R1年 電気電子部門、電子応用の答案について添削致しました。

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この答案についての講評

 T-1は答案は、最初と最後はとてもよくまとまっています。しかし、残念なことに、問題文の趣旨に対して、AIに依存するだけで中身が少ない話のようです。このため厳しい評価となっていたようです。電気電子・電子応用の技術で対応するようにしてください。

U-2は残念ながら本質的な課題を示せていなかったようです。V-2はA評価でしたが、今後はご注意ください。電気電子として課題、技術をきっちり説明するようにしてください。

 答案の良いところ、悪いところ、それから得点する上での注意は音声でご説明いたしますのでお聞き願います。

 技術士試験の難しさは、何を求められているかわからないところにあります。一方、このような試験に対して、技術経営、マーケット志向の視点から考えると間違いがありません。音声ガイドコーチングでは、予想問題練習で問題への対処法をご説明しますので必ず合格できます。


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 音声ガイドによるコーチング指導内容(32分58秒)がダウンロードされますのでお聞きください>


問題  

I −1 我が国の人口は、2008年をピークに減少に転じており、2050年には1億人を下回るとも言われる人口減少時代を迎えている。人口が減少する中で、電気電子技術は社会において重要な役割を果たすものと期待され、その能力を最大限に引き出すことのできる社会・経済システムを構築することが求められる。

(1)人口減少時代における課題を、技術者として多面的な観点から抽出し分析せよ。解答は、抽出、分析したときの観点を明記した上で、それぞれの課題について説明すること。

(2)(1)で抽出した課題の中から電気電子技術に関して最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題の解決策を示せ。

(3)その上で、解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)(1)〜(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点を述べよ。

 


解答

人口減少時代における電子技術・システム構築

1)人口減少時代における課題

 近年、人口減少に伴い労働生産人口が減少している。

生産現場では生産の効率化(省力化)や生産設備の維持管理が必要となる。

 これらを踏まえて以下の課題を挙げる。

生産現場における自動化(ロボット化)

最近の労働者不足を解消するためには、IoTを活用した生産システムの自動化や、単純なルーチンワークのロボット化などが必要である。

生産設備の稼働状況の情報収集

IoTであらゆる設備からの情報を収集し、的確で効率的な設備の運用プログラムを形成する。

 また、情報量が増加するため、5G通信による情報通信量の向上と、取得した情報の処理速度向上も必要。 

ベテラン技術者の暗黙知の形式知化

少子高齢化が進む中、後継者の育成は課題であり、機械化が困難な技術や経験から得られるノウハウを形式化する必要がある。 

2)最も重要な課題1つと複数の解決策

 1)で挙げた課題の中で、@が最も重要な課題である。その解決策について、以下で述べる。

2-1)AIの活用(ディープラーニング)

 近年、様々な分野で採用が進むAI技術を採用する。生産作業工程では、自動化が難しかった複数の作業工程をAIに学習させることにより、最適化と自動化を進めることができる。

安直にAIに依存するだけで中身のない話です。

電気電子・電子応用の技術で対応してください。

2-2)セキュリティの強化

 IoT機器からの情報は、ネットワークを経由するため、セキュリティ強化が必要である。各ポイントにゲートウェイを設けて管理することが必要である。

2-3)センサ技術の導入

 設備に各種センサを設置してデータを自動で収集する。その収集したデータをAIにより分析し、自動でフィードバックする仕組みを構築する。本内容により、人を介さない生産設備の保守が可能となる。

3)解決策に共通するリスクと対策

 新たに生じるリスクとしては、情報量の増加に伴う通信インフラに情報遅延が考えられる。 

わかりやすい事項、ほとんど前提事項では。もう少し技術士にふさわしい分析により、独創的な視点から未知のリスクを挙げる。

 情報量増加の要因としては、以下である。

@  情報センタと各ロボット間の情報伝達

A  IoTで接続される故障診断などのセンサ情報

B  AI活用時の学習データの増加

C  ベテラン技術者の暗黙知のデータベース化

これらの情報量の増加により、情報遅延の発生が予想されるが、次に示す対策を行う。

(対策@)新技術の採用

 5G通信を用いて、より処理速度を向上させたり、SoC-FPGAなど新しいデバイスを採用して高度なデータ処理をさせるじちで、高速かつ効率的な情報通信網を形成できる。

(対策A)ビッグデータの活用

 収集した情報をビッグデータ化し分析することにより、効率的な作業計画を立てることができる。

 ビッグデータの採用によって、過多な情報は削減され、ネットワークの省力化になる。

4)業務遂行に必要な要件

4-1)技術者としての倫理から必要な要件

 ロボットと人間が干渉する作業領域においては、安全性の確保が重要である。自動化が進んだとしても、ロボットを活用するのは人間である。そのことを踏まえた上で、人間が安全で安心して利用できるようなシステムを構築する必要がある。

 上記で述べたように効率化を優先するあまり安全が疎かにならないようにすることで、公益確保することにつながる。

4-2)社会の持続性から必要な要件

 環境への配慮や省エネを意識した設計・開発は非常に重要である。環境にやさしい機器(RoHS化)の採用や省エネ対応の生産設備を構築する。そうすることで、SDGs(持続可能な開発目標)にもある、次世代に開発のツケを残さないのが大切である。

 また、使用する技術が3R(リデュース、リユース、リサイクル)に合致している製品を採用する。

 

 


U−2−2

 電波を利用した無線通信機器を電磁的環境の中で捉えると、他の電子機器との間で相互に動作上の問題を生じさせる可能性がある。このような電磁両立性の課題を緩和する技術の1つとして、可視光通信(Visible Light Communication :VLC)がある。あなたが電子応用技術者として、VLCの採用の可否を検討しながら開発業務を進めるに当たり、下記の内容について」説明せよ。

(1)VLCが有効と考えうる具体的なシステムを1つ想定し、電波並びに可視光の利用について調査・比較検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)(1)のシステムの開発業務を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

 


解答

倉庫内における物品位置情報の検知

1)調査・比較検討すべき事項

 可視LEDタグを利用した物品の位置情報の検知を想定する。以下に調査・比較検討すべき内容を示す。

可視光通信を応用してどのように倉庫内の物品の位置情報を検知するか、それについて電波との比較が求められています。そして開発業務を定義するようにしてください。 

a)適用 

   LED照明は至る所で設置されており、照明機器に通信機能を付加するだけで容易にワイヤレス通信環境の構築が可能である。

このような既知のことではなく、提案した倉庫内位置情報システムとしてどう適用できるか、どのように電波より優れているかを述べる

b)安全性 

 可視光は、一部の電磁波や紫外線とは異なり、人体には影響を与えない。また、周囲で使用されている電波の影響も受けないため、安全に利用できる。

c)経済性

 可光通信は、大電力で通信可能であり、メンテナンスも容易であること、a)でも述べたように新たな設氏投資を比較的抑えることができるため、コスを抑制できる。

2)業務を進める手順

a)事前調査

 1)で示した内容を含め、VLCを適用するにあたり、メリット・デメリットを十分に検討した上で。通信方式を決定する。

これは一般的な方法論にすぎません。このような既知のことではなく1に挙げた倉庫内位置情報システムにおいて具体的作業をどう進めるかです。

b)詳細検討

 a)の内容を踏まえて、適用箇所の検討および工期・コストについても算出する。詳細検討の結果、適用箇所の増加や工期の変更などが必要な場合は、関係部署と早急に共有し、見直しを行う。

c)実証実験

 プロトタイプ試作にて実証実験を行い、机上検討では見えなかったトラブルや不具合への対策を設計にフィードバックし、改善を進める。

3)関係者との調整方策

a)技術動向の調査 2の業務について自身がどうするかで

 研究部門との進捗により、最新の技術動向の情報を共有したり、資材部門との情報共有をすることによって、新規部品のラインアップ・コスト情報が入手でき最適なシステム提案が可能となる。

独自に調べて役立てるという個人的行動では「調整」になりません。反対意見も取り入れて取りまとめるプロマネの役目が求められています。

b)関係部門との連携

 a)で述べた技術情報の連携に加え、営業部門との市場動向情報の共有や生産部門・品質管理部門と密に情報交換することで、生産現場での改善要望や品質面での注意点などを共有し、不具合の少ない製品にすることができる。

c)設計完了後の課題点の確認

 実際の生産・運用における課題点や改善点を確認し、次回以降の設計や改良にフィードバックをすることで

品質の高い安定した設計を行うことができる。

ここは調整業務について、自身の貢献をまとめる必要があります。

 

 


V−2

  我が国の農業の強みは、気候や土壌などの地域特性に対応した匠の技に支えられた多種多様で美味しい品目、品種、消費者ニーズに即した安全安心な農産物である。しかし、現場では、依然として人手に頼る作業や熟練者でなければできない作業が多く、省力化、人手の確保、負担の軽減が必要であり、いわゆるスマート農業の推進により、新規就労者の確保や栽培技術力のスムーズな継承などが期待されている。

上記を踏まえ、電子応用技術者として以下の問いに答えよ。

(1)今後、スマート農業への取組が求められるとあなたが考える農業の具体例を挙げて、それぞれに対して、複数の観点から分析し、課題を抽出せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、電子応用技術者として、その課題の解決策を3つ示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

 


解答

スマート農業の推進

1)スマート農業への取組み

@具体例

 我が国の代表的な農業として米作りを例に挙げる。近年、若年層の農業離れや農業従事者の高齢化が進み農業人口が減少しているため、スマート農業の推進は必要不可欠である。必要性を書かれているのですか?そういう話ではなく、取り組みの具体例の定義です。 

A課題

a)自然現象に左右されないしくみ

 稲作では、冷夏による成長不足や台風によって稲が倒れてしまうなど、自然現象の影響を受けやすい。自然現象に左右されないしくみの確立が可能である。

ねらいは良いですが、電気電子では何するのか明確ではありません。それが課題です。これでは採点できません。

b)熟練者からの技術継承

 近年は、若年層の農業離れが進んでおり、熟練者から次世代の後継者への技術継承ができていない。若い世代の農業への意欲を高める取組みや熟練者の技術・ノウハウを効率よく、確実に形式化し継承する方法の策定が課題である。課題になっていません

c)人手不足解消のための自動化

 上記で述べた自然現象に左右されたり、人手不足を解消するためには、農作業の機械化や自動化を推進していく必要がある。どのような技術を利用して、農作業を機械化や自動化を推進していくかが課題である。

これ↑ではほとんど前提事項みたいです。誰でもできる問題点の整理です。電子応用の課題とは思えません

2)最も重要と考える課題と解決策

 上記で挙げた課題の中で、人手不足解消のための自動化が最も重要だと考える。以下に解決策を示す。

a)準天頂衛星を用いた農耕機器の制御

 人手不足の解消のために農耕機器をロボット化し、自動制御化が必要となる。それを実現するには、日本のように狭い複雑な農地でも正確に精度よく、細かい制御が要求される。そこで準天頂衛星からの高精度な位置情報(1m級またはcm級)を利用することが非常に有効である。

具体的にどのように利用するのですか。

b)センサ技術を用いた農作物の栽培

 農作物を育てる上で、土の状態(水分量など)や外敵の情報などをモニタリングしながら育てる必要がある。例えば、センサによる水分量の最適化として、電気抵抗やpH濃度を測定し、土地の状態を高確度で測定する。それによって、与える肥料の適正化に活用することができる。  これはどんなセンサですか?

c)処理能力が高いデバイスの採用

 これまでに述べた2点の解決策を実現するには、大量のデータを高速かつ正確に演算し、最適解を導き出す必要がある。そこでもそれを実現可能とするSoC-FPGAの採用うぃ提案する。従来のCPUと比較し、処理能力が数段向上するのに加え、様々な機能を1パッケージ化することが可能になるため、小型化やBOMコストの低減にも貢献できる。

3)新たに生じるリスクと対策

 

(リスク@)

 準天頂衛星からの測位データを用いて、農耕機器の

制御を行うため、ハッキングによる誤動作・誤認知の恐れがある。 どうしてか。意味が分かりません。

(対策@)

 データを取込むポイント毎にゲートウェイを設けて外部からのアクセスについては、プロキシサーバなどを経由させて安全性を確保する。

(リスクA)

 SoC-FPGAは、新しい技術であるため、簡単に代用できるデバイスがない。 これ自体はリスクとは違います。真のリスクが述べられていません。

(対策A)

 SoC-FPGAについては、技術ロードマップやトラブル時のサポートに対する考え方を部品メーカや代理店と協議しておく必要がある。また、代替品として高機能SoCやMCUを用いたシステムの検討が必要である。

(リスクB)

 農耕機器の自動化を導入することによる、異常時の安全性をどう担保するのかつまりリスクは何か

(対策B)

 基本的に完全自動化にする場合は、システムを二重化しておき、異常時においても安全に動作できるように体系的な安全分析を実施する。

  1. 聞かれたことに対して的確に答える練習
  2. 論理的に論旨を展開する練習
  3. 電気電子の技術応用を言葉で表現する練習

が必要です。これらは暗記では学べません。