R1/2019年 機械・加工・生産システム・産業機械 U-1-1

問題文  U-1-1 (1枚以内にまとめよ)

工作機械の性能に大きな影響を及ぼす基本特性は4つある。そのうちの3つを挙げて説明せよ。さらに、そのうちの1つを挙げ、その基本特性を向上するための基本原理を3項目以上挙げて、その内容について説明せよ。


模範解答1     (簡易答案1)    添削履歴1    作成日2020/5/11    機械部門  加工・生産システム・産業機械    専門事項 加工機設計


1.工作機械の基本特性

@静的特性 A動的特性 B温度特性

2.各基本特性

@静的特性

機械が停止した状態の特性で、応力に対するひずみ量を評価する。

A動的特性

機械が稼働し遠心力や加工応力が加わった状態の特性で、共振によるびびり振動抑制の為、固有値とコンプライアンス値を評価する。

B温度特性

温度変化による線膨張に対し、ワークと刃具等の相対位置等の変化量を評価する。

3.静的特性を向上させる3つの基本原理とその内容

3-1.てこの原理

支持点を中心とした左右モーメントを小さくすることで、ひずみを小さくする。

3-2.静的特性の構造依存

断面2次モーメントIが大きい構造を採用する。

3-3.静的特性の構造依存

ヤング率Eが大きい素材を採用する。


模範解答1   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/5/13    機械部門  加工・生産システム・産業機械    専門事項 加工機設計


1.工作機械の性能に影響を及ぼす基本特性の内、3項目を挙げる。

1-1.静的特性

機械停止時の特性で、応力に対するひずみ量で評価できる。軸移動による突き出し量等の変化によって、静的特性も変化するため測定座標の設定が重要である。

1-2.動的特性

 機械が稼働し加工応力や遠心力が加わった状態の特性で、共振によるびびり振動抑制の為、固有値やコンプライアンス値を判断指標とする。

1-3.熱的特性

 温度変化による熱膨張に対し、刃具とワークの相対位置変化等の変位量で評価できる。温度変化は室温変化等の外部要因と加工熱堆積等の内部要因の2つに分類できる。

2.静的特性を向上するための基本原理3項目と、その内容を説明する。

2-1.てこの原理

力点と支持点を接近させることにより、支持点を中心とした左右モーメントを小さくすることで、ひずみ量を小さくできる。

2-2.静的特性の構造依存

 断面2次モーメントIが大きい構造を採用することで、ひずみ量を小さくできる。

2-3.静的特性の素材依存

 ヤング率が大きい素材を採用することで、ひずみ量を小さくできる。


模範解答1   (完成答案)    添削履歴0    作成日2020/5/15    機械部門  加工・生産システム・産業機械    専門事項 加工機設計


1.工作機械に影響する基本特性の内、3項目を挙げる。

1-1.静的特性

機械が停止した状態の特性で、応力に対するひずみ量で評価できる。軸移動による突き出し量等の変化により、静的特性が変化する為、測定座標が重要となる。

1-2.動的特性

 機械が稼働し、加工応力や遠心力が加わった状態の特性で、びびり振動抑制の為、固有値やコンプライアンス値で評価できる。

1-3.熱的特性

 温度変化に対し、熱膨張による刃具とワークの相対位置等の変化量で評価できる。冷間始動時だけでなく、暖機後の変化量を対象とすることもある。

2.静的特性を向上させる3つの基本原理と内容

2-1.てこの原理

 力点と支持点を接近させ、支持点中心の左右モーメント量を小さくすることで、ひずみ量を削減できる。

2-2.静的特性の構造依存

 断面2次モーメントIが大きい構造を採用することで、ひずみ量を削減できる。

2-3.静的特性の素材依存

 ヤング率Eが大きい素材を採用することで、ひずみ量を削減できる。鋳物部品では、FC材からFCD材に変更することで、ひずみ量は削減できるが、減衰性は低下するため、使用特性に注意が必要である。


解説

(1)問題趣旨に対する考え方、取り組み方などについて

設問で聞かれたことに対し、ダイレクトに答えることです。

評価値項目に対し、記載した趣旨、理由を添えて記載するように。そうすることでコミニケーション能力をアピールできます。

特性に対する説明は、評価内容だけではなく、原理まで記載するようにしてください。

 

 (2) 論旨のまとめ方、書き方などについて

文面のダブりに注意すること。モレダブリがあるといけないことはご注意ください。以下の参考記事をごらんください。

技術経営、市場動向について学ぶべし 8 「MECE(ミーシー)でモレダブリのない明解な文章」

技術士試験で求められる「問題点」と「課題」とは?

特性は対策ではないので、結果について「評価する」ではなく、結果を用いて「評価できる」や、それを用いて何かに「利用する」というように説明してください。

評論家的に読み手に依存して理解を促すのではなく、自らの主張を言い切るようにしてください。

「・・・に分類できる」などというコメントでは、分類した後どうするかが言い切れておらず、結局ねらいが不鮮明となります。

技術士目線で書くように。作業内容を逐一記載するのではなく、技術的な裏付けを記載するようにしてください。

選定趣旨などの前置きは不要です。この問題では、3特性から選択した1つを記載するだけで十分意味が通じます。



R1/2019年 機械・加工・生産システム・産業機械 U-2-2

問題文  U-2-2 (2枚以内にまとめよ)

 JIT(just in time)生産においては、最終組立ライン(後工程)が必要な部品を必要な時に必要な量だけ前工程から引き取り、前工程が後工程に引き取られた分の部品を作る。JIT生産方式では「かんばん」を用いて生産プロセス全体の「もの」の流れを制御することが行われている。JIT生産方式は自動車などの最終製品の組立に活用され、注文情報に基づいて複数品種の製品の受注生産を行う組立ラインが構築されている。ここでは、需要の増加などに対応するために最終製品の新たな組立ラインをJIT生産方式に基づいて構築することを考える。この組立ラインを立上げ運用する場合に関し、下記の内容について記述せよ。

(1)  組立ラインの配置及び組立ラインでの生産プロセスが満たすべき条件を3つ以上挙げて説明せよ。また、組立ライン、部品の生産拠点、サプライヤー及びロジスティックなどに関して調査、検討すべき項目を挙げて、その内容について説明せよ。

(2)  「かんばん」を用いて生産プロセス内における「もの」の流れの制御を行う場合に留意すべき点、工夫すべき点を3つ挙げて説明せよ。

(3)  JIT生産方式による生産を効率的、効果的に進めるため関係者との調整方法について説明せよ。


模範解答1     (簡易答案1)    添削履歴3    作成日2020/5/29    機械部門  加工・生産システム・産業機械    専門事項 加工機設計


 

1. 組立ラインの配置や生産プロセスが満たすべき条件3つ

@部品供給が容易:使用する部品を必要な個数、タイミングで供給する。

A部品搬出が容易:製品や仕掛部品を搬出し、作業・在庫スペースを確保する。

B段取り替えが容易:段取り替え時間を短縮し、稼働率を高い水準で保つ。

1-2.調査、検討項目

(組立ラインに関する物)ネック工程を調査し、タクトタイム平準化を検討する。

(サプライヤーに関する物)歩留まりを調査し、不良率低減を検討する。

(ロジスティックに関する物)輸送時間を調査し、出発時刻定時化を検討する。

2. 留意・工夫すべき点

@「かんばん」回収時刻の等間隔化

生産量の平準化ため、回収時刻を等間隔化する。

A前工程への指示を納入量と不良品を足し合わせた数量とする

 不良品発生時のため、出荷数と不良品を合わせた数を前工程へ指示量とする。

B物流在庫の有効活用化

在庫数量の削減のため、輸送中の部品を在庫と計算する。

3. JIT方式による関係者との調整方法 

生産ラインから部品在庫削減のため、リードタイム短縮の要求があったが、仕入先から仕掛在庫削減のため、リードタイム増加の反対の要望があった。生産計画確定時に、生産順番を仕入れ先に指示し、生産順に部品を並べて納入してもらうことで、生産ラインと仕入先を同期し、部品在庫数とリードタイムを削減できた。



模範解答1   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/5/2    機械部門  加工・生産システム・産業機械    専門事項 加工機設計

 

 


 

(1)-1.組立ラインの配置や生産プロセスが満たすべき条件を3つ挙げる。

@部品供給が容易であること。

使用する部品を必要な個数、タイミングで供給する。

A部品搬出が容易であること

完成した製品や仕掛部品を搬出し、作業・在庫スペースを確保する。

B段取り替えが容易であること

素早く段取り替えを行うことで、ダウンタイムを削減し稼働率を高い水準を維持する。

(1)-2.検討すべき項目

(1)-2-1.組み立てラインに対する物

ネック工程を調査し、タクトタイム平準化を検討する。

(1)-2-2.サプライヤーに関する物

 歩留まりを調査し、不良発生低減を検討する。

(1)-2-3.ロジスティックに関する物

 輸送時間を調査し、出発時刻定時化を検討する。

(2)「かんばん」を用いて「もの」の流れの制御を行う場合の留意すべき・工夫すべき点

2-1.「かんばん」回収時刻の等間隔化

生産量を平準化する為、回収時間を等間隔化する。回収時間を等間隔化することで、前後工程とライン稼働の同期化を行い、物の製作や移動のムラを解消する。

2-2.前工程指示量の適正化

段替え時の精度調整等にて不良品が発生する為、前工程への指示数量は留まりを考慮する。精度調整時のワークについても、出荷可否を確認し歩留まりを改善するとともに、不良ワークの出荷品へのコンタミを防止する措置を確実に行う。

2-3.物流在庫の有効活用化

輸送中の部品についても在庫数にカウントし、在庫個数の削減を実施する。輸送時の部品劣化は、劣化損発生だけでなく欠品に直結する為、輸送時間や形態に合わせ防錆油塗布などの処置を実施する。

3.JIT方式によって、生産を効率的に進める際の関係者との調整方法について

生産ラインから部品在庫削減の為、リードタイム短縮の要求があったが、仕入先からは仕掛在庫削減の為、リードタイムを増加する反対の要望があった。生産計画確定時に、生産順番を仕入れ先に指示し、生産順に部品を並べて納入してもらうことで、生産ラインと仕入先を同期させ、生産ラインの部品在庫数と部品生産数の最小化によるリードタイム削減を両立できた。


模範解答1   (完成答案)    添削履歴0    作成日2020/5/10    機械部門  加工・生産システム・産業機械    専門事項 加工機設計


 

(1)−1.組立ラインや生産プロセスが満たす条件

@部品供給が容易であること

 使用する部品を必要な個数、タイミングで供給する。

A部品搬出が容易であること

 完成した製品や仕掛部品を搬出し、作業・在庫スペースを確保する。

B段取り替えが容易であること

 素早く段取り替えを行うことで、ダウンタイムを削減し稼働率を高い水準で維持する。

(1)-2.検討すべき項目

(1)-2-1.組立ラインに対する物

 ネック工程を調査し、ライン全体のタクトタイム平準化を検討する。

(1)-2-2.サプライヤーに関する物

 歩留まりを調査し、不良発生低減を検討する。

(1)-2-3.ロジスティックに関する物

 輸送時間を調査し、出発時刻定時刻化を検討する。

(2)「かんばん」活用時の留意点・工夫すべき点

(2)-1.「かんばん」回収時刻の等間隔化

 生産量を平準化する為、回収時間を等間隔化する。回収時間を等間隔化することで、自工程と前後工程の同期化を行い、物の製作や移動のムラを解消する。また、昼休み等のライン停止時間や、ラッシュ時間帯の輸送時間増加による変動幅を確認し、品切れが起こらない計画を作成する。

(2)-2.前工程指示量の適正化

 段取り替え時の精度調整等によって、生産不良品が発生する為、前工程への納入指示数量は、自工程の出荷個数と不良発生個数を足し合わせた物とする。生産不良品を補充することで、かんばん記載数量に対し欠品を防止する。

(2)-3.段取り時間の短縮化

 多種多様な需要に対応する為、設備の段取り替えが必要となる。設備の段取り替え時間を短縮することで、変種変量生産への対応が容易になり、生産量平準化が可能になる。また、無段取り化が達成できれば、1個流しにも対応が可能となる。段取り時間短縮には、外段取り化やワンタッチ交換化等がある。

(3)JIT方式にて生産する際の関係者との調整方法

 最終組立ラインの資材担当者から部品在庫個数削減の為、リードタイム短縮の要求があったが、仕入先生産管理担当者からは仕掛在庫削減の為、リードタイム長期化の反対の要望があった。対策として、生産計画確定時に生産順番を仕入れ先に指示し、生産順に部品を整列して納入してもらうことにより、生産ラインと仕入先を同期させ、部品準備時間削減、及び部品製作個数とリードタイムの高精度化を達成した。これにより、最終組立ライン資材担当者と仕入先の生産管理担当者を取りまとめ、リードタイム短縮を実現した。

 


解説

 

(1)課題の分析のしかたについて 

細かな対策内容をそのまま記述しないようにし、まずは概念的に大筋の方針を考えることです。

個別の内容として、例えば「組立ラインの配置及び組立ラインでの生産プロセスが満たすべき条件」として、「ライン停止の削減」を挙げると対策になるが、「ライン停止が短い」だと条件となり、解答趣旨に適合します。

 

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

方法論が明らかとなっていない提案はしないことです。不明なことは毎回調査し、改善するだけのことです。

「適正にする」「考慮する」という言葉は答案の趣旨を曖昧にするので使用しないことです。

問題に対し、直接解答を行うように。設問に対して、ずれたことを解答してはなりません。

なぜ解決できたのか。そこでの応用技術は何か。なぜ自分が解決でできたかを記述するように。

 

(3) 留意点などの考え方、書き方などについて

前後関係を考えて、何が貢献したかを振り返って記述するように。

表面的な結果ではなく、本質的な事項を解答するように。

例えば、「かんばん」を用いてた生産プロセスの留意点として挙げる場合、「コンタミを防ぐ」とかは付随的要因であり、ここでの主題ではないので好ましくありません。

 

(4) 調整の考え方、書き方などについて

関係者が誰かわかりやすくするため、例えば「発注者が・・」などと主語として書くと良いでしょう。

関係者間に存在する問題を解決して、私が「取りまとめた成果」として書くようにしてください。

 



R1/2019年 機械・加工・生産システム・産業機械 V-1

問題文  (3枚以内にまとめよ)

 「ものづくり」の革新的な高効率化を実現するとともに、新たなビジネスモデルを創出し、これまでにない製品を生み出そうする第4次産業革命を実現するための取り組みが世界中で行われている。この中で、共通して取り組まれているのは、「ものづくり」のデジタル化とIOT(Internet of Things)の有効活用である。この「ものづくり」のデジタル化に関連して、以下の問いに答えよ。

(1) 「ものづくり」とは、単なる製造プロセスを示すものではないことを具体的に説明せよ。さらに、その「ものづくり」の1プロセスである製造プロセスのデジタル化における課題を多面的な観点から3つ以上抽出し、分析せよ。

(2) 抽出した課題のうち、最も重要と考えるものを1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3) デジタル化における課題に対する解決策に共通して新たに生じるリスクを2つ以上挙げて、それへの対策について述べよ。


模範解答1    (簡易答案1)    添削履歴6    作成日2020/8/4    機械部門  加工・生産システム・産業機械    専門事項 加工機設計


(1)ものづくりの意味と製造プロセスの課題

(1)-1.ものづくりにおける製造プロセスの意味

 製品は、企画から廃棄に至るまで、各セクションが関わっている。アフターサービスを含めた経済活動が「ものづくり」であり、製造プロセスはその一部分である。

(1)-2.製造プロセスにおけるデジタル化の課題

(1)-2-1.取得データの多形式対応

 設備メーカー、NC装置、及び型式の違いによりデータ抜き取り方法やデータ形式が異なる。そのため、データ取得、及び処理の工数増加が課題である。

(1)-2-2.事前検討化による初期検討費用増大

 作業体勢を含めたライン構成について、事前検討が可能となるが、データ構築に多大な工数、及び費用が発生する為、初期検討費用、検討期間削減が課題である。

(1)-2-3.加工条件、及びノウハウの流出  

 加工条件等のノウハウに直結する項目、及び稼働時間と加工個数のように加工条件の推定材料となるデータについても、流出防止が課題となる。

(2)取得データの多形式対応が最重要課題であり、解決策を記載する。

(2)-1.測定項目の選定、及び判定実施

取得が必要なデータの中で、加工品質に影響の大きい設備、項目の順位付けを行い、状態監視を行う項目を決定する。多品種少量生産する設備では、測定項目に対し、加工条件変更に連動し閾値やフィルタ位置を変更する設定まで行う必要がある。

(2)-2.目的別設備測定モードの導入

不良品の流出防止と予知保全では、同一設備においても測定項目は異なる。不良品流出防止として、主軸共振振動の常時監視、予知保全目的では、刃具送り軸早送りにてサーボデータを測定するモードを作成し、定期測定にて測定する。振動やサーボデータは自動取得し、サーバーで閾値判断するシステム導入等が対策となる。

(3)-1.アラーム設定値と通報間隔の設定 

設定値と通報間隔により、アラーム通報が頻発するリスクがある。通報間隔と流動品質設定を適切にすることで、品質確保と工数低減が実現可能となる。

(3)-2.技術の体系化実施

システムが自動判別する為、担当者が詳細知識を得る機会が減少する。技術の体系化を行うことで、不具合発生時の暫定設定値や稼働停止の判断が実施可能となる。


模範解答1   (簡易答案2)    添削履歴1    作成日2020/8/9    機械部門  加工・生産システム・産業機械    専門事項 加工機設計


(1) ものづくりの意味と製造プロセスの課題

(1)-1.ものづくりにおける製造プロセスの意味

製品は、製品企画から、廃棄に至るまで、各セクションが関わっている。アフターサービスを含めた経済活動が「ものづくり」であり、製造プロセスはその一部分である。

(1)-2.製造プロセスおけるデジタル化の課題

(1)-2-1.取得データ形式の多種・多量への対応

 設備メーカー、NC装置の違いにより、同一軸、同種のサーボデータ取得であっても、抜き取り方法やデータ形式が異なる。そのため、データ取得、及び取得データの処理の工数増加が課題となる。

(1)-2-2.事前検討化による初期検討費用増大

 作業体勢を含めたライン構成について、VR等による事前検証が可能となったが、データ構築に多大な工数、及び費用が発生する。初期検討費用、及び検討期間削減が課題となる。 

(1)-2-3.加工条件、及びノウハウ流出対策

 加工条件等のノウハウに直結する項目、及び稼働時間と加工個数のように加工条件の推定材料となるデータについても、流出防止が課題となる。

(2) 取得データの多種・多形式対応が最重要課題であり、解決策を記載する。

(2)-1.測定項目の選定、及び自動判定設定実施

 ワークの寸法公差、及び機械の構造からNC全軸取得するのではなく、影響の大きい軸に限定し、複数のサーボ項目(位置偏差とセミフル誤差等)を取得する。多品種少量生産の設備では、加工条件変更に対し、自動判定の閾値やフィルター設定周波数を連動し変更する設定まで行う必要がある。

(2)-2.目的別設備測定モードの導入

 不良品の流出防止と予知保全では、同一設備に対しても測定項目は異なる。不良品流出防止として、主軸共振振動の常時監視、および予知保全目的では刃具送り軸早送りにて、サーボデータを測定するモードを作成し、定期測定にてデータ取得する。振動やサーボデータは自動取得し、データサーバー側で自動判定を行うシステム導入が対策となる。

(3)製造プロセスデジタル化の課題解決策に対する共通する新しいリスクとその対策

(3)-1-1.フィルター設定域に対する近傍振動の見落とし

 主軸回転の一次、及び高次振動はピークが立ちやすいので、通報設定に対しフィルターを設けるが、補器振動値等が主軸高次に近い条件では、フィルターカットによる見落としのリスクが生じる。

(3)-1-2.詳細知識低下に伴う長時間停止発生

自動判定により、詳細知識が無くても通常運転は可能だが、不具合時の対応能力が落ちている為、原因判断、復旧作業が遅くなり長時間停止のリスクが発生する。

(3)-2-1.ピーク値の推移確認実施。

 一定期間のピーク値の平均が、導入初期に対し一定量を超えた時点でアラーム通報化する。

(3)-2-2.詳細知識低下に対する技術体系化実施

技術の体系化、教育実施により、不具合時の暫定対策が実施可能となる。


模範解答1   (完成答案)    添削履歴0    作成日2020/8/11    機械部門  加工・生産システム・産業機械    専門事項 加工機設計


(1)ものづくりの意味と製造プロセスの課題

(1)-1.ものづくりにおける製造プロセスの意味

 製品は、製品企画から始まり、製造し出荷後もアフターサービスを行うことが必要である。これらの各セクションの関わりによる経済活動がものづくりであり、製造プロセスはその一部分である。

(1)-2.製造プロセスのデジタル化の課題

(1)-2-1.取得データの多種・多形式対応

 設備メーカー、NC装置、及び型式によって、同一NC軸、同一データであっても、取得方法やデータ型式が異なる。そのため、データ取得方法、及びデータ処理工数増大が課題である。

(1)-2-2.事前検討化によるコスト・検証期間増大

 作業姿勢を含めた製造ラインの構成に対し、VR等による事前検討が可能となったが、データ構築に多数の工数が発生する。そのため、初期検討費用、及び検討期間の削減が課題となる。

(1)-2-3.データ流出防止

 設備メーカー等と設備の接続により、加工条件を含めたノウハウの流出が課題となる。加工条件のようなノウハウに直結する物だけでなく、稼働時間と生産個数等の加工条件を推定できるデータについても、流出防止が必要である。

(2)設備は劣化していくため、日々の保全活動を行うことによって状態を維持することが、製造プロセスを正常に稼働するカギとなる。そのため、保全活動に必要な多種・多形式データ取得対応が、最重要課題と考える。

(2)-1.測定項目の選定、及び自動判定設定実施

 加工対象ワークの使用目的や寸法公差、及び設備の構造から影響度の高い軸を選定する。選定した軸に対し、解析目的や手順を検討の上、位置偏差やセミフル誤差等の複数サーボデータを取得する。多品種少量生産を行う設備では、加工条件変更に対し、自動判定する閾値やフィルターの設定周波数域についても、自動変更する設定が必要である。

(2)-2.目的別設備判定モードの設定

 不良品の流出防止目的と予知保全目的では、同一の設備であっても、測定項目は異なる。不良品流出防止目的では、主軸位置偏差を取得し、主軸回転異常の常時監視を行う。予知保全目的では、刃具送り軸早送りを折り返し運転を行い、セミフル誤差過大にてガタを測定するモードを設定し、定期測定にてデータを取得する。取得したデータをサーバー側で自動判別し、アラーム発報するシステムも同時導入を行えば、相乗効果が得られる。

(3)-1.各解決策にて、共通して新たに生じるリスク

(3)-1-1.フィルター設定域の近傍振動の見落とし

 主軸回転数の一次、及び高次周波数は振動ピークが発生する為、フィルター設定を行うことが多い。主軸補器の振動周波数が、フィルター領域に発生した場合は、フィルターでカットされてしまう。この状態では、アラーム発報がなく、振動不具合の見落としが発生するリスクが生じる。

(3)-1-2.詳細知識不足による長時間停止発生

 自動判定システムの導入により、通常運転時は詳細知識が無くても、稼働可能である。しかし、不具合が発生した際には、対応能力が低下しているため、原因判断や復旧作業に時間がかかり、長時間停止発生のリスクが生じる。

(3)-2.新たに生じたリスクの解決策

(3)-2-1.ピーク値の推移確認

 各フィルター設定域に対し、ピーク値を取得し、一定期間毎のピーク値の平均値を算出するプログラムを導入する。導入初期時のピーク値平均、及び1週間、1か月前のピーク値平均に対し、2割等の一定量以上増加した際にも、アラーム発報する設定を行う。

(3)-2-2.詳細知識低下に対する技術体系化実施

 対象設備に対する詳細知識については、保全や生産技術等各部門のベテラン担当者によって、技術体系化を実施する。体系化した上で、教育を実施することで、不具合発生時において、暫定流動可否判断や復旧工事時間の短縮が可能となる。


解説

(1)課題の分析のしかたについて

前段の問いについては、後に続く問題を解くためのヒントとして活用ように。

(今回の問題では、PLMとIoTなどの関係については、あまり述べないことです)

 

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

客観的な視点で記載することに努めてください。

消極的なことを書かないことです。(できないことを書くのではなく、これが解決したら課題が推進できるような書き方に徹することです。)

結論に至るまでの前段を書くように。(いきなり結論に行ってはいけません)

機械技術士にふさわしい内容を書くこと。(×でなければよい という否定的な話ではなく、積極的な客先提案みたいにとらえること)

問題文に沿って回答すること。(共通して発生したリスクであれば、共通した点を考えて、記述することです。)

一般論(一般人の常識)ではなく、機械技術士としての工学的技術応用を含む解答とすること。

(作業に優先付けすることなんて当たり前のこと。どのような基準で優先付けを行うかを記載することです。)

 

(3)リスクの導き方、書き方などについて

3については、2で推進したことに対するリスクを書くこと。

別な事項に由来するリスク(働きがい改革)に差し替えてられる場合は、本質をついていないので、差し替えられないかセルフチェックするように。

リスクは提案内容によって新たに生じた物で、滅多に発生しないが、発生すると損害が大きいものを選択することです。

複数のリスク・・・と問題にある場合は、それぞれのリスクを挙げ、その対策案を記述すること。

 

まとめ

技術士答案の合格の要件は何か、とよく問われますが、はっきりしたものはありません。

いただいた上記の論文作成法として解説したこと、すなわち技術士論文のナレッジを地道に実行していくしかありません。

まずは正しく設問の趣旨を解釈して解答することです。

今回の試験問題V-1では、最初の問い「「ものづくり」とは、単なる製造プロセスを示すものではないことを具体的に説明せよ」は、後に続く問いのヒントであると解釈して活用できたかどうかが合否の分かれ道でした。

そして、問題文に沿って、当たり前ではなく、独創的に機械技術士にふさわしい内容を書くことです。

リスクについても、論理的に正しい分析ができれば楽勝で合格できます。