H30/2018年 機械・機械設計 Ⅱ−1−3 問題 模範解答と解説

 回転軸の支持機構に転がり軸受を用いた場合に、軸受寿命に与える要因を2つあげ、設計において留意すべき点について説明せよ

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 2回 2019.4.21   専門事項 設計工学

要因1 軸受けが受ける荷重

1.1   フレーキングの発生

2.1 軸受けの取り付け誤差 (留意点)

  軸受け間が大きくなり取り付け誤差が大きくなると内部隙間が小さくなり異常荷重が発生する。

要因2 摩耗

2.1  異物の侵入で発生

2.2    軸受け設置のコスト

   異物侵入防止のために、シール式、他部品によるガードがあるがコストが上昇する

H30/2018年 機械・機械設計 Ⅱ−1−4 問題 模範解答と解説

 アルミニウム合金を製品に利用する場合、軽量以外の重要な特徴を上げて、その効果と留意点を具体的に説明せよ

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 5回 2019.4.25   専門事項 設計工学

1.  アルミニウムの特徴

1.1.    熱伝導率がよい 

熱伝導率は、アルミ 240W/mK に対して鉄は90W/mK鉄に対して2.5倍の放熱性がある

1.2.    加工性が良い    

樹脂に比べ20倍の強度を持ち、加工時にひずみにくいため加工しやすい

2. アルミニウムの効果と留意点

2.1  放熱性の利用

  効果 ;  熱源に設置することで、熱源の熱の上昇を抑える 

  例 ヒートシンク

  留意点; 熱源への密着性が悪いと熱伝導率が下がるため、必要な放熱性が得られない場合がある。金属接触が十分できているか確認する。

2.2 加工性の利用

  効果 ; 加工がしやすいため、加工時のコストの削減が可能

 例アルミエンジン

  留意点; 強度が弱く、傷が付きやすいなど他の金属と比較し、劣る点も確認する

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 1回 2019.4.28   専門事項 設計工学

1. アルミニウムの特徴

①熱伝導率がよい

 鉄などの他の金属に対して、熱を伝え、放熱しやすい性質がある。熱伝導率は、アルミ 240W/mK に対して鉄は90W/mKである。アルミは鉄に対して、2.5倍の放熱性がある。

②加工性が良い

 切削加工は、加工刃が与える切削荷重により、材料にひずみが発生し、加工精度が悪くなる材料がある。アルミ材は、樹脂に対して20倍の強度があるため、加工が行いやすい。

2. アルミニウムの効果と利用

①放熱性の利用

 ヒートシンクとICのような熱源を接触させることで、熱の上昇を抑える事ができる。

 熱源との密着性が悪いと放熱性が下がるため、伝熱グリスなどを使い、粗い表面でも密着させられるようにする。

②加工性の利用

アルミエンジン等の複雑な部品でも高精度な加工が安いコストで可能である。

表面が柔らかく、傷が付きやすいため、アルマイト処理に代表される表面処理を行い。表面硬度を上げる方法がある。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.4.30   専門事項 設計工学

1.アルミニウムの特徴

1.1.熱伝導率が良い

 アルミニウムは、熱などの他の金属に比べ、熱を伝えやすく、放熱しやすい性質がある。熱伝導率は、アルミ240W/mKに対して、鉄は、90W/mKである。アルミは鉄に対して2.5倍の放熱性がある。

1.2.加工性が良い

 切削加工は、加工場が与える切削荷重により、材料によっては、ひずみが発生し、加工精度が悪くなる場合がある。アルミニウムは、鉄に対して2倍の比強度があり、ひずみが生じにくく加工が非常に行いやすい。

2.アルミニウムの効果と留意点

2.1.放熱時の密着性

 アルミニウムの熱伝導率の良さを利用して、ヒートシンクとして熱源に接触させ、熱源の熱の上昇を抑える効果を得ることができる。この時、接触面の加工粗さや、形状により、熱源との密着性が悪くなり、放熱性が下がる。伝熱グリスを熱源との間に使用し、密着性を上げることで、確実な放熱性を得ることができる。

2.2.加工性の利用

 アルミエンジンのような高精度な部品もコストが安く加工できる効果がある。一方、表面が柔らかく、傷が付きやすい。そのため、アルマイト処理などの表面処理を行い、表面硬度を上げることで、傷つきを抑えることができる。

H30/2018年 機械・機械設計 Ⅱ−2−1 問題 模範解答と解説

 機械製品には材質の異なる材料を接合、接着、締結などで組み合わせた構造が用いられることがある。製品開発をとりまとめる立場として、このような構造設計を進めるに当たり、以下の問いに答えよ

(1) 開発する製品例1つと構成する材料をあげ、材料が異なることによる製品への影響を2つあげよ

(2) (1)であげた製品への影響を1つえらびその留意点と対策を述べよ

(3) (2)であげた対策が適切なものであるか検証する方法を述べよ

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 2回 2019.5.6   専門事項 設計工学

1.  異種材料を接合することの製品への影響

製品例と構成材料 ; プリンタ、樹脂へナット(金属)のインサート

理由 ; インクによる耐食性防止のため、樹脂が多く使用。しかし、乾燥防止のため高荷重でシールする必要もあるため、金属インサートによりネジ部を補強。

①   材料間の結合力低下による影響

 金属を樹脂で覆っている。樹脂と金属の嵌合が悪いと材料間の結合力が低下

②   熱膨張率の違いによる影響

   樹脂は金属の熱膨張係数はよりも10倍程大きい。

   高温と低温の繰り返しにより、材料間に熱応力が発生する。

2.  留意点と対策

影響 ;  材料間の結合力低下による影響

① 留意点 ; インクによるケミカルクラック

 インサート成形後の収縮で樹脂に残留応力が発生している。インク付着によるき裂が発生する場合がある。

  対策 ; 収縮量が小さい樹脂グレードを選択する。また、PP等は耐薬品性がよいため、他の機能を考慮して可能であれば使用を検討する。

②  留意点 ; 成形時のヒケ

インサート部分の樹脂部のヒケにより荷重に耐えきれなくなり、金属が外れる

対策 ; 樹脂部の厚みを減らし、ヒケの発生を防ぐ。

樹脂部の厚みを減らすと結合力が減るため、注意が必要

3. 検証方法

① ケミカルクラックの検証方法

  設計期間短縮のため、高温下でインク浸漬試験を行う。

残留応力、材質、薬品名と結果を一覧化し、社内展開

② ヒケ発生の検証方法

CAEによる樹脂流動解析。

金型修正が必要となった場合のため、インサート部分は入れ子対応。

H30/2018年 機械・熱工学 Ⅱ−1−3 問題 模範解答と解説

 伝熱の基本原理を利用したシステムを1つ挙げて、そのメカニズムとシステムをコンパクト化する方法について解説せよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2018.7.21   専門事項 燃料電池設計

1.システム例

 伝熱の基本原理を利用したシステムとして水管ボイラーが挙げられる。

1−1.メカニズム

 多管の配管内に水を流通し、管の外部から燃料を燃焼したガスを接触させることによって、強制対流伝熱によって熱がガスから水に伝わる。

これによって、水が水蒸気に状態変化し、生成した水蒸気と、熱交換の完了したガスが水管ボイラーから排出される。

1−2.コンパクト化の方法

 多管内へ水を流通する前に図1で示すようなエコノマイザーを導入する方法が考えられる。

 燃焼排ガスによって、水を予め熱交換によって予熱することで水温を上昇し、ボイラー内部での熱交換量を低減する。

 これによって、システム全体での熱効率を大幅に向上することが可能となり、ボイラー内部での伝熱面積を削減できるため、コンパクト化を実現することができる。

H30/2018年 機械・熱工学 Ⅱ−1−4 問題 模範解答と解説

 冷凍機と熱機関に関し、その類似点と差異点を述べたうえで、冷凍機に特徴的な技術を1つ挙げて解説せよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2018.10.3   専門事項 燃料電池設計

1.冷凍機と熱機関の類似点と差異点

1−1.類似点

類似点は、サイクルと熱源との間で熱交換器を通じて伝熱し、サイクルを運転する点である。

また、熱交換器として、熱機関ではボイラと復水器、冷凍機では凝縮器と蒸発器を用いることでサイクル内の流体の状態変化を伴う。

1−2.差異点

 差異点は、熱機関は高温熱源から低温熱源へ熱が伝わる際に温度差を活用して動力エネルギーを取り出すサイクルであるのに対して、冷凍機は外部から動力エネルギーを与えられ、低温熱源から高温熱源へ熱を汲み上げて伝えるサイクルである。

2.冷凍機に特徴的な技術

 特徴的な技術としては、逆カルノーサイクルが挙げられる。カルノーサイクルは熱力学的に最も効率の高い熱機関であり、冷媒を圧縮、凝縮、減圧、蒸発と状態変化させることによって、冷凍作用を行わせる。

 特に自然冷媒として用いられるR600aは、R134aと比較すると凝縮器において不可逆損失が小さく、高効率な冷凍機を提供することができる。

H30/2018年 機械・熱工学 Ⅱ−2−1 問題 模範解答と解説

 冷凍機と熱機関に関し、その類似点と差異点を述べたうえで、冷凍機に特徴的な技術を1つ挙げて解説せよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2018.11.4   専門事項 燃料電池設計

1.下水道の熱エネルギー

下水温度は大気と比べて年間を通して安定しており温度変動が小さい特質がある。この下水温度と大気温度との差である熱エネルギーを冷暖房や給湯に活用することができる。また、他の未利用エネルギーである地下鉄排熱や送電線排熱と比較すると、熱需要地との物理的距離が近く、伝熱損失が小さいという特徴を有する。

2.下水熱利用暖房システム

2−1.構成機器

 構成機器としては、下水熱交換器、蒸発器、圧縮機、凝縮器、膨張弁が挙げられる。

 下水熱交換器:下水と直接、熱回収管が熱交換を行い、下水熱エネルギーを取り込む。

 蒸発器:下水熱交換器にて回収した熱を低温低圧の液状態の冷媒に伝熱することで、冷媒を気体へ状態変化させる。

 圧縮機:高温低圧の気体冷媒を圧縮し、高温高圧の気体冷媒を作り出す。

 凝縮器:高温高圧の気体冷媒を低温空気と熱交換を通じて強制対流伝熱させることで、高温空気を作り出し、熱需要が発生する場所に対して熱を提供する。

 膨張弁:凝縮器にて熱交換後の低温高圧の気体状態である冷媒の圧力を低下させて、低温低圧の液体状態の冷媒を作り出す。

3.下水熱利用暖房システムを普及させる技術的方策

 下水熱の賦存量は変電所の排熱2万TJ/y、地下鉄の排熱6千TJ/yより多く、27万TJ/y存在し、約80万世帯の年間冷暖房熱源に相当する莫大な量が存在する。特に都市部においては、下水熱の賦存量が多く、熱需要地が近いことから下水熱利用による効果が高い。

 熱需要地において利用可能な下水熱量の把握技術が普及促進において重要である。

3−1.下水流量の推定方法

推定したい地点における下水流量の推定方法として建物延床面積比率分配法を用いる。推定したい地点が所属する下水施設の既知の下水流量データから、日平均下水流量を算出する。さらに、その下水施設の担当の集水域内の建物総延床面積に対する、推定する地点が受け持つ集水域内の建物総延床面積の割合を乗じることで、推定したい地点における下水流量を推定できる。

3−2.下水温度の推定方法

推定したい地点における下水温度の推定方法として、外気温相関関数法を用いる。下水温度は外気温と強い相関を示し、外気温データから回帰式にて推定する。

以上の推定した下水流量と下水温度から熱需要地における下水熱の賦存量を把握し、下水熱利用暖房システムを普及できる。

H30/2018年 機械・熱工学 Ⅲ−2 問題 模範解答と解説

Ⅲ-2 伝熱技術は、空調や発電、データセンタ、コンピュータなど、多岐にわたり活用されており、その技術開発もオープンイノベーションの採用やグローバル化が図られている。製品開発に関わる技術者にとって、このように多様化した先端技術を迅速に製品へ活用することが、世界市場で競争力を維持するために重要な課題となっている。このような状況を考慮して、熱システム設計者として以下の問いに答えよ。(1)伝熱技術を用いた製品を1つ選び、その製品の競争力を決定する要因を3つ挙げ、伝熱技術の観点から説明せよ。(2)あなたが挙げた要因の中から、最も重要であると考える要因を1つ選び、その要因に関連する将来技術を提案せよ。(3)技術開発のグローバル化とオープンイノベーションを踏まえ、あなたが提案した将来技術を実現するための具体的な方法を示し、その効果とリスクについて技術的側面から論述せよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 8回 2018.11.26   専門事項 燃料電池設計

1.ヒートポンプ給湯器の伝熱管

 伝熱技術を用いた製品として、ヒートポンプ給湯器における伝熱管が挙げられる。競争力を決定する要因として以下の3点が挙げられる。

1−1.伝熱の高効率化

 冷媒と給湯部の熱交換において、伝熱管をラセン形状とすることによって、乱流促進とディンプル効果による流体剥離抑制を行うことができる。

 これによって、伝熱量を向上することで、圧縮機の負荷を下げて、省エネを実現できる。

1−2.断熱

 給湯器の貯湯タンクや伝熱部は外部へ熱が漏れないようにするために、断熱材料を用いることで、長時間に渡って熱量を保存することができる。

 断熱材としては、材料間に気泡を含んだウレタンのような材料や、断熱性の高いシリカ繊維をベースとし、パック内を真空に近い状態にする真空断熱材が効果が高い。

1−3.熱回収

 伝熱管にて、冷媒から水へ伝熱管を介して熱回収を行う場合、冷媒または水の流束を向上することによって、熱伝達係数が向上するため、より多くの熱量を回収することができる。

 同温度の冷媒を流通する場合であっても、冷媒流束を向上することで、多くの熱量を回収することができる。

2.伝熱の高効率化

 熱流体の伝熱の高効率化において、今後重要と考える技術は相界面における伝熱性の向上である。

 ヒートポンプ給湯器などの熱機関では、熱の不可逆損失のほとんどは、熱移動に伴う温度差と、圧縮・膨張行程の流動損失による。

さらに、高温側や低温側の両方において気液二層流が存在し、熱交換による蒸発と凝縮のいずれの場合も、液膜中の熱伝導が主たる熱抵抗となるので、液膜を薄くするほど熱伝達率を向上することができる。

 伝熱管材料表面特性を親水性とすることで、凝縮時には濡れ性を変えることができ、液面が材料の面方向へ広がりやすいため、液膜厚みを薄くすることができると。また、一方で材料を撥水性とした場合においては、蒸発時において、容易に気泡が発生しやすく、これを発泡核として利用することで熱伝達率が7倍近く増加する。

 このように、伝熱管の材料特性を変えることによって、蒸発・凝縮時の気液二相流における界面構造制御を可能とし、熱伝達率を向上ことができるため、伝熱の高効率化が可能となる。

3.将来技術を実現するための具体的方法

3−1.グローバル技術開発 

国内の伝熱管メーカーとしては、培ってきた伝熱管材料の選定技術や、気液二相流における蒸発器や凝縮器での熱伝達率の向上技術を提供し、米国等の海外企業からは、スパコンを使用した気液二相流におけるCFD解析技術や流体温度分布の解析技術を提供してもらうことで、流体の特性に合わせた伝熱管材料特

性の早期決定、さらなる高熱効率化等、商品ごとの特性に合わせた改善を短期間で実施することができる。

3−2.オープンイノベーション

伝熱材料の技術を有する伝熱管メーカーが、熱媒技術を有する個人や企業と協業し、さらに伝熱管メーカーが所有する知的財産を、協業相手に対して公開する。これによって、新水素伝熱管に合わせた熱媒開発が可能となり、既存の熱媒よりも液膜厚みを極小化し、これまでにない高効率の伝熱特性を実現できる。

3−2−1.効果

今まで自社単独では扱っていなかった商品についても、海外企業とのコラボレーションによって各市場要求ごとに、適した商品を提供することができるようになる。

3−3.リスク

技術情報の流出リスクが増加することによって、他社によるテーマの先行開発化による市場占有率の低減リスクが懸念される。

H30/2018年 機械・情報精密 Ⅱ−1−3 問題 模範解答と解説

問題文:情報・精密機器の位置決め精度が要求を満たすことができない場合、考えられる原因を2つ挙げ、それぞれの原因について対策法を説明せよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 10回 2019.3.19   専門事項 情報精密機器開発設計管理

1−1.原因

 対策装置が汚れも対象物の一部とみなし、真の対象物と一部かい離することで位置認識が不正確となるため

1−2.対策

1)組立工程前に対象物の洗浄工程を追加し汚れ除去

2)画像処理で汚れのない対象物を推定

①濃淡階調により対象物の黒及び背景の白の間の灰色を汚れと認識し除去

②落射照明とリング照明の併用で対象物の視認性向上、濃淡階調の正確性向上

③対象物に合わせマークを付加しエッジコードにより正確な位置を推定

2-1.原因

装置が校正不足の為基準点からの距離を誤って計測し、真の距離とかい離することで対象物の位置が不正確となるため

2−2.対策

1)計測距離が真の値と一致するよう校正

 ①基準点ずれが規格内か確認・校正

②計測距離と真の値に規格内の線形性があるか確認・校正

2)基準点位置の正確性向上

①アブソリュート法により計測ごとに基準点を逐一確認・校正

②対象物ごとに設けた各計測モジュールの基準点相互間の一致を確認・校正

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 0回 2019.3.21   専門事項 情報精密機器開発設計管理

1−1.原因

対象物と付着した汚れの見分けがつかなくなるため。

1−2.対策

画像処理で対象物を見分ける。

合わせマークと汚れの反射率の違いを利用して濃淡階調処理により汚れ部分を特定し、マークを再現して見分ける。

2)照明照射角度の調整により見分ける。

合わせマークと汚れの表面粗さの違いにより、照明の入射角によって合わせマークのコントラストが汚れに比較して向上する。そこで最も見分けやすく入射角を調整する。

2-1.原因

組立装置の振動で基準点の小さなずれが発生する。それが何個も組み立てている間に累積し対象物の位置が不正確となるため。

2−2.対策

アブソリュート法による基準点の逐一校正で位置を正確にする。

対象物の位置決めを一回完了したら、次の対象物の位置決め作業前に基準点にわずかでもずれが生じていないかを確認する。ずれがあれば自動的に校正する。これにより小さなずれが累積しなくなり位置が正確となる。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.3.22   専門事項 情報精密機器開発設計管理

1−1.原因

対象物と付着した汚れの見分けがつかなくなるため。

1−2.対策

1)画像処理で対象物を見分ける。

合わせマークと汚れの反射率の違いを利用して濃淡階調処理により汚れ部分を特定し、マークを再現して見分ける。

2)照明照射角度の調整により見分ける。

合わせマークと汚れの表面粗さの違いにより、照明の入射角によって合わせマークのコントラストが汚れに比較して向上する。そこで最も見分けやすく入射角を調整する。

2-1.原因

組立装置の振動で基準点の許容範囲内の小さなずれが発生する。それが何個も組み立てている間に累積し許容範囲を超え対象物の位置が不正確となるため。

2−2.対策

アブソリュート法による基準点の逐一校正で位置を正確にする。

対象物の位置決めを一回完了したら、次の対象物の位置決め作業前に基準点にわずかでもずれが生じていないかを確認する。ずれがあれば自動的に校正する。これにより小さなずれが累積しなくなり位置が正確となる。

模範解答2 (簡易形式1)  添削履歴 2回 2018.12.30   専門事項 情報精密機器開発設計管理

原因1: ロストモーション

ボールねじを用いた送り系では,ねじ軸回転角とナット移動量の間に非線形的な関係が生じることで、位置決め精度が低下する。

この非線形的な関係はバックラッシとねじ軸の弾性変形(ねじれ)を合わせたものである。ねじ軸方向隙間や機械系の低剛性によって生じる。

対策法1:  隙間の低減と弾性変形の抑制  

(1)隙間をなくす: ハーモニックドライブ

(2)弾性変形の抑制: ①ボールねじの剛性を高める、②低速移動にする

原因2: スティック・スリップモーション

サーボモータの停止から移動もしくは移動から停止に至る途中で、駆動力に対して摩擦力が打ち勝つときに間欠動作が発生し、位置決め精度が低下する。 

対策法2: 案内面の摺動摩擦の低減

案内面の摩擦係数をゼロに近づけることで摺動摩擦を低減し、スリップ距離を短くする。

①サーボモータの摺動面の表面粗さを滑らかにする

②潤滑剤を添加する

③駆動系にエアベアリングとリニアモータを採用し非接触のエアステージに変更する

模範解答2 (簡易形式2)  添削履歴 1回 2019.1.3   専門事項 情報精密機器開発設計管理

原因1: ロストモーション

 ボールねじを用いた送り系では,ねじ軸回転角に対して出力されない運動(移動量ゼロ)が生じることで、位置決め精度が低下する。

 これはバックラッシとねじ軸の弾性変形(ねじれ)を合わせたものである。ねじ軸方向隙間や機械系の低剛性によって生じる。

対策法1:  隙間の低減と弾性変形の抑制  

(1)隙間をなくす

 ①隙間を極力ゼロに近づける。

 ②低圧予圧機構を採用する。

(2)弾性変形の抑制

 ①ボールねじの剛性を高める。

 ②低速移動にする。

原因2: スティック・スリップモーション

 サーボモータの停止から移動もしくは移動から停止に至る途中で、駆動力に対して摩擦力が打ち勝つときに間欠動作が発生し、位置決め精度が低下する。  

対策法2: 案内面の摺動摩擦の低減

 案内面の摩擦係数をゼロに近づけることで摺動摩擦を低減し、スリップ距離を短くする。

①サーボモータの摺動面の表面粗さを滑らかにする

②潤滑剤を添加する

③駆動系にエアベアリングとリニアモータを採用し非接触のエアステージに変更する

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.1.4   専門事項 情報精密機器開発設計管理

原因1: ロストモーション

 ボールねじを用いた送り系では,ねじ軸回転角に対して出力されない運動(移動量ゼロ)が生じることで、位置決め精度が低下する。

 これはバックラッシとねじ軸の弾性変形(ねじれ)を合わせたものである。ねじ軸方向隙間や機械系の低剛性によって生じる。

対策法1: 隙間の低減と弾性変形の抑制  

(1)隙間をなくす

 ①隙間を極力ゼロに近づける。

 ②低圧予圧機構を採用する。

(2)弾性変形の抑制

 ①ボールねじの剛性を高める。

 ②低速移動にする。

原因2: スティック・スリップモーション

 サーボモータの停止から移動もしくは移動から停止に至る途中で、駆動力に対して摩擦力が打ち勝つときに間欠動作が発生し、位置決め精度が低下する。 

対策法2: 案内面の摺動摩擦の低減

 案内面の摩擦係数をゼロに近づけることで摺動摩擦を低減し、スリップ距離を短くする。

①サーボモータの摺動面の表面粗さを滑らかにする

②潤滑剤を添加する

③駆動系にエアベアリングとリニアモータを採用し非接触のエアステージに変更する。

H30/2018年 機械・情報精密 Ⅱ−1−4 問題 模範解答と解説

問題文

 スマートフォンに使用されているセンサを2つ選択し、各々のセンサからの信号をソフトウエアで利用してどのような機能を実現しているか説明せよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 3回 2019.3.15   専門事項 精密機械開発設計

1. ジャイロセンサセンサ

1-1信号

 回転速度に比例した信号

1-2ソフトウエアでの利用

回転速度と時間の積から回転量を3軸ごとに演算

1-3機能

 スマートフォンの姿勢認識機能

①  例1:画面表示縦横切り替え

②  例2:ユーザインターフェイス

2.加速度センサ

1-1信号

 加速度に比例した信号

1-2 ソフトウエアでの利用

 比例定数で除して加速度を演算

1-3機能

スマートフォンに作用する加速度認識機能

①  例1:カメラ手振れ防止

②  例2:落下検知

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 1回 2019.3.16   専門事項 精密機械開発設計

1.  ジャイロセンサ

1-1信号

各3軸の回転信号

1-2 ソフトウエアでの利用

スマートフォンが3軸についてそれぞれ何ラジアン回転したか演算する。これによりスマートフォンの傾き姿勢を知ることができる。よって使用者がスマートフォンのどちらを上にして持っているのかがわかる。それに連動させることで使用者から見て適切な画像の向きになる様、画像切り替えを自動的に行う機能を発揮する。

2.加速度センサ

2-1信号

各3方向の加速度信号

2-2 ソフトウエアでの利用

スマートフォンに作用する加速度の大きさが重力加速度と同じ大きさの場合はスマートフォンが落下状態にあると判断する。そこでハードディスクのアクセスを直ちに停止させロック状態にする。これによりうっかり落下させた衝撃で記録データが喪失するリスクを下げる機能を発揮する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.3.18   専門事項 精密機械開発設計

1. ジャイロセンサ

1-1信号

各3軸の回転信号を得られる。

1-2ソフトウエアでの利用

スマートフォンが3軸についてそれぞれ何ラジアン回転したか演算する。これよりスマートフォンの傾き姿勢がわかる。よって使用者がスマートフォンのどちらを上にして持っているのかわかる。それに連動させることで使用者から見て適切な画像の向きになる様、画像切り替えを自動的に行う機能を実現する。

尚3軸の回転情報がわかるので、回転が例え3軸に渡る回転でも姿勢がわかる機能を発揮できる。

2.加速度センサ

2-1信号

各3方向の加速度信号を得られる。

2-2 ソフトウエアでの利用

スマートフォンに作用する加速度の大きさが重力加速度と同じ大きさの場合はスマートフォンが落下状態にあると判断する。そこでハードディスクのアクセスを直ちに停止させロック状態にする。これによりうっかり落下させた衝撃で記録データが喪失するリスクを下げる機能を実現する。

尚3方向の加速度がわかるので、スマートフォンの落下姿勢によらず、この機能を実現できる。

模範解答2 (簡易形式1)  添削履歴 7回 2019.1.13   専門事項 情報精密機器の開発設計管理

1.加速度センサ

1-1.センサからの信号

・バネと重りが一体化した部品に対して、加速度発生時の位置を測定。

・フックの法則から加速度を導出。

・3軸加速度センサーで、XYZの3方向を検出。

1-2.ソフトウエアで実現する機能

・歩数計:スマホ静止時の重力加速度(G)を中央値とする。3軸の加速度の合成値を算出。ローパスフィルタでノイズを除去。加速度振幅の山と谷を1サイクルとしてサイクル数を検知、歩数とする。

2.ジャイロセンサ 

2-1.センサからの信号

・H状振動体が回転するときに作用するコリオリの力で振動体に発生するねじれ力から、ニュートンの運動方程式に基づき角速度を検出。

・3軸ジャイロセンサーで、XYZの3軸回りの角速度を検出。

2-2.ソフトウエアで実現する機能

・角度速度の積分演算で、スマホの姿勢角をリアルタイムに算出。

・スマホの姿勢角に合わせて、カメラ映像上に、CGなどの付加情報を重畳表示。

模範解答2 (簡易形式2)  添削履歴 1回 2019.1.15   専門事項 情報精密機器の開発設計管理

1.  加速度センサ

1-1.センサからの信号

 加速度センサは、バネと重りが一体化した部品に対して、加速度発生時の位置を測定し、フックの法則から加速度を導出する。スマホでは、XYZの3軸周りの加速度センサーで加速度を検出する。 

1-2.ソフトウエアで実現する機能

 歩数計の場合、スマホ静止時の重力加速度(G)を中央値とし、3軸の加速度の合成値を算出する。ローパスフィルタでノイズを除去する。加速度振幅の山と谷を1サイクルとしてサイクル数を検知し、歩数とする。

2.ジャイロセンサ

2-1.センサからの信号

 ジャイロセンサのH状振動体は、回転するときに作用するコリオリの力で振動体に発生するねじれ力から、ニュートンの運動方程式に基づき角速度を検出する。スマホでは、XYZの3軸ジャイロセンサーで、3つの角速度を検出する。

2-2.ソフトウエアで実現する機能

 拡張現実(AR)の場合、角度速度の積分演算で、スマホの姿勢角をリアルタイムに算出する。スマホの姿勢角に合わせて、カメラ映像上にCGなどの付加情報を重畳表示する。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.1.18   専門事項 情報精密機器の開発設計管理

1.加速度センサ

1-1.センサからの信号

 加速度センサの信号は、バネと重りが一体化した部品に対して、加速度発生時の位置を測定しフックの法則から導出される加速度である。スマホでは、XYZの3軸周りの加速度センサーで加速度が出力信号となる。

1-2.ソフトウエアで実現する機能

 歩数計では、スマホ静止時の重力加速度(G)を中央値とし、3軸の加速度の合成値を算出する。ローパスフィルタでノイズを除去する。加速度振幅の山と谷を1サイクルとしてサイクル数を検知し、歩数とする。

2.ジャイロセンサ

2-1.センサからの信号

 ジャイロセンサの信号は、H状振動体の回転時に作用するコリオリの力で振動体に発生するねじれ力からニュートンの運動方程式に基づいて導出される角速度である。スマホでは、XYZの3軸ジャイロセンサーで検出される3軸周りの角速度が出力信号となる。

2-2.ソフトウエアで実現する機能

 拡張現実(AR)では、角度速度の積分演算を行い、スマホの姿勢角をリアルタイムに算出する。スマホの姿勢角に合わせて、カメラ映像上にCGなどの付加情報を重畳表示することで、拡張現実感を出す。

H30/2018年 機械・情報精密 Ⅱ−2−1 問題 模範解答と解説

問題文:個人が使用する情報・精密機器(コンシューマー製品)においては、小型化・低コスト化が常に求められている。あなたが既存の情報・精密機器の小型化・低コスト化設計をする立場にあるとして、以下の問いに答えよ。

(1)コンシューマー製品の小型化・低コスト化を進めるに当たって考慮すべき項目を3つ挙げて解説せよ。

(2)(1)で挙げた3項目について、課題を解決するために検討すべき方法、内容を挙げよ。

(3)(2)の業務を実際に進める際に留意すべき事項を述べよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 7回 2019.4.14   専門事項 精密機械開発設計

1. 小型化・低コスト化で考慮すべき項目

①センサのマイクロマシン化

 半導体プロセス応用で、微細化可による小型化、バッチ処理可による低コスト化

②大容積を占めていた装置を小型の代替技術品に置き換える

 光源をLD、LEDに、HDDをSSDに、電源DC化、レーザをインクジェットに変更

③機能の割り切り

 目標とする機能に合わせて、不要な機能を取り去り、重要機能を残す

 ストレージを無くしクラウド化、高質感の金属を樹脂に変更、娯楽機能の除去

2.課題解決のため検討すべき方法、内容

①センサのマイクロマシン化について:ウエハ基板上の一体構造化を検討

半導体プロセスで生産可能な様に1枚の基板上の一体構造となる設計をする

②代替技術に置き換えについて:仕様の違いを検討

LDの波長、SSDの容量、DCの連続稼働時間、インクジェットの1dotサイズ

③機能の割り切りについて:不要機能の見極め

 コスト当たりの顧客価値(VFM)の小さな機能を排除する。

3.業務を実際に進める際留意すべき事項

①センサのマイクロマシン化について:スケーリング則に留意

 運動方程式で設計を見積もる際に粘性によるダンピング項を考慮する

②代替技術に置き換えについて:代替技術の特徴に留意

光源代替時、低スペックル重視ならLED、消費電力効率重視ならLDを選択する

③機能の割り切りについて:似ている機能の複数保有はVFM低と判断し一本化

カメラはモニタのみにしてファインダなし、太陽電池のみにして乾電池なし

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 2回 2019.4.17   専門事項 精密機械開発設計

1.小型化・低コスト化で考慮すべき項目

①センサをマイクロマシン化する

半導体プロセス応用で、微細化による小型化、バッチ処理による低コスト化をする。

②大容積を占めていた装置を小型の代替技術品に置き換える

例えば光源を固体発光素子(LD、LED)に、HDDをSSDに、家庭用AC電源をバッテリによるDC電源に、プリンタをレーザ式からインクジェット式に、それぞれ変更する。

③機能を割り切る

目標とする機能に合わせて、不要な機能を取り去り、重要機能を残す。例えば装置内のストレージを無くしクラウド化する、重要機能と無関係の娯楽機能を除去する。

2.課題解決のため検討すべき方法、内容

①センサのマイクロマシン化について:ウエハ基板上の一体構造化を検討する

半導体プロセスで生産可能な様に1枚の基板上の一体構造となる設計をする。例えばコイルは基板上に設けた平面コイルに、つるまきばねは基板の一部からなる板ばね構造に変更する。又シリコン基板にしてメカ要素にICも作り込む。

②代替技術に置き換えについて:仕様の違いを検討する

例えば蛍光灯と白色LEDのスペクトル波長、HDDとSSDの容量、家庭用AC電源と違いDCバッテリの連続稼働時間に限りがあること、レーザ式とインクジェット式のプリンタ1dotサイズ、の違いを検討する。

③機能の割り切りについて:不要機能の見極めをする

コスト当たりの多数派にとって顧客価値(VFM)の小さな機能を排除する。例えばオートモードを専ら使うユーザが大多数の場合マニュアルモードのVFMは小さい。

3.業務を実際に進める際留意すべき事項

①センサのマイクロマシン化について:小型構造の動きを精密に制御する為スケーリング則を計算に反映させる。

例えば運動方程式に通常は値が小さいとして無視する粘性ダンピング項を入れて計算する。

②代替技術に置き換えについて:もし代替品が単品では性能を発揮不能だったら他の要素を加える。

例えばLDで波長スペクトルが不十分なら蛍光体など光波長変換材料を用いる。

③機能の割り切りについて: VFMのより向上の為本質的機能は構成部品の機能を追検討する。例えばシャッタを金属製から樹脂製に替え撮影の本質機能は維持し、質感を出す機能は割り切る。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.4.20   専門事項 精密機械開発設計

1.小型化・低コスト化で考慮すべき項目

①センサをマイクロマシン化する

半導体プロセス応用で、微細化による小型化、バッチ処理による低コスト化をする。

②大容積の装置を小型の代替技術品に置き換える

半導体素子を用いることでメカ構造を極力なくした新技術に代替して小型化をする。

③機能を割り切る

目標とする機能に合わせて、不要な機能を取り去り、重要機能を残す。

2.課題解決のため検討すべき方法、内容

①センサのマイクロマシン化について

(i)基板上の一体構造化となる設計をする。

(ii)半導体基板にして電気要素とメカ要素を一体的に構成する。

②代替技術に置き換えについて

(i)その代替技術に係る半導体素子をベアチップ実装することで更に容積を減らすことができないか検討する。

(ii)代替技術の高い能力を従来品と同等まで落とす設計にして、小型化に加え低コスト化する。

③機能の割り切りについて

単位コスト当たりの顧客価値(VFM)を判断基準として見極めをする。「必ず使う機能」であれば顧客価値は最大、「状況によって使う機能」であれば次に大きい。

3.業務を実際に進める際留意すべき事項

①センサのマイクロマシン化について

小型構造の動きを精密に制御する為スケーリング則を設計時の計算に反映させる。小型化すると構造の単位体積当たりの面積が広くなる。よって大きさが面積に依存する粘性力、摩擦力、静電気力を考慮する。

②代替技術に置き換えについて

代替品で仕様を満足できる様に、他の要素を加える。例えばレーザダイオード(LD)で波長スペクトルを変えたいなら蛍光体など光波長変換材料を併用する。この構成でも従来の蛍光灯などと比較し桁違いの小型化は維持される。

③機能の割り切りについて

高いVFMを有する機能に係る構成部品を割り切り低コスト化する。

(i)廉価な材料に置き換える。

(ii)廉価な表面処理、表面処理なしに置き換える。

(iii)加工容易な形状に置き換える。

(iv)組立容易な形状、固定法に置き換える。

(v)自動化に係る部品を無くし、手動用のつまみ等に置き換える。

H30/2018年 機械・情報精密 Ⅲ−2 問題 模範解答と解説

問題文:近年、情報処理技術及びハードディスクの進化により、機械学習技術の応用がクローズアップされてきている。特定の事象についてデータを蓄積、解析して、その結果から判断や予測を行うためのアルゴリズムを創生する手法である機械学習は、例えば検索エンジンや画像認識といった、情報空間にとどまらず、現実空間で動く機械の制御にも用いられてくることが予想される。あなたが機械学習技術を導入する推進者に指名されたとして、以下の問いに応えよ。

(1)実在する機械に機械学習技術を適用することのメリット(効果)、デメリット(リスク)を複数挙げよ。

(2)(1)で挙げたデメリットについて、これを改善する方策を多角的に述べよ。ここでいう多角的とは、挙げた全てのデメリットについて網羅的に対策を述べるのでもよいし、1つのデメリットに関して、技術的、社会的、管理手法等の複数の視点からの対策を述べてもよい。

(3)(2)で挙げた方策に関して、最も難しい部分に関して、具体的にどのようなアプローチで望むかを述べよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 4回 2019.4.27   専門事項 精密機械開発設計

1. 実在する機械に機械学習を適用するメリット、デメリット

(1)メリット1:効率化

機械の扱う対象が多品種でもティーチングレスで駆動でき効率向上。

(2)メリット2:高付加価値化

機械自身が考えることで難しい作業をできるので高付加価値製品を容易に製造可。

(3)デメリット1:信頼性

人の直感・知見に合わない誤作動の可能性があるため機械の信頼性担保が困難。

(4)デメリット2:経済性

説明変数と目的変数の間に機械の動作が挟まるため、機械動作の自由度が高いと学習に時間がかかる。

2.信頼性のデメリットに対する方策

(1)社会的対策:学習時と著しく異なる動きとなる場合は、実際に機械は停止し代わりにアラートを発して誤動作を防ぎ、実社会への影響を抑える。

●具体例(水色マーカー部分は作成者様がつけてくださった根拠の説明です)

自動運転の車が歩行者に危害を加えるという誤作動を防止。

ハードディスクとの関係:あり。事故に結びつく学習で学んだ内容を記憶するため。

(2)技術的対策:機械動作の自由度はそのままにしつつ、誤差関数には正則化項を加えモデルの自由度を抑制し過学習防止。

●具体例

部品を組み立てる機械を例にする。

教師データの部品ロットは規格値の上限ぎりぎりのものばかり含んでいた。よって過学習の為上限ぎりぎりだと非常に正確に組み立てる。しかし規格値下限ぎりぎりの部品がくると不正確な組立になってしまう。

そこで正則化により規格内の部品ならどんな部品でも組立精度を仕様内に収められるようにする。

ハードディスクとの関係:部品組立に係る学習で学んだ内容を記憶するため。

(3)管理手法的対策:教師データの陳腐化を防ぐ管理。機械の対象物、環境等が変化したら、変化後の教師データで再学習するとより高効率・品質で動作可能。

●具体例

部品を組み立てる機械を例にする。部品の仕様がマイナーチェンジしたら、再学習させる。

ハードディスクとの関係:あり。部品組立に係る学習で学んだ内容を刷新して記憶するため。

3.社会的対策の具体的アプローチ

(1)説明変数を機械の挙動のログデータ、目的変数をその挙動の危険度合い、とした教師データを準備する。そしてその機械に危険度合いの高い挙動はしないように機械学習させる。

●具体例

自動運転の車が歩行者を追い抜く際の間隔、速度を説明変数、その際の危険度を目的変数とし、危険度が低い状態で運転する様に学習させる。

ハードディスクとの関係:あり。事故に結びつく学習で学んだ内容を記憶するため。

(2)上記(1)に加えて二重安全対策として、機械学習とは独立したセンサなどからなる安全機構の判断が機械学習より優先適用され、機械を停止しアラートを発する。更にその安全機構の判断に係る挙動(説明変数)も危険度高(目的変数)の追加教師データとして機械学習させる。

●具体例

自動運転の車の側面につけた歩行者との間隔を測るセンサの値がしきい値を超えたら機械学習の指示に優先して自動車は減速、停止する。その事象も追加学習する。

ハードディスクとの関係:少々あり。歩行者との間隔がこれ以下になったら止まれ、というプログラムを記憶するため。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 0回 2019.4.28   専門事項 精密機械開発設計

1.実在する機械に機械学習を適用するメリット、デメリット

(1)メリット1:効率化

機械の扱う対象が多品種でもティーチングレスで駆動でき効率向上させられる。

(2)メリット2:高付加価値化

機械自身が考えることで難しい作業をできるので高付加価値製品を容易に製造可にする。

(3)デメリット1:信頼性

人の直感・知見に合わない誤作動の可能性があるため機械の信頼性担保が困難である。

(4)デメリット2:経済性

説明変数と目的変数の間に機械の動作が挟まるため、機械動作の自由度が高いと学習に時間がかかる。

2.信頼性のデメリットに対する方策

(1)社会的対策:学習時と著しく異なる動きとなる場合は、実際に機械は停止し代わりにアラートを発して誤動作を防ぎ、実社会への影響を抑える。例えば自動運転の車が歩行者に危害を加えるという誤作動による社会への悪影響を防止する。

(2)技術的対策:機械動作の自由度はそのままにしつつ、誤差関数には正則化項を加えモデルの自由度を抑制し過学習防止する。これにより例えば組立機械で教師データの部品ロットと実作業での部品ロットに誤差傾向の違いがあっても組み立てられるようにする。

(3)管理手法的対策:教師データの陳腐化を防ぐ管理。機械の対象物、環境等が変化したら、変化後の教師データで再学習するとより高効率・品質で動作可能にする。例えば組立機械で部品のマイナーチェンジがあったら再学習させるという管理手法を徹底する事で、より短時間により高品質の作業を機械ができる。

3.社会的対策の具体的アプローチ

(1)説明変数を機械の挙動のログデータ、目的変数をその挙動の危険度合い、とした教師データを準備する。ログデータの時間刻みは危険回避できる様非常に細かい。よって膨大なデータの読み書きが必要になり、フラッシュメモリ等では容量が足りない。つまり問題文にあるハードディスクの大容量化の進化があって成り立つ。そしてその機械に危険度合いの高い挙動はしないように機械学習させる。

(2)上記(1)に加えて二重安全対策として、機械学習とは独立したセンサなどからなる安全機構の判断が機械学習より優先適用され、機械を停止しアラートを発する。更にその安全機構の判断に係る挙動(説明変数)も危険度高(目的変数)の追加教師データとして機械学習させる。これは問題文にある情報処理技術の進化があり、処理が速いので成立する。そしてその機械に危険度合いの高い挙動はしないように機械学習させる。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 0回 2019.4.30   専門事項 精密機械開発設計

1.機械に機械学習を適用するメリット、デメリット(1)メリット1:効率化

機械の扱う対象が多品種でもティーチングレスで駆動でき効率向上させられる。この学習には機械の各動きとその結果からなるデータを一動作ごとに記録し、更に次の動きを決定する際読み出しする。よって近年普及した大容量ハードディスクのお陰でその記録・読み出しを容易にできるようになった。また情報処理の進化によって容易にそれらの多数のデータを処理可能となった。

(2)メリット2:高付加価値化

機械自身が考えることで難しい作業をできるので高付加価値製品を容易に製造可にする。近年普及した大容量ハードディスクで容易に大量のデータを読み書き可能になり、更に情報処理の進化があった。これらに助けられて難しい作業に伴う莫大なデータに係る難しい作業を機械学習できるようになった。

(3)デメリット1:信頼性

人の直感・知見に合わない誤作動の可能性があるため機械の信頼性担保が困難である。

(4)デメリット2:経済性

作業の命令(説明変数)と作業結果(目的変数)の間に機械の動作が挟まる。よって一つの作業結果に至る動作が複数存在し得る。これらの中から最短時間で済む機械動作を学び取るまで時間がかかる。

2.信頼性のデメリットに対する方策

(1)社会的対策

学習時と著しく異なる動きとなる場合機械は停止しアラートを発して誤動作を防ぎ、実社会への影響を抑える。例えば自動運転の車が歩行者に接触しない様に学習させる。更に距離センサを設け二重に安全を図る。

(2)技術的対策

機械動作の自由度は維持されるので、誤差関数に正則化項を加えモデルの自由度を抑制し過学習を防止する。これにより例えば組立機械で教師データの部品ロットと実作業での部品ロットに誤差傾向の違いがあっても組み立てられるようにする。

この時計算式に正則化項が増える分計算量が増加する。一方機械動作の自由度は維持される。その結果データ量は膨大になる。しかし大容量ハードディスクと情報処理向上のお陰で容易に計算できるようになった。

(3)管理手法的対策

教師データの陳腐化を防ぐ管理をする。機械の対象物、環境等が変化したら、変化後の教師データで再学習するとより高効率・品質で動作可能にする。例えば組立機械で部品のマイナーチェンジがあったら再学習させる管理手法を徹底し、より短時間により高品質の作業を機械ができる。

この際過去のデータは消去し新たなデータを書き込める大容量ハードディスクのお陰で容易に管理できる。

3.社会的対策の具体的アプローチ

(1)機械学習による対策

説明変数を機械の挙動のログデータ、目的変数をその挙動の危険度合い、とした教師データを準備する。危険と判断する危険度合いのしきい値があまり小さいと装置がすぐ止まってしまうので不適切である。よって余裕を見たしきい値でなくても十分に安全を確保する為には、ログデータの時間刻みを細かくする必要がある。なぜならしきい値になったら即停止したいからである。その刻みにデータ量は比例して多くなるが、大容量ハードディスクを使えば容易に扱える。これにより不必要な停止をせずに安全に動作できる。

(2)機械学習を補完する対策

上記(1)に加えて二重安全対策として、機械学習と独立のセンサ等からなる安全機構の判断が機械学習より優先適用され機械を停止する。更にその安全機構の判断に係る挙動(説明変数)も危険度高(目的変数)の追加教師データとして機械学習させる。これにより次回同じような危険に遭遇した際、機械はこの2重安全対策機構によらず、上記(1)の機械学習によって安全停止できるように進化している。

模範解答2 (簡易形式1)  添削履歴 9回 2019.3.4   専門事項 情報精密機器の開発設計管理

〇〇加工ロボットを取り上げて、以下に回答する。

(1)機械学習適用のメリット・デメリット

◆メリット

①優秀な〇〇専門技術者のスキルを、機械学習を介して、複数のロボットに伝承できる。

②自己学習機能によって、膨大なデータから人間には推定が難しい関係性を導き出し、作業対象に合った最適な動作を行える。

③常に一定のパフォーマンスで作業を行える。

④機械的判断によりスピーディーに処理できるため、作業時間を短縮できる

◆デメリット

①学習データの量と質、および、バリエーションが不十分だと、精度がでない。

②希少症例や対象者のの同意を得られない、高いスキルの〇〇専門技術者が少ない等の理由で、学習データの収集に予想以上の労力と時間を要する。

③機械の判断が複雑なアルゴリズムによる場合、インシデントが起きても、人がその原因を突き止めるのは難しい。

(2)デメリットを改善する方策

①GAN(Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク)の生成器で学習データを半自動生成し、生成器と識別器を同時に学習させることで、学習データの良質化とバリエーションおよびデータ量を確保する。 

②学習データ収集を短期間に収集するため、複数施設で協働するマルチエージェントシステムとする。

③数理最適化のスパーズモデリングにより、結論に至った論拠が分かるようにする。

(3)最も難しい部分:①の学習データを良質化すること

アプローチ: 学習データを良質化させるため、GANの半自動生成において、知識・推論アルゴリズムを与える。

〇〇専門技術者スキルを次のI〜IIIに分解し、順序と因果をGANに初期学習させる

 I.  状態や対象者の状態など〇〇加工の周辺環境の認識、知識・分析力、判断力

 II. 上記の状況に基づく処置方針の立案力

 III. 対象者のに対して行う安全処置(動作)、対象者の反応への対応力

この初期学習を経て、敵対的学習を開始させる。

模範解答2  (簡易形式2)  添削履歴 3回 2019.3.9   専門事項 情報精密機器の開発設計管理

〇〇精密加工ロボットを取り上げて、以下に回答する。

(1)機械学習適用のメリット・デメリット

1) メリット

①優秀な〇〇スペシャリストのスキルを、機械学習を介して、複数のロボットに伝承できる。

②自己学習機能によって、膨大なデータから人間には推定が難しい関係性を導き出し、作業対象に合った最適な動作を行える。

③常に一定のパフォーマンスで作業を行える。

④機械的判断によりスピーディーに処理できるため、作業時間を短縮できる

2) デメリット

①学習データの量と質、および、バリエーションが不十分だと、精度がでない。

②希少症例や対象者の同意を得られない、高いスキルの〇〇スペシャリストが少ない、ラベル付け作業の負荷が大きい等の理由で、学習データの収集に予想以上の労力と時間を要する。

③機械の判断が複雑なアルゴリズムによる場合、インシデントが起きても、人がその原因を突き止めるのは難しい。

(2)デメリットを改善する方策

①GAN(Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク)の生成器で学習データを半自動生成し、生成器と識別器を同時に学習させることで、学習データの良質化とバリエーションおよびデータ量を確保する。 

②学習データ収集を短期間に収集するため、複数施設で協働するマルチエージェントシステムとする。

③数理最適化のスパーズモデリングにより、結論に至った論拠が分かるようにする。

(3)最も難しい部分:①の学習データを良質化すること

アプローチ: 学習データを良質化させるため、GANの半自動生成において、知識・推論アルゴリズムを与える。

次の〇〇スペシャリストスキルについて、順序と因果をGANに初期学習させる。

 ① 疾患状態や対象者状態など〇〇精密加工の周辺環境の認識、知識・分析力、判断力

 ② 上記の状況に基づく処置方針の立案力

 ③. 対象者に対して行う安全処置(動作)、対象者反応への対応力

この初期学習を経て、敵対的学習を開始させる。

順序をGANに学習させるために、初期学習に用いるデータは、〇〇スペシャリストの〇〇精密加工映像と深度センサによるモーションキャチャ、および、〇〇精密加工中の音声データなど、時系列情報を含む複数のモダリティのデータ(マルチモーダル・データ)とする。

また、因果を効率よく学習させるために、ラベルを付与した初期学習データセットを用いる。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.3.1   専門事項 情報精密機器の開発設計管理

〇〇ロボットを取り上げて、以下に回答する。

(1)機械学習適用のメリット・デメリット

1) メリット

①優秀な〇〇スペシャリストのスキルを、機械学習を介して、複数のロボットに伝承できる。

②自己学習機能によって、膨大なデータから人間には推定が難しい関係性を導き出し、作業対象に合った最適な動作を行える。

③常に一定のパフォーマンスで作業を行える。

④機械的判断によりスピーディーに処理できるため、作業時間を短縮できる

2) デメリット

①学習データの量と質、および、バリエーションが不十分だと、精度がでない。

②希少症例や〇〇対象者の同意を得られない、高いスキルの〇〇スペシャリストが少ない、ラベル付け作業の負荷が大きい等の理由で、学習データの収集に予想以上の労力と時間を要する。

③機械の判断が複雑なアルゴリズムによる場合、インシデントが起きても、人がその原因を突き止めるのは難しい。

(2)デメリットを改善する方策

①GANによる学習データの充実化

 学習の手法としてGAN(Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク)を採用する。GANの生成器は、初期学習で与えられたデータを模倣して学習データを半自動生成し、識別器がその真偽を判別する。生成器と識別器を同時に学習させることで、学習データの良質化とバリエーションおよびデータ量を確保する。 

②マルチエージェント化によるデータ収集期間の短縮

 学習データを短期間に収集するために、複数施設で協働するマルチエージェントシステムとする。多様な病態に対する複数の〇〇スペシャリストのスキルデータを多施設で同時期に取得することで、予測不可能な事象をモデル化し、実際に起こりうる状況を短期間で再現する。

③スパーズモデリングによるホワイトボックス化

 数理最適化のスパーズモデリングを採用する。因果関係となる複数の項目について線形モデルを構築することで、少ない情報から全体像を的確に導出し、結論に至った論拠が分かるようにする。

(3)①の学習データの良質化に対するアプローチ

 学習データの良質化のために、GANの半自動生成において、知識・推論アルゴリズムを与える方法を提案する。

 知識・推論アルゴリズムとして、次の〇〇スペシャリストスキルについて、順序と因果をGANに初期学習させる。そして、初期学習を経て、敵対的学習を開始させるものとする。

(3)―① 〇〇スペシャリストのスキル学習データ

疾患状態や〇〇対象者状態など〇〇の周辺環境の認識、知識・分析力、判断力上記の状況に基づく処置方針の立案力〇〇対象者に対して行う安全処置(動作)、〇〇対象者反応への対応力

(3)−② 順序と因果の学習データ

I. 順序学習データ: 

 〇〇スペシャリストのスキルにおいて、その順序をGANに学習させてロボットを動かすには、インプットとして動作に関するデータが必要となる。そのため、初期学習に用いるデータは、〇〇スペシャリストの〇〇映像と深度センサによるモーションキャチャ、および、〇〇中の音声データなど、時系列情報を含む複数のモダリティのデータ(マルチモーダル・データ)とする。

II. 因果学習データ: 

 〇〇スペシャリストスキルの因果を学習させる(GANで生成する学習データを制御する)ために、初期学習の教師データにカテゴリ(ラベル)情報を付与する。

 例えば、生成器に「いまは〇〇対象者状態を認識するという条件のもと、映像を生成している」等や、識別機に対して「いまは・・の動き(モーション)について、本物か偽物化を判定している」等を教示する。

H30/2018年 機械・情報精密 Ⅱ−2−2 問題 模範解答と解説

問題番号 Ⅱ-2-2

近年、スマートスピーカーやスマートディスプレイなどのスマートデバイス(スマート家電)が家庭内の新たな情報機器として注目されている。あなたが家庭内で使用する新しいスマートデバイスを開発する立場になったとして、以下の問いに答えよ。

(1)家庭内で使用するスマートデバイス開発に際し特に注意すべき項目を理由とともに3つ挙げよ。

(2)(1)で挙げた項目から1点選び、対策を具体的に述べよ。

(3)(2)の業務を実際に進める際に留意すべき事項を述べよ。

模範解答2 (簡易形式1)  添削履歴 10回 2019.2.2   専門事項 情報精密機器の開発設計管理

(1) 注意すべき項目と理由

1.ユーザビリティ:家庭向けの場合、生活様態の多様化と、ユーザのITリテラシーのレベルが異なることが前提。機能カスタム化と操作簡便性の両立が必要。

2.サイバーセキュリティ:ネットワーク接続によりサイバー攻撃や、個人情報の漏洩リスクがある。製品開発時のリスク最小化と、製品出荷後のインシデント対応が必要。

3.個人情報:スマートデバイスの利便性向上には個人情報の収集・分析が不可欠だが、消費者の多くは個人情報の提供に対し強い懸念がある。保全策が必要。

(2) 「ユーザビリティ」の対策

①開発プロセスへのデザイン志向の導入: 日常の家事からの解放や見守りなどの観点で、ユーザエクスペリエンス検討を行い、デバイスコンセプトを立案。

②ハードウエアのシンプル化設計: AIチップやIoTセンサ等の部品増加について、持ち運びや設置の自由度、インテリア性の観点から、従来のボタン操作部の排除等によるデバイスの小型/軽量や、電源コード等の省線化を図る。

③スマホアプリとの連携、自動制御: デバイス基本設定や条件変更などをスマホアプリで行い、AIがユーザの利用履歴から学習し、機能コントロールを行う。

(3) (2)で留意すべき事項

①   ユーザエクスペリエンス向上のため、共働きの夜間洗濯時の消音等、生活様態毎の機能設定により、ルーチン操作を減らす。

②   小型/軽量化のため、無線給電やエネルギーハーヴェスト等のバッテリーフリーとする。

③   機能コントロールのため、ユーザ利用履歴を、スマホやデバイスの位置情報を利用した気象データ(温湿度)等の外部データと組み合わせる。

模範解答2 (簡易形式2)  添削履歴 3回 2019.2.6   専門事項 情報精密機器の開発設計管理

(1) 注意すべき項目と理由

1.ユーザビリティ:生活様態の多様化と、ユーザのITリテラシーのレベルが異なることが前提となる。そのため、生活様態の多様化に対応した機能カスタム化と、ITリテラシーに依存しない操作簡便性の両立が必要である。

2.個人情報:スマートデバイスの利便性向上には個人情報の収集・分析が不可欠だが、それらの情報が第三者に漏洩するとユーザが詐欺などの被害に合う危険性がある。自社のプライバシーに関する方針に沿って、ユーザがプライバシー設定を制御できるようにするなどの保全策が必要になる。

3.サイバーセキュリティ:ネットワーク接続によりサイバー攻撃や、個人情報の漏洩リスクがある。そのため、脆弱性対策や通信路暗号化など製品開発時のサイバーリスクの最小化と、製品出荷後のインシデント対応が必要である。 

(2)「ユーザビリティ」の対策

①開発プロセスへのデザイン志向の導入: 日常の家事からの解放や見守りなどの観点で、ユーザエクスペリエンス検討を行い、ユーザ意図推定やハンズフリー認識などのヒューマンインターフェースを立案する。     

②ハードウエアのシンプル化設計: AIチップやIoTセンサ等の部品が増加せざるを得なくなる。大型化しない設計を行うとともに、持ち運びや設置の自由度、インテリア性の観点から、従来のボタン操作部の排除等によるデバイスの小型/軽量や、電源コード等の省線化を図る。

③スマホアプリとの連携、自動制御: デバイス基本設定や条件変更などをスマホアプリで行い、AIがユーザの利用履歴から学習し、機能コントロールを行う。

(3)(2)で留意すべき事項

①ユーザエクスペリエンス向上のため、共働き家庭等、ターゲットとなるユーザを設定したうえで夜間洗濯時の消音等、ユーザの生活様態毎の機能設定により、従来の家事におけるルーチン操作を減らす。

②小型/軽量化のため、無線給電やエネルギーハーヴェスト等の技術を応用し、バッテリーフリーとする。

③機能コントロールに際し、ユーザ利用履歴を、スマホやデバイスの位置情報を利用した気象データ(温湿度)等の外部データと組み合わせることで、制御性の向上を図る。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 3回 2019.2.11   専門事項 情報精密機器の開発設計管理

(1) 注意すべき項目と理由

1.ユーザビリティ

生活様態の多様化と、ユーザのITリテラシーのレベルが異なることが前提となる。そのため、生活様態の多様化に対応した機能のカスタム化と、ITリテラシーに依存しない操作簡便性の両立が必要である。

2.個人情報の保全 

スマートデバイスの利便性向上には個人情報の収集・分析が不可欠だが、それらの情報が第三者に漏洩するとユーザが詐欺などの被害に合う危険性がある。ユーザーが不利益を被らないよう、エッジ側でデータ分析を行う、ユーザがプライバシー設定を制御できるようにするなどの保全策が必要になる。

3.サイバーセキュリティ

ネットワーク接続によりサイバー攻撃や、個人情報の漏洩リスクがある。脆弱性対策や通信路暗号化など製品開発時のサイバーリスクの最小化と、製品出荷後のインシデント対応が必要である。 

(2)「ユーザビリティ」の対策

①開発プロセスへのデザイン志向の導入

 日常の家事からの解放や見守りなどの観点で、ユーザエクスペリエンス検討を行い、ユーザ意図の推定やハンズフリー認識などのヒューマンインターフェースを立案する。     

②ハードウエアのシンプル化設計

 AIチップやIoTセンサ等の部品が増加せざるを得なくなる。大型化しない設計を行うとともに、持ち運びや設置の自由度、インテリア性の観点から、従来のボタン操作部の排除等によるデバイスの小型/軽量や、電源コード等の省線化を図る。

③スマホアプリとの連携、自動制御

 デバイス基本設定や条件変更などをスマホアプリで行い、AIがユーザの利用履歴から学習し、機能コントロールを行う。

(3)(2)で留意すべき事項

①ユーザーに応じた機能設定: ユーザエクスペリエンス向上のため、共働き家庭等、ターゲットとなるユーザを設定したうえで、夜間洗濯時の消音等、ユーザの生活様態毎の機能設定により、従来の家事におけるルーチン操作を減らす。

②小型/軽量化: 小型/軽量化のために、無線給電やエネルギーハーヴェスト等の技術を応用し、バッテリーフリーとする。

③制御性の向上: 機能コントロールに際し、ユーザの利用履歴を、スマホやデバイスの位置情報を利用した気象データ(温度・湿度)等の外部データと組み合わせることで、制御性の向上を図る。

H30/2018年 機械・ロボット Ⅱ−1−2 問題 模範解答と解説

 ロボットのアーム構造は,基部からの3関節の配列により分類できるが,代表的なものを3つ挙げ,それぞれの特徴(長所・短所)を述べよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 0回 2018.7.18   専門事項 室内空間形成ロボット

1.直角座標型ロボット

1.1 長所

 ①位置と姿勢制御が分離できるため、精度よく位置決めできる。

 ②直交座標なので、位置制御が容易である。

1.2 短所

 ①設置面積のわりに、作業範囲が狭い。

 ②障害物をよけるなどの回り込み動作ができない。

2.円筒座標型ロボット

2.1 長所

 ①接地面積のわりに作業範囲が広い。

2.2 短所

 ①障害物をよけるなどの回り込み動作ができない。

 ②位置を変更すると姿勢も変わるため、制御が複雑になる。

3.垂直多関節ロボット

3.1 長所

 ①接地面積のわりに作業範囲が広い。

 ②障害物などを回避する回り込み作業が可能である。

 ③冗長自由度を持たせることで省エネへの対応や、特異点を回避ができる。

3.2 短所

 ①手先が基部のモータの負荷となり、可搬重量が小さくなる。

 ②位置を変更すると姿勢も変わるため、制御が複雑になる。冗長自由度を持たせると特異点も増える。

H30/2018年 機械・ロボット Ⅱ−1−1 問題 模範解答と解説

 ロボットを制御して所定の機能を実現するためには,ロボットの内界状態を精度良く検出し,認識するための内界センサが欠かせない.検出対象が異なる内界センサを3種類挙げ,それぞれの特徴(長所・短所)を述べよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2018.7.18   専門事項 室内空間形成ロボット

1.光学式ロータリエンコーダ

1.1 長所

 ①非接触に回転方向と回転数がわかるため、信号の劣化がない。

 ②デジタル出力であるため、制御器との相性が良い。

1.2 短所

 ①デジタル出力であるため、分解能を考慮しなければならない。

 ②ほこりや粉じんの環境下で誤検知する恐れがある。

2.振動式ジャイロセンサ

2.1 長所

 ①MEMS技術による小型・軽量化された。

 ②非接触でロボットの回転を検知できるため、姿勢制御に利用できる。

2.2 短所

 ①ドリフトやノイズによって信号がずれ誤差が累積してしまう.

3.加速度センサ

3.1 長所

 ①MEMS技術による小型・軽量化された。

 ②非接触で重力を検知できるため、姿勢制御に利用できる。

3.2 短所

 ①ロボットが移動する際に慣性力により、正確な重力方向が検出できなくなる。

 ②ヨー方向の回転が検知できない

H30/2018年 機械・ロボット Ⅱ−2−1 問題 模範解答と解説

 物流拠点から各家庭への宅配便貨物を届けるドローンを設計することになった.通常の住宅地上空を飛行するため,安全確保は必須である.その際に実施すべきリスクアセスメントについて,次の問いに答えよ.ただし,航空法等の規制は考慮しないものとする.

(1)重要と思われる危険源を3つ挙げよ.

(2)(1)で挙げた危険源について,人間が被る可能性がある危害の程度とその危害の発生確率とを評価し,最も重大なリスクを1つ特定せよ.

(3)(2)で特定した最も重要なリスクについて,具体的なリスク低減策を述べよ.

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 0回 2018.9.10   専門事項 室内空間形成ロボット

1.危険源の例

 ①飛行ルート上にある障害物

住宅地上空を飛行するため,電線や樹木,アンテナがルート上の障害となると考えられる.

 ②墜落・衝突

ドローン自体の故障により,ルートを外れ,制御不能となることが考えられる.バッテリがなくなり墜落し,人への衝突や器物破損を引き起こしてしまう恐れがある.

 ③妨害行為

ジャマーや網での捕獲,射撃など悪意のある攻撃によって飛行が妨害されることが考えられる.

2.人間が被る可能性のある危害について

 危険源①による危害として,電線にドローンが接触し,周辺一帯が停電してしまうことが挙げられる.

 危険源②による危害として,落下物が人間の頭部に当たり、死亡または障害が残る危険性が挙げられる.  危険源③による危害として,荷物の盗難被害にあうことが挙げられる.

 これらのリスクを表1のリスクアセスメント表にまとめる。リスク低減効果は加算法より反映しやすい積算法を用いる.表1の評価により、最も重要なリスクは危険源②による被害であると特定した.

3.リスク低減措置について

①  ドローンの運動機能と判断機能の向上

 ひとつのプロペラが止まっても残りのプロペラのみで,目的地まで安全に飛行,もしくは帰還できるような設計を行う。また,飛行経路の気象条件、バッテリ残量から目的地までの飛行や帰還がかなわないと判断した場合,安全なところに不時着する判断機能を持たせる。

②積載重量厳格化と積み荷の偏り検知

 積載可能な荷物の重量を判定し,基準値以上の重量物を積載して飛行させないように設定する.また,機体バランスを保持するために,重さの偏りのある荷物であることを知らせるアラームにより警告を行う.

③整備の義務化

 航空機のように飛行時間や飛行回数に応じて,整備を義務付ける.目視での点検作業に加え,ソフトウェアによる電子機器の異常検知,モータ監視などを用いて整備を行う.また,モータやバッテリの稼働時間を記憶し,故障率が高まる前に交換作業ができるようにする.

H30/2018年 機械・ロボット Ⅱ−2−2 問題 模範解答と解説

 自動車の分野では,様々なサブシステムの電子制御化が拡大してシステムが複雑化した結果、開発の効率化や品質向上を目的にしてモデルベース開発(MBD : Model Based Development)が導入されている。ロボット開発においてMBDを適用する場合、どのような取組が可能かについて、以下の問いにしたがい答えよ。

(1)モデルベース開発について、導入が進められた背景とその概要を述べよ。

(2)モデルベース開発をロボット開発に適用した場合、開発の各工程でどのような手法が導入可能かを具体的に述べよ。

(3)モデルベース開発を導入することにより期待される効果と予想されるリスクについて述べよ。

模範解答1  (簡易答案1)  添削履歴 0回 2018.10.25   専門事項 室内空間形成ロボット

.1 モデルベース開発の導入が進められた背景

①多種多様な市場ニーズに答えるべく、開発サイクルの短縮要求が高まってきた。

②繰り返される排ガス規制の強化に対応するため、ものづくりの手法の効率化が求められた。

③低コスト・短納期、品質維持を目的にモデルの標準化が進んでいる。

1.2 モデルベース開発の概要

システムのモデルを仕様として定義し、このモデルをベースに開発プロセスを再構築する手法である。何度も試作を繰り返して製品化する分野において、開発コスト減らし、期間短縮、システムの安全性・品質向上をめざすものである。

2.モデルベース開発も用いたロボット開発の具体的手法

①ロボットの設計工程と動作プログラム製作工程に利用

3DCADを用いてハードウェアを設計し、設計された機体を動かすためのソフトウェアを記述、シミュレーションを行う。アクチュエータの仕様を越えたトルクがかかると判定されれば、アクチュエータ選定からやり直したり、周りの部品の再設計を行う。

3.1 期待される効果

①試作や手戻りの削減によるコスト減、コンカレントエンジニアリング。

②シミュレーション上でアクチュエータやセンサなどのハードウェアの故障を注入することで故障が起きたときにどう対処させるか検証が可能となり、ロボット全体での品質が向上する。

3.2 予想されるリスク

シミュレーション上問題なく動いているものの、実機で動作させるとバックラッシやガタで想定した動きができないリスクがある。

20行750字

3.2 短所

 ①手先が基部のモータの負荷となり、可搬重量が小さくなる。

 ②位置を変更すると姿勢も変わるため、制御が複雑になる。冗長自由度を持たせると特異点も増える。

H30/2018年 機械・ロボット Ⅲ-1 

問題    現在,深層学習(ディープラーニング)は,様々な情報の認識に使われ,それによって得た結果を,ロボットの認知・判断・動作に活用しようというのが研究の主流となっている。しかし今後,ロボット動作の習熟にも深層学習が利用され,いろいろな産業で活用が進むと予想されている。あなたが,ロボット動作の深層学習機能を有する産業用ロボットの開発責任者に任命されたとして,以下の問いに答えよ。

( 1 )適用する産業分野と対象とする作業を1つ想定し,ロボットに動作を深層学習させるために,検討すべき技術的課題を3つ挙げよ。 ( 2 ) ( 1 )に挙げた検討すべき技術的課題のうち,あなたが最も重要であると考える技術的課題を1つ挙げ,実現可能な解決策を提示せよ。( 3 ) ( 2 )に挙げた解決策がもたらす効果を具体的に示すとともに,想定されるリスクについて記述せよ。

模範解答1   (簡易答案1)   添削履歴 7回 2018.10.24   専門事項 室内空間形成ロボット

1.適用分野と対象とする作業

適用分野:食品製造業

想定する作業:無造作に置かれた食材から1つをピッキングし、ベルトコンベア上を流れる弁当箱に食材を崩れないように盛り付ける

ロボットの仕様:食材位置を把握するためのカメラとアームの動きを認識するためのカメラを有する垂直多関節ロボット

1.2 技術課題3つ

①課題は、食材の識別と把持する位置選定である。

②課題は、食材の形状を損なうことなく,把持する力加減の教示である.

③課題は、多品種少量生産に対応するため,あらゆる食材それぞれに対して学習時間を短縮化することである.

2.技術課題③の実現可能な解決策

①食材を盛り付けるという学習時間を短縮化させるために、ロボットのアームの動きをやみくもに学習させず、認識・把持・移動・盛り付けごとの動作の区切りで分けて学習させる。

②スムーズに食材を盛り付けるために、各動作学習のつなぎを教示し、学習させる。

3.1 解決策がもたらす効果

①調整作業まで自動化できるため、現場での作業負荷が軽減される。ティーチングのコストが低減でき、生産性が向上する。

②ロボットの動作にヒューマンエラーが介入しない。各動作でモジュール化されているので、メンテナンス性が向上する。

3.2 想定されるリスク

無造作に置かれた食材が所定の位置になかったり,コンベアが停止した場合にロボット自身がどう対処すべきか判断できない.教示された動作以外の想定外の事態に対処ができないリスクがある.

30行900字

H30/2018年 機械・ロボット Ⅲ−2

問題   近年,多くの製造業で品質データの改ざんなどの不正問題が相次いでいる。不正行為は社会的な倫理に反するばかりでなく,それを利用する人々の安全を脅かす重要な問題である。利用拡大が進み,人との接点が増大しているロボット分野でも, この問題への対応が望まれる。協働ロボットの開発設計・生産及びューザでの運用を例に,不正を防止するためにはどのようにすべきなのかについて,以下の問いに答えよ。

( 1 )不正が発生する背景として,どのような状況が考えられるか述べよ。

( 2 ) 不正が発生した時に生じるリスクについて述べよ。

( 3 )そのリスクを回避するための方策を述べよ。

模範解答1   (答案形式)   添削履歴 6回 2018.10.24   専門事項 室内空間形成ロボット

1.不正が発生する状況について

 1.不正が発生する状況について

①納期厳守とコスト抑制を強要される状態

 短納期でモデルチェンジを行い、市場シェアの獲得を強いられる環境において,強度計算、振動抑制制御などを十分に検証する時間が確保できず,可搬重量やサイクルタイムの数値を偽り出荷してしまう状況が考えられる。また、出荷前検査で合格できずに手戻りが発生し、納期に間に合わない状況において、損害賠償請求や減額要求を避けるため、出荷前検査を合格と改ざんし、出荷することが考えられる。

②グローバル競争の激化

 新興国の技術力向上により、先進国で作られるロボットの優位性が揺らいできている。この状況下において、シェアや売上を向上させようと、人工知能(AI)搭載であたかもどんな状況にでも対応できるといった誇大広告をし、現状のシステムとそぐわないで出荷してしまうことが考えられる。仕様に記載が難しい品質を偽る状況が想定される。

③労働力の流動化による倫理観の欠如

 組織主義な価値観から個人主義社会への転換と雇用の流動化にともない、会社組織に属しているといった帰属意識の低下から、倫理観を持つことが希薄になる傾向にある。この状況において、不正を行うことをためらわないことが考えられる。

2.不正が発生したときに生じるリスクについて

①基準を満たさないロボットによって利用者が負傷する

 スペック上記載されている許容モーメントを満たさないアームで作業することで,剛性が足りず停止位置がずれて作業者が挟まれたり、最大速度以上の動作をし、利用者にけがを負わせてしまう危険性が考えられる.また,動作検証不足から共振するポイントが存在し,ロボットの暴走によって利用者が負傷することも考えられる.

②法的制裁や社会的制裁のリスク

 協働ロボットを使用し組み立てた製品で消費者が負傷し,被害が拡大することが考えられる.被害を受けた消費者からの損害賠償,業績悪化の影響を受け多大な損失を被った取引先等のステークホルダーから損害賠償を求められ事業が成り立たなくなる恐れがある。また,消費者の買い控えや風評被害の拡散も考えられる.不正の発覚により、指名停止や契約解除による受注機会損失、信用低下による顧客ばなれが加速するおそれもある。

③人材の流出

 不正を行った自社体質に嫌気がさし,退職者が増加し人材が流出する。人材を育てるためには時間・費用が掛かるため,開発の遅れやシェア低下を招く.

3.リスク回避のための方策について

①関係者が介在しない検査方法の確立

 検査の履歴が自動的に残り、改ざんが極めて不可能なブロックチェーンで品質管理することで、不正行為が行われないシステムを構築する。または、性能評価を第三者機関に委託し、第三者の目を入れることで開発設計・生産現場に緊張感をもって仕事に望む環境を構築する。

②高い見識・理念を核とする組織の構築

 社員全員に倫理教育を徹底する。上から業務命令として不正を行わなければならなくなった場合をシミュレーションし、その時にどうすべきなのかを自ら考える場をもつことで意識改革を行う。利益や納期のみを優先させるのではなく、品質管理に力をいれることを明記することで、品質問題が起きた際に声があげやすい風土をつくる。

③コア技術戦略

 競合企業に模倣できない技術を持つことで製品の差別化が図れ、付加価値を獲得できる。いずれ他社に模倣されるため,特許などの知的財産権確保も重要となってくるが、それ以上に特定分野の技術に競合を上回る投資を集中して、長期的に技術を育成していくことが重要である。単独の技術ではなく,ある技術領域に蓄積された体系的な技術知識を組織的に育成していくことが求められる。

H30/2018年 電気電子・情報通信 Ⅱ−1−1 問題 模範解答と解説

LPWA(Low Power Wide Area)技術について、その主な特徴を3つ挙げ、この技術の用途について説明せよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 4回 2018.12.31   専門事項 交通支援無線通信

1. 主な特徴

 1)低消費電力

  一般的な電池で数年から数十年にわたって運用可能な省電力性を持つ

 2)広域にわたるサービス提供

  全国的、さらには国際的な携帯電話レベルのカバレッジを提供可能

 3)多端末接続

  エンドポイント密度が高い

 4)低コスト

  ハードウエア・接続コストが安い

2.この技術の用途

 IoTにおいて、センサデータ送信のような通信量は少ないものの、給電が出来ない環境で遠距離通信を行う用途。具体的には、鉄道のレールに温度・荷重センサ等を取付け、LPWAを用いてデータを収集することにより、手測定の業務を省力化する。また、ガス・水道の検針データをLPWAを用いてセンタに送信することにより、検針員による検針業務の省力化できる。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 2回 2019.1.4   専門事項 交通支援無線通信

(1) 主な特徴

①低消費電力

 主に低頻度・低データレート通信のため、一般的な電池で数年から数十年にわたって運用可能な省電力性を持つ。

②広域にわたるサービス提供

 様々な場所・環境で使用されるユースケースをカバーするため、全国的、さらには国際的な携帯電話レベルのカバレッジを提供可能である。

③多端末接続

 送信タイミングの調整を行い、データ衝突を回避することで、エンドポイント密度を高めている。

④低コスト

 プロトコルスタックやセキュリティにシンプルなものを用い、ハードウエア・接続コストが安い。

(2) この技術の用途

 IoTにおいてセンサデータ送信のような通信量は少ないものの、給電出来ない環境で遠距離通信を行う用途がある。実用途では、鉄道のレールに温度・荷重センサ等を取付け、LPWAを用いてデータを収集し解析することにより、保全業務を効率化できる。また、ガス・水道の検針データを、LPWAを用いてセンタに送信することにより、検針業務を省力化できる。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.1.6   専門事項 交通支援無線通信

(1) 主な特徴

①低消費電力

 主に1日数回、1回あたり数百bps程度のユースケースを想定しているため、一般的な電池で数年から数十年にわたって運用可能な省電力性を持つ。

②広域にわたるサービス提供

 様々な場所・環境で使用されるユースケースをカバーするため、全国的、さらには国際的な携帯電話レベルのカバレッジを提供可能である。

③多端末接続

 送信タイミングの調整を行い、データ衝突を回避することで、エンドポイント密度を高めている。

④低コスト

 プロトコルスタックやセキュリティにシンプルなものを用い、ハードウエアコストは1チップ数百円程度、接続コストは年額数百円程度と安い。

(2) この技術の用途

 IoTにおいてセンサデータ送信のような通信量は少ないものの、給電出来ない環境で遠距離通信を行う用途がある。

 実用途では、鉄道のレールに温度・荷重センサ等を取付け、LPWAを用いてデータを収集し解析することにより、保全業務を効率化できる。また、ガス・水道の検針データを、LPWAを用いてセンタに送信することにより、検針業務を省力化できる。

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