R2年、2021年 建設、港湾・空港 Ⅲ−1 問題 模範解答と解説
Ⅲ-1
我が国は、平成28年に「明日の日本を支える観光ビジョン −世界が訪れたくなる日本へ−」を定め、外国人の訪日旅行の振興に精力的に取り組んでいるところである。その中で、国際ゲ−トウェイである港湾及び空港は、ビジョンの実現に向けて大きな役割を果たしていくことが期待されている。
(1) 訪日旅行の振興によって国民経済的便益を増大させていく上での課題を、港湾及び空港の技術者として多面的な観点から抽出し、その内容を観点とともに示せ。
(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) (2)で示した解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
模範解答1 簡易答案形式1 建設部門、港湾及び空港 専門:港湾計画 2021/6/19
1.課題
1)地方への観光客の増加
京都、東京、大阪等主要都市への観光客は多いが、福岡等地方への観光客がすくないため、増加させる必要がある。
2)地方の観光産業の成長の遅れ
1)と同様に、地方の観光産業を活性化させる必要がある。
3)クルーズ客船のクルーズ拠点整備が遅れているため、拠点整備を進める必要がある。
2.最も重要と考える課題及び解決策
最も重要と考える課題はクル−ズ拠点整備の推進である。
1)既存施設の有効利用
岸壁やターミナル整備などの港湾機能の強化について既存施設の再利用を検討していく。
2)新たなアウトバウンドルートの実現
観光バスの受入対応や観光人材の育成,買い物しやすい環境の整備,新しい観光ルートの開発などにより、経済効果を向上していく。
3)外航クルーズ客船の誘致拡大
クルーズ市場の拡大のため,寄港実績のある船会社に加え,新規の船会社に対しては航路誘致を,旅行社や旅行客に対しては,寄港地のプロモーション活動を行う。
また、クルーズ寄港地の特色が相乗効果を発揮できるクルーズプランを検討するなどの誘致活動を行う。
3.新たに生じるリスク対策
1)各地域には魅力ある資源が多数存在し、多様な観光が提供できるにもかかわらず、広域連携を推進する基盤が整っていないことによる地方誘致客の格差が生じる恐れがある。これに対しては、鉄道,バス等の交通機関や各地の自治体,関係機関と連携して、広域での PR の実施を促進していくことで解決できると考える。