H28年 建設・施工 U-1-1問題 模範解答と解説

問題文

軟弱地盤に盛土する場合の軟弱地盤対策工を2つ挙げ、それぞれについて目的と施工上の留意点を述べよ。


模範解答1 

1-1深層混合処理工法による対策

1-1-1深層混合処理工法使用の目的

 軟弱地盤の強度を増強のためにセメント系固化材を使用した深層混合処理工法を行う。盛土のすべり抵抗の増加、変形の抑止、沈下の低減を目的とする。改良効果は、地中50mまで可能であるが、構造物の重要度や現地状況にあわせて決める必要がある。

1−1−2深層混合処理工法の留意点

 有機物を多く含む土を改良する場合は、多量の固化材を必要とする。添加量は、室内試験を参考にする。試験結果との相違が生じやすいため、改良効果を確認しながら行う。セメント系固化材を使用した場合は、六価クロムの溶出をしないように確認する。

1-2E P S工法による対策

1−2−1EPS工法使用の目的

 盛土自体を軽量化する。盛土の全沈下量の低減、安定確保及び変形対策を目的として施工する。

1−2−2EPS工法の留意点

 火気に弱いため、供用後の車両火災などに備え、土被りを厚くする必要がある。盛土内の地下水による浮上りがおこることがあるので、地下水以下には設置しない。著しく不動沈下が発生した場合、ブロックのずれや内部応力が発生するおそれがある。そのため、地盤によっては、支持地盤の改良も必要になる。

 


解説

 この問題では軟弱地盤対策という建設現場にありがちな対策工について問い掛けるものです。ただし注意すべき点は対策内容が問われているわけではなく、目的と施工の留意点の2つが求められている点です。出題者の意図は、受験者に対策法を暗記して書き出そうという意図があることを見越して、そうした解答法を否定して、技術士にふさわしい応用技術を用いて考察することを求めているわけです。

 目的とは、なぜその対策が行われるのかといったメカニズムを問い掛けるものであり、軟弱地盤対策の原理がわからないと答えられません。また施工上の留意点とは、品質管理のノウハウを問い掛けるものであり、ともにエンジニアとしての能力を確かめる重要なポイントであるということです。ですので対策工の施工法に触れることなく、目的と留意点について単刀直入に記述しなければなりません。目的を表す文の文末は、「〜のためである。」とするとわかりやすいです。

 本研究所の指導では、こうしたどのような視点で、何について述べるのか、と言う出題者の意図を明確にして答案練習を行ってきます。この理由は実際の試験においてこうした答え方の誤りが大きな減点を招いて、不合格の一大原因となっているからです。専門知識の不足ではなく、出題者の意図の読み誤りが大きな敗因であることにご注意ください。

 



模範解答2

1. 地盤改良工の実施

(1)目的

軟弱地盤での盛り土では、盛り土荷重によるヒービングが発生する可能性がある。ヒービング対策としては薬液注入などの地盤改良により、地盤全体の一体性と強度の向上を行う。改良範囲としては、盛り土部から想定される滑り面を含んだ範囲全体を改良する。

(2)留意点

 地盤改良により地盤全体が隆起する場合がある。これを発生させないためには、地盤に低い圧力をかけながら低圧で浸透させる低圧浸透注入で行う。また、計測工を併用して周辺地盤の変位を動態観測して、それに追従したリアルタイムな施工を行う。

2.遮断工の実施

(1)目的

盛り土の影響によるヒービングの防止対策として、鋼矢板などを施工して連続壁を形成し、盛り土による影響を遮断する。施工位置としては、敷地境界など影響を与えたくない位置の手前で行う。

(2)留意点

 鋼矢板などの遮断工は、ヒービングによるすべり面より深い位置まで根入れする必要がある。根入れが浅いと、遮断工そのものが地盤と共にすべり、影響を遮断できなくなる。このため、地盤調査を行い、現場の土質を把握する必要がある。 以上。

 


解説

 「軟弱地盤に盛土する場合」とあるので、具体的な工事の手順を想定してまず施工法を考えます。この解答では盛り土によって生じるヒーリングに着目して、その影響が発生しない方法を提案しています。ヒービングとは、軟弱な粘土地盤を掘削する場合、掘削背面の土塊重量が掘削面下の地盤支持力より大きくなると、地盤内にすべり面が発生し、このために掘削底面に盛り上がりが生ずる現象です。

 2つの工法とは、薬液注入工と遮断工です。ともに対策工の施工管理に注意が必要ですし、対策後に悪影響も発生しますので、それらに対する注意を留意点として述べれば良いでしょう。 答案の中で前者については計測後、後者については地盤調査を挙げていますが、具体的に何を行うかまで記述することが望ましいといえます。

留意点とは対策に由来して発生する問題点をいかに解消するかという具体的な対処方法

を求められているということです。




模範解答3

 軟弱地盤上の盛土工では、盛土荷重により圧密沈下、すべり破壊や周辺地盤の隆起等の発生を防止するため、セメント系攪拌工法等による地盤改良や軽量盛土工法などの対策工を施す。

セメント系攪拌地盤改良工法

【目的】盛土下軟弱地盤中に機械攪拌もしくは高圧噴射攪拌工法を用いてセメント系柱状改良体を造成し、地盤強化することで盛土荷重の支持力を確保する。

【施工上の留意点】

・事前に原位置土を用いた計画配合を立案する。

・計画配合による試験施工により原位置強度・造成径を確認しフィードバックするとともに、実施工中一定頻度のサンプリング試験による品質確認を実施する。

軽量盛土工法

【目的】盛土材に発泡スチロール、気泡混合軽量土等の軽量材を用いた盛土の軽量化により、地盤負荷を軽減する。

【施工上の留意点】

・観測施工を行い、各施工段階での地盤変位を事前の予測値と対比、検証して実施する。

・軽量材は浮力の影響を受け易いため、降雨等に対する排水対策を施す。

・発泡スチロールについては火災予防に万全の措置を施す。


解説

 問題文の初めに、軟弱地盤上の盛土工の目的である「盛土荷重により圧密沈下、すべり破壊や周辺地盤の隆起等の発生を防止する」とか前置きされていますが、こうした前置き文は特になくても構いません。逆に前置きが長くなり冗長感がでてきますと減点される危険性がありますのでご注意ください。問題文では「工法を選定して目的と施工上の留意点を・・」と求められていますので簡潔、単刀直入にそれらを表すようにしてください。

 この問題文では、いきなり1行目から「セメント系攪拌地盤改良工法」と書かれても全然問題ありません

 内容的には、工法の説明と地盤の強度に影響する建設する施工時に工夫すべき項目について述べていきます。

 機械攪拌、高圧噴射攪拌工法では、セメントの硬化原理によって柱状改良体を造成しますので、その強度が課題となります。このため、

  • 原位置土調査
  • 試験施工による品質確認

が必要となるのです。

 一方、軽量盛土工法では改良体として発泡スチロール、気泡混合軽量土を持ち家ますので、

  • 地盤変位
  • 浮力の影響
  • 火災

が問題となります。このためこの3つの業務の結果につながる因子を有効に管理することが施工管理者の務めとなります。

H28年 建設・施工 U-1-3問題 模範解答と解説

問題文

建設工事の施工計画を策定するに当たり,安全管理として留意すべき事項を3つ挙げ,それぞれについて述べよ

 


模範解答

(1)施工手順に伴うリスクの検討

 施工手順を確認する際,作業に伴いどのような危険が発生する恐れがあるのか,その危険はどのような頻度で発生する恐れがあるのか検討する。作業の中で最も重症度の高い危険の恐れがあるもの対し安全対策を立て作業員に周知する。

(2)施工に必要な安全の仮設設備,機械設備の検討

 作業をするに当たり,作業に必要な作業床,そこまでの作業通路,昇降設備の計画が必要となる。また,高所作業となると、墜落や飛来落下災害防止のための安全設備が必要となってくる。 また,作業をするために揚重機を使用することもあり,作業に適した機械設備を検討する必要がある。

(3)作業環境の検討

 地下ピット内での作業や有機溶剤を使用する作業環境では,酸欠を防止するために,換気設備が必要であったり,防護マスク等の保護具の適正使用が必要となる。また,地下や採光が入らない箇所においては,照明の接地を行い,安全に通行できるように環境整備を行う。 夏季においては,熱中症を防止するために,日蔭の休憩スペースを設け,冷水器,氷等を用意する。

 


解説

 この問題は、「建設工事の施工計画を策定するに当たり,安全管理として留意すべき事項」という漠然とした問題文で、何が焦点かよくわかりません。しかし、現場管理者なら最近の現場の事故発生件数として頻度の高いものが墜落、片落下、建設機械クレーン等の接触転倒である事はわかっています。またその人的要因の内訳は、規律の無視、危険な行為や、肉体的精神的要因などが支配的であるという事、そして管理的要因として安全管理体制の欠陥、施工計画の欠陥があるということがわかっています。

 こうした前提条件をもとに、比較的事故要因として大きいものを取り上げてその改善策を挙げれば良いわけです。

 留意すべき事項の書き方としては、対策を行う上で発生しやすい問題を取り上げその解決策を述べるのが良いでしょう。例文としては「〜するには〜のため〜する。」と目的等注意点を表す文がふさわしいと思います

H28年 建設・施工 U-1-4問題 模範解答と解説

問題文

コンクリート構造物において、所定の耐久性能を損なうコンクリートの劣化機構の名称を4つ挙げよ。

また、そのうち2つについて、劣化現象を概説するとともに耐久性の回復もしくは向上を目的とした補修にあたり考慮すべき点について述べよ。

 


模範解答1

1. コンクリートの劣化機構

 コンクリートの劣化機構は、アルカリ骨材反応、中性化、塩害、凍害が挙げられる。これらが発生すると、耐久性が劣り。構造物の要求性能を満足できなくなる可能性も出てくる。

2-1塩害

 塩化物イオン濃度が増大し、鋼材発生限界濃度に達した時に鉄筋が腐食しひび割れが発生する。減水剤を使用し、コンクリートを緻密化し、エントレンドエアを連行させ、ひび割れがしないようにする。また、エポキシ樹脂鉄筋の使用も検討する。劣化したものについては、除去後にポリマーセメントを使用して断面修復を行う。

2-2中性化

中性化は、空気中の二酸化炭素とコンクリートが炭酸化反応を起こし、PHを低下させ、ひび割れを起こす。塩害対策と同様であるが、減水剤を使用しコンクリートを緻密化しひび割れしないようにする。また、劣化部は、除去後にポリマーセメントによる断面修復や再アルカリ化をする。鉄筋は、防錆しポリマーセメントが鉄筋の裏側まで回るように補修する。

 


解説

 この問題は、近年コンクリート構造物の課題となっている長寿命からや耐久性確保といった機能が、施工段階に依存していることから出題されています。コンクリートの劣化機構とは何か、これは上記回答に記載した4つの項目ですが、こうした知識は基本的におさらいしておくべき項目です。筆記試験ではその名称だけでなく、メカニズム、原理や対策法まで整理しておく必要があります。

 この問題文では劣化機構をを4つ挙げて、その福地2つについて詳述するという形式になっており、内容説明に必要なある程度の文字数を求めているということが伺えます。

 答案の書き方としては、 1枚問題であることから簡潔な構成を心掛けるべきです。絵描き高の名称4つ挙げた後2つについてそれぞれ劣化現象の解説と、それから考慮すべき点について簡潔に述べてください。

 考慮すべき点とは何か。この問いかけは「留意点」とほとんど同じ意味であり、提案した対策を行う上で品質管理の内容を記述すればokです。施工をする際に現実的に目的とする品質に対してそれを阻害する要因が発生することが度々あります。プロのエンジニアはこうした問題を解決して目標をとする性能を確保しなければならないわけですが、そうした性能を阻害する要因を一つ一つ解決していくことこそが最終的な性能を保証するためのエンジニアの務めということになります。技術士試験ではこうした品質確保する上で欠かすことのできないエンジニアの必須能力を確かめるため、提案した解決策に対する留意点が問われることが多いのです。



模範解答2

1. 耐久性を損なうコンクリートの劣化機構の名称

中性化、塩害、アルカリシリカ反応、凍害

2. 中性化の概説と補修時の考慮すべき点

酸性である空気中のCO2が、アルカリ性であるコンクリート内に侵入していくことにより、コンクリートのアルカリ性が中和され低下する。これにより、鉄筋を保護する不働態体膜が破壊され、鉄筋が腐食膨張するため、コンクリートにひび割れが発生する。

 補修では、コンクリート中にアルカリ性の電解質溶液(炭酸ナトリウム溶液等)を電気的に浸透させて、中性化したコンクリートのアルカリ性を回復させて、不働態膜を再生させる再アルカリ化工法が有効である。中性化が再発しないように、補修部分はコーキング材で完全に密閉して、外気の侵入を予防する。

3. アルカリシリカ反応の概説と補修時の考慮すべき点

コンクリート中の骨材に含まれるシリカが、コンクリート中のアルカリ分と反応し、アルカリシリカゲルが生成される。これが侵入してきた水と反応すると給水膨張するため、ひび割れが発生する。

補修では、アルカリシリカゲルへの水の供給を遮断するために止水注入などにより十分な止水を先行して行う。その後に部材全体を巻き立てて補強するが、鋼板では重量による躯体への負担増加があり、繊維補強シートでは外気の紫外線に弱い問題があるので現場状況により使い分ける必要がある。以上。


解説

 

 耐久性を損なうコンクリートの劣化機構の名称が求められていますので、この答案では、中性化、塩害、アルカリシリカ反応、凍害、という4つの項目を簡潔に述べています。見識を求める問題ではこのように答えの項目を簡潔に述べていくことが重要です。

 劣化の概要とは何かというと、原理やメカニズムの説明がふさわしいでしょう。中性化の概説といえば、

空気中のCO2→コンクリート内に侵入→アルカリ性が中和→鉄筋が腐食膨張→ひび割れが発生

という因果関係がありますのでこれを簡潔に説明します。

 対策と留意点としては、これの因果関係を逆にたどって、ひび割れを発生させないようにするにはどうするか。コンクリートのアルカリ性を回復させるとか、空気中のCO2が侵入するのを防ぐなど、中性化に至る因果関係を途中で断ち切ることを提案すればよいのです。

 アルカリシリカ反応についても同様です。メカニズムは、
コンクリート中骨材にシリカあり→アルカリ分と反応→アルカリシリカゲル生成→水と反応→給水膨張→ひび割れ

というものです。この対策はアルカリシリカゲルへの水の供給を遮断するためにコンクリート表面での止水などが有効です。

 



模範解答3

 

 コンクリート構造物の所定の耐久性を損なう劣化機構は,中性化,ひび割れ,アルカリ骨材反応,凍結がある。

1. 中性化

 コンクリートの脆弱部より二酸化炭素が侵入することによりコンクリートがアルカリ性から中性化する。コンクリートが中性化すると鉄筋のまわりにある不動態被膜が破壊され鉄筋に錆が発生する。錆びた鉄筋は体積が膨張し,コンクリートにひび割れを発生させる。ひび割れ部分より劣化因子が侵入しさらに鉄筋に錆が発生しコンクリートを劣化させる。

 補修する際には,中性化したコンクリートを撤去して,鉄筋の防錆を十分行った上で表面に塗膜塗装をかけて補修をしなければならない。

2. ひび割れ

 コンクリートが硬化する際,乾燥収縮に伴いひび割れが発生する。また,先打ちしたコンクリートに拘束される形でも後打ちコンクリートにひび割れが発生する。マスコンクリートにおいては,内部のコンクリートが発熱で膨張しているのに対し,外周面は外気温に左右されて冷やされ内部面が外部面を拘束してひび割れが発生する。

 ひび割れの補修は,ひび割れの進行が完全に終了した段階では,樹脂による注入補修でよいが,ひび割れが進行中のものであれば,可とう性のある弾性系の樹脂を注入材として使用しないとひび割れに追従できない。


解説

 劣化機構4つの答えは模範例1、2と同じです。

 中性化の説明では、まず「中性」の意味が何かと言うことと、なぜ「中性」ではいけないのか、その要因がコンクリート柱のpHにある事を示し、酸アルカリの環境が不動態被膜の破壊に関係していることを述べで、逆に不動態皮膜を保護するためにpHをアルカリ側に改善(アルカリ化)することを言えばよいのです。

 ひび割れの説明では、その要因が乾燥収縮や熱応力にあることを示しそれらの要因を低減する方法を提案します。答えの図式は原理と対策を、目的・方策の関係として論理的に説明すればよいわけです。

 



模範解答4

 

 コンクリートの劣化機構として、「中性化」、「塩害」、「アルカリ骨材反応」、「凍害」などが挙げられる。うち、「中性化」と「塩害」について劣化現象を概要と補修上の考慮すべき点を述べる。

中性化

【劣化現象】空気中の二酸化炭素がコンクリートに侵入してコンクリート中の水酸化カルシウムと反応し、アルカリ性が低下することで鉄筋の不動態被膜が破壊され、浸透した水・酸素により鉄筋腐食が生じ、ひび割れ、剥離等コンクリート劣化が進行する。

【補修上の考慮点】中性化深さ試験、鉄筋腐食度調査等により、劣化程度を診断するとともに中性化の進行を予測し、維持管理計画に沿って要求性能に見合った工法(表面被覆、断面修復、電気防食)を選定する。

塩害

【劣化現象】海水飛沫など外在塩化物の侵入あるいはコンクリート材料に含まれた塩化物による塩化物イオンが一定濃度を超えることで、鉄筋の不動態被膜が破壊され、浸透した水・酸素による鉄筋腐食しひび割れ・剥離等コンクリートの劣化が進行する。

【補修上の考慮点】塩化物イオン含有量試験、鉄筋腐食度調査等により、劣化程度を診断するとともに、今後の塩化物イオン拡散を予測し、維持管理計画に沿って要求性能に見合った工法(表面被覆、断面修復、脱塩、電気防食)を選定する。

 


解説

 

この解答は、

  1. 劣化機構の名称
  2. 劣化現象の概説
  3. 補修にあたり考慮すべき点

の3つが簡潔に書かれていて、ほぼ満点に近いものと考えられます。

 劣化現象の概説とは、空気中の二酸化炭素がコンクリートに侵入し、その後鉄筋の腐食にどのような経路でいけるかという説明がなされる必要があります。この方はそのプロセスが技術的にかつ簡潔に表現できます。

 また補修にあたり考慮すべき点とは、物理探査等によって劣化診断を行い、その結果より補修方法をどう判断するかという考え方を表せれば良いのです。

 残念ながらこの説明が「要求性能に見合った工法を選定する。」とやや抽象的に描かれています。要求に見合った工法である事はどの現場でも当然のことであり言うまでもないことです。「要求性能に見合った工法」とはどういう工法か、そしてその判断はどう考えるべきかを具体的問われていますので、そのような内容を表せば完璧です。

 「塩害」についても同じです。やはり「維持管理計画に沿って要求性能に見合った工法を選定する。」と書かれており具体的にどう考えるか、判断根拠がないためにもの足りない感じとなっています。

 ともあれ解決策の提案として

中性化には、表面被覆、断面修復、電気防食

塩害には、表面被覆、断面修復、脱塩、電気防食

といった具体的な方法が推奨されていますので、施工計画のエンジニアとしてのコンピテンシーは十分感じられます。こうした具体的な技術名を挙げての提案が合格力を高めると言えそうです。


H28年 建設・施工 U-2-2問題 模範解答と解説

問題文

幅10m、厚さ3m、高さ10mの鉄筋コンクリート橋脚の施工に当たり、以下の問いに答えよ。

(1)発生しやすい初期ひび割れの原因を3つ挙げ、それぞれについて概説せよ。

(2)(1)で挙げた3つの原因のうち2つについて、初期ひび割れを防ぐため、施工計画段階で検討するべき事項及び施工時に実施すべき対策を述べよ。

 


模範解答1

  1. 発生しやすい初期ひび割れ

1−1セメントの特性によるひび割れ

 コンクリートは、硬化時に膨張し冷却時に収縮を起こす。外部と内部の収縮の差によりひび割れが発生する。これを内部拘束ひび割れという。先行して打設したコンクリートに新しいコンクリートを打設する場合先行して打設したコンクリートの拘束を受けひび割れが発生する。これを外部拘束ひび割れという。

1−2沈下ひび割れ

 構造物の鉄筋の上は、沈下が拘束されるため、コンクリート表面のタンピングが不足すると上面鉄筋に沿ったひび割れが発生する。壁とスラブを連続して打設する場合、壁コンクリートの沈下を待たずにスラブコンクリートを打設すると接合部にひび割れが発生する。施工不良が原因である。

1−3乾燥ひび割れ

 コンクリート表面に亀甲状のひび割れが発生する現象で発生原因は初期養生の失敗により表面が急激に乾燥したためである。冬期の吸熱養生においても直接熱風が表面にあたりひび割れが発生することがある。

2-2.施工計画段階で検討すべき事項

 橋脚の大きさからマスコンクリートとして計画す必要がある。マスコンクリートでは、配合の検討・養生の検討を行う必要がある。また、FEM解析を行い、必要に応じてひび割れ誘発目地も検討する。

2-2.施工段階で検討すべき事項

 乾燥ひび割れ対策として、湿潤養生を行い、アクアカーテンなどを採用し、水を20度前後になるように管理する。防寒時の養生として、脱型後一気に外気にさらすのでは、なく保温養生して徐々に温度を下げる。

 


解説

この問題では幅、厚さ、高さの3Dに相当する3つの寸法が提示されており、こうした立体的な構造物に対して、どの部位に最もひび割れが発生しやすいかを考察した回答が必要となります。

問い(1)ではひび割れの原理を3つ挙げてそれぞれについてメカニズムを説明します。

問い(2)では、(1)で選定した3つの原因に対して2つを選定し詳述します。ただしその説明は、@施工計画段階とA施工時の2段階で述べることが求められています。こうした要求の項目に従って、2-1,2-2と章立てしてそれぞれ述べていくわけです。



模範解答2

1.ひび割れの原因の概説

(1)内部拘束によるひび割れ

 対象のコンクリートでは、平面的な広がりがあり厚さが80p〜100cm以上であり、部材内部での温度差が発生する。この時の温度差が20℃以上になると、ひび割れが発生する可能性が高くなる。また、水和熱の高い内部が先行して自己収縮するため、ひび割れは、外周部から内部に向かい発生する。ひび割れの発生位置は、矩形橋脚の角部付近になるため、この橋脚では、幅10mの中心部5mの位置になる。

(2)外部拘束によるひび割れ

 躯体底部の部分においては、既存のコンクリートとの打ち継ぎ目や既設の地盤と接する状態となる。このとき新設部分では、水和による自己収縮により既設との境界に引っ張り力が発生する。このためコンクリートが拘束されひび割れが発生する。構造物は高さ的に3m程度毎に合計3回程度に分割して施工されるため、橋脚の打継部において打継方向と直角の縦方向に橋脚中心において、ひび割れが発生する。

(3)乾燥収縮ひび割れ

 橋脚の柱頭部の地上10mの位置では、施工完了後には地表面部や地下に比べて、直射日光を受けることに加えて、風の影響も受ける可能性が高い。このため乾燥収縮が発生し、コンクリートにひび割れが発生する。ひび割れ位置は、収縮する距離が最大となる橋脚中心に、縦方向に発生する。

2.初期ひび割れ防止の検討事項と実施時の対策

(1)体積変化による拘束の低減

@誘発目地の設置

設置位置は詳細な温度応力解析により決定するが、一般的には躯体寸法が大きいいところを、2〜3m以内程度の寸法なるように分割する。これにより発生する温度応力(主に引っ張り力)が過大になるのを防ぐ。

A打設ブロックの大きさの低減

体積が一様に収縮変化するコンクリートでは、部材寸法のうち最も長い寸法部分の体積変化が最大になるため、引っ張り力も大きくなる。よって一度に打設するブロックを分割して小さくすることで、発生する温度応力を小さくする。

(2) マスコンクリートの水和熱の低減

コンクリートの水和熱による温度差を小さくすることで発生する引っ張り力を低減して、コンクリートのひび割れを低減する。最も高温になる部分は躯体表面から最も遠い位置になる。対象の躯体厚さ3mでは中心部分から半分の位置(1.5m)でパイプクーリングにより冷却する。


 

解説

 この解答では「幅10m、厚さ3m、高さ10mの鉄筋コンクリート橋脚」と具体的に寸法が与えられたことから、構造物の力学的にひび割れの発生しやすい場所を特定して原因を述べています。単なる構造物とは違って形状が与えられるとモーメントやせん断力によってひび割れの発生する場所が特定できるからです。こうした出題者の意図にきめ細かくこたえることがエンジニアの能力であり、そのような出題者の採点意図が伺えます。

 初期ひび割れ防止の検討事項と実施時の対策では、検討によって生じる問題点や困難な検討内容、それから対策によって新たに生じる課題の解決などに言及します。


模範解答3

 

(1)初期のひび割れの原因

 初期のひび割れには,コンクリート打設後コンクリート上面にすぐ発生する@沈降ひび割れ,Aコンクリート表面に発生する乾燥収縮ひび割れ,Bマスコンクリートに伴う温度ひび割れがある。

@沈降ひび割れは,コンクリートが硬化する際,ブリージング水がコンクリート表面に浮き上がる。その際,鉄筋下には,ブリージング水と同時に空気が溜まる。コンクリート上面が硬化する際,その空隙にコンクリートが沈降し鉄筋に沿った形でひび割れが発生する。

A乾燥収縮ひび割れは,コンクリートが硬化する際,コンクリートが乾燥し水分が蒸発する。更にコンクリートが収縮することによりひび割れが発生する。また,先に打設したコンクリートに後打ちのコンクリートが拘束されて,後打ちコンクリートが硬化する際ひび割れが発生する。

B温度ひび割れは,コンクリート断面が大きい場合,内部面は,硬化の際熱が発生して膨張を続けようとする。しかし,外部面は,外気温に左右されて冷やされ収縮する形になる。内部コンクリート面に外周コンクリートが拘束されて,外周コンクリート面にひび割れが入る。

(2)-1初期ひび割れを防ぐための施工計画段階での検討

 乾燥収縮ひび割れの施工計画段階での対策は,細い径の鉄筋をコンクリート表面に細かいピッチで配筋を行う。また,コンクリートは,粗骨材として石灰石を使用し,単位セメント量を減し,膨張材を混入する配合計画とする。 温度ひび割れの施工計画段階での対策は,まず,使用するセメントの種類,施工時期,コンクリート打設厚さのケースにより温度解析を行う。0.3mm以上の有害なひび割れが発生しないかどうか解析を行い,セメントを中庸熱ポルトランドセメントを使用するのか,低熱ポルトランドセメントを使用しなければならないのか,普通ポルトランドセメントでもよいのか確認する。コンクリート打設厚さと合わせて検討する。

(2)-2初期ひび割れを防ぐための施工時実施すべき対策

 乾燥収縮ひび割れを防ぐための施工時実施すべき対策は,コンクリート打設後,コンクリート表面が急激に乾燥をしないようコンクリート表面にビニールシートで被い湿潤養生を行う。型枠のせき板についても所定の強度が発現するまで解体しないのは当然であるが,急激な乾燥を防止するために一定期間保持する。

 温度ひび割れを防ぐための施工時実施すべき対策は,外周部と内部の温度差が発生しないように,外気温に左右されないように型枠を保温する。打設完了後,打継面に0.3mm以上の幅のひび割れが発生した場合は,樹脂注入を行ってから次の打ち重ねの打設を行う。


解説

 初期のひび割れの原因3つとありましたので、@ABと記号をつけて3つを列記するのが良いでしょう

 検討すべき事項は計画段階と施工段階の3段階で問われています。計画段階では材料の仕様等計画内容に相当することをあげ、施工段階では工法、手順、施工法について述べます。いずれもただ普通にやる方法ではなく工夫して改善する方法を提案します。この工夫して他者よりも貢献する姿勢が技術士にふさわしいと評価されるわけです。

 



模範解答4

 

 複数リフト施工となる当該マスコンクリートの橋脚の施工に当たり、発生しやすい初期ひび割れの原因と防止のための各段階における検討事項及び実施対策を述べる。

初期ひび割れ原因

【原因1:セメントの水和熱による温度応力】セメントの水和熱によるコンクリート内部の温度上昇と部材表面部の温度差により、部材に引張応力が生じ、内部拘束温度ひび割れが発生する。また、一旦温度上昇した部材が温度下降により収縮する段階で、打設済みコンクリート(既設リフト)に拘束され、外部拘束温度ひび割れが発生する。

【原因2:ブリージングによるコンクリート面沈下】凝結時、ブリージングによるコンクリート面の沈下が、固定された水平鉄筋などで局部的に阻害され、鉄筋に沿って沈下ひび割れが発生する。

【原因3:コールドジョイントの発生】打設延長の長いコンクリート工などにおいてコンクリートを連続して打ち重ねる場合、境界面の締固め不足や先行層の凝結により、先に打設した層と一体化が出来ずコールドジョイントが生じ、境界面に沿ってひび割れが発生する。

初期ひび割れ防止の検討事項と実施対策

-1温度ひび割れの防止

【施工計画段階の検討事項】

・計画される施工条件下での「温度ひび割れ解析」を行い、温度ひび割れ指数が1.5以上となるコンクリート材料・配合及びリフト高などを適切に定める。

・セメント材料は、水和熱の小さい低熱あるいは中庸熱ポルトランドセメントなどを検討する。

・AE減水剤などによる単位水量の低減を検討する。

・必要に応じて、コンクリート材料のプレクーリング、あるいは打設後のパイプクーリング等検討する。

【施工時実施事項】

・生コンクリートは出荷から1.5時間以内に打込む。

・受入れ管理温度を設定し、超過したコンクリートを排除する。

・炎天下のコンクリート打ち込みは回避する。

・型枠存置期間を通常より長い1週間以上とし、脱型後もシート等で養生する。

-2沈下ひび割れの防止

【施工計画段階の検討事項】

・AE減水剤などによるブリージング量の低減を検討する。

・実施工に見合った適切な打設リフト高さを検討する。【施工時実施事項】

・打込み速度を1m/Hrとし、締固め4名を配置して適切な締固めを行い、急速な打込みをしない。

・一層の打設厚さを0.6mとし、1.5時間以内でターンする。

H28年 建設・施工 V-1問題 模範解答と解説

問題文

我が国の労働人口が総じて減少する中で、将来にわたる社会資本の品質確保を実現するためにその担い手(建設技術者、建設技能労働者)の中長期的な育成及び確保を促進するために対策を講じる必要があると考えられる。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)担い手不足が生じる要因を2つ挙げ、それに伴って発生する施工分野の課題を記述しなさい。

(2)(1)で挙げた課題について、あなたが実施できると考える具体的な対応策と期待される成果を発注者、受注者の立場を明確にしたうえで記述しなさい。

(3)担い手不足に対応するために建設部門全体で取り組むべきとあなたが考える方策を記述しなさい。

 


模範解答1  (簡易答案形式)

 


 

1.担い手不足が生じる要因と課題

@少子高齢化により労働人口が減少している。さらに3K等に代表されるマイナスイメージから技能労働者が増えてこない。課題はグローバルな視点で労働力を確保して作業の品質・工程を維持することである。

A工事量の膨大化や自然災害対策や高度経済成長期に建設された構造物が一斉に更新期を迎えるため、施設維持工事が滞っている。課題は、維持工事の技術者の育成である。

2.担い手不足の対応策と期待される成果

@建設需要の増大に対応するために外国人労働者を積極的に採用する。型枠工事や鉄筋工など人による作業が適しているものを行う。期待される効果は、品質と工程の確保である。

A維持管理工事の現場で、少ない人数で効率を上げられるようにICT技術の活用を図る。特に維持・管理にICT技術の活用を図る。期待される成果は、難度の高い維持工事も若手技術者でもできるようになる。

3.建設業全体で取組むこと

@業界全体で外国人技能者の国の風習・習慣を学ぶ機会を設ける。また、外国人労働者の派遣国に日本人講師を派遣し、鉄筋工や型枠工などの技術を現地で習得する機会を設ける。

AICT技術・IOT技術を活用する。市町村・県・国など個別に管理していた構造物情報をクラウドコンピューティングを利用し集積し、専門家による判断・補修方法を行うシステムを構築する。

 


解説

 この問題は建設技術者、建設技能労働者の担い手の不足といった労働力需給に関する問題です。問1では担い手不足が生じる要因を2つ挙げ、その課題を求められています。原因については社会経済的な背景を述べると良いでしょう。一方、課題については3k問題や他産業との労働需給などといった問題点の指摘ではなく、建設、施工の視点から解決策をに至る方針を示す必要があります。

 一般的に「課題」と言う言葉の意味は、「〜すること」と「〜という問題点がある」の2つの意味で用いられています。例えばこの問題で言うと、

  • 建設技術者が不足していることが課題である。
  • 建設技術者が不足している(問題点)ため、その確保が課題である。

というように問題点を課題として取り扱うことも一般的に行っれています。ただし技術士試験ではエンジニアの判断力を問いかけるため、

「課題は?」と問われたら問題点ではなく技術的な判断を添えて回答する

ことが望ましいといえます。出題者の意図は、単なる問題点を把握するという一般的な見地ではなく、エンジニアとしての問題解決の姿勢を問いかけているわけです。この時に技術的な判断が伴わなければ、建設、施工の答案として採点することができないからです。

 問2では、対応策と成果を問われています。この理由は解決策の提案とその方策が目指す解決イメージが具体的にできているかを問いかけるものです。こうした解決済を目指す方策提案というのがコンピテンシーの本質であることから新たにこのような形式の問いが出題されたのだと考えます。コンピテンシーとは何か?こちらをご覧ください。

 「発注者、受注者の技術者の立場を明確にしたうえで」とは、誤解しやすいようです。この意味は、もしあなたが発注者なら、発注者の技術者としての立場を明確にしたうえで、その立場上必要となる品質管理の必須事項に触れて解答せよという意味です。発注者と受注者両方の立場からそれぞれ述べると言う事ではありませんのでご注意ください。

 問3では建設部門全体で取り組むべきことが求められています。この意味は個人的な見解ではなく、組織やあるいは会社の枠を超えた業界としての対応姿勢や考え方を求めるものです。すなわち、技術士と言うものは指導者の資格であり、自分自身がどう行動するかだけではなく、組織や業界をどう導いていくかというマネジメント力が求められるということです。このような能力を「取りまとめ力」と呼んでいます。取りまとめ力は技術士が備えるべき能力として、文部科学省技術士分科会でも位置づけられており、今後もV問題などで出題されることが予想されます。専門知識での解決ばかりでなく組織運営をどうするかや、他の専門集団を指導して取りまとめていく工夫が求められるということです。



模範解答2

 

1.担い手不足の要因と施工分野の課題

(1)技術者の高齢化による減少

 日本の高度経済成長期を支えてきた高度な技術は、中心となって活躍した技術者が、高齢化により引退し始めているため、減少してきている。これに伴い、現場でのいわゆる職人技についても、高齢化した技術者では、身体的に複雑な作業の実行は困難である。

 このような高齢化による人手不足や、身体的な衰えに対しては、作業の機械化による省力化や効率化をすすめることが課題である。

(2)新規入職者の減少

 建設業は他産業と比べて労働時間の長さと賃金の低調さ、残業が多いなど、就労環境が悪い実態がある。このため、建設業に対する魅力を感じない人が増加し、新規入職者は継続的に減少している。

 このような状況を改善するためには、女性や外国人などの未経験者でも従事しやすいように、特別な技能や知識が無くても従事が可能状況なを整備して、労働者への負担を軽減しながら、生産性を向上することが課題である。

2.対応策と効果

(1)機械化による重労働の削減

 建設現場での労働者の体力や持続力、器用さなどの能力差により、製品の制作の可否や品質が異なる結果になっている。これを解消するために、資機材の運搬や設置、組立には、重機械を積極的に活用することで労力を軽減できる。また、現場の状況により重機械が入らないような狭隘な場所においては、小型化した機械の活用で対応ができる。また、既設構造物が近接していて人がかろうじては入れるような狭隘な場所では、人がロボットスーツを着用することにより、身体的な負担を軽減しながら、作業ができる。

 以上の効果として、既存の習得した専門知識や経験を生かして、少人数で従来と同等以上の労働生産性を向上させることができる。

(2)ユニット化の導入

 施工現場での複雑な作業を低減しながらも品質を確保できる方法として、資機材のユニットがある。現場合わせの多い足場工においても、ユニット化が進み、従来よりも組立解体作業が早く正確に施工できる。

また、本体構造物においては部材をプレキャスト化することで、現場条件に左右されない安定した場所で事前に鉄筋や型枠を組立てられるため、高い品質が確保できる。

 以上の効果としては、未経験の作業者でも品質確保ができるため、女性や高齢者、外国人などを含め、就労人口の向上が期待できる。

3.建設部門全体で取り組むべき方策

(1)他分野の個別技術の活用

 担い手不足の解消のため、新たに他分野との接点を見出して活用することが必要である。従来は単独の会社や分野だけで行われていたため、多様な案が不足していた。例えば、土木工事に欠かせない測量技術においては、無人飛行体(ドローン)の活用や、医療分野のCTスキャン技術を適用して、早く正確な座標化が可能である。

 このように、近年急速に発達してきた技術ならば、従来からの固定観念がないため、新たな技術を導入しやすい。

(2)ビッグデータの活用

 多様な事項をデータ化するビックデータの活用により、近年問題化してきているインフラの老朽化による上下水道の漏水検知システムの構築ができる。このような社会インフラの点検や損傷程度データ蓄積は、老朽化による劣化予測を可能にし、インフラの長寿命化に活用することができる。これは従来の構造物毎に個別に状態を判定する考え方と異なる新しい技術といえる。

 今後、国内のインフラ老朽化に置ける情報を諸外国のものを含めて、さらに大きなデータとしてシステム構築していくことで、精度を高め、世界のインフラ管理技術を先導できると思う。以上。

 


解説

1.では、担い手不足の原因を分析し、その根本的な要因に対して対策を提案します。

2.の対応策と効果は、建設部門施工科目としての具体的な対処方法を延べ、それによって得られる解決イメージを示します。こうした効果や成果を求められる理由は、解決に結びつけると言うコンピテンシーの考え方が備わっているかということを確かめています。

3.建設部門全体で取り組むべき方策とは、単一の企業ではなく業界全体としての幅広い取り組みについての考えがあるかどうかが問われています。個人の見解を述べる事は簡単なことですが、業界全体としてどう推し進めていくかを答えねばなりません。こうした業界全体の方針策定や組織の運営というものは、マーケットに対する見識や取りまとめのノウハウが必要であり、技術マネージャとしてのコンピテンシーそのものなのです。このため、こうした能力がが技術士としての必須な資質として試験で問いかけられると言うことです。



模範回答3 (簡易答案形式)

 


 

(1)-1担い手不足の要因 

 @給料が安い,休みが少なく労働時間が長い

(1)-2担い手不足による施工分野の課題 

 @社会資本の整備ができずに寿命が短くなる 

 A災害復旧の対応が遅れ危険性が増す

(2)実施できる具体的な対策 

@受注者として記載する 

A建設労働者のために   

  • 社会保険に全員が加入する   
  • そのための社会保険料を工事費とは別に支払う   
  • 工事費の単価を見直す   
  • 生産性を向上させる工法,技術の導入  

B建設技術者のために   

  • 残業をしない日を決めて終業時刻がきたら退社する   
  • 休日出勤に対し代休を取得させる   
  • ICTを利用した検査システムを活用し業務時間短縮

(3)担い手不足のために建設部門全体で取り組むべき内容  

@生産性を向上させる   

  • プレキャスト化,プレファブ化.工業化
  • ICTの活用

A女性の活躍推進   

  • 作業環境整備   
  • 出産後の現場支援
  • 業務復帰のシステムの構築  

B若手の活躍できる場をつくる   

  • 実務経験がなくても資格試験を受験できる   
  • 教育訓練の充実  

C適正工期で工事を受注する   

  • 国交省と日建連で作成した標準工期設定システムを活用して工期を設定  

D適正な単価で発注する。   

  • 重層下請の構造を改める

   ・プレキャスト化,プレファブ化.工業化

   ・ICTの活用


解説

 簡易答案形式で表しています。当研究所では、3枚問題の答案全体をこのような全40行程度の箇条書きで表す練習を行っています。この方法ですと答案の文章の直しに忙殺されることなく、答案骨子の作成と言う本質な勉強を行うことができます。  この方法では、まず与えられた命題である担い手不足問題を分析し、それに対して具体的な対策を挙げ、次に建設部門全体で取り組むべき内容へと、全体を見渡して視点を変えて述べることがしやすくなります。 この全体を見渡すということが全体のまとまり感を出すのに役立っています。  技術士試験の合格基準が何かほとんど公表されることありませんが、今年の総合技術監理部門の問題には次のような採点基準を表す文章がありました。  「書かれた論文を評点する際考察における視点の広さ,記述の明確さと論理的なつながり,そして論文全体のまとまりを特に重視する。」  このことから全体的なまとまりが大切なことがうかがえます。

 



模範解答4

 

1.担い手不足が生じる要因

(1)建設投資額の減少と受注競争の激化

 長期的な傾向として建設投資額が減少する事により、公共投資額が減少し、その内訳も新規投資余力はあまり見込めず、大規模プロジェクトも減少傾向にあった。しかし近年ではオリンピックなどの需要を背景に建設投資が急増している。このため増加した工事量に対して建設技術者の比率が低下傾向にあり、技術者不足が生じている。また、コストダウン要求が強い一方で、建設材料や労務といった原価は上昇しており、建設業の収益構造は厳しくなりつつある。その為、労働者は、高い賃金を望めずしわ寄せが、労働者に行っている。労働者の就労環境が悪化し、これを看過すると技能労働者等のさらなる減少が生じ、平常時においても技能労働者等が著しく不足する事態が懸念される。

(2)技術者不足

 近年、著しく人口が減少し高齢化社会となっていくと同時に、建設技術者も大幅に不足している。熟練労働者は高齢化により引退していき、一方若年労働者は建設業に対して、他産業に比べて魅力が感じられなくなっているため敬遠する傾向にある。その為、技術労働者が全体的に不足している。

2.担い手不足に伴って発生する施工分野の課題

 建設市場において、低価格要求が強まり繁忙化すると、これまでのような標準的工期でじっくりと技術継承できるような工事が少なくなり、熟練労働者・技術者の技術が伝えられずに途絶える危険性がある。このため、若年労働者に技術伝承する時間、場を増やして、継承機会を増していく必要がある。この具体的な方法は、熟練労働者・技術者の定年後再雇用など、雇用期間を延ばすことで可能である。

 一方、技術継承の受けて(担い手)として建設労働者以外に、女性労働者や外国人労働者など、新たな労働者市場から人材を調達することも必要である。

3.実施できると考える具体的な対応策と期待される成果

3-1定年後熟年労働者の再雇用

 近年熟年労働者が大量に定年を向かえ退職しているが、これらの方を再雇用して、若手の指導に当たってもらう事が有効である。体力を要する労務は軽減し、若年労働者に指示したり、説明したりすることによりほとんどの技術継承は可能である。こうした労働者の活躍により大きなコスト増を生むことなく、技術継承が可能となる。

 ただし熟練労働者の多くは、自らの技術が継承に値するものであるという意識が薄かったり、技術はあってもそれを伝えるコミニケーション能力が不足していたりするケースが多い。このため技術継承のための伝える技能を高める指導が必要である。

3-1女性、外国人労働者の雇用

 建設業は国内産業かつ環境条件も厳しいためのため、日本人男性労働者以外には閉鎖的な業種であつたが、近年女性や外国人は確実に増加しつつある。これらの労働者をさらに増やすため、ユニバーサルでグローバル対応できる快適な環境を目指すべきである。建設現場特有の危険性を排除するとともに、肉体的な制約も排除するため機械化していく。外国人対策としては欧米人、アジア人以外に中東地域の人も招くため、ハラル対応の給食や礼拝所を取り入れていく。これらの対策によって、かつてない建設労働者の確保が可能となる。

4.建設部門全体で取り組むべきと考える方策

4-1 建設業の魅力アップ

 建設業が若者に対して魅力あるものとなるため、労働賃金の向上、労働環境の改善、土日、祝日等休日の確保、残業時間短縮を業界で足並みそろえて進めていく。

4-2 IOT技術による効率化

 建設産業の効率化を図るため、業界から情報通信分野に要請し、情報化技術の助けを借りて、建設の施工分野にIOT技術を導入し、効率的な現場管理を目指し、生産性を上げていくことが必要である。一方で、担い手の定着率を高めるため、これまでKKDとか言われてきた現場技術を誰もが理解しやすく、汎用性の高い専門知識として再構築していく必要がある。こうした建設技術のナレッジマネジメントは、熟練労働者等若手労働者及び外国人労働者のコラボレーションによって達成可能であると考えている。

 


解説

 

 この回答は、担い手不足が生じる要因をマーケットの状況や建設需要の動向から分析しようとしたものです。現在日本が置かれている環境を考えると、これから迎えるオリンピックの需要期を控え担い手不足が深刻になることが予想されます。こうした一段と厳しい状況を乗り越えるため、出題者は特段言及してはいませんが、実際には思い切った方策が必要とされているという前提を感じ取る必要があります。

「2.担い手不足に伴って発生する施工分野の課題」

 ここでは少ない人材によって、これまで以上に技術継承を行っていくためのあなたの方法論について述べられています。日本人男性労働者以外に担い手を増やすためには、必然的に女性や外国人労働者を受け入れる必要があるため、そのような新たな対応を模索する必要があるということです。この背景として、変化に対応できる技術者の能力を求めている(これが技術者コンピテンシーの1つ)ことを感じ取る必要があります。

「3.実施できると考える具体的な対応策と期待される成果」

 ここでは具体的にどのように熟練労働者保確保して担い手に指導を行っていくなと言う方法論について具体的に述べています。このように中段では、前段で整理した課題に対して、論理的に矛盾が生じないような一貫性のある解決策を提案していきます。この改善策は次ページの最終段とも整合させる必要があるため、中段では、個別の解決策、そして最終巻では業界全体としての解決策といったスケール感を持たせる工夫が必要です。

「4.建設部門全体で取り組むべきと考える方策」 

 上記3で提案した方策に対して建設業全体としてどう推進していくかという考え方を示します。この個人ではなく組織としての対応を求めるゆえんは、技術士の資質として指導的能力あるいは取りまとめ力といった能力が求められるからです。個人の貢献だけでなく、周囲や専門外の技術者も巻き込んだプロジェクト全体としての業績をまとめる視点が求められています。

 こうした取りまとめ力、指導力といった能力は、技術者のコンピテンシーとして最も高い能力として位置づけられるためその回答による得点、力は相当大きな物なることが予想されますここで専門家らしい見解を表明できればそれだけで十分合格力期待できるということです。



模範解答5

 


 

担い手不足の要因と施工分野の課題

【担い手不足の要因】

@敬遠される労働環境:建設部門の担い手は、平成9年ピーク時の75%に減少し、中でも入職者は半減した。

これは、長期にわたった建設投資の減少による労働市場の縮小と少子高齢化に伴う労働人口の減少が背景にある中で、とりわけ3Kと云われる建設業のマイナスイメージによる、入職者の敬遠が主な要因である。

A高まる建設需要:平成23年東日本大震災を契機に、我が国の建設投資は上向きに転じた。これは、震災復興ほか地震対策、異常気象災害等の自然災害対策、急増する老朽化インフラの維持管理など生活及び安全確保のインフラ整備、ならびにオリンピック・パラリンピック準備に係る建設需要の増加が主な要因である。

【施工分野の課題】

@入職者確保のための、快適性向上、安全確保など処遇、労働環境の改善

 安全で快適な職場づくりにより、処遇・労働環境のマイナスイメージを排除し、入職者を確保する。

A若手担い手早期育成のための、教育訓練の推進

 担い手の教育訓練を外部で行うなど、職業訓練校等の活用により、人手不足で弱体化した社内OJT教育を補い、若手への技術・技能継承と早期育成を促進する。

B生産性向上のための、ICT、IoT等新技術、PCa等新工法の活用

 情報新技術、新工法などの活用により、建設生産分野での省力化、効率化、高度化を拡大し、人手不足を凌ぐ生産性向上を推進する。

具体的な対応策と期待される効果

 受注者の立場として、

@対応策:未経験者からも好感の持てる、快適な職場への改善及び作業の危険性排除など労働環境の改善

【期待される効果】若手未経験者の入職を促し、人手を確保することで、品質・工程が確保できる。また、人手不足によるムリを軽減し、長時間労働の改善、休日の確保など労働環境を改善できる。このことで、入職者の定着も促進できる。

A対応策:中核技術者・技能者による社内研修及び外部教育訓練機関での担い手研修の導入

【期待される効果】人手不足により弱体化したOJT教育を補い、若手担い手への技術・技能継承確保と担い手の早期育成ができる。また、中核技術・技能者の現場負担を軽減できる。

B対応策:ICT建設機械などICT、IoT技術の活用促進

【期待される効果】情報制御の機械・器具を適所で活用することで、作業が省力化、効率化、高度化できる。また、未熟練技能者まで就業機会が拡大することで、人手不足と重労働を軽減するとともに、技能習熟度に依存しない品質確保と作業能率向上が促進できる。

建設部門全体で取組むべき方策

@適正な工期設定による労働環境改善

 工事施工において、受発注者の工程管理担当間で、施工フロー・工事全体のクリティカルパス、施工中の現場工程など工程管理情報を共有し、工期設定支援システムを積極的に共同活用する。これにより、従来の人手作業に伴う、担当者の習熟度、情報量による差異や不透明性を排除し、施工中の条件変化等に対し、速やかに適切な工期変更を行うなど、適正な工期設定を促進する。

A市場要求を組込んだ教育訓練による担い手育成

 専門工事業、教育・訓練機関がゼネコンと連携して、担い手の職種・技能レベル別教育訓練体系と実務的教育内容、教材等を整備し、全国各地の訓練校へ普及推進する。ゼネコンの工事動向、職種・技能ニーズを共有し、これに応える職種育成、技能研鑽を組込むことにより、教育訓練の充実、質的向上を推進する。

B情報新技術、新工法活用のための条件整備

 調査・設計、維持管理など建設生産に関係する、他分野と施工技術情報を共有し、調査、設計段階からのICT等情報技術、PCa等新工法の採用、施工段階での新技術導入を促進する。そのために、設計基準、その他技術基準、歩掛り等の基準類整備を推進し、調査・設計段階のほか、様々な建設生産プロセスでの新技術・新工法の活用と普及拡大を促進する。


模範解答6 (簡易形式1)  0回 2019/7/6  専門事項 現場施工管理


(1)担い手不足の要因と課題

 

@若手入職者の減少

要因:低賃金、長時間労働、休みが無いなどによる労働環境の悪化と、少子高齢化による生産年齢人口の減少。建設技能労働者不足は、社会資本整備の遅延の原因のため問題である。

課題:建設技能労働者不足を解消し社会資本整備の遅延を防止する、生産性の向上。

A指導者不足

要因:団塊世代の一斉の退職により指導者不足となり、建設技術者の担い手不足が生じる。建設技術者不足は、社会資本の品質低下の原因のため問題である。

課題:社会資本の品質に影響を与えない、効率的な建設技術者の育成。

(2)対応策と成果(受注者の立場)

@ICTの活用

対応策:ドローンによる山岳地などの起工測量や、盛土工・舗装工をマシンコントロールなどによる情報化施工とする。

効果:ドローンの高精度のデータ取得。情報化施工の高効率、高精度の作業。

A効率的な育成

対応策:ナレッジマネジメントによる熟練者のマニュアル化しにくい暗黙知を形式知に変えて育成する。ディスプレーによる仮想空間により建設現場を体験する。

効果:熟練技術を形式知化するため、多くの後継者に共有ができる。

仮想実現は、現場に行く必要がないため、いつでもどこでも研修が可能である。

(3)アイ・コンストラクションによる建設部門全体での取り組

@施工時期の平準化

繰越制度や債務負担行為の活用により工期・工事時期を適正化し生産性を向上する。

留意点は、発注機関により工事時期が重複し技術者が不足する。

対策は、CIMの活用による施工条件の誤認防止などにより、技術者不足に対応する。

A規格の標準化

作業の簡素化により、現場での複雑な作業を減少する。女性や外国人など未経験者でも作業が可能である。工場製作のため工期短縮により生産性を向上する。

留意点は、製品が大型のため市街地などの搬入が困難である。

対策は、製品を小型化しハーフプレキャスト化にする。



 

H28年 建設・施工 V-2 問題 模範解答と解説

  平成27年には、免震ゴム支承の偽装、落橋防止装置の溶接不良、杭施工データの流用といった建設工事と直接関わる不正事案が連続的に発覚した。このことは、マスコミでも大きく取り上げられ、エンドユーザーである国民から、建設構造物全般に対してその安全性が疑われるなど、建設部門に対する信頼が大きく揺らいだ。このため、建設技術者は基本に立ち戻って、建設構造物の安全と安心に対するユーザーの満足と信頼の獲得に努めていかなければならない。

(1)       こうした不正事案の背景にあると考えられる要因を2つ記述しなさい。

(2)       ユーザーの満足と信頼を獲得するため、(1)で挙げた要因の対策として、あなたが建設工事において具体的に実施できる施策と期待される効果を、発注者、設計者、元請、下請等の立場を明らかにした上で記述しなさい。

(3)(2)を踏まえ、建設部門全体で取組むべきとあなたが考える方策を記述しなさい。


模範解答1 (簡易形式1)  5回 2019/7/1  専門事項 現場施工管理 

 


(1)不祥事の発生要因

 

@重層構造による外注契約

建設工事は下請構造が重層化しているため、品質に対する責任の所在が明確でない。

各分野で高度に専門化・細分化が進み、専門の技術と経験が必要なため、元請が良否を把握し判断することが困難である。

専門的な工種は下請に品質管理を任せきりにするため偽造や手抜きが発生する。

A厳しい受注環境

バブル崩壊以降、公共工事の受注を巡り厳しい価格競争を続けている。

建設企業は低価格で工事受注することとなり、施工管理・監督に十分な経営資源を注入できない。建設技術者は、少ない人数で過重な業務量を消化することとなり、単純な転記ミスや捏造データを品質記録として残す結果となっている。

(2)施策と効果(元請けの立場)

@施工管理体制の確立

施策:専門化・細分化する工事の品質に影響を与えない施工管理体制が課題である。

複数の作業を遂行する多能工の活用やキャリアアップシステムの推進。

効果:品質の向上、法令順守の徹底、発注者からの信頼の向上。

A建設技術者の育成

施策:就労環境の悪化による技術者減少を解消する技術者育成が課題である。

団塊世代の再雇用による技術の継承。ナレッジマネジメント。

効果:熟練者の技術継承機会の増加。経験的技術の形式知化による共有化。

(3)建設部門全体で取り組む方策

建設部門全体で取り組みは、アイ・コンストラクションである。

規格の標準化:橋脚やボックスカルバートの部材をプレキャスト化することで、工期の短縮により不正工事を防止する。高品質な工場製作のため施工不良を防止する。留意点は、部材が大型で重量も大きいため市街地などの現場への搬入が困難である。対策は、部材を分割化してハーフプレキャスト化にする。

ICTの活用:ドローンとレーザースキャナの起工測量とICT建設機械の情報化施工による高効率・高精度の作業により施工管理を効率化し不正工事を防止する。

留意点は、災害復旧現場では二次災害よりオペレーターに危険が伴う。

対策は、ICT建設機械に遠隔操作ロボットを搭載させた無人化施工とする。