R2年 衛生工学部門、廃棄物・資源循環の答案について添削致しました。 20210130

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この答案についての講評

 この試験答案ⅠⅡⅢの評価はCBBとの残念な結果でした。その理由としてⅠは衛生工学としての全体形を目指した提案ができていなかったことがあげられます。またⅡ、Ⅲでは主題が見えないため答えが発散してしまったように拝見いたします。敗因について「専門知識の不足」を挙げる方がたくさんいらっしゃいます。しかし、技術士試験の答案の通りの知識をあらかじめ暗記しておくなどということは無理です。技術士としては、課題を分析して、解決策を提案し、そのチェック・反省をするだけのことです。技術士としての「技術応用」の提案が必要です。これは練習を重ねていけば、能力を高めていけますので、楽勝で合格することが可能です。本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので、このようにどこがいけないかわからない、どう書いたら正解できるかわからない方に是非お勧めいたします。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(25分26秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題  Ⅰ-2 

 2017年に国立社会保障・人口問題研究所が公表した我が国における15〜64歳の生産年齢の人口は、2015年の国勢調査では、7,629万人だったものが、2029年には出生中位推計によると7,000万人を割るものと推定されている。衛生工学部門に関係のある事業には公共性の高いものが多く、こうした人材不足の中においても、国民に公共サービスを十分に提供していく責務を持っている。以上のような状況を踏まえて、以下の問いに答えよ。

(1)         人材不足となる中においても事業運営を着実に維持していくために、技術者としての立場で多面的な観点から複数の課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2)         抽出した課題のうち最も重要と考える課題を一つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)         すべての解決策を実行した上で生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)         業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。

(1)人材不足での事業運営継続の課題と、その観点

人材不足でも安定した施設の運転・運営をすることで国民に十分なサービスを提供する必要がある

■↑ここは不要です。

1)処理施設内の自動運転・AI化による省人化

施設内業務には、機械操作、中央制御室運転監視、メンテナンス、巡回点検業務があり、それぞれ担当者がいる。AIや自動運転を導入し制御技術を確率し、これらの業務の人員削減、業務効率化、人員共通化、固定費も削減する。

2)遠隔運転による省人化

 施設人員削減をバックアップし安定運転する遠隔監視を導入する。これにより制御支援や、制御権限を遠隔に移譲することにより運転員が別途現地対応、休憩を取得でき省人化できる。

3)収集・使用料等の省人化

ごみ、浄化槽汚泥、し尿等の収集人員のなり手不足が発生する。省人化のために域内自動収集や、海外と同じロボットアームによるボックス回収を行い省人化・効率化する。上下水の使用料もスマートメーター導入とRPAによる自動データ収集・請求により人員削減を図る。

■画像判定は一部の手段で留まっています。衛生工学の技術応用としては自動分別、選別のロボット化です

(2)最も重要な課題とその解決策

1)AI画像判定による自動運転技術導入による省人化

上下水場の曝気槽状態、汚泥・ごみ焼却の燃焼画像で、水面画像(泡の量、にごり)と水質データ、燃焼画像(火炎状態)と炉出口温度の組み合わせによるAI判定制御を導入し熟練運転員と同等の安定運転を行。これにより中央制御室で常時監視員を省人化できる。

2) メンテナンスでの予知保全導入による省人化

施設では、これまで経験に基づく部品交換等のメンテナンスを行ってきた。しかし運転時間、個別特性により施設運転中に故障、設備停止し修理対応人員を要した。振動計・温度等センサーのビッグデータを収集し、AI検知で予防保全から予知保全に変える。これにより故障を事前に把握・対応でき、メンテナンス人員を他施設と共通化できる。

3) 運転管理 巡回点検支援技術による省人化

施設では、これまでルーチンワークとして循環点検を実施してきた。現地確認、データ記録、データ入力、報告書作成と施設の設備毎に人員を要し残業となっていた。Bluetoothにより巡視時のルート支援、AR技術でのipad等で機器にかざし点検項目、入力項目をだし、点検と同時に報告書ができるようにし人員共通化による人員削減と作業負荷低減につながる。

(3)波及効果と懸念事項への対応策

波及効果:AI・自動運転導入により熟練運転員でなくても安定した処理を実施でき、また省人化によ固定費削減によりコストを低減できる。

■この先を提案しましょう

懸念事項:AI・自動運転等の導入による省人化での懸念事項は、①AI故障・誤作動時の対応②災害発生時での対応③情報漏洩の危険性が挙げられる。

■1つでよいです。

対応策:① 遠隔監視側に熟練者を配置し制御支援、制御権限移譲により運転を行う。② 遠隔隔での故障診断、運転条件未成立項目支援、現地人員は実機確認に徹する。③情報漏洩させないためにPVN構築やセキュリティを高める措置を取るが挙げられる。

(4)技術者倫理、社会持続可能性観点での要件・留意点

技術者倫理を高めるためには、安定した自動運転による施設運営と適正処理での衛生向上を提案する。これは技術士倫理綱領の地域住民の安全、健康および福利に繋がる。

社会の持続の可能性を高めるためには、上下水汚泥・し渣・廃棄物による発電による送電により、化石燃料由来のGHG排出の代替し削減できる。これはSDGsの13気候変動に具体的な対策に繋がる。

 本講座ではこのような細かい意味、対照法について具体的に添削指導しています。

Ⅱ−1−4

 汚泥再生処理センターの汚泥の助燃材化に関する脱水技術を二つ挙げ、その原理と特徴及び採用に当たっての留意点を述べよ。

(1)資源としての助燃材化

平成16年より資源化を目的として、2項目を満たす条件で燃料化が追加された。

①汚泥の含水率70%以下、②ごみ焼却施設でごみと混焼する場合に補助燃料を使用する必要がない。

汚泥は水分多く(含水率95%以上)で脱水必要である。

(2)脱水機の原理、特徴及び留意点

1)加圧脱水機(フィルタープレス)

ろ布の両面に圧力差を作り、汚泥に400〜500 kPa程度の圧力をかけて水分を移動し、最後に圧搾して脱水する。

従来、本機のみ条件①を達成、ただし機械が大きく、臭気が発生する欠点があった。

2)遠心脱水機

1000〜3000Gの遠心力で高速回転させた外胴の内側に汚泥を濃縮脱水させ、濃縮した汚泥は外胴とわずかな回転速度差のあるスクリュによって排出する小型で設置買い容易である。条件①を達成できる。ただし高速回転のため消費電力が高く、騒音を発生するため防音設備が必要である。

(3)共通する留意点

生物処理した余剰汚泥等は含水率が下がらない。

汚泥に脱水補助剤(繊維質)を添加脱水で低含水率化。

繊維質の多い浄化槽汚泥等と混合脱水で脱水補助剤の添加量を低減でき、維持管理費低減できる。

Ⅱ−2−1

   地域に新たな価値を創出する廃棄物処理施設の整備が求められる中で、あなたが廃棄物処理施設の整備計画策定の担当責任者として業務を進めるにあたり、下記の内容について述べよ。

(1)     地域に新たな価値を創出する廃棄物処理施設の整備を行うために、調査検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)     業務を進める手順とその際に留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。

(3)     業務を効率的、効果的に進めるために関係者との調整方法について述べよ。

■じっくり分析するプロセスが求められています。

(1)新たな価値創出の廃棄物処理施設の調査検討項目

1)地域のエネルギー拠点 ■熱だけで良いと思います。

地域に熱や電気を供給する。廃棄物量やごみ質を調査し、廃棄物発電やメタン発酵が可能か検討する。下水汚泥との発酵や木質バイオマスとの混焼も考える。

■ここが一番大事「地域の新たな価値創出」を考える

2)地域循環の構築

動脈産業と静脈産業の循環を構築する。廃棄物処理上からのメタン発酵残渣を肥料に、木質バイオマスと混合燃焼により産業と循環を構築できるかを調査する。発生する熱を空調やビニルハウスへ、電気を産業に供給し地域循環共生圏を構築できるか検討する。

3)棄物処理施設の強靭

地域の防災拠点化を目指す。災害発生時に運営および継続できるかを調査する。

■↓これは違う目的のための検討になります。

強靭化により避難場所や防災の拠点にできるかを検討する。

■本来外機能です。実際の処理場はこのようなことしていますが、しかしそれは行政の別な視点からです。

 (2)業務手順と留意点および工夫点

1)廃棄物受入れ量から処理量を決め

人口から

■(1)の2)に入れる収集できる廃棄物発生量を推計し、またそのごみ質から廃棄物発電による売電が可能か、メタン発酵可能かを検討する。発電可能な70t/日以上に集約化する、木質バイオマス混焼、ボイラ6MPa×450℃での最大化、高効率化できるか検討する。

■↑「価値創出」のためにやっています。

2)廃棄物処理場の建設 ■整備なので新規建設ではない

廃棄物処理場の設置場所を検討する。地域に熱や電気エネルギーを供給できるか、災害に強い設備か、災害時に1週間分の水、薬品、燃料のユーティリティを確保、洪水等でごみピットや非常用発電機が浸水しない設備できるかする。

3)発電計画と地域連携

■一般論にならないようにしましょう。

電力需要に応じた発電計画を立てる。夏季や昼の高需要時に電力を供給するたその熱や電気を産業と、メタン発酵残渣を農業と連携できるかも検討する。

(3)業務を効率的、効果的に進める調整方法

■ごみ収集ではなく、問2の業務の効率化です。

「地域の新たな価値創出」と関係がある内容を提案しましょう。

ごみ収集会社:利益優先で、ごみ内容物を無確認で収集車1台4t以上の収集持込みを主張する。

設備運転員:受入ごみの品質確認と異物除去を行わず、設備運転のみ実施すると反対する。

これら2者間を運営担当者として調整する。

ごみ収集会社には、ごみ品質が連続して高い場合(焼却、再生利用品、不適物分別)に取引価格を上げる。ダイナミックプライシング手法を用いてごみ収集業者にゴミ確認と分別収集させる。一方、設備運転員には、メンテ不良トラブルによる設備停止がなく、連続して再生品品質・連続売電量が高い時は報奨金を出す。設備停止させないため設備運転員が機械投入前にトラブル原因となる異物を除去させる。

以上より売電量が安定し、再生品品質が高く、稼働率・処理量を向上し、収支で経済性も向上することができる。

Ⅲ−1

 環境と成長の好循環に結びつく環境課題の解決策(ソリューション)をビジネスチャンスになるような廃棄物処理が求められている。このような状況を考慮して、以下の問いに答えよ。

(1)あなたが専門とする分野における廃棄物処理上の今日的な環境課題について、技術者としての立場で多面的な観点から抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を一つ挙げ、その課題に対してビジネスチャンスに結びつくような廃棄物処理上の複数の解決策(ソリューション)を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(1)環境と成長を結ぶ環境課題解決策とその観点

棄物による動脈と静脈の地域循環、物質の有効利用、地域域循環共生圏を構築することで、環境と成長を結びつけ解決できる

■考えではなく課題を示すようにしましょう。

■「有効利用」の中身、方法論が問われています。

1)廃棄物の有効利用

棄物処理は、平均発電効率12%と低い、都市部において再生可能エネルギーとして供給できるよう広域化、高効率化し熱電供給する。地方では、農業・漁業に利用し、メタン発酵残渣を肥料等に利用し循環を構築。

2)廃プラスチックの使用量削減有効利

■話が冗長になっています。「ビジネス化」を主題にしましょう。

国・東南アジアで廃プラスチック輸入を禁止し、日本が輸出していた100万t/年程度が国内滞留している。処理は有効利用25%、サーマルリサイクル57%、未利用18%程度である。対策は、プラスチックに代る生分解性・バイオマスプラスチックの代替できる産業を作る。サーマルリサイクルは、GHGを排出するので有効利用できない廃プラを処理し熱回収する。マテリアルリサイクルは、光学高精度選別機を用い、PP、PE、PSといった材料のリサイクル循環を構築させる。ケミカルリサイクルは、ナフサ等の原料に戻すことができ重要な解決策となる産業を生む。

■負荷低減ではなく「ビジネス化」を言うようにすると良いでしょう。

3)質の循環とゼロエミッション 

家電、小型家電、食品、自動車、建設、容器包装等の個別品目の再生利用率を構築しゼロエミッションを目指す。特に一般廃棄物の食品再生利用率は6%と低く、循環産業を構築する必要がある。アルミ・貴金属については、“都市鉱山みんなで作ろうメダルプロジェクト”の機運を活用し、機運を高め循環産業を創出する。

(2)重要課題の解決策

廃棄物を有価物・エネルギーへ変換し産業化 

1)廃棄物処理と地方との連携

地方では、人口が少なくごみ量も少ない。有機廃棄物をメタン発酵し、メタンガス発電で熱と電気を回収する。発酵残渣や液肥は肥料として農業に活用でき、循環を構築できる。

2)廃棄物処理と都市との連携

都市では人口が多くごみ量を確保できる。スケールメリットを生かして収集範囲を拡大し廃棄物発電大規模化し発電を最大化、電気および熱を産業と連携し活用する。

3)都市と地方の連携

都市で発生する下水汚泥や食品廃棄物を地方でメタン発酵し、廃液と残渣を液肥および肥料として農業利用する。都市には地方のプラスチック等を集め廃棄物発電を大規模化し、電気を都市・地方に供給する。連携により新たな循環を構築できる。

(3)リスクとその対策

リスク:一部施設長期停止による廃棄物処理停止と循環経済の停止

金属類や異物混入等での施設破損による長期停止、再生品等の価格低下等による施設運営の行き詰りが発生する。これにより、廃物処理停止での衛生状態の悪化、メタン発酵や廃棄物発電停止によるGHG排出量の増加、肥料等の農業利用の循環が停止する。さらに循環経済停止により地域産業が衰退してしまう。

解決策

①多面的な処理を構築する

都市地方の2者間では、廃棄物量変動や設備停止時に循環が停止してしまう。解決策として隣接する複数の市町村と連携し、県単位で多面的に実施により廃棄物処理および熱電供給を保全できる。

②都市と地方のシュタットベルケを構築する

熱や電気などの公共インフラサービスを管理運営するシュタットベルケを構築する。シュタットベルケを構築することにより、地域で物質・お金の地産地消を構築できる。廃棄物で熱・電気エネルギーを供給し、副産物を動脈へ還元する地産地消による地域循環共生圏を構築する。

実例

みやま市と柳川市でのシュタットベルケ構築がある

人口が少なく農業主体のみやま市で、食品残渣を受入れメタン発酵を行い発酵残渣を肥料に、柳川市で発酵不燃物等を受入れ廃棄物発電を最大化、産業に電気供給している。これらをシュタットベルケで運営し安定運営と地域循環を構築できている。

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