R2年、2021年 建設・施工 Ⅲ−1 問題 模範解答と解説

Ⅲ-1 我が国は人口減少局面にあることに加え、総人口に占める高齢者の割合は増加しており、他国も経験したことのない超高齢化社会を迎えようとしている。こうしたなか、全国平均に比べて早い時期から高齢化が進行している過疎化地域では、今後の地域社会の維持・継続が困難になる事態が多発すると危惧されている。このような状況を踏まえ、施工計画・施工設備及び積算分野の技術者として、以下の問いに答えよ。

 (1)過疎化が進行しつつある地域におけるインフラ維持管理・更新を実施するに当たって、多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

 (2)前門(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

 (3)前門(2)で示した解決策の実施に際して生じうるリスクとそれへの対策について専門技術を踏まえた課題を示せ。

模範解答1簡易答案形式2 建設部門、施工積算 専門:   2021/5/31

(1)過疎化地域のインフラ維持管理・更新する課題

①予防保全型維持管理 

 施設に損傷、劣化が生じて修繕する手法では修繕費が増大し予算確保が困難となるため、予防保全の管理水準を高く設定することで、こまめに点検・診断・補修を繰り返し更新時期の平準化と長期的な維持管理・更新費を削減する。

②非破壊検査による点検診断効率化

 従来の近接目視による点検や診断では、仮設足場が必要となり手間がかかる。このため、赤外線センサーを用いて物体の放射する赤外線量から表面温度を知ることで欠損部を映像化する原理や、弾性波を用いたコンクリート内部の欠陥部を空気層で反射する伝播を応用した非破壊検査技術を利用し調査することで、点検診断の効率化を図る。

③点検技術者の確保・育成 

 施設の点検には、技術力とノウハウが必要であり、外注する予算も不足しているため、職員や近隣住民のボランティアを点検技術者として育成する。そのため、地方に技術者を派遣して調査方法を基礎技術習得させる。また、道路日常点検や産学官民協働による橋守を通じてボランテイアを育成することで点検費削減と技術力確保を図る。

(2)最も重要と考える課題と解決策

②非破壊検査による点検診断効率化  

(a)モニタリングシステム

橋の床版では、画像撮影によるひび割れをモニタリングする。画像を撮影し、3次元座標を取得することでひび割れ幅、位置を把握する。それを再点検時に過去データと比較することで劣化進行を把握する。

補修完了後は、加速度計を設置し補修前の不規則な挙動と補修後の安定した振動形状を比較することで補修後の効果確認に用いる。これらのデータを遠隔地から広範囲のデータ収集し、変状箇所や劣化進行の確認業務を効率化する。

(b)剥離・うき調査システム

赤外線画像と可視画像を連続的に撮影し、画像を自動解析することで損傷箇所を定量的に判断する。この手法は、遠望非接触の非破壊試験であるため、仮設足場や交通規制が不要となる。

打音診断補助システムでは、回転式打音点検器を使用して連続的に回転打撃し、その打音波形を分析、表示を即座に行い、点検と処置を同時に行うことで効率化を図る。留意点として、この手法は点検員が測定箇所までアクセスできることが条件となるため遠望から測定できない狭隘部の点検に効果的である。

(c)路面性状測定

 FWD測定では、路面のたわみ量を走行中の車両自重によって車輪の下に生じるたわみを測定する。これを、連続的に測定することで舗装の構造的変化点を連続的に把握する。測定結果からは、路床の支持力、舗装の残存強度を推定し最適な補修計画を決定する。

 カメラやセンサーを車両に搭載する手法では、路面のわだち掘れやひび割れを測定する。従来は、多大な時間と労力を掛けられていたひび割れ解析が自動解析により効率化した。これらすべてのデータはGPS位置情報と紐付けられることで、補修箇所を瞬時に把握できデータ整理が効率化する。

 (3)(2)で示した解決策に生じるリスクと対策

リスク:機械誤認による非破壊試験

赤外線測定にあたり、測定箇所の表面の光沢や汚れにより生じる温度差が原因で機械が誤認し損傷箇所を見落とすリスクが稀にある。

機械に頼った診断により誤認した損傷箇所を見落とすことで、知らぬ間に劣化が進行し突然、倒壊するリスクがある。

対策:機器の診断のみに頼ることなく、測定箇所の目視点検や建設年度、同種構造の点検資料と対比し総合的な劣化診断をする。

データの異常を感知しやすい条件では、追加調査を実施するなど誤認検知を防止する。その得られた情報を解析し測定精度を高める技術開発も進める。

模範解答2簡易答案形式2 建設部門、施工積算 専門:   2021/1/18

(1)インフラの維持管理・更新を実施するに当って、多面的な観点から課題

①地方財源の不足

 我が国は人口減少・高齢化、莫大な財政赤字(国・地方合わせて1000兆円の借金)を抱える中、税収の増加は期待できない。また、毎年の様に多発する水害・土砂災害の頻発・激甚化による複合災害、新型コロナウィルス対策費などに政府の予算を割り当てることになり、維持管理に充てられる予算は限られている。特に地方自治体では、逼迫する財政状況の中、維持管理を賄うことに課題がある。

②専門技術者の不足

インフラの適切な維持管理・更新は、定期的な点検と点検結果を正確に診断できる技術者が必要である。都市部に比べ地方地域には仕事量も少なく、そのような技術者が不足しているが課題である。

③若年層の不足

過疎地域では、大学生から都市部に住み、大学を卒業しても地元に仕事がないため、帰ってこない。また、建設関係は、IT産業、製造業にくらべ、残業の多さ、休暇取得の難しさ、室外の作業が多いなど若年層に不人気である。

④中小企業の技術

 ICT等の活用などは、都市部の工事で活用されている実態があり、地方部までは浸透していないため、中小企業の技術が追い付いていない。技術力の向上には、中小企業への普及のための指導や説明会を増やすことが課題である。

⑤ICTの購入費

 ICT等で使用する建機は、一般的な機械よりも高額である。地方の企業では、地方が生産性向上のためにはICT普及は必要不可欠であるため、導入のためのコストが課題となっている。

⑥技術力不足

 地方部では、都市部に比べ仕事量も少なく、技術力を付けるような仕事も少なく、現状の技術力で仕事務を進められてしまう状況にある。高度技術力を必要とする仕事は、国等から、大手企業が受注してしまうため、技術力が不足しがちとなることが課題である。

(2)重要な課題と複数の解決策

重要な課題として財源不足を挙げ、解決策を述べる。

①PFI

限られた維持管理費の捻出のために、民間の資金調達や事業運営のノウハウを取り入れ、維持・更新事業を進める。

②アセットマネジメント

 これまでの事後保全型管理から予防保全型管理への移行が有効と考える。具体的にはアセットマネジメントを適用し、社会インフラを資産ととらえ長寿命化を目指す為、更新時期をコントロールしコストの平準化を図る。また、ライフサイクルコストの低減のため、点検・診断・劣化予測、保全履歴をデータベース化し共有を図り、必要な時に誰でも検索、利用できる仕組みを構築することにより、的確かつ効率的に維持管理・更新工事に取り組むことができる。

③住民参加

地方の人材は限られているので、地元の人が、自分たちの地域を自分たちで診る。常日頃みているインフラの劣化状況を情報として共有し、集約することで無駄のない整備が可能である。

(3)リスクと対策

新規整備事業に比較して維持管理の工事は、小規模、複雑な案件が多く、受注企業が効率的に業務を実施することが困難で、また、業務の個別性が高いことから、発注者の仕様書が難しく技術者の能力を評価することも困難である。これにより維持管理・更新の高度な技術的判断が必要とされる場合でも適切な評価が行われない場合がある。

その為には、現場に適した適切な工期設定による労働環境改善、適切な単価で発注するようにし、適切な利益が確保できる発注形態を進める必要があると考える。

模範解答3簡易答案形式1 建設部門、施工積算 専門:施工計画  2021/4/26

1. 地域のインフラの維持管理・更新を実施するに当たっての課題

①  維持管理・更新を実施する際の費用低減

高度成長期時代に整備されたインフラ量は膨大であり、それらが一斉に更新時期を迎える。大量のインフラを点検、補修するための費用低減が課題である。

②  維持管理・更新を実施する人材の不足

建設業に対するイメージの悪化、長時間労働の常態化及び賃金格差などから土木系へ入職する技術者は不足している。

③  維持管理・更新を行う際の情報基盤の構築

過疎地域では未点検のインフラや点検データベースが無い自治体も多い。予防保全型の維持管理・更新を実施するための情報基盤の構築が課題である。

2.  最も重要と考えられる課題と解決策      

危険な構造物を点検、設計及び補修のための費用低減が課題である

①  予防保全型維持管理における補修費用低減

対象構造物の状態を正確に把握して予防保全型の維持管理を行いライフサイクルコストが最小になるよう補修を行うことで補修費用を最小限とする。

②  インフラ管理量の低減

管理を行うインフラの量を減少させ重点的に管理を行うことにより点検、設計及び補修施工の費用を低減させる。

③  新技術導入による補修費用の低減

IOT及び新素材を使用し補修費用を低減する。

3.  解決策の実施に際して生じうるリスクとそれへの対策

①  予防保全型維持管理における補修費用の低減についてのリスクと対策

気候変動に由来する劣化メカニズムが変化してもコスト低減の方針が貫かれ改善対策が取られにくい。対策として定期的な点検を行い損傷発見を行う。

②  インフラ管理量の低減についてのリスクと対策

インフラ管理量が低減すれば残ったインフラに社会需要が集中し、突然不調をきたしても生活が脅かされる。対策としてバックアップインフラを用意する。

③  新技術導入による点検及び補修費用の低減

新しい技術を導入するさいに気候変動により再劣化が生じた場合その対策がない可能せいがある。対策として再劣化した場合の対策を用意する。

模範解答3簡易答案形式2 建設部門、施工積算 専門:施工計画   2021/5/28

疎地域のインフラの維持管理・更新を実施するに当たっての課題

①   維持管理・更新を実施する際の費用低減

過疎地に整備されたインフラの中には劣化しているインフラ、未点検のインフラも多く存在している。過疎地は以前人口が多かった地域も多くあり、膨大な数のインフラが存在する。大量のインフラを点検、補修するための費用低減が課題である。

②   維持管理・更新を実施する人材の不足

建設業に対するイメージの悪化、長時間労働の常態化及び他業種との賃金格差などから土木系職種へへ入職する技術者は不足している。建設業全体のイメージ及び処遇を改善させ入職者を増やすことが課題である。

③   維持管理・更新を行う際の情報基盤の構築

過疎地のインフラの維持管理、更新を行うためにはインフラの選定を行う必要がある。そこで、インフラの情報基盤を構築してインフラの状態を把握することが課題である。

最も重要と考えられる課題「①費用低減」の解決策 

これから少子高齢化がますます進み、国家及び地方自治体の税収減が進む。よってその制約のなかでインフラの維持管理・更新を行うため費用低減が最も重要な課題である。

①   予防保全型維持管理における補修費用低減

対象構造物の状態を正確に把握して予防保全型の維持管理を行いライフサイクルコストが最小になるよう補修を行うことで補修費用を最小限とする。

②   インフラ管理量の低減

インフラ量は膨大であり、すべてのインフラ管理を行うことは難しい。他のインフラには市民の利便性を損なわないよう対策し、管理を行うインフラを主要なインフラに絞り費用を低減する。

③   新技術導入による補修費用の低減

現在、補修補強の点検、設計及び施工の技術が改善され新しい技術が開発されている。ドローンやIOTを使用していままで人力で行っていた手間を削減して補修費用を低減する。

解決策の実施に際して生じうるリスクとそれへの対策

①   予防保全型維持管理における補修費用の低減についてのリスクと対策

気候変動に由来する劣化メカニズムが変化し、構造物の劣化が進行してもコスト低減の方針が貫かれ発見が遅れる可能性がある。対策として定期的な点検を行い損傷発見を行う。

②   インフラ管理量の低減についてのリスクと対策

インフラ管理量を低減すれば残ったインフラが突然不調をきたしても別なインフラに代替できず生活が脅かされる可能性がある。対策として点検回数を増やし不調にならないようにする。

③   新技術導入による補修費用の低減

新しい技術を導入した場合、技術が的確に導入されていても思わぬところから劣化が生じる可能性がある。対策として3年に1回は人力での点検を行う。

模範解答3答案形式 建設部門、施工積算   専門:施工計画   2021/5/30

1.  インフラ維持管理,更新を実施のための課題

(1)  維持管理、更新を実施する際の費用低減

過疎地に整備されたインフラの中には劣化しているインフラ、未点検のインフラも多く存在する。過疎地の地方自治体では財政が逼迫している団体も多い。よって、予防保全型の維持管理方式導入やインフラ管理量の低減などの方策を用いてインフラを点検、補修するための費用低減が課題である。

(2)  維持管理、更新を実施する人材の確保

建設業に対するイメージの悪化、長時間労働の常態化及び他業種との賃金格差などから土木系職種へ入職する技術者は不足している。施工監理の自動化、人力作業の低減を積極的に推進し、建設業全体の生産性を高め、建設業全体のイメージ及び処遇を改善させ入職者を増やすことが課題である。

(3)  維持管理、更新を行う際の情報基盤の構築

過疎地のインフラの維持管理、更新を行うためには点検、補修を行うインフラの選定を行う必要がある。そこで、点検を行ったインフラの情報基盤を構築してインフラの状態を把握し、点検補修を行うことで費用低減することが課題である。

2.  最も重要と考えられる課題 ①費用低減の解決策

これから少子高齢化がますます進み、国家及び地方自治体の税収減が進む。その制約下でインフラの維持管理・更新を行うため費用低減が最も重要な課題である。

(1)  予防保全型維持管理における補修費用低減

過疎地に建設されたインフラ膨大な量が存在し未点検、劣化している構造物も多い。そこで、対象構造物の状態を正確に把握して予防保全型の維持管理を行う。それにより、メンテナンスの高度化に加えてライフサイクルコストが最小となる補修を行うことが期待できるので補修費用を最小限とすることができる。

(2)  インフラ管理量の低減

過疎地に現存するインフラ量は膨大であり、すべてのインフラ管理を行えば管理する地方自治体の財政を圧迫する。そこで、他のインフラには市民の利便性を損なわないよう対策し、(例えば橋梁を使用停止して他の橋梁への迂回路を整備する等)管理を行うインフラを主要なインフラに絞り費用を低減する。管理を行うインフラには従来よりも点検回数を増やし、劣化の見落とし、機能不全(例えば排水設備の不備)等の不調がおこらないように対策を行う。

(3)  新技術導入による補修費用の低減

いまだに点検段階では人力での点検が行われており、施工監理の段階では紙を使用した検査が一般的である。そこで点検段階ではドローンやIOTを使用して、施工監理段階では電子端末を用いていままで人力で行っていた手間を削減して補修費用を低減する。さらに手間を削減するためにドローンやIOTを自身の所有するPCに接続してデータを移送できるようにする。

3.  解決策の実施に際して生じうるリスクと対策

(1)  予防保全型維持管理におけるリスクと対策

現在、世界的に気候変動や異常気象の影響が非常に大きくなってきている。予防保全型管理を実施している最中に気候変動に由来する劣化メカニズムが変化し、構造物の劣化が進行してもコスト低減の方針が貫かれ発見が遅れる可能性がある。劣化の発見が遅れれば大きな損害となる。対策として定期的な点検を行い損傷発見を行う。

(2)  インフラ管理量の低減におけるリスクと対策

インフラ管理量を低減した後に、残ったインフラが突然不調をきたしても別なインフラに代替できず生活が脅かされる可能性がある。(例えば、不可視部劣化における橋梁の崩落等)インフラが使用できなくなれば大きな損害となる。対策として点検回数を増やし、不可視部についても点検を行い不調にならないようにする。

(3)  新技術導入による費用低減におけるリスクと対策

新しい技術を導入した場合、技術が的確に導入されていても思わぬところから劣化が生じる可能性がある。(例えばドローン飛行禁止区域の劣化)インフラ劣化の発見が遅れれば大きな損害となる。対策として3年に1回は人力での点検を行い、その際は不可視部についても点検を行い劣化の有無を確認する。

模範解答4答案形式 建設部門、施工積算 専門:   2021/4/27

1.課題の抽出と観点

(1)維持管理支援体制の構築

 過疎地域の人材・技術不足を補い、地域特性とニーズに応じたインフラの維持管理を確実に実施するため、地方自治体の維持管理支援体制を構築する。地域協働型施設管理の構築や直轄診断の活用、定期点検基準類の策定などにより財政的・技術的支援を行い、効率的な維持管理業務を実施する。

(2)予防保全によるアセットマネジメント

 インフラの長寿命化計画により、維持管理に関する中長期的なトータルコストの縮減及び予算の平準化を図る。予防保全によるメンテナンスサイクルを構築し、安全性・経済性を総合的に判断した個別施設計画により、安全・安心効果などのストック効果を持続的に実現する。

(3)多様な契約方法の導入 

 民間事業者のノウハウを活用した維持管理及び運営により、健全な公共管理施設経営を図り、過疎化地域におけるインフラの持続性を確保する。指定管理者制度や包括的民間委託を導入し、性能発注方式の複数年契約により民間事業者の事業参入を促進することで、安定したサービスを提供する。

2.最も重要な課題と解決策

 最も重要な課題を「維持管理支援体制の構築」とし、以下に解決策を記述する。

(1)地域協働型施設管理の構築

 のため、地域住民の参画によるモニタリング体制の構築やインフラ維持補修事業を実施する。社会基盤メンテナンスサポーター制度による維持点検の委嘱や、不具合等を投稿・公開できる専用サイトの構築、河川協力団体制度による住民団体などによる維持補修事業など組織的な地域協働型施設管理を構築する。これらにより、地域住民と問題意識の共有を図り、地域のニーズに沿った施設の維持管理を、効率的に実施することができる。

(2)国による直轄診断

 地方自治体が管理する道路施設において、点検等に際し緊急的かつ高度な技術力を要する施設に対して国の直轄診断を要請する。これにより、複雑な劣化や腐食による健全性の判断、損傷度合いが著しい施設の修繕・補修工法の検討などを道路メンテナス技術集団にのもと確実に実施することができる。また、診断内容や地域の実情に応じ、修繕代行事業や大規模修繕事業など国による支援のもと実施することができる。

(3)定期点検基準の策定 

各施設の定期点検要領や点検マニュアルは最低限配慮すべき項目を記載しており、地方自治体は地域特性や施設状況に応じた点検基準を策定する必要がある。技術者派遣制度などの人材支援による専門的知見の助言のもと、損傷や構造特性に応じた着目箇所の特定、留意点を明確にした定期点検基準を策定する。これにより合理的な定期点検基準において、施設の健全性を効率的に把握・判断することが可能となる。

3.リスクと対策

リスク

技術者派遣制度や直轄診断等の人材支援や技術支援のもと維持管理を実施することで、地方自治体の経験やノウハウとして蓄積されず、技術系職員の維持管理に関する技術力が低下するリスクがある。

 地域協働型施設管理や直轄診断など支援体制ものと維持管理を実施することで、地方自治体の管理者意識が低下し、施設の不具合の放置や対応の遅れなどにより公衆の安全に危害を及ぼすリスクがある。

対策

 勉強会や研修体制を充実・拡大することで地方自治体の技術系職員の技術力及び意識向上を図る。職場におけるOJTの導入促進を行い、維持管理に関する実務技術研修の充実及び参加を促す。また、インフラメンテナンス国民会議への積極的参加により新技術の導入を促進する。

「2.(1)地域協働型施設管理の構築」については、公的な組織による活動ではなく、住民協力体制の構築の延長線上で対策できることはありませんか。住民参加によるモニタリング体制の構築や、河川協力団体制度など住民団体によるインフラ維持補修事業(徳島県など)による組織的な地域協働型施設管理を構築する‥というのが良いでしょう。

R2年、2021年 建設・建設環境 Ⅱ−1−1 問題 模範解答と解説

Ⅱ-1-1 再生可能エネルギー源を利用した発電設備の設置計画がある。

この発電設備が存在又は供用されることにより、環境の自然的構成要素の良好な状態の保持の点から調査、予測及び評価をされるべき環境要素がある。

環境影響評価に基づく手続きを進めることを前提としたとき、計画している「再生可能エネルギー源を利用した発電設備」、「調査、予測及び評価されるべき環境要素」、及びその「対策」の組合せを2つ挙げ、それぞれその内容を説明せよ。

模範解答1簡易答案形式1 建設部門、建設環境 専門:環境アセス 2021/5/4

1. 組合せ①

(1)再生可能エネルギー源を利用した発電設備

 山間地における太陽光発電設備

(2)調査、予測及び評価されるべき環境要素

水象

(3)対策

面的な土地の改変により雨水流出量や浸透・涵養量が変化し、河川流量・水位への影響が懸念されることから、供用後の雨水流出量や浸透・涵養量の変化を低減することが課題となる。対策として、地域性種苗利用工及び表土利用工の実施が挙げられる。

2.組合せ②

(1)再生可能エネルギー源を利用した発電設備

 風力発電施設

(2)調査、予測及び評価されるべき環境要素

 騒音

(3)対策

 想定される風車の機種及び基数・配列案をもとに、距離減衰による騒音レベルの伝搬予測を複数案で行い、影響が回避、低減できない案については計画から除外する。

模範解答1簡易答案形式2 建設部門、建設環境 専門:環境アセス   2021/5/8

1.組合せ①

(1)再生可能エネルギー源を利用した発電設備

 山間地における太陽光発電設備

(2)調査、予測及び評価されるべき環境要素

水象

(3)対策

面的な土地の改変により雨水流出量や浸透・涵養量が変化し、河川流量・水位の増加が予測されることから、供用後の雨水流出量や浸透・涵養量の変化を低減することが課題となる。対策として、改変域における地域性種苗利用工及び表土利用工を実施し、地表面の保水力を高めることが挙げられる。対策により、河川への急激な雨水流出の低減及び浸透・涵養量の保持を図る。

2.組合せ②

(1)再生可能エネルギー源を利用した発電設備

 風力発電施設

(2)調査、予測及び評価されるべき環境要素

 騒音

(3)対策

風車の発生騒音により、最寄り民家における騒音の環境基準値や指針値の超過が予測され、騒音の回避・低減が課題となる。対策として、配慮書段階においては風車の機種・基数・配列案及び地形、気象をもとに、Nord2000等の騒音予測モデルにより伝搬予測を行う。予測結果により、騒音の回避・低減が可能な風車配置を提案する。

模範解答1答案形式 建設部門、建設環境 専門:環境アセス  2021/5/9

1.太陽光発電設備

(1)環境要素

水象:面的な土地改変により雨水流出量や浸透・涵養量が変化し、河川流量・水位の増加が予測される。

(2)対策

自由面地下水面モデルによる現況再現を行い、土地改変後の予測条件から地下水位の変化を予測する。雨水流出量や浸透・涵養量の変化を低減するために、地域性種苗利用工及び表土利用工を実施する。緑化により地表面の浸透・涵養量を高め、河川への急激な雨水流出を低減する。また、事業地及びその周辺の種苗と埋土種子を利用し、地域生態系の保全に配慮する。

2.風力発電施設

(1)環境要素

 騒音:風車の風車音により、最寄り民家における騒音が予測される。

(2)対策

 風車の機種・基数・配列案及び地形・気象データからNord2000等の騒音予測モデルにより伝搬予測を行う。従来法と比較し、反射音の寄与や回析に伴う減衰を考慮でき、高精度で予測可能である。予測結果より、環境基準値等を超過する地点を除いた配列案を選定し、騒音を回避する。選定に際しては、立地による工事の経済性、予想発電量を考慮する。回避が困難な場合、遮音壁設置による騒音の低減を検討する。

R2年、2021年 建設・建設環境 Ⅱ−2−1 問題 模範解答と解説

Ⅱ-2-1 環境影響評価法に定める第一種事業に当たる海域の公有水面埋立事業が計画されている。対象事業実施区域近傍には、自然干潟や藻場が存在しているものとする。本事業における工事の実施、及び埋立地の存在に係る環境影響評価について、方法書以降の手続きに係る環境への影響に関する調査・予測及び環境保全措置の検討を担当責任者として進めるにあたり、以下の問いに答えよ。

(1)この事業が干潟・藻場に与える環境影響に関し調査、検討すべき事項とその内容の説明をせよ。

(2)方法書以降の手続きに沿って業務を進める手順について、留意すべき点、工夫をすべき点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方法について述べよ。

模範解答1簡易答案形式1 建設部門、建設環境 専門:環境アセス 2021/6/15

(1)調査、検討すべき事項

水質・底質:水質(溶存酸素等)・底質(酸化還元電位等)を現地調査・分析により把握し、濁水発生及び潮流・干潟地形の変化による影響を予測する。影響があると予測される場合、環境保全措置内容を検討する。

動物・植物・生態系:生物相、重要種、生態系構造・機能等を文献・現地調査により把握し、濁水発生及び潮流・干潟地形の変化による影響を予測する。影響があると予測される場合、環境保全措置内容を検討する。

景観・触れ合い活動の場:干潟景観の形成機能、触れ合いの場としても親水機能を文献調査・現地調査により把握し、埋立地の存在及び干潟地形の変化による影響を予測する。影響があると予測される場合、環境保全措置内容を検討する。

(2)業務を進める手順

1)環境要素及び調査方法の選定

 文献調査及び有識者ヒアリングにより干潟・藻場の成立要因・特性を把握し、事業特性に留意して環境要素及び調査方法を選定する。

2)現況調査

  (検討中)

3)環境影響の予測

  (検討中)

4)環境保全措置の検討

  (検討中)

(3)関係者との調整方法

1)

  (検討中)

2)現況調査の方法書作成段階からの実施に向けた調整

遅延を回避するため、方法書作成段階から現況調査を行えるよう事業者、関係機関と調整する。

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