R1年 電気電子部門、情報通信の答案について添削致しました。

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この答案についての講評

 見識や表現力文章はOKですが、論点がややそれているようです。問いが求めている議論の中心に答えないと点が取れません。答案の良いところ、悪いところ、それから得点する上での注意は音声でご説明いたします。

 応用力問題では変化球のように、いきなり未知の問題を解かされます。ですから普段から練習しないと解けません。音声ガイドに基づいて練習していけば予想問題に対する対策法がわかるようになり、必ず合格できます。


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問題

T-2

 我が国の人口は、2008年をピークに減少に転じており、2050年には1億人を下回るとも言われる人口減少時代を迎えている。人口が減少する中で、電気電子技術は社会に置いて重要な役割をはたすものと期待され、その能力を最大限に引き出すことのできる社会・経済システムを構築していくことが求められる。

(1)人口減少における課題を、技術者として、多面的な課題から抽出し分析せよ。解答は抽出、分析したときの観点を明記した上で、それぞれの課題について説明すること。

(2)(1)で抽出したか課題の中から、電気電子技術に関して最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題の解決策を3つ示せ。

(3)その上で、解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれえの対策について専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)(1)から(3)までの業務遂行において、必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

 


解答

1.人口減少時代における課題

(1)社会の観点

 ここは観点ではなく課題を書くところです。観点は多面的な考察を誘導するための要求であって主題ではありませんし、ここでは求められていません。一方、書かねばならない課題が書かれていません。

 

最新のデータでは日本の人口は1億2千4百億人。生産労働人口がその59%、65歳以上は28%にも及ぶ。少子化と共に65歳以上の人口比は更に大きくなっていく。高齢者が地域とのコミュニケーションを図る場が一層必要となってくる。

(2)企業の観点

企業にとっては熟練者の退職が続きそのノウハウが企業から離れてしまう。先進国の中でも日本の生産性は低くこのままでは生産性の向上は望めない。人口減の中でも企業の生産性を向上させていく必要がある。

これは問題文にも書かれており前提に近いことですので答えに相当しません。

 

(3)労働者の観点

企業はその生産活動のために新しい技術を導入したり機械による自動化を図っている。人が減り労働者としてはその作業範囲を広めるためにも技術を吸収し自身のスキルアップを図って行く必要がある。

2.重要と考える課題とその解決策

 最も重要と考える課題は企業の観点で述べた「生産性の向上」である。というのも生産性を上げることが社会経済を維持発展させることにつながるからである。以下に解決策を示す

前置きは冗長なので不要。こうした書き方は消極的な姿勢を記すことになりますので単刀直入に書くことをおすすめします。

 

(1)AI、RPAの活用

ディープラーニング技術、ビッグデータ収集、計算機の高性能化によって精度の高いAI処理が可能になっている。今までは人手で実行していた作業の非定型部分までがAIやRPAによって可能となっている。(2)テレワークの活用

女性や高齢者など働く意欲がありながら生産に携われない人のために在宅勤務やモバイル勤務、サテライト勤務を提供する。またそのためのコミニュケーションツールやDaaSを活用してセキュアな環境とする。

(3)IoTの活用によるイノベーションの創生

フィジカル空間とバーチャル空間をつなぎ、今まで処理できていなかった非定型なデータを収集、分析、予測を行う。これによって予防保全を行い生産性の劣化を防ぎ、新たなビジネスの創出を行っていくことが可能となる。

3.解決策に共通するリスクとその対策

前置きの議論は不要です。単刀直入にリスクを言う。

リスクとはなにか。破壊的状況がわかりません。

 

 上記の解決策に共通するのはネットワークを介してデータの流通を行っていることである。例えばその遅延を最小化しながらAIを遠隔で操作する。高速大容量の映像データを臨場感を持って家庭と企業とで共有しながらテレワークを進める。膨大な数の非定型なIoTデータをネットワークを介して収集する。こういった多種多様なネットワークサービスを個別に準備することで一時的な生産性の向上にはつながる。しかし、個別のコストが発生したり保守運用が個別になることで恒久的な生産性の向上にはつながってこない。これがリスクとなる。対策はネットワークのプラットホーム化である。図1にはネットワークプラットホームを示す。足回りにはHetNetを利用して多種多様なサービスのデータを一元的に受け付ける。そのサービス機能の切り出しははコアネットワークのネットワークスライシング機能によって行う。仮想化したサーバやそのうえで動作するNFVによって実現する。

図1で提案している内容が何か良くわかりません。また、この提案がなぜ対策となるのか。提案の狙いがはっきりと書かれていません。

 

4.業務遂行に必要な要件

(1)技術者としての倫理から必要な要件

 データ流通には個人情報も流れるためデータ流出、改ざんやなりすましの可能性がある。個人情報保護のためのセキュアプロトコルの採用や匿名加工技術の採用も要件に含めていくことが必要となる。情報銀行の活用も検討する。

 ここは答えがやや違っています。(1)から(3)までの業務遂行において、必要な要件です。技術者としての倫理ではなく、業務を正しく行う上での倫理的判断はどうあるべきかを問いかけています。

 

(2)社会の持続可能性から必要な要件

 ネットワークプラットフォームの可用性を高めることが社会の持続可能性を高めていく。人口減となっても生産性を高め社会の発展を継続させるためである冗長化や障害に強い強靭なネットワークの構成とすることが必要となる。 

そのために何をすることが要件なのか。 

 


U-1-3     

 OFDM変調信号の生成方法について説明せよ。さらに、OFDM変調信号の持つ利点と欠点をそれぞれ説明し、どのような通信システムへの適用がふさわしいか述べよ。


解答

生成方法を単刀直入に書くことをお勧めいたします。図の説明は必ずしも役に立っていません。

 

1.OFDM変調信号の生成

図1にOFDM変調で利用するサブキャリアの信号を示す。数学的に直交する各サブキャリアによって独立した信号が変調される。これら直交するサブキャリアで変調されるために信号相互間での干渉が発生しない。

図1はあまり深い内容もなく、概略的に説明の補助(イメージを示す)程度にすぎません。

2.OFDMの利点と欠点

利点@FDMに比べると、干渉防止のためのサブキャリア間のGBが不要となる。従って周波数効率が高くなる。A独立した信号の並行伝送ができるため高速通信が可能となる。

欠点@マルチパスフェージング対策のためのCPが挿入されるが、マルチパスフェージングが長いとCPも長くなり伝送効率が悪くなる。A変調した信号のサイドロープが発生し隣の信号と干渉を起こしやすくなる。サイドロープを除去するフィルタが必要となる。

3.OFDMの利用にふさわしい通信システム

OFDMは4Gや5Gの他に無線LANや地上デジタル放送にも利用されている変調方式である。リアルタイム性の必要な高速伝送に向いている。

 


U-2-2

  あなたは、不特定多数の人が出入りする、ある商業施設の公衆無線LANシステムの管理業務担当責任者である。最近、この公衆無線LANの利用者から、データのアップロードに、通常より大幅な時間が掛かるとのクレームが頻繁に報告されるようになった。あなたがこの問題に対処するため、必要に応じてシステムを更新する一連の業務を進めるにあたり、以下の内容について記述せよ。

(1)想定すべきすべての要因を明記したうえで、問題の切り分けを行うための調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意する点、工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

 


解答

1.想定する要因と切り分け事項、その内容

本無線LANシステムの既設計で、何人の同時アクセス想定したのか、データサイズ、通信する距離はどう設計したのかといった設計条件と設計値での事実確認を行う。

(1)要因1:同時アクセス数が設計値より多い

アクセス者が増えると無線LANのチャネル待ちが発生する。或いは隣人との電波の干渉が起きやすくなる。これらが原因となる。切り分けは、事象再現時にアクセスポイントのログを採取してチャネル待ち動作やリトライ発生の有無を確認する。

(2)要因2:データサイズが設計値より大きい

アップロードするデータのサイズが設計値より大きいと転送時間が余分に掛かる。切り分けは、再現試験を行ないデータ転送時間を測定する。

(3)要因3:アクセスポイントまでの距離が長い

 人の出入りが増えているため、アクセスポイントから離れたところからアプロードしている可能性がある。電波は距離と共に減衰するためアップロードの際に転送リトライが発生する。切り分けは要因1と同様に通信ログを確認しリトライ有無など確認する。

1は比較的良く書かれていますが、2以降では業務手順がうまく述べられていません。

 

2.業務を進める手順、留意点、工夫点

 業務を進める手順を図1に示す。原因を特定し、除去できるものは取除く。

留意点としては、原因と取り除いた後に事象が再発しないことを確認する必要がある。また、その再発しないことを一定期間監視する稼働監視の期間を設けることである。工夫を要する点としてはシステム更改となる場合には既設計の流用してコストや工期の短縮を図っていくことである。

3.業務を効率的、効果手時に進めるための関係者との調整方法

 業務を効率的に進めるにはオーナーや店舗関係者との認識合わせが重要となる。以下を進めてステークホルダとの関係を深める。

(1)原因の説明

 データのアップロードが遅くなった原因の説明をオーナーや店舗関係者に行う。それによって以降の対応策が変わってくるからである。

(2)費用の説明とシステム更改の計画の説明

システム更改や原因の取り除きで発生するコストを明確に伝える。そしてシステム更改の場合にはその計画を伝えて状況を理解していただく。



Vー1

 高速大容量・高性能な通信環境が広く提供される時代の到来により、ライフスタイルやワークスタイルの変革が期待されている。それらの通信環境の特徴を活かした高度なサービスでは一人一人の利用環境や個々の端末に応じて柔軟にきめ細やかな情報を提供することが重要となる。この場合、インターネット経由の集中型クラウドでは処理が集中するために高速大容量・高性能な通信の利点がエンドツーエンドのネットワーク全体では活かせなくなる。それを活かすにはいわゆるエッジコンピューティングを活用することが求められる。このような状況を踏まえ、情報通信ネットワーク分野の技術者として以下の問いに答えよ。

(1)上記のエッジコンピューティングを活用する上での課題を、技術者として多面的な観点から抽出し分析せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題の解決策を3つ示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうる懸念事項とそれへの対策について述べよ。



解答

1.エッジコンピューティングを活用する上での課題

(1)利用環境の違い

違いが何なのか。課題が良くわかりません。

エッジコンピューティング利用者一人一人の利用環境が異なっている。固定網、無線網、或いはWiFiといった多様な利用環境に対応する必要がある。データ速度、帯域保証の有無なども必要となってくる。

だから何なのか。やはり課題が見えません。

 

(2)処理の集中

エッジコンピューティングに収容する端末が増えれば増えるほど処理が集中する。処理が集中すればレスポンスが悪化する。希望するレスポンスに応えるためにも処理の集中への対応が必要となる。

集中する問題点はわかりますが、では情報通信技術でどう対応するか提案の焦点がはっきりしません

 

(3)膨大なデータ量

図1にはエッジコンピューティングの構成を示す。エッジ側の端末のIoTデバイスは2020年には世界中でも300億個を超えると想定されている。発生するデータ量も2021年には2018年の2倍にあたる319エクサバイト/月となる。この膨大なデータを処理していく必要がある。

ここも同じ。問題点を示すだけで情報通信技術での対応がはっきりしません

 

2.重要と考える課題とその解決策

 最も重要と考える課題は「処理の集中」への対応である。というのも処理の集中が回避できれば大容量高性能な通信の利点を活かすことができるからである。以下に解決策を示す。

ご自分の提案を羅列するだけで、それならどうやって課題に対応するかが見えません。課題の分析が不十分だったせいもあるかと思います。

 

(1)ヘテロジニアスネットワークの活用

図2に示すHetNet構成でトラフィックの最適化を行う。ネットワークリソースの空いている網を活用して利用者と通信を行うのでその網の配下にあるエッジコンピュータへのトラフィックが分散されることになる。

 (2)1:n配信の軽量化プロトコルの採用

例えばMQTTプロトコルではエッジコンピュータは膨大なIoTデバイスと直接通信する必要はない。MQTTブローカとだけ通信を行えば、MQTTブローカがIoTデバイスにデータを配信する。このような1:n通信が可能なプロトコルをエッジと端末側で採用する。MQTTブローカが負荷分散の役目を果たす。

(3)プロキシサーバの活用

プロキシサーバは企業がインタネットにアクセスする際にキャッシュを行い余分なインタネットアクセスを防ぐための技術である。このサーバをエッジ側にも設置する。利用者が参照するデータは同じものが多くリピート率が高い。従ってこのキャッシュへのアクセスによりエッジコンピュータへのアクセスの集中が減ることになる。

3.解決策に共通して生じる懸念事項と対応

上記の解決策に共通するのはネットワークを介してデータの流通を行っていることである。 

(1)懸念事項

@可用性

 データセンタや基幹のネットワークは障害発生時、或いは災害発生時に対応するための冗長化対策が何層にもわれている。震災の苦い経験から生じた対策である。エッジコンピューティング側でも同様の障害時、災害時の対策を折り込むことが懸念となる。

これがどうして懸念事項、なのか?

 

Aセキュリティ

 利用者に最も近いところにあるエッジ側では利用の個人情報や見えやすい。これらの情報の流出、改ざんが行われる可能性が懸念事項となる。

(2)対応策

@可用性を高める対策

 冗長化構成だけでなく、エッジコンピュータの分散設置を提案する。利用者には複数のエッジコンピュータを見えるようにしメッシュネットワークの構成とする。利用者の利便性も高まるからである。

Aセキュリティを高める対策

セキュアプロトコルの採用とIPアドレスを利用しないNIID技術を提案する。攻撃する標的を隠ぺいするためである。