問題文 Ⅲ−1
民生部門(業務・家庭部門)のエネルギー消費は,年々増加傾向にあり,最近では日本の全消費エネルギー量の35%程度を占めている。そのため,政府では,建物のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)イヒを推進するために,2020年までに新築公共建築物等で,2030年までに新築建築物の平均でZEB化することを目標としている。この目標を達成するために,ZEBロードマップ検討委員会が2015年に設置された。このような背景において以下の質問に答えよ。
(1)ZEBロードマップ検討委員会では,ZEBを普及させるためにZEBを3段階に分けて 定義した。その定量的な定義についてそれぞれ概要を述べよ。
(2)ZEBを計画・設計するときの手順や考え方について述べよ。
(3)ZEBを実現し,普及させるための課題とその解決策について述べよ。
(4)ZEBを運用していく上で考慮すべきことを述べよ。
模範解答1 (簡易答案形式1) 添削履歴 6回 完成日2018/4/13 専門事項 ビル空調設計
1. ZEBの定義と概要
①ZEB Ready:50%以上省エネ
②Nearly ZEB:再生可能エネルギーも取り入れて正味で75%以上省エネ
③ZEB:正味で100%以上省エネ
2、 ZEB計画設計時の手順と考え方
① 建物躯体の高断熱化や自然エネルギーの活用(自然採光・自然換気)により建物にかかる負荷を抑制する。
② 省エネルギー技術を導入する。(高効率熱源機、全熱交換器、LED照明の採用)
③ 太陽エネルギー等の再生可能エネルギーを導入して(太陽光発電、太陽熱利用暖房・給湯等)、可能な限り、ネット・ゼロに近づける。
3、 ZEB普及の課題と解決策
1) 課題点
① 初期投資高騰、投資回収年等が長期化する。大多数を占める中小ビルが投資できない場合がある。
② ZEBを設計するための技術や設計手法、ノウハウ、効果が不透明。
③ 環境配慮等が不動産の付加価値に反映されていない。
2) 解決策
① ZEBのローコスト化
省エネルギーによる光熱費削減や設備のダウンサイジング化等のコスト減。ZEBの標準仕様化が進めば、生産性向上や設備機器等の量産化により低コスト化。適切に補助金やESCOを利用することで初期投資削減する。
② ベストプラクティス(ZEB実例)を増やし、きちんと技術を評価することが重要である。
③ 建物のエネルギー消費等のラベリングを適正に設定し、環境配慮等に価値をつけることで、環境不動産としてZEB化が進展する。
4、 ZEB運用時の考慮
① 建築物のエネルギーエネルギー消費が見える化され、管理が適正化される。PDCAサイクルで、4段階を繰り返すことによって、継続的に省エネ改善する。
② 建物の用途変更や機器の増減、機器の経年劣化、不具合が発見されないまま運転非効率に運転を維持している状況が目立つ。こういった状況を改善するためにコミッショニングを行い、適切な運転・保守を行う。
③ ESCO事業者の活用を検討し、省エネ保証・維持管理を行う。
模範解答1 (簡易答案形式2) 添削履歴 2回 完成日2018/4/15 専門事項 ビル空調設計
1. ZEBの定義と概要
①ZEB Ready:50%以上省エネ
②Nearly ZEB:再生可能エネルギーも取り入れて正味で75%以上省エネ
③ZEB:正味で100%以上省エネ
2、ZEB計画設計時の手順と考え方
①建物躯体の高断熱化や自然エネルギーの活用(自然採光・自然換気)により建物にかかる負荷を抑制する。
②省エネルギー技術を導入する。(高効率熱源機、全熱交換器、LED照明の採用)
③太陽エネルギー等の再生可能エネルギーを導入して(太陽光発電、太陽熱利用暖房・給湯等)、可能な限り、ネット・ゼロに近づける。
3、ZEB普及の課題と解決策
1)課題点
①初期投資高騰、投資回収年等が長期化する。大多数を占める中小ビルが投資できない場合がある。
②ZEBを設計するための技術や設計手法、ノウハウ、効果が不透明。
③環境配慮等が不動産の付加価値に反映されていない。
2)解決策
①ZEBのローコスト化
省エネルギーによる光熱費削減や設備のダウンサイジング化等のコスト減。ZEBの標準仕様化が進めば、生産性向上や設備機器等の量産化により低コスト化。適切に補助金やESCOを利用することで初期投資削減する。
②ベストプラクティス(ZEB実例)を増やし、きちんと技術を評価することが重要である。建築業者、建物オーナへのZEBへの動機付けを高めるため、ベストプラクティス・実績データを収集する。居住者の意識・行動が、実感を伴って省エネ効果を高められるよう、ZEBのベストプラクティス・実績データを収集する。
③建物のエネルギー消費等のラベリングを適正に設定し、環境配慮等に価値をつけることで、環境不動産としてZEB化が進展する。
4、ZEB運用時の考慮
①建築物のエネルギーエネルギー消費が見える化され、管理が適正化される。PDCAサイクルで、4段階を繰り返すことによって、継続的に省エネ改善する。
②建物の用途変更や機器の増減、機器の経年劣化、不具合が発見されないまま運転非効率に運転を維持している状況が目立つ。こういった状況を改善するためにコミッショニングを行い、適切な運転・保守を行う。
③ESCO事業者の活用を検討し、省エネ保証・維持管理を行う。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 3回 完成日2018/4/18 専門事項 ビル空調設計
1、ZEBの定義と概要
ZEBとは、快適な室内環境を保ちながら、高断熱化・日射遮蔽、自然エネルギー利用、高効率設備により、できる限りの省エネルギーに努める。太陽光発電等によりエネルギーを創ることで、年間で消費するエネルギー量が大幅に削減されている建築物である。以下の3つに定義付けがなされた。
①ZEB Ready:外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、50%以上省エネルギーを達成した建築物のこと。
②Nearly ZEB:さらに再生可能エネルギーを取り入れて正味で75%以上省エネした建築物のこと。
③ZEB:年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物で、正味で100%以上省エネルギーを達成したものをいう。
2、ZEB計画設計時の手順と考え方
ZEBの設計段階では、建築計画的な手法(パッシブ手法)を最大限に活用する。長寿命かつ改修が困難な建築外皮高度化した上で、設備の効率化を重ね合わせることで、省エネルギー化を図る。
①建物躯体の高断熱化や自然エネルギーの活用(自然採光・自然換気)により建物にかかる負荷を抑制する。
②省エネルギー技術を導入する。(高効率熱源機、全熱交換器、LED照明の採用)
③太陽エネルギー等の再生可能エネルギーを導入して(太陽光発電、太陽熱利用暖房・給湯等)、可能な限り、ネット・ゼロに近づける。
3、ZEB普及の課題と解決策
1)課題点
①初期投資高騰、投資回収年等が長期化する。大多数を占める中小ビルが投資できない場合がある。
②ZEBを設計するための技術や設計手法、ノウハウ、効果が不透明である。
③環境配慮等が不動産の付加価値に反映されていない。
2)解決策
①ZEBのローコスト化
省エネルギーによる光熱費削減や設備のダウンサイジング化等でコストが減少する。ZEBの標準仕様化が進めば、生産性向上や設備機器等の量産化により低コスト化が図れる。適切に補助金やESCOを利用することで初期投資削減する。先ずは初期投資の少ない運用改善から取り組む。
②ベストプラクティスの収集
ベストプラクティス(ZEB実例)を増やし、きちんと技術を評価することが重要である。建築業者、建物オーナへのZEBへの動機付けを高めるため、ベストプラクティス・実績データを収集する。居住者の意識・行動が、実感を伴って省エネ効果を高められるよう、ZEBのベストプラクティス・実績データを収集する。
③ラベリング、ベンチマークの設定
建物のエネルギー消費等のラベリングやベンチマークを適正に設定し、環境配慮等に価値をつけることで、環境不動産としてZEB化が進展する。
4、ZEB運用時の考慮
①PDCAサイクルによるZEB運用最適化改善
建築物のエネルギーエネルギー消費が見える化され、管理が適正化される。PDCAサイクルで、4段階を繰り返すことによって、継続的に省エネ改善する。
②コミッショニング
建物の用途変更や機器の増減、機器の経年劣化、不具合が発見されないまま運転非効率に運転を維持している状況が目立つ。また、計画・設計時に意図された性能が運用時に発揮されていない場合もある。こういった状況を改善するためにコミッショニングを行い、適切な運転・保守を行う。
③ESCOの活用検討
ESCO事業者の活用を検討し、省エネ保証・維持管理を行う。
④設備劣化診断による設備最適化
定期的に設備劣化診断を実施する。空調設備の物理的劣化診断内容には、性能低下、機能低下、材料の腐食や保温材の落下、漏水や閉塞等がある。省エネルギー評価は、物理的劣化による性能低下によって起こる設備のエネルギー消費増大と、高性能機器の出現による相対的な性能低下を診断するものである。