の伝達実現にテレイグジスタンス技術を提案する。触覚、視覚センサの感覚情報をAI処理で知覚情報と融合する。その融合した結果情報を伝送し現地体感を可能とする。これによって、知覚感と現場感のバランスを確保する。
b)低遅延伝送にエッジコンピューティング導入
遠隔でのAI情報伝送を低遅延とするURLLC技術に着目した。そこで、低遅延伝送にエッジコンピューティング技術を提案する。この技術は、情報伝送時間を10m秒から1m秒に短縮し、拡張現実情報の触覚、知覚情報伝達の低遅延を可能とする。これにより、知覚、感覚情報を同時に伝達可能として五感バランスを保つ。
c)情報伝送効率化に多様なインフラを連携導入
各種センサ取得情報、AI判定情報の伝送に各種インフラを連携できる多様な通信方法活用手段に着目した。そこで、情報伝送手段にヘテロジニアスネットワーク技術を提案する。この技術によって、情報伝送効率と情報伝送の堅牢化が向上する。その結果、情報伝送容量の偏りを回避し、情報伝達のバランスを保つ。
3.新たな波及効果、懸念事項とその対策
a)拡張現実情報通信による効果
遠方への移動が無いことから、移動時間、移動費の削減ができる。そのため、時間、費用の余裕が生まれることで他の業務やレジャー等にあてることができる。すると、様々な事業の推進を促して生産性を向上し、産業の発展につながり、経済的向上となる。
b)移動体通信障害の懸念
遠隔感知する対象物の移動時には、現場の遮蔽物、環境ノイズの影響があり、無線通信障害の懸念がある。事前に使用区域の電波調査を実施することで無線アクセスポイントの配置を設計する。アクセスポイントを増加させて、無線通達範囲を確定させる。これによって、無線伝送の到達範囲のバランスを確保して、無線通信を安定させる。
4.業務遂行での必要な要件
a)データ圧縮化
技術者倫理も高めて業務遂行するには、過大な情報圧縮で通信輻輳を低減させる。これは、通信網占有を避けて多人数の利用となり、公益確保に相当する。
b)保守性の向上
社会持続可能性を高めて業務遂行するには、装置開発時にソフト化によるUpDate等の手段を採用し保守性が向上する。そのため開発と利用のアンバランス解消となり、稀少資源の管理及び効率的な利用を達成する。これはSDGsの「持続可能な消費と生産のパターンを確保」に相当する。