H28年 建設・河川 Ⅱ-1-1 問題 模範解答と解説

問題文

Ⅱ−1−1  河川法の目的に照らし、一級河川の河川整備計画の策定にあたり、当該河川の総合的な管理を確保すべき観点から配慮すべき事項を3つ挙げ、それぞれについて留意点を述べよ。なお、当該河川においては、洪水調節施設はないものとする。

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 1回    完成日 2018/5/10  専門事項 河川計画

1.洪水、高潮等による災害の発生の防止

1-1 河道計画策定

河道の流下能力の確保、土砂移動や浸透にかかわる堤防等の河川管理施設の安全性の確保、維持管理を含めたトータルコストを最小化の観点から策定する。

1-2 内水対策

河道の整備や合流点の付替えによる自然排水量の増加とともに、規模の大きい内水排水ポンプ等の設置が必要である。

2.河川の適正な利用および流水の正常な機能の維持

2-1 水資源開発

新規ダム建設は自然環境や地域住民などに与える社会的な影響が大きいことから、ダム再開発事業の活用を推進する。

2-2 正常流量の設定

10ヵ年第1位相当の渇水時においても流水の正常な機能を維持するために必要な流量を確保できるよう策定する。

3.河川環境の整備と保全

3-1 景観の維持・形成

自然景観や地域の歴史的・文化的な背景を踏まえ、河川が本来有する水を基調とした良好な景観を維持・形成する。

3-2 人と河川の触れ合い

計画、設計、施工、維持管理の各段階に市民が積極的に参画したり、行政、学識者、市民が一体となって取り組む仕組みが必要である。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 5回    完成日 2018/2/10 専門事項 施工計画・施工管理

1.洪水、高潮等による災害の発生の防止

1-1河道計画策定:河道の流下能力の確保、土砂移動や浸透にかかわる堤防等の河川管理施設の安全性の確保、維持管理を含めたトータルコストを最小化の観点から策定する。

1-2 内水対策:本川への合流点付近が後背湿地等の低平地である地域においては、河道の整備や合流点の付替えによる自然排水量の増加とともに、規模の大きい内水排水ポンプ等の設置が必要である。

2.河川の適正な利用および流水の正常な機能の維持

2-1 水資源開発:新規ダム建設は自然環境や地域住民などに与える社会的な影響が大きいことから、ダム再開発事業の活用の推進や、操作規則の見直しよるニーズを確認しながら柔軟な運用を行う。

2-2 正常流量の設定:10ヵ年第1位相当の渇水時においても流水の正常な機能を維持するために必要な流量を確保できるよう策定する。

3.河川環境の整備と保全

3-1 景観の維持・形成:その川の自然景観や地域の歴史的・文化的な背景を踏まえ、河川が本来有する水を基調とした良好な景観を維持・形成する必要がある。

3-2 人と河川の触れ合い:計画、設計、施工、維持管理の各段階に市民が積極的に参画したり、教育的な観点の施設や場を形成できるよう、行政、学識者、市民が一体となって取り組む仕組みが必要である。

H28年 建設・河川 Ⅱ-1-3 問題 模範解答と解説

問題文

Ⅱ−1−3 

火山噴火に伴う土砂災害による被害を軽減するために、対策計画を策定する際の留意点、及び、想定される平常時、緊急時の対策について説明せよ。

模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回    完成日 2018/5/10 専門事項 施工計画・施工管理

1.対策計画を策定する際の留意点

対象火山で起こりうる現象と及ぼす影響の推移を時系列的に整理した「噴火シナオリ」のケースと場面ごとに対策計画を策定する。対策計画は数値シミュレーションにより効果を確認することが必要である。

2.平常時の対策

(1)ソフト対策

  • 土砂災害の被害の範囲の予測と避難場所を設定した火山砂防ハザードマップの作成と情報提供を行う。
  • 地震計等の設置により観測体制および噴火予測の強化を行う。

(2)ハード対策

  • 想定災害規模に応じた基幹的な砂防施設の配置を整備する。
  • 災害発生時の緊急対策用の資機材の備蓄を行う。

3.緊急時の対策

(1)ソフト対策

  • 監視カメラやワイヤーセンサー等簡易で短期間で設置可能な監視機器を配置する。
  • 発生した災害現象や規模を考慮したリアルタイムハザードマップの作成を行う。

(2)ハード対策

  • 大型土嚢等をヘリコプターや無人化重機により運搬し、仮設堰堤・導流堤の設置を行う。
  • 火山の活動状況や想定外の現象の発生に応じて緊急的計画を策定し、既設砂防堰堤の除石を行い、貯留空間を確保する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回    完成日 2018.5.12 専門事項 施工計画・施工管理

1.対策計画を策定する際の留意点

対象火山で起こりうる現象と及ぼす影響の推移を時系列的に整理した「噴火シナオリ」の場面ごとに対策計画を策定する。対策計画は数値シミュレーションにより効果を確認することが必要である。

2.平常時の対策

(1)ソフト対策:

  • 土砂災害の被害の範囲の予測と避難場所を設定した火山砂防ハザードマップの作成と情報提供を行う。
  • 地震計等の設置により観測体制の強化を行う。

(2)ハード対策

  • 想定災害規模に応じた基幹的な砂防施設の配置を整備する。
  • 災害発生時の緊急対策用の資機材の備蓄を行う。

3.緊急時の対策

(1)ソフト対策

  • 監視カメラやワイヤーセンサー等簡易で短期間で設置可能な監視機器を配置する。
  • 発生した災害現象や規模を考慮したリアルタイムハザードマップの作成を行う。

(2)ハード対策

  • 大型土嚢等をヘリコプターや無人化重機により運搬し、仮設堰堤・導流堤の設置を行う。
  • 火山の活動状況に応じた緊急的計画を策定し、既設砂防堰堤の除石により貯留空間を確保する。

H28年 建設・河川 Ⅱ-2-2 問題 模範解答と解説

問題文   

我が国では、高度成長期以降に整備したインフラの老朽化が懸念され、今後、計画的に修繕、更新等を行いながらインフラの機能を維持していくことが求められことを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)河川、砂防及び海岸・海洋のいずれかの分野を選択し、インフラの健全度等を評価する方法について、点検方法と併せて述べよ。

(2)(1)で選択した分野のインフラの点検、健全度評価、施設の修繕・更新等を計画的に行うための長寿命化計画を策定する上で、留意すべき事項を述べよ

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 6回    完成日 2018/5/7  専門事項 河川計画

(1) 砂防分野のうち地すべり防止施設の健全度を評価する方法

①施設の健全度把握

1)地すべり抑制工:

  • 地表水排除工:集水した水が速やかに地すべり地外に排出されているかを目視確認
  • 地下水排除工:集排水管が腐食や閉塞物により排水機能が低下していないか目視確認。
  • 頭部排土工・押え盛土工:法面の押し出しや平面に沈下が生じていないか目視確認

2)地すべり抑止工

  • アンカー工:頭部保護工や受圧板の変形、テンドンの飛び出し、抜け落ちを目視により確認
  • 鋼管杭工:杭頭の腐食状況と周辺地盤に沈下や押し出しがないかを目視確認

②地すべりブロックの安定性の確認:新たな地すべり性の変状状況がないか施設周辺状況を確認し、施設が健全に機能しているかを判断

(2) 長寿命化計画を策定する上で留意すべき事項

①点検精度の向上:非破壊試験を用いたアンカー工や杭の地中劣化状況の把握、CCDカメラによる集水ボーリング工内部の状況把握等により点検の精度向上が必要

②点検の効率化:携帯型GPSによる施設の位置座標の取得や巡視ルートの策定を行い、今後の点検を効率化する工夫が必要

③ブロックの安定性評価:機能低下した施設の割合から地すべりブロックの安定性を評価し、安定性の低いブロックを優先的に改修・改築 

④効率的な修繕計画策定:施設の損傷・劣化の進行状況、地すべり滑動が確認されている施設、保全対象施設が重要な施設を優先的に延命化・改修・改築を行うことを基本とし、コストを平準化

模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回    完成日 2018/5/9  専門事項 河川計画

(1)砂防分野のうち地すべり防止施設の健全度を評価する方法

①施設の健全度把握

1)地すべり抑制工

  • 地表水排除工

地すべり変状や経年劣化による水路の変形や破損による機能低下の確認、集水した水が速やかに地すべり地外に排出されているかを目視により確認する。

  • 地下水排除工

集排水管が腐食や閉塞物の付着により排水機能が低下していないか、集水井の変形や破損を目視により確認する。

  • 頭部排土工・押え盛土工

法面の押し出し・亀裂や湧水、平面に沈下や亀裂が生じていないかを目視により確認する。

2)地すべり抑止工

  • アンカー工

頭部保護工や受圧板の変形、テンドンの飛び出し、抜け落ちを目視により確認する。打音調査による受圧板の浮きや周辺斜面の状況を目視により確認する。

  • 鋼管杭工

杭頭の腐食状況と周辺地盤に沈下や押し出しがないかを目視により確認する。

②地すべりブロックの安定性の確認

新たな地すべり性の変状状況がないか施設周辺状況を確認し、施設が健全に機能しているかを判断する。

(2) 長寿命化計画を策定する上で留意すべき事項

①点検精度の向上

非破壊試験を用いたアンカー工や杭の地中劣化状況の把握、CCDカメラによる集水ボーリング工内部の状況把握等により点検の精度向上が必要である。

②点検の効率化

携帯型GPSによる施設の位置座標の取得や巡視ルートの策定を行い、今後、5年に1回実施される点検を効率的に実施する工夫が必要である。

③ブロックの安定性評価

施設単体の評価を行うのではなく、機能低下した施設の割合から地すべりブロックの安定性を評価し、安定性の低いブロックを優先的に改修・改築することが必要である。 

④効率的な修繕計画策定

施設の損傷・劣化の進行状況、地すべり滑動が確認されている施設、保全対象施設が重要な施設を優先的に延命化・改修・改築を行うことを基本とし、コストを平準化する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回    完成日 2018/5/12  専門事項 河川計画

(1)地すべり防止施設の健全度を評価する方法

①施設の健全度把握

1)地すべり抑制工

  • 地表水排除工:集水した水が速やかに地すべり地外に排出されているかの観点から地すべり活動や老朽化により水路が破損していないかを目視確認する。
  • 地下水排除工:集排水管が腐食や閉塞物により排水機能が低下していないか、集水井が地すべり活動により変形していないかを目視確認する。
  • 頭部排土工・押え盛土工:地すべり活動による法面の押し出しや崩壊、平面に沈下や亀裂が生じていないか目視確認する。

2)地すべり抑止工

  • アンカー工:頭部保護工や受圧板の緩みをハンマーによる打音調査、テンドンの飛び出し、抜け落ちを目視により確認する。
  • 鋼管杭工:杭頭の腐食状況と周辺地盤に沈下や押し出しがないかを目視確認する。

②地すべりブロックの安定性の確認

新たな地すべり性の変状状況がないか施設周辺状況の確認、変状が発生しやすい頭部や末端部付近を確認し、施設が健全に機能しているかを判断する。

(2) 長寿命化計画を策定する上で留意すべき事項

①点検精度の向上

非破壊試験を用いたアンカー工や杭の地中劣化状況の把握、CCDカメラによる集水ボーリング工内部の状況把握等、新技術を用いて点検の精度を向上させる必要がある。また、地下水・地表水排除工は集水量を計測しておき、集水量の経年的な変化から機能の健全度を評価する。

②点検の効率化

地すべり施設は山中にあり、5年に1回の点検では植生の繁茂により施設位置を把握することが困難な場合が多い。そのため、携帯型GPSによる施設の位置座標の取得や巡視ルートの策定を行い、それらを電子マップに取り込んだタブレットを用いた点検を効率化する工夫が必要である。

③ブロックの安定性評価

集水ボーリング工の閉塞割合や、アンカー工等の機能低下した施設の割合から地すべり施設の健全性を定量的に評価する。健全度の低下量から地すべりブロックの安全率低下度を算出し、安定性の低いブロックから優先的に改修・改築を行う。

④効率的な修繕計画策定

施設の損傷・劣化の進行状況、地すべり滑動が確認されているブロック、安全率の低下しているブロック、保全対象施設が重要なブロックについて重み付けをして優先的に延命化・改修・改築を行う施設を決定する。年間予算に応じてコストを平準化し、効率的な修繕計画を策定する。

H28年 建設・河川 Ⅲ-2 問題 模範解答と解説

問題文   

 近年、大規模な自然災害が国内外で発生している。さらに、気候変動に伴う自然災害の激化や大規模地震の発生等が懸念されており、防災・減災のさらなる取組が必要となっている。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)近年発生した大規模な自然災害について1事例を抽出し、具体的に生じた事象や課題を3項目記載し、それぞれの事象や課題に対して、河川、砂防及び海岸・海洋分野の技術者として、被害の軽減に向けて取り組むべき具体的な方策について記述せよ。

(2)各種の自然災害を対象としたハザードマップ作成の取組が進められている。住民の主体的な避難行動を促す観点から現状のハザードマップの課題を2つ記述せよ。

(3)(2)であなたが取り上げた2つの課題のそれぞれについて、改善策を具体的に記述せよ。

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 3回    完成日 2018/5/19  専門事項 河川計画

1. 大規模土砂災害と取り組むべき方策

事例:平成26年8月に発生した広島市の土砂災害について

事象や課題①:土砂災害警戒区域を住民が把握できていない。

方策①:シミュレーションを用いて土砂災害危険を認識させる。

事象や課題②:避難所、避難経路が安全な場所にない、避難所、避難経路を理解できていない

方策②:ハザードマップを用いた防災教育を通じて安全な避難所・避難経路の設定、周知

事象や課題③:避難勧告が発令されないと自主的に避難できない。

方策③:メッシュごとに土砂災害発生危険度を示した情報提供による自主避難を行う。

2.現状の土砂災害ハザードマップの課題

(1)災害時に十分活用できていない。

  • 災害時にハザードマップを活用しやすくする仕組みが必要である。
  • 住民説明会等の参加率が低い高齢者や外国人労働者等にハザードマップを浸透させる必要がある。

(2)住民が自発的に行動する仕組みが必要である。

  • 安全な避難所・避難経路を住住民が判断することが必要である。
  • 避難勧告が待つのではなく、雨量が災害情報を確認し、自発的な避難を行う仕組みを作る。

3.改善策

(1)ハザードマップの活用率を増加させる仕組み

  • 多様な情報提供方法の利用

SNSに疎い高齢者にも情報提供でもきるようテレビのデータボタンでの取得や、ハザードマップ専用のタブレットの配布を行う。

  • 地域コミュニティーによる活動

自治会単位で防災リーダーを定め、説明会に出席しない高齢者や外国人労働者等に説明する。

(2)具体的な行動をとる仕組み

  • 土砂災害の危険性を認識させる

各災害危険箇所のシミュレーションを作成し、自分が住む地域や避難経路のリスクを認識する。

  • 住民自ら作成する仕組み

 住民自らがマップに危険箇所等を記入したマイマップを作成し、自発的な避難行動を促す。

  • リアルタイムハザードマップの公表

5kmメッシュごとに土砂災害発生危険度を示した情報やGPSを用いて最寄りの避難所へナビゲーションするリアルタイムハザードマップを作成する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 3回    完成日 2018/6/5  専門事項 河川計画

1. 大規模土砂災害と取り組むべき方策

平成26年8月に発生した広島市の土砂災害について課題と方策を以下に述べる。

事象や課題①:自分が住んでいる地域が土砂災害警戒区域に指定されているか、どんな災害が起こりうるかを住民が把握できていなかった。

方策①:土砂災害警戒区域について多用な情報提供と、各区域について土砂災害発生シミュレーション作成し、起こりうる土砂災害を認識させることが必要である。

事象や課題②:山際に住宅地が密集しており、避難所・避難経路が安全な場所になかったり、避難所・避難経路を把握できていない住民がいた。

方策②:ハザードマップを用いた防災教育や避難訓練を行い、各々が安全な避難所・避難経路を設定する必要がある。

事象や課題③:降雨のピークが深夜だったこともあり、市町村の避難勧告が遅れた。避難勧告が発令されないと自主的に避難できないことが課題である。

方策③:5kmメッシュごとに土砂災害発生危険度を示した情報をリアルタイムで提供し、住民各々が避難するか否かを判断する仕組みを作成する。

2.現状の土砂災害ハザードマップの課題

(1)土砂災害に対する理解力の向上

現状のハザードマップでは警戒区域が記載されているだけで、実際に自分が住んでいる地域でどんな土砂災害が発生するのかを認識するには十分ではない。

土砂災害発生シミュレーションを用いて発生しうる土砂災害を住民が具体的に理解することにより、安全な避難所・避難経路を判断することが可能となる。

(2)住民が自発的に行動する仕組みが必要である。

安全な場所に避難所がなかったり、避難する途中で被災する場合がある。安全な避難所・避難経路を住民が判断することが必要である。

避難勧告が発令されないと避難できない、発令されても避難しない場合がある。避難勧告が待つのではなく、雨量予測や災害発生危険度情報を住民自らが確認し、自発的な避難を行う仕組みを作る。

3.改善策

(1)土砂災害に対する理解を高めるための方策

1)土砂災害シミュレーションの作成

自分が住む地域で実際にどんな災害が発生するのかをできるだけリアルに認識させることが必要である。全国に約50万箇所の土砂災害危険箇所があり、各斜面の地形地質条件等を用いた数値解析による土砂災害シミュレーションを作成することは現実的ではない。グーグルアース等の衛星写真を用いて現在公表されているハザードマップの土砂災害危険区域をベースにして土砂を堆積させる簡易的な方法で動画を作成する。リアルな映像を提供することにより、動画を用いて自分が住む地域や避難経路でどのような土砂災害が発生するかを具体的に認識させることが必要である。

2)地域コミュニティーによる活動 

地方自治体は、アドバイザーとして土砂災害の専門化を派遣する等の支援を行い、自治会単位でハザードマップを活用した避難訓練を実施することを推進する。地域ごとに防災リーダーを定め、同じ地域に住む住民が話し合うことにより自分が住む地域のリスクを理解できるようになる。同時多発的に発生する土砂災害では、自治体に頼ることはできないため、個々が土砂災害のリスクを認識し、自助・共助が主体となり避難することにより、逃げ遅れを防ぐことができる。

 (2)具体的な行動をとる仕組み

1)住民自ら作成する仕組み

 ハザードマップに最寄りの避難所や避難経路を住民自らが記載する形式にし、住民説明会や避難訓練を行う。住民自らがマップに危険箇所等を記入したマイマップを作成することにより、マップへの理解を深めるとともに自発的な避難行動を促す。

2)リアルタイムハザードマップの公表

今後の雨量予測や5kmメッシュごとに土砂災害発生危険度を示した情報提供、GPSを用いて最寄りの避難所へナビゲーションするリアルタイムハザードマップを作成する。インターネットで公表することにより、自宅外であっても住民自らがとるべき行動を判断できるようにする。

H28年 建設・都市地方計画 Ⅱ−2−2 問題 模範解答と解説

II-2-2 地方都市圏の中核都市において、公共交通の利便性向上を図る目的で、市中心部 の既存駅と駅間距離の長い隣駅との間に鉄道の新駅を設置し、併せて新駅周辺の市街地整備を行うに当たり、以下の内容について記述せよ。

なお、関連状況は以下のとおりである。

  • 新駅は沿線にある公共施設の跡地(5ha 程度の市有地)の一部を利用して設置する。
  • 併せて行う市街地整備は、新駅設置に伴い必要となる都市施設と宅地の整備並びに都市機能の立地
  • 誘導を行うものであり、その規模は、当該公共施設跡地と隣接する空閑地(田畑等の民有地)を併せた10ha 程度である。
  • 市街地整備を行う地区周辺には住宅系市街地が広がっている。
  • 現在、市では市内に散在する公共公益施設の建替等に伴う移転・集約化を計画中である。

(1)本件のように鉄道駅を新設し、またこれに併せて周辺を計画的に市街地整備することの意義

(2)計画策定の手順とその具体的内容

(3)計画策定に当たり、コンパクトシティ形成の視点から留意すべき事項

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 0回 2019/7/3  専門事項 都市施設設計

(1)意義

①都市集約化でインフラ省力化

中心市街地に機能を集約することで、インフラの整備・維持管理の低減を図る。

②駅中心のまちづくりで公共交通促進

新駅を中心とした都市計画を行うことで、鉄道を主とした移動を促進する。

③歩いて暮らせるまちづくりで高齢者健康増進

駅周辺でのスムーズな移動空間を確保することで、歩行空間を確保して高齢者の健康を増進する。

(2)手順と具体的内容

①都市マスタープランと立地適正化計画の整合性をとる

人口減少を見据えて、コンパクトプラスネットワークを軸に据えたまちづくり計画を行う。

②鉄道事業者とまちづくり部局等と連携を図る

駅中心のまちづくりのため、鉄道事業者やまちづくり部局等各セクションを含む協議会を発足させ、周辺の商店街等との地域活性化に向けた連携を図る。

③駅周辺に医療・公営住宅・行政を集約

都市機能集約のため、駅ビル等に医療・公営住宅・役所を移転する。

④駅周辺の交通施設整備

駅周辺の利便性を高めるため、バスターミナルやトランジットモールを整備する。

(3) 留意すべき事項

①都市機能増進施設整備で利便性向上

福祉拡充で快適性を向上するため、都市機能誘導区域の駅前再開発に合わせて都市機能増進施設を整備する。

②公民連携開発区域設定で周辺地域活性化

駅前地域から周辺の住宅や商店街への幹線道路を整備するため、駅前周辺を公民連携開発区域に設定し、地域の回遊性を高めて地域活性化する。

③点在する公共公益施設転用で地域医療を拡充する

空き家となった公的不動産を有効活用するため、公設民営型の地域医療施設等に転用して地域医療を拡充する。

④歩行者空間の確保で高齢者の安全性確保

住民の移動利便性を向上するため、駅を高架化して駅前をペデストリアンデッキとして周辺との移動をバリアフリー化し、高齢者が安全に外出できるようにする。

H28年 建設・都市地方計画 Ⅲ−1 問題 模範解答と解説

H28 Ⅲ−1

  健康寿命の延伸が課題となっている地方都市において、あなたが都市計画・まちづくりの担当責任者の立場で、関係部局との連携のもとに立地適正化計画を作成し、都市のコンパ クト化に取り組むことになった。以下の問いに答えよ。

(1)都市計画・まちづくりを担う立場において、健康寿命の延伸の視点から都市のコンパクト化に取り組むことの意義と計画作成に当たり検討すべき項目を述べよ。

 (2)上述の意義を踏まえて、公共交通の利便性の高い都市の中心部における、他の関係部局と連携した取組のうち、あなたが特に重要と考える取組について複数提案せよ。

 (3)あなたが提案する取組の実施に伴い、都市の中心部から離れた居住誘導区域内の居住者への対応として、考慮すべき事項と対応方策について述べよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 0回 2019/7/6  専門事項 都市施設設計

(1)コンパクト化に取り組む意義と検討すべき項目

(1)-1意義

①医療拠点を整備して地域住民への行き届いた医療

②公共用歩廊を整備して徒歩での移動機会増加

③高齢者の雇用機会を創出して生き生きと暮らせる環境構築

 (1)-2検討すべき項目

①誘導区域内での地域包括ケアシステム構築

②公共交通を軸にした社会を目指し駅前拠点周辺の徒歩移動空間整備

③地域住民同士の相互扶助を目指し高齢者が活躍できる場の創出

(2)取組

①特定用途誘導区域の医療拠点で地域包括医療拡充

地域医療を充実させるため、特定用途誘導区域の医療拠点整備で容積緩和による地域包括医療を整備し住民の健康維持に努める。

②駅周辺のペデストリアンデッキ等で歩行空間整備

住民が運動する機会を増やすため、駅前をペデストリアンデッキとし、駅周辺を

トランジットモールとして駅を中心とした公共ネットワークを整備して住民の街歩きを促す。

③世代交流施設整備で高齢者が活躍する場の創出

高齢者活躍の場を作るため、公設民営型の多世代交流施設を駅前再開発に合わせて整備し、高齢者ボランティアの受け皿を整備する。

(3)考慮すべき事項と対応方策

①日常的な健康の維持

住民が日常的な医療ケアを受けるため、居住誘導区域内にあるコンパクトシティ化で空き地となった公的不動産を活用して通院施設等を整備し、地域密着型医療を構築する。

②公共交通を活かした駅前への移動促進

駅前への住民の移動を促すため、ITSを活用したデマンド交通による地域循環交通ネットワークを構築する。

③若年世代向けの子育て施設整備

働く若年世代が通勤経路の駅前に安心して子供を預けられる場所を整備するため、

子育て施設を併用した多世代交流施設として地域間交流を深める。

H28年 建設・都市地方計画 Ⅱ−2−1 問題 模範解答と解説

II-2-1

歴史的街並みを有する地方都市において、地域活性化に資する魅力ある景観の 形成を図るため、景観計画を策定することになった。あなたが担当責任者として計画の策定を 行うに当たり、以下の内容について記述せよ。

(1)景観計画を策定してまちづくりを推進することの意義

 (2)計画策定の手順とその具体的内容

(3)計画策定を進める際に留意すべき事項

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 2回 2019/7/9  専門事項 都市施設設計

(1意義

①地域の景観継承で地域価値向上

②滞在型観光地の整備で交流人口増加

(2)手順と具体的内容

①景観計画区域設定

地域の歴史を継承しつつ、景観を活用した地域間ネットワークを形成するため景観計画区域を設定する。

②景観形成基準策定

市街地では地域ごとに合った建物高さや色、広告物の規制など景観の統一感を目指した基準を策定する。

③景観重要建造物を軸にしたまちづくりの検討

地域に景観重要建造物がある場合、建物の保全だけでなく来街者を増やす目的の活用方法を検討する。

(3)考慮すべき事項

①分散型ホテル等整備で交流人口増加

地域の空き家を生かすため、未利用地を分散型ホテルに転用し、来街者が地域全体を回遊する滞在型ツーリズムを行うことで、地域間を滞在して交流人口を増加させる。

②街づくり協定で景観を保全し地域価値向上

市街地の景観向上のため、街づくり協定で地域に合った舗装の選定、路上広告の意匠統一等街路デザインを地域の景観色と調和させることで地域全体の価値を高める。

③歴史的価値の高い建物で観光拠点整備

地域全体の観光拠点を作るため、現在使われていない蔵等の景観重要建造物を転用して、地元まちづくり組織等が運営する観光案内所等にして来街者を各地へ誘導する。

H28年 建設・施工 Ⅲ-2 問題 模範解答と解説

  平成27年には、免震ゴム支承の偽装、落橋防止装置の溶接不良、杭施工データの流用といった建設工事と直接関わる不正事案が連続的に発覚した。このことは、マスコミでも大きく取り上げられ、エンドユーザーである国民から、建設構造物全般に対してその安全性が疑われるなど、建設部門に対する信頼が大きく揺らいだ。このため、建設技術者は基本に立ち戻って、建設構造物の安全と安心に対するユーザーの満足と信頼の獲得に努めていかなければならない。

(1)       こうした不正事案の背景にあると考えられる要因を2つ記述しなさい。

(2)       ユーザーの満足と信頼を獲得するため、(1)で挙げた要因の対策として、あなたが建設工事において具体的に実施できる施策と期待される効果を、発注者、設計者、元請、下請等の立場を明らかにした上で記述しなさい。

(3)(2)を踏まえ、建設部門全体で取組むべきとあなたが考える方策を記述しなさい。

模範解答1 (簡易形式1)  5回 2019/7/1  専門事項 現場施工管理 

(1)不祥事の発生要因

①重層構造による外注契約

建設工事は下請構造が重層化しているため、品質に対する責任の所在が明確でない。

各分野で高度に専門化・細分化が進み、専門の技術と経験が必要なため、元請が良否を把握し判断することが困難である。

専門的な工種は下請に品質管理を任せきりにするため偽造や手抜きが発生する。

②厳しい受注環境

バブル崩壊以降、公共工事の受注を巡り厳しい価格競争を続けている。

建設企業は低価格で工事受注することとなり、施工管理・監督に十分な経営資源を注入できない。建設技術者は、少ない人数で過重な業務量を消化することとなり、単純な転記ミスや捏造データを品質記録として残す結果となっている。

(2)施策と効果(元請けの立場)

①施工管理体制の確立

施策:専門化・細分化する工事の品質に影響を与えない施工管理体制が課題である。

複数の作業を遂行する多能工の活用やキャリアアップシステムの推進。

効果:品質の向上、法令順守の徹底、発注者からの信頼の向上。

②建設技術者の育成

施策:就労環境の悪化による技術者減少を解消する技術者育成が課題である。

団塊世代の再雇用による技術の継承。ナレッジマネジメント。

効果:熟練者の技術継承機会の増加。経験的技術の形式知化による共有化。

(3)建設部門全体で取り組む方策

建設部門全体で取り組みは、アイ・コンストラクションである。

規格の標準化:橋脚やボックスカルバートの部材をプレキャスト化することで、工期の短縮により不正工事を防止する。高品質な工場製作のため施工不良を防止する。留意点は、部材が大型で重量も大きいため市街地などの現場への搬入が困難である。対策は、部材を分割化してハーフプレキャスト化にする。

ICTの活用:ドローンとレーザースキャナの起工測量とICT建設機械の情報化施工による高効率・高精度の作業により施工管理を効率化し不正工事を防止する。

留意点は、災害復旧現場では二次災害よりオペレーターに危険が伴う。

対策は、ICT建設機械に遠隔操作ロボットを搭載させた無人化施工とする。

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