№17 R3年 建設部門、港湾の答案について添削致しました。 2021/11/14

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この答案についての講評

 答案の表現力は良く、見識問題では正しく解答ができています。しかし、試験結果は、ⅠがB、ⅡはA、ⅢがBであり、Ⅱ・Ⅲ総合でBとなり不合格でした。大変残念な結果です。建設部門港湾の技術士としてのプロの答えを表現すれば合格できますし。指摘事項は今後の参考としてください。

 答案を全て拝見致しましたが、問題文で与えられた問題に対して、対策の必要性等は述べられていますが、肝心の主題である問題解決につながる課題が述べられていません。「いかに・・するか」という文が多く、この文形では困難な状況が分かるだけで、技術的な方針の提案がアピールできません。Ⅱ-2はケーススタディ問題のため、経験力が評価されたようで良かったです。

 しかし、Ⅲ問題では、出題者が求めている主題「新しいメンテナンス手法の導入やシナリオの転換」、「予防保全型メンテナンス」にたいして、技術の高度化や担い手の確保、コストダウンといった一般論を主張されるだけでした。本質的に予防保全を新しい技術でどのように改善するか、そして鋼コンの視点から予防保全型メンテについて述べるべきでした。

 このほか、見出しやタイトルの下線などの表現はなくても構いません。試験の答案ですのでこのような表現方法で得点が変わることは考えにくいです。内容に集中されるようにお願いします。

 技術士試験では、模範答案を暗記してアレンジして書いても合格出来ません。大事なのはご自身で正解を感じ取る、そして独自に提案することです。この感覚を早く習得されて、合格を勝ち取ってください。技術士は勉強すれば必ず合格します。ただし1回で合格するには正しく学ぶ必要があります。本講座では技術士コンピテンシーを引き出して一発合格するための指導をしております。ぜひ根拠に基づいた正しい勉強法で学ばれて、悩み無しで楽勝で合格していただきたいと思っております。

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問題  Ⅰ-2 近年、災害が激甚化・頻発化し、特に、梅雨や台風時期の風水害(降雨、強風、高潮・波浪による災害)が毎年のように発生しており、全国各地の陸海域で、土木施設、交通施設や住民の生活基盤に甚大な被害をもたらしている。こうした状況の下、国民の命と暮らし、経済活動を守るためには、これまで以上に、新たな取組を加えた幅広い対策を行うことが急務となっている。

(1)災害が激甚化・頻発化する中で、風水害による被害を、新たな取組を加えた幅広い対策により防止又は軽減するために、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対応策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。

(1)課題:課題を3点挙げる。

ハード面の観点では、強靭なインフラをいかに整備していくかが課題となる。強靭なインフラが整備されていないと、直接人命を守ることや、避難までの時間を稼ぐことができず、人的被害が拡大する。また、建設物が倒壊することで経済損失も拡大してしまう。

■インフラの必要性は述べられていますが、肝心の主題である風水害に対する課題が述べられていません。「いかに・・するか」という文では困難な状況が分かるだけで、技術的な方針の提案が見えてきません。

ソフト面の観点では、情報や訓練による防災・減災をいかに進めていくかが課題となる。ハード面の対策は、時間的・費用的なコストがかかる。また想定外の荷重に対しては防災機能に限界がある。従って、ソフト面の対策も重要である。過去の災害からの教訓として、切迫性等の情報伝達が上手くいかなかったことや住民の防災意識が低いことで被害が拡大したことが分かっており、ソフト対策にも改善の余地がある。

■ハード対策に対してソフトの必要性に言及しているだけで、一般的原則の域をでません。風水害に対する課題、例えば異常気象の予測いや河川の洪水対策などを考えるようにしてもらえますか。

費用面の観点では、限られた予算の中で防災・減災をいかに進めていくかが課題となる。現状は老朽化している施設も増えており、インフラ強靭化を進めるためには費用がかかる。特に民間企業は予算が限られているため、費用面の理由からインフラ整備が進まず、被害を拡大させてしまうおそれがある。

■工事の予算の件は行政の課題であって、コンサルタントが解決できる問題ではありません。課題としてはコストダウンや、民間委託などのコスト低減策を挙げてみてはいかがでしょうか。

(2)最も重要な課題とその解決策 

本では、土砂災害が発生しやすい山沿いや洪水・高潮が発生しやすい河川流域などの地域にも人が暮らしている。人々が安心して暮らせるためには、災害から物理的に守る必要ある。従って、課題①が最も重要である。以下に解決策を2点挙げる。

■理由として描かれている黄色マーカー部分は、問題文の前置き文とほぼ同じです。課題の1では単なるハード対策ではなく、風水害に対処するためハードの何をどうするかを問1で方針として挙げておいてください。

インフラの冗長性や多重性を確保することで、防災・減災につなげる。えば港湾鋼構造物である防波堤を粘り強い構造にする。想定外の規模の台風時には、防波堤は数時間に渡り越波に耐えなければならない。重力式の防波堤は、背後の地盤が洗堀されることで倒壊する可能性がある。

■解決策の本題を書く手前に描かれている黄色マーカーの前置き文が長いです。単刀直入に解決策を述べましょう。

そこで、背後に被覆ブロックを設置するなどし、すぐに倒壊しない粘り強い構造にすることで、減災につなげる。また、道路のネットワークを強化して多重性を確保する。土砂災害などの災害で道路が遮断されると、一部の地域が孤立することで、食料など緊急物資の輸送などができなくなる。道路や、またヘリポートの整備等により空路を確保することで二次災害を防ぐ。

■提案のとでは別物ですので段落を分けた方がよいでしょう。

老朽化した構造物を補修・補強することで防災・減災につなげる。例えば、港湾鋼構造物である鋼製防波堤は、鋼管杭が腐食により減肉することで、次第に耐力が低下してきている。補強方法として、杭間の拘束や荷重伝達を行うストラットという鋼管部材を取付ける。これにより防波堤の水平剛性を向上させ、杭の腐食による体力低下分を補うことができる。このように老朽化した構造物を補強することで、撤去・新設するよりも低コストでインフラ整備を進めることができる。

■インフラの補修などと言うことは維持管理の基本に過ぎないように感じます。ここではもっと風水害にマッチングした解決法を挙げるようにしてください。黄色マーカーの「例えば・・」で始まる分は、具体性に富んでいる内容ではありますが、ここで求められる回答は1つの個別の事例ではなく汎用性のある対処方法です。

(3)新たに生じうるリスクとその対応策 

インフラの強靭化により災害による被害が軽減されることで、住民の防災意識が低下するおそれがある。対応策を2点挙げる。

■こうした意識の変化は、想像に難くない話でやや安直な回答ととられかねません。本来はこの問3では問2の解決策である施設の多重化やインフラのメンテナンスを行うことによって発生するリスクを問いかけています。

①実践的な防災訓練を定期的に行う。また、被災者の講演会や追悼行事を行い、災害の記憶を風化させない。

②信頼性設計に基づいて施設を設計し、災害に対する施設の倒壊確率やその時の被害規模等を示す。災害の発生する可能性があることを数値的に示すことで、災害に対する心の準備や防災用品の準備を促すことができる。

(4)技術者倫理の観点から必要な要件として、安全で安心できるインフラを整備するために、公益を確保する、託された業務を誠実に履行するという倫理観を持って業務に取り組む。

■こうした一般的な心構えを問いかけているのではなく、問2に書いた解決策を行う上で、「あなたは技術士として技術者倫理を高めて業務遂行するために、仕事のやり方として何に留意して行ないますか」という意味です。

社会の持続性確保の観点から必要な要件として、資源・材料・エネルギーを有効活用する、環境への悪影響を最小限にするという意識をもち、防災・減災により復興時の大規模改修を減らすようにする。

■こちらも同じです。社会持続性とはいわゆるSDGsを意味しています。こうした意識を持って解決策を執行するにあたり、例えば労働需給問題解決に貢献するため女性や外国人を採用して行うとかいった具体的にどんなことに注意して行うかという具体的な留意点が求められています。

問題文 

Ⅱ-1-1

鋼部材の破壊現象の代表例として、脆性破壊、疲労破壊、遅れ破壊が挙げられる。この中から2つの破壊現象を挙げ、その特徴と破壊防止のための留意点を述べよ。

①疲労破壊 

1)特徴:繰り返し作用する荷重によって部材に亀裂が発生し破断に至ること。弾性範囲内の応力が1万回程度以上作用して破断する高サイクル疲労、塑性域に達する応力が1万回程度以下作用して破断する低サイクル疲労に大別される。

■は特徴というよりは用語の定義に相当するのではありませんか。または2分類しているだけで、疲労破壊の本質的な特徴述べているわけではないようです。こうした特徴の問題では、特性を形容詞で表し、そうした特性が得られる技術的要因を根拠としてのべるとよいでしょう。

2)破壊を防ぐための留意点 

高サイクル疲労は、溶接止端部の形状が急変することで応力集中が原因で起こる場合がある。応力集中を緩和するために、止端部をグランインダーで処理し、形状を滑らかにする。ディスクグラインダーにより処理すると傷が残り、その傷を起点として亀裂が発生することがあるので、追加でバーグラインダーで処理し、傷を残さないようにする。

■「〜の場合がある」という表現は、一般的には「そうでない逆のことが多い」という意味も含んでいますので要注意です。答案では明快な分を用いるように努めてください。また「応力集中を・・・」の記述はグラインダーによる個別の加工法に由来する問題点となっており、疲労破壊についての本質的な対策法とはやや違うようです。

②遅れ破壊 

1)特徴:高力ボルトのように導入軸力が大きいボルトは、締め付けたあとに、時間が経過してから、ボルトが破断することがある。これを遅れ破壊と呼ぶ。

■こちらの文も遅れ破壊の言葉の定義であって特徴の説明文とは違うようです。

2)破壊を防ぐための留意点:留意点を2点挙げる。

・超高力ボルトのように導入軸力が大きいボルトには、耐遅れ破壊特性の高い材質、応力集中が起こりにくい形状のボルト・ネジを使用する。

・ボルトが腐食することで遅れ破壊が起こる場合もあるので、超高力ボルトは降雨にさらされる環境で使用しないなど、使用環境に配慮する。

■遅れ破壊の防止対策として「耐遅れ破壊特性の高い材質」では当然のことなので、どのような材質なのか特性を表すようにしてください。また「ボルトが腐食する・・場合もある」という表現は前述のとうり誤解を招くので別な表現がよろしいかと思います。

Ⅱ-2-2

建設から30年以上が経過し、老朽化が進んだ構造物に対する耐震補強を実施することとなった。既設構造物の性能を評価し、現行の基準類を満たすように耐震性能を向上させる目的で、あなたが担当責任者として業務を進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。

(1)対象とする既設構造物と老朽化の状況を想定し、老朽化の状況を踏まえた耐震補強を行ううえで、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)留意すべき点、工夫を要する点を含めて業務を進める手順について述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

(1)対象とする既設構造物と老朽化の状況 

港湾鋼構造物である直杭式桟橋を対象とする。本構造は、海底に等間隔に鋼管杭を打設し、海水面上に出た杭頭部をRC床版により結合することで施工される。鋼管杭は、気中・飛沫干満帯・水中・土中という腐食環境にさらされることで、次第に腐食し、減肉する。減肉により断面が小さくなると、杭の耐力が低下し、構造全体の耐力も低下する。補強方法として、杭間の拘束や荷重伝達を担うストラットという鋼管部材を取り付ける方法がある。以下では、この方法について述べる。

■問1の要求はこのような対策を宣言することではなく、直杭式桟橋のによる腐食の分析とその耐震性能の評価です。

以下の調査、検討すべき事項及び、問2の手順で具体的に経験力に富んだ説明が展開できていることから高い技術者コンピテンシーとして評価されたものと考えられます。

調査、検討すべき事項:4点挙げる。 

①水深測量:既設桟橋直下の水深を調査する。船舶の往来による海底土砂の洗堀や常時訪れる波による洗堀により水深は建設時と大きく変わっている場合がある。現状の水深を測定して、耐震設計に反映させる。

②外力の整理:外力として、波浪や地震等の自然の外力、上載クレーンや着岸・係留する船舶により作用する外力を整理し、耐震設計に使用する。

③杭の腐食量調査:現状の杭の断面、海域の腐食環境を調査するために、杭の板厚を測定する。複数の杭に対し複数の水深で計測する。

④既設杭の位置測量:杭の打設精度には誤差があるため、設計図面通りの位置に打設されているとは限らない。ストラット材の寸法を決めるために、杭の位置を測量する。

(2)業務を進める手順 

業務を進める手順は、①設計条件の整理、②ストラット材の配置決め、③構造解析モデルの作成、④安定性照査及びストラット材のサイズ決定、⑤防食工の選定である。

工夫を要する点:手順の①・③を効率的に進める上での工夫点を述べる。既設構造を設計した際の計算書や解析モデル図(もしあれば解析モデル自体)が入手できれば、それを参考にする。計算書から構造の決定ケースが分かれば、荷重ケース設定時に、検討ケースを省略することができる。

留意すべき点:ストラット材を取り付けることで、構造物が海水に接する面積が増え、それにより潮流力・波力・地震時の動水圧が増大する。ストラット材に必要な剛性を確保する際は。部材の投影面積、すなわち径を上げるのではなく、板厚を上げる。

(3)業務を効率的に進めるための方策:2点挙げる。 

①発注者と要求性能や設計条件について密に連絡する。条件が不足している場合や原設計時の資料が必要な場合は早急に確認して設計が滞りなく進むようにする。

②設計時に施工に関するリスクが見つかった場合は、発注者経由で施工業者に情報を引き継ぎ、事故やミスを未然に防ぐ。

■大変申し訳ありませんが、こうしたてきぱきと仕事をするとか、リスクを包み隠さず伝えるとか言うことは技術者としての基本的な素養です。これが技術士にふさわしいと評価されたわけではないと考えます。ここでは本来は、問2の手順を遂行するにあたり、調査業者や施工業者に対して、業者間の業務内容の無理を緩和して、耐震補強の効果が最大化するような提案をすることが求められています。いわゆるプロマネとしての取りまとめを求めています。

Ⅲ-2

我が国では、大量の鋼構造物やコンクリート構造物の維持管理が社会問題となっている。特に、従来からの事後保全型メンテナンスには限界が叫ばれ、持続可能なメンテナンスサイクルの実現に向けて、新しいメンテナンス手法の導入やシナリオの転換が求められている。このような状況を考慮して以下の問いに答えよ。

(1)近年、予防保全型メンテナンスが期待されているものの、未だにその推進は十分とは言い難いのが現状である。このような現状に対し、鋼構造及びコンクリートの技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、その内容を示せ。

(2)抽出した課題のうち、あなたが最も重要と考える課題を1つ選択し、その課題に対する複数の対応策を示せ。

(3)すべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(1)課題:課題を3点挙げる。

技術的な観点から、点検や補修を高度化、効率化できる技術をいかに確立していくかが課題となる。

■見出しやタイトルの下線はなくても構いません。試験の答案ですのでこのような表現方法で得点が変わることは考えにくいです。内容に集中されるようにお願いします。この問題では、問題の前置き文で「新しいメンテナンス手法の導入やシナリオの転換」と求められていました。問1では「予防保全型メンテナンス」が求められています。

したがって単なる技術の高度化や担い手の確保コストダウンではなく、本質的に予防保全を新しい技術でどのように改善するかという提案をすべきであったのではと思います。

またⅢですので、建設一般ではなく、鋼コンの視点から予防保全型メンテについて述べるべきでした。

予防保全を進めるためには、構造物が倒壊する前に異常を知ること、また撤去・新設せずに効率的に補修する技術が求められる。現状はこのような技術が十分に普及しているとは言い難く、技術の確立が求められる。

担い手確保の観点から、予防保全を担う建設業の技術者をいかに確保するかが課題となる。維持管理が必要な施設は増えているものの、建設業の技術者は減少している。市区町村等の中小規模の自治体では、専門性のない職員が維持管理を行っていることもある。このような場合、維持管理に関する正しい判断ができず、施設の安全性が低下してしまうおそれがある。

費用面の観点から、限られた予算の中でいかに予防保全を進めていくかが課題となる。特に民間企業においては、予算の確保が難しく、それが維持管理を進める上での障壁となる。

(2)最も重要と考える課題とその解決策。 

課題①を解決すること、すなわち点検や補修を効率化する技術を確立することは課題②・③の解決にもつながる。従って課題①が最重要な課題である。解決策を3点挙げる。

■解決策とは予防保全をどのように新しい技術で行うかの内容であって、ロボットによる効率化とか遠隔モニタリングの単独技術の提案ではありません。あくまでも予防保全との関連付けが必要であったかと思います。

ロボットを活用し、点検を効率化する。橋梁の上部工など高所の点検箇所はドローン、海洋構造物の部材など水中の点検はROVでアクセスし、点検箇所を撮影する。撮影した大量の画像データを基に、異常検知が可能な画像認識AIを構築しておくことで、撮影した画像からすぐに異常の有無を確認することができる。効率化だけでなく、高所や水中などに人がアクセスする必要がなくなり、点検作業の安全性が向上する効果もある。

遠隔モニタリング技術を活用することで、点検の効率化、予防保全の推進をする。遠隔モニタリング技術としては、構造物にセンサーを取り付け常時計測する方法、センサーを搭載した車両で走行することによる方法がある。例えば前者は、加速度センサーやひび割れセンサーを施設に取り付けて、常時計測し、計測結果を遠隔地で確認する。異常を検知したら警告を出すアルゴリズムを組んでおくことで、構造物が倒壊する前に異常を知ることができる。これにより、近接目視点検の頻度を減らすことでの点検効率化、早期発見による補修による補修規模の縮小が可能となる。

■下記のは予防保全の提案に関する解決策というよりは、ご自身の得意な港湾鋼構造物での解決策の一例に終始しているように読み取れます。答えの汎用性が低いと減点される危険性がありますので、特定の構造や技術に限定せず、広い新技術応用に言及するようにしてください。

例えば本講座ではこのような技術提案についてご自身の経験の中から提案できるベストの内容コーチングによって導くという方法を取っております。このため安心して正解にたどり着くことができます。

補修・補強技術を活用することで、予防保全を進める例えば、港湾鋼構造物である直杭式桟橋の補修がある。本構造は、海底に等間隔に鋼管杭を打設し、海水面上に出た杭頭部をRC床版で結合することで施工される。経年劣化によって、鋼管杭が腐食し減肉する。普通は防食により腐食を防ぐが、アルミ陽極自体も劣化して効果が薄れて完全に防食できるわけではない。補修方法として、杭間の拘束、荷重伝達を担うストラット材を取り付けることで、腐食による耐力低下を補うことができる。またペトロラタム製の被覆防食を取り付けることで、防食の補修も可能である。いずれにしても、構造物を撤去・新設することなく、適度に補修することで、予防保全をすることができる。

(3)新たに生じうるリスクとその対策 

これまで述べた点検や補修に関する新しい技術は必ずしも実績が多い訳ではない。専門性の低い自治体の職員や民間の施設管理者は採用しにくく、技術が普及しない可能性がある。対策として。ガイドラインや事例集等の図書を整備する。図書を整備する上での留意点としては、劣化状況と適切な補強方法の関係性を示すこと、適用事例のある工法はその詳細を記載すること、工法にリスクがあればそれを明記することが挙げられる。

■自治体の職員の専門性が低いことは現在も見られる状況であってそのこと自体はリスクではありません。問3で求めているリストは、問2であげた解決策、すなわちロボット施工、遠隔モニタリング、新技術活用についての将来のリスクを求めています。エンジニアとして一般的な人にはわからない、(今は問題はなくとも)遠い将来に問題となることまで責任を持つべきと言う、技術者倫理に由来する出題です。問2提案と無関係な一般的なリスクに発散するべきではなく、自己の提案に対する反省と捉えてご検討ください。

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