H30/2018年 建設・施工 Ⅱ−2−2 問題 模範解答と解説

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 3回 2019.4.4  専門事項 施工計画

(1)環境に与える事象と理由、調査

1.井戸枯れ

1-1 理由:施工現場は、地下水位が高いため、掘削に伴い周辺の地下水が立坑に流入し、地下水位が低下する。その結果、周辺の井戸枯れが発生する。

 1-2 事前調査:立坑付近に観測井戸を設け、掘削前に地下水位の初期値を計測する。掘削中に地下水位が低下した場合は、立坑に注水し水中掘削とする。土留壁背面の地山を地盤改良し止水する。

2.周辺地盤の陥没

2-1 理由:施工現場は、地下水位が高く掘削も深いため、ボイリングの発生が懸念される。掘削底面と地下連続壁の崩壊により、周辺地盤の沈下や陥没が発生する。

2-2 事前調査:ボーリングによる土質調査をおこない、土留め壁の根入れを不透水層まで施工する。

3.地下埋設物の損傷

3-1 理由:施工現場は、住宅街の幹線道路あり、地下に水道・下水道・ガス・NTTなどの埋設インフラが多く存在し、掘削時に損傷させる恐れがある。

3-2 事前調査:管路図により埋設物の位置を調査する。埋設物の位置を地中レーダーにより確認する。埋設物が工事に影響する位置にある場合は、掘削エリア外へ切り回しをおこなう。

 (2)具体的な対策と施工管理上の留意点

1.井戸枯れ

1-1 対策

立坑掘削に伴い、汲み上げた地下水を再度地下に戻すリチャージウェルが有効である。加圧注水により効率的に復水し、周辺の水位低下を防止する。

1-2 留意点

リチャージウェルによる土留壁背面の水圧上昇や掘削底面のボイリング・盤ぶくれが懸念される。土留壁や周辺地盤の動態観測、地下水位計測により、注水量を調節し地下水位を制御する。

2.周辺地盤の陥没

1-1 対策

地盤にセメントミルクと空気を高圧で噴出し、現位置地盤と混合、置き換えをおこなう、高圧噴射攪拌工法が有効である。地盤強度を増加させ、改良体の自重と土留め壁との付着力により上向き浸透圧への抵抗力を増加させる。

1-2 留意点

高圧噴射かくはん工法は、セメント系固化材を高圧で地盤に噴出するため、市街地の幹線道路の隆起が懸念される。そのため、地盤を地表に排土することにより地盤の隆起を抑制する低変位型地盤改良機を使用する。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 6回 2018.8.26   専門事項 施工計画

1.立坑築造工事の周辺の環境に影響を与える事象 ①地下水の障害

地下水以下まで掘削を行うと、地下水の湧き出しがあり、掘削により地下水を排水する事で地下水位も低下する。

事前に調査する項目として地下水の水位を計測する。現場周辺に観測井戸を設け、工事前から工事後の水位変化量を計測する。工事の影響により、地下水位が変化するかを観測する。

②周辺建物の自重に伴う地盤沈下及び地盤の変形

 掘削の進行により掘削側と壁外側との地下水位の差が大きくなり、浸透圧力が土の有効自重より大きくなった時に、掘削面の安定が損なわれボイリングが発生する。周辺地盤の沈下状況を常時観測して、地盤の変形、沈下が無いかを調査する。

③地層構成の変化

 地層構成の確認と資料採取の目的としてボーリング調査を実施する。深さは支持層となる地盤の深さ(N値30以上の層が3〜5m程度連続して確認される深さ)までを目安とする。軟弱地盤で液状化が想定される地盤なので、軟弱な土層が厚い場合など地盤種別の判定のために25m程度を目安とする。ボーリング調査では、必要に応じて標準貫入試験を行う。

2.環境への影響の低減に有効な対策

 ①リチャージウエル工法

 ディープウエル等で揚水した地下水を掘削箇所周辺に配置したリチャージを用いてただちに透水層に還元する方法である。リチャージウエル工法は、ディープウエルポイント施工時の地下水位低下による地盤沈下、井戸の枯渇等の防止方法として有効である。

また、井戸内の水位を定期的に計測し、目詰まりの進行についても観測して必要に応じて定期的に井戸洗浄を行う。

②山留め壁及び背面地盤の挙動測定

掘削に伴い山留壁のたわみ、変形に伴い、土留め壁背面の地盤沈下が予測される為、周辺地盤の沈下を計測管理する。計測方法として、立坑山留壁の水平変位を計測する為に、山留壁の長辺側と短辺側の2地点の多段式傾斜計を設置して計測する。また、山留め壁の背面地盤の地表面沈下量の測定も実施する。

周辺地盤に沈下があった場合は、掘削面の安定が損なわれボイリングが発生するので、締切り内の止水を兼ねた地盤改良を行う。

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