№23 R3年 環境部門 環境測定の答案について添削致しました。 2021/11/22

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この答案についての講評

 この方の試験結果は、BBCでした。まだ本格的な有料講座は受講されたことはないとのことでした。そして独自の合格戦略として、図表を入れるとか最後に「以上」と書くなどされていましたが、自身の弱点については、出題のねらいがわからず、文章が書けないと分析されていました。

 拝見したところ、全体的に厳しい評価であり、特にⅢ問題はCということで正解に関することが書かれていなかったようです。今回、Ⅲでは、予算削減のため「複数調査機関に委託する」という、環境測定特有の課題が与えられ、その中で品質確保が求められました。しかし、残念ながらこの条件が繁栄されておらず、答案としては無視する形となり、コミニケーション力不足と判断されたのだと想像致します。

 これまで4回受験されて、苦労されているご様子なので残念です。しかしこうした弱点があったとしても、コンピテンシーを高めていけば誰でも合格できます。技術士試験では、講師の言われた通り書き直しているだけでは合格出来ません。大事なのはご自身で正解を感じ取る、そして行動(提案)することです。この感覚を早く習得されて、合格を勝ち取ってください。ただし1回で合格するには正しく学ぶ必要があります。本講座ではマンツーマンコーチングで技術士コンピテンシーを引き出して一発合格するための指導をしておりますのでご参考にしてください。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(31分01秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題   Ⅰ-2 今日、私たちは地球規模での環境の危機に直面しており、迅速な対応を迫られている。地球環境の危機はグローバルな社会・経済システムと深く関わっており、私たちは、経済社会活動に必要不可欠である環境の基盤を維持しながら、環境と成長の好循環を実現することが求められている。以上の基本的な考えに関して以下の問いに答えよ。

(1)  地球環境に危機をもたらしている地球規模での課題について、環境部門の技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。

(2)  全問(1)で抽出した課題のうち最も重要と課題を1つ挙げ、その課題に対する解決策を3つ示せ。

(3)  上記すべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)  前問(1)〜(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。

1.地球環境に危機をもたらしている課題

1)温室効果ガス排出量の削減

地球温暖化により、気象災害が増加し、生態系に悪影響を与えている。地球温暖化を緩和するためには、温室効果ガスの排出量を削減する必要がある。

経済活動を維持しながら、温室効果ガスの排出量を削減することがもとめられる。

■単に削減ではなく「環境と成長の好循環」ですから・・。また、地球環境の危機とは何か

2)海洋プラスチック削減

海洋に流出したプラスチックが海洋生物に悪影響を与えている。また、海洋プラスチックが自然分解され、マイクロプラスチックとなり、人体への影響が懸念されている。

今後は、海洋に流出したプラスチックのモニタリング方法の確立や、海洋に流出したプラスチックを回収するための技術開発が課題となる。

■プラゴミありきで考えていませんか。

(3)コンパクトな地域での資源の循環

廃棄物を有効利用することで新たな資源の投入量を低減し、廃棄物の最終処分量を削減できる。また、よりコンパクトな地域で資源を循環する事で資源を運搬する労力やエネルギーを削減できる。

今後は、よりコンパクトな地域で資源を循環させるシステム作りが要求される。

■対策提案ありきで考えていませんか。課題としては、地球環境の危機をまず言うことです。そし「環境と成長の好循環」です

2.最も重要と考える課題とその解決策

地球温暖化が地球環境に与える影響が最も大きく、早急に対応する必要があるため、(1)温室効果ガス排出量の削減を最も重要と考える課題として挙げ、以下にその解決策を示す。

(1)再生可能エネルギーのさらなる拡大

FIT制度導入以降、自然エネルギーによる発電量が増大した。しかし、設置用地や環境上の制約があるため、これ以上の拡大が困難となっている。

今後は、太陽光発電の設置面積当たりの発電量の多いシステムの開発や、洋上風力発電の開発を行い、再生可能エネルギーのさらなる拡大を目指す。〇

(2)バイオマス発電

バイオマス発電は植物が成長するときに吸収するCO2と燃焼される時に排出するCO2の量が同等となる、カーボンニュートラルな発電方法である。

し尿や食品廃棄物、下水道汚泥を回収して、メタンを製造する。廃材を利用して木材チップを製造する。

製造したメタンや木材チップを燃焼させ発電する。

バイオマス発電を行うことにより、化石燃料の消費量を削減し、廃棄物を削減できる。

(3)水素エネルギーの活用

電力は大量に貯蔵できないため、過剰に発電した電力が無駄となる場合がある。

過剰となった電力を活用して水素を製造する。水素は液化、メタン化、アンモニア化、有機ハイドライド等様々な貯蔵方法が開発されており、大量に貯蔵することができる。

過剰となった電力を利用して、製造した水素を有効利用する事で、化石燃料の使用量を削減できる。

3.新たに生じるリスクとそれへの対策

(1)新たに生じるリスク

自然エネルギーによる発電量が増大することにより、電力の調整が困難となる。水素の製造は、小規模な施設には、コストや安全面から不向きである。

水素製造に代る、電力調整の方法が必要である。

(2)リスクへの対策

地域や小規模発電施設の周辺にNAS等の大規模蓄電システムを建設し、電力を貯蔵する。

それにより、電力の調整能力の向上だけでなく、送電ロスの削減、送電網の負荷の低減、地域のエネルギーの安全保障の向上につながる。

4.業務遂行に当たっての要件・留意点

(1)技術者としての倫理

業務を進める際には、地域の環境や安全を優先し、個人や企業の利益のために情報の隠蔽や捏造を行わない。

■「犯罪行為をしない」では例えが悪すぎます。

(2)社会の持続可能性の観点

地球環境を長期的に維持するためには、何世代に渡って、環境を維持する事が求められる。

そのためには、ESD等の環境教育を行い、環境に対する知識を浸透させる必要がある。

■ESD→ESG

ここはSDGsです

 II-1 省略

問題文 

Ⅱ-2-1 環境測定に係る環境省のマニュアルや告示等が近々改定・改正されることに伴い、A社では新しい分析方法(騒音分野は測定装置)を導入することとなった。この業務を担当責任者として進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。なお、回答に当たっては、「大気、水質、土壌、騒音」の中から1つの分野を選び、最初に明記する事。また、過去に実施した特定の項目で事例を示すのではなく、汎用的に説明をすること。

(1)  あらかじめ調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)  留意すべき点、工夫を要する点を含めて業務を進める手順について述べよ。。

(3)  業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

「騒音」の分野を選択し、以下に記述する。 

1.あらかじめ調査、検討すべき事項

1)測定器の導入数の検討

改正されるマニュアルや社会情勢を勘案し、導入する測定装置の数を決定する。

■数より質では?

2)管理方法の検討

導入する測定装置の管理場所、管理責任者、管理方法を検討する。

(3)測定方法、使用方法の検討

導入する測定装置を使用するための技術の習得方法や、習得した技術の共有方法を検討する。

■今、騒音のマニュアル、告示が改定されるとしたら、どんなことが変わりそうですか。騒音測定の視点での考察をすると答えがわかります。

2.業務を進める手順 事務的な話ではないでしょう↓

業務を進める手順を図−1業務プロセスに示す。

業務遂行手順は①〜⑦の7つの工程から形成される。

①見積もり依頼では、代理人に見積もり依頼し測定装置の価格を把握する。

②測定システムの購入では、測定器の必要性、

測定器の価格を勘案して、導入する測定器の数を決定する。導入する測定器が社会情勢や、顧客のニーズの変化で不要となる可能性がある場合にはリース契約の導入も検討する。

■目的、ねらいが見えず、とりあえず「導入」だけを優先したように感じます。これだと環境測定の専門家の答えになりません。「騒音測定」の新計画が読み取れません。

③管理方法の決定では、測定器の管理を担当する人員、保管場所、管理方法、管理簿の様式を決定する。

④操作方法の習得では、メーカーの技術者を招き、測定器の操作方法を習得する。

⑤操作方法の共有では、習得した技術を調査員で共有する。手順書等のマニュアルを各自で作成し、操作技術の向上を目指す。

⑥導入開始では、測定器の管理責任者、管理や調査に係る人員を決定する。調査時や校正時に気が付いた点を記録する

⑦測定管理システムの改正では、導入後変更すべき点があった場合に測定器の操作方法や測定器の校正方法を変更する。

■方法論はシステマティックで◎です。しかし、他の受験者の類似答案から類推すると、一般論に発散した場合、Cの危険性もありますのでご注意下さい。

3.関係者との調整方法

以下記録していない、記憶が曖昧なため記述できません。

Ⅲ-1 内湾に面するある県では、その内湾の埋め立て地に飛行機が立地し、内湾の都市部には高速道路と新幹線があり、また山地丘陵もある。この県では、環境基準項目等の調査項目が増加する一方で、監視業務に係る予算や人員が削減されるなど厳しい状況にある。そこで新たな方策として、測定計画に基づく環境調査のすべてについて複数の外部調査機関に委託して実施することにした。なお、調査項目と調査地点の見直しは行わないこととする。この委託調査を県の地域的特徴を踏まえて立案・実施する担当責任者として、以下の問いに答えよ。回答に当たっては、「大気、水質、土壌、騒音」の中から1つの分野を選び、最初に明記する事。

(1)  環境調査を外部委託するに当たって、環境測定の技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。

(2)  抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)  前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じるリスクとそれへの対策について、専門技術踏まえた考えを示せ。

「騒音」の分野を選択し、以下に記述する。

1.環境調査を外部委託するに当たっての課題

■内湾、埋め立て地、飛行場、都市、高速道路、新幹線、山地丘陵・・・が現場の条件です。この与条件に応えることです。条件無視ではコミニケーション力不足とみられます。

予算削減のため「複数調査機関に委託する」のですから、その中で品質確保です。

1)AIやIOTを用いた省力化

騒音調査のすべてを外部機関に委託するためには、多額の予算が必要となる。しかし、監視業務に係る予算は削減され、厳しい状況にある。

そのため、騒音測定を自動化・省力化し、監視業務に掛かる予算や労力を削減する必要がある。AIやIOT技術を利用した騒音測定システムを開発し、騒音測定業務を省力化する事が課題となる。

このようなハイテクは焦点ではないでしょう。

2)業務内容の明確化

外部委託する騒音調査は、航空機騒音、新幹線鉄道騒音、在来線鉄道騒音、道路交通騒音、工場騒音等であると想定される。

■だとするとどんな内容となりますか。

これらの測定地点、測定方法、使用機器、業務内容、測定時期を集約・解析し、業務内容を明確化し、受注業者と情報を共有できるようにすることが求められている。

■なぜ情報共有ですか。

(3)業務の分配

監視業務を効率よく実施するためには、業務を適切に分配する必要がある。測定資材や労力を円滑に運用するための測定計画を立案し、外部機関に委託する業務を受注機関が実施しやすいように分割する必要がある。  

■環境測定の主題から離れています

2.最も重要と考える課題とその解決策

広域な地域で監視業務を実施するためには、労力やコストを削減する必要があると考え、(1)AIやIOTを用いた省力化を最も重要な課題として挙げ、以下にその解決策を示す。

(1)IOTを用いた自動測定

騒音測定では、測定中に正常に稼働しているか、バッテリーの残量が十分であるかを確認するため、定期的に巡回する必要がある。

その作業を、クラウドロガーを用いて自動化することにより省力化する。

測定値やバッテリーの残量のデータをクラウドロガーに送信する。送信されたデータをパソコン上で管理する事により、巡回に要する労力を削減する。

■環境測定、騒音の専門分野での解決策を示すように。

(2)AIを用いた騒音解析

騒音測定において測定対象外の騒音の影響を低減する事は重要な作業である。誤って測定対象外の騒音が測定結果に混入した場合には異常値を示す場合がある。

騒音は騒音源(航空機、新幹線、在来線、工場、自動車)により変動状況が異なり、変動状況と音声を確認することで発生源を判別する。その作業を、AIを用いて自動化する。

AIを用いた画像解析や音声解析を行うことで騒音発生源を特定し、測定対象以外の騒音を自動的に除外するシステムを開発する。AIを用いた騒音解析を行う事により、騒音解析かかる労力を削減する。

■AI(情報工学)に頼るばかりでなく、騒音測定の本質的技術はどこで示しますか。

3.新たに生じるリスクとそれへの対策

(1)調査員の技術者不足

AIやIOTを活用するシステムを開発するためには、高度なプログラミング技術を必要とする。システム開発を外部に委託したとしても、システムを活用するための技術が必要となる。

技術を習得するために、定期的に技術者を招いて講習会を行う。また、社内で勉強会を行い、習得した技術を共有する。

(2)入札システムの多様化

AIやIOTを活用するシステムを開発するためには、多額のコストがかかる。開発するシステムが地域的特徴を踏まえたシステムの場合、他の地域で使用できない可能性がある。

そのため、業務が単年契約であった場合にコストを回収できない懸念があるため、委託業者が減少する事が考えられる。委託業者の減少は入札不調を招き、市場競争の妨げとなる。

そういった事を回避するため、業務を委託する際には測定システムを発注者が買い取る仕組みや、複数年契約を導入し入札システムを多様化する。

様々な入札システムを導入する事が委託業者の減少を防ぎ、市場の適正な競争につながる。

■AIに偏った内容になってしまって、騒音測定の本来の議論から離れたようです。

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