問題文
道路山側斜面が崩壊(幅30m、高さ20m)した災害の現場において、1車線の通行を確保しつつ、大型ブロック積擁壁及び切土・のり面保護工(植生基材吹付工)等からなる復旧工事(下図参照)を施工するに当たり、以下の問いに答えよ。
(1) 本工事の施工計画を立案する上で検討すべき項目を2つ挙げ、その内容について述べよ。
(2) 本工事の施工中に安全管理上留意すべき項目を2つ挙げ、それが必要な理由と対応方法を述べよ
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 3回 2019.5.19 専門事項 工程管理
(1) 本工事の施工計画を立案する上で検討すべき項目(2つ)
①異常気象時の地山の監視方法
・再崩壊を起こす可能性のある法面の監視
・光波やレーザーを用いた高精度の測量による挙動監視
② 地山の崩壊拡大を防ぐ方法
・降雨による浸食を押さえるため、法面保護工(植生基材吹付工)、法尻の排水
処理を行う。撤去作業中の降雨による浸食を防ぐ為、シート等による養生
③ 掘削方法と重機械の選定
・崩壊斜面上部の地山を掘削するため、ワイヤーとウィンチを用いたロッククライミングマシンによる掘削
(2) 施工中の安全管理上留意すべき項目(2つ)
①地山崩壊の予測、監視
理由:幅30m、高さ20mと長大であり、再度地山が崩壊する恐れがある。対策:・現地山の状況を把握するため、観測計の設置
・亀裂、崩壊を防ぐ防護工の実施
・重機械の作業範囲内の立入り禁止、重機誘導員の配置
・降雨による浸食を防止する為、現地山の仮養生
②法面施工重機の転倒防止
理由:施工箇所の脇に1車線の通行を確保し施工する。また、法尻は、十分なスペースが取れず作業が重複する恐れがあるため
対策:・切土防護柵の設置
・安定性を向上させるため作業構台の設置
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 1回 2019.5.20 専門事項 工程管理
(1) 本工事の施工計画を立案する上で検討する上で検討すべき項目(2つ)
①地山の再崩壊防止について検討
・地山の監視
再崩壊を起こす可能性のある法面に伸縮計や傾斜計を設置し、変位を監視する。
地すべりの危険性が高まり、近づけない場合は、光波やドローンを用いた3D測量による挙動監視を行う。
・地山の崩壊拡大を防ぐ
降雨による法面の浸食を抑制するために施工中は、ブルーシート等で亀裂箇所
を覆う。また、本施工では法面防護工(植生基材吹付工)や法尻の排水処理工
を行う。
②掘削方法と重機械の選定について検討
崩壊斜面下部が崩壊しており、地山上部の掘削撤去が必要となる。また、傾斜は、急こう配であり、作業構台を設置するスペースが限られている。ワイヤーとウィンチを用いたロッククライミングマシンによる掘削を検討する。掘削土砂が道路に飛散しないように、切土防護柵の設置も検討する。
(2)施工中の安全管理上留意すべき項目(2つ)
①地山崩壊の予測、監視、抑止
理由:幅30m、高さ20mと長大であり、施工中に地山上部が再度崩壊し、作業
員労働災害、第三者の被害が発生する恐れがあるため
対策:・現地山の状況を把握するための観測計の設置(伸縮計、傾斜計、地下水
位計等)
・亀裂、崩壊を防ぐ防護工の実施(地山亀裂箇所のシート養生)
・CIMによる計測値の情報共有化を行い、変位発生時の情報伝達を迅速に行う。
②法面施工重機の転倒、接触、墜落防止
理由:施工箇所は既設道路が隣接しており、1車線通行を確保し施工をするため、作業ヤードが狭隘になり、施工重機の安定性を損なう恐れがある。また、法尻は十分なスペースが取れず作業が重複する恐れがあるため
対策:①水平且つ十分な地耐力を有する仮設構台を設置する。
②クレーンにおいては、定格荷重を確認しランプ等で過負荷にならないかランプの色分けによって荷重状態を目視確認できるようにする。
③重機の旋回方向を指定し、作業員との接触を防止する。また、重機誘導員を配置する。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.5.23 専門事項 工程管理
(1)本工事の施工計画を立案する上で検討すべき項目
①地山の再崩壊防止について検討
・地山の監視:斜面上部の地山が残っており、ラウンディング状態となっている。再崩壊を起こす危険性のあるこの法面には、伸縮計や傾斜計を設置することで地山の変位を監視する。また、地すべりの危険性が高まり近づけない場合は、光波やドローンを用いた3D測量による挙動監視方法の検討を行う。
・地山の崩壊拡大を防ぐ:施工中は、降雨による法面の浸食を抑制するためにブルーシート等で亀裂箇所を覆う。また、本工事では、法面防護工(植生基材吹付工)や法尻の排水処理工を行い、導水処理を行うことで、地すべりの抑制を行う。
②掘削方法と重機械の選定について検討
斜面下部が崩壊しており、斜面上部の地山が再崩壊する前に掘削撤去作業が必要である。また、傾斜が急こう配であり、作業構台を設置するスペースが限られている。掘削撤去には、急こう配の斜面でも作業構台が不要なワイヤーとウィンチを用いたロッククライミングマシンによる掘削を検討する。また、掘削土砂が道路上に飛散しないように、切土防護柵の設置も検討する。
(2)施工中の安全管理上留意すべき項目
①斜面崩壊の予想、監視、抑制
【理由】幅30m、高さ20mと長大であり、斜面下部が崩壊し亀裂も発生していることから、復旧工事中に斜面上部の再崩壊が考えられる。再崩壊により作業員、第三者の巻き込まれによる二次災害を防止する。
【対策】①現斜面の状況を把握するための観測計(伸縮計、傾斜計、地下水位計等)の設置、観測する。ただし、観測計の設置は、人力で行うことがほとんどである為、地山の状況に十分注意して設置を行う。
②亀裂、崩壊の進行を防ぐ防護工を実施する。地山亀裂箇所のシート養生により降雨による浸食を防ぐ。
③CIMによる観測計の計測値の情報共有化を行い、変状が発生した際の情報伝達、対策を迅速に行う。
②法面施工重機の転倒、接触、墜落防止
【理由】施工箇所は既設道路が隣接しており、1車線通行を確保し施工を行うため、作業ヤードが狭隘になり施工重機の安定性を損なう恐れがある。法尻についても十分なスペースが取れず作業が輻輳し接触事故等発生する恐れがあるため。
【対策】①水平且つ十分な地耐力を有する仮設構台を設置する。
②クレーン作業においては、事前に揚重する材料の重量と定格荷重を確認しておく。作業時は、過負荷を防止するためランプの色分けによって荷重状態を目視できるようにする。
③重機の旋回方向を指定し作業範囲を明記することで作業員との接触を防止する。重機誘導員を配置する。
解説 一般的な市街地の現場とは違い、斜面施工に関する危険が大きいですので、そこに焦点を合わせた留意点を挙げるようにしてください。
交通量の把握、う回路の有無 △斜面に適した掘削方法と重機械の選定 〇異常気象時の地山の監視方法 〇地山の崩壊拡大を防ぐ方法 〇
この受講者様も最初はこのような4つを挙げられていましたが、1は不要です。市街地ではないので多くはないし、難しい話ではないからです。
それより、2、3、4です。問題文にある条件から、そのための問題であると感じ取らなければなりません。そして、試験問題ですから、すべてを議論する余地はありません。出題者の意図を読み取って最低限の対処を示せばそれで十分なのです。
また、「(2)施工中の安全管理上留意すべき項目」としては工事がまだ終わっていませんので、残りの法面施工をどう造るかについて、その安全措置を提案しなければなりません。
模範解答2 (簡易形式1) 添削履歴 3回 2019.5.6 専門事項 施工計画
(1)施工計画を立案する上で検討すべき項目およびその内容
1)上部の現地山断面の掘削
① 地山の安定性の調査を検討する。
② 掘削重機の搬入、搬出方法を検討する。
③ 発生土の搬出経路確保を検討する。
2)大型ブロック積擁壁及びのり面保護工の施工
① 資材の搬入方法を検討する。
② 資材等の落下防止対策を検討する。
③ 昇降設備設置を検討する。
④ 植生基材吹付工の植生状況確認を検討する。
(2) 施工中の安全管理上の留意項目と必要な理由、対応方法
1)現地山断面の掘削の安全確保
① 着工前のUAVによる3D測量
② 特殊のり面掘削機+3DMGによるICT施工の採用
2)作業時の落石事故対策
① 落石除去
② 法面の挙動計測管理
模範解答2 (簡易形式2) 添削履歴 0回 2019.5.18 専門事項 施工計画
(1) 施工計画を立案する上で検討すべき項目およびその内容
1) 上部の現地山断面の掘削
① 地山の安定性の調査を検討する。
地山が崩壊兆候となる亀裂、風化、湧水等の有無を目視観察あるいは変位計測器を設置し、掘削作業の安全性を確保する。
② 掘削重機の搬入、搬出方法を検討する。
特殊のり面掘削機を採用すると急傾斜面でも、重機足場が不要である。油圧ウインチと高強度ワイヤを用いて登坂経路を確保する。
③ 発生土の搬出経路確保を検討する。
掘削の発生土を法面下へ搬出するため、安全性、施工性、経済性からラフタークレーンを用いた方法を検討する。
2) 大型ブロック積擁壁及びのり面保護工の施工
① 資材の搬入方法を検討する。
資材を法面上に荷揚げするためのラフタークレーンを用いた方法を検討する。
② 資材等の落下防止対策を検討する。
法面に資材等は置かないようにし、資材置場を設け、幅木をして落下防止措置をしておく。
③ 昇降設備設置を検討する。
法面下から作業場所へ移動するための昇降階段あるいは梯子の設置を検討する。
④ 植生基材吹付工の植生状況確認を検討する。
植生後に植生状況を目視で確認する。発芽不良、枯死した場合は再施工を行い、確認する。
(2) 施工中の安全管理上の留意項目と必要な理由、対応方法
1) 現地山断面の掘削の安全確保
① 着工前のUAVによる3D測量
次の②に述べる3DMGバックホウで施工するために予め3D測量し、地山の3Dデータを取得しておく。
② 特殊のり面掘削機+3DMGによるICT施工の採用
急傾斜面でも掘削が可能な特殊法面掘削機に3DMGバックホウを組合わせことでICTによる遠隔操作による無人化施工を行い、作業の効率化、安全性を確保する。
2) 作業時の落石事故対策
① 落石除去
落石調査し、確認された落石処理することにより、落石のリスクを低減しておく。
② 法面の挙動計測管理
落石は突発的であるため、落石検知器を設置し、発生時は警報機を作動させて、作業員等に情報伝達する。
模範解答2 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.5.22 専門事項 施工計画
(1) 施工計画を立案する上での検討項目
1) 上部の現地山断面の掘削
① 地山の安定性の調査を検討する。
地山が崩壊兆候となる亀裂、風化、湧水等の有無を目視観察あるいは変位計測器を設置し、掘削作業の安全性を確保する。
② 掘削重機の搬入、搬出方法を検討する。
特殊のり面掘削機を採用すると急傾斜面でも重機足場が不要である。油圧ウインチと高強度ワイヤで重機を吊り下げながら登坂するための経路を確保する。
③ 発生土の搬出経路確保を検討する。
掘削の発生土を法面下へ搬出するため、安全性、施工性、経済性からラフタークレーンを用いた方法とする。
2) 大型ブロック積擁壁及びのり面保護工の施工
① 資材の搬入方法を検討する。
資材を法面上に荷上げするためのラフタークレーンを用いた方法とする。
② 資材等の落下防止対策を検討する。
法面に資材等は置かないようにし、資材置場を設け、幅木をして落下防止措置をしておく。
③ 昇降設備設置を検討する。
法面下から作業場所へ移動するための昇降階段あるいは梯子の設置を検討する。
④ 植生基材吹付工の植生状況確認を検討する。
植生後に植生状況を目視で確認する。発芽不良、枯死した場合は再施工を行い、確認する。
(2) 施工中の安全管理上の留意項目
1) 現地山断面の掘削の安全確保
① 着工前のUAVによる3D測量
次の②に述べる3DMGバックホウで施工するために予めUAV写真測量し、地山の3D計測データを取得しておく。
② 特殊のり面掘削機+3DMGによるICT施工の採用
現場は人が立ち入ると危険であり、2次災害の防止に留意する必要がある。急傾斜面でも掘削が可能な特殊法面掘削機に3DMGバックホウを組合わせることでICTによる現場から離れた遠隔操作で無人化施工を行い、作業の効率化、安全性を確保する。
2) 作業時の落石事故対策
① 落石除去
2次災害の原因となる落石対策に留意する必要がある。事前に落石調査し、確認された落石を特殊のり面掘削機などで除去する。
② 法面の挙動計測管理
落石は突発的であるため、落石検知器を設置し、発生時は警報機を作動させて、作業員等に情報伝達する。
解説 答案の見出しの書き方は、この模範答案のように簡潔で構いません。例えば問い1の答えは、問題文の問いかけ文をオウム返しにするような形で次のような冗長な見出しと書いてしまいがちです。しかしよく考えると取消線の部分はほとんど意味のない内容です。
冗長な見出し (1) 施工計画を立案する上で検討すべき項目およびその内容
(2) 施工中の安全管理上の留意項目と必要な理由、対応方法
その結果は答案用紙の一行では足りずに次の行まで折り返してしまう表現となり、冗長感が増してしまいます。この文書は論文ではなく答案であり、問題の内容は出題者もわかっていますので、答えの項目としての見出しはごく簡潔で構いません。このため、長々と見出しを作るのではなく、下の例のように簡潔にまとめるようにするとよいでしょう。
望ましい見出し (1) 施工計画を立案する上での検討項目
(2) 施工中の安全管理上の留意項目
問2の解答では、留意点を述べるところなので、同じ項目がダブっていたり、当たり前のわかりやすい提案になっていたりすると好ましくありません。
(2)施工中の安全管理上の留意項目と必要な理由、対応方法
1)法面掘削重機の墜落落下防止対策
①法面掘削重機の落下転落防止措置1、2は同じことのダブりです。
②掘削箇所下方への立入禁止措置
③作業主任者等の有資格者による作業の徹底これは当然のことであって留意点とは言えません。
2)作業時の落石事故対策
①点検による落石除去
②落石防護柵の設置
③法面の挙動計測管理
1〜3はいずれもわかりやすいこと、容易なこと、いつもやっていることであって、そのような事は技術士問題の答えではありません。技術士にふさわしい独創的で効果的な提案とすべきです。例えばここではIOTを用いた先進的科学的方法などが良いでしょう。この正解は最終的な添削で正解が表現されていますので、是非上の模範答案をご覧くださるようお願い致します。
模範解答3 (簡易形式1) 添削履歴 2回 2019.5.5 専門事項 施工計画
1).施工計画を立案する上で検討すべき項目
1)高所危険作業の削減
オーバーハング部の土砂撤去・法面掘削について、高所法面掘削機使用により人力掘削の削減と工期短縮を図る。
2)排水対策
増破崩壊の主要因となる、雨水・湧水処理のため土側溝・暗渠排水管を設置する。
(2).安全管理上留意すべき項目
1)公衆災害の防止
理由:道路を供用しながら作業を行なうことになるため、第三者災害の防止を第一に考える必要がある。
① 異常気象時の備えとして雨量計・伸縮計・警報装置を設置
② 計測機器からの異常検出情報を電話回線を通じて関係者に一斉送信
③ 路側に設置する防護柵は地盤より2m以上高く設置できる、H鋼、鋼矢板、鉄板、防護効果の大きいものを設置
④ 土砂流出防止として
2)作業者の安全確保
理由:現場は急傾斜地のうえ、崩壊面上部の再崩壊も考えられ、墜落・落下と土砂崩壊による巻き込まれに注意する必要がある。また限られたスペース内での作業輻輳による事故にも注意し対策を行なう。
① 亀裂変位計・傾斜計・落石検知器・警報器を設置
② 重機械作業半径内監視システムを設置
③ ドローンによる作業前の作業箇所点検
模範解答3 (簡易形式2) 添削履歴 1回 2019.5.12 専門事項 施工計画
1.施工計画を立案する上で検討すべき項目
1)無人化機械による高所危険作業の低減
崩壊斜面上部に残る不安定土砂の崩落による二次災害を防止するため、崩壊地内での土砂掘削・法面整形作業は全て無人化施工により実施する。崩落線上より奥にアンカーを設置し、ワイヤーで固定した高所法面掘削機を遠隔操作により作業を行なう。これより人力掘削の削減と、崩壊・落石からのリスクの軽減、工期の短縮を図る。
2)排水対策
施工には、降雨・地山からの湧水による増破崩壊の可能性があるため、雨水処理にはシート養生や土側溝の設置、湧水処理には暗渠排水管を設置し釜場へ排水する。また、大雨時には土のうにより車道への土砂の流出を防止する。
2.安全管理上留意すべき項目
1)公衆災害の防止
理由:道路を供用しながら作業を行なうことになるため、第三者災害の防止を第一に考える必要がある。
①異常気象時の備えとして雨量計・伸縮計・警報装置を設置する。
②計測機器からの異常検出情報を電話回線を通じて関係者に一斉送信する。
③路側に設置する防護柵は落石の跳躍を考慮し地盤より2m以上高く設置できる、H鋼、鋼矢板、鉄板を使用し、土留め・落石防護効果の大きいものを設置する。
④バ-チャル立体保安標識設置での一般車両への注意喚起を行なう。
⑤工事用出入口に車両感知センサーを配置し、パトライトで車両の接近を認識させる。
2)作業者の安全確保
理由:現場は急傾斜地のうえ、崩壊面上部の再崩壊も考えられ、墜落・落下と土砂崩壊による巻き込まれに注意する必要がある。また限られたスペース内での作業輻輳による事故にも注意し対策を行なう。
①不安定土砂の挙動を把握するため、亀裂変位計・傾斜計・各観測計測器に基準値を設け、超過時の作業中止基準を定め運用する。
②重機械作業半径内監視システムを設置し作業員にはヘルメットセンサー「音と振動」、重機オペレーターには「警告音」で注意を促す。
③作業前及びの降雨・地震後は、ドローンによる地山・法面の点検行ない異常の有無を確認する。
模範解答3 (答案形式) 添削履歴 0回 2019.5.13 専門事項 施工計画
1.施工計画を立案する上で検討すべき項目
1)無人化機械による高所危険作業の低減
崩壊斜面上部に残る不安定土砂の崩落による二次災害を防止するため、崩壊地内での土砂掘削・法面整形作業は無人化施工(セフティークライマー工法)を実施する。崩落線上より奥にアンカーを設置し、ワイヤーで固定した高所法面掘削機を遠隔操作により作業を行なう。これより人力掘削の削減と、崩壊・落石からのリスクの軽減および転落・墜落災害の防止、工期の短縮を図る。
2)排水対策
施工には、降雨・地山からの湧水による増破崩壊の可能性があるため、雨水処理にはシート養生や土側溝の設置、湧水処理には暗渠排水管を設置し釜場へ排水する。また、大雨時には土のうにより車道への土砂の流出を防止する。
2.安全管理上留意すべき項目
1)公衆災害の防止
理由:道路を供用しながら作業を行なうことになるため、第三者災害の防止を第一に考える必要がある。
①異常気象時の備えとして、雨量・伸縮計・傾斜計を設置し計測データによる監視を行なうとともに、各観測計測器に基準値を設け、基準値超過時には即時に通行止めを実施する。
②計測機器からの異常検出情報を電話回線を通じて関係者に一斉送信する。
③路側に設置する防護柵は落石の跳躍を考慮し地盤より2m以上高く設置できる、H鋼、鋼矢板、鉄板を使用し、土留め・落石防護効果の大きいものを設置する。
④バ−チャル立体保安標識設置での一般車両への注意喚起を行なう。
⑤工事用出入口には車両感知センサーを配置し、パトライトで車両の接近を認識させ接触事故防止を図る。
2)作業者の安全確保
理由:現場は急傾斜地のうえ、崩壊面上部の再崩壊も考えられ、墜落・落下と土砂崩壊による巻き込まれに注意する必要がある。また限られたスペース内での作業輻輳による事故にも注意し対策を行なう。
①不安定土砂の挙動を把握するため、亀裂変位計・傾斜計・各観測計測器に基準値を設け、超過時の作業中止基準を定め運用する。
②重機と作業員の輻輳作業安全対策として、重機械作業半径内監視システムを設置し作業員にはヘルメットセンサー「音と振動」、重機オペレーターには「警告音」で注意を促し挟まれ・潰され災害を防止する。
③作業前及び降雨・地震後は、ドローンによる地山・法面の点検行ない異常の有無を確認する。また、定点カメラによる地山・法面の視覚的監視をおこなう。