H29年 建設・施工 Ⅱ−2−1問題 模範解答と解説

問題文

Ⅱ−2−1  

  中心市街地で軟弱地盤地帯に計画された高架橋下部工事において、橋脚(鋼矢板による山留め、掘削深さ5m)、基礎杭(杭径1000㎜、杭長30m、オールケーシング工法)の施工に当たり、以下の問いに答えよ。

(1)工事着手に当たり、施工計画作成に必要な事前調査項目とその概要を述べよ。

(2)基礎杭の施工時に生じやすい杭の品質・出来形に影響するトラブルを2つ挙げ、原因と防止対策について述べよ。

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 3回 専門事項 施工計画

1. 事前調査項目

(1)地盤条件:地質・地盤構成、地盤のN値、地下水位、透水性等の調査

(2)敷地条件:敷地及び周辺地盤の高低差、施工個所の位置形状の調査。

(3)周辺環境:隣接建物の有無、地下水利用状況の調査。

(4)地中埋設物等:上下水道等のインフラ埋設物、既存山留壁の調査。

(5)既設構造物:既存建物の地下躯体等の調査。

2.杭品質・出来形に影響するトラブルと原因・防止対策

(1)杭頭部の杭径不足

1)原因:軟弱地盤の場合に、杭頭付近でケーシングを引き抜いた際に、土圧が生コンの側圧以上に大きくなり、コンクリートが圧縮されて杭径不足になる場合がある。

2)防止対策:杭頭部分の地盤改良又は杭頭部の余盛コンクリートを大きくする。

(2)鉄筋かごの共上がり:ケーシングチューブの引き抜き時に、ケーシングチューブと鉄筋かごが接触して共に浮き上がる場合がある。

1)原因

①ケーシングの傾斜。

②鉄筋かごの変形。

③ケーシング内部への土砂固着。

2)防止対策

①ケーシングチューブの鉛直度保持と鉄筋かご頂部の動き監視。

②鉄筋かごの適切な位置にスペーサーを設置する。

③ケーシングチューブ先端を掘削孔底面より先行させる。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 専門事項 施工計画

1.施工計画作成に必要な事前調査項目と概要

(1)     地盤条件

地質・地盤構成、地盤のN値、地下水位、透水性等の調査。

(2)     敷地条件

敷地及び周辺地盤の高低差、施工個所の位置形状の調査。

(3)     周辺環境

隣接建物の有無、地下水利用状況の調査。

(4)     地中埋設物等

上下水道等のインフラ埋設物、既存山留壁、架空電線等の調査。

(5)     地下・既設構造物

地下鉄、既存建物の地下躯体等の調査。

2.杭品質・出来形に影響するトラブルと原因・防止対策

(1)杭頭部の杭径不足(先細り)の発生

1)原因

軟弱地盤の場合に、オールケーシング工法において杭頭付近でケーシングを引き抜いた際に、土圧が生コンの側圧以上に大きくなり、生コンの硬化までに土圧やケーシングを引き抜く際の反力等が側圧として杭中心方向に作用して、コンクリートが圧縮されて杭径不足になる場合がある。

2)防止対策

杭頭部分の地盤改良による孔壁の強化や、杭頭部の余盛コンクリートを大きくすることによる側土圧への抵抗力を高めることで杭径不足を防止する。

(2)鉄筋かごの共上がりの発生

オールケーシング工法において、ケーシングチューブの引き抜き時に、ケーシングチューブと鉄筋かごが接触して共に浮き上がる場合がある。

1)原因

①ケーシングの建て込み不良による傾斜が原因と考える。

②鉄筋かごの組立不良による変形が原因と考える。

③施工手順不良によるケーシングより削孔先行によるケーシング内部への土砂固着が原因と考える。

2)防止対策

①ケーシングチューブの鉛直度保持と鉄筋かご頂部にテープなどのマーキングによりケーシングチューブ引き抜き時の鉄筋かごの動き監視することにより防止する。

②鉄筋かごの適切な位置にスペーサーを設置することにより鉄筋かごの変形を防止する。

③ケーシングチューブ先端を掘削孔底面より先行させることにより孔底からの土砂やスライムの巻き込みによる土砂固着を防止する。

模範解答2  (簡易答案形式1)  添削履歴 2回 専門事項 建設生産システム

1.施工計画作成に必要な事前調査項目

1)地盤調査

地質調査・支持層の土質標本や柱状図、水文調査・地下水位・被圧層、汚染調査。

2)インフラ

地中埋設は、上下水道・ガス・消火栓・電力・電話・通信など、架空の電線など。

3)周辺構築物

周辺の構築物の構造・基礎形式・ひび割れ状況など、必要に応じて家屋調査。

4)道路状況

交通量調査、施工ヤードや工事車両の経路など、通学路、工事車両待機場所。

5)緊急時の対策

関連法令の手続き、インフラ損傷時の発注者・監理者・行政への連絡体制、対策工。

2.品質・出来高に影響するトラブル

1)杭支持層の判断間違い

杭支持層の判断間違いを挙げる。原因は、設計図書の深度のみで判断し、実際の地層と想定との異なり。防止対策として、掘削深度管理に加え、掘削先端の土砂と支持層の土質標本との比較やオールケーシングの揺動回転抵抗の変動にて判断する。

2)杭の天端レベルの下がり

ケーシング撤去時の杭のコンクリート天端の下がりを挙げる。原因は、ケーシング撤去時の杭径の膨れによる。防止対策は、類似地質の実績や先行杭のケーシング撤去後の杭天端の下がり実績を参考にし、コンクリート余盛を調整することである。

模範解答3  (簡易答案形式1)  添削履歴  8回  専門事項 施工計画

1.施工計画作成に必要な事前調査事項

①ボーリング調査

②敷地条件の確認

③支障物調査 

2.事前調査事項の概要

①ボーリング調査:支持層確認。高止まり、支持層未到達の不具合。

②敷地条件の確認:重機搬入路は重機の搬入が可能か、掘削機・重機・設備・鉄筋加工場が配置。既設構造物との最小離隔距離。

③支障物調査:地下埋設物(上下水道、ガス、電気、通信、情報等)

 試掘や探査等により埋設物の確認。

3.基礎杭の施工時に生じやすい杭の品質・出来形に影響するトラブル

   ①ケーシングの杭心ずれ、傾斜

   原因:軟弱地盤により、杭心の設定に用いる逃げ心が施工中に動く。

   防止策:杭の鉛直度をトランシット等により直交方向から杭の傾斜を確認。

②杭径がコンクリート充填不足等で所定の径より細くなる 

   原因:コンクリート打込時、ケーシング引き抜き後の孔壁に作用する外圧と内圧のバランスやコンクリートの充填性の不足。

   防止策:単位水量を確保する為、高性能AE減水剤等を添加する。

模範解答3  (簡易答案形式2)  添削履歴  3回 専門事項 施工計画

1. 施工計画作成に必要な事前調査事項

①ボーリング調査

②敷地条件の確認

③支障物調査 

2.事前調査事項の概要

①ボーリング調査(土質、地下水)

調査箇所は50〜100mに1箇所程度選点し支持層を確認する。連続した地層と支持力の確認、地下水の確認、圧密沈下層や液状化層の確認がある。

②敷地条件の確認事項

(1)道路運送車両の保安基準(道路運送車両法)・・・車両に対する制限

(2)車両制限令(道路法)・・・通行の制限

(3)道路交通法・・・積載の制限

(4)作業に使用する機械の設置で、設備・鉄筋加工場が配置され、作業に支障がない。

(5)杭打ち機と既設構造物との最小離隔距離を確認する。

③支障物調査

施工中に支障がある地下埋設物(上下水道、ガス、電気、通信、情報等)の有無の確認。

平面図や断面図で近隣の埋設物や構造物のチェックを行う。さらに、弾性波探査、電磁探査等の物理探査を実施する。

3.基礎杭の施工時に生じやすい杭の品質・出来形に影響するトラブル

   ①ケーシングの杭心ずれ、傾斜

原因:地盤中に転石や地中障害物が存在した場合、杭心ずれが発生する。

防止策:杭の鉛直度をトランシット等により直交2方向から杭の傾斜を確認。掘削孔の傾斜の管理値は、特記にない場合は1/100以下とする。掘削中の孔曲がりは、掘削機械の傾斜や土質の硬さが著しい変わり目に生じる事が多いので、表層地盤の強化や、掘削速度の調整等が必要となる。

②杭径がコンクリート充填不足等で所定の径より細くなる 

原因:コンクリート打込時、ケーシング引き抜き後の孔壁に作用する外圧と内圧のバランスやコンクリートの充填性の不足。

防止策:単位水量を確保する為、高性能AE減水剤等を添加し、従来に比べて粘性の高いコンクリートを打設する。流動性の低下が懸念される場合は、遅延型の高性能AE剤を使用することで凝結性状を改善でき、トレミー管から先行打設したコンクリートを押し広げ、充填不足を防止する。

模範解答3  (答案形式)  添削履歴  3回 専門事項 施工計画

.施工計画作成に必要な事前調査事項

①ボーリング調査

②敷地条件の確認

③支障物調査

2.事前調査事項の概要

①ボーリング調査(土質、地下水)

調査箇所は50m〜100mに1箇所程度選点し、支持層を確認する。連続した地層と支持力の確認、地下水の確認、圧密沈下層や液状化層について調査する。

②敷地条件(関係法令・施工条件)

1)道路運送車両に対する制限。

2)車両の制限における通行。

3)道路交通法で積載の制限。

4)作業ヤード配置。

5)杭打ち機と既設構造物の最小離隔距離。

③支障物調査(地下埋設物)

施工中に支障がある地下埋設物(上下水道、ガス、電気、通信、情報等)の有無を確認する。平面図や断面図で近隣の埋設物や構造物のチェックを行う。

さらに、地下の構造や状態、地下資源の存在などを調査する為、弾性波探査、電磁探査等の物理探査を実施する。

3.基礎杭の品質・出来形のトラブル

①ケーシングの杭心ずれ、傾斜

原因:地盤中に転石や地中障害物が存在した場合、杭心ずれが発生する。

防止対策:

杭の鉛直度をトランシット等により直交2方向から杭の傾斜を確認する。掘削孔の傾斜の管理値は、特記仕様書に記載がない場合1/100以下とする。

掘削中の孔曲がりは掘削機械の傾斜や土質の硬さが著しい変わり目に生じる事が多いので、表層地盤の強化や、掘削速度の調整等が必要となる。

②コンクリート充填不良で径不足

原因:コンクリート打ち込み時、ケーシング引き抜き後の孔壁に作用する外圧と内圧のバランスやコンクリートの充填性の不足により発生する。

防止対策:

 a)コンクリートの流動性確保

単位水量を確保する為に、高性能AE減水剤等を添加する事で、従来に比べて粘性の高いコンクリートを打設する。スランプの経時変化により流動性の低下が懸念される場合は、遅延型の高性能AE減水剤を使用することで、凝結時間を遅延する。

b)トレミー管による打設

充填不足を解決する為に、コンクリートの打ち込み速度は1〜2m3/minとする。コンクリートの天端はアジテータ車1台分打ち込みごとに計測し、打ち込み中トレミーの先端が常にコンクリート中に2m以上挿入されていることを確認する。

H29年 建設・施工 Ⅲ-2問題 模範解答と解説

問題文

 建設産業には、安全と成長を支える重要な役割が期待されているものの、今後10年間に労働力の大幅な減少が予想されており、建設現場の生産性向上は避けて通ることのできない課題である。そのため、国土交通省においては、産官学が連携して、生産性が高く魅力的な新しい建設現場が創出されるように、i-Constructionに取り組んでいるところである。他方、政府においては、一億総活躍社会の実現に向けた産業・世代間等における横断的な課題を解決するために、働き方改革にチャレンジしている。建設産業は他産業に比べて厳しい労働環境にあり、小規模な企業の技能労働者を始めとして、働き方改革の改善が喫緊の課題となっている。これらを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)働き方改革を考える上で、建設業が抱える慢性的な課題を3つ挙げ、その背景も含め説明せよ。

(2)(1)で挙げた課題について、あなたが有効と考えるi-Constructionの方策を1つ挙げ、適用できる場面と具体的な利用方法、及びそれによって得られる改善効果を、事例を交えながら説明せよ。

(3)建設部門における働き方改革を効果的に進めるために、雇用や契約制度などに関して改善すべき事項を取り上げ、あなたの考えを述べよ。

模範解答1  (簡易答案形式)  添削履歴 8回 専門事項 施工計画・施工管理

1.建設業の慢性的な課題

(1)課題:長時間労働を削減する。

背景:経験のある労働者の不足。

(2)課題:女性や高齢者が働きやすいように就労環境を整備する。

背景:男性社会の名残りが多く、衛生面や就労体制が男性中心である。

(3)課題:高所などの危険を伴う作業を削減する。

背景:人身事故が多く発生する。

2. i-Constructionの有効策と適用、効果、改善効果

有効なi-Construction:マシンコントロール

a.  適用できる場面:広範囲を切土や盛土する造成工事

b.  具体的な利用方法:地形測量情報を記憶した重機により、自動的に切土と盛り土量を計算しながら施工する。

c.  改善効果:①測量待ちがなく、施工位置と施工量が短時間で確定するので、作業時間の短縮になる。

②施工の難易度が事前に把握できるため、重機の種類変更などがスムーズにでき、工程遅延による運転者への負担が減少する。

③重機と測量作業者の近接作業がなくなり、事故防止になる。

3.働き方改革を効果的に進めるための雇用や契約の改善事項

(1) 働き方改革のための雇用面の改善事項

改善前:ベテランの引退による人手不足で、労働者への負担が増加する。

改善事項:①ベテランを入れたシフト勤務体制で、技術の継承と人材確保を両立する。

②休憩所や更衣室などの福利厚生を完備し、働きにくさを解消して、女性の入職者を確保する。

③講習会等の技術習得のサポート制度を導入し、継続的に就労者を確保する。

(2) 働き方改革のための契約面の改善事項

改善前:施工時期が一定の期間に集中しているため、労働者不足が発生している。

改善事項:①維持管理付きや包括、複数年の期間の長い契約により、労働者の偏りをなくした雇用ができる。

②施工時期を受注者が選択できるフレックス契約にすることで、施工者の人材や資機材を確保しやすくする。

③雨天等の不可抗力の作業休止実績を月次で工程に反映させて逐次工期の見直しを行う制度を作り、労働者の休暇を取得しやすくする。

模範解答2  (簡易答案形式1)  添削履歴 5回 専門事項 施工計画・施工管理

1.建設業が抱える慢性的な課題

1)労働力の不足

①少子高齢化に伴い労働人口が減少する

②就労環境の悪さによる新規入職者の減少、熟練技術者の離職・退職

2)生産効率が低い

①単年度予算の執行のため年度末に工期末が集中する

②労働集約型であり人手がかかる

③現地屋外生産のため気象の影響を受ける

3)労働災害が多い

  ①高所作業や重機との近接作業等、危険を伴う作業が多い

2.有効と考えるi-Constructionの方策

ICTの全体的な活用(ICT土工)

1)適用できる場面

築堤、造成等の掘削、盛土工事

2)具体的な利用方法

ドローンによる起工、出来形測量、MCバックホウによる法面整形、床付

3)改善効果

①省力化により従来よりも少人数で高品質な施工が可能

②丁張設置が不要となり省力化・待ち時間短縮、出来形書類の作成労力軽減

③重機の手元作業員が不要となり安全性が向上する

3.雇用や契約制度等に関して改善すべき事項

1)処遇改善

①共通仮設費等を反映させたうえで週休2日を確保した工期設定を行う

②建設キャリアアップシステムによりスキルアップを正当に評価する

③重層下請構造是正のため、生産性向上等により企業経営を安定させ日雇労働

者や一人親方の社員化や社会保険への加入を促進する

2)若年・女性の入職促進

①現場見学会やインターンシップ等を積極的に行い、建設業の魅力を伝える

②富士教育訓練センターや職業訓練校を活用し、技能向上・就職支援を行う

③女性向けのハード整備、家庭との両立を考慮した労働時間の設定を推進する

30行634字

模範解答2  (簡易答案形式2)  添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理

1.建設業が抱える慢性的な課題

1)労働力の不足

①少子高齢化に伴う定年退職者増、新規入職者数減少により、労働者数が減少する。

②他産業に比べて低賃金、重労働といった就労環境の悪さにより、新規入職者は減少し、既存の労働者の中にも他産業に転職する者が出てくる。

2)生産効率の低さ

①公共工事は単年度予算のものが多く、年度末に工期末が集中し人手や資機材が不足する一方、年度始は仕事が少ないため遊休が発生する。

②一部を除き機械化が進んでおらず、人手による作業が多い労働集約型産業である。

③現地屋外生産のため、寒暖・風雨の影響を受け品質確保や工程への対処が必要となる。

3)労働災害の多さ

①高所作業や重機との近接作業等、危険を伴う作業が多く、全産業で死亡者数が最も多い。

2.有効と考えられるi-Constructionの方策

 上記の課題に対し、「ICTの全体的な活用(ICT土工)」が有効と考える。

1)適用できる場面

 築堤、造成等の掘削、盛土工事に適用することができる。

2)具体的な利用方法

 ドローンにより起工、出来形測量を3Dで行うことや、そのデータをMCバックホウに取り込んで法面整形、床付けの施工を行う。

3)改善効果

①測量、施工ともに手元作業者が不要となり作業時間短縮、安全性向上に繋がる。

②バックホウにおいては感覚に頼る部分が無くなり、経験の浅いオペレーターでも高精度の施工が可能となる。また、丁張が不要となるため、技術者の負担が軽減され作業の待ち時間も短縮される。

③測量データを取り込み出来形書類を自動作成することが可能となる。

3.雇用や契約制度等に関して改善すべき事項

1)処遇改善

①週休2日導入のため、共通仮設費等を割増して工期延長のコスト増を解消した工事発注を行う。

②建設キャリアアップシステムにより経験、保有資格等が評価され将来性ある労働環境を整備する。

③重層下請構造是正のため、生産性向上(ICT土工、コンクリート工のプレハブ化の導入等)により企業経営を安定させ日雇労働者や一人親方の社員化や社会保険への加入を促進させる。

2)若年・女性の入職促進

①社会貢献度の高さ等建設業の魅力を伝えるため現場見学会やインターンシップ等を積極的に行う。

②入職促進のため、富士教育訓練センターや職業訓練校を活用し、技能向上・就職支援を行う。

③女性が働きやすい環境として、ハード整備や家庭との両立を考慮した労働時間の設定を行う。

1001字

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 1回  専門事項 施工計画・施工管理

1.建設業が抱える慢性的な課題

1)労働力の不足

①少子高齢化に伴い、熟練技術者は定年退職する一方で新規入職者は減少していく。結果として、労働者数が減少する。

②他産業に比べて、低賃金、長時間労働といった就労環境の悪さにより、新規入職者は減少し、既存の労働者の中にも他産業へ転職する者が出てくる。

2)生産効率の低さ

①公共工事は単年度予算のものが多く、年度末に工期末が集中し人手や資機材が不足する一方、年度始は仕事が少なく遊休が発生する。

②平成初期をピークに建設投資が減少し、労働力過剰な状況が続いてきた。このため、トンネル等一部を除き機械化が進まず、人手による作業が多い労働集約型産業となっている。

③現地屋外生産のため、天候の影響を受ける。具体的には温度管理や水分管理等の品質確保、雨天休工後の休日施工等の工程調整が必要となる。

3)労働災害の多さ

①仮設足場での高所作業や重機との近接作業、火器や刃物の使用等、危険を伴う作業が多く、全産業での死亡者数の比率が30%を超え最も多い。これは労働者数の比率が約10%であることを考慮すると非常に高いといえる。

2.有効と考えられるi-Constructionの方策

 上記の課題に対し、「ICTの全体的な活用(ICT土工)」が有効と考える。

1)適用できる場面

 築堤、造成等の掘削、盛土工事に適用することができる。

2)具体的な利用方法

①ドローンやレーザースキャナーを使用して起工、出来形測量を3Dで行う。

②そのデータをMC(マシンコントロール)バックホウ、ブルドーザーに取り込んで法面整形、床付け、転圧等の施工を行う。

3)改善効果

①測量、施工ともに手元作業者が不要となり作業時間短縮、安全性向上に繋がる。また、2次元に比べ精度も上がり点群データを解析しPCで立体表示が可能となる。

②重機においては感覚に頼る部分が無くなり、経験の浅いオペレーターでも高精度の施工が可能となる。また、丁張が不要となるため、技術者の負担が軽減され作業の待ち時間も短縮される。

③重機に搭載されたGNSSにより日々の施工量が自動計算され進捗状況が一瞬で確認できる。また、測量データをPCに取り込み出来形書類を自動作成することが可能となる。

3.雇用や契約制度等に関して改善すべき事項

1)処遇改善

①週休2日導入のため、共通仮設費や労務費等を割増して工期延長のコスト増の解消や、日雇労働者の給与減を抑制する工事発注を行う。

②建設キャリアアップシステムにより経験、保有資格等が評価され、昇給に繋がるといった将来性のある労働環境を整備する。

③重層下請構造是正のため、生産性向上(ICT土工、コンクリート工のプレハブ化の導入等)により企業経営を安定させ、日雇労働者、一人親方の社員化や社会保険への加入を促進させる。

2)若年・女性の入職促進

①インフラ整備や災害復旧等、建設業が社会貢献度の高く魅力ある職業であることを伝えるため、現場見学会やインターンシップ等を積極的に行う。

②新規入職促進のため、富士教育訓練センターや職業訓練校等を活用し、技能向上や就職支援を行う。また、講師として退職した熟練技術者を活用する。

③女性が働きやすい環境整備として、トイレや更衣室等のハード整備や、家庭との両立を考慮した労働時間の設定を行う。

模範解答3  (簡易答案形式1)  添削履歴 1回 専門事項 施工計画・施工管理

1.建設業が抱える慢性的な課題

(1)課題:技能労働者の労働時間短縮

背景:日本全体の生産年齢人口が減少する中、近年の建設投資の減少により技能労働者の離職が進み慢性的に技能労働者が不足している。労働時間についても全産業平均より長時間労働になっており、週休2日も十分確保されていない。

(2)課題:技能と経験に見合った処遇(賃金)の確保

  背景:建設業生産労働者の賃金は製造業に比べ低い水準にあり、建設産業の将来を担う若い担い手が入職を避けるようになっている。

(3)課題:生産性向上のための現場作業効率化

 背景:激震化する災害や今後急増する老朽化施設の維持管理・更新には、現状では大掛かりで多大な費用を要する。限られた人材・財源で効率よく行う必要があるため、建設生産システムにおける生産性の向上を推進することが喫緊の課題である。

2.有効と考えるi-Constructionの方策:自動化施工技術

(1)適用できる場面:広範囲で急傾斜地での土工事施工。

(2)具体的な利用方法

①ドローンを使用した3次元測量

②ICT建機により、3次元測量データを使用し自動制御により無人化施工する。

(3)改善効果

 ①測量作業自体が大幅に減少するので、施工位置の確定や施工数量の計測までの作業時間を大幅に短縮することができる。

 ②ICT建機での自動施工は、斜面等での計測作業を減らすので、経験年数の浅い若いオペレーターでも精度よく施工できる。又、建機周りでの作業を減らせるので安全性も向上する。

3.働き方改革を効果的に進めるための雇用や契約制度等の改善すべき事項

(1)雇用面に関する改善事項

1)長時間労働の是正:週休二日制を含めた休日の拡大を図る

 2)処遇の改善:技能と経験に合った賃金の確保に取り組む。

(2)契約面に関する改善事項

1)長時間労働の是正:週休二日制を前提とした適正な契約工期設定へ取り組む。

2)処遇の改善:社会保険加入促進に取り組む。

模範解答3  (答案形式)  添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理

1.建設業が抱える慢性的な課題

(1)課題:技能労働者の労働時間短縮

日本全体の生産年齢人口が減少する中、近年の建設投資の減少により技能労働者の離職が進み慢性的に技能労働者が不足している。

労働時間についても全産業平均と比較して年間300時間以上長時間労働の状況にあり、他産業では当たり前となっている週休2日の確保も含めた技能労働者の労働時間短縮が課題である。

(2)課題:技能と経験に見合った処遇の確保

  建設業全体で処遇(賃金)は上昇傾向にあるが、生産労働者(技能者)については、製造業と比べ低い水準にある。

建設産業の将来を担う若い担い手の入職を促進するためには、技能労働者の処遇を適正に改善することが課題である。

(3)課題:生産性向上のための現場作業効率化

 激震化する災害や今後急増する老朽化施設・インフラ等の維持管理・更新には、現在の事後保全型の維持管理方法では、対策が大掛かりで多大な費用を要する。

  建設投資が減少し、建設産業の労働人口が減少する中、限られた人材・財源で効率よく行う必要がある。そのためには、建設生産システムにおける生産性の向上のための現場作業の効率化を推進することが喫緊の課題である。

2.課題解決策:

i-Constructionの方策:自動化施工技術

(1)適用できる場面

広範囲の造成工事や急傾斜地での切土盛土等の土工事施工に適用できる。

(2)具体的な利用方法

①ドローンを使用した3次元測量により3次元地形測量情報を収集しデータ化する。

②ICT建機により、3次元測量データを使用し自動制御により切土と盛土量を計算しながら無人化施工を行う。

(3)改善効果

 ①測量時間の大幅短縮

測量待ちがなく測量作業自体が大幅に減少するので、施工位置や施工数量の計測から確定までの作業時間を大幅に短縮することができる。

 ②自動化施工による生産性向上

ICT建機での自動化施工は、斜面等での計測作業を減らすので、経験年数の浅い若いオペレーターでも精度よく施工でき、且つ大幅な工期短縮が可能となる。又、重機周りでの測量作業や高所作業を無くすことができるので、重機との接触事故を防止し安全性も向上する。

3.雇用や契約制度等の改善すべき事項

(1)雇用面に関する改善事項

①熟練技能労働者の雇用延長

熟練労働者の雇用延長や、短縮労働時間シフトへの取り組みにより労働力不足を改善し、若い担い手への技術の継承も行う。   

②若手技能労働者の雇用拡大

週休二日制を含めた休日の拡大を図ることにより若手技能労働者の労働時間短縮を推進し、若手技能労働者の入職を促進する。

 ②女性労働者の雇用拡大

   更衣室、休憩所、便所等、女性の働き易い環境を整備し、女性労働者の雇用拡大を促進する。

(2)契約面に関する改善事項

①技能労働者の契約条件改善

週休二日制を前提とした適正な契約工期設定へ取り組むことにより技能労働者の労働時間短縮及び労働者不足対策に取り組む。

②社会保険加入促進

社会保険加入促進に取り組むことにより、技能労働者の労働環境整備推進に取り組む。工事契約時のみならず、継続的なモニタリング調査等により加入推進状況を確認する必要がある。

模範解答4 (簡易答案形式1)  添削履歴 4回 専門事項 建設生産システム

1)建設業が抱える慢性的な課題

1)生産性の向上

社会資本の提供や老朽化資本の維持管理・更新のため担い手の確保は必須である。限られた人材で生産を確保するためには、「生産性の向上」をさせることが課題。

2)処遇の改善

建設技能労働者の処遇は低く、若手の入職や定職者離れの要因となっている。技能労働者の確保のためには、適切な評価に基づく「処遇の改善」をすることが課題。

3)人材の育成

品質の確保となる技術の継承は、熟練者と若手担い手とを組み合わせ、作業を通じて図られてきた。技術の継承をするためには「人材の育成」をすることが課題。

(2)有効と考えるi-Constructionの方策

1)適応できる場面

「生産性の向上」の解決策として、「コンクリート工の規格の標準化」挙げる。例えば、建築物の部材構成を工場生産のプレキャスト化を採用する。

2)具体的な利用方法

具体的には、設計段階より「標準規格化したプレキャスト製品やプレハブ鉄筋などの工場製作した定形部材」を採用し、現地では部材を組み立て構築させる。

3)改善効果

工場制作部材であり「安定した品質管理」ができ、標準化規格部材の採用により発注後の制作とならず工期短縮となる。現地作業が減り「生産性の向上」が図れる。

3.雇用や契約制度等に関して改善すべき事項

1)契約形態の方式

プレキャスト製品やプレハブ鉄筋などの採用は、設計段階より施工者が参加できると取り組みやすくなるため、ECI方式やDB方式にすることが望ましい。

2)処遇の改善

休日の確保のため、受注条件に休日(閉所日)を考慮した工期を設定する。また、キャリアアップシステムの運用により適正に評価し、賃金などの処遇に反映させる。

3)雇用の拡大 

 外国人材の技能実習修了者の雇用促進を図り、建設需要への適応を図る。発展的には海外でのインフラ需要における国内での教育訓練の充実強化の場とする。

模範解答4 (簡易答案形式2)  添削履歴 1回  専門事項 建設生産システム

(1) 建設業が抱える慢性的な課題

①生産性の向上:社会資本の提供や老朽化資本の維持管理・更新のため担い手の確保は必須である。限られた人材で生産を確保するために、「生産性の向上」が課題。

②処遇の改善:建設技能労働者の処遇は低く、若手の入職や定職者離れの要因である。技能労働者の確保のために、適切な評価に基づく「処遇の改善」が課題。

③人材の育成:品質の確保となる技術の継承は、熟練者と若手担い手とを組み合わせ、作業を通じて図られてきた。技術の継承をするために、「人材の育成」が課題。

(2) 有効と考えるi-Constructionの方策

①適応できる場面:事例とし、鉄筋コンクリートの橋脚の施工を挙げる。「生産性の向上」の解決策は、「コンクリート工の規格の標準化」とする。サプライチェーンマネジメントとして、規格化した工場生産のPCaコンクリートフォームを採用するとともに、先組したプレハブ鉄筋やユニット足場も合わせて採用する。より効率化を図るために、フロントローディングやコンカレントエンジニアリングを図る。

②具体的な利用方法:従来工法と採用する生産性向上工法の手順を示す。

・従来工法:施工手順は、足場架設→鉄筋組→型枠組、コンクリート打ち込み→型枠払の繰り返し作業となる。

・生産性向上工法:型枠は代替えとしてPCaコンクリートフォーム、鉄筋は型枠高さに合わせたプレハブ鉄筋、足場はPCaコンクリートフォームに合わせたユニット足場を工場にて制作。現場では、プレハブ鉄筋を架設→PCaコンクリートフォームを架設(ユニット足場は最上部のPCaコンクリートフォームに地上で先行取り付け架設)→コンクリート打ち込み→繰り返し作業となる。

③改善効果:現地作業が減り「生産性の向上」が図れる。以下に要点を示す。

・工場制作をするため、安定した品質管理ができる。

・標準化規格部材の採用により発注後の制作とならず工期短縮となる。

・PCaコンクリートフォームを代替え型枠とすることで、型枠工が省力化する。

・プレハブ鉄筋・ユニット足場により、省力化となる。

・高所作業が、激減し墜落災害の要因が減る、など。

(3) 雇用や契約制度等に関して改善すべき事項

①契約形態の方式:プレキャスト製品やプレハブ鉄筋などの採用は、設計段階より施工者が参加できると取り組みやすくなるため、ECI方式やDB方式にすることが望ましい。

②処遇の改善:休日の確保のため、受注条件に休日(閉所日)を考慮した工期を設定する。また、キャリアアップシステムの運用により適正に評価し、賃金などの処遇に反映させる。

③雇用の拡大:外国人材の技能実習修了者の雇用促進を図り、建設需要への適応を図る。発展的には海外でのインフラ需要における国内での教育訓練の充実強化の場とする。

模範解答5 (簡易答案形式1)  添削履歴 9回   専門事項 施工計画

.建設業が抱える慢性的な課題

①担い手不足による労働者不足

建設投資額の減少・競争の激化により、建設業者数や就業者数の減少傾向。

結果として現場の技能労働者の高齢化や若年入職者の減少。

②建設後50年以上経過による高齢化の割合の増加

 施設の老朽化による重大な損傷事故等が今後も発生する可能性。

 施設の情報不足や維持管理に係わる基準・マニュアルにバラツキがある。

 ③天候など自然条件に影響を受けやすい為、労働時間が長い

  建設業は労働時間が長く、出勤日数も多いのが特徴。

  製造業に比べて年間出勤日数が17日多い。

2.i-constructonでの方策

  ドローン等による3次元測量で労働時間短縮

適用場面:山間部を通る道路工事において、法面に測量、丁張りかけする作業。3次元測量データと設計図面との差分から、施工量(切土、盛土量)・施工位置を自動算出。

得られる改善効果:3次元設計データ等により、ICT建設機械を自動制御し、施工を効率化。重機の日当たり施工量1.5倍。作業員約1/3。

     従来の3Kのイメージを払拭し、多様な人材を呼び込む事で人手不足解消。新3Kで魅力ある建設現場に改善。

3.雇用や契約制度等に関して改善すべき点

 ①女性の建設従事者の環境改善

   作業環境の整備、出産後の現場復帰支援、快適トイレの整備

 ②外国人労働者の雇用拡大

   欧米人、アジア人以外に中東地域の人も招く為、ハラル対応の急速や礼拝所の整備。

 ③社会保険などの法定福利費の確保

   下請企業は標準見積書の活用等により、法定福利費相当額を内訳明示した見積書を注文者に提出。

雇用する建設労働者が社会保険に加入する為に必要な法定福利費を確保。

模範解答5 (簡易答案形式2)  添削履歴 2回   専門事項 施工計画

1.建設業が抱える慢性的な課題

①担い手不足による労働者不足

建設投資額の減少・競争の激化により、建設業者数や就業者数の減少傾向である。結果として現場の技能労働者の高齢化や若年入職者の減少となり、技能労働者の人手不足になっている。

②建設後50年以上経過による高齢化の割合の増加

    高度経済成長期に集中的に整備され、近年、これらの社会資本の老朽化が急速に進行している事から、施設の老朽化による重大な損傷事故等が今後も発生する可能性が大きい。

    施設の情報不足や維持管理に係わる基準・マニュアルに各管理者間でバラツキがあったり、技術職員が不足している問題もある。

③天候など自然条件に影響を受けやすい為、労働時間が長い

建設業は労働時間が長く、出勤日数も多いのが特徴である。製造業に比べて年間出勤日数が17日多いのは、完全週休2日制の普及状況が低いことである。

2.i-constructonでの方策

   ①方策:ドローン等による3次元測量した結果を用いて労働時間短縮を図る。

②適用場面:山間部を通る道路工事において、法面で測量、丁張りかけする作業に適用出来る。

3次元測量データから施工位置を自動算出し、作業に掛かる時間を短縮する。

③得られる改善効果:

(1)ドローン等による写真測量等により、短時間で面的(高密度)な3次元測量を実施。

(2) 3次元測量データ(現況地形)と設計図面との差分から、施工量(切り土・盛り土量)を自動算出。

(3)ICT建設機械を自動制御し、施工を効率化。

(4) 3次元測量を活用した検査等により、検査の省略化。

3.雇用や契約制度等に関して改善すべき点

①女性の建設従事者の環境改善

育児休暇・介護休暇の他、事業所の性格に応じ勤務時間管理を弾力化し、例えば朝礼への参加免除など育児・介護に協力すると共に、現場管理についての意識改革を進める。

トイレ、更衣室等の整備を推進し、働きやすい現場環境整備。

②外国人労働者の雇用拡大

 欧米人、アジア人以外に中東地域の人も招く為、ハラル対応の急速や礼拝所の整備をする。

 同一労働同一賃金の原則を踏まえて、国内建設事業の人材不足の補充策として活用する。

③社会保険などの法定福利費の確保

下請企業は、法定福利費相当額を内訳明示した見積書を注文者に提出する。元請企業は、提出された見積書を尊重し、各々の対等な立場における合意に基づき請負契約を締結する必要がある。法定福利費を賄う事ができない金額で請負契約を締結した場合、建設業法第19条に違反するおそれがあるので慎むこと。

模範解答5 (答案形式)  添削履歴 6回   専門事項 施工計画

.建設産業が抱える慢性的な課題

①担い手不足による労働者不足

五輪等の需要で建設投資が急増した為、工事量に対し技術者比率が低下傾向で、技術者不足が生じている。

 今後は、若手の入職が重要で「給料高い・休日多い・希望が持てる」など若手技術者が魅力を感じる事ができるようにPRしていく事が不可欠である。戦略手金広報で、建設産業の魅力を建設業界全体で発信する。

②インフラの高齢化の割合増加

近年、社会資本の老朽化が急速に進行していることから、施設の老朽化による重大な損傷事故等が今後も発生する可能性が大きい。

 施設の情報不足や維持管理に係わる基準の平準化や維持管理工事のビックデータによるデータ分析を実施する事で危険を予知する。また、民間の資金・知恵等を活用し、民間の事業機会の拡大による経済成長を実現していく為、PFIを積極的に推進する。

③長い労働時間

建設業の労働時間が長いのは、休日が少なく出勤日数が多いのが要因である。

今後は、適正工期の確保及び完全週休2日制の実現による、建設業に従事する人々の生活の質の向上させる事が重要である。また、ICTを全面的に活用、中小企業への支援等により生産性を向上を進める。

2.i-constructionでの方策

①方策:ドローン(UAV)空撮測量とは、カメラを搭載したドローンを低空飛行させ連続写真を撮影する写真測量技術の一種である。画像解析により各写真の特徴点抽出と写真間の対応付けを行い、カメラ位置を推定することで、3次元座標を持った点群を得られる。低空で撮影した高解像度画像を用いる事から、より詳細な地形を得る事ができる。

②適用場面

ドローン測量では、1度のフライトによる観察で、地形図、縦断図、横断図に必要な単点の位置及び標高の所得が短時間で高精度のデータを取得できる。ドローン測量から得た3次元測量データを基に施工位置を自動算出し、測量・丁張り作業が不要となる。

また、検査では3次元測量を活用した検査等により、出来形書類が不要となり、検査項目が半減する。

③得られる改善効果 

1)UAV測量による測量で測定時間を短縮できる。

2)3次元測量データと設計図面との差分から、施工量(切土、盛土量)を自動算出できる。

3)UAV写真測量により3Dモデルの点群データを多く取得できる為、3次元での数量算出ほうが高精度である。

4)ICT建設機械を自動制御し施工途中の丁張設置が不要なため、作業の効率化を図れる。

5)UAV測量は施工中に作業を止める事無く測量できるので、進捗状況を効率的に管理できる。

3.雇用や契約制度等の改善点

①女性建設従事者の環境改善

育児休暇・介護休暇の他、事務所の性格に応じ勤務時間管理を弾力化し、例えば朝礼への参加免除など育児・介護に協力し、現場管理の意識改革を進める。快適トイレ、更衣室等の整備を推進し、働きやすくする。

 また、現場に女性管理職、女性職員を増員し女性同士がコミュニケーションを取れるようにし、女性目線での現場環境改善を進める。

②外国人労働者の雇用拡大

 近年、ベトナム、フィリピン、インドネシア等からの労働者が増加している。外国人の多国籍化により、現場内の安全看板に英語、中国語、ベトナム語等も追記し、外国人が理解できるようにする。

また、慣れない環境の中で生活し、就労する為、仕事面、生活面、精神面でもフォローできる環境整備を進める。

③社会保険等の確保

下請企業は、法定福利費相額を内訳に明示した見積書を注文者に提出する。元請企業は、提出された見積書を尊重し、各々の対等な立場における合意に基づき

請負契約を締結する。

マイナンバー制度を活用し、税と社会保障の分野で連携を進め、社会保険等未加入企業に対する加入指導に進展させる。

H29年 建設・施工 Ⅱ−1−2問題 模範解答と解説

問題文

Ⅱ−1−2 建設工事における共同企業体(JV,ジョイントベンチャー)は、工事の規模や性格、結成目的などによって形態が分かれ、さらに甲型と乙型に区分される。共同企業体の形態について2つ挙げ、それぞれの名称(略称可)と概要を示せ。また、甲型と乙型について、それぞれ説明せよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 専門事項 施工計画・施工管理

1.共同企業体形態の結成目的による分類

 建設工事における共同企業体には、その結成目的により、1)特定建設共同企業体(特定JV)、2)経常建設共同企業体(経常JV)などがある。

1)特定JV:特定の工事の施工を目的として工事ごとに結成され、工事完成後または工事を受注できなかった場合は解散する。大規模で技術的難度の高い工事が、特定JVの対象となる。

2)経常JV:中小・中堅建設業者が継続的な協業関係を確保することにより、その経営力・施工力を強化する目的で結成する。発注機関の入札参加資格申請時に経常JVとして結成し、単体企業と同様に、一定期間、有資格業者として登録される。

2.施工方式の違いによる分類

共同企業体は施工方式によりさらに1)甲型、2)乙型に区分される。

1)甲型共同企業体:全構成員が、各々あらかじめ定めた出資の割合に応じて、資金、人員、機械等を拠出して一体となって工事を施工する方式である。利益は出資比率に応じて分配される。

2)乙型共同企業体:各構成員間で、共同企業体の請け負った工事をあらかじめ工区に分割して、各構成員はそれぞれの分担した工事について責任を持って施工する方式である。損益計算は各構成員の分担工事ごとに行われる。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 2回  専門事項 施工計画・施工管理

1.共同企業体の形態

1)特定建設工事共同企業体

 大規模(予定価格3億円以上が対象)かつ技術的難易度の高い特定の工事の施工を目的として工事毎に自主的に結成される。代表者は、施工能力の大きい者で出資比率は構成員中最大とされている。

2)経常建設共同企業体

中小・中堅建設業者が継続的な協業関係を確保することにより、その経営力・施工力を強化する目的で自主的に結成される。発注機関の入札参加資格審査申請時に経常JVとして結成し、単体企業と同様に一定期間、有資格業者として登録される。代表者及び出資比率は、構成員が自主的に決定することになっている。

2.共同企業体の施工方式

1)甲型共同企業体(共同施工方式)

 1つの工事について、あらかじめ定めた出資比率に応じて、各構成員が共同して施工する方式である。発注コストを削減できるため大型工事への対応が容易となる。又技術者は上位級の高度な技術経験ができる。

2)乙型共同企業体(分担施工方式)

 1つの工事について、あらかじめ各構成員の分担工事額を取り決め、工区別等に分割しそれぞれ施工する方式である。工区割りが比較的容易な工事や専門工事部分を容易に分割できる場合に用いられる。

H29年 建設・施工 Ⅱ−1−4 問題 模範解答と解説

問題文

Ⅱ−1−4 コンクリートに要求される基本的品質を4つ挙げ、そのうちの2つについて、基本的品質を確保するために留意すべき事項を概説せよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 専門事項 施工計画・施工管理

1.コンクリートに要求される4つの基本的品質

コンクリートに要求される基本的品質としては、①強度、②ワーカビリティー、③水密性、④耐久性などがある。①と④について概説する。

2.強度確保のために留意すべき事項

1)密実なコンクリートの打設と水和反応の促進

 強度確保は、打設時の緻密な水和組織の形成と湿潤養生が重要な要件となる。施工時の留意事項を述べる。

(1)内部振動機やタンピングによる適切な締固めでコンクリート中のエントラップトエアや余剰水を確実に排出し、空隙を減らす。

(2)打込み後は水和反応促進のため、コンクリート表面の水分の散逸を防ぎ湿順状態を維持する。湿潤養生はできるだけ長い期間行う。

3,水密性確保のために留意すべき事項

1)コンクリート表面の不連続面発生抑制

 コンクリート構造物表面の緻密な表面組織の形成が水密性確保の重要な要件となる。水密性低下につながるひび割れや継目等の不連続面の発生を抑制する。施工時は以下に留意する。

(1)打重ね許容時間を1.5時間程度、1層の厚さを50cm程度で計画し、打重ね時は下層のコンクリートと一体化させ、コールドジョイントを防ぐ。

(2)断面の小さい部材や傾斜型枠部はゆっくりと打上げ、内部振動機による適切な締固めを行う。あばたの原因となるコンクリート中のエントラップトエアや余剰水を確実に排出する。

模範解答2  (簡易答案形式1)  添削履歴 3回 専門事項 施工計画・施工管理

 1.コンクリートに要求される基本的性質

耐久性、施工性、水密性、ひび割れ抵抗性

2.「耐久性」を確保するために留意すべき事項

①凍害対策としてAE剤により微小な気泡を導入する

②ASRによる骨材膨張を抑制するため、アルカリ総量を抑制する

③強度を高めるため養生は湿潤養生期間を可能な限り長くし、温度5℃以上を保つ

3.「施工性」を確保するために留意すべき事項

①流動性を高めるため減水剤等を使用する

②水和反応により徐々に硬化するため、運搬時間を可能な限り短くする

③流動性を高めると材料分離しやすくなるため、打設高さを低くし締固めを十分に行う

模範解答2  (簡易答案形式2)  添削履歴 2回  専門事項 施工計画・施工管理

 1.コンクリートに要求される基本的性質

コンクリートに要求される基本的性質として、耐久性、流動性、水密性、ひび割れ抵抗性が挙げられる。

2.耐久性を確保するために留意すべき事項

①凍害対策

水分凍結に伴う膨張圧による劣化を抑制するためAE剤等により微細な気泡を導入し凍結時の移動水分の逃げ道を確保する。

②ASR対策

アルカリ成分が骨材と反応して膨張しコンクリートを損傷させるのを抑制するため、アルカリ総量を3.0kg/m3以下に規制する。

③養生

水分が不足すると水和反応が十分に得られなくなるため湿潤養生期間を可能な限り長くとり、凍結防止のため温度を5℃以上に保つ。

3.流動性を確保するために留意すべき事項

①配合

AE減水剤等を配合し、セメント粒子分散効果や連行空気のボールベアリング効果により流動性を高める。

②運搬時間

コンクリートは水和反応により徐々に硬化していくため運搬時間を可能な限り短くする。

③温度

温度が高いと水和反応が促進され流動性が低くなるため夏期(25℃以上)は練混ぜ水や骨材の冷却等を行う。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 1回 専門事項 施工計画・施工管理

1.コンクリートに要求される基本的性質

 コンクリートに要求される基本的性質として、耐久性、流動性、水密性、ひび割れ抵抗性が挙げられる。

2.耐久性を確保するために留意すべき事項

1)凍害対策

 凍結膨張による劣化抑制のため、AE剤等により微細な気泡を導入し凍結水分の逃げ道を確保する。

2)アルカリ骨材反応(ASR)対策

 アルカリ成分が骨材と反応して膨張しコンクリートを損傷させるのを抑制するため、アルカリ総量を3.0kg/m3以下に規制する。

3)養生

 コンクリート中の水分が不足すると水和反応が十分に得られなくなるため、湿潤養生期間を可能な限り長くとり、凍結防止のため温度を5℃以上に保つ。

3.流動性を確保するために留意すべき事項

1)配合

 AE減水剤等を配合し、セメント粒子分散効果や連行空気のボールベアリング効果により流動性を高める。

2)運搬時間

 コンクリートは水和反応により徐々に硬化していくため、運搬時間を可能な限り短くする。

3)温度

 水和反応が促進され流動性が低くなるため、夏期(25℃以上)は練混ぜ水や骨材の冷却等を行う。

模範解答3  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回 専門事項 建設生産システム

(1) コンクリートに要求される基本的品質

①ワーカビリティー 、②強度、③耐久性、④水密性

(2) 基本的品質を確保するために留意すべき事項

①ワーカビリティー

密実なコンクリートの打ち込みには、作業に適したワーカビリティーが重要である。以下に留意点を挙げる。

・出荷時のスランプ設定:練り混ぜから打ち終わりまでの時間や運搬条件によるスランプロスを考慮する。

・粗骨材の寸法設定:鉄筋の組み上りの鉄筋過密状況や鉄筋間のあき寸法不足による充填不良を考慮する。

・混和剤の選定:気候や気温の影響による凝結特性を考慮する。条件により打ち込み時の養生を計画する。

②強度

構築物の機能や性能の確保には、設計強度の発現が必須である。以下に留意点を挙げる。

・配合や打ち込み計画:コンクリート硬化時の水和反応による発熱を低減させ、温度ひび割れの発生を防ぐ。

・保温養生や湿潤養生:コンクリートの打ち込み後の低温や乾燥を制御し、凍害や乾燥ひび割れを防ぐ。

・型枠支保工存置期間の管理:コンクリートの強度発現まで、有害な作用を受けないように保護する。

模範解答4  (簡易答案形式1)  添削履歴 8回 専門事項 施工計画

1.コンクリートに要求される品質

①スランプ・・・柔らかさの程度を表した値

②空気量・・・ワーカビリティの改善、耐凍害性を向上させる。

③塩化物量・・・コンクリート中の鉄筋の腐食の防止。

④圧縮強度・・・圧縮力を受けて破壊する時の強さを応力度で表した値。

2.品質を確保する為の留意事項

 ①スランプ:スランプとは柔らなさの値であり、流動性を示す。スランプロスの原因には、高い気温、運搬時間の長さ等がある。スランプを確保する為に、AE剤、AE減水剤の界面活性剤の気泡力によって、微細な空気泡を連行させベアリングの様な役目を果たし、流動性の良いコンクリートとなる。

 ②圧縮強度:

(1)水セメント比の設定

 単位水量が多いと伸縮ひび割れが、セメント量が多いと温度ひび割れが発生

   水密性をもとに水セメント比を、一般の場合55%以下、ダムの場合60%以下に設定する。

   (2)養生:強度発現まで湿潤養生を保つことが重要。

模範解答4  (簡易答案形式2)  添削履歴 3回 専門事項 施工計画

1.コンクリートに要求される品質

①スランプ・・・コンクリートの柔らかさの程度を表す値。

②空気量・・・ワーカビリティの改善、耐凍害性を向上させる。

③塩化物量・・・コンクリート中の鉄筋の腐食の防止。

④圧縮強度・・・圧縮力を受けて破壊する時の強さを応力度で表した値。

2.品質を確保する為の留意事項

 ①スランプの品質確保の為には

スランプロスの原因に、高い気温、運搬時間の長さがある。

外気温25℃以上の時は、コンクリート練混ぜから打込み終了までの時間を90分以内とし、遅延型の高性能AE減水剤を併用により凝結時間を調整し流動性を改善する。

 ②圧縮強度を確保する為には

(1)水セメント比の設定

単位水量が多いと伸縮ひび割れが、セメント量が多いと温度ひび割れが発生する。

水密性をもとに水セメント比を、一般の場合55%以下、ダムの場合60%以下に設定する。

  (2)コンクリート養生

打込み後一定期間を硬化に必要な温度及び湿度に保ち、有害な作用の影響を受けない様に、湿潤状態の保持し、夏期の場合は、散水養生等、冬期の場合は、保温断熱養生等を実施する。

模範解答4  (答案形式)  添削履歴 4回  専門事項 施工計画

1.コンクリートに要求される品質

①スランプ(コンクリートの柔らかさの程度を示す値)②空気量(ワーカビリティーの改善、耐凍害性を向上させる。③塩化物量(コンクリート中の鉄筋の腐食の防止)④圧縮強度(圧縮力を受けて破壊する時の強さを応力度で表した値)

2.品質を確保するために

①スランプの流動性確保

スランプロスの原因は、高い気温と運搬時間によって凝結が促進されるからである。流動性を保つには、コンクリート練り混ぜから打ち込み終了までの時間を90分以内にする。運搬時間は1時間以内にする。

さらに、遅延型の高性能AE減水剤を併用する事により、凝結時間を調整し流動性を改善する。

②圧縮強度の水セメント比の設定

水セメント比を小さく設定すると、水密性等が高くなり、耐久性を高められる。水密性をもとに水セメント比を定める場合、鉄筋コンクリートで55%以下、無筋コンクリートで60%以下とする。

また、コンクリート養生を行う。打ち込み後、一定期間硬化に必要な温度及び湿度に保ち、急激な温度変化等を受けないように湿潤状態を保持する。

夏期の場合は、コンクリートの水和を進めるため散水養生等、冬期の場合は、コンクリートの硬化を早める為、保温断熱養生等を実施する。

模範解答5  (答案形式)  添削履歴  4回 2018/04/30 専門事項 施工計画

1.コンクリートに要求される品質

①スランプ(コンクリートの柔らかさの程度を示す値)②空気量(ワーカビリティーの改善、耐凍害性を向上させる。③塩化物量(コンクリート中の鉄筋の腐食の防止)④圧縮強度(圧縮力を受けて破壊する時の強さを応力度で表した値)

2.品質を確保するために

①スランプの流動性確保

スランプロスの原因は、高い気温と運搬時間によって凝結が促進されるからである。流動性を保つには、コンクリート練り混ぜから打ち込み終了までの時間を90分以内にする。運搬時間は1時間以内にする。

さらに、遅延型の高性能AE減水剤を併用する事により、凝結時間を調整し流動性を改善する。

②圧縮強度の水セメント比の設定

水セメント比を小さく設定すると、水密性等が高くなり、耐久性を高められる。水密性をもとに水セメント比を定める場合、鉄筋コンクリートで55%以下、無筋コンクリートで60%以下とする。

また、コンクリート養生を行う。打ち込み後、一定期間硬化に必要な温度及び湿度に保ち、急激な温度変化等を受けないように湿潤状態を保持する。

夏期の場合は、コンクリートの水和を進めるため散水養生等、冬期の場合は、コンクリートの硬化を早める為、保温断熱養生等を実施する。

H29年 建設・施工 Ⅱ−2−2 問題 模範解答と解説

問題文

Ⅱ−2−2 寒冷地の海岸部にある建設後50年を経た幹線道路の鉄筋コンクリートT桁橋において、複数の原因によるコンクリート部材の損傷が確認され、補修・補強が必要と判断された。

(1)   これらの条件から想定される損傷状況を挙げ、その原因と損傷に至るまでの過程を説明せよ。

(1)で想定した損傷に対する補修・補強工法を2つ選定し、選定理由と施工上の留意点を述べよ

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 専門とする事項 施工計画・施工管理

経年劣化した鉄筋コンクリート構造物の維持管理

1.想定される損傷状況と原因および損傷に至る過程

1)鉄筋腐食とひび割れ(塩害)

①損傷原因

寒冷地の海岸部に位置する幹線道路橋であることから、50年にわたり海水飛沫や凍結防止剤の散布に曝されてきたと考えられる。水分と共に塩化物イオンがT桁内に侵入し易い環境下にある。鉄筋位置での塩化物イオン濃度は、鉄筋発錆限界(1.2㎏/)を超え、塩害による鉄筋腐食が発生している。

②損傷過程

鉄筋腐食膨張によるひび割れが発生している。さらに二酸化炭素や水が浸入する環境で中性化が進み、ひび割れが急速に進行している。

2)コンクリート表面の剥離・剥落(凍害)

①損傷原因

寒冷地の海岸部のため、氷点下5℃以下になりコンクリート表面の細孔内の水が凝結・融解を繰り返し、凍害によるスケーリングが発生している。

②損傷過程

スケーリングによる剥離・剥落がかぶり厚付近まで進行し、コンクリート表面組織が脆弱化している。軽微な鉄筋腐食も発生している。

2.想定した損傷に対する補修・補強工法の選定理由と施工上の留意点

1)除塩と断面修復

1)-1選定理由

鉄筋が腐食した状態であれば、腐食鉄筋のかぶりコンクリートの除去と鉄筋発錆限界を超えた部位の除塩が不可欠である。

1)-2施工上の留意点

①再劣化防止のためにかぶりよりも深い位置まで塩化物イオンの分布を把握し、健全部は極力残して除去する。除去した状態の構造耐力維持についても検討する。

②鋼材の腐食による力学的性能の低下が懸念される。構造物の耐力・剛性を回復するための鋼材の増設や交換を含んだ断面修復工法を適用する。

②除去した部分は付着性の良い材料で修復を行う。

2)表面被覆

2)-1選定理由

スケーリングにより脆弱化したコンクリート表面の被覆処理を実施する。これにより塩化物イオンや水の浸入を抑制し、劣化を防止する

2)-2施工上の留意点

①表面被覆を行う前に、塩害によるコンクリート内部の鉄筋損傷具合を調査し、腐食の進行に応じて1)の処置を実施する。

②床版や排水溝など、施工範囲外からの水の浸入経路等を入念に調査し止水・排水処理の上、表面被覆を実施する。

模範解答2  (簡易答案形式1)  添削履歴 3回 専門とする事項 施工計画・施工管理

1−1.想定される損傷状況

①剥離、剥落、鉄筋露出(床版、地覆、桁、橋脚)②スケーリング、ポップアウト(床版、高欄、地覆)③格子状のひび割れ、抜け落ち(床版)

1−2.原因

①塩害(鉄筋が塩化物イオンにより腐食・膨張しコンクリートが剥離)

②凍害(コンクリート中の水分が凍結し体積膨張により破壊される)

③疲労破壊(幹線道路のため交通量が多く50年間の繰り返し荷重による)

1−3.過程

①飛来塩分や凍結防止剤が床版や桁、橋脚側面等に供給され鉄筋が腐食する。

②積雪や水はね等により水分供給され凍結融解の繰り返しにより表面が剥離する

③床版下面に乾燥収縮による橋軸直角方向のひび割れが発生し、繰り返し荷重により格子状ひび割れへと進展し、上面に貫通し抜け落ちる

2−1−1.増厚工法の選定理由

古い設計で鉄筋量が不足しているため床版を補強しひび割れを抑制する

2−1−2.施工上の留意点(PCM:ポリマーセメントモルタル)

既設床版とPCMとの一体化を図るためケレン(脆弱部除去)や樹脂注入等を行う

2−2−1.表面被覆工法の選定理由

塩分、水分を遮断するため増厚工法に追加しコンクリート表面の被覆を行う

2−2−2.施工上の留意点

湿潤時や低温時に施工すると付着強度が低下するため気象条件を確認する

模範解答2  (簡易答案形式2)  添削履歴 4回 専門とする事項 施工計画・施工管理

(1)-1 想定される損傷状況

①塩害によって床版、桁、橋脚等のコンクリートが剥離、剥落し、鉄筋が露出する。

②凍害によって床版、高欄、地覆等にスケーリングやポップアウトが発生する。

③疲労破壊によって床版に格子状のひび割れが発生し、抜け落ちる。

(1)-2 原因

①鉄筋が塩化物イオンにより腐食・膨張しコンクリートが剥離する。

②コンクリート中の水分が凍結し体積膨張により破壊される。

③50年間の幹線道路の輪荷重を繰り返し受けたことにより床版にひび割れ等の損傷が発生する。

(1)-3 課程

①飛来塩分や凍結防止剤が床版や桁、橋脚側面等に供給され鉄筋が腐食する。

②積雪や水はね等により水分供給され、凍結融解の繰り返しにより表面が剥離する。

③床版下面に乾燥収縮による橋軸直角方向のひび割れが発生し、繰り返し荷重により格子状ひび割れへと進展し、上面に貫通し抜け落ちる。

(2) (1)で想定した損傷に対する補修・補強工法として増厚工法および表面被覆工法を挙げる。

(2)-1 増厚工法の選定理由

①鉄筋量が不足している床版を補強しひび割れを抑制する。

②コンクリート中の塩化物イオンや凍害によって脆弱化した部分を除去する。

(2)-2 増厚工法の施工上の留意点

 下面増厚工法は交通規制が不要であるが、交通振動により剥離する恐れがあるため、樹脂注入により既設床版と一体化させる。 

(2)-1 表面被覆工法の選定理由

 寒冷地・海岸部であることより、塩分、水分を遮断するためコンクリート表面の被覆を行う。

(2)-2 表面被覆工法の施工上の留意点

①湿潤時や低温時には付着強度が低下するため湿度85%未満、温度5〜40℃で施工する。

②ひび割れが顕著な場合は柔軟性がありひび割れ追従性に優れた有機系を、浮き・剥離や湿潤している場合は下地と同質の素材で断面修復し透湿性が必要であるため無機系を選定する。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 1回  専門とする事項 施工計画・施工管理

(1)−1 想定される損傷状況

①塩害によって床版、桁、橋脚等のコンクリートが剥離、剥落し鉄筋が露出する。

②凍害によって床版、高欄、地覆等にスケーリングやポップアウトが発生する。

③疲労破壊によって床版に格子状のひび割れが発生し抜け落ちる。

(1)−2 損傷の原因

①塩化物イオンにより鉄筋の不導体被膜が破壊され腐食・膨張しコンクリートが剥離する。

②コンクリート中の水分が凍結し体積膨張により破壊される。

③50年間の幹線道路の輪荷重を繰り返し受けたことにより床版にひび割れ等の損傷が発生する。

(1)−3 損傷に至るまでの過程

①飛来塩分や凍結防止剤が床版や桁、橋脚側面等に供給され鉄筋が腐食する。

②積雪や水はね等により水分供給され、凍結融解の繰り返しにより表面が剥離する。

③床版下面に乾燥収縮による橋軸直角方向のひび割れが発生し、繰り返し荷重により格子状ひび割れへと進展し、上面に貫通し抜け落ちる。

(2)(1)で想定した損傷に対する補修・補強工法として表面被覆工法および増厚工法を挙げる。

(2)−1−1 表面被覆工法の選定理由

 寒冷地・海岸部であるため、コンクリート表面の被覆を行い塩分、水分を遮断する。

(2)−1−2 表面被覆工法の施工上の留意点

①湿潤時や低温時には付着強度が低下するため湿度85%未満、温度5〜40℃で施工する。

②ひび割れが顕著な場合は柔軟性がありひび割れ追従性に優れた有機系を、浮き・剥離や湿潤している場合は下地と同質の素材で断面修復し透湿性が必要であるため無機系を選定する。

(2)−2−1 増厚工法の選定理由

①鉄筋量が不足している床版を補強しひび割れを抑制する。

②コンクリート中の塩化物イオンや凍害によって脆弱化した部分を除去する。

(2)−2−2 増厚工法の施工上の留意点

 下面増厚工法は交通規制が不要であるが、交通振動により剥離する恐れがあるため、樹脂注入により既設床版と一体化させる。

模範解答3  (簡易答案形式1)  添削履歴 4回 専門とする事項 施工計画・施工管理

(1) 損傷状況:ひび割れ、錆汁、スケーリング、及び部分的なはく離・剥落

①塩害:コンクリート中の塩化物イオンの作用により構造物を性能低下させる。

過程:コンクリート中の塩化物イオン供給が促進されると鉄筋は腐食し易くなり、その腐食生成物の体積膨張によりコンクリートや鉄筋の損傷に至る。

②凍害:コンクリート中の水分の凍結膨張により構造物を性能低下させる。

過程:凍結融解の繰り返しによりコンクリート組織が破壊され、表面から劣化が進行し、微細ひび割れ、スケーリングから崩壊へと損傷も大きくなる。

③中性化:大気中の二酸化炭素の作用によりコンクリートの塩基性低下する現象。

過程:中性化の進行によりコンクリートが炭酸化し、鉄筋が腐食し易くなり、鉄筋腐食生成物の体積膨張によりコンクリートや鉄筋の損傷に至る。

(2)補修・補強工法

1)再アルカリ化工法

①選定理由:非破壊(電気化学的手法)により、中性化したコンクリートの再アルカリ化及び鉄筋の不働態化を図れるため。

②施工上の留意点:施工後の再中性化防止のため、表面被覆工法と合わせて実施を検討する。

2)表面被覆工法

①選定理由:コンクリート表面から内部への、二酸化炭素(中性化)、塩化物イオン(塩害)、水(凍害)、酸素(鉄筋腐食)などの腐食性物質の浸入抑制を図れるため。

②施工上の留意点:ひび割れ、スケーリング、はく離、鉄筋腐食等の劣化箇所の補修工法と組み合わせて行う必要がある。

模範解答3  (簡易答案形式1)  添削履歴 1 専門とする事項 施工計画・施工管理

(1)     損傷状況

ひび割れ、錆汁、スケーリング、及び部分的なはく離・剥落等のコンクリート部材の損傷が想定される。①塩害

<原因>コンクリート中の塩化物イオンの作用により鉄筋が腐食し、コンクリート構造物の性能を低下させる。

<過程>海水飛沫や飛来塩化物、凍結防止剤等によりコンクリート中の塩化物イオン供給が促進されると鉄筋は不動態被膜が部分的に破壊され腐食し易くなる。その腐食生成物の体積膨張によりコンクリートや鉄筋の損傷に至る。

②凍害

<原因>コンクリート中に含まれる水分の凍結膨張によりコンクリート組織が破壊され、コンクリート構造物の性能を低下させる。

<過程>凍結融解の繰り返しによりコンクリート表面から凍結膨張による劣化が進行し、更に表面からの水分供給が促進されることにより微細ひび割れ、スケーリングから崩壊へと徐々に大きな損傷に至る。

③中性化

<原因>大気中の二酸化炭素の作用によりコンクリートの塩基性を低下させる現象。

<過程>中性化の進行によりコンクリートが炭酸化し、鉄筋が腐食し易くなる。鉄筋腐食生成物の体積膨張によりコンクリートや鉄筋の損傷に至りコンクリート構造物の性能を低下させる。

(2)補修・補強工法

1)再アルカリ化工法

①選定理由

非破壊工法(電気化学的手法)により、中性化したコンクリートの再アルカリ化及び鉄筋の不働態化を図ることができるため。

②施工上の留意点

施工後に再び二酸化炭素が侵入して再中性化することを防止するため、表面被覆工法等の対応策と併せて実施することを検討する必要がある。

2)表面被覆工法

①選定理由

コンクリート表面から内部への、二酸化炭素(中性化)、塩化物イオン(塩害)、水(凍害)、酸素(鉄筋腐食)等の腐食性物質の浸入抑制しコンクリートや鉄筋を損傷に至らせる劣化環境の防止を図ることができるため。

②施工上の留意点

ひび割れ、スケーリング、はく離、鉄筋腐食等の劣化が進行している箇所の補修・補強工法による対応策と併せて実施することを検討する必要がある。

H29年 建設・施工 Ⅱ−1−1 問題 模範解答と解説

問題文

土留め壁を設置する開削工事において、掘削底面の安定に影響を与える現象名を3つ挙げ、そのうちの2つにおいて、現象の概要と対策をそれぞれ述べよ。

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理

1.掘削底面の安定に影響を与える現象名

ボイリング、ヒービング、盤ぶくれ

2.ボイリング

1)概要

地下水位の高い砂質土地盤で土留め工を行う場合等に、掘削面と地下水位の高低差によって上向きの浸透流が生じ地下水とともに土砂が掘削面に流出する現象

2)対策

①浸透圧に対抗するため土留めの根入れを長くし土の有効重量を大きくする

②浸透流を低減させるためディープウェル等により地下水位を下げる

③浸透流を遮断するため地盤改良を行う

3.ヒービング

1)概要

軟弱な粘性土地盤で土留め工を行う場合等に、掘削背面の土砂の重量が掘削底面の地盤支持力より大きくなるとすべり面が発生し掘削底面が持ち上がる現象

2)対策

①すべり面の半径を大きく(すべりにくく)するため土留めの根入れを長くする

②掘削底面の強度を増加させるため地盤改良を行う

③背面土砂の重量を下げるため背面地盤を掘削する

模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理

1.掘削底面の安定に影響を与える現象名

土留め壁を設置する開削工事においてボイリング、ヒービング、盤ぶくれ等が掘削底面に影響を及ぼす現象である。

2.ボイリング

1)概要

地下水位の高い砂質土地盤で土留め工を行う場合等に、掘削面と地下水位の高低差によって上向きの浸透流が生じ地下水と共に土砂が掘削面に流出する現象である。

2)対策

①浸透流に対抗するため土留めの根入れを長くし土の有効重量を大きくする。

②浸透流低減のためディープウェル等により地下水位を低下させる。

③浸透流遮断のため地盤改良(薬液注入工等)により不透水層を形成する。

3.ヒービング

1)概要

 軟弱な粘性土地盤で土留め工を行う場合等に、掘削背面の土砂の重量が掘削底面の地盤支持力より大きくなるとすべり面が発生し掘削底面が持ち上がる現象である。

2)対策

①すべり面の半径を大きく(せん断抵抗力を増加)するため土留めの根入れを長くする。

②掘削底面の強度を増加させるため地盤改良(深層混合処理工等)を行う。

③背面土砂の重量を下げるため背面地盤を掘削する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回  専門事項 施工計画・施工管理

1.掘削底面の安定に影響を与える現象名

 土留め壁を設置する開削工事においてボイリング、ヒービング、盤ぶくれ等が掘削底面に影響を及ぼす現象である。

2−1.ボイリングの概要

 高地下水位の砂質土地盤で土留め工を行う場合等に、掘削面と地下水位の高低差により上向きの浸透流が生じ地下水と共に土砂が掘削面に流出する現象である。

2−2.ボイリングへの対策

①浸透流に対抗するため、土留めの根入れを長くし土の有効重量を大きくする。

②浸透流低減のため、ディープウェル等により地下水位を低下させる。

③浸透流遮断のため、地盤改良(薬液注入工等)により不透水層を形成する。

3−1.ヒービングの概要

 軟弱粘性土地盤で土留めを工を行う場合等に、掘削背面の土砂重量が掘削底面の地盤支持力より大きくなるとすべり面が発生し掘削底面が持上がる現象である。

3−2.ヒービングへの対策

①すべり面の半径を大きく(せん断抵抗力を増加)するため、土留めの根入れを長くする。

②掘削底面の強度を増加させるため、地盤改良(深層混合処理工等)を行う。

③背面土砂の重量を下げるため、背面地盤を掘削する。

模範解答2  (簡易答案形式1)  添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理

1.掘削底面の安定に影響を与える現象名

1)ボイリング、2)ヒービング、3)盤ぶくれ

 2.ボイリングについて

1)現象の概要

 水位の高い砂質地盤で発生する現象で、遮水性の土留め壁を用いた場合に、掘削面と土留め壁背面側の水位差が大きい場合に背面側から掘削面側に向かう浸透流が発生し、この浸透圧により掘削面側の地盤の有効応力が失われ、やがて地盤が突発的に液状化して砂の粒子が沸き上がる現象をいう。

2)対策

①地下水位低下工法

②地盤改良工法

2.ヒービングについて

1)現象の概要

 掘削底面付近に柔らかい粘性土がある場合に発生する現象で、土留め背面の土の重量や土留めに近接した地表面での上載荷重などにより、掘削底面の隆起、土留め壁のはらみ周辺地盤の沈下が生じ最終的には土留めの崩壊に至る現象をいう。

2)対策

①地盤改良工法

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理

1.掘削底面の安定に影響を与える現象名

1)ボイリング、2)ヒービング、3)盤ぶくれ

2.ボイリングについて

1)現象の概要:水位の高い砂質地盤で発生する現象で、遮水性の土留め壁を用いた場合に、掘削面と土留め壁背面側の水位差が大きい場合に背面側から掘削面側に向かう浸透流が発生し、この浸透圧により掘削面側の地盤の有効応力が失われ、やがて地盤が突発的に液状化して砂の粒子が沸き上がる現象をいう。

2)対策:①地下水位低下工法:背面側から掘削面側に向かう浸透水の流速を低減する工法で、ディープウェル、ウェルポイント及び土留め壁の根入れ長を増す工法がある。②地盤改良工法:掘削側の地盤中に不透水層を造成する工法で薬液注入工法がある。

3.ヒービングについて

1)現象の概要:掘削底面付近に柔らかい粘性土がある場合に発生する現象で、土留め背面の土の重量や土留めに近接した地表面での上載荷重などにより、掘削底面の隆起、土留め壁のはらみ周辺地盤の沈下が生じ最終的には土留めの崩壊に至る現象をいう。

2)対策:①山留壁せん断抵抗力増加:すべり面に沿うせん断抵抗力増加のために根入れ長を増す方法である。②地盤改良工法:掘削底面の強度を増加させるために深層混合処理工法がある。

模範解答3  (簡易答案形式1)  添削履歴 6回 専門事項 施工計画・施工管理

1.掘削底面の安定に影響を与える現象名

①ヒービング

②盤ぶくれ

③円弧すべり

2.現象の概要

 ①ヒービング:軟弱な粘土質の地盤を掘削する時、掘削背面の土塊重量が掘削面下の地盤支持力より大きくなると、地盤内にすべり面が発生し、このため掘削底面に盛りあがりが生じる現象

 ②盤ぶくれ:透水性の小さい粘性土の地盤で、その層の下部に砂や礫で構成される被圧滞水層が存在する時、その層から水圧が作用し、掘削により抵抗重量が減少し揚圧力とのバランスを保てなくなった場合に地盤が持ち上がる現象。

3.現象の対策

 ①ヒービング対策: 土留め壁背面の地盤の強度をあげる。

計画時であれば土留め壁の根入れと剛性をあげる事で対応。

施工途中では、土留め壁の外側を地盤改良し、地盤沈下を抑制。

②盤ぶくれ対策:

揚圧力の低減する為、地下水位低下工法でディープウエルポイント。

底面抵抗力の増加の為、底盤止水改良工法で掘削底面を止水を兼ねて地盤改良。

模範解答3  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回 専門事項 施工計画・施工管理

①掘削底面の安定に影響を与える現象名

(a)ヒービング

(b)盤ぶくれ

(c) 円弧すべり

②現象の概要

(a)ヒービングについて

軟弱な粘土質の地盤を掘削する時に、掘削背面の土塊重量が掘削面下の地盤支持力より大きくなると、地盤内にすべり面が発生する。そのため、掘削底面に盛り上がりが生じる現象である。

(b)盤ぶくれについて

透水性の小さい粘性土の地盤で、その層の下部に砂や磯が構成される被圧帯水層が存在する時、その層から水圧が作用し、掘削により抵抗重量が減少し、揚圧力とのバランスを保てなくなった場合に地盤が持ち上がる現象である。

③現象の対策

(a)ヒービング対策

土留め壁背面の地盤の強度を上げる。

計画時であれば、土留め壁の根入れを長くして剛性をあげる事で対応する。

施工途中では、土留め壁の外側を地盤改良し、地盤沈下を抑制する。

(b)盤ぶくれ対策

揚圧力の低減する為、地下水位低下法でディープウエルポイントを使用し地下水位を低下させる。

底面抵抗力の増加の為、底盤止水改良法で掘削底面の止水を兼ねて地盤改良を行う。

模範解答3  (答案形式)  添削履歴 4回 専門事項 施工計画・施工管理

 1
.掘削底面の安定に影響を与える現象名

(1)ヒービング(2)盤ぶくれ(3)円弧すべりの3つの現象がある。

(1)ヒービングについて

軟弱な粘性土の地盤を掘削すると、壁の内側と外側に高さの差が生じる。それに伴い内側に比べて外側の重量が大きくなる。重量差に内側の地盤支持力が耐えられなくなると、土留めの下から土が回りこんで、内側の底面が盛り上がり、その分外側の表面が沈下する現象である。

(2)盤ぶくれについて

透水性の小さい粘性土の地盤の下部に砂や磯で構成されている被圧帯水層が存在する時、その層から水圧が作用する。掘削により抵抗重量が減少し、揚圧力とのバランスが崩れた場合に地盤が持ち上がる現象である。

2.現象の対策

(1)ヒービング対策は、地盤改良して地盤強度を上げる。計画時であれば、土留め壁の根入れを長くして剛性をあげる。施工途中では、土留め壁の外側を地盤改良し、地盤沈下を抑制する。

(2)盤ぶくれ対策は、揚圧力を低減する為、地下水位低下法でディープウエルポイントを使用し地下水を低下させる。底面抵抗力の増加の為、底盤止水改良法で掘削底面の止水を兼ねて地盤改良を行う。

H29年 建設・鉄道 Ⅱ-1-1 模範解答と解説

問題

Ⅱ-1-1   視覚障害者の線路内への転落を防止する鉄道駅のプラットホームにおける安全性向上への取り組みについて、ハード、ソフトの両面から対策を挙げ、その内容を述べよ。

模範解答  簡易答案形式1 添削回数1  完成日2018.5.21  専門とする事項 鉄道施工

1.ハード面対策

①ホームドア整備  新しいタイプのホームドア整備 

  (昇降ロープ式、昇降バー式)の整備・設置。 

②点字ブロック   内法線付き点字ブロックの整備促進。 

ホームの線路側に内法線(ホーム限界幅)を表示した点字ブロックを設置し、視覚障害者が杖で確認を行い注意喚起を促進する。 

2.ソフト面対策 

①ホーム線路側内法線上を明示する赤外線センサーを設置し、視覚障害者・飲酒酩酊者若しくは健常者がそのライン上のセンサーに感知した時、天井に設置した警報機が作動し、警報音を発する。 

②線路側内法線を明示するマットにフートセンサーを設置し、視覚障害者若しくは健常者に天井に接したスピーカーより警報音を発令し注意喚起する。

③駅ホーム等で列車接近時、到着列車・到着番線・行先案内等を音声案内で注意喚起し、健常者には、点字タイルの上に視覚障害者の事故防止上、荷物等を置かないよう放送する。

選択科目Ⅱ−1−1(1 枚)レジュメ (2018過去問)

1.ハード面対策

①ホームドア整備  新しいタイプのホームドア整備

  (昇降ロープ式、昇降バー式)の整備・設置。

②点字ブロック   内法線付き点字ブロックの整備促進。

ホームの線路側に内法線(ホーム限界幅)を表示した点字ブロックを設置し、視覚障害者が杖で確認を行い注意喚起を促進する。

2.ソフト面対策

①ホーム線路側内法線上を明示する赤外線センサーを設置し、視覚障害者・飲酒酩酊者若しくは健常者がそのライン上のセンサーに感知した時、天井に設置した警報機が作動し、警報音を発する。

②線路側内法線を明示するマットにフートセンサーを設置し、視覚障害者若しくは健常者に天井に接したスピーカーより警報音を発令し注意喚起する。

③駅ホーム等で列車接近時、到着列車・到着番線・行先案内等を音声案内で注意喚起し、健常者には、点字タイルの上に視覚障害者の事故防止上、荷物等を置かないよう放送する。

H29年 建設・鉄道 Ⅱ-1-3 模範解答と解説

問題

Ⅱ-1-3   連続立体交差事業の整備効果を述べるとともに、主な課題を2つ挙げその対策について述べよ。

模範解答  簡易答案形式1 添削回数1  完成日2018.5.21  専門とする事項 鉄道施工

1.連続立体交差事業の整備効果

1)列車運転の安全性向上、高速化

2)環境騒音の低減

3)地域の交通量増加(渋滞がなくなる)。

2.主な課題

 1)き電停止等を伴わず、電車を通しながらの施工となる。

 2)梁・スラブの支保工・足場設置が困難である。

3.その対策

 1)架設ガーダー式直上高架工法により下部工施工機を使用し全周回転式圧入機により、スタンドパイプを建込み現場打ち基礎杭を施工する。

  上部工施工機も、パイプ上のレールを走行し工事を行い、施工機の後方移動動装置は既設高架橋のスラブ上を移動する。材料搬入はこの既設高架橋スラ

ブ上を使用し行う。このため、鉄道営業線における、き電停止・線路閉鎖工事の必要がなくなり安全運行が確保できる。

 2)工期短縮及び品質確保の為、上部工の柱・梁・スラブは工場でプレキャスト製作を行う。工場で品質確認等を行った後、現地で組立を行う為、型枠組立支保工設置・仮設足場組み立て等の作業を省略することができ、工期の短縮となる。

H29年 建設・鉄道 Ⅱ-1-4 模範解答と解説

問題

Ⅱ-1-4   

列車の走行によりレールの頭頂面部周辺で発生するレール傷のうち、レール管理上特に留意すべきものを2つ挙げ、その特徴を述べよ。また傷を成長させない対策としてのレール削正の考え方を述べよ。

模範解答  簡易答案形式1 添削回数1  完成日2018.6.1  専門とする事項 鉄道施工

1.レール管理上特に留意すべきもの。

①  ゲージコーナーシェリング。 

特長 急曲線区間の外軌レールのゲージコーナー部分に車輪の荷重が集中し、ゲージコーナー内部の5mmから10mmの深さに発生し、内部の同一深さをレール長手方向、列車進行方向に向かい亀裂が進行する。

②  きしみ割れ。

特長 レールと車輪の転がり接触疲労により発生する。レールと車輪フランジ部分の滑りにより発生する力と横圧を加えた力が繰り返し加わることにより、表層部に塑性変形が限界に達して規則的なひび割れ状の亀裂が発生する。

2.傷を成長させない対策としてのレール削正の考え方。

レール頭頂面における車輪の接触影響層は0.1mm程度の表層にあり、レール削正により予防できる可能性が示されている。

1回の削正車の通過をパスというが、16頭式(砥石が16個)の削正車の場合、4パスで必要な削正量が得られることが分かっている。

H29年 建設・鉄道 Ⅱ-2-2 模範解答と解説

問題

Ⅱ-2-2   鉄道の安全・安定輸送を確保する為には、鉄道構造物の維持管理における検査が必要であるが、近年わが国においては検査に関する効率化が求められている状況にある。検査の効率化について、軌道又は土木構造物のどちらかを選択し、以下の問いに答えよ。

(1)検査の効率化が求められている背景を多面的に述べよ。

(2)上記(1)を踏まえ,効率化の観点から効果を上げている検査技術を挙げ,その内容を具体的に述べよ。

(3)上記(2)で挙げた検査技術について,実施に当たり留意すべき事項を述べよ。

模範解答  簡易答案形式1 添削回数1  完成日2018.5.21  専門とする事項 鉄道施工

(1).土木構造物 検査の効率化が求められている背景

1)経済的視点 効率経営

2)技術 〃  IOT活用、デジタル化、ロボット化

3)〇〇 〃  安全安心、働き方改革

「多面的に」とありますので一面では△です。

1)経済的視点、効率経営

今後急増する取替時期・施設に対して、営業旅客収入の減少が考えられ、費用対効果を考慮する。

2)技術的視点

IOT活用、診断技術の高度化・デジタル化、近い将来のロボット化。

3)異常時対応の効率化

所内センサーネットワークによる異常個所の発見、安全確認作業の時間短縮、早期運転再開のシステム化。

(2)効率化の観点から効果を上げている検査技術

 1)検査技術

  構造物健全度診断センサ及び指令・本部へのデータ伝送システム。

  高架橋・BV・トンネル・橋梁等に取り付けたセンサからのデータを本部で

  収集・分析を行う。

■もっと技術的な要素でしょう。 物理探査、自動検査車などマネジメント技術は事務担当者ならともかく技術士の解答になりません。

1)その内容

維持管理に着目し、施策は補修に限定する。補修を行う時期や量をシュミレーションすることで最適化するシステムである。

(3)上記(2)で挙げた検査技術についての留意事項

1)補修の費用対効果を判定する際の資産の原単位は構造物単位とする。

2)路線全体の判定を行う際の資産の原単位は駅間単位とする。

3)個々の箇所で見た場合は、最良の状態にまで回復するものとするが、部材全体としてみた場合には、その他の部位の健全度にまで回復したものとみなす。

H29年 建設・鉄道 Ⅲ-2 模範解答と解説

問題

Ⅲ-2 平成28年熊本地震及び平成23年東北地方太平洋沖地震の実例と、それに伴う被害の状況を踏まえ、鉄道における地震防災及び減災対策について、以下の問に答えよ。

(1)鉄道の地震防災及び減災対策上考慮すべき項目を新線建設に関するもの、あるいは既存路線または施設に関すもののいずれかについて多面的に述べよ。

(2)上述した項目のうち、あなたが最も重要な技術的課題と考える項目を一つ挙げ、その現状と、課題を解決するための技術的提案を述べよ。

(3)あなたの技術的提案がもたらす効果を具体的に示すとともに、同提案がもつリスクを考慮した上で提案実行の際の留意点を述べよ。

模範解答  専門とする事項 鉄道施設設計

(1)既存路線の防災対策
①構造物全体系の安全性確保のための補強設計
 地震動により構造物の全体系が破壊し、使用者や周辺の公衆へ危害を加えることがないようにじん性の高い補強設計を行う。
②走行列車の安全な停止のための列車制御
 高速で走行する特に新幹線では地震動を検知したらすみやかに停止させることで、列車の脱線転倒を防止し、旅客の安全を確保する。
③長期不通防止のための復旧性の向上
 地震動により構造物に損傷があっても軽微であり、復旧しやすい構造や環境を確保するために、橋りょうのけた座拡幅や桁移動防止工を設置する。
④地震作用の緩和
 地震による揺れ自体を抑制するためにダンパーブレース装置等で変位抑制し、地震作用自体を緩和することで構造物に作用する外力を低減する。

(2)安全性確保のための耐震診断効率化
①耐震診断の現状
 構造物の耐震診断は構造物毎に個別に診断している。また診断構造物数や診断方法も多岐にわたり、診断するための解析に手間と費用が嵩んでいるのが現状である。これを効率化するために次に示すように診断箇所数を絞りこんだ上で、ノモグラムにより診断することを提案する。
②-1 診断箇所の選定
 耐震診断数の削減のために診断すべき構造物を仕様と地盤条件で診断が必要な構造物を絞りこむ。
②-2 ノモグラムによる応答値の算定
 簡易的に変位量を算出するためにノモグラムを作成する。ノモグラムの指標は応答値に影響を与える次の指標を採用する。
ノモグラムの指標:地震動(振動周期の長いL2地震動スペクトル1または加速度の大きいL2地震動スペクトル2)、地盤種別、材料種別、構造物高さ
ノモグラムの作成方法:変位量を機械的に算出できるように解析、実験、過去の診断結果等を活用してノモグラムを作成する。
②-3 応答値の補正
 ノモグラムを用いて変位量を算出した後、下記の特殊条件を反映した補正を行う。
補正項目:隣接構造物の拘束、断面形状の左右非対称等

(3)効果と留意点
効果1:耐震診断の簡便性向上 
 診断対象構造物を絞り込んだ上、機械的に変位量を把握することができるので、路線全体を簡単に早く診断することができる。
効果2:耐震診断方法の標準化
 診断方法も最も合理的と考えられる手法で行われる一方で、パラメータの設定や実験が必要な場合もあるなど煩雑になっている。ノモグラムを使用することで診断方法を標準化できる。
リスク:長大橋りょうの場合は橋りょう毎に固有周期のバラつきが大きいので、安易にノモグラムを適用すると共振により致命的な破壊が発生することを見逃してしまう恐れがある。そのため次のことに留意する。
留意点:長大橋りょうの場合は予め固有値解析を行い、固有周期を明らかにした上でノモグラムを適用する。固有周期が一般的な橋りょうと異なる場合は、予め特定の橋りょうの固有周期を考慮したノモグラムを作成する必要がある。 

模範解答  簡易答案形式1 添削回数1  完成日2018.5.26  専門とする事項 鉄道施工

(1).社会経済環境の変化

①  少子化及び高齢化が進行している。

②  情報通信技術が急速な進歩を遂げている。

③  経済・社会の国際化が進んでいる。

1)鉄道駅に期待される機能や役割

①自動車交通への過度な依存から脱却し機動系公共交通の利点を極力生かし、駅を基点とした居住と活動の密度を増進する。

②日本の鉄道輸送量は先進世界でも最高水準にあるので、「駅・まち」は、交通結節点として都市機能の拠点性や都市の活性化・又は再生化の役割を

担っている。

(2).改良する上での課題

   ①時間軸、エリア、事業主体等が柔軟に対応できていないため、利用者本位の駅となっていない。

②  交通結節点は、街の玄関としての賑わいにかけている。

1)内容

①駅を中心とした接点・つながりが連携できていない為、利用者が無駄に行動することが多い。

②これまでの、駅は駅広場は広場という縦割りの考え方が多い。

(3)解決する為の技術的対策

   ①駅、駅前広場、街、の接点・つながりに着目しながら、より利用者ニーズに対応した柔軟な空間の確保と活用を図ることが必要である。

1)考慮すべき留意点

①  緊密な相互理解。

②  精度の分かり易さ・柔軟性への改善。

③  情報共有化の推進。

④  責任ある提案と応分の負担。

H29年 建設・河川Ⅱ-1-2 問題 模範解答と解説

問題文

Ⅱ−1−2 ダム貯水池の堆砂について、ダム下流への土砂の還元が可能な対策を計画する際の留意点を述べよ。

また、ダム下流河川への土砂の還元が可能な対策の事例を2つ挙げ、それぞれについて特徴と留意点を述べよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 4回    完成日 2018/5/12  専門事項 施工計画・施工管理

1.ダム貯水容量の確保と下流河床の低下を防ぐダム排砂対策

1)貯水池に堆砂させないため、ダムの放流水とともに土砂を下流河川へ排砂

2)貯水池の堆砂を防ぐため、上流に貯砂ダムを設け貯水池内の土砂流入を抑制

2.ダム下流への土砂還元が可能な対策事例

1)スルーシング対策

① 堤体低部に排水設備を設け、貯水池の放流水により土砂を下流河道へ排砂

② 貯水池の水を放流することで貯水位が低下するため、下流の利水時期を把握した排砂計画を策定

2)吸引排除対策

 ① 水位差を利用したサイフォンの原理でダム下流河川へ流下

 ② 固定された菅では均一に排砂されないため、菅の吸引部を台船で移動させ排砂する

模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 5回    完成日 2018/2/10 専門事項 施工計画・施工管理

1.ダム貯水容量の確保と下流河床の低下を防ぐダム排砂対策

1)貯水池の堆砂を防ぐため、上流に貯砂ダムを設け貯水池内の土砂流入を抑制

2)貯水池に堆砂させないため、ダムの放流水とともに土砂を下流河川へ排砂

2.ダム下流への土砂還元が可能な対策事例

1)スルーシング対策

① 堤体低部に排水設備を設け、貯水池の放流水により土砂を下流河道へ排砂

  貯水池に流入した土砂を掃流力によりゲートから下流河道へ排砂する

② ゲートからの排砂が滞らないよう、水位を下げ流速を高めることで掃流力を助長させる

  貯水池の水位が高いと流速が低下し土砂が停滞するため、下流河道に近い水位まで低下させ

ることで流速を高くなり土砂移動が向上する。

2)吸引排除対策

① 水位差を利用したサイフォンの原理でダム下流河川へ流下

  排砂管内に水流を発生させ、排砂管下部の吸砂口から土砂を吸引し下流へ排砂する。

② 堆砂中に塵芥があると吸引力が低下するため、吸引管に攪拌機を設置し排砂をする。

吸引管の先端に攪拌機を設置し、塵芥が混入する堆積土砂を乱してから吸引する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回    完成日 2018.2.12 専門事項 施工計画・施工管理

1.ダム下流への土砂還元としての下流河床低下対策

1)貯水池の堆砂を防ぐため、上流に貯砂ダムを設置

 貯砂ダムで上流からの土砂を補足し、堆砂した土砂は、掘削除去により下流河川へ還元する。

2)貯水池に堆砂させないため、ダム放流水で排砂

 上流から貯水池に流入してきた土砂をダムの放流水とともに下流河川へ通過させる。

2.ダム下流への土砂還元が可能な対策事例

1)スリーシング対策

ダムの排砂設備から貯水池の堆砂を放流水で排砂

 上流から貯水池に流入土砂を掃流力により、堤体ゲ−トから下流河道へ排砂する。

②ゲートで排砂が滞らないよう放流水の流速を高める

 貯水池の水位が高いと流速が低下し土砂が停滞ため、下流河道水位に付近まで貯水池の水位を低下させることで、流速を増しゲートでの土砂移動を向上させる。

2.吸引排砂対策

サイフォンの原理を利用したダム下流河川へ排砂

排砂管内に水流を発生させ、水位差を利用し、排砂管下部の土砂を吸引し下流河川へ排砂させる。

②堆砂の吸引低下を防ぐため、吸引部に攪拌機を設置

堆砂内に塵芥等があると吸引力が低下するため、吸引管の先端に攪拌基を設置し、塵芥が混入する堆積土砂を乱してから搬送する

模範解答2  (簡易答案形式1)  添削履歴 2回    完成日 2018.2.12 専門事項 河川計画

1.対策計画を策定する際の留意点

対象火山で起こりうる現象と及ぼす影響の推移を時系列的に整理した「噴火シナオリ」の場面ごとに対策計画を策定する。対策計画は数値シミュレーションにより効果を確認することが必要である。

2.平常時の対策

(1)ソフト対策:

・土砂災害の被害の範囲の予測と避難場所を設定した火山砂防ハザードマップの作成と情報提供を行う。

・地震計等の設置により観測体制の強化を行う。

(2)ハード対策

・想定災害規模に応じた基幹的な砂防施設の配置を整備する。

・災害発生時の緊急対策用の資機材の備蓄を行う。

3.緊急時の対策

(1)ソフト対策

・監視カメラやワイヤーセンサー等簡易で短期間で設置可能な監視機器を配置する。

・発生した災害現象や規模を考慮したリアルタイムハザードマップの作成を行う。

(2)ハード対策

・大型土嚢等をヘリコプターや無人化重機により運搬し、仮設堰堤・導流堤の設置を行う。

・火山の活動状況に応じた緊急的計画を策定し、既設砂防堰堤の除石により貯留空間を確保する。

H29年 建設・河川Ⅱ-1-3 問題 模範解答と解説

問題文

Ⅱ−1−3 近年の大規模地震によって発生した土砂災害の形態を2つ挙げ、周辺地域に及ぼす影響、及び被害を防止・軽減するために砂防分野において震後に行うソフト対策・ハード対策についてそれぞれ述べよ。

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 4回    完成日 2018/2/7  専門事項 施工計画・施工管理

1.急傾斜地崩壊

1)ソフト対策

地盤伸縮計による情報伝達システムを用い崩壊危険時に異常通報を関係機関へ配信し周辺住民に既設定崩壊高2倍以上の距離へ避難を促す。

2)ハード対策

再度被害防止のため法面脚部に大型土のうと盛土を設置しすべり崩壊を防止する。

 2.河道閉塞(天然ダム)の形成

1)ソフト対策

LPレーザー測量・CCTV監視等でダム決壊予測による避難通報関係機関へ配信し周辺住民に対し高台等への避難を促す。・

2)ハード対策

ダム決壊に伴う洪水から下流域住民を守るため湛水池低下を図る仮排水路の整備

模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 2回    完成日 2018/2/9 専門事項 施工計画・施工管理

1.急傾斜地崩壊

1)ソフト対策

地盤伸縮計による情報伝達システムを用い崩壊危険時に異常通報を関係機関へ配信し周辺住

民に既設定崩壊高2倍以上の距離へ避難を促す。

崩落危険時の異常通報を関係機関へ配信し、周辺住民へは予め設定した崩壊影響範囲(斜面高

の2倍)外に避難を促す。

2)ハード対策

再度被害防止のため法面脚部に大型土のうと盛土を設置しすべり崩壊を防止する。

  崩壊すべり面の脚部を大型土のうと盛土で押さえ安定化を図る。

2.河道閉塞(天然ダム)の形成

1)ソフト対策

LPレーザー測量・CCTV監視等でダム決壊予測による避難通報関係機関へ配信し周辺住民に対し高台等への避難を促す。

天然ダムの形成状況・決壊予測情報を関係機関へ配信し、住民へは、天然ダムの上流域では決

壊前は浸水するため高台に、決壊後は下流域が洪水となるため氾濫区域外へ避難を促す。

2)ハード対策

ダム決壊に伴う洪水から下流域住民を守るため湛水池低下を図る仮排水路の整備

  天然ダムが決壊すれば下流域が大洪水となることから、湛水池から下流河川に仮排水路を設置

し水位低下を図る。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回    完成日 2018.2.11 専門事項 施工計画・施工管理

1.急傾斜対策

1)ソフト対策(崩壊危険時情報伝達システムを活用)

地盤伸縮計による情報伝達システム用い崩壊危険時

では異常通報を関係機関へ配信し、周辺住民へは予め設定した崩壊斜面高の2倍外に避難を促す。

2)ハード対策(斜面脚部を固定し再度の被害を防止)

 降雨や地震等による再度被害防止のため、崩壊すべり面の脚部を大型土のうと盛土で押さえ、斜面の安定を図る。さらに、法面表層部は、浸食防止として土木シートで覆う。

2.河道閉塞(天然ダム)の形成

1)ソフト対策(LPレーザ測量・CCTVでダム決壊予測)

 LPレーザ測量・CCTV監視等で天然ダムの形成状況・決壊予測情報等を関係機関へ配信し、周辺住民へは、天然ダムの決壊前は河川でせき止められ浸水しているため、高台へ避難・決壊後は下流域が洪水となるため氾濫区域外へ避難を促す。

2)ハード対策(湛水地低下のため仮排水路を整備)

 天然ダムが決壊すれば下流域が大洪水となるため、湛水地から下流側に迂回するように仮排水路を整備すし、湛水地の水位の低下を図る。さらに、ICTを活用しダム天端からに無人重機で掘削していく。この二つの工法を同時に実施すれば短期間で天然ダムをとりさることができる。

模範解答2  (簡易答案形式1)  添削履歴 1回    完成日 2018/4/8  専門事項 河川氾濫解析

1. 近年の大規模地震よって発生した土砂災害の形態とは

1)斜面崩壊や地滑りで地震直後に急激な土砂災害が発生

2)大規模崩壊により土砂が河川を閉塞し、地震後の降雨によって土石流が発生。

2.周辺地域に及ぼす影響とは

1)・地震直後に幹線道路が崩壊し地域が寸断される。

・地滑り内のインフラが崩壊し生活基盤を失う

2)河川を閉塞させ天然ダムとなる。降雨があると、下流市街地に土石流被害の危険が迫る。

3.ソフト対策・

1)・地震前後の空撮画像を比較して土砂災害箇所を把握する。孤立集落となっている場合は、避難ルート確保を最優先に、ハード対策箇所の優先順位を決定する。

・地滑りのクラックの状況を伸縮計及び傾斜計でリアルタイムに把握し、危険が伴う移動が発生したら地域住民を避難。

2)天然ダムについては上下流に水位計とライブカメラを設置し、常時観察し決壊の恐れがある場合に下流住民を避難させる。

4.ハード対策

1)・道路啓開の対策方法を提案して道路土砂排除、法面工等を実施する。

・地滑りによる不安定な土砂の排除とボーリングによる地下水位低下工法を早急に実施する。

2)天然ダムの仮排水路を施工し順次、土砂排除を行う。

模範解答2  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回    完成日 2018/4/8  専門事項 河川氾濫解析

 1. 近年の大規模地震よって発生した土砂災害の形態とは

1)斜面崩壊や地滑りで地震直後に急激な土砂移動による災害が発生する。

2)大規模崩壊により土砂が河川を閉塞し、地震後の降雨によって土石流による災害が発生する。

2.周辺地域に及ぼす影響とは

1)・地震直後に幹線道路が崩壊し地域が寸断される。

・地滑り内のインフラが崩壊し生活基盤を失う

2)河川を閉塞させ天然ダムとなる。降雨があると、下流市街地に土石流被害の危険が迫る。

3.ソフト対策・

1)・地震前後の空撮画像を比較して土砂災害箇所を把握する。孤立集落となっている場合は、避難ルート確保を最優先に、ハード対策箇所の優先順位を決定する。

・地滑りのクラックの状況を伸縮計及び傾斜計でリアルタイムに把握し、危険が伴う移動が発生したら地域住民を避難。

2)天然ダムについては上下流に水位計とライブカメラを設置し、常時観察し決壊の恐れがある場合に下流住民を避難させる。

4.ハード対策

1)・道路啓開の対策方法を提案して道路土砂排除、法面工等を実施する。

・地滑りによる不安定な土砂の排除とボーリングによる地下水位低下工法を早急に実施する。

2)天然ダムに仮排水路を施工し順次、土砂排除を行う。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 1回    完成日 2018/4/11  専門事項 河川氾濫解析

1.近年の大規模地震よって発生した土砂災害の形態

①斜面崩壊や地滑りで地震直後に急激な土砂移動による災害が発生する。

②大規模崩壊により土砂が河川を閉塞し、地震後の降雨によって土石流による災害が発生する。

2.周辺地域に及ぼす影響

①地震直後に幹線道路が崩壊し地域が寸断される。また、地滑り内のインフラが崩壊し生活基盤を失う。

②河川を閉塞させ天然ダムとなる。降雨があると、下流市街地に土石流被害の危険が迫る。

3.ソフト対策

①地震前後の空撮画像を比較して土砂災害箇所を把握する。孤立集落となっている場合は、避難ルート確保を最優先に、ハード対策箇所の優先順位を決定する。地滑りのクラックの状況を伸縮計及び傾斜計でリアルタイムに把握し、危険が伴う移動が発生したら地域住民を避難させる。

②天然ダムについては上下流に水位計とライブカメラを設置し、常時観察し決壊の恐れがある場合に下流住民を避難させる。

4.ハード対策

①道路啓開の対策方法を提案して道路土砂排除、法面工等を実施する。地滑りによる不安定な土砂の排除とボーリングによる地下水位低下工法を早急に実施する。

②天然ダムに仮排水路を施工し順次、土砂排除を行う。

H29年 建設・河川Ⅱ-2-1 問題 模範解答と解説

問題文   近年、想定を上回る規模の災害の発生も見られる中、ハード対策に加えて被害想定範囲等を示したハザードマップを活用したソフト対策の重要性が増していることを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1 ) 河川、砂防及び海岸・海洋のいずれかの分野を選択し、被害想定区域の設定からハザードマップの作成に至る手順を概説せよ。

(2) (1)で扱ったハザードマップについて、活用上の留意点を述べよ。

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 8回    完成日 2018/2/19  専門事項 施工計画・施工管理

(1) 砂防分野のハザードマップ作成に至る手順

1)地形図により土砂災害のおそれのある地形条件を有する箇所の抽出

最新の1/25,000の地形図の判読により急傾斜地崩壊・土石流・地滑りの発生が予想される個所を抽出し、記入する。

2)土砂の堆積状況や地形条件等を現地で調査し被害区域を設定

   土砂災害発生方向・既設対策施設・土砂災害を抑制する河川等の地形について、1/2,500の詳細な地形図を用い現地調査の上、被害区域を設定する。

3) 被害区域における住居・土地利用状況を設定

都市計画図・住宅地図・国勢調査により、被害区域における住居・土地利用状況を設定する。

4)被害区域における避難地・避難経路を設定

  まず、被害を想定した避難ルートを歩いて、危険な場所(不十分な道幅・転倒の可能性があるブロック壁や看板等)を回避し、さらに短時間で安全な避難地へ行ける避難経路と避難場所を設定する。

(2) ハザードマップの活用上の留意点

1) 被害区域を意識しながら避難路を歩く防災訓練により、住民の土砂災害に強い地域づくりの推進・防災知識の普及・防災意識の高揚等が図られたハザードマップを活用する。

2) 災害時では特に高齢者等に配慮した地域の同一避難行動が必要なため、自主防災組織が通れる避難経路(十分な道幅・平坦路面)のハザードマップを活用する。

3) 土砂災害特別警戒区域は、著しく危害を及ぼす区域でることから、第一次避難として、大雨警報の段階から避難や近隣の堅牢な建物の高層階・高台・警戒区域外へ移動が図られたハザードマップ(レッドゾーン)を活用する。

模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 5回    完成日 2018/2/25 専門事項 施工計画・施工管理

(1)砂防分野の作成に至る手順

1)土砂災害箇所の概略抽出

最新の1/25,000の地形図の判読により急傾斜地崩壊・土石流・地滑りの発生が予想される個所を抽出し、記入する。

2)土砂災害区域の絞り込み

    土砂災害発生方向・既設対策施設・土砂災害を抑制する河川等の地形について、1/2,500の詳細な地形図を用い現地調査の上、被害区域を設定する。

3) 住居・土地利用状況の記載

都市計画図や住宅地図を見て、被害区域内の住居・土地利用状況を記載する。

4)避難地・避難経路の設定

   現地踏査で、危険な場所(不十分な道幅・倒壊の可能性があるブロック壁や看板等)を回避し、最も安全な避難地へ行ける避難経路と避難場所を設定する。

(2)活用上の留意点

1)避難訓練による経路の意識づけ

住民がハザードマップを持ち歩き、現地の急傾斜地崩壊・土石流・地すべりが発生される区域を意識しながら避難訓練を実施し、避難経路と避難地が住民の印象に残るようにする。

例えば、マップの避難経路において、危険な場所(道幅が十分でない・経路沿いにブロック塀や看板があり倒れる可能性)の確認をする。また避難地までの時間を計測することなどで住民が自ら意識づけが出来るようになる。

2)要配慮者の誘導避難

要配慮者の誘導は自主防災組織による助け合いが必要であり、その際はハザードマップを利用して、介護に伴い大人数を誘導するにふさわしい経路を状況に応じて図上で避難しながら判断で出来るようになる。

3)不動産業の災害対応支援

特に建物の被害が著しい区域をレッドゾーンとしてマップに記している。建物の新築・建て替え・増改築などをする場合、ハウスメーカーや不動産業は、マップのレッドゾーンを確認し、土砂災害に備えた建築計画の必要性を建て主に意識しもらうことで、リスクに対する備えが出来るようになる。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回    完成日 2018.2.28 専門事項 施工計画・施工管理

(1)砂防分野の作成に至る手順

1)土砂災害箇所の概略抽出

DM・オルソフォト・最新の1/25,000の地形図の判読により急傾斜地崩壊・土石流・地すべりの発生が予想される個所を抽出し、記入する。

 2)土砂災害区域の絞り込み

  土砂災害発生の方向・既設対策施設・土砂災害を抑制する河川等の地形について、1/2,500の詳細な数値地形図を用い現地調査のうえ、被害区域を設定する。

 3)住居・土地利用状況の記載

  都市計画図・住宅地図から住居・土地利用状況などの情報を、設定された被害区域内を中心とする地図に重ね合わせ記載する。

 4)避難地・避難経路の設定

  現地踏査で、危険な場所(不十分な道幅・倒壊の可能性があるブロック壁や看板等)を回避し、最も安全な避難地へ行ける避難経路と避難場所を設定する。

(2)活用上の留意点

 1)避難訓練による経路の意識づけ

 住民が自らハザードマップを持ち歩き、現地の急傾斜地崩壊・土石流・地すべりの土砂災害発生が予測される区域を意識しながら避難訓練を実施することによって、避難経路と避難場所が住民の印象に残るようになる。

  例えば、ハザードマップの避難経路において、避難の妨げになる場所(冠水になりやすい箇所・急な上り坂や下り坂がある箇所・ぬかるみのある道等)を確認していく。また、避難地までの時間計測・距離の測定や夜間の避難訓練などをすることなどで、住民が自ら意識づけが出来るようになる。

 2)要配慮者の誘導避難

自力避難が困難な災害時要配慮者は、土砂災害の犠牲者の約6割を占め、地域による自主防災組織による助け合いによる避難支援は不可欠となる。

その際、自主防災組織は、ハザードマップを利用し、要配慮者の介護により大人数となる誘導にふさわしい避難経路を状況に応じて、避難しながら判断できるようになる。

 3)不動産業の災害対応支援

特に、建物に対する土砂災害の被害が著しい区域をレッドゾーンとしてハザードマップ内に示している。

建物の新築・建て替え・増改築などをする場合、ハウスメーカーや不動産業等は、このハザードマップ内のレッドゾーンを確認し、レッドゾーン内であれば、土砂災害に対する建築計画の必要性を建て主に意識してもらえるようになり、建築に際する安全な構造・早めの避難など、リスクに対する備えが出来るようになる。

模範解答2  (簡易答案形式1)  添削履歴 10回    完成日 2018/3/10  専門事項 河川計画

 (1) 砂防分野におけるハザードマップの作成手順

①数値標高モデル(DEM)の作成

②急傾斜地の崩壊、土石流、地すべりのおそれがある箇所の抽出

③現地調査

各土砂災害の地形条件を満たす範囲を確認する。

④区域の設定

1)災害により発生した土砂の到達範囲を定め、土砂災害警戒区域。

2)土砂等の移動や堆積の力が建築耐力を上回る範囲を土砂災害特別警戒区域。 

⑤公共的施設や避難所の決定 

公共施設、災害時要援護者施設、避難所等を明記する。

(2) ハザードマップ活用上の留意事項

①認知度の向上

住民説明会や防災教育を通じて自分が住んでいる地域の危険性を周知させる。

②住民が自ら作成する取組み

 避難所への安全な避難経路を個々が確認し、マップに記入することにより学ぶ。

③ハザードマップを活用した避難訓練

 マップにないリスクも確認しながら避難し、迅速な行動力・判断力を育む。

④インターネットによる公表

 避難勧告エリア等の情報提供やGPSを用いて現在地から最寄の避難所へナビゲーションを行うリアルハザードマップにより利便性を向上させる。

模範解答3  (簡易答案形式1)  添削履歴 7回    完成日 2018/5/11  専門事項 河川氾濫解析

1. 害想定区域の設定からハザードマップの作製に至る手順

①地域の水害特性および社会特性の把握

・被害を受ける水害(想定最大規模の洪水、高潮等)を浸水想定区域により把握

・過去の水害実績及び危険個所を把握

②早期の立ち退き避難が必要な区域設定

・ハザードマップに家屋倒壊等氾濫想定区域が分かるように色付けを行う。

③想定最大規模の水害に対する避難方法

・観測された最大の降雨量と年超過確立1/1,000の降雨量の大きい降雨量の氾濫水による浸水想定に対して避難場所や広域避難も念頭に避難計画を策定してハザードマップに避難方法を記入する。

2.ハザードマップについて、活用上の留意点

①災害時に有効となる避難方法

ハザードマップから浸水想定の最大浸水深を把握し、2階に留まる垂直避難か避難所に移動する水平避難か決めておく。

②確実な早期避難

堤防決壊地点付近の洪水流速を把握し、人命を守るための早期避難区域をハザードマップに明示する。

③広範囲の浸水に対して有効となる避難方法

広範囲の浸水には、広域避難が有効です。しかし、広域避難が現実的でない場合は、ハザードマップから経過時間毎の浸水深を把握し、先ずは近隣の避難場所に避難。

模範解答3  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回    完成日 2018/5/13  専門事項 河川氾濫解析

1.害想定区域の設定からハザードマップの作製に至る手順

①地域の水害特性および社会特性の把握

・被害を受ける水害(想定最大規模の洪水、高潮等)を浸水想定区域により把握する。

・過去の水害実績及び危険個所を把握する。

・要援護者関連施設を把握する。

②早期の立ち退き避難が必要な区域設定

・ハザードマップに家屋倒壊等氾濫想定区域及び要援護者関連施設が分かるように色付けを行う。

③想定最大規模の水害に対する避難方法

・観測された最大の降雨量と年超過確立1/1,000の降雨量の大きい降雨量の氾濫水による浸水想定に対して避難場所や広域避難も念頭に避難計画を策定してハザードマップに避難方法を記入する。

2.ハザードマップについて、活用上の留意点

①災害時に有効となる避難方法

ハザードマップから浸水想定の最大浸水深を把握し、2階に留まる垂直避難か避難所に移動する水平避難か決めておく。

②確実な早期避難

堤防決壊地点付近の洪水流速を把握し、人命を守るための早期避難区域をハザードマップに明示する。また、要介護施設で2階に留まる垂直避難が困難な場合も早期避難施設として明示しておく。

③広範囲の浸水に対して有効となる避難方法

広範囲の浸水には、広域避難が有効です。しかし、対象避難民が多く交通事情等で短期間の移動が困難な場合は、ハザードマップから経過時間毎の浸水深を把握し、先ずは1次避難として近隣の避難場所に避難することを決めておく。

模範解答3  (答案形式)  添削履歴 4回    完成日 2018/5/19  専門事項 河川氾濫解析

1.被害想定区域設定からハザードマップ作成手順

①地域の水害特性および社会特性の把握

被害を受ける水害(想定最大規模の洪水、内水、高潮、津波等)を浸水想定区域により把握してハザードマップに浸水深別に色付けして明示する。また、過去の水害実績及び危険個所を把握して、ハザードマップに河川の氾濫特性及び過去の水害の特徴を明示する。

要援護者関連施設の位置及び規模を把握する。

②早期の立ち退き避難が必要な区域設定

ハザードマップに家屋倒壊等氾濫想定区域及び要援護者関連施設が分かるように色付けを行う。

③想定最大規模の水害に対する避難方法

観測された最大の降雨量と年超過確立1/1,000の降雨量を比較して大きい降雨量を想定最大規模の降雨量とする。この氾濫水による浸水想定に対して、避難場所を広域避難も念頭において避難計画を策定する。次に、この避難計画から、ハザードマップに避難場所及び避難方法を明示する。

2.ハザードマップについて、活用上の留意点

①災害時に有効となる氾濫特性の情報

河川の氾濫形態が拡散型氾濫か流下型氾濫か貯留型氾濫かをハザードマップに明示する。また、それぞれの氾濫の特徴と留意点、例えば拡散型氾濫であれば、堤防から離れた場所でも氾濫水が到達するとか大河川では雨が止んだ後に氾濫が起こるとの情報をハザードマップに明示する。この氾濫特性を理解することで適切なタイミングでの避難行動が出来るようになる。

②災害時に有効となる避難方法

ハザードマップから浸水想定の最大浸水深を把握する。最大水深が2階の床より低い場合は、垂直避難として2階に留まるか、避難所に移動する水平避難かを事前に決めておく。

③確実な早期避難

堤防決壊地点付近の洪水流速を把握する。洪水流速が早く、家屋が流される危険が高い場所は、人命を守るための早期避難区域としてハザードマップに明示して早期避難を促す。また、要介護施設において2階に留まる垂直避難が困難な場合と垂直避難が可能でも長期浸水が予想される場合は、早期避難施設としてハザードマップに明示して、確実な早期避難を行う。

④2段階避難

災害時の混乱を防ぐために、浸水想定から経過時間毎の浸水深を把握し、先ずは1次避難として近隣の避難場所に避難することを決めておく。

次に2次避難として広域避難場所を移動方法も含めてハザードマップに明示する。

H29年 建設・河川Ⅱ-1-1 問題 模範解答と解説

問題文

Ⅱ−1−1   地方部の中小河川において、近年発生している水害被害の特徴や課題を3点挙げたうえで、その特徴や課題を踏まえた中小河川における水害対策についてハード対策・ソフト対策の両面から述べよ。なお、中小河川は、都道府県が管理する河川を指すものとする。

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 5回    完成日 2018/4/4  専門事項 河川氾濫解析

1.近年発生している、中小河川における水害被害の3点の特徴と課題

1)特徴:流域面積が小さく、急激に水位が上昇する。

  課題:浸水想定図の危険なエリアでの避難誘導方法が必要となる。

2)特徴:河川改修の計画降雨規模が小さく、堤防越水して破堤する災害が多い。

  課題;越流しても浸食されないよう天端や裏法を強固にする必要である。

3)特徴:護岸がコンクリートで覆われ洪水流が急激に集まる災害がある。

  課題;水門及び排水機場の自動化が必要となる。

2.ハード対策

1)洪水調節池及び雨水浸透施設を設置する。

2)粘り強い堤防とするため、堤防天端舗装・堤防裏法尻保護工を行う。

3)水門及び排水機場の自動運転化や遠隔操作化

3.ソフト対策

1)現状の浸水想定図を短時間の豪雨に特化して内水氾濫状況も新たに作成する。

2)最新の気象レーダ予想と中小河川洪水位予想を連動させるシステムの開発。

3)簡易水位計を設置して流域住民の避難行動に役立てる。

模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回    完成日 2018/4/5  専門事項 河川氾濫解析

1. 近年発生している、中小河川における水害被害の3点の特徴と課題

 地球温暖化の影響もあり、近年、短時間に50ミリ以上の降雨が多く発生している。この中で、中小河川において発生している水害被害の3点の特徴と課題。

1)特徴:流域面積が小さく、急激に水位が上昇する。

  課題:浸水想定図の危険なエリアでの避難誘導方法が必要となる。

2)特徴:河川改修の計画降雨規模が小さく、堤防越水して破堤する災害が多い。

  課題;越流しても浸食されないよう天端や裏法を強固にする必要である。

3)特徴:護岸がコンクリートで覆われ洪水流が急激に集まる災害がある。

  課題;水門及び排水機場の自動化が必要となる。

2.ハード対策

 急激な雨水を出来るだけ河川に流入を遅らせる。また、洪水で堤防を越水しても避難出来る時間を稼げる河川構造とする。

1)洪水調節池及び雨水浸透施設を設置する。

2)粘り強い堤防とするため、堤防天端舗装・堤防裏法尻保護工を行う。

3)水門及び排水機場の自動運転化や遠隔操作化

3.ソフト対策 としては、急激な水位上昇に対しても避難行動が出来るようにする。

1)現状の浸水想定図を短時間の豪雨に特化して内水氾濫状況も新たに作成する。

2)最新の気象レーダ予想と中小河川洪水位予想を連動させるシステムの開発。

3)簡易水位計を設置して流域住民の避難行動に役立てる。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 4回    完成日 2018/4/7  専門事項 河川氾濫解析

1.中小河川における水害被害の特徴と課題

①特徴:流域面積が小さく、急激に水位が上昇する。

課題:浸水想定図の危険なエリアでの避難誘導方法が必要となる。

②特徴:河川改修の計画降雨規模が小さく、堤防越水して破堤する災害が多い。

課題;越流しても浸食されないよう天端や裏法を強固にする。

③特徴:護岸がコンクリートで覆われ洪水流が急激に集まる災害がある。

課題;水門及び排水機場の自動化が必要となる。

2.ハード対策

①河川への雨水流入時間を遅らせるため、洪水調節池及び雨水浸透施設を設置する。

②粘り強い堤防とするため、堤防天端舗装・堤防

裏法尻保護工を行う。

③水門及び排水機場の自動運転化や遠隔操作化を行う。

3.ソフト対策

①現状の浸水想定図を短時間の豪雨に特化して内水氾濫状況も新たに作成して、地区毎に2階以上に留まるか避難所に移動する必要があるのか詳細な避難方法を明示する。

②洪水予報河川として最新の気象レーダ予想雨量で水位予想を行って避難行動に役立てる。

③簡易水位計を設置して住民の避難行動に役立てる。

H29年 建設・河川Ⅱ-2-2 問題 模範解答と解説

問題文  

河川、砂防及び海岸・海洋の分野において、景観に配慮した防災施設の整備が求められることを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)   河川、砂防及び海岸・海洋のいずれかの分野を選択し、防災施設の整備における、周辺を含めた景観配慮の留意点を述べよ。

(2)   (1)で扱った防災施設の景観配慮について、整備の各段階(調査・計画段階、設計段階、施工段階)において通常検討すべき項目を説明せよ。

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 7回    完成日 2018/4/18  専門事項 

1. 防災施設の整備における、周辺を含めた景観配慮の留意点

①の河川施設が大きくなると、景色の中に構造物が入り込んでしまうため、立体的な河川空間の中で、現自然環境に近い形状・色彩・素材となるよう留意する。

②河川での人々の活動のしやすさ及び居心地の良さを、移動・滞留のし易さを評価して位置、構造、材料等を決定する。

③河川改修により魚類・植物・小動物の生息環境を考慮して位置及び構造に留意

2.調査・計画段階において通常検討すべき項目

①周辺の景観を上下流も含め季節毎、時間毎に調査し、河川景観のポイントとなる場所と特徴をとりまとめ、保全すべき景観、復元・改善すべき景観、創出すべき景観を明確にして計画する。

②河川の文化歴史について文献調査を実施し、河川での人々の利用形態(散策、魚釣り、祭事等)を調査する。人々の動線を明確にして計画する。

③自然環境調査(魚類・植物・小動物)を実施。保護、復元、改善する種を明確化。

3.設計段階において通常検討すべき項目

①景観設計については立体的な河川空間のデザインを用いる。また、河川景観のポイントとなる色彩や素材を用いてに設計する。

供試体を施工し数年、風雨にさらし、材料の見え方を検討

②河川の利用(散策、祭事、魚釣り等)について、活動のしやすさ、居心地の良さ、動線の利便性を考慮して設計する。

③河川縦断計画において魚類植生に影響が出ないよう川床の掘削が少なくなるよう河床勾配及び横断勾配を決定する。

4.施工段階 において通常検討すべき項目

①仮説構造物について、工事期間の短縮や仮設の小規模化を検討

②施工中も河川利用が可能となるよう仮設計画を策定する。

③既設環境を乱さないように工事掘削範囲は出来るだけ少なく

河床掘削等については、下流に沈砂池等を設置して河川の汚濁防止を行う。

模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回    完成日 2018/4/18  専門事項 

1. 防災施設の整備における、周辺を含めた景観配慮の留意点

①の河川施設が大きくなると、景色の中に構造物が入り込んでしまうため、立体的な河川空間の中で、現自然環境に近い形状・色彩・素材となるよう留意する。

②河川での人々の活動のしやすさ及び居心地の良さを、移動・滞留のし易さを評価して位置、構造、材料等を決定する。

③河川改修により魚類・植物・小動物の生息環境を考慮して位置及び構造に留意

2.調査・計画段階において通常検討すべき項目

①周辺の景観を上下流も含め季節毎、時間毎に調査し、河川景観のポイントとなる場所と特徴をとりまとめ、保全すべき景観、復元・改善すべき景観、創出すべき景観を明確にして計画する。

②河川の文化歴史について文献調査を実施し、河川での人々の利用形態(散策、魚釣り、祭事等)を調査する。人々の動線を明確にして計画する。

③自然環境調査(魚類・植物・小動物)を実施。保護、復元、改善する種を明確化。

3.設計段階において通常検討すべき項目

①景観設計については立体的な河川空間のデザインを用いる。また、河川景観のポイントとなる色彩や素材を用いてに設計する。

供試体を施工し数年、風雨にさらし、材料の見え方を検討

②河川の利用(散策、祭事、魚釣り等)について、活動のしやすさ、居心地の良さ、動線の利便性を考慮して設計する。

③河川縦断計画において魚類植生に影響が出ないよう川床の掘削が少なくなるよう河床勾配及び横断勾配を決定する。

4.施工段階 において通常検討すべき項目

①仮説構造物について、工事期間の短縮や仮設の小規模化を検討

②施工中も河川利用が可能となるよう仮設計画を策定する。

③既設環境を乱さないように工事掘削範囲は出来るだけ少なく

河床掘削等については、下流に沈砂池等を設置して河川の汚濁防止を行う。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 7回    完成日 2018/4/27  専門事項 

(1)防災施設の周辺を含めた景観配慮の留意点

①施設の配置や材料による視覚的インパクトの低減

河川構造物は視覚的な圧迫感や周辺環境の中で違和感を与える可能性がある。そのため、山付部の周辺地形を活用して見えにくい配置の採用、樹木や盛り土等により見える高さや幾何学的な印象を低減させ視覚的インパクトを極力低減させる。

②地域の個性を生かした整備

歴史的に整備されてきた松林等の湖畔林は河川改修に合わせ松を補植したり、散策路として利用できる管理用通路を計画する等、将来にわたって観光資源として活用される整備を行う。

③魚類、植生の生息環境の復元

堤防の配置等を検討する場合は、魚類の生息状況に関連する瀬と淵を復元する。植生の復元には、地域に本来生育する植物種を選定する。

(2)−1調査・計画段階において検討すべき項目

①河川景観の特徴を生かしたデザイン

周辺の景観を上下流も含め季節毎、時間毎に調査する。河川景観の特徴となる瀬と淵、河原等の微地形、湖畔林、周辺建物の景観を生かしたデザインとする。

②河川周辺での利用形態を明確にして計画

河川の文化歴史について文献調査、現況調査を実施し、河川での人々の利用形態(散策、魚釣り等)を調査する。人々の利用形態毎の動線を明確にして計画する。

③自然環境調査により生息種を明確にして計画

自然環境調査(魚類・植物・小動物)を実施し、保護、復元、改善する種を明確にして計画する。

(2)−2設計段階において検討すべき項目

①河川景観の特徴となる色彩や素材

調査により確定した現況河岸の色彩や素材を用いて設計する。

②河川利用の居心地の良い設計

河川の利用(散策、魚釣り等)について、階段護岸や緩傾斜護岸等の利用者が居心地の良い親水空間の設計とする。

③魚類植生に影響が出ない河床掘削

河川縦断計画において魚類植生に影響が出ないよう河床の掘削が少なくなるよう河床勾配及び横断勾配を決定する。

(2)−3施工段階において検討すべき項目

①仮設工事の小規模化

仮設の小規模化及び工事期間の短縮を検討する。

②廃棄物の減量化とリサイクルの推進

生活環境保全のため、河床掘削で発生した岩石を廃棄物処理しないで、護岸材料として採用する。また、間伐材等、環境負荷の少ない工事資材を利用する。

③河川の汚濁防止

下流に沈砂池等を設置して河川の汚濁防止を行う。

H29年 建設・河川Ⅲ-1 問題 模範解答と解説

問題文   

 わが国では、高度経済成長期に社会的要請に基づき急速に整備した社会資本の老朽化に対して、厳しい財政制約の下、効率的に対応していく必要がある。そのような状況を踏まえ、社会資本の整備や維持管理の分野においては、既存ストックの有効活用を図ることが求められている。河川、砂防、海岸、海洋分野における既存ストックの有効活用に関して、以下の問いに答えよ。

(1)   河川、砂防、海岸・海洋分野において、現在取り組まれている既存ストックの有効活用に資する具体的な取組の例を2つ挙げ、その概要を説明せよ。

(2)   今後、より積極的に河川、砂防、海岸・海洋分野における既存ストックの有効活用を推進していくに当たっての課題を2つ説明せよ。

(3)(2)で記述した課題に対して、それぞれの改善方策を提案せよ

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 14回    完成日 2018/3/18  専門事項 施工計画・施工管理

(1) 具体的取組み例

1) 堤防の既存ストックの天端や裏法を保護工で覆うことで、浸食による崩壊を低減し、洪水外力に対する耐久性を向上させる。

2)砂防堰堤の既存ストックの中央部に鋼管格子を組み込むことで、土砂の流下機能が高まり、土砂調節量が向上する。

(2)有効活用推進の課題

1)浸食による強度低下を防ぐため、堤体変化に追随できる引張強度が高く屈撓性を有するブロックやシートによる保護工の開発

2)砂防堰堤の土砂を流下させやすくするため、巨石を上流側の格子で捕足し、一方土砂は水の流路を維持して掃流力を保つ構造の開発。

(3)有効活用の改善方策

1-1初期浸食に対する強化保護工の開発

堤体浸食がはじまる裏法肩を防ぐことで、崩壊の低減が図られる。

そのため、堤防天端を防水・水密性を有する材質で法肩を巻くように覆う手法で、堤体強度を向上させた保護工を開発する。

1-2流水の侵入と水位の低下を図った保護工の開発

堤内の浸透水による内力を低減させるため、堤防天端と裏法上部に遮水材、裏法下部に排水材で覆う手法を応用して、流水の侵入と水位の低下を図る保護工を開発する。

2-1巨石の分離を図った鋼管格子の開発

巨石を分離し土砂の流下能力を向上させるため、鋼管格子を上流側に斜め屈曲形に設置する。

これにより、土石流時で巨石が上方に浮上り下部の空間から土砂だけを流下させる斜材鋼材形状の設計を応用して、先頭で衝突してくる巨石を上部で捕足し、後続する土砂は下部で流下させる格子形状とする。

2-2土砂の流水速度を高めた構造の開発

動水勾配をあげ流水能力を高めさせることで、土砂の流下速度が向上する。

そのため、格子をフラットから勾配をもたせた基礎面に設置した設計で、堰堤における土砂の加速度を高めた構造を開発する。

模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 2回    完成日 2018/3/21  専門事項 施工計画・施工管理

(1)具体的取組み例

1)堤防の保護工設置

河川堤防は土堤であり一旦洪水が発生すると破堤しやすいため、堤防の既存ストックの天端や裏法を保護工で覆うことにより、浸食による崩壊を低減し洪水外力に対する耐久性を向上させる。

2)砂防堰堤の鋼管格子設置

不透過型砂防堰堤は、巨石と土砂を同時に捕足し堆砂させ土砂の流下が少なく河床が低下し河川構造物に被害が生じているため、既存ストックの中央部に鋼管格子を組み込むことで、土砂の流下機能が高まり、土砂調節量を向上させる。

(2)有効活用推進の課題

1)ブロックやシートによる保護工の開発

破堤の主要因は、多様な方向・流量からくる越流水による浸食であり、既存堤防の強度低下を防ぐには、土堤体の変化に追随できる引張強度が高く屈撓性を有するブロックやシートによる保護工の開発をする。

2)土砂の掃流力を保つ鋼管格子の開発

土石流を捕足する際、巨石と土砂が混合し巨石が土砂の流下を妨げるため、巨石を上流側の格子で捕足し、一方土砂は水の流路を維持して掃流力を保つ構造の開発。

(3)有効活用の改善方策

1)ブロックやシートによる保護工の開発

1-1初期浸食に対する強化保護工の開発

浸食が始まる裏法肩を防ぐことで堤体崩壊が低減されるため、堤防天端を防水・水密性がある材質で法肩を巻き覆う手法で、堤体強度向上を図る保護工を開発する。

1-2流水の侵入と水位の低下を図った保護工の開発

堤内の浸透水による内力を低減さるため、堤防天端と裏法上部に遮水材、裏法下部に排水材で覆う手法を応用して、流水侵入と水位低下を図る保護工を開発する。

2)土砂の掃流力を保つ鋼管格子の開発

2-1巨石の分離を図った鋼管格子の開発

鋼管格子を上流側に斜め屈曲形に設置し、土石流時で巨石が上方に浮上らせ下部の空間から土砂だけを流下させる設計を応用して、先頭で衝突してくる巨石を上部で捕足し、後続する土砂は下部で流下させる格子形状とする。

2-2土砂の流水速度を高めた構造の開発

動水勾配をあげ流水能力を高めさせることで土砂の流下速度が向上するため、格子をフラットから勾配をもたせた基礎面に設置した設計で、堰堤における土砂の加速度を高めた構造を開発する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 6回    完成日 2018/3/29  専門事項 施工計画・施工管理

(1)具体的取組事例

1)堤防の保護工設置

河川堤防は土堤であり一旦洪水が発生すると破堤しやすい。破堤を防ぐには、洪水の流下能力を上げる河川改修等があるが、膨大な時間と費用を要す。

破堤は、耐浸食力を上回る流速が作用する時点から生じるため、既存ストックの河川堤防の天端や裏法を保護工で覆うことにより、耐浸食力と同程度の流速まで効果を発揮できる。

これにより、土堤に作用する洪水の外力に対応でき、かつコストを減らし短期間の施工が可能となることから、氾濫リスクの高い河川における堤防の整備率が向上される。

2)砂防堰堤の鋼管格子設置

不透過型砂防堰堤は、巨石と土砂を同時に捕足し堆砂させ土砂の流下が少なく、河床が低下し河川構造物に被害が生じている。

鋼管格子は、流下してくる土石流の貯留または減勢および土砂と巨石の分離を図る設備として用いられる。できる。また、土砂と巨石の通過空間を大きくとることができ、大洪水時まで貯砂容量を確保でき、堆砂圧等が低減され構造上の安定性が確保される。

よって、不透過型砂防堰堤の既存ストック中央部に鋼管間隔をもつ格子を組み込むことで、土砂の流下機能が高まり、かつ堰堤の耐久性が向上される。

(2)有効活用推進の課題

1)ブロックやシートによる保護工の開発

堤体の崩壊は、堤防の天端を越流したあと、裏法を流下し流速が早くなった状態で洗堀が起こり、天端および裏法の損壊・流出を引き起す被災形態である。

そのため、洪水の外力に対し土堤体の変化に追随でき、せん断力および引張等の強度が高く屈撓性を有し、また流水の侵入を防止するブロックやシートによる保護工の開発をする。 

2)土砂の掃流力を保つ鋼管格子の開発

透過部断面を持つ鋼管格子を設置することにより、巨石を上流側で捕足し堆積させ、一方の土砂は、水の流路を維持して掃流力を保つことが可能となる。

そのため、洪水時・平常時ともに土砂を堆積させることなく、堆砂域の空間を確保させ堰堤のクラック等の損傷を防ぐ構造の開発をする。

(3)有効活用の改善方策

1)ブロックやシート等による保護工の開発

1-1初期浸食に対する強化保護工の開発

初期段階で発生する裏法肩の洗堀を強化することが有効な手段となる。

このため、防水・水密性がある材質で、堤防天端から法肩まで巻き覆う手法で、堤体の洗堀を防止し強度の向上を図る保護工を開発する。 

1-2流水の侵入と水位の低下を図った保護工の開発

洪水時では、流水の外力と内力の両面から堤防の強化を図ることが有効である。

このため、天端と裏法上部に遮水材で覆い流水の侵入を防ぐ。一方裏法下部には排水材で覆い浸透水をドレーン状にして速やかに堤体から排除する手法を応用して、堤体に対する流水の侵入と水位の低下を図る保護工の開発をする。 

2)土砂の掃流力を保つ鋼管格子の開発

2-1巨石の分離を図った鋼管格子の開発

堰堤上流側に斜め屈曲形の格子を設置し、土石流時に巨石を上方に浮き上がらせ、下部にできた空間から土砂だけを流下させることができる。

このため、先頭で衝突してくる巨石を上部で捕足し、後続してくる土砂は下部で流下させる設計を応用した格子形状を開発する。 

2-2土砂の流水速度を高めた構造の開発

動水勾配をあげ流水能力を高めさせることで、土砂の流下速度を向上させることで、格子を通常のフラット形状の基礎面から勾配をもたせた形状の基礎面にし、かつ堆砂域底面にコンクリート版を設置する。

このため、堰堤における勾配を上げ、かつ粗度係数も低くした土砂の加速度を高めさせる設計を応用した構造を開発する。

模範解答2  (簡易答案形式1)  添削履歴 1回    完成日 2018/5/17  専門事項 

1. 既存ストックの有効活用例

①高水敷き等の有効利用

・堤防天端、高水敷き等の用地において、洪水時に使用されが、大半を占める通常に使用されていない。この土地をリクレーション施設、カフェ等の商業施設に占用させて高度利用を行う。

②既設ダムにおける洪水調節容量の増

・ダムの嵩上や浚渫することで洪水調節容量を増やす。

・ダムの下部で利水の容量を確保して上部を洪水調節容量で利用する。

2.有効活用を推進していくに当たっての課題と改善方策

①課題 :河川施設の耐用年数が経過する時期に多くが来ており、老朽化に伴う維持管理及び更新には莫大な予算がかかる。既存ストックの維持管理・更新を効果的に行っていく必要があるが、河川堤防は一般的に工事時期も不明確で施設台帳も不明確となっている。

改善方策;護岸の老朽については修繕時期が不明確であるので施設台帳を整備して施工時期を明確にすることで修繕計画を策定する。

 護岸の内空調査をレーダー探査機で調査して修繕計画を立てる。

 排水機場の機械については定期的に更新して長寿命化計画を策定して、更新する。

②課題 :河川拡幅工事において計画流量から算定した定規断面で河川拡幅工事を行うと既設護岸を取り壊して新設する必要がある。このため、既設護岸を有効利用して経済的であり廃棄物を出さない生活環境保全の計画とする必要がある。

改善方策;各断面を不等流計算で洪水位を算定し既設護岸を利用できる計画断面に変更する。

山付きの自然河岸については、力学的に洪水流による浸食がないことを確認して護岸工を計画しない区間を設定する。

河川拡幅計画に変えて既設ダムの洪水調節容量を増加させる計画を策定する。

放水路を計画して既設護岸の拡幅工事に変える。

模範解答2  (簡易答案形式2)  添削履歴 4回    完成日 2018/6/6  専門事項 

1. 既存ストックの有効活用例

①排水機場の長寿命化計画

排水機場の塗装の状況を確認し、腐食対策として再塗装を実施する。また、長寿命化計画を策定し、機器の部品交換を共用時間を基に予防保全の観点から交換して排水機場を長期に有効活用を行っている。

②河川施設の変状管理

毎年同時期に目視による確認を行う。確認の項目は、護岸のクラックの変化、体積土砂の変化、樹木の生育変化、堤防法面の窪み等の変化です。

次に変状が拡大している場合は、護岸のクラックであれば、モルタル注入を、体積土砂は掘削排除を行って既存ストックの維持管理を行うことで河川施設の有効活用を行っている。

2.有効活用を推進していくに当たっての課題

①確実な管理手法

予防保全での共用時間を基準に部品を交換していくのではなく、劣化予想をして部品の状態を把握して最適な時期に部品交換する管理手法の確立が課題である。

②不可視部分の変状把握

河川施設の目視確認は表面上の変状の確認には有効だが、堤防内部及び護岸下部の変化は確認できていない。河川施設を長期に有効活用するためには、浸透水による堤防内部及び護岸下部の空洞化を初期段階に修繕工事を行う必要がある。このため、堤防内部及び護岸下部の確実な変状把握をすることが課題である。

3.それぞれの改善方策

①状態監視技術の向上

排水機場を常時監視するため、管内の主軸に垂直に超音波を照査できるケーシング外部に超音波式振動計センサーを密着させて振動波形を計測する。この計測を継続し、評価することで、振動状態と劣化兆候と実際の設備状態の因果関係を把握し、状態監視技術を向上させる。

②堤防内部の維持管理

地中レーダー探査による事前調査を実施し、堤防の空洞状況を把握する。

次に空洞状況の詳細調査として開削調査、ボーリング調査及びボアホールカメラ撮影調査を実施する。その後、空洞化原因を推定することで対策工を検討し実施することで表面と内部の変状を確実に把握し維持管理することで長期の河川施設の有効活用を行える。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 2回    完成日 2018/6/8  専門事項 

1.既存ストックの有効活用

①排水機場の長寿命化計画

排水機場の塗装の状況を確認し、腐食対策として再塗装を実施する。消耗品であるパッキンの劣化が見受けられたときに分解整備を実施する。

また、長寿命化計画を策定し、機器の部品交換を供用時間を基に予防保全の観点から交換して排水機場を長期に有効活用を行っている。

②河川堤防の変状管理

河川堤防及び護岸については、毎年同時期に目視による確認を行う。確認の項目は、護岸のクラックの変化、河川の堆積土砂の変化、樹木の生育変化、堤防法面の窪み等の変化です。

次に変状が拡大している場合は、護岸のクラックであれば、モルタル注入を、堆積土砂は掘削排除を行って、維持管理を行うことで河川施設を長期に有効活用を行っている。

2.有効活用を推進していくに当たっての課題

①確実な管理手法

予防保全での供用時間を基準に部品を交換していくのではなく、劣化予想をして部品の状態を把握して最適な時期に部品交換する管理手法の確立が課題である。

②不可視部分の変状把握

河川施設の目視確認は、表面上の変状の確認には有効だが、堤防内部及び護岸下部の変化は確認できていない。

河川施設を長期に有効活用するためには、浸透水による堤防内部及び護岸下部の空洞化を初期段階に発見し、修繕工事を行う必要がある。このため、堤防内部及び護岸下部の確実な変状把握をすることが課題である。

3.それぞれの改善方策

①状態監視技術の向上

排水機場を常時監視するため、管内の主軸に垂直に超音波を照査できるケーシング外部に超音波式振動計センサーを密着させて振動波形を計測する。この計測を継続し、評価することで、振動状態と劣化兆候と実際の設備状態の因果関係を把握し、状態監視技術を向上させる。

②堤防内部の維持管理

地中レーダー探査による事前調査を実施し、堤防の空洞状況を把握する。次に空洞状況の詳細調査として開削調査、ボーリング調査及びボアホールカメラ撮影調査を実施する。

その後、空洞化原因を推定し、対策工として、止水矢板、モルタル注入等を実施することで内部の変状を確実に把握し、維持管理することができ、長期の河川施設の有効活用が行える。

H29年 建設・河川Ⅲ-2 問題 模範解答と解説

問題文   

 我が国では少子高齢化が急速に進んでおり、近年は人口減少も継続している。それに伴い、生産年齢人口も減少し続けており、社会全体として働き手の確保が困難になりつつある。そのような状況を踏まえ、社会資本の整備や維持管理の分野においては、生産性の向上を図ることが求められている。河川、砂防及び海岸・海洋の分野における働き手の確保及び生産性の向上に関して、以下の問いに答えよ。

(1)働き手の確保が困難となることにより、河川、砂防及び海岸・海洋の分野で生じるおそれがある具体的な問題を3つ挙げて説明せよ。

(2)河川、砂防及び海岸・海洋の分野において、生産性を向上させるためには、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのあらゆる建設生産プロセスにおいて、そのための取り組みが必要である。

①河川、砂防及び海岸・海洋の分野において取組むことができる建設生産プロセスにおける生産性の向上に資する具体的な取り組みを2つ提案し、

②提案した2つの取り組みのそれぞれについて、建設生産プロセスに導入するに当たり解決すべき課題を説明せよ。

(3)(2)であなたが取り上げた課題に対して、それぞれ具体的な解決策を提案せよ。

模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 2回    完成日 2018/6/18  専門事項 

(1) 働き手の確保が困難となることにより河川分野で生じる問題

①工事工程管理が困難                       

労働者不足は、殆どが現場施工となる建設工事において工程管理が困難となる。特に渇水期施工である河川工事は、工期内の完成が困難となる問題がある。

②技術の継承が困難

災害復旧、多自然川づくり等の施工は現場経験が必要であり、人手不足により現場での技術の継承が困難となってくる。

③維持管理水準の低下

 河川施設に精通した人手が不足すると、河川施設を目視して管理上の問題を事前に把握することが困難となり、修繕等の対応が出来なくなる。

(2)建設生産プロセス

①生産性の向上に資する、2つの具体的な取り組み

1)河川土工におけるICTの導入

3次元データー測量を実施して、3次元設計データー作成・出来形管理を実施することで測量及び施工管理技術者の負担が減ることで人手不足に対応できる。 

 また、ICT土工の施工により重機操作の人手不足も解消することができる。

2)河川施設の工場製作化

 護岸の基礎工及び樋管、水門について工場製作の2次製品を採用して現場での施工期間を極力減らすことで、生産性を向上させた。

②2つの取り組みについて、解決すべき課題

1)小規模河川土工事におけるICTの導入

建設工事で箇所数が多い小規模河川土工事にICTを導入するために、測量及び施工管理について費用を抑える方法が課題である。

2)大型河川構造物の工場製作化

 大規模樋門及び樋管の工場製作化が課題である。

3.それぞれの解決策

1)ドローンによるレーザ測量

従来のTS測量、地上レーザ測量、航空レーザ測量に代えて短時間に少ない基準点の数で広大な現況地形捉えることが出来るドローンによるレーザ測量を実施し現場管理を行うことで人手不足を解消できる。

2)新技術による大規模構造物の工場製作

河川構造物への外力、特に漏水対策を行って、沈埋工法を採用して、大型河川構造物の工場製作化の環境を作ることで生産性を向上させる。

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