H26年 上下水道部門、上水道の答案について合格判定を致しました。

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問題 Ⅱ-1-1 

多層ろ過池について説明するとともに,砂単層のろ過池と比較して特徴を述べよ。

音声ガイドによるコーチング指導(18分36秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

解答

1.多層ろ過池について

 多層ろ過は、粒径及び密度の異なる複数のろ材で構成されたろ層を有するろ過であり、二層ろ過や三層ろ過がある。二層ろ過の場合、その多くは、ケイ砂の上に粒径が大きく密度が小さいアンスラサイトの充填を行う。(三層の場合には、ガーネットを用いる)。

 ろ層上部に大きな空間を有することにより、懸濁物質の抑留効果を高めているなどの特徴を有する。

2.砂単層ろ過池と比較した特徴(二層ろ過の特徴)

①高いろ過速度での処理が行える。

 単層ろ過のろ過速度120m/日~150m/日に比べ、多層ろ過の場合には、240m/日と約倍近い速度での処理が行える。これにより、ろ過面積を半分程度とすることができ、ろ過施設の省スペース化が可能となる。

②ろ過継続時間の長期化が行える。

 ろ過層上部のろ材の空間が大きく、濁質等の懸濁物質の抑留が単層ろ過より多くおこなえるため、ろ過抵抗の上昇が抑えられる。このため、逆洗頻度を低減することが可能で、ろ過継続時間を長くすることができる。これにより、逆洗排水の低減も行え、水の有効利用等効率的な運用が行えるようになる。

③ろ材の流出に留意が必要。

 密度の小さいアンスラサイトを使用するため、逆洗による流出が発生しやすいことから逆洗流量等に注意する必要がある。

■この答案はよく書けています。言うことはありません。            

問題 Ⅱ-1-4

給水区域内で確保すべき水圧とその確保のための管網設計における留意点について述べよ。

解答

1.給水区域で確保すべき水圧

 給水区域内のすべての給水栓において確保すべき最低の水圧は0.15MPa以上とされている。一方、配水施設等の保護等より水圧上限として0.74MPaが定められている。このことから給水区域で確保すべき水圧は、0.15MPa以上0.74MPa以下となっている。

 この必要な水圧が確保出来ているか確認する方法の一つとして管網計算があり、本計算を確実に行い、管網設計を実施することが重要であると考える。

■問題文で求められていな、不要なコメント、評価です。

2.管網設計における留意点

①現在の給水区域での計算実施

 現在の給水区域において、著しく水圧が他と異なる区域がないかの確認を行い、全ての区域で安定した水圧が確保できるような設計を行う。

②今後の給水人口や区域内の開発動向の確認

 将来的に給水区域内で開発が行われ給水量が増加した場合、給水末端で必要給水圧力が確保できなくなるおそれが考えられる。将来動向を踏まえ、給水主管の口径を決定するなど、全ての条件において、給水圧力を確保できるようにすることが重要である

■当たり前に近い前置きです。「いつも給水圧力を確保する」とは最低限のことで、それをどうやって実現するかの方針が求められています。

 また、人口が減少していく場合、配水拠点付近では、給水圧力が増大してくるおそれがあるため、それに対応することを想定しておくことも必要と考える。

 管網設計を行う場合には、給水区域全域で常に必要な水圧が確保できるよう検討を行うことが重要である。

■このようなどこでも当てはまる一般論ではなく、「管網設計における留意点」に焦点合わせて具体的に述べるように。

問題 Ⅱ-2-1

 我が国では,高度経済成長期以降に下水道整備が急速に進められ,管路施設 や処理場等の下水道ストックが増大している。今までに整備された下水道施設は,日々 劣化し,老朽化等による道路陥没の発生や処理機能の停止に陥る危険性があり,日常生 活や社会活動への重大な影響が懸念されている。 

 今後,さらに増加する下水道ストックや老朽化する下水道施設全体を将来にわたって 適切に維持管理・改築・修繕していくための手法として,ストックマネジメントが着目されている。あなたが施設管理の担当責任者としてストックマネジメントを導入,実践 する場合,下記の内容について記述せよ。

(1)導入により期待される効果

(2)業務を進める場合の手順

(3)業務を進める際に留意すべき事項

■問題文をお間違えになっていませんか。

解答

1.はじめに

 日本の水道は、現在普及率97%を越えており、いつでも、どこでも、だれでもが水道の水を利用できる世界トップレベルの施設である。現在、水需要者のニーズは量から質へ変化しており、安全でおいしい水への要望はますます高まっている。特に臭気に対して人は敏感であり、わずかな臭いでも問題となりやすく特に留意すべき項目の一つであると言える。

 オゾン処理は臭気除去に対して有効な方法であるが、導入に際しては様々な検討を行い、適切な施設を計画することが重要である

■不要な前置きです。出題者は求めていません。

2.導入に当たり調査確認すべき事項

①臭気発生物質の調査確認

 臭気発生原因の調査を行い、オゾン処理が有効であるかの調査確認を実施する。

②対象原水水質の確認調査(精査)

 問題となる物質が含まれていないか調査する。特にマンガンは、過剰オゾン処理した時に、ピンク色に着色するおそれがあるため留意が必要である。

■水質環境としてなら、納得できます。しかし、維持管理の内容になっていません。

③処理効果の確認

 バッチ試験や処理実験を行い、処理効果の確認及び注入率や必要接触時間等の設計諸元について整理する。

④維持管理体制等の確認

 オゾン処理施設の管理には、専門的な知識が必要となるため、継続的に人材が確保可能かなどの維持管理体制について調査を行う。

3.プロセス選定の留意事項

①他方式との比較

 他の臭気対策方式と比較検討を行い、当該現場にオゾン処理が適しているか確認する。建設費やランニングコストと含めた経済性の検討も重要な事項である。

②施設導入位置の検討

 現在の維持管理動線や処理原理等を十分に認識した上で、最適な施設導入位置及び場内配置の検討を行う。オゾン処理は後段に活性炭設備が必須であるため、その配置には十分に留意する

■水道のストックマネジメントのことが書かれていません。

4.導入設備に関する留意事項

①排オゾン濃度、作業環境への留意

 オゾンには毒性があるため、排出する排オゾン濃度を確実に把握するとともに、オゾン使用場所のオゾン濃度測定実施を行うなど作業環境の監視が必要である。

②オゾン注入率及び接触時間の管理

 流入水量の変動等により必要なオゾン注入量や接触時間が変動し、過不足するおそれが考えられる。確実な処理を行うために、処理条件の管理が大事となる。

③後段活性炭の適切な交換実施等の維持管理

後段の活性炭施設は、生物活性炭などの働きも期待できるが、オゾンによる劣化が懸念される。このため、水の安全性を確保するためには、活性炭の状況確認や適切な交換の実施が必要である。

問題 Ⅲ-2

 これまでの都市への人口や産業の集中,都市域の拡大,近年の気象変化等を背景に平常時の河川流量の減少,各種排水による水質事故の問題が顕著となってきている。このような状況を踏まえ,水道における対策について以下の問いに答えよ。 

(1)表流水を水源とする浄水場における課題について多面的に述べよ。 

(2)(1)の課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,解決のための技術的提案を述べよ。 

(3)あなたの技術的提案がもたらす効果を示すとともに,実行する場合の問題点について述べよ。

解答

1.はじめに

 表流水は、多量の取水に適しているため比較的大きな規模の浄水場で水源とされていることが多い。このため、一度水源事故が発生するとその影響も大きいため、水質事故には十分に留意する必要がある。

 近年、都市部への人口集中や都市域の拡大やゲリラ豪雨や少雨等の異常気象により、水源の汚染や原水水質の変動頻度が増加し、安定した浄水処理が困難となるなどの問題が生じている

■不要な前置きです

2.表流水を水源とする浄水場における課題

①水源上流域での事故等による水質汚染

 昨年発生した利根川流域のホルムアルデヒド流出事故のように、上流域での事故により薬品流出により原水が汚染される危険性がある。

②豪雨、少雨による原水水質の変化

 都市部の拡大により流域全体の保水機能が低下しているとともに、ゲリラ豪雨等の急激な降雨により、河川水濁度が急激に上昇することがある。一方、小雨により河川流量が減少し、原水水質が悪化している。

③未処理下水の混入のリスク

 取水口上流に下水処理場がある場合には、下水処理場における事故や停電等により、未処理の下水が河川に放流され、水質を悪化させるおそれが挙げられる。

④富栄養化による処理の不安定化

 ダム等による富栄養化の進行により、原水水質が悪化し、従来の処理では臭気等の除去が行いなど、浄水処理が不安定となる危険性がある。

⑤都市域拡大による水源汚染の危険性

 人口集中により水源付近まで都市部が拡大し、人の生産活動により水源が汚染される可能性がある。

3.重要課題と解決のための技術的提案

 重要課題として「取水口上流域での変化をすばやく捉え対応すること」を挙げ下記に技術的提案を述べる。

①流域連絡会の設立

 流域全体の工場や下水処理場その他施設関係者と流域連絡会を設立し、互いの施設情報や基本的情報の共有を行い、危険性を把握しリスク管理を実施していく。

②緊急連絡会の設置

 事故等が発生した場合にすばやく対応できるよう緊急連絡体制を構築するとともに、お互いに協力し対応できるようにする。

③水源保全活動の実施

 水源保全活動を行い将来にわたり継続的に良質な原水水質の確保を目指していく。また、保全活動を通じ、安全でおいしい水への取り組みを水需要者へ広報するとともに、水道への関心を高め、水の重要性を認識して頂き、水域の保全に結びつけていく。

4.技術的提案がもたらす効果と実行する場合の問題点

互いに情報を共有することにより、個別で情報収集していた労力を削減することが可能であり、協力して対策を行うことで対策費用を抑制することができる。また、上流での事故等の情報がすばやく得られるため、取水停止等により施設内への薬品混入を抑えられ、排水や洗浄作業が不要となり維持管理人員の削減が可能となると考える。

さらに、未処理の下水等の混入が防げるため、上水の安全性をより確実に得られるようになる。

一方、実現に対する問題点として、特に民間企業等にあると考えるが、協議会に対する費用や労力の供給が挙げられる。また、互いの利益に関する障害により、情報提供が困難となる場合も考えられる。

このような場合には、流域協議会や連絡会設立の重要性について十分に説明を行い、理解を得るとともに、秘密保持契約等の提案もして実現させていくことが重要である

■組織、人、コストをどうするかではなく、水のリスクをどう回避するかを述べてください。

5.おわりに

 表流水は上流域での影響を大きく受けるため、流域のみならず広い範囲での情報共有が重要と考える。地域のネットワークを構築することにより、安定した浄水の供給が行える強靭な水道を実現することが可能となる。

 水道に携わる技術者として、将来的に安定して持続する水道の実現を常に念頭に置き、様々な問題に取り組んでいくことが重要であると考える

■不要なまとめです。このようなお考えがあるなら、良い技術提案で示してください。

講評

 技術士試験答案では、部門科目の技術提案を求めています。専門分野から離れて、概論的に発散してしまったら解答でなくなってしまいます。このような誤りは厳しい評価を受ける場合がありますのでご注意ください。

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