2018年7月10日 機械部門、熱工学科目の方の電話によるコーチング指導

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 この日のコーチングによる指導時間は13時30分から、33分間行なわれ,その受講者様は機械部門、熱工学科目を目指す方で、居住地、東京から電話を用いて相談されました。機械部門熱工学のA様は過去問V問題を解いてこられて実力をつけられてきました。
 しかし、次の段階としてV問題を解こうとしたところ、急に問題の答え方のスタンスが違うことに気づかれて苦労されていました。U問題では機械部門・熱工学の専門知識や応用的主体でしたが、一方V問題ではマーケットの熱工学技術成果に対する需要や技術応用の知識が要求されるからです。熱工学と異分野との融合の意味がわからずに苦労されていたのです。具体的に問題をご説明しましょう。問題文は次のようなものでした。


 

V-1 熱システムは空調や発電など多岐に渡る分野で活用されており、近代社会の基盤を支えてきた。一方、市場のグローバル化や製品の多様化に伴い、従来の熱工学に基づくシステムと、通信技術・人工知能・バイオテクノロジーなどの異分野の技術を融合し、新たな価値を生む製品開発が積極的に行われてきている。異分野融合による製品力の向上に努めないと、いずれ競争力を失ってしまう可能性がある。このような状況を考慮して、熱システム設計者として以下の問いに答えよ。

(1)最新の異分野融合が行われている熱システムを1つ選び、その熱システムにおいて生み出される新たな価値を3つ挙げ、その内容を多面的な観点から説明せよ。

(2)(1)で挙げた価値のうち1つ選び、製品競争力をさらに強化するために、熱システム設計者として、将来必要になると考える異分野技術融合の提案を示せ。

(3)(2)の提案の効果と想定されるリスクについて論述せよ。


 

解答

1.ヒートポンプ給湯器の学習制御

1−1.使用者に応じた最適熱量の提供

 過去の使用実績から翌日に必要な湯量を予測し、夜間に沸き上げる熱量を最適化。

1−2.残り湯熱の回収による省エネ

 湯船の残り湯の熱を貯湯タンク側へ回収することで、翌日に沸き上げる熱量を低減する。

1−3.省エネ保温

湯船の水位が上昇した時のみ保温を実行し、保温によるエネルギーロスを低減する。

2.エネルギーマネジメント

 家の中に存在する家電製品や太陽光発電、蓄電池をIoT連携し、エネルギー使用量を最適化するエネルギーマネジメントが必要である。

2−1.HEMSによる高効率運転制御

 家庭における危機の使用状況を監視しながら、エネルギー授受を行う。消費エネルギーを平準化し、機器を個々に制御するよりも高効率な運転を実現する。

2−2.BEMSによる熱融通

商業施設内の熱システム設備について、BEMSによって統合制御を実施する。排熱の流量や温度等を把握し、吸着式ヒートポンプによって生成した冷却水を排熱設備の自己冷却や他の空調システムへ活用できる。

 


 

■講師コメント 問題文は(1)で挙げた価値、すなわちここでは(1使用者に応じた最適熱量、2残り湯熱の回収、3省エネ保温)のうちから1つ選び、

製品競争力をさらに強化するために将来必要になると考える異分野技術融合の提案

 を求めています。まず、1つ選んだのはどれですか。それを宣言しなければなりません。

また、将来必要になると考える異分野技術融合の提案とは上記のようなことではないでしょう。これらはすでに実現されていますし、異分野技術融合と言えるか疑問です。


 

3.提案の効果と想定されるリスク

3−1.提案の効果

 機器の消費電力を太陽光発電と蓄電池によって完全に賄うことが可能となるため、買い電力をゼロにすることが可能となり、エネルギーとして自立あるいは大幅に削減した熱システムを提供できる。

3−2.想定されるリスク

エネルギーマネジメントによって、機器や熱システムを統合制御するため、システムがサイバー攻撃を受けた場合、一部あるいは全ての機器について動作できなくなるリスクがある。対策として、ウイルス対策機能を有効化することが必要である。

 


■講師コメント 残念ながら解決策の提案に誤りがあるので、それをもとに回答した効果やリスクは、方向違いのものとなってしまって正解にはなりません。


 

まとめ

 この問題の解釈で見られたように、技術士の問題はいかに難しいかということがお分かりいただけたかと思います。単に技術的な知識があるだけでは問題に答えることができません。部門、科目の置かれた状況や今後の開発動向が見通せなければ回答する事が出来ないのです。

 本研究所のコーチング指導ではこうしたエンジニアの未来志向の提案を求める問題対して、マーケット動向や技術の現状を把握して、ベストの提案をできるよう指導しています。 その根本になるのは日本経済の現況を知ることであり、毎日経済新聞を読むなどして市場動向をつかむことに努めておりますので、このような指導は可能なのです。


 コーチングがいかに役立つかご理解いただけましたか。本研究所では受講生様の進度に合わせて指導しています。論文の理解度が欠けていると判断ときや、業績についても新しい視点が必要と判断したときは、随時電話、スカイプにてご相談の時間を持つように講師の側からお知らせしております。皆さんの技術士合格への疑問を短時間で解決するよう努めています。