H26年 建設部門、施工積算 Ⅱ-1-3問題 模範解答と解説
問題文
埋設物が存在する場所で土木工事を施工する場合、公衆災害防止のために遵守しなければならない項目を3つ挙げ、それぞれについて概説せよ。
1.埋設物の確認
- 1次調査(台帳調査・現地調査・関係機関調査)を行う。
- 本調査(埋設管人孔等の目視確認、電磁誘導法探査、埋設物探査)を行う。
- 最終調査(試掘)を行う。
2.既設埋設管の維持管理と仮設構造物の管理
- 既設の管が変形しないような維持管理を行う。
- 構造物を施工するための仮設構造物(土留めや切梁など)の鋼材の変異や背面の沈下がないかの計測や管理を行う。
3.リスク管理
- 各関係機関に災害のリスクを抑制のための提案(新設管路への切替えや管路の切回しなど)を行う。
1.埋設物の確認
1次調査として、埋設物を資料等で調査を行う。次に本調査として、現地での位置や深さなどを把握するため、埋設管人孔等の目視確認、電磁誘導法探査、埋設物探査を行う。最終調査として試掘を行う。試掘は、本調査で行った結果の再確認と掘削の際の埋戻し土の粒径や地下水位の状況などを確認する。
2.仮設構造物と既設管の維持管理
掘削作業において、既設の管を変形させないために土止めを使用している。その土止めを変形しないように計測を行い管理する。また、背面の土砂の沈下や道路の陥没などに注意を払う。既設埋設管の維持管理は、管の特性を考慮し、変形しないような防護方法を行う。分岐や曲りや管末を露出状態にする場合は、管が抜ける可能性があるので注意する。
3.リスク管理
各関係機関に災害のリスク抑制のための管理に対する提案を行う。構造物施工中は、万が一の管の破壊・破損に備える。例えば水道であれば、給水車を配置し飲み水を提供するなどの準備を行う。電気であれば、迂回線路の使用電力が集中することによる停電の可能性を考慮して時間を決め使用電力の抑制をお願いする。ガスであれば、1次的に使用できない時間を設けるなどのことを行う。
(1) 埋設物調査
①資料調査
過去の図面などに基づいて、埋設物の種類や構造、位置、深さなどを調査する。
②物理探査
埋設物の位置の確認方法として磁気探査、電磁波レーダー探査がある。
③試掘
特定した埋設物の位置を実際に掘削して確認する。
(2) 埋設物の変位変形防止
①吊防護
埋設物を掘出すときは埋設物の変形防止のために、桁からワイヤーや鋼材などを利用して吊下げた状態にする。
②埋設物の切り回し
吊防護が不適当である場合には、埋設物を工事に支障しないような位置に切り回しておく。
③土留壁の変形による影響防止
土留壁は変形しないように、剛性の高いものを採用する必要がある。
(3) 埋設物損傷に関するリスク管理
①埋設管共用の一時停止
供給を一時的に停止し、その間に工事を行う。
②関係者への周知
事前に埋設管理者や消防、警察などの各機関に事前に周知しておく。
③リスクアセスメント
事前にリスクアセスメントを行い、万一損傷した場合の対応策を検討しておく。