R1/2019年 機械・機構ダイナミクス制御 Ⅱ−1−3

問題文  Ⅱ-1-3 (1枚以内にまとめよ)

 振動計測に用いられる代表的な振動検出器を2つ挙げ、それぞれの原理、特徴及び使用上の留意点について述べよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.7.15 専門事項 精密機器開発

1.レーザー変位計

1−1.原理: レーザーの平行光を振動体に照射し、振動面からの反射光との干渉から、振動変位を検出することで振動を計測する。

1−2.特徴: 非接触計測が可能。スポット計測。振動面の表面粗さや色等による反射光の強度によって、計測精度が変化する。高周波の振動の場合、計測できないことがある。

1−3.留意点: 埃や汚れに弱く、空気の揺らぎの影響を受けるため、計測部に密閉式のカバーを設けるなどの対策を講じる。

2.圧電センサ

2−1.原理: PZT素子などの圧電体を振動体に取り付け、振動に伴って生じる変位(応力)を電気信号に変換し、その変化から振動を計測する。

2−2.特徴: 接触計測となる。温度変化に弱い。振動から発電できる機能を一緒に作りこむことが可能である。

2−3.留意点: 振動を検出できる方向は、圧電体の結晶方向によって変わるため、適切に選択する必要がある。

 板材の圧電材だけでなく、薄膜化も可能であるため、振動体に直接製膜することも視野に入れて、必要に応じて、省スペース化も検討する。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 4回 2019.7.26 専門事項 光学機器開発

1.ドップラー振動計

(1)原理と特徴

測定対象で反射したレーザ光の周波数がドップラー効果により「Δf=2×v÷λ」だけシフトする。ここでΔfはレーザ光の周波数シフト量、λは波長、vは測定対象の振動速度を示す。よって「v=Δf×λ÷2」である。更に加速度、変位はそれぞれvを時間で微分、積分した値である。

(2)使用上の留意点

Δf測定のSN比は反射光量に依存する。よって①レーザ光の焦点を測定対象にあわせる、②入射光と反射光のなす角をなるべく0°に近づける。

2.歪ゲージ式振動計

(1)原理と特徴

歪ゲージを設けたばね(縦弾性係数:E)の一端に測定対象、もう一端に重錘(質量:m)を設ける。そして測定対象が加速度αで運動した際のばねの歪をεとする。運動方程式から「mα=Eε」が成り立つ。よって「α=Eε÷m」である。更に速度、変位はそれぞれαを時間で1回積分、2回積分した値である。

(2)使用上の留意点

真空中に設置する場合、重錘に作用する粘性力が大気中より小さくなる。よって粘性力が無視できない小質量の重錘を備えた振動計を真空中で用いる場合は、使用環境の真空度で絶対値較正してから使用する。

R1/2019年 機械・機構ダイナミクス制御 Ⅱ−2−1

問題文  Ⅱ-2-1 (2枚以内にまとめよ)

 実験装置の老朽化、出力不足に対応するために新たに高出力の動力制御機械装置を導入することになった。設立当初の近隣環境は田園地帯であったが、最近では、すっかり住宅地化し振動・騒音に対する要求も厳しくなっている。あなたがこの高出力の動力制御機械装置を導入するプロジェクトの総責任者として進めるにあたり、下記の内容について記述せよ。

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意・工夫する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 4回 2019.8.13 専門事項 精密機器開発

(1)動力制御機械装置の導入で調査・検討すべき事項

①動力制御機械装置の振動、騒音の発生要因: 導入装置の振動や騒音の要因とその発生個所を考察し、その低減策を調査・検討し、適正値を管理する。

②環境に対する要求: 地方自治体毎に、装置導入予定地の区域と時間帯に応じて、振動/騒音の規制値が定められている。最低限満たすべき規制値を調査する。

③導入場所や導入方法: 導入装置の振動・騒音レベルによっては、従来と同じ設置場所では十分な防振・防音対策を施せない場合もあり得る。大がかりな工事が必要になることも想定し、地盤も含めた導入場所や導入方法、工法、工期などを調査、検討する。

(2)業務手順で留意・工夫する点

1.動力制御機械装置に求められる要件の明確化:  過剰性能は騒音・振動につながる。不要な騒音・振動対策をしなくて済むように、導入装置を導入する上で業務上必要となる性能(出力、用途)、稼働時間(昼間だけか、夜間か)等の要件を明確にする。

2.騒音・振動の目標値設定と環境アセスメント: 住宅地環境を維持するため、規制値を参考に、企業目標値を定義し、予め、環境アセスメントを行う。

3.導入装置における振動・音響シミュレーション: 振動、騒音は、モータなどの駆動源と機構の共振や、振動の伝達、放射面からの空気中への放出音が原因である。このうち、共振の低減策が防音・防振には最も効果的である。モーター周波数の変更や、機構変更や部材の材料変更による剛性アップや軽量化等を検討する。また、装置での防振・制振も検討する。いずれも、数値計算を行うことで効率的に進める。

4.導入装置の外側での騒音・振動対策: 上記3の装置側の対策で不十分な場合がある。導入装置〜設置面の間の防振や防音BOXの設置、建物の遮音、防音壁の設置等の設置工事による対策を検討する。

5.地域住民に配慮した装置導入: 住民への事前周知を徹底するとともに、搬入時の騒音振動対策を行う。

(3)関係者との調整方策

①省庁、公的機関への相談: 騒音規制、振動規制の他、地方自治体毎に定められている条件があるため、届出判断に際して、導入予定地の公的機関に確認する。

②動力制御機械装置のメーカー、業者への相談: 上記(2)-1, 2で定義した装置要件および騒音・振動の目標値に見合うよう、動力制御機械装置の仕様変更について、上記(2)-3の検討結果をもって業者に相談する。カスタム変更について提案してもらい、詳細を決定する。

③周辺住民向け説明会の開催、窓口設置: 工事開始前に周辺住民に説明会を開催する。新規装置導入計画と共に、規制値以内である環境アセスメント結果を示す。窓口設置により住民との共生、良好な関係の維持に努める。

模範解答2  (簡易答案形式1)  添削履歴 4回 2019.7.26 専門事項 光学機器開発

1. 調査、検討すべき事項とその内容

(1)装置から発生する音、振動を低減する除振台、無響室を調査、検討する。

(2)音、振動を外部に漏らさない方法。

①実験棟の共振周波数が装置から発生する振動の√2倍以上になっているか調査、検討する。なっていなければ、√2倍にする方法を調査、検討する。

②防音壁を調査、検討する。

(3)装置会社に低音、除振のオプション、ノウハウがないか調査検討する。

2.手順及び留意点・工夫点

(1)手順1:法定値に収まる目標を定める。

留意点・工夫点:測定方法、条件も法定に従い一意的に定まる様にする。

(2)手順2:上述した調査、検討すべき事項を実施する

留意・工夫点:既存の方法にとどまらず、アナロジーで対応する。例:カメラ手振れ防止同様、除振台の振動を検知しそれを打ち消す方向に動かし除振する。

(3)手順3:上述の検討結果及び費用対効果を勘案し方法を決定し実行する。

留意・工夫点:費用には対策に係る維持費用も勘案する。

3.業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策

(1)装置メーカとの調整方策

低音、除振対策をした場合のトレードオフの解決法について調整する。

(2)建物業者との整合

カスタム最適化の低音・低振動のための改築施工ができないか調整する。

模範解答3   (簡易答案1)    添削履歴23    作成日2020/5/13    機械部門  科目:機構ダイナミクス・制御    専門事項 精密機器

1.調査、検討すべき事項とその内容

(1)新装置からの騒音振動の発生原理を解明し、低減する方法を調査・検討する。

(2)近隣住宅地での騒音振動を予測し法規制値以下にする防音防振対策を検討する。

(3)高出力実験の回数を低減させるための方法を調査・検討する。

2.業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点

手順1:FTAで新装置からの騒音振動源要因と伝搬要因を推定する。

手順2:それら要因を対策する為に新装置に防音防振部材の効果的な付加方法をCAEで検討し、その結果放出される振動騒音を見積もる。

手順3:現有装置の実測値から振動騒音が住宅地まで伝搬すると何%減衰するか推定し、手順2で見積もった値が住宅地でどれだけになるか見積もる。

手順4:手順3で法定値以下と見積もれたら新装置や防音防振材を施工する。

手順5:高出力実験の回数を減らす実験計画法の検討、数値実験に代替するためのシミュレータの調査、更に相似則を活用した低出力での代替実験を検討をする。

3.業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策

(1)装置メーカから新装置の3D-CADデータを購入し防音防振部材施工メーカに提供する。これにより防音防振部材施工メーカのCAEによる施工設計が効率的・効果的になる。3D-CADデータが近隣環境保全の為に必要である旨を設備部門に説明し3D-CADデータ分の追加予算の承認を促す。

(2)総務部門がコンプライアンスの観点で法定値よりも更なる騒音低減を主張する。一方設備部門からは法定値を満たす以上の防音対策費用は出せない旨主張する。そこで防音対策は法定値対策のレベルでとどめておく。一方騒音の減衰率の大きくなる風向きの日に実験をする様に新装置運用ルールを定める。これにより防音部材施工を最小限に抑えられることで設備部門の主張を満たし、同時に総務部門の法定値よりも更なる騒音低減を達成できることで、両部署の理解を得る。よって新装置の導入を効率的効果的にできる。

模範解答3   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/5/14    機械部門  科目:機構ダイナミクス・制御    専門事項 精密機器

1.調査、検討すべき事項とその内容

(1) 高出力動力に由来する騒音振動の発生予測と伝搬分析

新装置からの騒音振動の発生原理を解明し、低減する方法を調査・検討する。

(2) 騒音振動による環境予測と改善対策

近隣住宅地での騒音振動を予測し法規制値以下にする防音防振対策を調査・検討する。

(3) 高出力動力実験の回数低減実験計画

高出力実験の回数を低減させるための方法を調査・検討する。

2.業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点

手順1:FTAで新装置からの騒音振動源要因と伝搬要因を推定する。

手順2:それら要因を対策する為に新装置に防音防振部材の効果的な付加方法をCAEで検討し、その結果放出される振動騒音を見積もる。

手順3:最も伝搬しやすい気象条件において、現有装置の実測値から振動騒音が住宅地まで伝搬すると何%減衰するか推定し、手順2で見積もった値が住宅地でどれだけになるか見積もる。

手順4:手順3で法定値以下と見積もれたら新装置や防音防振材を施工する。

手順5:高出力実験の回数を減らす実験計画法の検討、数値実験に代替するためのシミュレータの調査、更に相似則を活用した低出力での代替実験を検討する。

3.業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策

(1)装置メーカから新装置の3D-CADデータを購入し防音防振部材施工メーカに提供する。これにより防音防振部材施工メーカのCAEによる施工設計が効率的・効果的になる。3D-CADデータが近隣環境保全の為に必要である旨を設備部門に説明し3D-CADデータ分の追加予算の承認を促す。

(2)総務部門がコンプライアンスの観点で法定値よりも更なる騒音低減を主張する。一方設備部門からは法定値を満たす以上の防音対策費用は出せない旨主張する。そこで防音対策は法定値対策のレベルでとどめておく。一方騒音の伝搬しやすい風向きの日の実験は避ける様に新装置運用ルールを定める。これにより防音部材施工を最小限に抑えられることで設備部門の主張を満たし、同時に総務部門の法定値よりも更に10 dB低減を見込めることで、両部署の理解を得る。よって新装置の導入を効率的効果的にできる。

模範解答3   (完成答案)    添削履歴3    作成日2020/5/19    機械部門  科目:機構ダイナミクス・制御    専門事項 精密機器

1.調査、検討すべき事項とその内容 

(1) 高出力動力由来の騒音振動の発生予測と伝搬分析

新装置の騒音及び振動のパワー、周波数特性を調査し、騒音振動の伝搬減衰を検討する。

(2) 騒音振動による環境予測と改善対策

住宅地での騒音振動レベルを調査し、近隣住民の生活環境に及ぼす影響を検討する。騒音振動が法定値を超える場合は防音防振対策を検討する。

(3) 高出力動力実験の回数低減

新装置で行われる実験の頻度、出力値を調査する。実験計画法により実験頻度を減らすことを検討する。

2.業務を進める手順、留意点・工夫を要する点

手順1:新装置からの騒音及び振動が住宅地まで伝搬するまでにどれだけ減衰するか計算する。実験所から住宅地までの3次元の地形データや建造物データを考慮できるCAEを用いることで精度良く効率的に計算する。

手順2:住宅地へ伝搬する騒音振動が、法定値レベルを超えるか否かを判断する。超える場合は装置からの騒音振動の周波数に効果的な防音防振材の施工設計を検討する。

手順3:新装置及び防音防振部材の施工設計をする。電気などのユーティリティを引き込むダクトから騒音振動が外部に漏れない様に防振支持、ダクト消音機を設ける。

手順4:実験計画法を用いて実験回数を減らす。即ち試験サンプルとなる機械構造の性能に対して、寄与度の高い設計因子を統計的手法で少ない実験回数で明らかにする。

3.業務を効率的、効果的に進める関係者との調整

(1)防音防振施工のQCD向上の為の調整

私は装置メーカから新装置の3D-CADデータを購入し防音防振部材施工メーカに提供する。しかし自社の設備部門は施工メーカの経験に任す事を主張しデータ購入を反対する。そこで施工メーカがその3D-CADデータを活用したCAEでより効率的・効果的に施工設計できる旨を私は自社の設備部門に説明する。効果の高い防音防振施工が比較的安価に早く実現でき、自社の設備部門らを取りまとめ出来る。           

(2)コンプライアンスとコストの両立の為の調整

自社の総務部門がコンプライアンスの観点で法定値よりも更なる騒音低減を主張する。一方自社の設備部門は法定値を満たす以上の防音対策費用は出せない旨主張する。そこで私は騒音の伝搬しやすい風向きの日の実験は避ける様に新装置運用ルールを定める。これにより防音部材施工を最小限に抑えると同時に法定値よりも更に10 dB低減を見込めるので、自社の両部署の理解を得る。よって新装置の導入を効率的効果的に取りまとめできる。

解説

(1)課題の分析のしかたについて 

課題文の条件から素直に課題を抽出することです。予測や想定ではいけません。

調査項目と検討事項だけでよいのに、対策まで踏み込んでしまう人が多いようです。あせらず落ち着いて問いに答えるようにしてください。

分析はされているのですが、業務上、即対策を求める習慣が根強くあるためか、じっくり分析できる方は少ないみたいです。

落ち着いて段階を追って分析する姿勢を身につけていかないと、合格は難しくなります。

調査→検討分析→提案方策対策の3ステップを確実に書き出し、説明する癖をつけてください。

今後は、課題要求に対し、忠実に必要なことのみ論理だって記述します。

それぞれの骨子をつながりで、一貫した説明が成立しており、矛盾のないことが絶対条件です。

(2)解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

文末尾は、〜する。という形に統一するように。

手順が変わったら、段落を改行するように。自然な文書でまとめてください。

解決策は自分が経験したことをもとに記述し、憶測で解答しないこと。

具体性に欠ける、疑わしいことなど、あいまいなことは技術士の品位誠実性に欠けるので絶対に避けるように。

手順はあまり多すぎても、逆にわかりにくくなり、伝わらないので、絞って説明するように。

回りくどい説明は、わかりにくいので、避けること。

(3)留意点などの考え方、書き方などについて

方法論の後に、留意・工夫点という記述順序の方がわかりやすいです。

(4)調整の考え方、書き方などについて

関係者は2者以上で、それぞれの異なった意見要望に対し、私のすり合わせで、QDC各要素や効果バランスで最も良いとういう理由となるように説明を行うこと。

具体的には、プロマネとして、こう取りまとめたということを記述します。

文末尾は、〜により関係者を調整したと記述するのでなく、「調整」を別の言葉に置き換えた方がよいでしょう。例えば、〜により関係者を取りまとめた、という形が伝わりやすいかもしれません。

R1/2019年 機械・機構ダイナミクス制御 Ⅱ−2−2

問題文  Ⅱ-2-2 (2枚以内にまとめよ)

 交通機械、産業機械、情報機器、家電機器などの各種機械製品において、当該機械製品より火災が発生することは様々な問題を引き起こす。あなたが機械製品の開発責任者として業務を進めるに当たり、これらの機械製品からの火災発生リスクに関して、下記の内容について記述せよ。

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 10回 2019.9.3 専門事項 光学機器開発

1.工業用内視鏡の火災について調査、検討すべき事項とその内容

各構成の故障モードの内、出火に至る可能性のあるものを調査、検討する。そして出火に至るプロセスを究明する。構成としては、光源ユニット、レンズ、光ファイバなどの導光ユニット、撮像ユニット、挿入部可撓筐体ユニットが挙げられる。

2.業務を進める手順、留意点・工夫を要する点

手順1:工業用内視鏡では照明光、撮像素子と光源に供給される電流が発火源となる点に留意して、出火原因になる故障モードを挙げる。

手順2:出火原因となる故障モードを防止する方法を挙げる。工夫点は、内視鏡挿入部の可撓性筐体の最小屈曲半径をR1、光ファイバの最小屈曲半径をR2とした時、「R1≦R2」となるように設計する。このフールプルーフによって光ファイバが最小屈曲半径以内で屈曲し破断を防止する。

手順3:フェイルセーフの仕組みを挙げる。光ファイバを可撓性チューブに封止し折れても漏れなくする。しかし剛性が増し内視鏡挿入部が曲げにくくなる。そこで工夫点としてより剛性の低いメッシュの可撓性チューブにファイバを通す。

3.業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策

吸収した光を蛍光に変換する吸収断面積の大きな物質を材料に含むチューブはレーザ光を熱ではなく安全な蛍光にして放出できる。このアイデアを自社で工業所有権として取得する。そしてこの工業所有権の実施許諾を前提に、このチューブの開発をするようにチューブメーカに経営努力を求める。

 

模範解答2   (簡易答案2)    添削履歴14    作成日2020/4/15    機械部門  科目:機構ダイナミクス・制御    専門事項 精密機器

1.レーザ内視鏡の火災について調査検討すべき事項とその内容

レーザ光又は電流のエネルギが火災につながるメカニズムを調査検討する。しきい値以上のエネルギといくつかの要件が重なることで火災が発生するので、それら要因を知るためである。

また出力され得るレーザ光と電流の最大出力値を調査する。またレーザ内視鏡を構成する各部品の発火に必要なエネルギ量を調査する。

2.業務を進める手順、留意点・工夫を要する点

手順1:火災要因列挙

レーザ光又は電流のエネルギが火災につながるメカニズムを調査、検討する。その際FTAを使って「レーザ光又は電流」のエネルギが、どの様な要因を経て「内視鏡構成部品」に伝播し火災につながるのか、その要因を列挙する。

手順2:要因の振り分け、除外

内視鏡で「レーザ光又は電流」の発生し得る最大エネルギ量と、そのエネルギを被る「内視鏡構成部品」の発火しきい値エネルギ量とを比較し、定量的に発生し得ない要因を除外する。又発生し得る場合は、意図的に「内視鏡構成部品」の発火しきい値エネルギ量の大きなものを選択して、要因箇所にならないようにできるか検討する。

手順3:火災防止機構

(i)要因の発生を防止する機構を検討する。フールプルーフが一例である。又は(ii)要因が発生しても火災に至らない機構を検討する。フェイルセーフが一例である。

手順4:対策の決定

手順2の発火しきい値エネルギ量の大きな部品を選択するのと、手順3の火災防止機構を設けるのと、それにかかる価格、装置の大きさ・重量、などの点からどちらが有利か検討し対策を決定する。

3.火災要因列挙を効率的、効果的に進めるための保守修理部門との調整方策

火災要因列挙の高効率・高効果化のため、保守修理部門に過去の故障履歴の分析を申し入れる。この時、私の開発部門の実施したFTA分析を保守修理部門に渡し、故障履歴がそのFTAのどのパスに該当しそうか選択する形にすることで調査の簡略化を提案する。故障履歴データが出たら私はそれをブール代数で定量分析して開発部門の製造管理にフィードバックする。この結果、保守修理部門の修理やクレーム対応業務が減る旨説明して調整する。

 

模範解答2   (完成答案)    添削履歴1    作成日2020/4/18    機械部門  科目:機構ダイナミクス・制御    専門事項 精密機器

1.レーザ内視鏡の火災について調査検討事項・内容

レーザ光又は電流のエネルギが火災につながるメカニズムを調査検討する。その為にレーザ光又は電流のエネルギがレーザ内視鏡を構成する各部品にどの様な要因で伝播・作用して火災に至るのか調査検討する。

また出力され得るレーザ光と電流の最大出力値を調査する。またレーザ内視鏡を構成する各部品の発火に必要なエネルギ量を調査する。

2.業務を進める手順、留意点・工夫を要する点

手順1:火災要因列挙

レーザ光又は電流のエネルギがどの様な要因を経て内視鏡構成部品に伝播・作用し火災につながるのかFTAで分析する。そして要因を列挙する。

手順2:要因の振り分け、除外

レーザ内視鏡で発生し得る最大エネルギ量と内視鏡構成部品の発火しきい値エネルギ量とを比較し、定量的に発生し得ない要因を除外する。

又発生し得る要因は、発火しきい値のより大きな部品を選択すれば除去できる要因か、それとも別途新たな機構を設けないと除去できない要因かに振り分ける。後者の要因を手順3で優先する点に留意する。

手順3:火災防止機構

各要因から火災に至らない様にするための機構を考える。切り口が2つある点に留意する。(1)要因の発生を防止する機構を検討する。フールプルーフが一例である。 (2)要因が発生しても火災に至らない機構を検討する。フェイルセーフが一例である。

手順4:対策の決定

QCDを勘案して採用する対策を選択する。その際それを加えたFTAを再実施し、新たな火災要因が発生しないか念のためチェックすべき点に留意する。

3.保守修理部門との調整方策

火災要因列挙の高効率・高効果化のため、保守修理部門に過去の故障履歴の分析を申し入れる。

(1)FTA分析結果を使った故障履歴調査

私の開発部門で実施したFTA分析を保守修理部門に提供する。故障履歴がFTAのどこに該当するか保守修理部門が選択する形にして、調査の簡略化を提案する。

(2)故障履歴に基づくFTAの要因漏れ防止

故障履歴がどのパスにも該当しない場合は、その故障履歴情報を保守修理部門から私は提供してもらう。そしてその故障は火災にそもそもつながらないからFTAに該当箇所がないのか、それともFTAの分析に漏れがあったのか私は検討し、FTAの漏れをなくす。

(3)発生頻度の分析

故障履歴データが出たら私はそれをブール代数で定量分析して開発部門にフィードバックする。この結果頻度の高い故障が減り、この結果、保守修理部門の修理やクレーム対応業務の減少が期待できることに合意してもらい、両部がWIN-WINの関係で効率化する。

解説

(1)課題の分析のしかたについて 

「あなたが機械製品の開発責任者として業務を進めるに当たり」と問題文にあるのだから、機械製品を一つ挙げて具体的に考えて構いません。こうした問題では、具体化するのか、逆に一般化して汎用的にとらえるのか、そうした最適な視点が問われます。

調査項目として、「火災の事例を調査する」といった一般な調査・検討を挙げるのはNG。なぜならそれをやっても、その調査結果からまた火災を防ぐ方法を一から分析しなければならないので、答えになりません。

採点官に疑問を抱かせないように、直接的に、単純明快に記載することです。

ケースを細かく細分化して場合分けなどしてしまうと、2頁の回答欄で記載できないので、無理しないこと。

またここは課題の項なので、解決策は記載しない事です。

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

設問Ⅱ−2は業務経験が問われている問題なので、なるべく自分の業務経験に近そうな設問を選択するべきです。

これを間違えると厳しいことに。判断基準は、具体的な方策が思いつきやすい方を選択すべきです。

だからといって、その製品に特化した解決策では汎用性がないのでNGです。汎用的に広く使える解決策を記載してください。

設問1.を進める前提で設問2.を記載する。なお、その際「設問1.の・・・・」などと引用するのは試験答案ではNGです。

FTAなどの分析法をどのように使うのかを示すように。ただし、リスクマネジメントやFTAの手順を記載するのではなく、具体例に沿って、効果的に分析した成果が見えるように示すことです。

(3) 留意点などの考え方、書き方などについて

FTAなどの技術的に確立した手法を活用するのが良いでしょう。

仕事の優先順位の決め方を示すのも留意点としてOKです。

対策の仕方の留意点も汎用的に示す。またフェイルセーフなど一般的な対策を挙げるだけではなく、この設問に置いてどのようなケースでそれを使うのかを示すのが大切です。

対策結果を再確認する(例えば再度FTAする)ことも留意点としてOKです。

(4) 調整の考え方、書き方などについて

まずは設問2.の「効率をあげるにはなにをすれば良いのか」ということをメインとして考えること。次にそれをするには誰と調整すると更に効率があがるか考え、そして次にサブとして、その際相手と自分がWIN−WINになること、自分は何をすれば良いか、ということを考えていきます。

調整するのに適当な他人が設問2.に登場しない場合は、設問2.に手を加えて登場させておいてください。

私と同じ部署のメンバーとの調整というのは、利害を同じにしている相手なので不適当です。この場合メンバーとの調整ではなく、単なる指示となってしまいます。

「製品の部品、ユニットのメーカとそれらの火災リスク達成に関し調整する。」といった調整の中身のない解答ではNGです。

星取表による優先順位を検討してお願いすることは調整ではありません。なぜなら星取表は大まかな価値観を確認するに過ぎないから。この表自体にはあまり独創的な価値はありません。

自社がこれを行うから、相手にもこれを行うようにと言い放つだけの支持も調整とは言い難いです。お互いにウィンウィンの関係を感じさせつつ、ベストの対応を行わせるための、当社代表技術者としての巧みな調整を表現してください。

相手に〇〇を考えてもらう、といった下駄を預けるのもNGです。これでは何がでてくるかわかりません。

R1/2019年 機械・機構ダイナミクス制御 Ⅲ−1

問題文  Ⅲ−1 (3枚以内にまとめよ)

 我々の社会は実に多くの機械に支えられている。特に電力や上下水道等のライフライン維持や医療現場で使われている機械は、健全に稼働し続けることが求められ、予期せずに機能不全を起こすことは人命や我々の生活に大きな影響を直接与えてしまうことになる。そして、このような製品開発においては、その利用目的に合わせて特化した対応・対策が不可欠となってくる。このような背景を考慮して、次の各問に答えよ。

(1)健全に稼働することが求められ、機能不全を起こすことが許されない機械機器・装置の製品開発に向けて、機械技術者の立場で多面的な観点から複数の課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する解決策を具体的に3つ示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

模範解答1   (簡易答案1)    添削履歴9    作成日2020/5/23    機械部門  科目:機構ダイナミクス・制御    専門事項 精密機器

1. 課題とその分析

(1)冗長化設計

数か所の故障が生じても正常使用、或いは最低限の暫定的な使用が可能な機構を設計に盛り込む。突然機能不全に陥ることを防止する。

(2)確度の高い予知保全

センサで機械の常時モニタリングをしてコンピュータで解析し予知保全を行う。システムが複雑な場合はAIを活用した解析により予知保全を行う。

(3)機能不全対応体制構築

補修に必要な部品の在庫管理から対応可能な技術者の勤務管理などクラウド上で一括管理しておき、機能不全発生時に即対応することで復旧を最速にする。

2.最も重要と考える課題:冗長化設計の具体的対策

(1)フェイルソフト

通常運転時に複数の機械要素で一つの機能を担うシステムにおいて、複数の内一つの機械要素が故障したら残りの一つで機能縮小した運転を可能に設計する。飛行機のエンジンの一つが故障しても残りのエンジンで飛行を続け墜落を回避する。

(2)フェイルオーバ

機械要素の予備をあらかじめ用意しておく。そしてその機械要素が故障したら予備に自動に切り替えて運転を可能になる様に設計する。人工呼吸器は複数のMCUを搭載し、互いに監視・リセットができるよう二重化し安全性を高める。

(3)フェイルセーフ       

誤操作・故障による障害が発生した場合、常に安全状態に制御する。空気ブレーキはブレーキ管を減圧するとブレーキがかかるので、ブレーキ管が破断、漏洩した場合には自動的にブレーキがかかる。

3.新たなリスクとそれへの対策

(1)リスク:想定以上の箇所で同時に故障が起きると機能不全になってしまう。つまりフェイルソフトでは複数の機械要素が共に故障、フェイルオーバでは予備も故障していた、フェイルセーフでは安全状態にする機構も故障していたら、それぞれ冗長化設計を果たせなくなる。

(2)対策:FTAで故障の要因解析を行いブール代数で故障の発生確率を計算し、同時に起こり得る確率が高くなる故障を優先して冗長化設計をしておく。

模範解答1   (簡易答案2)    添削履歴2    作成日2020/5/27    機械部門  科目:機構ダイナミクス・制御    専門事項 精密機器

1. 課題とその分析

(1)冗長化設計

数か所の故障が生じても正常使用、或いは最低限の暫定的な使用が可能な機構を設計に盛り込むことで人命に係わる機能不全や生活への悪影響を防止する。

(2)確度の高い予知保全

壊れる予兆を察知し完全に壊れて機能不全となる前に修理する事で人命や生活への悪影響を防止する。そこでセンサで機械の常時モニタリングをしてコンピュータで解析し予知保全を行う。システムが複雑な場合はAIを活用する。

(3)フォールトアボイダンス

長年改良を重ねた信頼性の高い部品やモジュールを使用してその機械のすべての構成要素を高信頼性のもので設計する。これにより人命に係わる機能不全や生活への悪影響を防止する。

2.最も重要と考える課題:冗長化設計の具体的対策

(1)フェイルソフト

通常運転時に複数の機械要素で一つの機能を担うシステムにおいて、複数の内一つの機械要素が故障したら残りの一つで機能縮小した運転を可能に設計する。機能縮小した運転でも暫定的に人命等への悪影響が小さい場合に採用する。飛行機のエンジンの一つが故障しても残りのエンジンで飛行を続け墜落を回避する。

(2)フェイルオーバ

機械要素の予備をあらかじめ用意しておく。そしてその機械要素が故障したら予備に自動に切り替えて運転を可能になる様に設計する。故障後修理完了までの間も故障前と同じ機能を維持したい場合に採用する。人工呼吸器は複数のMCUを搭載し、互いに監視・リセットができるよう二重化し安全性を高める。

(3)フェイルセーフ 

誤作動・故障による障害が発生した場合、常に安全状態に制御する。その機械に対し人命等の安全状態はどのような状態かを考え、障害発生の際は自動的に確実に安全状態になる様に設計する。電車の空気ブレーキはブレーキ管を減圧するとブレーキがかかる。よってブレーキ管が破断、漏洩した場合には自動的にブレーキがかかり、ブレーキが効かない状態で電車が走り続けるのを防ぐ。

3.新たなリスクとそれへの対策

(1)リスク:想定以上の複数箇所での同時故障による機能不全

フェイルソフトでは複数の機械要素が共に故障、フェイルオーバでは予備も故障していた、フェイルセーフでは安全状態にする機構も故障していたら、冗長化設計を果たせなくなってしまう。

(2)対策:同時故障発生確率の低減化

FTAで機能不全につながる故障の要因解析を行いブール代数で故障の発生確率を計算する。そして同時故障の起こり得る確率が看過できない箇所を特定する。その箇所の冗長化設計のより高度化、故障発生確率に対し余裕を持った頻度の予防保全等により、その確率を許容値内にする。

模範解答1   (完成答案)    添削履歴0    作成日2020/5/28    機械部門  科目:機構ダイナミクス・制御    専門事項 精密機器

1. 課題とその分析

(1)冗長化設計

数か所の故障が生じても正常使用、或いは最低限の暫定的な使用が可能な機構を設計に盛り込む。これにより一部の故障が機械全体の機能不全につながる事を防止する。よって機械の機能不全に起因する人命や生活への悪影響を防止することにも寄与する。

(2)確度の高い予知保全

壊れる予兆を察知し完全に壊れて機能不全となる前に修理する。これにより使用中故障しにくくなり機能不全を回避しやすくなる。そこでセンサで機械の常時モニタリングをしてコンピュータで解析し予知保全を行う。システムが複雑な場合はAIを活用する。上記取り組みは結果的に人命や生活への悪影響を防止することにも寄与する。

(3)フォールトアボイダンス

長年改良を重ねた信頼性の高い部品やモジュールを使用してその機械のすべての構成要素を高信頼性のもので設計する。それにより故障の発生を抑止する。これにより機能不全に陥る可能性を根本から減らすことができる。よって機械の機能不全に起因する人命や生活への悪影響の防止にも寄与する。

2.最も重要と考える課題:冗長化設計の具体的対策

(1)フェイルソフト

通常運転時に複数の機械要素で一つの機能を担うシステムにおいて、複数の内一つの機械要素が故障したら残りの一つで機能縮小した運転を可能に設計する。機能縮小した運転でも暫定的に人命等への悪影響を小さくできる場合に採用する。飛行機のエンジンの一つが故障しても残りのエンジンで速度低下など機能が低下しながらも暫定的に飛行を続け、墜落事故を回避する。

(2)フェイルオーバ

機械要素の予備をあらかじめ用意しておく。そしてその機械要素が故障したら予備に自動に切り替えて運転を可能になる様に設計する。故障発生後から修理完了までの間も故障前と同じ機能を維持したい場合に採用する。例えば人工呼吸器は複数のMCUを搭載し、互いに監視・リセットができるよう二重化する。それらMCUの一方が故障しても健全なもう一方が機能することにより正常運転を続けられる。よって一時も運転が止まってはならない人工呼吸器の安全性を高めることができる。

(3)フェイルセーフ

誤作動・故障による障害が発生した場合、常に安全状態に制御する。その機械に対し人命等の安全状態はどのような状態かを考え、障害発生の際は自動的に確実に安全状態になる様に設計する。電車の空気ブレーキはブレーキ管を減圧するとブレーキがかかる。よってブレーキ管が破断、漏洩した場合には自動的にブレーキがかかり、ブレーキが効かない状態で電車が走り続けるのを防ぐ。

3.新たなリスクとそれへの対策

(1)リスク:複数箇所の同時故障による機能不全

フェイルソフトでは補完し合う複数の機械要素が共に故障していると暫定運転ができなくなり、機能不全を回避できなくなる。飛行機の全エンジンが同時に故障した場合である。

フェイルオーバでは通常用の機械要素が故障した際に予備用も共に故障していると機能不全に陥ってしまう。人工呼吸器のメインのMCUが故障した際に予備のMCUも同時に故障していたら、人工呼吸器は停止してしまう。

フェイルセーフでは安全状態にする機構も故障していたら機能不全を回避できなくなる。電車の空気ブレーキの管破断故障の際に、その破断片によって減圧弁閉塞の故障も同時発生したら、ブレーキが効かず電車事故につながるおそれがある。

(2)対策:同時故障発生確率の低減化

FTAで機能不全につながる故障の要因解析を行いブール代数で故障の発生確率を計算する。そして同時故障の起こり得る確率が看過できない箇所を特定する。その箇所の冗長化設計のより高度化、故障発生確率に対し余裕を持った頻度の予防保全等により、その確率を許容値内にする。

解説

(1)課題の分析のしかたについて

「ライフラインや医療現場は予期せぬ機能不全を回避するため、その利用目的に合わせて特化した対応している・・」とあるのですから、まずは具体的な機械を思い浮かべ、どのような固有の課題があるか考え、そこから汎用性のある一般的課題にすると良いでしょう。機械の問題では、こうした議論をどこまで一般化するか、逆に具体的個別の機械に絞れるか、を適切に判断することが求められます。

なぜそうなのか?と試験官に疑問を持たれるような書き方はしてはなりません。  試験官が容易に納得できるように、専門用語を活用して端的に解答することです。

専門用語をただ書きならべるのもはNGです。その解答の中で、どのような意義があるのか経営陣に説明するようなつもりで解説するように。

設問の柱書との関係性にも言及するように。例:「人命に影響を与える・・・・」とあったらそれを引用して、その言葉に結び付けて「・・・・によって人命への悪影響を防止する」と解決の趣旨を解答することです。

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

ここでは課題を更に具体化してください。課題の下位概念となる考え方を書くと良いでしょう。下位概念とは、上位概念(冗長化設計)に対して、それを実現する方策である、①フェイルソフト、②フェイルアウト、③フールプルーフなどの信頼性工学の手法です。

ただし、こうした専門用語はそれだけを見出しに書くと知識の羅列的な解答になる危険性がありますので、ただキーワードを書くだけではなく、それらを見出しにして、本文にその解説を記載するようにしてください。

(3)リスクの導き方、書き方などについて

リスクとは確率は低いが発生すると被害が甚大なことです。

精神論はNG(例:●●を徹底する)。

定量的議論はGOODです。(例:ブール代数で確率を求めた結果確率の高い項目を低くする)

リスクを考えつかない時は、無理やりでも良いので最悪発生する事象を考えるようにしてください。この受講生様も、そのようにしたら早くできたようです。飛行機の左右のエンジンが同時に故障するトラブルをリスクとしました。しかし、そんなことは希です。しかしあえてリスクとして挙げ、どうやって考えるのか、確率論を背景に上手にまとめています。

R1/2019年 機械・機構ダイナミクス制御 Ⅲ−2

問題文  Ⅲ−2 (3枚以内にまとめよ)

 コンピュータ・ソフトウエアと機械が融合したシステムの高度化が進行している。その一形態として、自動車、鉄道、ロボットなどでは、人と協働して動作する協働システムが活用されている。しかしながら、これらの協働システムでは、人間がシステム内に介在するという基本構成のために、安全性の面で様々なリスクが想定される。このような背景を考慮して、次の各問に答えよ。

(1)人間がシステム内に介在して動作する協働システムの安全性について、技術者としての立場で多面的な観点から複数の課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する解決策を3つ示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

模範解答1  (簡易答案1)  添削履歴 6回 2019.8.25 専門事項 精密機器開発

(1)人間が介在する協働システムとしての手術ロボットの安全性に関する課題

 手術支援ロボットは、患者の体表に開けたポート(切除孔)を介して、ロボットアームの先端に取り付けたカメラや処理具を体内に挿入して手術を支援する。マニピュレータ操作に外科医が介在する。

①外科医による誤操作の防止: 外科医の認知、判断、動作のいずれかに誤りがあると、ロボットの誤動作につながる。医師の誤操作を防止する必要がある。

②患者や看護師に対する接触事故の回避: 手術支援ロボットは直接患者に作用するため、患者の体位変更や、手術サポートの看護士の動作と干渉によって、患者や看護士に接触する事故の可能性がある。

③人による保守・整備の見落とし: 手術ロボットの保守・整備を行うのは人であるため、不具合の見落としなどによって臨床中の誤動作やダウンタイム発生の可能性がある。

(2)課題「①医師による誤操作の防止」の解決策

Ⅰ. 機器操作の状態監視に基づく異常信号検知時の緊急停止: 手術ロボットと操作デバイスをIoT化し、通常とは異なる異常値(急加速や高押圧力値等)を検知した時に、緊急停止する安全装置を設ける。

Ⅱ. 患者の状態監視に基づく異常時の緊急停止: 血圧や酸素モニタ等による患者状態で異常値の検出時に手術ロボットを緊急停止する安全装置を設ける。

Ⅲ. 人工知能制御によるロボットの自律的手術: 人手を介さず、手術ロボットが外科医スキルを学習させた人工知能制御で自律的に手術を行うようにする。

(3)上記(2)に共通して新たに生じるリスクと対策

          リスク: 緊急停止指令の信号から実際に停止するまでに、慣性力等によって緊急停止に伴う臓器圧迫等で臓器損傷につながるリスクがある。

          対策: 緊急停止後のロボットアーム押圧力を検出し、対象臓器毎にあらかじめ設定した閾値を超えないようにする。具体的には以下の①〜③のいずれかを実施。

① 患者ベッドの位置をロボットアーム先端から相対的に離間させる。

② ロボットアームに、剛性を可変できる関節を採用する。

③ ロボットアームに、柔軟で軽量な空気圧制御人工筋を採用する。

模範解答2  (簡易答案1)  添削履歴 10回 2019.10.24 専門事項 光学機器開発

.安全性の課題

(1)手術ロボット(ダビンチ)で、人間は感覚を喪失するので、機械で感覚を人間にフィードバックして補う。

(2)手術ロボット(ダビンチ)で、3D視野で酔いや頭痛などを発症するので、左右の画像を快適視差内に保つ。

(3)実際と画像にタイムラグが発生するので、自律機能を機械に持たせ補う。

2.最も重要と考える課題の解決策

(1)最重要は手術ロボットの感覚喪失をフィードバックで補う件である。

(2)解決策

①ロボットのモータにトルクセンサを設ける。モータとメスなどの処置部までのギア比などを考慮した上でセンサの信号から、処置部で実際発生した力を計算する。この力に比例して人間が操作ハンドルを動かす力が増減するようにハンドルにアクチュエータを設ける。

②ロボットの手のひらに該当する部分に圧覚センサを設ける。その信号を基に人間の指にはり付けた振動子の周波数で硬さを人間に伝える。

③油圧駆動にして、操作ハンドルを動かす人間の力に比例した力でロボットを駆動させる。

3.リスクと対策

リスク:フィードバック機能を設けたことにより、「従来の開腹手術のスキルさえあれば、ロボット手術もできる」ようになる。よって多くの外科医が第1選択としてロボットを使うようになり、市場がより拡大する。すると今まで医療機器とは無縁だった海外等の企業も参入し価格競争が激化する。この結果、安価に製造することに研究費が割かれ、医療の更なる高度化に研究費が割かれず、新技術の空洞化のリスクがある。

対策:国が高度医療ロボット開発のプロジェクト参画を大学病院等と企業に呼び掛ける。審査に通った企業等は研究費を国から補助される仕組みを作る。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 4回 2019.9.6 専門事項 光学機器開発

1.安全性の課題の抽出

(1)技術的観点:AI導入に伴う安全確保

コンピュータ・ソフトウエアと機械が融合する際AIでティーチングレス化や自動運転などが進むと考えられる。しかしAIはブラックボックスの問題があり機械の動きが人間の常識からは考えられない場合に技術者が対処するのは困難である。よって機械の安全を確保できない場合があるという課題がある。

(2)社会的観点:安全責任の所在があいまい

事故の際、機械の製造者に責任があるのか、使用者に責任があるのか、事故にあった人に責任があるのか、といった判断があいまいになる課題がある。説明書の注意を無視した使用者の責任か、それとも無視されたとしてもフールプルーフで事故は起こらない様にしなかった製造者に責任があるのかといった課題である。

(3)管理手法的観点:新種のウイルスへの対応

新種のコンピュータウイルスに協働システムがかかると人間に危害を与える可能性がある。これを回避するには①ウイルスのリアルタイム検出管理、②検出時に協働システムを人間に対して安全に停止する管理、③ウイルス駆除から人間の安全性を担保しての再稼働までの管理、をどのようにするかが課題である。

2.最も重要な課題とその解決策

(1)最も重要な課題と理由

最も重要な課題は「技術的観点:AI導入に伴う安全確保」である。AIの日々の学習による協働システムのバージョンアップの項目に安全確保を組み込めば、容易かつ確実に安全確保を維持可能だからである。

(2)解決策

①AIを活用した安全確立

機械の行動(説明変数)とその行動の危険度(目的変数)の関係を教師データとして学習させる。そして危険度の大きな行動をしないようにすることで、機械が自ら安全性を確保できるようにする。

②センサ活用安全システム

AIとは別途独立した安全システムを設ける。この安全システムは人と機械の距離等から危険と判断したら機械を止めてアラートを出すようにする。なおこのシステムで危険と判断した行動は上述した①の教師データとしてフィードバックすることもできる。

③過学習による機械の誤った行動防止

機械がある一つの目的に対して結果を出す際に、機械の行動の組み合わせパターンは複数ある。よってモデルの自由度が増すため、過学習が発生し誤った行動により安全性の確保が難しくなる可能性が大きい。そこで正則化項をモデルに入れることで過学習を防止する。

3.新たなリスクとそれへの対策

(1)新たなリスク

①今まで経験したこともなく想像もしたことのない想定外に対応困難である。

②例:沿線火災を発見した通行人が踏切の列車非常停止ボタンを押した。列車は火災現場前で停止した。そのため車両火災が発生してしまった。本来踏切に列車を立ち入れさせない為のボタンなので火災現場前で停車してしまった。

③上記例の発生確率は稀であるが、発生すれば損害は甚大である。更に上述の3つのどの解決策でも想定外への対応は困難である。よってリスクである。

(2)リスク対策

①新想定に対するアップデートによるリスク低減

世の中で実際に新たに事故が発生する度に、本協働システムに置き換えるとどのようなリスクにつながるか、新たな想定を考える。そして上述の解決策をアップデートする。

②フォールトトレラントによるリスク低減

上記例では踏切前で停止後、この停止の合理性を機械が判断する。不合理と判断すれば最徐行で運転を再開して次の駅まで進む。このようなフォールトトレラントによりリスクを低減する。

③システム内に介在する人間を極力限定しリスク低減

上記例では地下鉄にして火災を起こす可能性のある住居や通行人と隔離する。これによりシステム内に介在する人間を乗務員と乗客に限定する。想定外の事象が発生する要因を減らすことでリスクを減らせる。

模範解答3   (簡易答案2)    添削履歴7    作成日2020/3/20    機械部門  科目:機構ダイナミクス・制御    専門事項 精密機器

1.安全性の課題

(1)力覚フィードバック

手術ロボットで人間はメスで切ったり針で縫ったりした際の手の力覚を喪失する。そこで機械で力覚を人間にフィードバックして補うことが課題である。手の力覚を得るとハンドル操作を加減できるようになる。その結果患者に対する安全性が向上すると分析する。

(2)人に優しい3D画像

手術ロボットの3D視野で医師が酔いや頭痛などを発症する可能性がある。そこで左右の画像を快適視差内に保つことが課題である。医師の労働安全性が向上し、更に医師がベストコンディションで手術できる事で患者の安全性も合わせて向上すると分析する。

(3)画像の低遅延化

実際と画像にタイムラグが発生する。特に遠隔診療では顕著となる。その為ロボットハンドの操作を誤る可能性がある。そこで5Gの活用と画像圧縮処理による送信を組み合わせた画像の低遅延化が課題である。手術の正確性が増し、患者の安全性が向上すると分析する。

2.最も重要と考える課題:力覚フィードバックの解決策

①センサとアクチュエータによる力伝達

ロボットの処置具を動かすモータに設けたトルクセンサの信号に比例してハンドル操作が重くなる様にアクチュエータを設ける。処置具に作用する力がハンドル操作の重さから医師に伝わる。

②振動による硬さ伝達

手術ロボットの手のひらに該当する部分に硬さセンサを設ける。その信号を基に医師の指にはり付けた振動子の周波数で硬さを疑似的に表現して医師に伝える。

③油圧よる力伝達

油圧装置の入力側ピストンを人の手の力で動かすとそれに比例した力がロボットに設けた出力側ピストンに作用し動く。出力側ピストンに設けたメスで執刀中に、メスが硬い部分に当たれば入力側ピストンを押す力を強くしないとピストンは動かない。よって医師は硬い部分に当たったことによるメスにかかった抵抗を感じることができる。よって開腹手術同様の感覚を入力側ピストンで感じることができる。よって切ってはいけない部分を抵抗から感じ取れ安全性が高まる。

3.リスクと対策

(1)リスク:高齢化

力覚フィードバックがあるのならロボット手術をしようという医師が増える。そしてその疲労の少なさ故に外科医の現役年齢が上がる。例えば開腹手術中の立ちっぱなしから解放される。すると高齢ドライバーの自動車事故のような身体の衰え起因の医療事故のリスクがある。

(2)対策:安全アシスト

ブレーキアシストの様に、フィードバック信号に特異な点、例えば柔らかいのが急に硬くなったなどを検知したら、一旦装置がロックされ医師に一拍立ち止まって考えさせるようにする。

模範解答3   (完成答案)    添削履歴2    作成日2020/3/23    機械部門  科目:機構ダイナミクス・制御    専門事項 精密機器

1.安全性の課題

(1)力覚フィードバック

手術ロボットで人間はメスで切ったり針で縫ったりした際の手の力覚を喪失する。そこで機械で力覚を人間にフィードバックして補う。手の力覚を得ると開腹手術同様の力覚を得るので、切ってはいけない部分を力覚から感じ取るなどできる。また画像から推定するしかなかった血管や臓器などを把持する力加減を感じ取りつつハンドル操作を加減できるようになる。以上の結果患者に対する安全性が向上する。

(2)人に優しい3D画像

医師は3Dディスプレイのマウントに顔を押しつけて手術中ずっと3D画像を見続ける。よって手術ロボットの3D視野で医師が酔いや頭痛などを発症する可能性がある。そこで左右の画像を常に快適視差内に保てるようにする。医師の労働安全性が向上する。更に医師がベストコンディションで手術できる事で患者の安全性も合わせて向上する。

(3)画像の低遅延化

実際と画像にタイムラグが発生する。特に遠隔診療では顕著となる。その為ロボットハンドの操作を誤る可能性がある。そこで5Gの活用と画像圧縮処理を組み合わせて画像送信を低遅延化する。手術中の正確性が増し、患者の安全性が向上する。

2.最も重要と考える課題:力覚フィードバック

(1)センサとアクチュエータによる力伝達

ロボットの処置具を動かすモータに設けたトルクセンサの信号に比例してハンドル操作が重くなる様にアクチュエータを設ける。処置具に作用する力がハンドル操作の重さから医師に伝わる。処置具の臓器から受ける応力をσとすれば、σ=εEに比例する応力が医師に伝わる(E:臓器のヤング率、ε:臓器のひずみ)。

(2)油圧よる微小な力伝達

油圧装置の入力側ピストンを人の手の力で動かす。するとパスカルの原理からそれに比例した力がロボットに設けた出力側ピストンに作用し動く。よって出力側ピストンの受けた反作用の力が入力側ピストンを介して直接医師に伝わり力覚を得る。よって上記(1)と異なりセンサで力を測定しアクチュエータでその力を発生させる必要がない。

よって上記(1)では力の測定や力の発生にAD変換を経るために離散的なフィードバックとなるが、本(2)は連続的なフィードバックとなる。よってより微妙な力覚フィードバックが必要な場合に適する。

③振動による硬さ伝達

手術ロボットの手のひらに該当する部分に圧電素子などからなる硬さセンサを設ける。圧電素子の振動周波数を掃引して共振周波数ωを測定する。運動方程式を解くとω=√E/mである(E:臓器のヤング率、m:臓器の質量)。よってE∝ω

2

となりωから相対的なEの大きさを硬さとしてとらえられる。その硬さ信号を医師の指にはり付けた硬さ伝達デバイスで伝える。そのデバイスは圧電素子などからなる振動子の周波数の変化で硬さを疑似的に表現する。これにより臓器表面の硬さから病変を確認することなどが開腹手術同様可能となり安全性が向上する。

3.リスクと対策

(1)リスク:高齢医師の医療事故

力覚フィードバックがあるのならロボット手術をしようという外科医が増え、参入メーカも増えて価格も下がる。よって力覚フィードバックを備えたロボット手術が第1選択になって行く。

その結果ロボット手術で座って手術できるなど肉体的に楽に手術可能となり、外科医の現役年齢が上がる。外科医不足の折好ましいことである。

しかし高齢ドライバーの自動車事故のような身体の衰え起因の高齢外科医による医療事故のリスクがある。

(2)対策:安全アシスト

自動車のブレーキアシストの様に、フィードバック信号に特異な点があったらロボット操作がロックされ医師に一拍立ち止まって考えさせるようにする。例えば切っている最中に柔らかかったのが急に硬くなったのを検知したら切る動作にロックがかかる。そして切ってはいけない大動脈などではないかなどを医師が熟考した上でロックを解除し、手術を再開する様にする。

解説

(1)課題の分析のしかたについて

 課題分析の時は、なぜその課題が解決すると、問題で問われている「協働システムの安全性」が向上するのかを考えて、そのような効果を補足解説することでうまく分析できます。

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

 問題文のテーマを間違えないように。最初は直観的に以下の写真のような仕事場が問題文で言う「人と協働して動作する協働システム」と思ったのではありませんか。よって「安全性の面で様々なリスクが想定される。」ということを、ロボットが誤って一緒に作業している人間(下の写真の真ん中)にぶつかってけがをさせるようなことと思い込んでいたように感じます。これでは解答を間違えてしまいます。

人型協働ロボット

「アールティ、FOOMA展で人型協働ロボット「Foodly」を紹介」より

 そこでこの受講者様になじみの深い、医療系の手術ロボット、ダビンチを題材にするようにコーチングで指導申し上げました。更に自動で動く機械ではなく、ダビンチのように人と一体となって動く機械(人機協働機械)を述べなければならないことをコーチングしたところ、間違いに気づかれたようです。

手術ロボット、ダビンチ

東京新宿メディカルセンターHPより

 ということでまず、具体的にどのような機械について聞かれているのか正確に挙げること。そして、日経ものづくりなどの機械系の雑誌を読むことでセンスの向上を図って、改善することです。

←これはちがう。

 受講者様の得意な狭い技術範囲に陥らないため、提案は一般化しなければなりません。かといって単なる一般論ではだめで、汎用的技術を例にあげて論じる必要があります。汎用的技術と、一般論とは違います。一般論で語ろうとすると市民レベルでの話に終始するおそれが高いようです。よってダビンチなど具体的な技術名をあげることです。

 課題は、機械部門なので機械に関することにすべきです。しかし、思い浮かばない場合は、課題の2つ目、3つ目は機械以外の課題でも良しとします。

 方策は具体的な技術的応用を活用したものにしてください。一般論で語って市民レベルの平易な話にせず、かつ特定の専門的事項に陥らないように、技術的に汎用性の高い例を引用して述べるように。

「アームが太くて干渉する」、「血がついて視野が確保できない」などの記述は個別の事情や成り行き的に発生した問題であって本質的な課題ではありません。換言すれば、これらは答案の主題である「人機一体」に関係のうすい機械一般の事項です。こういった本質的でない課題に惑わされないように。

「3つあげよ」という問題では、類似の解答であると誤解されそうな場合は、それぞれの特徴を上げて使い分けを主張し、ダブリでないことをアピールすると良いでしょう。

課題の解決方法の説明では、できれば数式を使ってすると技術者らしさが高まります。

(3)リスクの導き方、書き方などについて

 リスクの発想は難解なので、直接的に起こることだけでなく、推論して考えるしかありません。実際に業界で行われていることからヒントを得るのが基本の考え方です。いつも講師である私はコーチングで「風が吹けば桶屋が儲かる」式に因果関係をたどっていくようにと申し上げております。

 リスクの定義に関しては、第四回テキストの解説を思い出してください。「リスク:提案によって波生的に生じる損害発生頻度が小さく、被害額の大きいもの。 良い例:太陽光発電を導入して、地域が停電した場合、単独運転で送電を続けると感電事故が生じる。」

陥りやすい誤りは対策に係る機構が壊れた場合に、その障害をリスクとしてあげることです。これは故障に対するリスクであって、提案に対するリスクではないので解答としてはNGです。

解決策は、例えば国との共同研究など、他力本願的なものはNGです。

また「だめ直し」に相当することはリスクやその対策ではありません。課題解決が不十分だっただけの場合もリスクには相当しません。

医療保険問題など、市民の眼からも議論できるような内容は、機械工学的な分析にならないのでNGです。

「医師が疲れるおそれがある」といった些細な影響は、経済損失が大きいとまでは言えないので、リスクとは考えにくいです。

お問合せ・ご相談はこちら

受付時間
9:00~18:00
定休日
不定期

ご不明点などございましたら、
お問合せフォームかもしくはメールよりお気軽にご相談ください。

お電話でのお問合せはこちら

03-6661-2356

マンツーマン個別指導で驚異的合格率!
技術士二次試験対策ならお任せ!
面談、電話、音声ガイド・コーチングで100%納得
添削回数は無制限、夜間・休日も相談可能

お電話でのお問合せ

03-6661-2356

<受付時間>
10:00~17:00

  • 試験対策講座のご案内

株式会社
技術士合格への道研究所

住所

〒103-0008
東京都中央区日本橋中洲2-3 サンヴェール日本橋水天宮605

営業時間

10:00~17:00

定休日

不定期