R1年 衛生工学部門、 廃棄物・資源循環の答案について添削致しました。

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この答案についての講評

 全体的な書き方の注意として、前置きが長いようです。現在は単刀直入に書くことが求められています。また、表が多いようですが、こんなに多いと文章の内容が薄くなって逆効果です。一般的に文章で十分表現できます。これは指導機関の講師の指導によるものだと考えますが、昔の先生ではないでしょうか。今は表がなくても十分合格できています。大変惜しいことをされたと思っています。

 T-1は課題設定に問題があったようです。衛生工学の糸口によって解決の方向性を示せていないようです。2ページ目では方法論を書かれていますが、本当にこれでよいのか…?まだ説明不足な気も致します。V-2は主題とやや違うことが書かれています。また表形式を多用することで細かい内容を表し切れていません。本講座の答案練習でできれば、本来の論文としての説明の仕方を習得していただけたらと思います。そうすれば楽勝で合格できます。

 答案の良いところ、悪いところ、それから得点する上での注意は音声でご説明いたしますのでお聞き願います。

 技術士試験の難しさは、何を求められているかわからないところにあります。一方、このような試験に対して、技術経営、マーケット志向の視点から考えると間違いがありません。音声ガイドコーチングでは、予想問題練習で問題への対処法をご説明しますので必ず合格できます。


この指導の音声ガイドを聞く

 音声ガイドによるコーチング指導内容(20分46秒)がダウンロードされますのでお聞きください>


問題  

I −2 我が国は、温室効果ガス削減の目標として、2030年までに2013年度比で26%削減するとしている。このため、あらゆる施設において温室効果ガス削減の対策が求められている。このことを踏まえて以下の問いに答えよ。

(1)       あなたの専門分野における省エネ等の温室効果ガス削減対策の現状について述べるとともに、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)       抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)       解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)       上記事項を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。

 


解答

このような前置きは不要です。

私は、廃棄物処理施設の技術者である、その観点から記載する

SDGsやパリ協定にも温室効果ガス削減が盛り込まれている。日本の温室効果ガス削減として2030年までに温室効果ガスを26%削減、2050年までに80%削減目標を立てている。廃棄物処理施設は、国内の温室効果ガス排出量の3%を占める。廃棄物処理施設も温室効果ガス削減に努めなけれならない。

廃棄物発電は、ごみ中にバイオマスを含む再生可能エネルギーであり、温室効果ガス削減に貢献する。

 

(1)廃棄物処理施設での温室効果ガス削減の現状と課題          

現状の分析はそこそこにして課題を単刀直入に挙げるように。

温室効果ガス削減は、あまり進んでいない。

以下に示す項目が課題と考える。

@    エネルギー回収が進んでいない。

A    人口減少、人で不足

B    小規模施設が多い

中小都市(10万人以下)廃棄物50〜100万t/日 8%、50t/日以下でほぼ0%とエネルギー回収し温室効果ガス削減が進んでいない。

これらは問題点にすぎません。誰でもわかること。

どうやってこれらを解決するのか。衛生工学の視点で分析することです。

課題とは、工学原理を応用した対策の基本方針にほぼ近いものとお考え下さい。

 

(2)廃棄物処理施設の熱回収による温室効果ガス削減と解決策

@エネルギー回収の方策を以下表に示す。

課題、解決策は良くてもこれだけでは説明不足です

表1 エネルギー回収方策と省エネ化

項目

内容

熱回収量の向上

低空気比燃焼

低温エコノマイザ

熱損失の低減

白煙防止装置不採用

乾式排ガス処理設備

排水クローズド不採用

電気変換効率の向上

ボイラ高温・高圧化

水冷復水器

タービン設計点の最適化

省エネ化

電動機高効率化

インバータ化

項目、機器名がわかればよいというわけではありません

 

ABについては集約化・広域化で対応する。

規模の小さい市町村を統合し集約化を図る。また県レベルで広域化することでごみ収集量が増加し発電量が増加、地域に安定したエネルギーを供給することができる。

 

(3)温室効果ガス削減での新たなリスクとその対策

廃棄物処理施設単独では、安定供給に脆弱性があり。様々なものと連携することで安定供給できる。

表2 新たなリスクへの対策

項目

内容

再生可能エネルギの導入

廃棄物処理施設と再生可能エネルギーを連携

エネルギーセンター

地域にエネルギーを供給し自立化し地域エネルギーセンターとする。地域資源で発電し、地元企業にエネルギーを供給する。

再省畜エネ企業

再エネを地域エネルギー供給企業が買い取り、地域に供給することで資金循環を形成する。

再省畜エネネットワーク

地域間でネットワークを作り安定供給し有効利用する

上記事項を業務として遂行するための要件・留意点です。上記事項とは何か考えていますか?

 

(4)廃棄物処理施設での持続可能な社会

技術者倫理、社会持続可能性の2つの答えが要ります

 

持続可能な社会を構築するため、廃棄物処理施設の強靭化を図る。

留意点として、廃棄物処理施設の設置は、地域住民と十分に協議を行い地域の自立したエネルギー源、温室効果ガス削減し地域循環共生圏に導くべきである。

そもそも問題趣旨の社会持続可能性とはもっと広い概念です。

この下のリンクをご覧ください。

社会を見据えた持続可能性

持続可能性「Sustainabilityサステナビリティ」とは何

持続可能な社会とは

持続可能性

 


V−1 第五次環境基本計画(平成30年4月17日閣議決定)において、各地域が自立・分散型の社会を形成し、地域資源等を補完し支え合う「地域資源循環共生圏」の創造を目指すとされた。

(1)      廃棄物処理を核とする「地域循環共生圏」を構築するに当たって、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)      (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を一つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)      (2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれえの対策について述べよ。

 


解答

考え方を断片的に羅列するのではなく、技術管理者としての見解を概念の柱として提案する必要があります。

第五次環境基本計画は、SDGsやパリ協定採択後に制定された基本計画である。

以下に示す基本的な考えと6つの目標を掲げ、環境・経済・社会を統合的に向上する地域循環共生圏を目指している。

表1 基本的な考え方

項目

内容

目指すべき社会の在り方

循環共生圏の構築

今後の環境政策の役割

様々なイノベーション

今後の環境政策の展開

環境・経済・社会の統合的向上

SDGsの考え方の取り込み

 

表2 6つの目標

項目

内容

@    グリーンな経済システム

 

A    国土のストックとしての価値向上

 

B    持続可能な地域づくり

 

C    健康で心豊かな暮らし

 

D    技術開発

 

E    国際貢献による我が国のリーダーシップ

 

 

(1)地域循環共生圏を構築するための課題

地域循環共生圏を構築するに当たって、以下に示す課題が想定される

主題とは関係性が薄いです

@    廃棄物の適正処理

廃棄物処理の基本であり、減容化+衛生がこれまでの廃棄物処理であった。

人口減少によりごみ収集についても難しくなっており、人口減少・高齢化社会に対応した廃棄物処理システムを構築しなければならない。

A    再生可能エネルギーの活用

廃棄物処理を核とする「地域循環共生圏」ですからエネルギーだけでは△

ごみ処理場単独では、人口減少等によりごみ量が減少し安定した処理・発電が困難である。そこで地域に存在する再生可能エネルギーを活用し、ごみ処理場と再生可能エネルギーを組合せて地域循環共生圏を作る。

B    エネルギー回収と省エネ化

ごみ処理場において、温室効果ガスを削減するにはエネルギー回収と省エネ化を進める。また地域に安定した電力を供給することで地域循環共生圏を構築する。

(1)から絞り込んだ課題が何か見えません。

(2)廃棄物の適正処理の課題と解決策

廃棄物の適正処理が最も重要な課題と考える。

環境、経済、社会を統合的に向上する。

環境:温室効果ガスの削減

経済:AI、IOTの取り込み

社会:人口減少

環境面の温室効果ガスを削減するためには、再生可能エネルギーの取り込みやエネルギー回収・省エネ化が必要である。

廃棄物処理の「地域循環共生圏」ですから再生エネだけでは無理があります

 

再生可能エネルギー導入の方策を以下に示す。

表3 再生可能エネルギー導入方策

項目

内容

間伐材と廃棄物コンバインド

地域で発生する木質間伐材と廃棄物焼却炉をコンバインドさせ有効利用

下水汚泥との混合燃焼

分かれていた下水汚泥と廃棄物を混合燃焼し効率化

燃料化

廃棄物中のバイオマスを乾燥させ燃料化

 

エネルギー回収・省エネ化の導入の方策を以下の表に示す。

表4 エネルギー回収・省エネ化

項目

内容

熱回収量の向上

低空気比燃焼

低温エコノマイザ

熱損失の低減

白煙防止装置不採用

乾式排ガス処理設備

排水クローズド不採用

電気変換効率の向上

ボイラ高温・高圧化

水冷復水器

タービン設計点の最適化

少子高齢化・人口減少の社会面と経済面の同時解決には、AIの技術革新が必要である。

AIにより自動運転することで、運営の効率化や熟練技術者を補完することができる。

 

(3)廃棄物適正処理のリスクと対策

棄物を適正に処理するには、新たなリスクが発生する。そのリスクと対策を以下に示す。

表5 課題の新たなリスクと対策

項目とリスク

対策

1エネルギーセンター

単独施設では脆弱性がある

リスクが何か特定できていません。数は2でもOKです。

地域にエネルギーを供給し自立化し地域エネルギーセンターとする。地域資源で発電し、地元企業にエネルギーを供給する。

2再省畜エネ企業

 地域に資金循環が形成されない

再エネを地域エネルギー供給企業が買い取り、地域に供給することで資金循環を形成する。

3再省畜エネネットワークづくり

 地域単独発電では安定性にかける

地域間でネットワークを作り安定供給し有効利用する

4集約・大規模化

中小規模では効率が悪く、発電ができない

ごみ処理施設を集約し、大規模化することで発電可能で効率が良い