H29年 建設部門、河川・砂防の答案について添削致しました。

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この答案についての講評

「自身のこれまでの経験を生かして、他の人が経験したことなのない記述ができた。だから高得点が期待できると自負している」とメールに書かれていましたが、残念ながら試験ではそのようなことは求められていません。本当の試験の狙いをご理解された方がよいでしょう。

 また、Ⅱ―1−3の1問だけ時間切れで書けず、それが時間切れとなったてくやしい思いを避けたとのことでですが、弱点はそれだけではないようです。

 合否判定は難しいようです。間もなく結果が出ますので、結果に対する評価として、このコメントを参考にしてください。役所にお勤めの方の特有の弱点が現れています。正式な解答法を学ぶ練習法として、問いの文章に対してどのような回答文で答えたらよいかをきっちり練習されることをお勧めいたします。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(27分30秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題

Ⅱ-1-2   ダム貯水池の堆砂について,ダム下流河川への土砂の還元が可能な対策を計画する際の留意点を述べよ。また,ダム下流河川への土砂の還元が可能な対策の事例を2つ挙げ,それぞれについて特徴と留意点を述べよ。

解答

1ダム下流河川へ土砂還元をする対策計画の留意点

 近年、異常気象による集中豪雨が増している。50mm/h以上の平均降水回数は1976から1980年と2012から2016年と比べ61回も増加している。それに伴い、土砂災害では平成19年から平成28年までの年間平均で1100件発生している。このように、上流域からダムへの土砂が大量に流入している。今後、さらに集中豪雨が発生すればダム堆砂池への土砂が増していく

■この最初の段落はすべて留意点ではなく、前置きにすぎません。統計的な傾向は難しい話ではなく、それらをベースとして技術者としてどう判断するか、すなわち技術者としての視点が求められています。

(1) ダム堤体天端のかさ上げ

■ここは出題趣旨と反対のことでは?(2)のように土砂を流す方法を考えるべきです。

a) 特徴

 ダム堤体天端にコンクリートを打設し、洪水容量を

増させる。これにより、上流からの大量の流水と土砂を補足でき、下流への影響を少なくすることができる。

b)   留意点

 洪水容量を大きくするため、ダム本体に水圧がかかり、クラック等が発生し安全性が保てなくなる場合がある。

(2)  サンドバイパスによるダム土砂排出

a)   特徴

堆積した土砂をバイパス化させ土砂を流下させる。

これにより、下流河川の河床低下時に土砂を供給することができる。

b)   留意点

 土砂の流下が多い場合は、バイパスの管が閉塞し、

土砂が流下できなくなる可能性がある。

Ⅱ-1-3

 近年の大規模地震によって発生した土砂災害の形態を2つ挙げ,周辺地域に及ぼす影響,及び被害を防止・軽減するために砂防分野において震後に行うソフト対策・ハード対策についてそれぞれ述べよ。

解答

1近年の大規模地震によって発生した土砂災害

(1)   急傾斜地崩壊

a)  ソフト対策

 急傾斜地は高さ5m以上、勾配30度以上となる突発的な崩壊であるため、近隣の場所へ避難行動を起こす。

b)    ハード対策

 ?(1〜2行くらい書いたかもしれません)

c)   周辺地域に及ぼす影響

 急傾斜地付近には、家屋が密集しており、人家被害が甚大となる。

■残念ながらこのようなことは求められていません。

Ⅱ-2-1

 近年,想定を上回る規模の災害の発生も見られる中,ハード対策に加えて被害想定範囲等を示したハザードマップを活用したソフト対策の重要性が増していることを踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)河川,砂防及び海岸・海洋のいずれかの分野を選択し,被害想定区域の設定からハサードマップの作成に至る手順を概説せよ。

(2)(1)で扱ったハザードマップについて,活用上の留意点を述べよ。

解答

1被害想定区域の設定からハードマップ作成の手順

(1)      砂防分野を選択した理由

 砂防分野を選択する。土砂災害は、前兆を捉え難くその発生を予測することが困難である。また、自然災害の中でも41%と最も割合が多いからである。

■このような理由は求められていません。

(2)      土砂災害危険個所の確認

 

 最初に、地形図等から土砂災害危険区域を調査し確認する。わが国では、土砂災害危険個所は52万箇所あり、土石流は18箇所・地すべりは1万箇所・急傾斜地崩壊は33万箇所ある。

(3)      土砂災害防止法に基づく基礎調査

 土砂災害危険個所を確認したら、管理者(都道府県)で現地調査等を実施する。そこで、地形・地質・被害想定範囲等を調査し、被害範囲等を明らかにする。

(4)      土砂災害警戒区域等の指定

 管理者で想定した被害範囲等を地域住民に説明し、

土砂災害の形態・影響範囲等、危険があることを理解してもらう。その上で、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定を行う。指定されたら、各市町村やインターネットで閲覧でき、だれでも危険個所を確認することができる。

(5)      地域による自主防災組織体制の確立

 土砂災害警戒区域をもとに自助・共助の減災を主体とした地域による自主防災組織体制を確立する。具体的には、地域住民で防災訓練や学習等を行い土砂災害に備えた活動を行う。

(6)地域住民によるハザードマップの作成

 自主防災組織による地域住民主体のハザードマップを作成していく。その際、行政側の公助の一つとしてリアルタアイムハザードマップやタイムラインなどを支援し自助・共助と連携していく。これにより、地域住民主体の自助・共助に基づいた減災ハザードマップが作成される。

■マップとは関係ない話を展開されています。土砂災害とはどこで発生しているのか、もっと本質的な話として掘り下げていくべきかと思います。

2ハザードマップ活用上の留意点

(1)      土砂災害警戒区域等指定の遅延

 土砂災害区域等の中のレッドゾーンでは、土地の評価額の低下や建築物の強化費用の面で反対者が多い。レッドゾーンの現在の指定率は25%である。土砂災害区域等が指定されないと、自主防災組織が確立化されなくなり、防災訓練や学習が進まなくなる。よって、今後、住民主体のハザードマップ作成が進まない場合がでてくる。

■ネガティブな話ばかりで、解決策が示されていません。

(2)      自主防災組織の継続化

 現在、わが国の核家族化の割合は61%にもなる。さらに、高齢化は進み現在の約27%から平成37年には30%を超え地域のコミュニティーが失われる可能性がある。このような状況で、今後、地域による自主防災組織の活動されなくなり、ハザードマップが活用されていかない場合がある。

■問題点の指摘ばかりでハザードマップについての解決策が示されていません。

Ⅲー1

 我が国では,高度経済成長期に社会的要請に基づき急速に整備した社会資本の老朽化に対して,厳しい財政制約の下,効率的に対応していく必要がある。そのような状況を踏まえ,社会資本の整備や維持管理の分野においては,既存ストックの有効活用を図ることが求められている。河川,砂防,海岸・海洋分野における既存ストックの有効活用に関して,以下の問いに答えよ。 

(1)河川,砂防,海岸・海洋分野において,現在取り組まれている既存ストックの有効活用に資する具体的な取組の例を2つ挙げ,その概要を説明せよ。 

(2)今後,より積極的に河川,砂防,海岸・海洋分野における既存ストックの有効活用を推進していくに当だっての課題を2つ説明せよ。

(3)(2)で記述した課題に対して,それぞれの改善方策を提案せよ。

解答

1既存ストックの有効活用に資する具体的な取組例

(1)   河川堤防の強化

 近年の異常気象により集中豪雨が多発している。1901から2015年の100mm/以上の降水回数は、0.39回増加している。また、2076から2095年の将来の降水回数では、0.51回も増加すると予想されている。このような状況では、洪水が多発し堤防決壊・氾濫を引き起す。破堤の要因で最も多いのは、越水によるものである。平成23年9月の紀伊半島豪雨では、河川が11箇所越水し、うち2箇所が破堤した。そこで、越水による破堤を防ぐため、裏法に合成繊維を張り付け、その上に植生マットで覆う。さらに堤防天端にはアスファルトを施す。これにより、越水破堤を防ぐことができ、破堤となっても時間を要せるため、周辺住民の避難に余裕ができる。

 ■最初の文は答えではなく、すべて前置きに相当します。

(2)    砂防堰堤の排砂

 不透過砂防堰堤の堆砂域では、経年の上流からの土砂流下で満砂状態となっている。満砂となっていれば、下流の河川が天井川となり、堤防を越水し大規模な氾濫を起こす。そこで、堆砂域の土砂をロングバックホウ等で排砂しポケット量を増やす。これにより、上流からの土砂が流下してもポケット量があるため、土砂を補足できる。

2既存ストックの有効活用を推進する課題

(1)      既存ストックの不具合数

 河川管理施設等では、国と都道府県をあわせて、約12千箇所あり、うち不具合が4千箇所ある。さらに、将来50年経過する国河川管理施設では、平成35年で約4割・平成45年で約6割となる。さらに近年の異常気象により益々既存ストックが老朽化していく。よって、いかに、このような不具合数の多い既存ストストックの中で有効活用を推進していくかが課題ある。

(2)    有効活用を推進していく狙い手不足

 建設技術者は、平成9年におけるピーク685万人から、平成27年では500万人にまでなり27%減少した。また、高齢者の技術者数は、今後10年間で1/3離職していく。よって、このような、少していく建設技術者数で、いかに既存ストックを有効活用し推進していくかが課題である。

■いずれも問題文と同じ趣旨でダブリとなっています。躯体的な議論をしてください。

3課題に対する改善方策

■ここは内容的にはOKです。ただし、暗記していた用意した内容を書きだした感じがします。(2)の課題に対して、(3)がその解決策となっていないような、論理の矛盾を感じます。

(1)      既存ストックの不具合数

a)       ドローン等を活用した既存ストックの調査

 既存ストックを有効活用する前に老朽化した施設の

補修を行う。そのためには、既存ストックの調査が必要である。しかし、河川、砂防等分野では、山地など現地踏査が困難である。そのため、ドローンを活用し早期にクラック等を見つけ補修を行う。これにより、将来老朽化が進んでいく既存ストックを防げ、今後の既存ストックの有効活用を図ることができる。

b)       急傾斜地施設対策

 急傾斜地危険個所は、全てで33万箇所あり、うち整備率は26%で最も多い。さらに、急傾斜地は高さ5m以上・勾配30度以上・被害影響範囲は高さの2倍である。また、斜面には表層として脆弱化した堆積岩類等が1から2m堆積しており、地震や豪雨があると突発的に崩壊する。そこに人家が密集しており、斜面崩壊があると甚大な被害を引き起す。そのような、河川、砂防等の分野で施設数が多く、突発的な被害を起こす急傾斜地では、優先的に対策を行う。具体的には、法枠やブロックが多いが、その上からロックボルトを打設する。これにより、施設数の多い急傾斜地を簡易に施工でき、かつ有効活用を図れる。

(2)     有効活用を推進していく狙い手不足

 ICTを全面的に活用する。人手の測量をドローンで行い3次元設計データを得る。その設計データを無人建設機械転送しで施工する。これにより従来の人手がなくても生産性を確保でき、既存ストックの有効活用が図れる。もう一つが、若者の入職を増加させることである。高校・大学の建設現地視察は、施工中のものである。一方、阪神淡路・東日本大震災では、多くの若者がボランティアで自ら参加している。そこで、高校・大学生に被災地でボランティアとして参加させ被災地や被災者と向き合わせる。そして、建設業こそが災害を防止できると悟ってもらい建設業全体で取組む。これにより、おのずと若者は入職してくる。

 

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