機械部門 選択科目Ⅱ-1 解答者01 機構ダイナミクス・制御 専門:精密機器

機械部門 選択科目Ⅱ-1 解答者01 機構ダイナミクス・制御 専門:精密機器

予想問題 Ⅱ-1-1 簡易答案

問題文:コネクティドインダストリの概念について説明し、期待される効果と実施する際の注意点について解説せよ。ただし、教育、セキュリティは除く 

1.コネクティドインダストリの概念

コネクティドインダストリとは、企業、人、データ、機械などがつながることにより新たな付加価値が創出される産業社会のこと。人と機械・システムが対立するのではなく、協調する新しいデジタル社会の実現、協力と協働を通じた課題解決を目指す。

2.期待される効果

(1)人と機器のつながりによる効果:IoTやロボットの導入によって、生産性を向上させ、単純作業や重労働を省力化する。

(2)部門と部門のつながりによる効果:3DプリンタやCAD/CAM、CAEなどのデジタルツールなどの活用によって、開発や設計、生産といった各部門を一気通貫でつなぎ製品化にかかる時間を短縮する。

(3)会社と会社のつながりによる効果:同業種間などによる効率化がしやすくなる。オープンイノベーションなど、新たな付加価値の創出、外部資源の有効活用を促進させやすくなる。

3.コネクティドインダストリ実施する際の注意点

より多くの会社がコネクティドインダストリでつながる程効率化や付加価値創出の効果が大きくなる。そこでデータ形式を標準化し互換性を容易に持たせられる様にする。

予想問題 Ⅱ-1-2 簡易答案

 

問題文:動吸振器について原理、特徴及び使用上の留意点について述べよ。

1.原理

 

自身の質量の慣性力を利用して対象物の振動を吸収する。振動する対象物に、補助的な質量体をばねなどを介して付加することにより、対象物の固有振動数周辺での共振現象を抑制している。端的には、補助質量体が対象物の振動を肩代わりして振動することで、対象物が振動しないようにする。

2.特徴

小形で効率良く系に減衰を与えられる。静止場所から支持しなくても振動場所そのものを制振でき、附加構造物の共振を利用するため、ねらいとする周波数で大きな減衰効果が得られる。

3.使用上の留意点

正確な調整を行わなければならず,共進周波数のミスマッチングが最大の問題である.これを改善するために,二つの複合動吸振器を使う方法や多自由度動吸振器がある。主系のパラメータが50%程度変化しても,吸振特性が大幅には悪化しない。

予想問題 Ⅱ-1-3 簡易答案

問題文:振動型ジャイロセンサの原理、特徴及び各要素の動作について述べよ。

1.原理          

 

物体が回転する際に回転軸を一定の向きに保つ性質を利用している。

移動する物体を回転させるとその移動方向に対して垂直方向にコリオリ力Fが発生する。回転体の質量をm、移動速度をV、角速度をΩとすると

F=-2mV×Ω・・・(式1)

が成り立つ。mとVは設定値で既知なので、コリオリの力を測定し式1からΩを求める。

2.特徴                      

 1つの振動子で成立するので機械型ジャイロに比べ単純な構造で、更に光学型ジャイロの光路の様な面積を要する構造もない為、振動型は小型化できる。

一方応答時間は光学型においては光が光路を1周する時間であるのに対し、振動型は振動子のQ値と周波数の比によって決まる値の為、光学型に比べ長い。

3.各要素の動作

たわみ量センサを具備したばねの一端に重錘、もう一端にアクチュエータを設ける。(1)アクチュエータは重錘を既知の振動数で励振する。(2)たわみ量センサは振動垂直方向のばねのたわみ量を測定する。(3)ソフトウエアがたわみ量を基にフックの法則からコリオリ力Fを算出し、更に式1よりΩを算出する。

予想問題 Ⅱ-1-3 完成答案

問題文:振動計測に用いられる代表的な振動検出器を2つ挙げ、それぞれの原理、特徴及び使用上の留意点について述べよ。

 

1.ドップラー振動計

(1)原理と特徴

測定対象で反射したレーザ光の周波数がドップラー効果により「Δf=2×v÷λ」だけシフトする。ここでΔfはレーザ光の周波数シフト量、λは波長、vは測定対象の振動速度を示す。よって「v=Δf×λ÷2」である。更に加速度、変位はそれぞれvを時間で微分、積分した値である。

(2)使用上の留意点

Δf測定のSN比は反射光量に依存する。よって①レーザ光の焦点を測定対象にあわせる、②入射光と反射光のなす角をなるべく0°に近づける。

2.歪ゲージ式振動計

(1)原理と特徴

歪ゲージを設けたばね(縦弾性係数:E)の一端に測定対象、もう一端に重錘(質量:m)を設ける。そして測定対象が加速度αで運動した際のばねの歪をεとする。運動方程式から「mα=Eε」が成り立つ。よって「α=Eε÷m」である。更に速度、変位はそれぞれαを時間で1回積分、2回積分した値である。

(2)使用上の留意点

真空中に設置する場合、重錘に作用する粘性力が大気中より小さくなる。よって粘性力が無視できない小質量の重錘を備えた振動計を真空中で用いる場合は、使用環境の真空度で絶対値較正してから使用する。

予想問題 Ⅱ-1-4 簡易答案

問題文:DCモータの制御に用いられるPWM制御についてその原理、特徴及び使用上の留意点について述べよ。

1.PWM制御の原理

 

DCモータは電流の大きさに比例するローレンツ力で駆動する。よって電流の大きさを変調する事でDCモータの回転を制御する。PWMは駆動電流の振幅一定の元、パルスの幅を変調する事でDCモータに流す実効的な電流の大きさを変調し、回転数を制御する方法である。

2.特徴

(1)長所

パワー・トランジスタを飽和領域で使用する為、直流の振幅で制御する場合に比較して電力ロスが軽減される。これに伴いパワー・トランジスタの電力ロスに起因する発熱も少ない。周波数が一定なので、発生するスイッチングノイズは予測可能で、フィルタ処理がしやすい。

(2)短所

周波数が一定なことから、重負荷時も軽負荷時もスイッチする回数が同じなので、軽負荷時にはそのスイッチング損失が支配的になり効率が低下する。

3.留意点

 軽負荷時の効率も良くする制御をする為には、軽負荷時にスイッチング回数が少なくなるPFMに切り替える制御系にする。

予想問題 Ⅱ-1-5 簡易答案

問題文:精密組立の製造現場で用いられる制振技術について、原理、特徴及び使用上の留意点について述べよ。

1.パッシブ型除振台

 

(1)原理:外界からの振動をばねとダンパで受動的に吸収する事で除振台の振動を抑制する。ばね定数と減衰定数から定まる除振台の共振周波数を振動の周波数より√2以上大きくし離す事で振動絶縁する。

(2)特徴:センサやアクチュエータが不要な為価格が安価である。

(3)使用上の留意点:除振できる周波数域を広げる為に共振周波数を大きくすると除振台の剛性が落ちる。よって想定される振動周波数の3倍程度の共振周波数にする。

2.アクティブ型除振台

(1)原理:外力による振動を加速度センサで検知して、アクチエータで除振台に振動と逆向きの力を作用させる。これにより振動を能動的に打ち消し除振する。

(2)特徴:振動を能動的に打ち消すので除振台の共振周波数付近の振動周波数でも除振できる。

(3)使用上の留意点:除振台上の精密組立装置の振動も無視できない場合は、加速度センサを装置にも設けフィードバックする。

予想問題 Ⅱ-1-6 簡易答案

問題文:高速で動作する製造装置の動きを測定する方法を挙げ、原理、特徴及び使用上の留意点について述べよ。

1.ストロボスコープ

 

(1)原理:光を一定間隔で繰り返し発光させコマ取り撮影し、発光周期間の移動量をnコマ目とn+1コマ目の撮影画像の差から求める。

(2)特徴:レーザ変位計などの点の移動量から動きを測定するのに比較して、物体全体の動きを容易に測定する事ができる。

(3)使用上の留意点:回転・往復運動の周期と点灯周期のn倍が一致すると画像が静止して見える。物体が複数見える光源周期の状態から光源周期を徐々に長くして行き最初に静止した光源周期が物体の周期である点に留意する。

2.加速度センサ

(1)原理:重錘(質量:m)を付したばね(ばね定数:k)の伸び量xを測定し、重錘に作用する力Fをフックの法則F=kx(式1)から求める。重錘の運動方程式はF=mα(式2)で(α:重錘の加速度)で式1と式2からα=kx÷mとなりαが、更にαを積分し速度が、更に積分し移動量が求まる。

(2)特徴:xの測定方法によって①ピエゾ型と②静電型があるが、①は周波数レンジが広い長所がある。②は耐衝撃性が高く自己診断ができる長所がある。

(3)使用上の留意点:

センサを測定対象と一体となり測定中に取り付け状態が変わらない様固定する、②測定対象の動きに影響しないような質量のセンサを選ぶ。

予想問題 Ⅱ-1-7 簡易答案

問題文:精密位置決め装置に用いられる代表的な測長器を2つ挙げ、それぞれの原理、特徴及び使用上の留意点について述べよ。

1.レーザ干渉測長器

 

(1)原理:光の波の性質を利用する。固定された物体から反射する光と、測定対象で反射した光を重ね合わせる。測定対象が移動するとその重ね合わせた光は干渉して明暗を繰り返すのでその明暗の回数を数えて測長する。

(2)特徴:明暗変化の1回分の移動量が光の波長の1/2に相当するので、光の波長の1/2の高分解能を有する。

(3)使用上の留意点:光の波長は気温、湿度で変化する。よって測定室の気温、湿度を一定に管理する。

2.インダクトシン

(1)原理:固定子と移動子にくし形のコイルを配置する。固定子に交流を流すと移動子に誘導起電力が発生する。移動子が移動するとくし同士の重なり面積が変化して誘導起電力の大きさが変わるので、これから測長する。

(2)特徴:油汚れ・ほこり・結露の影響を受けずに位置検出ができる。

(3)コイル同士の間隔が変化しても誘導起電力は変化するので一定に保つ。

機械部門 選択科目Ⅱ-2 解答者01 機構ダイナミクス・制御 専門:精密機器

機械部門 選択科目Ⅱ-2 解答者01 機構ダイナミクス・制御 専門:精密機器

予想問題 Ⅱ-2-1 簡易答案1

「ものづくり」の革新的な高効率化を実現するとともに、新たなビジネスモデルを創出し、これまでにない製品を生み出そうとする第4次産業革命を実現するための取り組みが世界中で行われている。この中で、共通して取り組まれているのは、「ものづくり」のデジタル化とIoT(Internet of Things)の有効活用である。この「ものづくり」のデジタル化の社内推進役にあなたがなったとして、以下の問いに答えよ。

 

(1)「ものづくり」とは、単なる製造プロセスを指すものではないことを機構ダイナミクス・制御に係る製品群を前提として具体的に説明した上で、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

1.「ものづくり」の意味及び調査、検討すべき事項・内容

 

(1)ものを作るにはニーズ調査、製品企画、開発・設計を経て初めて製造され、出荷後のサービスも必要となる。故にものづくりは単なる製造プロセスではない。

(2)①ビッグデータからニーズを調査して製品企画を検討する。②CADで設計した製品の性能をCAEで検討する。③製品品質を調査しデジタル指標化して管理することを検討する。④製品を購入した顧客元での消耗品などのニーズを調査し即対応することを検討する。

2.業務手順及び留意点・工夫を要する点

(1)検討した製品企画が顧客ニーズに合致しているか確認する。3D工作機器で即モックアップを作製し顧客意見を聴取し確認する。(2)目論見通り要求性能を満たすか試作することなくCAEで即確認する。(3)製品品質をデジタル指標化して自動的に持続安定した品質管理をする。(4)顧客の製品使用状況のデータを開発部門等にフィードバックし今後の製品企画、設計等を最適にする。

3.関係者との調整方策

 製品を購入した顧客元での消耗品などのニーズを調べる為のデータを、製品企画部門や開発部門等にもフィードバックし今後の製品企画、設計等を最適にすることを私は提案する。開発部門らは賛成するが、監査部門から顧客データの目的外流用はコンプライアンスに違反すると反対される。そこで私は「データ元が特定できない様に加工した上で製品向上にも使わせて欲しい」という文書を顧客に送付し了承を得られたデータのみを開発等で使用する事を提案する。

予想問題 Ⅱ-2-1 簡易答案2

1.「ものづくり」の意味及び調査、検討すべき事項・内容

 

(1)「ものづくり」とは、単なる製造プロセスを指すものではないことの説明

ものを作るにはニーズ調査、製品企画、開発・設計を経て初めて製造され、出荷後のサービスも必要となる。故にものづくりは単なる製造プロセスではない。

(2)調査、検討すべき事項とその内容

①ビッグデータからニーズを調査して製品企画を検討する。

②CADで設計した製品の性能をCAEで検討する。

③製品品質を調査しデジタル指標化して管理することを検討する。

④製品を購入した顧客元での消耗品などのニーズを調査し即対応することを検討する。

2.業務手順及び留意点・工夫を要する点

(1)製品企画

製品企画が顧客ニーズに合致しているか確認する。企画した製品を3D-CADで設計しそのデータを使って3D工作機器で即モックアップを作製し顧客意見を聴取し確認する。その意見から気付きを得て更に顧客満足度の高い企画・設計にする。

(2)設計・開発

設計した製品が目論見通り要求性能を満たすか試作することなくCAEで即確認する。試作レスで設計のPDCAサークルを回し製品企画で決めた販売計画に対してタイムリーに設計する。

(3)製造

製品品質をデジタル指標化されたデータで管理し持続安定した品質管理をする。その為に全装置をIoTでつなぎ全製品・全工程のそのデータを取得し、コンピュータで逐次自動解析し不良品を最小化する。

(4)次期製品の企画

顧客の製品使用状況のデータを開発部門等にフィードバックし今後の製品企画、設計等を最適にする。

3.関係者との調整方策

 製品を購入した顧客元での消耗品などのニーズを調べる為のデータを、開発部門等にもフィードバックし今後の設計等を最適にすることを私は提案する。開発部門らは貴重でリアルな顧客ニーズ情報を得られると賛成する。一方監査部門から顧客データの目的外流用は個人情報保護法に反するおそれがあると反対される。そこで私は総務省通達などにのっとり「データ元を特定不能に加工した上で製品向上にも使わせて欲しい」という文書を顧客に送付し了承を得られたデータのみを開発等で使用する事を提案する。

予想問題 Ⅱ-2-1 完成答案

1.「ものづくり」の意味及び調査、検討事項・内容

 

(1)「ものづくり」の説明

ものは製品企画、開発・設計を経て製造される。更に出荷後のサービスも要する。ここで「売れる製品を作る」には、製造プロセス以外の上記全プロセスにも多大なリソース、努力を投じなければならない。

よってものづくりは単なる製造プロセスではない。

(2)調査、検討すべき事項とその内容

①ビッグデータから従来的方法では不可能だった細かな所までニーズ調査をする。その調査結果を使い顧客が真に求める痒い所に手の届く仕様・設計を検討する。

②CADで設計しCAEで性能や機械強度等を計算し、ニーズを満たすより良い設計、即ちQCDのバランスの良い設計を素早く行う事を検討する。

③工場内の全装置を調査しIoT でつなぎ、新たにAIも活用して設計の3Dデータを入力すれば自動的に製造され品質や在庫も自動管理するシステムを検討する。

④顧客元での製品の使われ方をIoTによりインターネット回線経由で調査し、消費者ニーズを検討する。

2.業務手順及び留意点・工夫を要する点

(1)製品企画:販売した製品に取付けたセンサ等から顧客の製品の使い方に関するデータをIoTで収集し、新たなニーズを見出す。そしてそのニーズを満たす顧客が求める真の製品仕様を新製品企画に結びつける。

(2)設計・開発:要求仕様を満たすモデルをCADで作成し、CAEで強度や動きを計算する。そしてその製品仕様を満たす最もQCDバランスの良い設計をタイムリーに完成させる。

(3)製造:ロボット、検査装置等工場内の全装置をIoTでつなぐ。AIを活用しティーチングレス化・自動化し、CADデータを基に装置群が自動で作業を行う。また在庫管理等の業務もAIを活用して自動化する。

(4)次期製品の企画:顧客の製品使用状況を製品に取付けたセンサ信号をIoTにてインターネット経由で企画部門等にフィードバックする。これにより企画・設計のレベルを、従来方法では達成不可能な真に痒いところに手が届くレベルまで高める。

3.関係者との調整方策

製品を購入した顧客の消耗品などのニーズを調べる為のデータ収集システムを活用し、企画や開発部門の業務を最適にする情報も追加収集する様私は提案する。

その提案に対し監査部門は個人情報保護法に反すると反対する。そこで私は総務省通達に従い「製品向上の為のデータも匿名性を保持するので収集・利用させて欲しい」と顧客の了承を得る事を提案する。

しかし企画部門は「顧客の事業規模等と使用状況の相関が必要だ」と、開発部門は「顧客が何を製造しているかも必要だ」と主張する。そこで私は更に匿名性を保ちつつ事業規模等も収集する旨も顧客に断る事、必要に応じて秘密保持契約を締結することを提案する。

予想問題 Ⅱ-2-2 簡易答案

個人が使用する機械製品(コンシューマー製品)には安全性が常に求められ、例えば高齢化の進む中、高齢者が加害者になる事故が増えており、その防止は重要である。よって皆が安全・安心に使える点に配慮したユニバーサルデザインが求められる。一方製品の競争力を上げるためには、低コストであることも同時に求められている。あなたが既存の機構ダイナミクス・制御に係る機械製品の設計をする立場にあるとして、以下の問いに答えよ。

 

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

1.自動車を設計する立場の場合に、調査、検討すべき事項とその内容

 

(1)操作ミス防止の為、高齢者の認知機能、反応速度、体力の衰えを調査し、それらの衰え分を補完するフールプルーフによるインターフェイスを検討する。

(2)操作ミスをしても事故を回避する為、スマートセンシングを調査し、事故につながる操作があったら自動作動するブレーキを検討する。

(3)コスト的に普及する製品にする為、安全機構の構成要素の機能と原価を調査し、VE(価値工学)でコスト低減の検討をする。

2.業務手順

(1)操作毎に身体の動作向きを変えて操作の取り違いを防止する。ブレーキ等の安全に寄与する操作と、アクセル等の危険につながる操作に係る動作を、高齢者の実施可能な別動作にする。ブレーキは足を踏み込み、アクセルは足を水平に動かす。

(2)自動ブレーキにより運転操作をフェイルセーフにする。スマートセンシングを使った認識技術で衝突事故を予測し自動ブレーキを作動させる。

(3)コスト上昇率よりも機能上昇率を大きくする設計にして、顧客の納得する製品価値にする。最小数のセンサで最大領域を検知できるセンサ配置設計をする。

3.関係者との調整

 コストアップになる新インターフェイスの採用を製造部門から反対される。そこで私が共通部品を追加工する設計にして取りまとめる。次に品質保証部から追加工品の耐久試験のリソースがないと反対される。そこで追加工前の部品の既にある耐久データを活用し耐久性シミュレーションを外注委託する事で取りまとめる。

予想問題 Ⅱ-2-3 簡易答案

交通機械、産業機械、情報機器、家電機器などの各種機械製品において、誤った使用法(ヒューマンエラー)により事故に至る事を機械が事前に防止する事が望まれる。あなたが機械製品の開発責任者として業務を進めるに当たり、これらの機械製品によるヒューマンエラー起因事故のリスクに関して、下記の内容について記述せよ。

 

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

1.調査、検討すべき事項とその内容

 

ヒューマンエラー防止の為、ユーザエクスペリエンスを調査し、勘違いをさせないデザイン、フールプルーフ化したインターフェイスを検討する。

ヒューマンエラーをしても事故にならない為に、ヒューマンエラーの発生を迅速に検知するスマートセンシングを調査し、フェイルセーフになる設計を検討する。

2.業務手順    

(1)製品を操作中のユーザの動きをセンサと動画で記録し、アイトラッキングで視線を記録する。これらよりユーザがどの視覚情報を基に操作に至っているのか確認する。その中から事故につながる確認漏れ、操作漏れを挙げる。

(2)確認が漏れていると操作できない機構を設ける。確認をしたらスムーズに操作できるインターフェイスの配置や構造を人間工学で設計する。

(3)事故発生要因群をそれぞれセンシングし、それらの要因がすべて揃いそうになったら直ちに装置を自動的に安全側にする機構を設計する。

3.関係者との調整

 価格アップで売りにくくなると営業部から反対される。そこで事故が発生した場合にユーザが負担すべき金額より価格アップを十分少なくする事でユーザの納得感を高める事で取りまとめる。すると設計部門から少ないコストアップで安全向上は困難であると反対される。そこで過剰品質と思われる部分の割り切り設計を設計部門が営業部とマーケッティング部と協業して行う事で取りまとめる。

予想問題 Ⅱ-2-4 簡易答案

2015年にSDGsのターゲットの一つとして「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」が挙げられた。そこで我が国においてもリサイクル法を改訂すべく諮問委員会が設けられた。あなたは家電リサイクル法、小型家電リサイクル法及び自動車リサイクル法に関する担当委員となったとして、下記の内容について記述せよ。

 

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

1.調査、検討すべき事項とその内容

 

(1)回収にかかるコストを下げてリサイクルを普及させる為、回収工程と工数を調査し、回収工程自動化を検討する。

(2)回収物の再生にかかるコストを下げてリサイクルを普及させ得る為、再生工場の再生処理能力と価格を調べ、工場大規模化による再生単価低減化を検討する。

2.業務を進める手順と留意点・工夫点

(1)回収を自動化するロボットやAIの開発を産官学連携して促進できる法整備を提案する。

(2)自動回収に適した製品毎の設計要件の具備をエコマークの取得の条件とする法整備を提案する。

(3)自動回収に適した製品が市場に広く出回るようにする為のパテントプールを促進する法整備を提案する。

(4)大規模化と同等の単価低減効果を得る為、回収物再生工場同士をIoTで結び協力し合う事を促進する法整備を提案する。

3.関係者との調整方策

決められた設計要件をエコマーク取得条件にすると、より優れた設計が生まれにくくなると他の委員から反対される。そこで私は申請してより優れた設計と認められても付与される仕組みを提案して取りまとめる。他の委員からその設計に特許を取られると普及しにくくなると反対される。そこで私はパテントプールを作りやすい環境を法整備する提案をして取りまとめる。

予想問題 Ⅱ-2-5 簡易答案

CASEという言葉も生まれてきた様に、カーシェアリングがこれからの自動車のあり方の主流となると考えられる。よってユニバーサルデザインであることが益々重要となってくる。あなたが、このような自動車のユニバーサルデザインを開発する立場にあるとして、以下の問いに答えよ。

 

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

1.調査、検討すべき事項とその内容

 

 カーシェアリングでは不特定多数のユーザが選択の余地なく決まった車種を運転する事となる。そこで、(1)あらゆるユーザの安全・快適の為、ユーザエクスペリエンスのビッグデータを調査し、だれもが操作しやすいインターフェイスを検討する。(2)あらゆるユーザが直感的に操作法を理解する為に、ユーザの認知機能を調査し、操作ガイド機能を検討する。

2.業務手順    

(1)製品を操作中のユーザの動きをセンサと動画で記録し、アイトラッキングで視線を記録して、ユーザエクスペリエンスを調査する。それを基に操作を誰でもストレスなく行えるインターフェイスを人間工学を活用して設計する。

(2)一つのデザインではユーザ多様性に対応できない場合は、体格等に応じて自動でインターフェイスの位置等を調整する機構を設計する。。

(3)スタンドに入ったら給油口の左右を音声で知らせてくれる等、センサとIoTを使って状況を自動判断し直感的にユーザが機械を使いこなせる様にする。

3.関係者との調整

 価格アップで売りにくいと営業部から反対される。そこでストレスなく運転でき無事故につながる。よって事故損害額よりも価格アップ分の方が安いと顧客に思わせる価格には収まる様に設計部が設計する事で取りまとめる。しかし購買調達部からこの設計でこの低コスト実現は困難と反対される。そこで設計部がマーケッティング部と協業して過剰品質部分の割り切り設計をする事で取りまとめる。

予想問題 Ⅱ-2-6 簡易答案

ガソリンエンジンのオートバイを禁止し、電動に移行させることで大気汚染を解決しようとしている国がある。またESGに対応するために脱化石燃料を迫られるケースもある。これらの他にも様々な理由から、世界的に内燃機関を搭載した機械が電動機械に移行している。このためには技術的課題に加え関連する社会資本の拡充を含めた多面的な課題を克服する必要があると考えられる。あなたが機械製品の開発責任者として業務を進めるに当たり、我が国の市場において電動機械への移行に係る課題出しを多面的に行うにあたり、下記の内容について記述せよ。

 

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

1. 調査、検討すべき事項とその内容

 

(1)給電インフラの課題出しの為、電動機械のノーチャージでの実使用上の稼働可能時間・距離を調査し、必要な充電インフラの配置を検討する。

(2)電動機械の購買意欲向上の課題出しの為、実使用上での電動機械の性能を調査し、内燃機関並みに向上させる施策を検討する。

2.業務を進める手順及び留意点・工夫点

(1)ユーザの使う電動機械とメーカをIoTで結び、1回の充電で実用上どれだけ運転できるのか調べる。位置情報も加味して必要な給電インフラの課題出しを行う。

(2)電動機械と内燃機関機械の同じ実使用状況での能力差をIoTで比較調査する事で顧客満足度を推測する。車なら同じ坂道でのスピード等の走行状態を比較し、パワーやトルクに不足がないか調べる。これを基に電動機器の顧客満足度を向上させ購買意欲を向上させる為の課題出しを行う。

3.関係者との調整方策

 消耗品検知の顧客サービスの為のIoTを活用し課題出しデータを収集する事を私は提案する。これに対し監査部は個人情報保護法に反すると反対する。そこで私は「匿名性を保持するので製品企画にデータを利用させて欲しい」と顧客の了承を得る事を提案する。しかし企画部門は「顧客情報と使用状況の相関が必要だ」と主張する。そこで私は「個人名を伏せた上で個人の属性とセットでデータを利用させて欲しい」と顧客に依頼する提案をし、取りまとめる。

機械部門 選択科目Ⅲ 解答者01 機構ダイナミクス・制御 専門:精密機器

機械部門 選択科目Ⅲ 解答者01 機構ダイナミクス・制御 専門:精密機器

予想問題 Ⅲ-1 簡易答案

SDGsのターゲットの一つに「2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。」が掲げられている。一方我々の社会は実に多くの機械製品に支えられている。特に、自動車及び家電製品といった機械製品は、我が国の消費エネルギの多くを占めるのでこれを抑えることがSDGsの達成に重要である。そして、このような製品開発においては、その個々の機械に合わせて特化した対応・対策が不可欠となってくる。このような背景を考慮して、次の各問に答えよ。

 

(1)消費エネルギの小さな機械機器・装置の製品開発に向けて、機械技術者の立場で多面的な観点から複数の課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する解決策を具体的に3つ示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

1.課題の抽出と分析

 

(1)摩擦低減:機械の摩擦を低減しエネルギロスを少なくして限りある資源を有効に使う。社会の持続可能性を向上させる。

(2)軽量化:機械を軽量化してそれを動かす為に使うエネルギを少なくする。炭素繊維や軽金属を用いて構造解析により強度を保ち軽量化設計し、機械の動作、移動に伴う消費エネルギを低減する。

(3)制御最適化:制御を最適化して必要最小限の出力で機械を動かす事で使うエネルギを少なくする。AIを使った制御により効率的にメカを制御する。

2.最も重要と考える課題「1.(1) 摩擦低減」の解決策

(1)転がり軸受の耐荷重向上:大きな耐荷重が求められる場合でもすべり軸受ではなく、転動体に予圧を与える機構を設けた軸受剛性の高い転がり軸受を用いる。

(2)すべり面の低摩擦化:すべり軸受のすべり面に溝を設け、その溝の深さよりも1~3μm直径の大きなPTFE粒子を添加した潤滑剤を塗布し低摩擦にする。

(3)非接触化:磁力又は空気圧力などを活用し浮上させることで、接触して摺動していた機構を非接触にして低摩擦化する。

3.リスクと対策

リスク:従来品よりも静粛で振動なく駆動し使用者が停止中と勘違いする。これにより装置の停止忘れや不要なアイドリング状態の継続等でエネルギの無駄を誘発するおそれがある。よって社会の持続性に寄与できなくなるリスクがある。

対策:機械が作動中である事を一定時間おきにランプ、ブザー等で知らせる。

予想問題 Ⅲ-2 簡易答案

コンピュータ・ソフトウエアを介して複数の機械が融合したIoTシステムの高度化が進行している。その一形態として、Connected Industryではすべての機械をIoTでつないで管理し、会社間をまたいでデータのやり取りをすることで効率化、高品質化に取り組んでいる。このような背景を考慮して、次の各問に答えよ。

 

(1)Connected Industryの運営にあたり、技術者としての立場で多面的な観点から複数の課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する解決策を3つ示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

1.課題の抽出と分析

 

(1)製品企画でのビッグデータ活用:自社製品の顧客元での利用状況のビッグデータを取得する。顧客が製品をいつ、どの様に操作したかを逐一把握し、顧客のニーズをより満たす製品にする。

(2)設計での3D-CAD活用:3D-CADで設計した試作品のメカ部分をプログラマブルロジックコントローラで制御シミュレーションし、メカ部分の完成を待たずして制御系を仕上げる。その間に加工業者が3D-CADデータをそのままCAMに入力しメカ部分を素早く作製する。

(3)生産での履歴活用:1部品毎製造履歴を確認・記録し、製造中即時に不良品を発見可能にし、又納品後に品質問題が顕在化しても製造履歴を追える様にする。

2.製品企画でのビッグデータ活用の解決策

(1)ビッグデータ分析:顧客がどの様な機能を真に欲しがり又不要としているかをビッグデータから読み解き製品仕様を決める。工作機器のロボットアームの軌跡データを集め、頻度の高い軌跡を見つけだす。価値工学に基づく定量的判断に基づきより軌跡を短くし、タクトを短縮させる自由度を持つアームにする。 

(2)ツール環境整備:OLAP、OLTPを使って効率的にビッグデータ分析をする。上述の工作機器では、軌跡データを簡略化した経路グラフの自動生成による起動分析技術を活用して、頻度の高い軌跡を探し出す。

(3)データ環境構築:製品に取付けたスマートセンシングにより必要なデータを収集し、IoTを使ってメーカへ逐次送信する。上述の工作機器では、ロボットアームの軌跡と加工されているワークの軌跡を時間的相関がわかる形で収集する。

3.リスクと対策

リスク:ビッグデータを基準としたニーズに基づき製品企画を続けて行くと、いつしかマイノリティのニーズを無視した製品企画に陥るリスクがある。

対策:企画担当者が疑似体験技術を使ってビッグデータを補完するマイノリティのニーズデータを収集する。企画する製品の3D-CAD画像を高齢者の視野になる画像処理技術を使って疑似体験し、高齢者の使い勝手を検証してニーズを抽出する。そのニーズを満たすユニバーサルデザインを企画に反映させる。

予想問題 Ⅲ-3 簡易答案

製品のコストは性能・価格と同様に製品の価値を定める重要な要素であり、コストパフォーマンスの低い製品は市場から継続的な支持を得られない。そのため、製品開発に従事する者はコスト意識を常に念頭に置いて設計変更や材料の選択などを行っている。そしてこれからはもっと革新的に、エンジニアリング・チェーン(研究開発ー製品設計ー工程設計ー生産と)の上流を厚くすることで設計力を強化し、手戻りをなくすことで設計から生産までのリードタイムを短縮するフロントローディングによるコスト低減が試みられようとしている。このような背景を考慮して、次の各問に答えよ。

 

(1)2D図面を廃しすべて3Dデータで設計し、更にこの3Dデータを使ったCAEにより極力試作回数を減らすフロントローディングを行うことを目論んでいる。このとき機械技術者の立場で多面的な観点から複数の課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する解決策を具体的に3つ示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

1.課題の抽出と分析

 

(1)品質確認の前倒し:設計部門が3D-CADで構想試作品を設計している段階で信頼性試験のシミュレーションも行う。品質部門がシミュレーションの妥当性確認及び未知パラメータのデータ取り実験について協業する。

(2)シミュレーションによる制御系設計:試作品のメカ部分の3Dデータをプログラマブルロジックコントローラで制御シミュレーションする。これによりメカ部分の試作品なしで開発部門が制御系を仕上げる。そして試作を繰り返す事なしに開発費を削減しコスト低減する。

(3)製造工程低コスト化:設計部門が3D-CADで構想試作品を設計している段階で製造部門が工程設計をシミュレーションする。実際の生産開始まで時間があるので、最新工法採用によるコスト低減の検討等、KPI(Key performance indicators)の最適化を多面的にはかり製造コストを抑える。

2.最も重要と考える課題「1.(1) 品質確認の前倒し」の解決策

(1)設計修正箇所のフィードバック:信頼性シミュレーションにより3Dの構想設計品の故障メカニズムを明らかにする。それを基に補強すべき構造箇所を明らかにし、試作レスで品質の改善をする。

(2)製品仕様の妥当性確認:ユーザニーズの求める品質で製品が機能を発揮できるかシミュレーションで確認する。仕様通りなのに品質未達の場合は、定めた仕様に瑕疵があるので、企画部門はシミュレーションデータを基に仕様の修正をする。

(3)新構造:同じ品質仕様を満たす設計バリエーションをCAEに自動設計させ、その中から製造工程や材料に係るコストの最も低いデザインを選ぶ。コスト低減の為に後戻りしない様にコスト低減検討の漏れを防ぐ。

3.リスクと対策

リスク:各社競ってCAEを使って品質確認を行うフロントローディングで開発を進めると、CAE技術者の奪い合いになってしまう。その結果人材不足でせっかく立ち上げたフロントローディングの仕組みが実施できなくなるリスクがある。

対策:リモートでのCAEの環境を整え、有能な地方に住む潜在技術者や外国人技術者が住居を変えることなく活躍し人材不足を解決する。

予想問題 Ⅲ-4 簡易答案1

近年、情報処理技術及び半導体デバイスの進化により、ものつくりの現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)がクローズアップされてきている。エンジニアリング・チェーン(研究開発ー製品設計ー工程設計ー生産)の上流を厚くすることで設計力を強化し、設計から生産までのリードタイムを短縮し、企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)を強化する。あなたがデジタルトランスフォーメーションを導入する推進者に指名されたとして、以下の問いに応えよ。

 

(1)デジタルトランスフォーメーション(DX)を導入するにあたり、機械技術者の立場で多面的な観点から複数の事例を挙げて、それぞれDXによって生産性を高めるしくみ原理を示せ。

(2)抽出した事例のうち最も重要と考える活用法を1つ挙げ、その活用法をより高度化するための課題、解決策を述べよ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

1.DXの事例と生産性向上の仕組み原理

 

(1)超音波メスの製品設計ではCADデータをメッシュにし有限要素法の原理で共振振動モード解析して、止血切断性の良好なメスを生産する。つまり有限要素法の原理によってCADで示した機構を要素化して運動解析する。

(2)ワイヤボンディングの工程設計では、組図の3D-CADデータにワイヤボンダの形成可能なワイヤ形状を追加することにより、製造可能で他構造と干渉しないワイヤボンディングの工程設計の容易性を高めている。

(3)半導体組立の製造では、位置決めボンダの設定値を検査データと比較することにより、回帰分析の原理で工程能力指数を高く保ち生産性を高めている。

2.最も重要な活用法と高度化のための課題と解決策

(1)最も重要な活用法は機構を要素化して運動解析する活用法である。

(2)高度化のための課題と解決策

①-1.課題:S-N曲線データと各メッシュの応力計算値Sから、機構内の各メッシュにおける耐久寿命(Nの回数)を算出する。これにより機構の耐久寿命と初期破壊箇所を明らかにする。

②-2.解決策:S-N曲線測定時の様に引張応力と圧縮応力が同じ大きさで繰り返す事は実際希なので、S-N曲線を平均応力修正理論で補正して計算する。

②-1.課題:力の釣合いだけで考えてもよい拘束されない系についても有限要素法では剛体変位しない様に境界条件として拘束条件を与える必要がある。

②-2.解決策:機構の境界に作用する互いにつり合った仮想荷重を与える。仮想荷重のベクトル和は0ベクトルとなるので現実とかい離せず正確に計算できる。

③-1.課題:複雑な機構もなるべく短時間で経済的に精度の高いシミュレーションをする為に、求められる計算精度に収まる範囲でメッシュ数を最小にする。

③-2.解決策:応力勾配が大きな領域や評価点は細かく、応力勾配が小さい・評価領域より遠くはなれたところは粗くメッシュを分割する。

3.高度化の為の解決策に共通し新たに生じるリスクと対策

設計が仮想空間で完結し設計者が現物に触れる機会がない為、設計した機構が使用者に危害を与えるリスクを想像しにくい。そこで使用中の使用者の身体もCAD上に再現し使用者の安全を確認し事故リスクのない設計をする。

予想問題 Ⅲ-4 簡易答案2

1.DXの事例と生産性向上の仕組み原理

 

(1)有限要素法を使った設計

超音波メスの製品設計ではCADデータをメッシュにし有限要素法の原理で共振振動モード解析して、止血切断性の良好なメスを生産する。つまり有限要素法の原理によってCADで示した機構を要素化して運動解析する。

(2)3D-CADデータを使った工程設計

ワイヤボンディングの工程設計では、組図の3D-CADデータにワイヤボンダの形成可能なワイヤ形状を追加することにより、製造可能で他構造と干渉しないワイヤボンディングの工程設計の容易性を高めている。

(3)ビッグデータの回帰分析による工程能力指数向上

半導体組立の製造では、位置決めボンダの設定値を検査データと比較することにより、回帰分析の原理で工程能力指数を高く保ち生産性を高めている。IoTでリアルタイムにデータを収集し分析して位置決めボンダにフィードバックできる。

2.最も重要な活用法と高度化のための課題と解決策

(1)最も重要な活用法は機構を要素化して運動解析する活用法である。

(2)高度化のための課題と解決策

①耐久性のシミュレーション

①-1.課題:S-N曲線データと各メッシュの応力計算値Sから、機構内の各メッシュにおける耐久寿命(繰り返し応力の回数N)を算出する。これにより機構の耐久寿命と初期破壊箇所を明らかにする。

①-2.解決策:S-N曲線測定時の様に引張応力と圧縮応力が同じ大きさで繰り返す事は実際希なので、S-N曲線を平均応力修正理論で補正して計算する。

②複雑モデルの単純化

②-1.課題:複雑な機構もなるべく短時間で経済的に精度の高いシミュレーションをする為に、計算精度に影響のない範囲でその機構のモデルを単純化する。

②-2.解決策:サンブナンの原理を用いて、例えば評価対象領域から十分離れた領域や評価対象とならない低応力部は削除を含めた単純化をしてモデル化する。

③メッシュの最適化

③-1.課題:複雑な機構もなるべく短時間で経済的に精度の高いシミュレーションをする為に、求められる計算精度に収まる範囲でメッシュ数を最小にする。

③-2.解決策:応力勾配が大きな領域や評価点は細かく、応力勾配が小さい・評価領域より遠くはなれたところは粗くメッシュを分割する。

3.高度化の為の解決策に共通し新たに生じるリスクと対策

設計日程が短縮するので繁忙期に各種設計の製造待ちがエンジニアリングチェーンのリードタイムのボトルネックとなるリスクがある。そこでロボット、検査装置等工場内の全装置をIoTでつなぎ工程短縮化、高歩留まり化し、更に在庫管理等の業務もAIで最短化して製造時間を短縮する。

予想問題 Ⅲ-4 完成答案

1.DXの事例と生産性向上の仕組み原理

 

(1)有限要素法を使った設計

超音波メスの製品設計では設計に係るCADデータをメッシュに分割し、有限要素法の原理で共振振動のモード解析をする。これにより止血切断性の良好なメスを生産する。

つまり有限要素法の原理によってCADで示した機構を要素に分割して運動解析する。

(2)3D-CADデータを使った工程設計

ワイヤボンディングの工程設計では、組図の3D-CADデータにワイヤボンダの形成可能なワイヤ形状を追加する。これにより製造可能で他構造と干渉しないワイヤボンディングの工程設計の容易性を高めている。

つまり3D-CADデータの干渉検知機能を活用する原理によって、高効率に工程設計をする。

(3)ビッグデータ回帰分析による工程能力指数向上

半導体組立の製造では、チップをパッケージへ位置決め配置する位置決めボンダの設定値を検査データと比較する。ここで位置決めボンダと検査装置はIoTでつながれリアルタイムにその比較がなされる。そして回帰分析の原理で工程能力指数が高くなるようにその設定値をリアルタイムで自動調整する。

つまり回帰分析の原理で工程能力指数を高く保つ事を可能とし、生産性を高めている。

 2.最も重要な活用法と高度化のための課題と解決策

(1)最も重要な活用法は機構を要素に分割して運動解析をする活用法である。

(2)高度化のための課題と解決策

①耐久性のシミュレーション

①-1.課題:S-N曲線データと機構内の各メッシュの応力計算値Sから、それら機構内の各メッシュにおける耐久寿命(繰り返し応力の回数N)を算出する。これにより機構の耐久寿命と初期破壊箇所を明らかにする。

①-2.解決策:S-N曲線測定時の様に引張応力と圧縮応力が同じ大きさで繰り返す事は実際希なので、S-N曲線を平均応力修正理論で補正して計算する。

②複雑モデルの最適化

②-1.課題:複雑な機構もなるべく短時間で経済的に精度の高いシミュレーションをする為に、計算精度に影響のない範囲でその機構のモデルを単純化する。

②-2.解決策:サンブナンの原理を用いて、例えば評価対象領域から十分離れた領域や評価対象とならない低応力部は削除を含めた最適化をしてモデル化する。

③メッシュの最適化

③-1.課題:複雑な機構もなるべく短時間で経済的に精度の高いシミュレーションをする為に、求められる計算精度に収まる範囲でメッシュ数を最小にする。

③-2.解決策:応力勾配が大きな領域や評価点は細かく、応力勾配が小さい・評価領域より遠くはなれたところは粗くメッシュを分割する。

3.高度化解決策に共通し新たに生じるリスクと対策

(1)リスク:設計日程が短縮するので設計完成済みの製品の製造工程待ちが、製品の完成・出荷のボトルネックとなるおそれがある。そうなると設計を素早く完成する事でよりタイムリーに顧客元へ製品を出荷する目論見が崩れるおそれがある。

この様になった場合、設計日程短縮によって短納期化し他社との差別化を目論んだ経営戦略が成り立たなくなって企業の付加価値を喪失してしまうリスクがある。

(2)対策:工場内の全装置を調査しIoT でつなぐ。そしてAIも活用して、設計の3Dデータを入力すれば自動的に製造され品質や在庫も自動管理するシステムを製造現場に導入する。これにより工程時間が短縮され、更に歩留まり高く製造できるので作り直しも生じにくくなる。

よって製造時間の短縮を図る事ができる様になるので、設計済みの各種製品の製造工程待ちによるボトルネックが生じる懸念が小さくなり、タイムリーに完成・出荷できる様になる。

以上により受注から納品までが早いという企業の付加価値をより確実に守る事ができる。

予想問題 Ⅲ-5 簡易答案

「ものづくり」の革新的な高効率化を実現するとともに、新たなビジネスモデルを創出し、これまでにない製品を生み出そうとする第4次産業革命を実現するための取り組みが世界中で行われている。この中で、共通して取り組まれているのは、「ものづくり」のデジタル化とIoT(Internet of Things)の有効活用である。これらに関連して、以下の問に答えよ。

 

(1)「ものづくり」とは、単なる製造プロセスを指すものではないことを機構ダイナミクス・制御に係る「ものづくり」の例を1つ挙げて具体的に説明せよ。さらに、その「ものづくり」の1プロセスである製造プロセスのデジタル化における課題を多面的な観点から3つ以上抽出し、分析せよ。

(2)抽出した課題のうち、最も重要と考えるものを1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)デジタル化における課題に対する解決策に共通して新たに生ずるリスクを2つ以上挙げて、それへの対応について述べよ。

1-1.内視鏡は検査・治療のニーズを調査する製品企画、それを具現化するまで繰り返される開発・設計を経て製造される。更に出荷後も安全維持の為のサービスを要する。つまり「世に役立つ内視鏡のものづくり」は製造プロセス以外の製品企画、開発・設計、サービスの各プロセスにも多大なリソース、努力を投じなければならない。よってものづくりは単なる製造プロセスではない。

 

1-2.課題の抽出と分析

(1)3Dデータを活用して製造プロセスを高効率化する。シミュレーションにより高効率な工程設計を行いIoTで工場内の全装置をつなぎより高度な自動化を行う。

(2)在庫を自動管理する。生産実績、IoTで管理された部品在庫数等から予想される必要発注数をAIで計算し自動発注する。IoTでつながれたロボットで在庫品の収納、装置への搬送を行う。

(3)1品毎にIoTで工程履歴と検査履歴のトレーサビリティを取る。不良品発生の際に工程と検査の相関から原因究明を容易にする。

2.最も重要と考える課題「1.(1)3Dデータの活用」の解決策

(1)3Dデータを基にGP4等の生産ラインシミュレーションを行う事によって最適な工程設計を行う。

(2)3Dデータで示された設計の加工や組み立てをどのセル、ラインで行えば最も効率的かMES(製造実行システム)を使ってリアルタイムで自動判断する。

(3)個別受注製品で人手に頼る際も、その3Dデータを基に作成された作業ナビゲーションを作業者のウエアラブル端末に表示し、更にはAR(拡張現実)で示す事で高効率に作業を進められるようにする。

3.リスクと対策

リスク:設計部門で設計変更があった際、新3Dデータをすべてのシステム、装置に入力する必要がある。しかし各システム、装置担当者に依頼すると人的ミスにより漏れが発生するリスクがある。

対策:設計部門のコンピュータから製造部門の基幹コンピュータに新3Dデータを転送すればそこからIoT経由で生産ラインシミュレータ、MES、作業ナビゲーション等生産部門の全装置、システムに漏れなく反映されるシステムにする。

予想問題 Ⅲ-6 簡易答案

今日製品開発に当たっては、要求仕様の満足度をCAEによって見積もることが設計業務の効率化、ひいてはコストダウンや労働者不足の観点から重要視される。しかし、CAEで見積もった値は製品性能の一面に過ぎないため、これを鵜呑みにし試作による確認を怠ると通常の使用状態や多面的な評価では高性能とは言えない製品を製造・販売してしまうことになる。このような製品は消費者や社会の期待を裏切るものである。これを踏まえて、以下の問いに答えよ。

 

(1)機械製品のものづくりにCAEを活用した設計部門の設計に対して、機械製品統括技術者の立場で多面的な観点から複数の課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する解決策を具体的に3つ示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

1.課題の抽出と分析

 

(1)パラメータの妥当性向上:適切なパラメータをシミュレーションに用いる。パラメータをそのまま使わずに実製品の構造や使われ方に則して補正し、又世の中にデータがなければ自社で測定する。

(2)バーチャルモデルによる確認:CAEで求めた解をバーチャルモデルで表現する事で、容易に製品に起こる現象を理解できる様にしてレビューしながら設計を進める。

(3)CAEリソースの有効活用:複雑な機構もなるべく短時間で経済的に精度の高いシミュレーションをする。メッシュ分割やモデルの簡略化を適切にする。

2.最も重要と考える課題「1.(1)」の解決策

(1)S-N曲線データと応力計算値Sから耐久寿命(Nの回数)を算出する。S-N曲線測定時の様に引張応力と圧縮応力が同じ大きさで繰り返す事は実際希なので、S-N曲線を平均応力修正理論で補正して計算する。

(2)同じ材質でも、処理条件や、バルクと薄膜の違い等で物性値が変化するので、実際使われる部品に則した態様の材質の物性値で計算する。

(3)複数のパラメータの誤差がシミュレーション結果へ影響する大きさを見積もる。誤差ばらつきが正規分布する場合は平方和、しない場合は公差を単純和して見積もるシミュレータのアルゴリズムにする。

3.リスクと対策

リスク1:製品の挙動や機能を示すモデルや解析データがリアル環境を再現できず、実製品で想定外の力学挙動や応力発生により事故が生じる恐れがある。

対策1:最終検証はバーチャルと実物試作を併用する。

リスク2:リアル製品の出来具合やリアル環境のばらつきによって事故の起こるリスクがある。

対策2:リアル環境を想定した多種多量のデータにシックスシグマの原則を適用することで品質上の問題となりうる潜在的なリスクを解消する。

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