H29年 水道・上水道 Ⅲ−1 問題 模範解答と解説

問題文   

 問題文 都市部への人口の集中、産業構造の変化、地球温暖化に伴う気候変動など様々な要因が水循環に変化を生じさせる中、水循環基本法が平成26年7月に施行され、平成27年7月に水循環基本計画が策定された。これらを踏まえて、健全な水循環を維持又は回復のための取組を総合的かつ一体的に推進していかなければならない。このような状況を踏まえ、上水道に携わる技術者としての視点から、以下の問いに答えよ。

(1)健全な水循環の維持又は回復が求められている背景と水循環の課題について多面的に述べよ。

(2)(1)で挙げた課題の内、重要と考える課題を2つ挙げ、それぞれについて解決するための技術的提案を示せ。

(3)あなたの技術的提案を実行する場合の留意点について述べよ。

 模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 4回  完成日2018/6/17 専門事項 地域水道

1. 健全な水循環の維持・回復が求められている背景と課題

1)背景:第一次産業衰退による水源域の浸透・保水能力の低下と都市化による涵養機能の低下。:

①水源域の森林を維持し、浸透・保水機能の向上のため、第一次産業人口を増やす。

②涵養量・地下への貯留量を増やすため、都市近郊の農地を維持、涵養施設を確保。

2)背景:地球温暖化による無降雨日数等の増加と短時間強雨の頻度増大:

①無降雨日数等による渇水リスクのため、水源の多様化・雨水利用システムの構築。

②短時間強雨による河川等の水質悪化による浄水障害・水害リスクに備え、1)の浸透施設・雨水の貯留施設などにより利水安全度を高める。

2.重要課題に対する技術的提案

1)課題:涵養量の確保 

①水源域の森林維持の担い手の雇用・林業の収益体質の安定化、林業・木材産業の振興・山村を活性化。

②耕作放棄地の活用、湧水などの復活を図る。

2)課題:降雨の変化に対応した安定的な治水・利水供給体制づくり

①雨水の排水量の抑制・平準化。

②高度浄水処理施設の整備と貯留水の活用。

③地下水を保全し有効利用。雨水を雑用水などとして活用。

3.技術的提案を実行する際の留意点

1)涵養域を確保するための土地利用グランドデザイン

農地の保全・整備利用・都市域の涵養域を確保するため、コンパクトシティ化を図る。

2)雨水の活用:都市型水害の抑止のために貯留した雨水を雑用水、散水、水辺空間などに利用し、ヒートアイランド対策・渇水時の水源として用いる。降雪地帯では、地下水による融雪で生じる地盤沈下対策として、貯留した雨水を融雪用としても用いる。 

3)地下水の保全と有効利用:

地盤沈下・水位低下などの問題を生じないよう、モニタリングを行い、過剰となった地下水は、修景観用の水・災害用水・空調等の地中熱交換に用いる。

H29年 経営工学・生産マネ Ⅲ-1 模範解答と解説

問題

 設計寸法27.75mmの直径の軸をNC旋盤で加工している。工程の管理状態を確認するために、1日5個、20日間のデータを収集した。1日を群として、平均値、範囲を計算したものが表1でありXbar=28.05、Rbar=0.65であった。このデータを元に工程の管理状態を検討するためにXbar−R管理図を作成したい。この軸の上限規格はSu=28.5(mm)、下限規格はSL=27.0(mm)である

(1)Xbar−R管理図を作成せよ。管理限界線は以下の計算式で求める。

(2)Xbar−R管理図使用することにより、どのようなことが明らかになるかをそれぞれの管理図について説明せよ。また、管理図を用いて工程の管理状態を判定するルールを2つ示し、その説明をせよ。

(3)収集した100個のデータから分布の検討をするためにヒストグラムを作成したところ、図1のようになった。

管理図及びヒストグラムより、このNC旋盤による軸の加工工程をどのように評価するか。また、もし改善が必要な場合、上限規格、下限規格を考慮して、その方法について記入せよ。

模範解答  簡易答案形式  専門とする事項 品質管理

1.Xbar−R管理図とその作成方法と結果

・管理図は、偶然原因によるばらつきを基準として、異常原因によるばらつきを検出する

 ことで、工程の管理状態を把握するためにツールである。

・まず、R管理図を作成し、各群の値がR管理図の管理限界内であるかを確認する。

・R管理図の平均値Rbarを用いて、UCL,LCLを求め、Xbar管理図を作成する。

          *図.XBar−R管理図(作成した図を挿入)

2.Xbar−R管理図の使用方法と工程の管理状態を判定するツール

1)Xbar−R管理図の使用により明らかになること

・Xbar−R管理図は、Xbar管理図で分布の平均値の変化、R管理図で分布のばらつきをの変化を見ることにより、分布の変化を確認することができる。

・今回のXbar−R管理図は、点が管理限界内にあり、連、傾向、周期の並びのクセがない。

・従って、当該工程は一応の管理状態にあるとみなすことができる。

2)工程の管理状態を判定するルール

・ひとつは、連続6点して増加または減少する場合で、確率的にも明らかに異常である。

・もうひとつは、連続する15点が管理限界内で1σの範囲内にあるパターンである。

・一見良い管理状態と思われるが、群分け・層別の検討やデータ再確認を必要とする。

3.管理図及びヒストグラムからの評価

1)管理図からの評価

・各点は管理限界内にあり、連、傾向、周期の並びのクセがないが、R管理図のいくつかの群番号で上側管理限界に近い場合があり、ばらつきが大きいことが懸念される。

2)ヒストグラムからの評価

・正規分布であるが、全体的に裾が広がった形で、ばらつきが大きいと見られる。

・上下限規格の中心値とデータ分布の中心を比較した場合、約0.3㎜のずれがある。

・9個のデータで上限規格越えのデータもあるため、工程能力としては低いと考えられる。

3)NC旋盤の加工工程の評価と改善策

・ヒストグラムの分析結果から、加工後の軸寸法のばらつきが大きく、工程能力が低いと考えられるため、工程が安定状態にあるとはいえない。

・NC旋盤による軸の加工条件を見直した後、軸の寸法データを取得し、ヒストグラムを作成して評価をする必要がある。

・見直し後のデータから工程能力を求めて、一定の値(Cpk:1.33)以上であることを確認

 して、Xbar−R管理図による工程管理を実施していくことを提案する。

模範解答  答案形式  専門とする事項 品質管理

1. Xbar−R管理図とその作成方法と結果

管理図は、偶然原因によるばらつきを基準として、異常原因によるばらつきを検出することで、工程の管理状態を把握するためにツールである。

まず、R管理図を作成し、各群の値がR管理図の管理限界内であるかを確認する。

R管理図の平均値Rbarを用いて、UCL,LCLを求め、Xbar管理図を作成する。

 n=5のとき、A=0.577、D=2.114、D=0.000から、

Xbar管理図:CL=28.05、UCL=28.42、LCL=27.68

R管理図 :CL=0.65、UCL=1.374、LCL=0.00

R管理図、Xbar管理図

2.Xbar−R管理図の使用方法と工程の管理状態を判定するツール

1)Xbar−R管理図の使用により明らかになることXbar−R管理図は、Xbar管理図で分布の平均値の化、R管理図で分布のばらつきと変化を見ることにより、分布の変化を確認することができる。

今回のXbar−R管理図は、点が管理限界内にあり、連、傾向、周期の並びのクセがない。

従って、当該工程は一応の管理状態にあるとみなすことができる。

2)工程の管理状態を判定するルール

ひとつは、連続6点して増加または減少する場合で、確率的にも明らかに異常である。

もうひとつは、連続する15点が管理限界内で1σの範囲内にあるパターンである。

一見良い管理状態と思われるが、群分け・層別の検討やデータ再確認を必要とする。

3.管理図及びヒストグラムからの評価

1)管理図からの評価

各点は管理限界内にあり、連、傾向、周期の並びのクセがないが、R管理図のいくつかの群番号で上側管理限界に近い場合があり、ばらつきが大きいことが懸念される。

2)ヒストグラムからの評価

 正規分布であるが、全体的に裾が広がった形で、ばらつきが大きいと見られる。上下限規格の中心値とデータ分布の中心を比較した場合、約0.3㎜のずれがある。

 9個のデータで上限規格越えのデータもあるため、工程能力としては低いと考えられる。

3)NC旋盤の加工工程の評価と改善策

 ヒストグラムの分析結果から、加工後の軸寸法のばらつきが大きく、工程能力が低いと考えられるため工程が安定状態にあるとはいえない。

 まず、今回収集した100個寸法データから、上限の規格外れとなっているデータの要因を4Mから分析する。その後、4Mの条件と寸法データの相関関係が取得できるように検証評価を行う。ある条件と寸法データとの相関係数が0.8以上となる製造条件に見直した後、軸の寸法データを取得し、ヒストグラムを作成して評価をする必要がある。

 見直し後のデータから工程能力を求めて、一定の値(Cpk:1.33)以上であることを確認して、Xbar−R管理図による工程管理を実施していくことを提案する。

模範解答2 (簡易答案形式1)  添削履歴 1回  完成日2018/4/19 専門事項 工場生産管理

Ⅲ-1-(1)Xbar-R管理図

Xbar-R管理図
Xbar-R管理図

Ⅲ-1-(2)

1)Xbar管理図は、計量値で群間平均の変化が分かる。

2)R管理図は、計量値で郡内のばらつきが分かる。

3)管理状態の判定ルール

 ①UCLならびにLCLを超えた点がないこと。

 ②中心線の片側7つの連続する点がないこと。

Ⅲ-1-(3)

1.管理図及びヒストグラムより軸の加工工程の評価

1)XBar管理図は、統計的管理状態に入っている。

2)R管理図は、統計的管理状態に入っていない。なぜなら、片側の7つの連続する点があるためである。

3)ヒストグラムは、下限規格を満たしている。

4)ヒストグラムは、上限規格を超えている。

2.管理図及びヒストグラムより軸の加工工程の改善

1)XBar管理図の統計的管理状態

  群間の改善は必要でない。

2)R管理図の統計的管理状態を満たさない。

  群内の改善は必要であり、群内のばらつきを抑える。

3)ヒストグラムは、下限規格を満たしている。

  下限規格に対して余裕があるため、改善は必要ない。

4)ヒストグラムは、上限規格を超えている。不適合品が発生している。

  上限規格に対して超えているため、改善が必要である。

3.管理図及びヒストグラムより軸の加工工程の改善の方法

NC旋盤は、群(製造日)によってR管理図のばらつきが大きく、ヒストグラムの上限規格を超えることが生じている。そのため、NC旋盤で規定の設計寸法まで軸が削れず、上限規格よりも太い軸が発生している。

1)R管理図からの改善

NC旋盤の治具の固定が製造日内で緩み、設計寸法に至らないことが考えられる。原因を取り除き、再発防止に取り組む。考えられる原因として、製造日内の途中で治具が緩むことが考えられる。R管理図が統計的管理状態に入ったならば、改善できたと判断し、工程能力を評価する。R管理図が統計的管理状態に入らない場合は、更に考えらえる原因に対応する。

2)ヒストグラムの上限規格

1)を実施しR管理図が統計的管理状態に入ったならば、再度データをとりヒストグラムによる工程を評価する。工程能力が1よりも小さければ、上下管理幅を見直し、仕様を変更する。工程能力が1を超えていれば、最頻値が規格幅のセンタリングになるように継続して改善する。

H29年 経営・生産マネ Ⅱ−1−1 問題 模範解答と解説

問題文   Ⅱ-1-1 

パレート図に関する以下の問いに解答せよ。

(1)QC七つ道具の1つであるパレート図の使用目的と利用方法を述べよ。

(2)このパレート図を用いて大きな効果が得られるようにするための注意事項と活用ポイントを3項目挙げよ。

(3)パレート図と同じ考え方の生産マネジメントツールであるABC分析について述べよ。

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 2回  完成日2018/4/23 専門事項 工場生産管理

 1. パレート図の使用目的と利用方法

1)使用目的

頻度の多い項目を見て分かるようにする。

2)利用目的

優先して改善する項目を見出す。

2.使用時の注意事項と活用ポイント

1)注意事項

項目は、原因で示す。

少数頻度の項目は、「その他」とする。

項目の頻度、項目の累積比率は、それぞれ棒グラフと折れ線グラフで示す。

2)活用ポイント

 頻度の大きい項目は、優先して改善を進める。

 「その他」項目は、その割合が大きくならないようにする。

 対象の項目に改善後の結果は、パレート図から予測できる。

3.ABC分析

在庫管理を金額基準の多いものから順にA、B,Cと区分けし、管理する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 3回  完成日2018/5/6 専門事項 工場生産管理

(1)パレート図の使用目的と利用方法

パレート図の使用目的は、苦情や欠点などの品質管理の項目で、大きな効果が得られる項目を見出すことである。

(2)注意事項と活用ポイント3つ

①注意事項  

1.項目数は、10個程度までにする。

2. 項目名は、明確に区別できる表示にする。

3. 項目の順序は、左から出現数の多い順に並べる。

②活用ポイント

1.少数の大きな項目は、優先して着手する。

2.着手する項目は、累積比率で削減効果を予測する。

3. 多数の小さな項目は、後回しにする。

(3) ABC分析

ABC分析は、たくさんある項目をA、BおよびCのグループに分け、優先度をつけて管理する方法である。グループの累積比率を示して、全体に対する影響を示す。

パレートの法則では、例えば売上の8割は全品目のうちの2割が生み出している。ABC分析は、この品目2割で売上8割を占めるグループをAとする。Bは売上9割を占めるグループとする。残りはCとする。

Aは経営に与える影響が大きいため、問題が出さないよう、優先して管理する。一方、BはAよりも、CはBよりも優先順位が落ちる。

H29年 経営・生産マネ Ⅱ−1−2 問題 模範解答と解説

問題文   Ⅱ-1-2 

PERT手法は大規模日程計画において用いられるプロジェクト管理の手法であり、アローダイアグラムを用いて、最も時間のかかる作業経路を明確にするものでる。PERT手法に関する以下の問いに解答せよ。

(1)PERT手法において用いられるアローダイアグラムについて説明せよ。

(2)以下の作業リストをもとにアローダイアグラムを作成し、作業A〜Fについて、最早終了時刻及び最遅終了時刻をそれぞれ求めよ。

作業名

作業時間

直前作業

A

2

なし

B

3

A

C

8

A

D

5

B,C

E

2

B,C

F

1

D,E

(3)クリティカルパスについて説明し、上記(2)のアローダイアグラムにおけるクリティカルパスを示せ。

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 2回  完成日2018/4/23 専門事項 工場生産管理 

1.アローダイアグラム

1)計画を遂行するために必要な作業の順序を矢線と結合点を用いた図である。

2)日程上の重要な経路(パス)を明らかにして計画の進捗を管理する。

2.アローダイアグラムの作成、最早終了時刻、最遅終了時刻

1)作成

keei212.jpg (500×197)

2)最早終了時刻

8となる。

3)最遅終了時刻

16となる。

3.クリティカルパス

1)クリティカルパスの説明

プロジェクトの進捗で最も時間のかかるパスである。

2)(2)のクリティカルパス

A-C-D-F

模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回  完成日2018/4/28 専門事項 工場生産管理

 (1)  アローダイアグラム

アローダイアグラムは、計画を遂行するために必要な作業の順序を矢線と結合点を用いた図である。日程上の重要なパスは、明らかにして計画の進捗を管理する。

 (2) アローダイアグラムの作成、最早終了時刻、最遅終了時刻

①アローダイアグラムの作成

keei212.jpg (500×197)

②最早終了時刻

A-B-E-Fのパスが、8で該当する。

③最遅終了時刻

A-C-D-Fのパスが、16で該当する。

(3)クリティカルパス

①クリティカルパスの説明

クリティカルパスは、プロジェクトの進捗で最も時間のかかるパスである。このパスを経済性をもって短縮できることが、計画を遂行するために重要になる。

②上記(2)のクリティカルパス

A-C-D-Fが該当する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回  完成日2018/4/27 専門事項 工場生産管理

(1) アローダイアグラム

アローダイアグラムは、大規模日程計画を遂行するために必要な作業の順序を矢線と結合点を用いた図である。日程上の重要なパスは、明らかにして計画の進捗を管理する。

(2) アローダイアグラムの作成、最早終了時刻、最遅終了時刻

①アローダイアグラムの作成

keei212.jpg (500×197)

図1.アローダイアグラム

②最早終了時刻

A-B-E-Fのパスが、8で該当する。

③最遅終了時刻

A-C-D-Fのパスが、16で該当する。

(3)クリティカルパス

①クリティカルパスの説明

クリティカルパスは、プロジェクトの進捗で最も時間のかかるパスである。日程短縮が必要な場合は、経済性をもって、優先してクリティカルパスを短縮する。

②上記(2)のクリティカルパス

A-C-D-Fが該当する。

H29年 経営・生産マネ Ⅱ−2−1 問題 模範解答と解説

問題文   Ⅱ-2-1 

これまで生産拠点を海外の新興国に移転する(海外移転:オフショアリング)動きが強かったが、最近家電や自動車、電子部品の分野で国内へ生産拠点を移転する(国内回帰:リショアリング)動きが出てきている。グローバル化が進む中で生産拠点をどこに決定するかはグローバル・サプライ・チェーン・ネットワークの最適設計において重要な課題となりつつある。

(1)生産拠点を海外の新興国に移転する理由を生産マネジメントの視点(Q,C,D)から述べよ。

(2)一度移転した生産拠点を国内に回帰させる理由を生産マネジメントの視点(Q,C,D)から述べよ。

(3)生産拠点の選定方法をリスクの視点から述べよ。

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 5回  完成日2018/5/2 専門事項 工場生産管理

 1. 海外移転の理由

1)Qの視点 

生産に従事できる多量の労働力。既存の資材・部品の調達先が進出できる。

2)Cの視点

 海外で人件費が安価。工場立地が安価。

3)Dの視点

 海外拠点で地産地消。治安が良い。インフラ整備あり。

2.国内回帰の理由

1)Qの視点 

 「日本製」の収益力が高まった。海外で法律の複雑さがある。

2)Cの視点

 海外拠点で人件費が上がる。AIによる生産の自動化で人件費が下がる。

3)Dの視点

 海外の治安が悪くなり、インフラに不安がある。労働者のストライキあり。

3.生産拠点の選定方法

1)従業員リスク 

 人件費の高騰、ストライキの発生、生産の自動化の可能性

2)法務リスク

 海外拠点の法律の複雑さ、政情不安

3)サプライチェーンリスク

為替の変動(円高)、製造国「日本製」に対する購買意欲、インフラの整備不良

模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 2回  完成日2018/5/8 専門事項 工場生産管理

 1. 海外移転の理由

①Qの視点

生産に従事できる多量の労働力が海外にある。既存の資材・部品の調達先が進出できる。

②Cの視点

海外の人件費が安価である。海外の工場立地が安価である。

③Dの視点

海外拠点で地産地消ができる。海外の治安が良い。海外でインフラが整備されている。

(2) 国内回帰の理由

①Qの視点

製造国の「日本製」の収益力が高まった。ASEANなどの海外で独自の標準、規制の制定が進み、過剰な品質による負荷がかかっている。

②Cの視点

 海外拠点で人件費が上がる。AIによる生産の自動化は従業員数を減らし、総人件費も下がる。

③Dの視点

海外の治安が悪くなり、インフラに不安がある。海外の従業員のストライキで生産が止まる。

(3) 生産拠点の選定方法

①従業員リスク

国内外ともに人件費の高騰の動きがあり、コストに負荷をかける。また、生産の自動化は労働者の省力化につながっている。人件費による国内外生産コストの格差は小さくなっている。海外の生産拠点でストライキが発生すると、従業員は生産に従事せず生産が止まる。

②法務リスク          

海外拠点は法律の把握が複雑なため、従業員の雇用条件、部品・製品の売買条件、工場建設条件、品質基準などを信頼できる現地情報で収集する。海外の政情不安は、生産休止に追い込まれ計画的に生産できないため、政権の安定を見極める。

③サプライチェーンリスク

為替の変動(円高)は、輸入品に有利だが、輸出品に不利となる。製造国「日本製」に対する購買意欲が世界中で高まっている。海外の治安悪化、並びにその後のインフラの回復遅れは、部品調達ならびに製品出荷を停滞させる。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 5回  完成日2018/5/21 専門事項 工場生産管理

(1)日本企業が海外に移転する理由

1)Qの視点

日本国内は、労働力人口が減少している。一方、海外の新興国の中には、若年人口が多く多量の労働力がある。また、海外移転先に資材・部品の国内調達先が進出しているため、現地調達で生産品質を管理しやすい。

2)Cの視点

一般的に日本国内よりも新興国の人件費は、安価である。海外の工場地価も安価である。そのため、生産に関わるコストを安価にできる。

3)Dの視点

 新興国の中には、治安が安定化し、インフラも整備されてきており、北米、日本などへ輸出できる体制になっている。また、現在の市場規模は小さいが、将来の国内需要成長に期待できるから。

(2)国内回帰の理由

1)Qの視点 

新興国の労働力が予想に反して期待した品質に達せず、実績ある国内の労働力を使う。新興国で独自の標準、規制の制定が進み、過剰な品質が負担となっている。

2)Cの視点

 新興国の1人当たりGDPが高まり、人件費が高騰した。一方、AIによる生産自動化が浸透し、総人件費を下げられるようになった。

3)Dの視点

 新興国の治安が悪くなり、インフラに不安がある。新興国の従業員によるストライキで生産が止まる。

(3)生産拠点の選定方法

1)品質低下リスク

 品質低下リスクから考えると、新興国の従業員による期待した品質の維持がリスクになる。新興国で生産する製品に対する品質は、国内製品と同等を維持しなければならない。新興国における教育体制が確保できれば、新興国に進出できる。

2)費用上昇リスク

 費用上昇リスクから考えると、新興国で人件費の上昇と為替相場動向がリスクになる。今後の人件費の上昇と為替相場の動向は、新興国で生産を開始後に、採算の見直しを必要とする。それらを上回る好条件として、安価な工場用地や企業誘致条件があれば、新興国に生産拠点を置きやすい。

3)納期遅延リスク

 納期遅延リスクから考えると、平時のインフラでなく、被害を受けた後のインフラ整備がリスクになる。新興国はインフラを整備してきている。ただし、自然災害等から復旧するスピードが遅くなる傾向がある。インフラ破損時に資材の調達ならびに製品の出荷体制が確保できれば、新興国に進出できる。

H29年 経営工学・生産マネ Ⅲ-2 模範解答と解説

問題

(1)工程分析図で使用される加工、運搬、貯蔵、停滞、検査(数量・品質)に関する工程図記号を示し、その具体例について表にまとめよ。

(2)業務において取り扱ってきた製品の生産プロセスについて工程図記号を用いて示し、各工程において考えられる環境側面を挙げよ。

(3)(2)の生産マネジメント業務に基づきPDCAサイクルのモデル図を示し、PDCA各々について具体的な例を挙げ説明せよ。Cに関してはシステムの定量的な評価指標を示して説明を行うこと。

(4)LCAについて説明せよ。業務において扱ってきた上記(2)の製品を例に挙げ、LCAの観点から製品のライフサイクルを図示せよ。

模範解答1 (簡易答案形式1)  添削履歴 3回  完成日2018/6/4 専門事項 工場生産管理

1.工程図記号と具体例

工程図記号と具体例

2.ビン牛乳の生産プロセス、工程図記号ならびに環境側面

KK3_2_1.jpg (274×339)

3.PDCAサイクルのモデル図と定量的な評価指標

 P:計画は、ビンの再利用を促す回転数を引き上げる。

  目標値は、昨年の平均43回より高い50回転と決める。

 D:具体的な取り組みは、ビンの接触を減らすラインの調整を行う。その上でビンの回転数を測定する。

 C:収率の目標と実際の差が分かるように確認する。定量的な評価指標は、ビンの回転数として50回転以上である。

 A:収率が目標値を達成していれば完了する。達成しなければ、再度Pから計画を立てて取り組む。これを継続的に取り組む。

PDCAサイクルのモデル図と定量的な評価指標

4.LCAの説明と製品のライフサイクル

1)LCAの説明について

LCAは、製品のライフサイクルの過程において環境に負荷をかけている部分を明確にし、その負荷を低減するための取組みを示す。製品のライフサイクルの過程は、原材料の調達から製品の使用・廃棄までの流れを含む。ISO14001では、LCAの目的および調査範囲、インベントリ分析、影響評価と解釈を経る。LCAは環境に配慮した取り組みを提示できる。

2)ビンのライフサイクルの図示

 下図は、ビンのライフサイクルを以下に示す。

ガラス資源採取→ビン製造→牛乳生産→消費→容器廃棄→回収(→ガラス資源採取に入る)

H29年 化学・セラミック無機 Ⅱ−1−2 問題 模範解答と解説

問題文   Ⅱ-1-2

 現在、二次電池は産業用、民生用として広く利用されている。実用化されている二次電池の例を2つ挙げ、それぞれについて(1)原理と特徴と(2)実用化例を説明せよ。

 模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 2回  完成日2018/3/24 専門事項 化学品製造

1. 二次電池の原理と特徴

1)鉛蓄電池

二酸化鉛と鉛の酸化数の差を利用した電池。構成材料の鉛の入手が容易なため安価である。

2)ニッケル水素電池

水酸化ニッケルと水素の酸化数の差を利用した電池。構成材料に有害物質を含まないことから、環境への負荷が小さい。

2.二次電池の実用化例

1)鉛蓄電池

エネルギー密度は低いが容量当たりの単価が安いため、自動車用、フォークリフト用、産業用用途で用いられる。

2)ニッケル水素電池

 エネルギー密度の高さ、安全性の高さから、ハイブリッド自動車の二次電池として使用される。

 模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回  完成日2018/4/14 専門事項 化学品製造

(1)二次電池の原理と特徴

①鉛蓄電池

(a)原理:鉛蓄電池は、鉛の酸化反応により電気を取り出す電池。二酸化鉛と鉛から硫酸鉛が生成する。可逆反応であるため充電が可能である。

(b)特徴:構成材料の鉛の入手が容易なため安価。

②ニッケル水素電池

(a)原理:ニッケル水素電池は、水酸化ニッケルの酸化反応により電気を取り出す電池。水酸化ニッケルと水素から水酸化ニッケル(Ⅱ)を生成する。可逆反応であるため充電可能である。

(b)特徴:構成材料に有害物質を含まないため、環境負荷が小さい。

(2) 二次電池の実用化例

①鉛蓄電池

 エネルギー密度は低いが容量当たりの単価が安いため、自動車用、フォークリフト用、産業用用途で用いられる。

②ニッケル水素電池

 エネルギー密度の高さ、安全性の高さから、ハイブリッド自動車の二次電池として使用される。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回  完成日2018/4/17 専門事項 化学品製造

(1)二次電池の原理と特徴

①鉛蓄電池

(a)原理

鉛蓄電池は、鉛の酸化反応により電気を取り出す電池である。二酸化鉛と鉛から硫酸鉛が生成する。可逆反応であるため充電が可能である。

(b)特徴

構成材料の鉛の入手が容易なため安価である。

②ニッケル水素電池

(a)原理

ニッケル水素電池は、水酸化ニッケルの酸化反応により電気を取り出す電池である。水酸化ニッケルと水素から水酸化ニッケル(Ⅱ)を生成する。可逆反応であるため充電可能である。

(b)特徴

構成材料に有害物質を含まないため、環境負荷が小さい。

(2)二次電池の実用化例

①鉛蓄電池

 エネルギー密度は低いが容量当たりの単価が安いため、自動車用、フォークリフト用、産業用用途で用いられる。

②ニッケル水素電池

 エネルギー密度の高さ、安全性の高さから、ハイブリッド自動車の二次電池として使用される。

H29年 化学・セラミック無機 Ⅱ−1−3 問題 模範解答と解説

問題文   Ⅱ-1-3

 粒子(または粉体)を取り扱う際に、液体中への粒子の分散状態が重要となる場合が多い。粒子の液体中への分散に関し、

(1)分散状態の評価方法を二つ挙げて説明し、

(2)分散状態の制御(または向上方法)を二つ挙げて説明せよ。

 模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 2回  完成日2018/3/24 専門事項 化学品製造

1. 分散状態の評価方法

1)粒子径分布測定による評価

粒子径分布を測定することで、凝集粒子の有無や大きさ、その割合を把握できるため、分散状態を評価できる。

2)ゼータ電位測定による評価

ゼータ電位を測定することで、粒子間の反発力の目安を知ることができるため、分散状態を評価できる。

2.分散状態の向上方法

1)ぬれ性の向上

 液中で凝集している粒子に湿潤剤を添加すると、液体に濡れやすくなり、粒子間に存在する空気が液体に置き換わる。このため、粒子を解こうされ、分散性が向上する。

2)立体障害反発の付与

 粒子表面に高分子分散剤を吸着させると、高分子により粒子同士の接近が抑制され、立体障害反発となる。このため、分散を安定化できる。

 模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回  完成日2018/4/15 専門事項 化学品製造

1. 分散状態の評価方法

①粒子径分布の測定

粒子径分布の大小で分散状態の良悪を評価する。粒子の凝集塊が大きいほど粒子径は大きく、凝集塊が解砕され単位粒子(一次粒子)に近づくほど粒子径は小さくなる。

②ゼータ電位の測定

ゼータ電位の絶対値の大小で、分散状態の良悪を評価する。ゼータ電位の絶対値が大きいと、粒子間の電気的な反発力が強くなり粒子は分散する(DLVO理論)。

2. 分散状態の制御方法

①高分子の吸着

 粒子に高分子を吸着させることで分散を向上できる。粒子が接近すると、吸着した高分子の鎖が圧縮されるため、復元しようとする力が働く。その結果、粒子同士は引き離される。

②静電斥力による安定化

液の水素イオン濃度(+)または水酸化物イオン濃度(-)を増加させることで分散が向上できる。H+濃度を増加させると粒子は+に帯電し、OH-濃度を増加させると粒子は-に帯電する。同符号同士に帯電した粒子は反発するため、分散する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回  完成日2018/4/17 専門事項 化学品製造

(1) 分散状態の評価方法

①粒子径分布の測定

粒子径分布の大小で分散状態の良悪を評価することができる。粒子の凝集塊が大きいほど粒子径は大きく、凝集塊が解砕され単位粒子(一次粒子)に近づくほど粒子径は小さくなる。

②ゼータ電位の測定

ゼータ電位の絶対値の大小で、分散状態の良悪を評価することができる。ゼータ電位の絶対値が大きいと、粒子間の電気的な反発力が強くなり粒子は分散する(DLVO理論)。ゼータ電位は、電気泳動法により、粒子表面に対イオンによって形成された電気二重層、すなわち界面の電位差を測定する。

 (2) 分散状態の制御方法

①高分子の吸着

 粒子に高分子を吸着させることで分散を向上できる。粒子が接近すると、吸着した高分子の鎖が圧縮されるため、復元しようとする力が働く。その結果、粒子同士は引き離される。

②静電斥力による安定化

液の水素イオン濃度(+)または水酸化物イオン濃度(-)を増加させることで分散が向上できる。H+濃度を増加させると粒子は+に帯電し、OH-濃度を増加させると粒子は-に帯電する。同符号同士に帯電した粒子は反発するため、分散する。

H29年 化学・セラミック無機 Ⅱ−2−2 問題 模範解答と解説

問題文   Ⅱ-1-2

 あなたは、ある企業で無機化学製品の製造部門の責任者である。あなたの会社の製品を使用しているユーザー企業の海外進出に合わせて、あなたの会社も海外向けに輸出する。あなたの会社の製品は、これまで国内向けのみであったことから問題となっていなかったものの、輸出国の法令で使用が制限されている成分を含むものであった。このような状況で、必要があれば無機化学製品を特定した上で、問題解決のために検討すべき項目を複数挙げて説明し、検討すべき項目のうち、最も重要と考える1つを選択し、具体的な手順について説明せよ。また、業務を進めるに当たって留意すべき事項について説明せよ

 模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 8回  完成日2018/4/11 専門事項 化学品製造

1.  製品の特定と解決のための検討事項

1)製品の特定

輸出先:欧州、製品:紫外線遮蔽剤、ユーザー:化粧品メーカー、制限成分:酸化亜鉛ナノ粒子(50nm)、法規制:ナノマテリアル規制(1〜100nm)がある「欧州新化粧品規則」

2)検討すべき項目:酸化亜鉛への樹脂被覆による粒子径増大(100nm以上)

2.最も重要な検討項目とその手順

1)検討項目:粒子径を増大させるために、酸化亜鉛表面の樹脂被覆率を向上する。そこで、粒子表面上で樹脂の乳化重合を促進させる方法を検討する。

2)検討手順

①樹脂被覆を進行させる方法:樹脂(疎水性)に対し、酸化亜鉛表面(親水性)の親和性を高めることで、樹脂を粒子表面に被覆し粒子径を100nm以上に増大させる。

②課題:酸化亜鉛ナノ粒子表面を疎水処理する

③解決策:界面活性剤(両親媒性)の官能基を持つ化合物(脂肪酸やその金属塩…例:ステアリン酸類)で、酸化亜鉛ナノ粒子表面を疎水処理した上で、乳化重合する。

3.留意すべき事項

1)表面疎水処理面積の向上:酸化亜鉛ナノ粒子表面の疎水処理面積を増大させるため、ビーズミル等で粒子を分散(むき出しに)させた上で疎水処理を行う。

2)③の化合物の粒子吸着性向上:化合物の粒子表面への吸着を促進するため、化合物は、ナノ粒子との親和性が大きいものを選択する。

 模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回  完成日2018/4/15 専門事項 化学品製造

(1)製品の特定と解決のための検討事項

①製品の特定

私の会社の紫外線遮蔽剤(化粧品原料)は、輸出国(EU)の法令(欧州新化粧品規則のナノマテリアル(1〜100nm)規制)で使用制限のある成分(酸化亜鉛ナノ粒子;50nm)を含んでいた。

②検討すべき項目

 輸出を可能にするため、酸化亜鉛への樹脂被覆による粒子径増大(100nm以上)を検討する。

(2)検討の具体的手順

①検討項目

粒子径を増大させるために、酸化亜鉛表面の樹脂被覆率を向上する。そこで、粒子表面上で樹脂の乳化重合を促進させる方法を検討する。

②検討手順

(a)樹脂被覆を進行させる方法

樹脂(疎水性)に対し、酸化亜鉛表面(親水性)の親和性を高めることで、樹脂を粒子表面に被覆し粒子径を100nm以上に増大させる。

(b)課題

酸化亜鉛ナノ粒子表面を疎水処理し、樹脂との親和性を高める。

(c)解決策

界面活性剤(両親媒性)の官能基を持つ化合物(脂肪酸やその金属塩…例:ステアリン酸類)で、酸化亜鉛ナノ粒子表面を疎水処理する。

疎水処理により、粒子表面に樹脂モノマーが吸着し、乳化重合を行うことで、樹脂ポリマーとして被覆が形成される。

 (3)留意すべき事項

①表面疎水処理面積の向上

酸化亜鉛ナノ粒子表面の疎水処理面積を増大させるため、ビーズミル等で粒子を分散(むき出しに)させた上で疎水処理を行う。

②両親媒性官能基を持つ化合物の粒子吸着性向上

化合物の粒子表面への吸着を促進するため、化合物は、ナノ粒子との親和性が大きいもの(例:酸化亜鉛と親和性の高いアニオン性界面活性剤)を選択する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回  完成日2018/4/17 専門事項 化学品製造

(1)製品の特定と解決のための検討事項

①製品の特定 

製品:化粧品原料(紫外線遮蔽剤)

輸出先と法令:欧州、化粧品規則のナノマテリアル規制(1〜100nm)

制限される成分:酸化亜鉛ナノ粒子(50nm)

②検討すべき項目

 酸化亜鉛ナノ粒子への、樹脂(例:PMMA)被覆による粒子径増大(100nm以上)を検討する。

(2)検討の具体的手順

①検討項目

粒子径を増大させるため、酸化亜鉛表面の樹脂被覆率を向上する。そのためには、粒子表面上で樹脂の乳化重合を促進させる方法を検討する必要がある。

②検討手順

(a)樹脂被覆を進行させる方法

樹脂(疎水性)に対し、酸化亜鉛ナノ粒子表面(親水性)の親和性を高めることで、樹脂を粒子表面に被覆し粒子径を100nm以上に増大させることが重要である。

(b)課題

樹脂(疎水性)と酸化亜鉛ナノ粒子表面(親水性)の親和性を高めるため、酸化亜鉛ナノ粒子表面を疎水処理することが課題である。

(c)解決策

界面活性剤(両親媒性)官能基を持つ化合物(脂肪酸やその金属塩…例:ステアリン酸類)を、酸化亜鉛ナノ粒子表面に修飾する。界面活性剤の親水基は、酸化亜鉛ナノ粒子表面(親水性)に向かって配向するため、外側に疎水基が向けられる。

次に、MMAなどの樹脂モノマー(疎水性)を添加し、粒子表面に修飾された界面活性剤の疎水基に吸着させる。

最後に、重合開始剤を加えて乳化重合を行うことで、樹脂ポリマー(PMMA)の被覆が形成する。

このようにして、粒子表面上で樹脂の重合を促進させ、粒子径を増大できる。

(3)留意すべき事項

①表面疎水処理面積の向上

酸化亜鉛ナノ粒子表面の疎水処理面積を増大させるために、ビーズミル等で粒子を分散(むき出しに)させた上で疎水処理を行う必要がある。

②両親媒性官能基を持つ化合物の粒子吸着性向上

化合物の粒子表面への吸着を促進するため、化合物は、ナノ粒子との親和性が大きいもの(例:酸化亜鉛と親和性の高いアニオン性界面活性剤)を選択する必要がある。

H29年 化学・セラミック無機 Ⅲ−1 問題 模範解答と解説

問題文   Ⅲ-1

 グローバリゼーションの進む現代では、セラミックス及び無機化学産業においても国際的な競争力をより一層高める必要がある。このような状況を踏まえ、必要に応じて技術分野を具体的に想定し、競争力を高めるために検討すべき課題について多面的に述べよ。

 挙げた課題のうち、あなたが最も重要と考える技術的課題について、その課題を克服するにはどのような取り組みが有効か、あなたの提案を具体的に示せ。あなたの提案がもたらす効果を具体的に示すとともに、生じ得るリスクについても述べよ。

 模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 6回  完成日2018/4/28 専門事項 化学品製造

1. 想定する分野と競争力強化のための課題

1)技術分野の特定

バイオセラミックス(セラミックス人工骨)

2)課題

 ①製品の耐久性向上:耐久性向上によって金属人工骨を代替し、セラミックス人工骨市場を拡大する

 ②知的財産権の確保:特許の取得あるいは技術の秘匿による知的財産権の確保。(医療機器には後発品制度がないため、日本からの新規参入企業や中小企業が開発した新素材や新機能がコピーされ、シェアを奪われてしまう。)

 ③迅速な製品開発:オープンイノベーション拠点を活用した、産学医連携による迅速な製品化。(日本の参入企業は、素材の開発技術、加工技術に優れているが、医療機器の法的知識や製品化ノウハウがなく、製品化が遅れがちである。)

2.最も重要な技術的課題と解決のための提案

1)最も重要な技術的課題

①高強度高靱性材料の開発:製品の機械的強度の向上と生体適合性の両立するための材料開発を行う。

2)解決策

 ①高強度高靱性を持つリン酸カルシウム焼結体の開発

⇒生体と適合性の高いリン酸カルシウム(骨の主成分)を焼結させて、高強度高靱性との両立を図る。

3.効果とリスク

1)効果

・骨皮質と同等以上の強度確保により、人工骨使用者の負担軽減(定期メンテナンス頻度が削減)が可能。

・従来のセラミックス人工骨(複合化水酸アパタイトなど)と比較して低コストで製造が可能。

2)リスク

・副作用発生のリスク。生体適合性の高い材料であっても、アレルギー等の副作用が発生する可能性がある。

 模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 2回  完成日2018/2/23 専門事項 化学品製造

(1)想定する分野と競争力強化のための課題

①技術分野の特定

バイオセラミックス(セラミックス人工骨)事業の海外展開を検討する。

②課題

a)製品の耐久性向上

セラミックス人工骨の耐久性向上によって金属人工骨を代替し、市場を拡大させる必要がある。

b)知的財産権の確保

特許の取得あるいは技術の秘匿による知的財産権の確保が必要である。なぜなら、医療機器には後発品制度がないため、日本からの新規参入企業や中小企業が開発した新素材や新機能がコピーされ、シェアを奪われてしまうからである。

c)迅速な製品開発

オープンイノベーション拠点を活用した、産学医連携による迅速な製品化をすべきである。なぜなら、日本の参入企業は素材の開発技術、加工技術に優れているが、医療機器の法的知識や製品化ノウハウがなく、製品化が遅れがちだからである。

(2)最も重要な技術的課題と解決のための提案

①最も重要な技術的課題:a)製品の耐久性向上

高強度高靱性バイオセラミックス材料が必要である。このため、製品の機械的強度の向上と生体適合性が両立できる材料の開発を行う。

②解決策

 バイオセラミックスとして従来から使用されるハイドロキシアパタイトは、生体適合性に優れるものの、強度が弱かった。そこで、以下のバイオセラミックス材料を提案する。生体適合性を確保するため、骨の主成分であり強度の高いリン酸カルシウムを用いた焼結体を利用する。リン酸カルシウム焼結体を用いた人工骨を開発することで、生体適合性と高強度高靱性が確保できる。

(3)効果とリスク

①効果

a)骨皮質と同等以上の強度を確保することにより、人工骨使用者の負担軽減(定期メンテナンス頻度が削減)が可能である。

b)従来のセラミックス人工骨材料(水熱ホットプレスによるハイドロキシアパタイトなど)と比較すると、高価な設備(ホットプレス装置)が不要なため、低コストで製造が可能である。

②リスク

副作用発生のリスクがある。生体適合性の高い材料であっても、アレルギー等の副作用が発生する可能性がある。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 3回  完成日2018/5/3 専門事項 化学品製造

(1)想定する分野と競争力強化のための課題

①技術分野の特定

バイオセラミックス(セラミックス人工骨)事業の海外展開を検討する。

②課題

a)耐久性が高い製品の開発

セラミックス人工骨には、耐久性の向上という課題がある。股関節や膝関節はニーズが大きい部位だが、応力や摩耗の問題があり、全セラミックス製の人工骨は実現できていない。国際競争力強化のためにも、耐久性が高いセラミックス人工骨を開発すべきある。

b)知的財産権の確保

特許の取得あるいは技術の秘匿による知的財産権の確保が必要である。なぜなら、医療機器には後発品制度がないため、日本からの新規参入企業や中小企業が開発した新素材や新機能がコピーされ、シェアを奪われてしまうからである。

c)迅速な製品開発

オープンイノベーション拠点を活用した、産学医連携による迅速な製品化をすべきである。なぜなら、日本の参入企業は素材の開発技術、加工技術に優れているが、医療機器の法的知識や製品化ノウハウがなく、製品化が遅れがちだからである。

(2)最も重要な技術的課題と解決のための提案

①最も重要な技術的課題

a)の製品の耐久性向上が最も重要と考える。

②解決策

a) リン酸カルシウム化合物焼結体の利用

従来のバイオセラミックス(HAP)の生体適合性を維持したまま、人の骨皮質と同等以上強度を確保するため、以下を提案する。

骨の主成分であり、強度の高いリン酸カルシウム化合物焼結体を利用する。リン酸カルシウム化合物は、HAPにリン酸三カルシウム(TCP)を加えて複合化したものである。

b)HAPとTCPの配合比の決定

 HAPとTCPの複合化により、結晶粒径を精密に制御できる。従来のHAP単体の焼結体と比較して、強度を50%以上向上できる。この配合比の特許を取得することで、知的財産権の確保が可能となる。

c)生体用材料の規格化

日本には、生体用材料のJIS規格等がない。このため、材料や強度の試験は、米国試験法やISO規格など準じて実施していた。しかし、国内メーカーの原料に、これらの規格を満たしているものは少ない、評価に時間がかかる等の制約から、開発が停滞する原因となっていた。

そこで、医工連携によって生体用材料のJIS規格化を行い、開発速度を向上させる。

(3)効果とリスク

①効果

a)患者の精神的及び身体的負担軽減

生体適合性と高強度高靱性を両立させたセラミック人工骨は、経年での強度低下や、骨組織との固定の緩みがなくなる。よって、人工骨の定期メンテナンス頻度が削減できる。定期メンテナンスは、手術を伴うため、患者の精神的、身体的負担は大きく軽減される。

b)経済性の向上

リン酸カルシウム化合物焼結体は、焼結時の温度や圧力によらず、HAPとCTPの組成制御によって強度を向上する。よって、高価な設備(ホットプレス装置や、高温対応の焼結炉など)は不要であり、低コストで製造可能である。

②リスク

a)副作用発生のリスク

生体適合性の高い材料であっても、生体にとっては異物とみなされる恐れがある。アレルギーやアナフィラキシー等の副作用が発生する可能性がある。このため、市販後調査の結果を製品にフィードバックし、安全性を高めなければならない。

b)新規参入による競争激化のリスク

 セラミックス人工骨は、金属人工骨と異なり、3Dプリンターなどで容易に造形可能である。よって、容新規参入が容易だと考えられる。このため、オーダーメイド等により製品の付加価値を高める必要がある。

H29年 情報工学・情報ネットワーク Ⅱ-1-2問題 模範解答と解説

問題  公開鍵暗号方式を用いた電子署名の仕組みと,同方式における認証局の役割を,それぞれ述べよ。 

 模範解答  答案形式1   専門とする事項  情報ネットワーク    添削回数2回

1.電子署名の仕組み

 電子データを送付する際、送信者は電子データに加えて、自身の公開鍵と電子データをハッシュ処理と呼ばれる処理を行い秘密鍵で暗号化したものを暗号文として送付する。ハッシュ処理は、あるデータが与えられた場合に、決められたデータ長の結果を返すが、元のデータが同じであれば、必ず同じ値を返す処理である。

 受信者は、送られた電子データをハッシュ処理したものと、暗号文を送信者の公開鍵で複合化したものを比較し同一であることを確認する。公開鍵暗号化方式では、公開鍵で複合化できるデータは、ペアとなる秘密鍵で暗号化されたものであり、秘密鍵は本人のみが所持していることが前提となる。このことから電子データが本人しか持ちえない秘密鍵により暗号化されたものであることが証明され、間違いなく本人から送信されたものであることが確認できる。

2.認証局の役割

公開鍵・秘密鍵は自身でも発行することができるため、本人になりすまして、他人の鍵を生成する可能性も考えられる。認証局は、公開鍵・秘密鍵の発行時に厳密な本人確認を行うことにより、一般に公開されている公開鍵が、本人のものであることを客観的に証明する役割を担っている。

H29年 情報工学・情報ネットワーク  Ⅱ-1-3問題 模範解答と解説

問題  1Pネットワークの経路制御技術は,大別してEGP (Exterior Gateway Protocol)とIGP (Interior Gateway Protocol)に分類される。 EGPとIGPの役割を述べよ。また,それぞれの代表的な通信プロトコルである, BGPとOSPFについて,特徴と経路情報を交換する仕組みを,それぞれ述べよ。

 模範解答  答案形式1   専門とする事項  情報ネットワーク    添削回数2回

1.EGPとIGPの役割

 EGPは主にインターネットにおける異なる組織間の経路制御に利用され、IGPは主に組織内の経路制御に利用される。

2.BGPとOSPFの特徴と仕組み

2−1.BGPの特徴と仕組み

 組織毎の識別番号としてAS番号と呼ばれるものを用い、目的のAS番号へ到達するまでの経路制御を行う。経路個別に細かなポリシ付加が可能であり、組織毎のポリシに基づいた経路制御ができることが特徴である。

 BGPでは、自身が隣接しているAS番号の情報を連鎖伝達する事で経路情報を認識するが、情報を伝達するルータは明示的に定義する必要がある。

2−2.OSPFの特徴と仕組み

 組織内に配置されたルータが組織のネットワーク構成を全て把握し、任意のルータが変化を検知すると迅速に他のルータに変化を通知するため、厳密で敏速な経路制御ができることが特徴である。

 OSPFでは代表ルータと呼ばれるものが自動で選出され、各ルータが自身の周辺状態を代表ルータに通知し、代表ルータが全ネットワーク構成を他のルータに通知することにより、全ルータが全てのネットワーク情報を知ることができる。

H29年 情報工学・情報ネットワーク  Ⅱ-2-1問題 模範解答と解説

問題  

 初めて担当する顧客の企業から,ランサムウェア対策の提言を求められた。 顧客の企業は従業員200名の製造業で,相手は,情報システム部長を兼務している総務部長である。次の問いに答えよ。

(1)他の脅威との違いを中心に,感染経路や被害内容など,ランサムウェアの特徴を述べよ。

(2)具体的提言のために,どのような視点で顧客の状況を調査すれば良いかを述べよ。

(3)ランサムウェア対策として重要なセキュリティ対策を3つ挙げ,それぞれに改善が必要な状況を想定して,具体的対策を含んだ提言を述べよ。

 模範解答  答案形式1   専門とする事項  情報ネットワーク    添削回数2回

(1)ランサムウェアの特徴

 ランサムウェアは、ユーザーのデータを人質として、金銭を要求する悪意を及ぼすソフトウェア(マルウェア)の一種である。他のマルウェアが、利用者に知られないように悪意のある活動を行うのに対して、利用者に感染している事を意図的に伝える点が最大の特長である。

 感染経路としては、主にメールの添付ファイルやメール本文のリンクが主流であったが、近年はWEBアクセスによる感染も確認されている。

 被害内容としては、PC内部のデータ消失や利用ができなくなることとなり、ランサムウェア自体をPCから駆除を行っても、データ復旧ができず被害が残る点も特徴である。

(2)顧客の情報調査における視点

1.組織体制の視点

 セキュリティ脅威に対する社内の組織体制を確認する。具体的には、責任と権限が明確に定義されているか、基本方針やルールが規定されているか、その既定を従業員に遵守させるために具体的にどのような取り組みをしているか等である。

2.システム対策の視点

 社内ネットワーク及びサーバーやPCに対する現状のセキュリティ対策状況を確認する。具体的には、セキュリティ機器の配備状況やPCの対策ソフトウェアの導入状況に加え、セキュリティパッチ等の日々の運用状況の確認も含まれる。

(3)ランサムウェアのセキュリティ対策

1.バックアップ

 PCデータのバックアップが個々になされているかの把握が困難であるため、全社で利用できるバックアップシステムを構築し、バックアップのルールを明確化する。管理者は、バックアップ状況を把握・管理し、バックアップの漏れをなくすようにする。

2.定期的な教育

 利用者が、悪意のあるメールやWEBサイトを自己判定できない恐れがあり、定期的なセキュリティ教育の実施を行う。社内で感染した事例が出れば共有化し、同じ被害に合わないようにする。ダミーのメールを送付して、利用者の対応状況を確認する訓練メールを行うことも、有効な教育手段となる。

3.振る舞い検知型のソフトウェア

PCに侵入した悪意のあるソフトウェアが既知のものではない場合、従来のパターンマッチング型の対策では検知が出来ない恐れがあるため、振る舞い検知型のソフトウェアを導入することにより、被害の軽減を図る。このソフトウェアは、PC内のファイルの怪しい挙動を検知し、抑止する機能を持っており、ランサムウェアがPCのファイルを削除しようとする動きを検知して止めることが可能となる。

H29年 情報工学・情報ネットワーク  Ⅲ-1問題 模範解答と解説

問題  

  ワークライフバランスなどの働き方改革を目的として,テレワークの導入が進んでいる。従業員数100名の企業であるA社は,事務職に対する在宅勤務を計画中である。 A社の経営者は,データ漏洩のリスクや在宅勤務における勤怠等の労務管理,及び,社内コミュニケーションのあり方に懸念を抱きつつ,働き方の多様性を実現して,優秀な人材 を確保したいと考えている。現在,必要なソフトウェアが搭載されたPCが,会社から全 社員に貸与され,社内ネットワークからのみアクセス可能な固有のシステムを,全社員が 利用している。テレワークを実現するICT環境に関する,次の問いに答えよ。

(1)テレワーク導入のプロジェクトが組成され,情報システムの責任者がプロジェクトマネージヤに選任された。あなたは,社外からプロジェクトマネージヤを支援する事にな  った。テレワークを実現するICT環境の設計と構築の前に,確認,検討,及び,企画しなければならない論点を,多面的に述べよ。

(2)テレワークを実現するICT環境のシステム例を1つ挙げ,ネットワーク構成の視点から示し,その特徴と他の実現方式との得失と共に述べよ

(3)(2)のシステム例について,情報セキュリティに関する留意点と対策を述べよ。

 模範解答  答案形式1   専門とする事項  情報ネットワーク    添削回数3回

(1)テレワーク導入における確認、検討、企画事項

1.データ漏洩のリスク

1−1.固有システムのセキュリティ対策

 固有システムが社外からも利用されるため、不正侵入への対策が必要である。具体的には、侵入を検知・防止するシステムの導入や強固な認証システムに加え、固有システムへの脆弱性への対応が必要となる。

1−2.貸与PCの紛失への対策

 貸与PCの紛失によるデータの紛失・漏洩した際のリスクアセスメントを行う。その上でデータ暗号化によるデータ保護や、紛失時にリモートでデータを削除できるシステム等のシステムをリスクの程度に応じて導入検討を行う。

2.勤怠等の労務管理

 固有システムへのログイン・ログアウトと勤怠システムとの自動連携や、利用者にスマートフォン等により勤務開始時間と位置情報を送信させるシステムの導入を行い、不正な勤務報告への対策を行う。

3.社内コミュニケーション

 対面に代わる手段として、クラウド型のTV会議システム及びファイル交換システムや業務用チャットツール等、出先でのPCや通信環境に応じて選択ができるよう複数のコミュニケーション手段を準備する。

(2)テレワーク実現のシステム

1.デスクトップ仮想化システム

1−1.基本的な構成

 専用のサーバーを構築し、仮想化技術を使用して利用者分の仮想マシンを内部に作成する。仮想技術とは、物理的なマシンを論理的に分割する技術であり、今回の場合は、業務で用いる複数の物理PCが専用サーバーに論理的に複数仮想マシンとして格納される。

johokogaku_zu1.jpg (797×522)

 利用者側の端末には専用サーバーにアクセスできるアプリケーションが入っており、専用サーバーから利用者の仮想マシンから転送される画像を表示させる事により、業務で用いる物理PCを操作するのと全く同じ環境を提供することができる。

 仮想マシンと利用者の対応付けは、専用サーバーへの接続時にログイン認証を行うことにより行われる。

1−2.特徴と他の方式とのメリット

①  アクセス環境への依存

 どのような場所からのアクセスに対しても全く同じ仕組みで同じ環境を提供するため、運用オペレーションやセキュリティ対策の検討ポイントが削減され、結果として運用コストの削減につながる。

②  情報漏洩

通信のやりとりが画像の転送のみであり、端末身がデータを保持しないため、端末の紛失や盗聴に強いというセキュリティ上のメリットがある。

1−3.特徴と他の方式とのデメリット

①  導入コスト

専用のサーバーやOSを導入する必要があり、初期導入コストが物理PCよりも高額となる。

②  通信環境による影響

利用者のインターネットへの通信環境によっては、サービスのレスポンスが悪くなる事も考えられる。

(3)情報セキュリティに関する留意点と対策

1.外部からのサービス妨害

 大量の通信を送りつける等のサービス妨害への対策として、外部から複数の接続ポイントを設けておく。

2.不正アクセス

 システムへのログイン方法がユーザーIDとパスワードのみの場合、総あたり攻撃等により、ログイン情報が漏洩する恐れがあり、ユーザーIDに加え、マシン認証やワンタイムパスワード及び指紋認証等2要素以上の認証の実施し、セキュリティ強度を高める。

3.ログイン情報の漏えい

 貸与PCやメモの紛失によりログイン情報が漏洩する恐れがあり、利用者から紛失の連絡があり次第、専用サーバー側で該当アカウントの無効化を行う。

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