衛生工学部門 選択科目 建築物環境衛生管理 予想問題Ⅱ-1 解答者12 専門:空調

衛生工学部門 選択科目 建築物環境衛生管理 予想問題Ⅱ-1 解答者12 専門:空調

予想問題 Ⅱ-1-1 簡易答案

建築物の空気調和設備で利用されるデシカント空調機の熱的原理について空気線図を用いて潜熱と顕熱の処理面から説明せよ。

(1)冷暖コイルでの顕熱操作

・除湿する外気を高温の冷水で予冷し、相対湿度を上昇させる。

・吸着剤にて除湿されたときの、吸着熱を17℃程度の冷水で冷却する。

・冷水を高温化できるため、熱源機の効率が向上する。

・室内からの還気を予熱して、相対湿度を低くして吸着剤の再生空気とする。

・予冷に用いた熱源機排熱を予熱に利用すれば、省エネルギーとなる。

(2)吸着剤での潜熱の変化

・吸着熱が水蒸気蒸発潜熱と等しい場合は、除湿は等エントロピー変化となる。

・再生空気により、吸着した水分を蒸発させ吸着剤を再生する。

・空気線図では除湿外気の状態点は、予冷外気の等エントロピー線と再生空気の相

対湿度との交点が除湿限界となる。

・処理空気の相対湿度が高いほど、また再生空気の相対湿度が低いほど除湿量は多

くなる。

 

予想問題 Ⅱ-1-2 簡易答案

空気調和設備に用いられる空気清浄機にオゾン、光触媒、活性炭フィルターを利用したものがある。それぞれの原理、採用上の留意点を述べよ。

(1)オゾンを利用した空気清浄機

・放電にて微量のオゾンを発生させる。

・下流側のオゾン分解酵素内でオゾンの分解により活性酸素が発生する。

・活性酸素の酸化力で有害物質を酸化し無害化する。

・部屋全体の空気を吸引できるような気流性能が必要。。

(2)光触媒を利用した空気清浄機

・酸化チタンに紫外線を照射し活性酸素を発生させる。

・紫外線照射によるウィルス無害化効果もある。

(3)活性炭フィルターを利用した空気清浄機

・活性炭の多孔質を利用して、微細孔に汚染物質を捕集する。

・物理吸着は有機ガスや複合臭の捕集に有効。

・長期間の使用は、低沸点物質の再放出に繋がる。

・無機系ガスには酸性薬剤、アルカリ性薬剤を添着させた化学吸着が有効。

・寿命判断は、入・出口ガス成分濃度測定による、性能低下分析が必要。

 

予想問題 Ⅱ-1-3-① 簡易答案

建築物の空気調和設備で利用されるデシカント空調機の熱的原理について空気線図を用いて潜熱と顕熱の処理面から説明せよ。

また、潜熱負荷40W、給気風量50CMH、発現率50%の場合、次の条件での、デシカントローターの①給気側出口状態点、②除湿限界点、③再生空気側入口状態点を空気線図にプロットし、状態変化の作図をせよ。

条件;外気 34.3℃相対湿度56.3%、室内 24℃相対湿度55%  

予冷後除湿入口 18℃相対湿度95%、再生空気温水コイル入口30.8℃

   発現率=(除湿開始点絶対湿度ー給気温度絶対湿度)

÷(除湿開始点絶対湿度ー除湿限界点絶対湿度)

(1)冷暖コイルでの顕熱操作

・除湿する外気を高温の冷水で予冷し、相対湿度を上昇させる。

・吸着剤にて除湿されたときの、吸着熱を17℃程度の冷水で冷却する。

・冷水を高温化できるため、熱源機の効率が向上する。

・室内からの還気を予熱して、相対湿度を低くして吸着剤の再生空気とする。

・予冷に用いた熱源機排熱を予熱に利用すれば、省エネルギーとなる。

(2)吸着剤での潜熱の変化

・吸着熱が水蒸気蒸発潜熱と等しい場合は、除湿は等エントロピー変化となる。

・再生空気により、吸着した水分を蒸発させ吸着剤を再生する。

・空気線図では除湿外気の状態点は、予冷外気の等エントロピー線と再生空気の相

対湿度との交点が除湿限界となる。

・処理空気の相対湿度が高いほど、また再生空気の相対湿度が低いほど除湿量は多

くなる。

 潜熱負荷処理のための除湿量=除湿開始点絶対湿度―給気温度絶対湿度

  40W/(833×50CMH)=0.00096Kg(0.96g)

 

予想問題 Ⅱ-1-3-② 簡易答案

再生可能エネルギー、未利用エネルギーの有効利用の観点から、空調設備熱源として利用可能なものを3つ挙げ、その方式と効率改善のための課題について述べよ。

(1)地中熱再生可能エネルギー利用

・掘削した地中にU字管を埋設し、水または不凍液を循環してヒートポンプの熱源とするクローズドループ方式。

・採熱効率向上が課題。

・直接井戸水を揚水し、HPの熱源として利用するオープンループ方式。

・採熱量は大きいが、採熱後の地下水処理が課題。

・ヒートパイプを融雪の熱源として利用。

(2)太陽熱を集熱し熱源として利用

・真空ガラス管集熱器により温水を発生させ、吸収式冷温水機の熱源とする。

・ソーラーチムニーにより、自然換気の動力源とする。

・太陽光集熱器により潜熱蓄熱材に蓄熱して、空調熱源として使用する。

(3)バイオマスを利用

・木質ペレットを燃焼させ、ボイラーや吸収式冷凍機の熱源とする。

・安定した供給量の確保と木質ペレットの品質均一化が課題。

 

予想問題 Ⅱ-1-4 簡易答案

多目的ホールなどの大空間を含む建物が増えている。この空調設備において、大空間の特性から快適性を確保するための手法を3つ述べ、説明せよ。

(1)アリーナの熱負荷特性、利用形態に配慮した空調設備

・アリーナ部の様々な利用形態での内部発熱偏在に対応可能なゾーニング。

・天井照明負荷の室内拡散を防止する。

・バトミントン等での利用を想定。(気流速度を0.3m/s以下)

・鉛直方向の非均一な温度分布の容認。

・床面から1.8mまでの居住域の快適性確保。

・PMV値を測定して、活動量、着衣量に対応した室内温度設定。

(2)アリーナの大容積の空間での、空気質の確保

・室温と給気温度の差が少ない、空気齢が若い新鮮空気の供給。

・外気冷房の実施。

・汚染物質の上昇気流による排出。

(3)快適性、感染症防止に配慮した客席部空調

・着席の離隔確保に対応するパーソナル空調

・給気口から排気口へ一方向気流確保

・床面に堆積した汚染物質の拡散防止。(気流速度を0.5m/s以下)

 

予想問題 Ⅱ-1-5 簡易答案

空調設備に用いられる空気ろ過装置の浮遊粒子捕集原理を4つ述べ、簡略に説明せよ。また、空気ろ過以外で病院の院内感染防止のための対策を4つ述べ説明せよ。

(1)浮遊粒子捕集原理

・慣性衝突;大きな粒径の物質が、慣性力でフィルター繊維に衝突し捕集される。

・さえぎり;フィルターの近傍を通過する粒子が、ろ材にさえぎられ捕集される。

・拡散;小さい粒子が、ブラウン運動により浮遊し、ろ材に付着し捕集される。

・静電気;浮遊粒子を帯電させ、クローン引力によって引き付け捕集する。

(2)病院院内感染防止対策

・換気による有害物質の希釈

 全外気方式とし30/人・hとする。

・室圧管理と気流計画

 清浄エリアを陽圧として汚染エリアを陰圧とし、汚染エリアへと向かう気流(0.5m/s程度)を確保する。

・湿度管理

 室内の相対湿度を50%〜60%とし、病原体の生育を妨げる。

・活性酸素、紫外線による有害物質毒性の低減

 活性酸素の酸化力、紫外線によりで病原菌、ウィルスを死滅させる。

 

予想問題 Ⅱ-1-6 簡易答案

都市での再生可能エネルギーを含めた建物エネルギー有効利用の観点から、あなたの専門とする領域において実施すべき項目を3つ挙げ、その効果を説明せよ。

1.熱需要パターンの違う建物間での熱融通システム

・熱回収型ヒートポンプの使用による、COPの向上。

コージェネレーション排熱の有効利用が可能。

高効率の熱源機の優先的運転により省エネルギーを図る。

 ・メンテナンス、機器故障時を想定した予備機が不要

 ・ピーク負荷抑制による電力料金低減

2.潜熱蓄熱材による廃熱利用

・室温に近い温度域において相変化する物質に、潜熱を蓄熱し少量で大容量の熱量を吸収・放出させる技術。

・エリスリトールなどの固液相変化、ハスクレイなどの水吸着熱を利用し、オフラインでの熱輸送が可能。

・工場廃熱利用。

3.地域冷暖房の利用

・個別ビルでは活用しづらい、再生可能エネルギー、都市廃熱を使用。

・冷水温度を高温化し熱源機の高効率化を図る。送水時の熱損失を低減。

 

予想問題 Ⅱ-1-7 簡易答案

生産性向上を目的としたIT技術導入の取り組みが各分野で進められている。あなたの専門とする分野での取り組みを3つ述べ、概略と効果を述べよ。

(1)ICT技術で現場情報展開し生産性を向上させる。

・BIM情報をMR技術により現場投影し、図面と現場の整合確認業務を省力化。

・ホロレンズによる施工位置確認により、施工速度が向上。

・現場へのCF解析投影による設備性能の事前検証。

・施工ロボット化による作業省力化。

・ウェラブルディバイスによる作業員適正配置。

(2)デジタルトランスファーによる作業場所の多様化。

・現場情報を3Dデータ化しVR技術にて、現場監理を後方支援する。

・5G通信での掘削重機、揚重クレーン遠隔操作。

・BIMのクラウド化による設計図、施工図作成業務の効率化。

(3)BEMSによるメンテナンス効率化

・センサー無線化でのデータ収集と、AI最適化制御での専門知識平準化。

・異常運転データの収集による故障予知でのメンテナンス省力化。

 

予想問題 Ⅱ-1-8 簡易答案

氷蓄熱は水の温度差(顕熱)を利用した蓄熱式空調システムに、氷の潜熱を付加し、高密度に蓄熱することを意図したシステムである。

(1)氷蓄熱システムのメリットとデメリットを述べよ。

(2)設計に際しての留意点を5つ述べ、それぞれ説明せよ。

(1)氷蓄熱のメリット

・水の比熱より氷の融解熱(335MJ/)が大きいため蓄熱槽容量が小さい。

・蓄熱槽の容量が小さく熱損失も少ない。

(2)氷蓄熱デメリット

・氷製造時の冷媒蒸発温度低下のため熱源機効率が低減する。

・4℃の水が蓄熱槽下部に滞留するので、冷水温度が安定化しない。

(3)設計上の留意点

・氷スラリーを送水すれば、配管口径が小さくなり搬送動力も低減できる。

・熱源機追いかけ運転時は、製氷モードで運転すると熱源機が効率低下する。

・残蓄分とは別に熱源機冷水を二次側空調機の戻り冷水の予冷として運転する。

または、熱源機冷水を二次側空調機の主熱源として循環させる。

・かくはん効果は解氷が促進されて槽内温度分布が均一化するが、温度成層を利用したシステムでは採用しない。

・解氷後は、冷水温度が急上昇する。

 

予想問題 Ⅱ-1-9 簡易答案

バイオハザード対策施設は、クリーンルーム内に設置した安全キャビネットでの作業で病原体の物理的封じ込めをしている。この施設の空調設備について、設計・施工上留意すべき事項を3つ述べ説明せよ。

(1)CRからの病原体拡散防止

・室内給気にVAV、排気にCAVを設置して陰圧を保つ。

・安全キャビネットの稼働時、扉開閉時に室圧バランスが乱れないよう制御する。

・隣接のシャワー室、脱衣室等はCR内よりも陰圧とする。

(2)安全キャビネットの排気拡散防止

・排気は単独とし、HEPAフィルターによりろ過してから放出する。

・ダクトの加工はハゼ部シール、溶接仕上とし距離を短くする。

・ガス燻蒸のため、気密ダンパーを要所に設置する。

・排気ファンは吸込みとし、ダクト内を負圧に保つ。

(3)全外気方式の換気システム

・吹出口にHEPAフィルターを取付て、ISOクラス7程度の清浄度を保つ。

・給気ファンは排気ファン同様24時間稼働、非常電源回路とし予備機を設置する。

・ファン台数制御、外気冷房等の省エネ対策をする。

 

予想問題 Ⅱ-1-10 簡易答案

変風量(VAV)単一ダクト方式の利点を2つ挙げ概要を説明せよ。また、採用にあたっての留意すべき点を3つ挙げ、それらの対応策について記せ。

(1)変風量方式の利点

・省エネルギー性

空調負荷の処理に必要な最小限の風量を供給し搬送動力を低減。

ファン動力は回転数の3乗に比例するので、省エネ効果が大きい。

・個別温度制御性

熱負荷密度の違う空間を1台の空調機にて空調できる。

(3)採用にあたっての留意事項

・BEMSによる最適化制御」

VAV−DDCと空調機−DDCの連携

VAV開度情報をBEMSに送信、演算することで、給気温度を下げて風量を低減し最適化制御をする。VAV開度は必要換気量が不足しないようする。空調機給気温度が低下しすぎないように、最低温度の設定が必要。

・VAVゾーニングの範囲

 50〜100㎡に1台程度VAVを設置することで、きめ細かい制御が可能。

・空調機ファンのインバーター制御

 各VAVの開度が最小で、給気温度が可能な限り低いときの最適送風量に調整。

衛生工学部門 選択科目 建築物環境衛生管理 予想問題Ⅱ-2 解答者12 専門:空調

衛生工学部門 選択科目 建築物環境衛生管理 予想問題Ⅱ-2 解答者12 専門:空調

予想問題 Ⅱ-2-1 簡易答案

コロナウィルス感染症の世界的なパンデミック発生に対し、オフィスや飲食、商業施設において感染防止対策が迫られている。ここに、延床面積150,000㎡、地上32階、地下5階、建物高さ180mの複合施設の空気調和設備の設計担当責任者として参画することになった。B1階〜B5階は駐車場並び空調機械室、1階〜7階は商業施設、8階は中間機械室、9階〜32階はオフィスビルとなっている。省エネルギーと快適性を両立させたうえで、感染症防止への対策が可能な空調システムが要求されている。中央式の空調熱源システムを採用することを前提としたうえで、下記の内容について記述せよ。

(1)二次側空調システムを計画するに当たって、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意すべき点及び感染症拡大防止の工夫をする点を含めて述べよ。

(3)(2)の事項を反映した熱源システムを1例示した上で、業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方法について述べよ。

(1)二次側空調システムの計画

1.オフィスの居住域への新鮮外気供給を検討する。

・自然換気パッシブ空調の検討をする。湿度50%〜60%に保ち雑菌類繁殖を防ぐ。

2.商業施設の大空間は、置換空調システムとして換気の効率化をする。

・居住域対象の温度成層型換気とする。照明負荷などの内部発熱を上部へ排気して、給気との混合を避ける。

3.周囲の環境を考慮して給排気口位置の検討をする。

・人通りの多い場所、他の建物排気口からの吸込み防止。建物給排気口間でのショートカット防止。

(2)コロナ対策を含めた業務上手順と留意点

1.換気の感染症防止対策;全外気方式換気が可能な設備とする。循環方式は、空調機にHEPAフィルター設置可能な設備とする。

2.居住域の一方向気流の確保;オフィスは、床下吹き出しとし天井レタン換気として換気効率を向上させる。吹き抜け空間を利用した、重力式自然換気システムの採用で新鮮外気を供給する。

3.外気冷房による積極的な外気取入;中間期の換気は外気冷房をして、一人当たりの外気量を増やす。

(3)熱源システムと関係者との調整

・熱源;吸収式冷凍機300RT×2、ターボ冷凍機300RT×2、冷温水蓄熱槽4,000

・関係者との調整;施主から居住者ソーシャルディスタンス確保、意匠設計から天井の空調器具類配置の制約、電気担当から各階の動力削減を要求された。そこで私は、通気性床材での全面床吹出し方式を提案、天井レタン器具は照明一体型のものとした。それにより、均一的な一方向換気を確保して感染症対策とし、また、床下給気ダクトと天井排気ダクトを省略して空調機搬送動力を低減した。

予想問題 Ⅱ-2-2 簡易答案

地域のコミュニティ形成のための市民ホールの空気調和設備の基本設計を行うことになった。本建物は延床面積21,000㎡の地下1階、地上2階の規模で、公式バスケットボールコート3面分のメインアリーナ、1面分のサブアリーナ、25m×8コースのプール、トレーニング、そして300人収容の音楽ホールを有するスポーツ、文化施設である。災害時には最大10,000人の避難施設として利用される。感染症パンデミック発生時の避難施設利用を考慮して以下の問いに答えよ。

(1)熱源システムの計画を行うに当たって、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)基本計画を検討し、計画内容を決定する上で、留意すべき重要な項目を3項目挙げ、説明せよ。

(3)提案する空調システムを1例挙げて、その内容と利点・欠点を説明せよ。

(1)調査、検討すべき事項とその内容

1.インフラ途絶状況を想定し、BCP対策を考慮した熱源システムの検討

  エネルギーソース多元化による熱源強靭化。中圧ガスを利用した熱源自立化。

2.使用可能な再エネを調査し、省エネルギーシステムを検討

  地中熱利用の検討。夏場の温熱需要に対する冷房排熱の利用

3.CF解析により気流可視化し、感染症防止配慮型換気システムの検討

避難所使用を想定し居住域の空気齢を新鮮に保つ均一的換気。

(2)留意すべき重要事項

1.ガスと電気、自然エネでのエネルギーミックス

 ガス炊吸収式冷凍機と地中熱ヒートポンプによりエネルギーソース多元化。

2.省エネシステムの検討

 熱回収ヒートポンプで冷房排熱をプール加温等の温熱需要に利用する。

 各施設の使用状況に応じた空調のため、熱源機等の台数制御運転を採用する。

3.アリーナ、音楽ホールは一方向気流の確保をする。

 アリーナの避難施設利用を想定し、感染症防止のため置換空調システムとする。

 アリーナとプールは気流速度を0.3m/s以下とする。

(3)提案する空調システムと利点・欠点

 システム;二次側空調システムはデシカント空調機での置換空調方式。

 利点;換気効率向上と気流速度抑制での感染症防止効果。ホール上部照明排熱のデシカント材再生利用。空調機の給気冷却排熱を熱回収HPにて再生熱源利用。プール水面からの遊離塩素蒸発を抑制。給排気温度差拡大による搬送動力低減。

 欠点;暖房時期の換気効率低下。吹出し口の面積が大きい。

予想問題 Ⅱ-2-3 簡易答案

感染症パンデミックに対応するために、急性期病院の空調設備改修工事の設計を担当することになった。病棟は319床を有し、感染症パンデミック発生時にその1看護単位(30床)を感染症緊急対応病棟として利用できるように改修する。また、外来病棟の一部を改修して感染症検査部門を増設する。延床面積30,845㎡、地上7階、地下1階、高さ36mで、中央式熱源を有する。必要に応じて、熱源は追加設置または更新するものとする。

(1)改修する病棟と検査部門の空調システムを1例ずつ示し、説明せよ。

(2)(1)で挙げたシステムにて、留意すべき事項を交叉汚染防止、省エネルギーの観点からそれぞれ3つ述べ、説明せよ。

(3)この空気調和設備のリニューアル計画立案と実施において、業務を進める手順を簡潔に説明せよ。

(1)改修病棟の空調システム

病棟部は、病室の室圧を陰圧に保つよう各病室の給気、排気に風量差をつける。給気、排気ダクトにVAVを取り付けて風量調整をする。空調機は他の病室と分離して新設設置し、取入外気量は室内容積に対し2回/h、中性能フィルターを設置する。FFUにより室内空気を12回/hを目途に循環ろ過する。空調機7,500CMH×2、排風機3,000CMH×2、FFUユニット600CMH×30

検査部門も同様に室内陰圧とし、取入外気量2回/h、循環空気量6回/hとする。検査用クリーンブースは陰圧とし、排気にはHEPAフィルターを取付け室内開放する。空調機1,300CMH、排風機1,100CMH、FFUユニット750CMH×1台

空調機は更新し、単独系統として予備機を設け、電源は非常電源回路とする。給気口は逆流防止装置を取付けて、給気停止時の病原菌拡大を防止する。熱源は、外気による冷房負荷の増加があるので、必要に応じて更新する。

(2)交叉汚染防止、省エネルギー等の留意事項

1.建物給気口からの突風吹込、扉開閉、同一系統ダクトでの給排気量変動等の室圧外乱要素に迅速対応するため、室圧センサーにより給気量を可変させる。

2.廊下部分から病室への気流確保のために、廊下にも室圧センサーを取り付けて病室との差圧を確保する。

3.外気冷房を可能なものとし、外気負荷の削減をする。外来棟の換気は24時間対応とするが、夜間の診察時間外は風量を減らす。

(3)業務を進める手順

1.感染病棟、外来病棟共に、給気、排気ダクトは他の系統から分離する。

2.排気ダクト内負圧確保のため、排気ファンの位置を下流側に変更する。

3. 排気ダクトは極力短くし、外部排気解放前にHEPAフィルターろ過やオゾン除菌装置での滅菌をする。

4.排気ダクト内燻蒸のため要所に気密ダンパーを取付け、燻蒸ガス注入バルブを取付け、材質は耐食性のあるものを選定する。

予想問題 Ⅱ-2-4 簡易答案

大学の新築計画で都心の立地において、地上22階、地下2階、高さ125mの積層型タワーキャンパスの空気調和設備の設計責任者を担当することになった。低層部には、セミナー室、コンベンションホール、レストランが配置され、熱源機械室は5階となっている。6階以上の大学ゾーンには研究室、実験室、講義室が配置され12階から20階には吹き抜け空間が配置されている。省エネルギーと環境性を重視して、以下の問いに答えよ。

(1)2次側空調設備として考慮すべき事項を4項目挙げ、説明せよ。

(2)基本計画を検討し、計画内容を決定する上で、留意すべき重要な項目を3項目挙げ、説明せよ。

(3)提案する空調システムを1例挙げて、その内容と利点・欠点を説明せよ。

(1)二次側空調システムにて考慮すべき事項

1.自然エネルギーの活用をして環境性を高める。

CFD解析により、吹き抜け空間を利用した自然通風による気流と温度環境を計画し、快適性を向上させる。同様に、ナイトパージによる冷房負荷低減も行う。地中熱ヒートポンプによる再生可能エネ利用をする。

2.大空間スペースの換気効率向上

気流モデル実験にて置換空調方式を計画し、換気効率向上と省エネルギーを図る。

3.外気導入量のCO2濃度制御にて省エネ対策をする。

CO2濃度1,000を超えないように、換気量を可変させて搬送動力を低減する。

4.PMV値での空調制御により快適性を高める。

画像センサーにて活動量を測定し、着衣量と気流速度は想定してPMV値により室温設定を行う。

(2)留意すべき重要な事項

1.エネルギーの多元化によるBCP対策

中圧ガスコージェネレーションからの排熱を吸収式冷凍機熱源に利用し高層部冷暖房。空冷ヒートポンプモジュールチラーでの低層部冷暖房。

2.タスク・アンビエント空調にて省エネルギーを図る。

潜顕熱分離空調でのアンビエント空調と、輻射パネル冷暖房でのタスク空調。

3.建物空調ゾーン間での熱融通

ピーク時間帯の違う低層部と高層部の冷温水をバックアップ用として熱交換器にて熱融通し、熱源機容量を低減する。

(3)提案する空調システム;大空間は潜顕熱分離空調機による置換空調、床吹き出しと輻射冷暖房、自然通風。利点は快適性と省エネ性、環境性が高いシステムであるが、欠点は置換空調は吹出し面積が大きくなり、その分熱ロスが発生する点と自然通風では外気の埃による室内の汚れや、室圧の急激な変動が問題となる。

衛生工学部門 選択科目 建築物環境衛生管理 予想問題Ⅲ 解答者12 専門:空調

衛生工学部門 選択科目 建築物環境衛生管理 予想問題Ⅲ 解答者12 専門:空調

予想問題 Ⅲ-1 簡易答案

IOT、AI技術といった新たな技術により、経済発展と社会課題の解決をしていく社会的取組がある。SDGsアクションプラン2020のなかでもグローバルな視点で、人と機械・システムを強調させて様々な人の能力を最大限に発揮させるダイバーシティの実現が力説されている。これらを考慮した上で次の問いに答えよ。

(1)空調設備技術者としての立場で、ダイバーシティの実現における課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち、最も重要と考えられる課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(1)ダイバーシティ実現への課題

1.室内熱環境への個別満足度を確保し、人材の確保をしていく。

執務環境快適性を高め、多種多様な人材が働きやすい環境を作り人材を確保する。

2.空調にバイオフィリックデザインを取入れ、生産性を向上させる。

自然通風、外気冷房等で自然環境の直接的体験による精神的健康性向上を図る。

メンタル面での快適性により、多種多様な人材の生産性を向上させる。

3.空調技術者のグローバル化を図り、海外での市場確保をしていく。

外国人の採用により、日本の気候と類似した東南アジアへの技術展開を図る。

4.BIMなどIOT技術で女性や障害者の支援をして生産性向上を図る。

BIMによる現場遠隔支援で女性や障害者を採用し、生産性向上を図る。

(2)室内熱環境への個別満足度を確保し、人材の確保をしていく。

1.PMV値による空調制御にて快適性を図る。

PMV値による制御をして、個別PPD値で習慣による着衣量の違いを解消して、多種多様な人種、個別温冷感への対応をする。

2.タスク・アンビエント空調にて個別満足度を向上させる。

タスク域の空調にバリエーションをもたせ、個別の温冷感要求に対応する。アンビエント域は高齢者に配慮し、建物内温度差が少ない空調をしてヒートショックによる健康被害を防止する。スポット空調で、活動量の違いによる温冷感を解消する。

3.働き方の多様化とパーソナル空調に対応した省エネシステムの構築をする。

フレックスタイム制、テレワーク等により建物熱負荷の変動が不規則となるため部分負荷発生に対応した空調システムを構築する。熱源、搬送機器類のインバーター化、台数制御により部分負荷発生時の効率低下を防ぐ。

(3)新たに生じうるリスクとそれへの対応

リスク;個別の趣向、働く場所、時間帯が多様化するに従い、それらに追従した空調運転をすると、空調システムの最適省エネ運転ポイントの把握が複雑となり、運転操作ミスによるエネルギー消費量が増加してしまう可能性が増える。

対応;個別趣向は、ウェラブルセンサーやPPD申告をBEMSに取込んで

建物入居者の空調に対する個別趣向パターンを収集し、最適運転パターンをAIで分析、判断させシステム運転の自動化をする。

予想問題 Ⅲ-2 簡易答案

コロナウィルスの感染症パンデミック発生により、医療現場の受け入れ態勢が逼迫し、院内感染によるクラスターが発生している。病院における空気質清浄化はきわめて重要である。これに関連して以下の問いに答えよ。

(1)病院の院内感染防止のために、空調設備技術者としての立場で多面的観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち、最も重要と考えられる課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(1)院内感染防止の課題

1.清浄域から汚染域への気流確保し病原菌の封じ込めをする。

給排気ダクトにVAVを取り付け、風量バランスにより室内の陰圧を維持する。扉開閉、他室の風量調整時などに室圧外乱要素に迅速対応するため、室圧センサーによるVAV制御を追加する。

2.浮遊粒子の除去性能を高めて、院内感染を防止する。

換気による希釈、ろ過、殺菌による空気清浄度の確保をする。

3.CF解析により気流計画をして汚染物質の飛散を防止する。

 吹出し速度を0.4m/s程度として一方向気流を確保し、5以上の飛沫が人の呼吸域に入らないようにする。給排気口は汚染物質が有効排除されるよう配置する。

(2)浮遊粒子の除去性能を高めて、院内感染を防止する。

1. 感染症病室は取入外気量を2回/h以上にて汚染物質希釈をし、中性能以上フィルター装備のFFUで循環ろ過を12回/h行う。病原体検査室は取入外気量を6回/h、循環ろ過は6回/hとする。

2.粒径0.2前後の粒子除去のため静電気フィルターでの捕集、紫外線殺菌によるウィルス滅菌装置を設置する。

3.呼吸器感染症防止のため高湿度を避け、相対湿度最大60%とする。

4.排風機は下流側設置として排気ダクト内の負圧を確保する。また、排気処理設備を設け、中性能以上のフィルターでろ過後に開放する。空調機、排風機は24時間運転を原則とし、BCP対策から保安電源回路として非常時の病原菌拡散を防止する。

5.建物給気取入れ口の位置が冷却塔排気や建物排気を吸い込んで、レジオネラ菌などが院内蔓延しないよう配置する。

(3)新たに生じうるリスクと解決策

リスク;病室内に持ち込んだ医療装置などによる発熱がある場合、空調吹出温度を低下させるため、吹出口の結露水が飛沫核となって感染を拡大してしまう。

対応;吹出口を結露防止タイプとして、なおかつ吹出口面積を広くして風速を抑えて結露による飛沫核ができないようにする。また、冷水温度を高くできる輻射冷房により、室内冷房負荷を除去するようにする。

予想問題 Ⅲ-3 簡易答案

健康増進法が改正されタバコの喫煙が原則屋内禁煙となるなど、PM2.5が人体の健康被害に与える影響が危惧されている。PM2.5は自然由来のものや人為的なものがあり、その環境管理にはグローバルな取組も必要となってくる。

(1)PM2.5の概要をその発生原因を含めて説明せよ。

(2)PM2.5での健康被害抑制のため、空調設備として対策すべき内容を複数述べよ。

(3)(2)で述べた対策を進めていく上での課題について述べよ。

(1)PM2.5概要

粒径2.5以下の粒子状物質で自然起源、人為起源のものがある。前者は、火山、土壌等が発生源で中国の黄砂は代表的。後者は、ものを燃焼させたときに発生する一次生成粒子で、たばこの煙などが該当し、二次生成粒子は工場、自動車排ガス等や、塗料、印刷から発生するVOCが光化学反応を起こして発生するもの。

(2)対策すべき内容

1.フィルターにて外気浮遊粒子状物質を一次除去して、室内への侵入を防ぐ。

外調機の比色法60%以上中性能フィルターにて粗大粒子の除去をする。

2.高性能フィルターにてPM2.5を二次除去し、室内空気清浄度を保つ。

PM2.5は中性能フィルターでは除去しきれないため、HEPAフィルター、電気集塵機により、室内の粒径0.3以上の浮遊粒子を除去し環境基準を維持する。燃焼器具の排気は局所排気にて室内への拡散を防ぐ。

3.大気汚染を防止して、PM2.5の生成を防止する。

窒素酸化物や煤煙の発生を低減してPM2.5の生成を防止する。空調熱源のエネルギー源として石油系の使用を避け、煤煙発生を抑制する。太陽光熱利用、地中熱などの再生可能エネを利用し、一次エネ使用量を低減する。

4.窒素酸化物排出抑制技術を中国へ展開し、PM2.5の越境被害を防止する。

国際問題化されている中国の大気汚染を日本の技術で解消し、PM2.5の飛来を防止する。

(3)対策を進めるうえでの課題

1.ボイラー等の燃焼系熱源は天然ガスを使用し、NOx排出を低減する。

ガスコージェネレーションと排熱投入型吸収式冷凍機にて廃熱利用によるエネルギー効率を向上させ、NOx排出抑制をする。

2.高効率機器を採用しエネルギー効率を高め、一次エネルギー消費量を低減する。

熱回収型HPや高COP熱源機の使用により、消費電力量を低減し、発電でのNOx排出を低減する。

3.高性能フィルターの替わりにエアワッシャを利用してPM2.5除去をする。

高性能フィルターの交換、廃棄処理によるコストと環境負荷を低減する。エアワッシャで浮遊粒子の除去と共に、循環水を電気分解し次亜塩素酸を生成させて、室内菌類の殺菌をする。

予想問題 Ⅲ-4 簡易答案

オフィスの不動産価値の評価指標に海外で発展したWELLやLEED、BREAMがある。日本でもCASBEEが発明され、認証制度として生かされている。

(1)それぞれの制度の概要を説明せよ。

(2)それらの社会制度を円滑に普及させる上で留意すべきと考えられる事項について述べよ。

(3)実際に建物が稼働した後のエネルギー消費量について、現状の課題とその対応策について述べよ。

(1)制度の概要

EEDは米国、BREAMは英国で開発された、環境評価システムで建物ブランディングツールとして機能している。CASBEEは日本で開発されたシステムで建築環境施策の達成度合いを把握する行政支援ツールとして機能している。配点の高い項目は、LEEDはエネルギー、立地と交通、室内環境、BREAMはエネルギー、管理、健康と快適性、CASBEEは室内環境、エネルギーとなっている。

WELLは米国で開発され、メンタルヘルスに焦点を当てた評価指標となっていて健康と生産性向上を背景とした指標である。

(2)普及させる上で留意すべき事項

1.生産性向上により、環境評価の社会的認知度を高めて普及を図る。

PMV値による空調制御をして執務者の快適性を高め、生産性向上をさせる。自然通風、外気冷房等の自然環境の直接取込により、メンタル面での快適性を保つ。

2.BIMで環境性能指標の検証に活用して普及を図っていく。

BIMでCFD解析をして、気流や温度環境を検証して環境性能評価に活用する。

3. 企業の健康経営銘柄登録の手段として利用し、普及をさせる。

換気効率を向上させ、空気質を良好に維持して執務者の健康増進をする。企業の健康経営でのイメージアップと市場での株価上昇の手段として指標普及を図る。

4.ESG投資の促進での環境性評価として活用し普及を図る。

環境負荷低減などの社会的要請への貢献度を計る指標として、建物の価値評価をして、情報の非対称を解消し、環境性能の優れた建物が優先的に選択されるよう促す。

(3)建物稼働後のエネルギー消費量の現状と課題

1.認証取得後のエネルギー性能をBEMSにて継続管理する。

システム稼働後の機器劣化に伴う省エネ性能低下を監視して、最適運用ポイントの更新をし、環境性能の低下を防ぐ。

2.機器の故障予知をして、事前の機器更新をして省エネ性能の低下を防ぐ。

BEMSの運転データーをAIにて分析させ、機器の故障予知をして省エネルギー性能の維持をしていく。

3.BIMに機器属性情報を付加して、管理業務の継続性を図る。

機器更新情報の入力により、更新時期の把握をして更新機器、部品を予め準備する。

予想問題 Ⅲ-5 簡易答案

パリ協定がCOP21で採択され、2016年11月に発効した。世界全体の平均温度上昇を抑え、今世紀末までに温室効果ガスの人為的発生源による排出と吸収源による除去量の均衡を目指すこと等を定めている。

(1)温室効果ガス排出抑制のなかで、空調設備の課題として取り上げられるものを3つ挙げ、分析せよ。

(2)抽出した課題のうち、最も重要と考えられる課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対応について述べよ。

(1)空調設備の課題抽出と分析

1.再生可能エネ使用により化石燃料からの脱却を図る。

地中熱HP、太陽光発電を利用した熱源システムの構築。外気冷房、自然通風等のパッシブ空調を行い、自然エネによる低炭素社会創造を目指す。

2.快適性と省エネを両立させた高効率システムで一次エネルギー消費量低減する。

タスク・アンビエント空調、置換空調等にて快適性を保ちつつ省エネを図り、CO2排出量低減をする。

3.フロンの排出防止と熱源機器のノンフロン化にて温室効果ガス排出抑制をする。

フロンガスの回収・処分の適正化を図り、温室効果ガスの増加を防止する。ノンフロン熱源機を使用して、フロン使用の抑制をする。

4.熱源機器からの排熱を潜熱にて行い、ヒートアイランド防止をする。

空冷機器からの顕熱排熱ではなく、水冷機器の冷却塔による潜熱排熱としてヒートアイランドを防止し、冷房負荷抑制をする。

(2)再生可能エネ使用により化石燃料からの脱却を図る。

1.バイオマスを利用した熱源とする。吸収式冷凍機の再生熱源を木質ペレット焚きとして、カーボンニュートラルなエネルギー源とする。

2.地中熱や地下水を利用したヒートポンプによる冷暖房をして、CO2排出量の低減をする。建物杭に熱交換用チューブを打ち込んで、地中熱を採熱すれば、施工性が向上し、更なるCO2排出量削減に繋がる。

3.太陽熱を搬送動力として利用したソーラーチムニーにより、換気を行う。クールピットでの予冷をした外気冷房でエネルギーのクリーン化を図る。集熱パネルにて温水を発生させ、潜顕熱分離空調や吸収式冷凍機の再生熱源とする。

(3)新たに生じうるリスクと対応

リスク;バイオマスは木材、パーム椰子殻などが多く用いられるため、エネルギー利用での需要が高まれば、森林破壊や農作物の減少になってしまう。

対策;CO2排出権取引制度により、排出枠を基準にした余剰分と過剰分の取引を市場により取引する。森林などCO2吸収源の多い地域から排出権を買い取ることにより、排出量とのバランスをとっていく。再生可能エネ利用コストは高いためエネルギー単価抑制にも繋がる。

予想問題 Ⅲ-6 簡易答案

政府の成長戦略である日本再興戦略2016の官民戦略プロジェクト10において、スポーツの成長産業化が揚げられている。スタジアム・アリーナを「するための施設」から「観るための施設」へと改革し、ショッピングモール、ホテル、健康関連施設などと複合化して、地域活性化にも役立てる。また、災害時の避難拠点、救援物資の配給拠点としても活用可能な施設とする。このような背景において以下の問いに答えよ。

(1)スタジアム・アリーナの複合施設の空調設備としての課題をBCPと省エネルギーの観点から3つ述べよ。

(2)設計・計画する上での手順や留意点について述べよ。

(3)運用する上で考慮すべきことを述べよ。

(1)複合施設の空調設備としての課題

1.熱源のレジリエンス強化を図る

ガス、電気と共に、コージェネレーションを採用して、その排熱を利用し熱源のレジリエンスを向上させ、BCP対策としていく。再生可能エネルギーを利用したエネルギー多元化と省エネルギーを図る。

2.冷房排熱利用をし、省エネルギーを図る。

熱需要の異なる建物へ冷房排熱利用した温水供給にて、省エネルギーを図る。

3.アリーナの使用目的に合致した気流計画をする。

気流を抑えた置換空調として換気効率向上をする。災害時避難拠点使用を想定し、感染症の拡大を防止する観点から、気流速度を0.3m/s以下にする。

4.部分負荷に対応した省エネ運転する。

アリーナは利用しない時間帯も多いため、空調システムとしては部分負荷が発生しやすい。熱源、搬送機器類の省エネ運転が可能なシステムとする。

(2)設計・計画をする上での手順や留意点

1.廃熱投入型吸収式冷凍機でコージェネレーション排熱を利用する。地中熱HPによる再生可能エネを利用したエネルギー多元化を図る。

2.COPの高い熱回収型ヒートポンプチラーを採用して、通年温熱負荷のあるホテル、健康関連施設に冷房排熱を活用する。

3.アリーナ、ショッピングモールの気流、温熱環境をCFD解析による計画とする。照明排熱を吸湿材の再生熱源として利用した潜顕熱分離空調をする。快適性を目的としたPMV値による空調制御をする。

4.部分負荷対応のためファン、ポンプを台数分割すると共に、1台をインバーター化して搬送動力の低減をする。熱源機器類も台数分割して、故障時の機能停止を避ける。

(3)運用する上で考慮すること

1.プールの空調は、設定温度を28℃とし気流を抑えて水面からの蒸発による結露と塩素濃度上昇に注意する。スケートリンク使用時の温度は13℃とし、上層部からの下降気流による霧の発生に注意する。

2.健康関連施設は、高齢者の使用を考慮して、ヒートショックの無い均一的な温度環境になるように空調する。

3.熱源は24時間運転となるため再生可能エネを優先的に利用し、省エネを図る。

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