技術士二次試験模範解答と解説 H30年、2018年 衛生工学部門、応用理学部門、化学部門
技術士二次試験模範解答と解説 H30年、2018年 衛生工学部門、応用理学部門、化学部門
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技術士二次試験模範解答と解説 H30年、2018年 衛生工学部門、応用理学部門、化学部門
あなたが廃棄物処理の担当責任者として、廃棄物の不適正処理を防止するための取組を行うことになった。このような状況において、以下の問いに答えよ。
(1)廃棄物の不適正処理防止策を3点述べよ。
(2)(1)で挙げた項目から1点挙げ、具体的に対策を進めるための方策を述べよ。
(3)(2)の方策を進める際に留意すべき事項を述べよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 2回 2019.5.27 専門事項 し尿処理技術
廃棄物の不適正処理防止の取組み
(1)廃棄物の不適正処理防止策
廃棄物の不適正処理防止策3点を以下に示す。
①IoTを活用した廃棄物収集運搬車の追跡システム
②電子マニフェストデータのブロックチェーン管理
③廃棄物処理業者の経営監査(ガバナンス、ESG)
(2)(1)の対策を進めるための具体的な方策
IoTを活用した廃棄物収集運搬車の追跡システムの方策を挙げる。
①GPS車両運行監視
②ドライブレコーダー
③廃棄物中間、最終処理場の処理風景、動画監視
(3)上記の方策を進める際の留意事項
①GPSは、廃棄物処理過程の追跡性を高めるため可視化する
②ドライブレコーダーは、収集運搬や処理状況の監視性を高めるため記録する
③廃棄物中間、最終処理場の処理風景は処理の信憑性を高めるため記録する
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 2回 2019.6.4 専門事項 し尿処理技術
(1)廃棄物の不適正処理防止策
廃棄物の不適正処理防止策3点を以下に示す。
①IoTを活用した廃棄物収集運搬車の追跡システム
②電子マニュフェストデータのブロックチェーン管理
③廃棄物処理業者の経営監視(ガバナンス、ESG)
(2)(1)の対策を進めるに当たり具体的な方策
IoTを活用した廃棄物収集運搬車の追跡システムの方策を挙げる。
①人口衛星を活用した廃棄物監視システム
人工衛星画像や位置情報等のセンシング技術を活用することで、廃棄物の不法投棄を監視する。
②ドライブレコーダ
処理委託する事業者が用いる収集運搬車両に、ドライブレコーダを設置し収集運搬状況を確認する。
③廃棄物中間、最終処分場の処理風景、動画監視
処分場出入口や仮置場、埋立地などに監視用カメラを設置する。埋立地では、水質測定装置、漏出検知システムなどの測定装置を設置し、これらを用い、環境への影響を常時監視する。
(3)上記の方策を進める際の留意事項
①衛星画像により、地域を面的に把握することができるため、監視の目が届きにくい地域等を含め監視地域を網羅的に確認し、現状確認の精度を高める。さらに、同一条件で上空から画像を撮影するため、時系列的に現場の変化を監視し、認識性を高める。
②GPSは、廃棄物処理過程の車両の追跡性を高めるため、現在位置及び車両の状態(往路運転中、復路運転中、停止中)を把握して追跡精度を高める。
③ドライブレコーダは、第三者への証明が必要な場合等、ドライブレコーダのデータを提供する。処理写真に加えて運搬区間の映像を提示することにより、適正処理の信頼性を高める。
④廃棄物中間、最終処分場の処理風景は、処理の信憑性を高めるため録画し、複数センサー画像とAIにより、画像判定して危険物・有害物の除去により安全性を高める。さらに、埋立処理状況、施設状況、周辺環境情報について、管理情報を発信し処理の信憑性を高める。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 4回 2019.6.15 専門事項 し尿処理技術
(1)廃棄物の不適正防止策
①IoTを活用した廃棄物収集運搬車の追跡システム
人工衛星を活用し、位置情報や画像などのセンシング技術を有効に活用する。
②電子マニフェストデータのブロックチェーン管理
電子マニュフェストデータの台帳情報を、ブロックチェーンを使って共有する。
③廃棄物処理業者の経営監視(ガバナンス、ESG)
「廃棄物ガバナンス」構築に向けた企業経営上の理念を構築する。
(2)IoTを活用した廃棄物収集運搬車の追跡システム
①人工衛星を活用した廃棄物監視システム
人工衛星画像や位置情報などのセンシング技術を活用することで、廃棄物の不法投棄を監視する。
②ドライブレコーダ
処理委託する事業者が用いる収集車両に、ドライブレコーダを搭載し収集運搬状況を確認する。画像は、積載時から運行区間、最終処分場まで動画記録する。
③廃棄物中間、最終処分場の処理風景、動画監視
処分場出入口や仮置場、埋立地などに監視用カメラを設置する。
埋立地では、水質測定装置、漏水検知システムなどの測定装置を設置し、これらを用い環境への影響を常時監視する。
模範解答2 (簡易形式1) 添削履歴 4回 2019.5.12 専門事項 廃棄物処理計画
1. 廃棄物の不適正処理防止策
1)廃棄物適正処理の仕組み構築
①処分方法の検討及び処理委託先の選定(適正な処理料金による委託や現地確認)
②社内の内部監査の実施(廃棄物が適正処理できているかを監査)
③包装の除去等(廃棄物を再度市場に流通されないような適切な措置等)
2)廃棄物の処理に関する監督
①マニフェストの利用(マニフェストの交付、また、処理終了後の確認)
②法上の履行状況の把握(報告の徴収、立入検査を強化)
③定期的に監査(実績把握のための体制を構築し、定期的に監査)
3)ICT、IOTで廃棄物管理の実施
ICT、IOTを利用して、センターコントロール、ビジネスコラボレーション、人の実行支援を行う。
2.「3)ICT、IOTで廃棄物管理の実施」を進めるための具体的な方策
①センターコントロール
マニフェストの発行状況とその内容(どこに、どのような廃棄物を、いつ、委託したか)、各種契約書の締結状況とその内容、委託先の許可情報などの状況を整理し、適正処理されているかを確認できるシステムを作る。
②IOT追跡機能
トラック等車両の位置確認、処理状況等確認する。
③ビジネスコラボレーション
委託先の情報を遠隔で得られるシステムを利用する。複数の会社をつなぎ、委託先とのコミュニケーションを強化。
④人の実行支援
IOT を活用し、人的ミスや知識不足を補う。
3.2.の方策を進める際に留意すべき事項
①チェック機能の利用
委託契約情報と電子マニフェスト登録情報の相違を検知する機能等を利用し、不適性処理を撲滅する。
②自動化機能の利用
従来の担当者や管理者が行っていたことの一部を自律的に実施し、無人化することで、効率性を図る。
模範解答2 (簡易形式2) 添削履歴 4回 2019.5.26 専門事項 廃棄物処理計画
(1) 廃棄物の不適正処理防止策
① 廃棄物適正処理の仕組み構築
ア. 処分方法の検討及び処理委託先の選定 適正な処理料金による委託や現地確認を行う。
イ. 社内の内部監査の実施 廃棄物が適正処理できているか監査を行う。
ウ. 包装の除去等 廃棄物を再度市場に流通されないように廃棄物の包装を除去する措置等を行う。
② 廃棄物の処理に関する監督
ア. マニフェストの利用 マニフェストの交付、また、処理終了後の確認を行う。電子マニフェストを利用する。
イ. 法上の履行状況の把握 処理業者に対する報告の徴収、立入検査を強化することにより、法上の義務の履行状況を把握する。
ウ. 定期的に検査 実績把握のための体制を構築し、監査を行う。
③ ICT、IOTで廃棄物管理の実施
ICT、IOTを利用して、センターコントロール、IOT追跡機能、人の実行支援等を行う。
(2) 「③ICT、IOTで廃棄物管理の実施」を進めるための具体的な方策
① センターコントロール
マニフェストの発行状況とその内容(どこに、どのような廃棄物を、いつ、委託したか)、各種契約書の締結状況とその内容、委託先の許可情報などの状況を整理し、適正処理されているかが確認できるシステムを作る。
② IOT追跡機能
トラック等車両の位置確認、処理状況等確認する。IOT活用で、見える化を実現する。
③ 特殊ICタグを活用した製品のライフサイクル管理
④ ビジネスコラボレーション
委託先の情報を遠隔で得られるシステムを利用する。複数の会社をつなぎ、委託先とのコミュニケーションを強化する。
⑤ 人の実行支援
IOTを活用し、人的ミスや知識不足を補う。
(3) (2)の方策を進める際に留意すべき事項
①チェック機能の利用
電子マニフェストを使用する際に、委託契約情報と電子マニフェスト登録情報の相違を検知する機能等を利用し、正確的な情報入力を行う。
②携帯電話等を利用したシステムの運用
運搬する廃棄物の画像(積込み、荷下ろし等)、GPS位置情報及び時間情報等を携帯電話等で簡易に確認できるシステムを運用する。
③衛星画像を活用した廃棄物監視システムの利用
模範解答2 (答案形式) 添削履歴 2回 2019.6.4 専門事項 廃棄物処理計画
1.廃棄物の不適正処理防止策
1)廃棄物適正処理の仕組の構築
①処分方法の検討及び処理委託先の選定 適正な処理
料金による委託や現地確認を行う。
②社内の内部監査の実施 廃棄物が適正処理できてい
るか監査を行う。
③包装の除去等 廃棄物を再度市場に流通されないよ
うに廃棄物の包装を除去する措置等を行う。
2)廃棄物の処理に関する監督
①マニフェストの利用 マニフェストの交付、また、
処理終了後の確認を行う。また、極力電子マニフェストを利用する。
②法上の履行状況の把握 処理業者に対する報告の義
務の履行状況を把握する。
③定期的に検査 実績把握のための体制を構築し、検
査を行う。
3)ICT、IOTで廃棄物管理の実施
ICT、IOTを利用して、センターコントロール、IOT追跡機能、人の実行支援等を行う。
2. 「3)ICT、IOTで廃棄物管理の実施」の具体的な方策
1)衛星画像での廃棄物監視システムの利用
衛星画像を活用し、同じ地点を定期的に観測し経年変化を見ることで、不法投棄を目視で判別できるシステムを利用する。
2)センターコントロール
マニフェストの発行状況とその内容(どこに、どのような廃棄物をいつ委託したか)、各種契約書の締結状況と内容、委託先の許可情報等の状況を整理し、適正処理されているかが確認できるシステムを利用する。
3)IOT追跡機能
IOTを活用し、トラック等車両の位置確認、処理状況等を確認することで処理過程の見える化を実現する。
4)特殊ICタグの活用
特殊ICタグを活用することで、製品のライフサイクル管理を行う。
5)ビジネスコラボレーション
委託先の情報を遠隔で得られるシステムを利用する。複数の会社をつなぎ、委託先とのコミュニケーションを強化する。
6)人の実行支援
IOTを活用し、人的ミスや知識不足を補う。
3.「2.の方策」を進める際に留意すべき事項
1)チェック機能の利用
電子マニフェストを使用する際に、委託契約情報と電子マニフェスト登録情報の相違を検知する機能等を利用し、正確的な情報入力を行う。
2)携帯電話等を利用したシステムの運用
運搬する廃棄物の画像(積込み、荷下ろし等)、GPS位置情報及び時間情報等を携帯電話等で簡易に確認できるシステムを運用する。
問題文
環境省が平成29年3月に示した「廃棄物エネルギー利用の高度化マニュアル」では、廃棄物エネルギー利活用の「高度化」という観点から、今後の廃棄物処理施設の整備・改良・エネルギー利用を考えていく必要があるとしている。
あなたが考える廃棄物エネルギー利用の高度化について記述せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 1回 2019.5.1 専門事項 し尿処理技術
1. 廃棄物エネルギー利用の高度化
①高温燃焼に対応するために、炉体をボイラ水壁構造とし、冷却能力の増強
②水冷火格子や耐火材を採用
2.高度化の解決策
①単体施設:低空気比燃焼、低温エコノマイザ、排ガス再循環、低温触媒脱硝
②複数施設:広域化の推進、民間事業者を介したネットワーク
3.高度化の留意点
①低空気比燃焼
焼却炉に供給する燃焼空気を低減し排ガス量を減らし、持ち去り熱量を低減し、ボイラでの回収熱量を向上させる。
②低温エコノマイザ
ボイラ出口の燃焼排ガスの余熱を利用し、ボイラ給水を加熱する。ボイラ設備から出ていく排ガスの持出熱量を低減し、ボイラでの回収熱量を増強する。
③発電ネットワーク
民間の小売電気事業者が、発電側及び需要側の電力需給管理を担うことにより、電力の地産地消のネットワークを図る。
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 0回 2019.5.1 専門事項 し尿処理技術
(1)廃棄物エネルギー利用の高度化
個々の施設の先進的設備導入などにより、エネルギー回収率の向上を図るために必要なことは、以下の点である。
①高温燃焼に対応するために、炉体をボイラ水壁構造とし、冷却能力の増強。
②水冷火格子や耐火材を採用。
(2)高度化の解決策
増強・高度化方策を示す。
①単体施設:低空気比燃焼、低温エコノマイザ、排ガス再循環、低温触媒脱硝
②複数施設:広域化の推進、民間事業者を介したネットワーク
(3)高度化の留意点
廃棄物エネルギー利用の「高度化」を進める有効な高度化方策の留意点を示す。
①低空気比燃焼
焼却炉に供給する燃焼空気を低減し排ガス量を減らし、持ち去り熱量を低減し、ボイラでの回収熱量を向上させる。
②低温エコノマイザ
ボイラ出口の燃焼排ガスの余熱を利用し、ボイラ給水を加熱する。ボイラ設備から出ていく排ガスの持出熱量を低減し、ボイラでの回収熱量を増強する。
③発電ネットワーク
民間の小売電気事業者が、発電側及び需要側の電力需給管理を担うことにより、電力の地産地消のネットワークを図る。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.5.3 専門事項 し尿処理技術
(1)廃棄物エネルギー利用の高度化
個々の施設の先進的設備導入などにより、エネルギー回収率の向上を図るために必要なことを以下に示す。
①高温燃焼に対応するために、炉体をボイラ水壁構造とし、冷却能力の増強。
②水冷火格子や耐火材を採用。
(2)高度化の解決策
増強・高度化方策を示す。
①単体施設:低空気比燃焼、低温エコノマイザ、排ガス再循環、低温触媒脱硝
②複数施設:広域化の推進、民間事業者を介したネットワーク
(3)高度化の留意点
①低空気比燃焼
焼却炉に供給する燃焼空気を低減し排ガス量を減らし、持ち去り熱量を低減し、ボイラでの回収熱量を向上させる。
②低温エコノマイザ
ボイラ出口の燃焼排ガスの余熱を利用し、ボイラ給水を加熱する。ボイラ設備から出ていく排ガスの持出熱量を低減し、ボイラでの回収熱量を増強する。
③発電ネットワーク
民間の小売電気事業者が、発電側及び需要側の電力需給管理を担うことにより、電力の地産地消のネットワークを図る。
問題文
平成28年5月に閣議決定された「地球温暖化対策計画」における対策の削減量の根拠として、「廃棄物処理における取組」の1つとして廃棄物焼却施設の新設、更新又は基幹整備改良時に施設規模に応じて高効率発電設備を導入することにより、電気の使用に伴うエネルギー起源二酸化炭素の排出量を削減することが示されている。一方、100t/日以下の能力のごみ焼却施設は全焼却施設数のほぼ半数を占めるが、ほとんどの施設で発電がおこなわれていない。将来の人口減少を考慮すると広域化による高度なエネルギー回収と併せ中小廃棄物処理施設でのエネルギー回収の促進も進められているところである。
(1)中小廃棄物処理施設(100t/日以下)におけるエネルギー回収を促進するために課題となっている事項を多様な視点から述べよ。
(2)上記の課題について、あなたが最も大きな技術的課題と考えるものを1つ挙げ、それを解決するための方策を示せ。
(3)あなたが示した提案がもたらす効果を具体的に示すとともに、そこに潜むリスク(負の効果)について論述せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 1回 2019.5.1 専門事項 し尿処理技術
1.エネルギー回収を促進する課題
1)地域特性に適合した処理システムの導入
中小廃棄物処理施設は周辺の立地条件が異なり、地域ニーズも様々で処理システム選定においては最も配慮すべき重要事項である。
2)近隣施設との連携
3)人口減に伴うごみ量減少への対応
4)施設管理の合理化推進と継続性
2.最も大きな技術的課題と対応
前述した「地域特性に適合した処理システムの導入」が大きな技術的課題である。その解決方策として、メタン発酵施設のコンバインド型を挙げる。
1)メタン発酵施設と焼却施設のコンバインド型施設の概要
2)エネルギー回収後の活用方法
本システムは、副生物からのエネルギー回収で、実現可能な活用法を以下に示す。
①バイオガス:電力利用として自家消費、売電、緊急用分散型電源
②排熱:施設内の給湯・暖房、近隣の浴場・温水プール・栽培用温室
③発酵残渣:固形燃料、堆肥、液肥に転換、し尿処理場での脱水ケーキ助燃剤化
④発酵不適物:焼却法とのコンバインド(排熱回収)廃プラスチックのRPF
3)導入する上での留意事項
①有識者からのノウハウ習得:早期にワーキンググループ等の委員会立上、F/S
②副生成物の地産地消:地域ニーズと適合した地産地消が最も合理的で優先。
③ごみ収集分別の変更:メタン発酵効率向上のため発酵に適した生ごみの分別回収
④補助金制度の最大限活用
3.コンバインド施設の効果とリスク
1)効果:①エネルギー起源による二酸化炭素排出量の削減、②地産地消による地域還元、③最終処分場の延命化、④環境教育のフィールド供給
2)潜在リスク()は主な対策案
①施設の老朽化 (長寿命化対策の立案・実施)
②緊急時の対応 (マニュアル作成、BCP立案)
③火災・爆発 (安全設備・安全教育RKY)
④大気・水質・悪臭汚染(自主基準値での管理)
⑤エネルギー供給不安定(AIによる予知保全)
⑥クレーム対応 (運転状況リアル掲示)
中小廃棄物処理施設におけるエネルギー回収は低炭素社会や循環型社会形成構築
模範解答2 (簡易形式1) 添削履歴 6回 2019.6.12 専門事項 廃棄物処理計画
1. 中小廃棄物処理施設のエネルギー回収の促進の課題
1)メタンガス化施設の促進
現在様々な処理技術がある中、小規模でもエネルギー回収が可能なメタンガス化施設を促進する必要がある。
2)中小規模施設のさらなる広域化処理の検討
少子高齢化の進行によって、自治体単位で発生するごみ量が少なくなり、施設規模が小さくなる傾向がある。エネルギー回収を促進するため、近隣自治体等と連携し、さらなるの広域化を図ってエネルギーを促進する必要がある。
3)小規模施設でも発電可能な技術の開発
100t/日近い規模ではボイラタービン発電の高効率化技術が確立されつつあり、50t/日規模では、バイナリ発電機、スクリュー発電機等小型発電機のごみ焼却施設への適用事例がみられた。今後小規模施設でも費用対効果が高い発電技術の開発を促進する必要がある。
2.メタンガス化施設促進の課題と解決策
メタンガス化システムでは、メタン発生はともかく、発酵残渣(微生物の食べ残し)、廃液等が発生し、その資源循環的処理が課題となる
解決策としては、発酵残渣をたい肥としての利用や他自治体と連携して、メタンガス化施設と焼却施設のコンバインド施設の建設、また、下水処理施設と連携し、排水の処理等を行う。
3.提案の効果及びリスク
1)提案の効果
① エネルギーの回収量が高まる
② 二酸化炭素排出量の削減
③ エネルギーの自産自消による地域還元
④ 最終処分量の削減
2)潜在リスク
① バイオマス発電の場合、固定価格買取制度を利用し、39円/kwhの単価で売電が可能だが、買取単価の減額や制度終了の場合事業収支への影響を与える。
② 処理対象物の生ごみは、腐敗が早く、悪臭も強い。きちんと臭気対策を行わないと周辺不動産への地価に影響を与える可能性がある。(調べたら、ほぼ影響がないです。)
③ バイオガスの主成分はメタンガスであり、余剰なものを大気に放散してしまうと、二酸化炭素以上に温暖化に影響を与える。
問題文
廃棄物系バイオマスの資源化技術である堆肥化について、原理、設備概要と導入に際しての留意点を述べよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 5回 2019.4.30 専門事項 し尿処理技術
1. 堆肥化の原理
堆肥化微生物が、有機物の(し尿、生ごみ、剪定くずを)分解し、熟成した土壌還元可能な状態まで微生物分解されたもの。
2.堆肥化の設備概要
堆肥化設備は、発酵設備と発酵を図るために、原料を粉砕、攪拌して好気性を保持する通気設備から構成されている。臭気規制が設定されている場合は、脱臭設備が付帯される。
3.導入に際しての留意点
(1)酸素供給
通気に伴う酸素供給が必要で、好気性環境に保たないと臭気が強くなる。
(2)水分調整
好気性微生物が働きやすい環境の水分50〜60%に調整する。
(3)C/N比
発酵設備投入時の原料、C/N比は30以下とする。有機物の分解は、窒素1に対して炭素10の比率。C/N比が高いと未熟堆肥で、土中が窒素飢餓となる。
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 1回 2019.5.4 専門事項 し尿処理技術
1. 堆肥化の原理
堆肥化微生物が、有機物を(し尿、生ごみ、剪定くずを)、熟成した土壌還元可能な状態まで微生物分解する。
2.堆肥化の設備概要
堆肥化設備は、発酵設備と発酵を図るために、原料を粉砕、攪拌して好気性を保持する通気設備から構成されている。堆肥底部排水が発生時は、排水設備を設け水分調整用水とする。
臭気規制が設定されている場合は、活性炭などを用いた脱臭設備が付帯される。
3.導入に際しての留意点
(1)酸素供給
通気に伴う酸素供給が必要で、好気性環境に保たないと臭気が強くなる。
特に切り返しが重要で、堆積内部を好気性に保持する。
(2)水分調整
好気性微生物が働きやすい環境の水分50〜60%に調整する。乾燥時は、底部排水利用し含水率を調整する。
(3)C/N比
発酵設備投入時の原料、C/N比は30以下とする。有機物の分解は、窒素1に対して炭素10の比率。C/N比が高いと未熟堆肥で、土中が窒素飢餓となる。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 0回 2019.5.5 専門事項 し尿処理技術
1.堆肥化の原理
堆肥化微生物が、有機物を(し尿、生ごみ、剪定くず)、熟成した土壌還元可能な状態まで微生物分解する。
2.堆肥化の設備概要
堆肥化設備は、発酵設備と発酵を図るために、原料を粉砕、攪拌して好気性を保持する通気設備から構成されている。堆肥化底部排水が発生時は、排水設備を設け水分調整用水とする。
3.導入に際しての留意点
(1)酸素供給
通気に伴う酸素供給が必要で、好気性環境に保てないと臭気が強くなる。特に切り返しが重要で、堆積内部を好気性に保持する。
(2)水分調整
好気性微生物が働きやすい環境の水分50〜60%に調整する。乾燥時は、底部排水を利用し含水率を調整する。水分が多いときは、戻し堆肥を利用し調整する。
(3)C/N比
発酵設備へ投入時の原料のC/N比は、30以下とする。有機物の分解は、窒素1に対して炭素10比率が良い。
C/N比が高いと未熟な堆肥となり、土に混入した場合に、土中が窒素飢餓状態となり、作物の生育異常をきたす。
問題文 Ⅱ−1−1 循環型社会を形成するための法体系と、あなたの専門とする分野での循環型社会形成に向けた課題を述べよ。
模範解答2 (簡易形式1) 添削履歴 6回 2019.4.5 専門事項 廃棄物処理計画
1.循環型社会の形成のための法体系
法体系は、「環境基本法」、「循環型社会形成推進基本法」を受けて、廃棄物処理に関する全般的な事項を規定する「廃棄物処理法」と、再生資源への利用を促進する措置等を規定した「資源有効利用促進法」がある。さらに、個別物品の特性に応じた規制として「食品リサイクル法」等がある。
2.循環型社会形成の課題
1)中小規模廃棄物処理施設(100t/日以下)のエネルギー回収の促進
施設数で半分を占める中小規模施設のエネルギー回収の促進
2)使用済み小型家電のリサイクル効率性の向上
使用済小型家電の効率的に資源を選別・回収するために、どの部品にどの資源が使用されているかが容易に判別できる情報の共有、解体し易い設計上の工夫(3R配慮設計)
3)生物多様性、自然環境保全に配慮した取組
廃プラスチックごみによる海洋汚染等の問題から、安いコストで強度が確保できるバイオマスプラスチック等の代替品の開発
模範解答2 (簡易形式2) 添削履歴 2回 2019.4.29 専門事項 廃棄物処理計画
1.循環型社会の形成のための法体系
法体系は、環境基本法、循環型社会形成推進基本法を受けて、廃棄物処理に関する全般的な事項を規定する廃棄物処理法と、再生資源への利用を促進する措置等を規定する資源有効利用促進法がある。さらに、個別物品の特性に応じた規制として食品リサイクル法、容器包装リサイクル法、小型家電リサイクル法等がある。
2.循環型社会形成の課題
1)中小規模廃棄物処理施設のエネルギー回収の促進
施設数で約半分を占める中小規模施設(100t/日以下)は、発電などの余熱利用がほとんど行われていない。地域の特性に合わせてエネルギー回収のオプションを選択し得るシステムの設計や施設規模別に費用対効果が高いエネルギー回収の促進が課題である。
2)使用済み小型家電のリサイクル効率性の向上
使用済小型家電については、効率的に資源を選別・回収する必要がある。その中、部品に使用されている資源が容易に判別できる情報の共有、解体し易い設計上の工夫(3R配慮設計)は課題である。
3)生物多様性、自然環境保全に配慮した取組
廃プラスチックごみによる海洋汚染等の問題から、自然で分解しやすい代替品の開発が必要である。バイオプラスチックが開発されているが、安いコストで強度が確保することが課題である。
Ⅱ-1-2 空気調和設備に使用される冷却式除湿装置及び吸着式除湿装置について,それぞれの原理,採用場の留意点,及び適用可能な湿度条件について説明せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 1回 2019.2.7 専門事項 一般ビル空調
1. 冷却式除湿装置について
1-1.原理:空気を冷却すると相対湿度が高くなり、飽和状態(RH95%)になると空気中の水分が凝集する。さらに冷却を続けるとことで結露水となり湿度が下がる。
1-2.採用上の留意点:
①空気の冷却による室内吹出し温度が要求温度より低い場合は再加熱を行う。
②結露水の排水は間接排水とし、装置への逆流を防止する。
1-3.適用可能な湿度条件:空気を冷却していくと、水分が凍結して除湿能力が低下するため、露点温度が10℃以上の空気
2.吸着式除湿装置について
2-1.原理:吸湿剤(シリカゲルなど)に空気を通過させて水分を吸着させて除湿する。
2-2.採用上の留意点:
①吸湿材への水分の吸着熱により、通過後の空気温度が高くなるため、室内吹出し温度が要求温度より高い場合は冷却を行う。
②吸湿材の再生のための加熱に余剰排熱の利用など省エネ化を図る。
2-3.適用可能な湿度条件:一般的に吸湿材は温度が低くなるほど除湿量が増加する特性をもつため、露点温度10℃以下の空気
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 0回 2019.2.16 専門事項 一般ビル空調
(1)冷却式除湿装置について
(1)-1.原理
空気を冷却すると相対湿度が高くなり、飽和状態(RH95%)になると空気中の水分が凝集する。さらに冷却を続けるとことで結露水となり湿度が下がる。
(1)-2.採用上の留意点
①空気の過冷却による吹出し温度が要求温度より低い場合は再加熱を行う。
②室内・外気負荷を同時に処理するとコイルが大きくなるため外気負荷(潜熱負荷)は外調機、室内負荷(顕熱負荷)はPACなどで別々に処理を行う。
(1)-3.適用可能な湿度条件
空気の過冷却によりコイルが着霜して除湿能力が低下するため、露点温度が10℃以上の空気
(2)吸着式除湿装置について
(2)-1.原理
吸湿剤(シリカゲルなど)に空気を通過させて水分を吸着させて除湿する。
(2)-2.採用上の留意点
①吸湿剤への吸着熱により除湿後の空気温度が高くなるため、要求温度まで冷却を行う。
②吸込み空気温度が高い場合(50℃以上)はゼオライト、吸込み空気温度が50℃未満の場合はシリカゲルなど空気環境の特性に合わせた吸湿材を選定する。
2-3.適用可能な湿度条件:高温多湿から低温低湿の全空気
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.2.21 専門事項 一般ビル空調
(1)冷却式除湿装置について
(1)-1.原理
空気を冷却すると相対湿度が高くなり、飽和状態になる(RH95%)と空気中の水分が凝縮して結露水となり湿度が下がる。
(1)-2.採用上の留意点
①空気の過冷却による吹出し温度が要求温度より低い場合は再熱を行う。
②外気量の多い室では温度制御を優先すると湿度が成行きになるため、外気(潜熱)と室内(顕熱)負荷を別々に処理することで湿度・温度制御性を高める。
(1)-3.適用可能な湿度条件 空気の過冷却によりコイルが着霜して除湿能力が低下するため、露点温度が10℃以上の空気
(2)吸着式除湿装置について
(2)-1.原理 吸湿剤(シリカゲルなど)に空気を通過させて水分を吸着させて除湿する。
(2)-2.採用上の留意点
①吸湿剤への吸着熱により除湿後の空気温度が高くなるため、要求温度まで冷却を行う。
②吸込み空気温度が高い場合(50℃以上)はゼオライト、吸込み空気温度が(50℃未満)の場合はシリカゲルなど空気環境の特性に合わせた吸湿材を選定する。
2-3.適用可能な湿度条件 高温多湿から低温低湿の全空気
問題文
Ⅱ-1-4 主に北欧諸国で利用されてきた置換換気・空調システムが,日本でも導入が進んでいる。この置換換気・空調システムについて,原理,メリット,デメリットなど主な特徴について説明せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 1回 2019.2.7 専門事項 一般ビル空調
1.置換換気・空調システムの原理
室内より少し低い空気を床面付近から低風速(0.2〜0.5m/s)で吹き出し、居住域内に温度成層を作ることにより汚染空気を上昇させて天井面から排気する。居住域の汚染空気を混合させることなく新鮮空気でそのまま置き換える方式。
2.置換換気・空調システムのメリット
①居住域の空気を混合することなくピストンフローにより効率良く換気するため換気量を20%程度削減でき省エネルギーである。
②低風速で吹き出すため室内のドラフト感が少ない。
3.置換換気・空調システムのデメリット
①居住域の温度成層を作るために室内の発熱が小さい場合は上昇気流が形成されないため、必要な換気量を確保できない。
②上昇気流による汚染空気がドラフトやすきま風により再拡散することを防ぐため、室の気密性・断熱性の確保にコストがかかる。
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 0回 2019.2.16 専門事項 一般ビル空調
(1)原理
夏期は室内より少し低く、冬期は少し高い空気を床面付近から低風速(0.2〜0.5m/s)で吹き出し、居住域内に温度成層を作ることにより汚染空気を上昇させて天井面から排気する。居住域の汚染空気を混合させることなく新鮮空気でそのまま置き換える換気・空調方式。
2.メリット
①居住域の空気を混合することなくピストンフローにより効率良く換気(換気効率は100%)するため換気量を20%程度削減できる。ダクトサイズ・送風機が小さくなることでイニシャルコストおよび消費エネルギーを削減できる。
②低風速で吹き出すため室内のドラフト感が少ない。
③居住域(床面から2m程度)のみを快適な温度に保つため省エネルギーである。
④床吹出口に風量調整機能を持たせることでパーソナル空調が可能。
3.デメリット
①エントランスホールなど外気侵入による気流分布が変化する室は温度成層が形成されにくいため換気効率が悪い。
②吹き出し風速が小さいため、冷房時には気流感が不足しPMVが高くなる。
吹き出し温度を下げて快適環境(PMV±0.5)に近づける場合は省エネルギーとならない。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 0回 2019.2.20 専門事項 一般ビル空調
1.原理
夏期は室内より少し低く、冬期は少し高い空気を床面付近から低風速(0.2〜0.5m/s)で吹き出し、居住域内に温度成層を作ることにより汚染空気を上昇させて天井面から排気する。居住域の汚染空気を混合させることなく新鮮空気でそのまま置き換える換気・空調方式。
2.メリット
①居住域の空気を混合することなくピストンフローにより効率良く換気(換気効率は100%)するため換気量を20%程度削減できる。ダクトサイズ・送風機が小さくなることでイニシャルコストおよび消費エネルギーを削減できる。
②低風速で吹き出すため室内のドラフト感が少ない。
③居住域(床面から2m程度)のみを快適な温度に保つため省エネルギーである。
④床吹出口に風量調整機能を持たせることでパーソナル空調が可能。
3.デメリット
①エントランスホールなど外気侵入による気流分布が変化する室は温度成層が形成されにくいため換気効率が悪い。
②吹き出し風速が小さいため、冷房時には気流感が不足しPMVが高くなる。吹き出し温度を下げて快適環境(PMV±0.5)に近づける場合は省エネルギーとならない。
問題文
Ⅱ-2-1 芸術を中心とした施設では,文化交流を目的として用途の複合化がみられる。ここに,市民文化ホールにおける空気調和設備の基本計画を行うことになった。以下の問いに答えよ。ただし,主な施設内容,規模は下表のとおりで,市民ミュージアム以外は災害時の避難施設として利用される。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 3回 2019.3.4 専門事項 一般ビル空調
(1)音楽ホールの熱負荷の特性(3つ)
①1100人(席)の外気負荷が大きい②天井が高いため壁量が多く,駆体の蓄熱負荷が大きい。③室容積は大きいが,熱負荷は客席と舞台部分に偏っている。
(2)音楽ホールで騒音レベルNC-20を実現するための消音対策(3つ)
①吹出し・吸込み口の風量・風速ごとの発生騒音(25dB以下)の形状を採用する。
吹出し・吸込み口のボックスには消音内貼りを行う。
②振動による固体伝播音を防止するため、機器には防振架台を設置する。
③設備機器の運転音の放射・透過・伝搬を防止するためダクトには消音エルボや消音器を設置する。気流発生音源となる急拡大・縮小、曲りは設置しない。
(3)市民ミュージアムにおける収蔵室の空気調和設備の留意事項(3つ)
①花粉・塵埃・pm2.5などの汚染空気の侵入防止のためフィルタを設置する。
②収蔵品に適した温度(夏期24℃・冬期22℃)・湿度(絵画55%・写真30%)のコントロールを行う。
③天井内の水配管を避けて漏洩を防止すると共に、吹出し・吸込み口の気流が収蔵品に当たらないように離隔をとる。
(4)熱源システムを構成する上で留意する事項とその対応策(3つ)
留意事項1:用途別の利用時間の違いによる空調システムの効率化
対応策1:音楽・多目的ホールはイベント開催時に負荷が集中し変動が少ないため、中央熱源方式+AHUとする。市民プラザ・ミュージアムは多様な用途(物販・飲食・展示室)が混在しているため個別制御性の高いヒートポンプPACとする。
留意事項2:熱源システムの省エネルギー化および再生可能エネルギーの活用
対応策2:成績係数の高い機器の採用(空冷HPモジュールチラーIPLV5.0以上など)、地中熱利用のヒートポンプの採用
留意事項3:災害時の避難施設としての空調システムの機能確保
対応策3:重要機器の耐震支持・固定、熱源機器動力の多重化(ガス・灯油・電気)
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 1回 2019.3.7 専門事項 一般ビル空調
(1)音楽ホールの熱負荷の特性(3つ)
①1100人(席)の外気負荷が大きい②天井が高いため壁量が多く、駆体の蓄熱負荷が大きい。③室容積は大きいが、熱負荷は客席と舞台部分に偏っている。
(2)音楽ホールで騒音レベルNC-20を実現するための消音対策(3つ)
①吹出し・吸込み口の風量・風速ごとの発生騒音(25dB以下)の形状を採用する。
吹出し・吸込み口のボックスには消音内貼りを行う。
②機器振動による固体伝播音を防止するため、基礎の固定にはスプリング防振架台を設置する。また、機器と配管の接続にはフレキシブル継手を設置する。
③機器の運転音の放射・透過・伝搬を防止するためダクトには消音エルボや消音器を設置する。気流発生音源となる急拡大・縮小、曲りは設置しない。
(3)市民ミュージアムにおける収蔵室の空気調和設備の留意事項(3つ)
①花粉・塵埃・pm2.5などの汚染空気の侵入防止のため中性能フィルター(比色法95%以上)を設置する。
②収蔵品に適した温度(夏期24℃・冬期22℃)・湿度(絵画55%・写真30%)のコントロールを行う。
③天井内の水配管を避けて漏洩を防止すると共に、吹出し・吸込み口の気流が収蔵品に当たらないように離隔をとる。
(4)熱源システムを構成する上で留意する事項とその対応策(3つ)
留意事項1:用途別、利用時間の違いによる空調システムの効率化
対応策1:音楽・多目的ホールはイベント開催時に負荷が集中し利用中の変動が少ないため、中央熱源方式+AHUとする。市民プラザ・ミュージアムは多様な用途(物販・飲食・展示室・事務室)が混在しているため、機器の発停や温湿度設定など個別制御性の高いヒートポンプPACとする。
留意事項2:熱源システムの省エネルギー化および再生可能エネルギーの活用
対応策2:成績係数の高い機器の採用による省エネルギー化(空冷HPモジュールチラーIPLV5.0以上、空冷HPパッケージAPF5.5以上など)
地中熱を利用したHPの採用 (20HP×3台、基礎杭利用熱交換器75m×24本、設置間隔4m以上)
留意事項3:災害時の避難施設としての空調システムの機能確保
対応策3:災害時に機能維持が必要な重要機器は耐震クラスSとし、ダクト・配管は耐震支持を行う。熱源の動力として、電気式HPパッケージ、モジュールチラー、ガス焚き冷温水発生器などを採用することで多重化を図る。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 5回 2019.3.18 専門事項 一般ビル空調
(1)音楽ホールの熱負荷の特性(3つ)
①1100人(席)の外気負荷が大きい
②天井が高いため壁量が多く、駆体の蓄熱負荷が大きい。
③室容積は大きいが、熱負荷は客席と舞台部分に偏っている。
(2)音楽ホールでNC-20を実現するための対策(3つ) ①吹出し・吸込み口の風量・風速ごとの発生騒(25dB以下)の形状を採用する。吹出し・吸込み口のボックスには消音内貼りを行う。
②機器振動による固体伝播音を防止するため、基礎の固定にはスプリング防振架台を設置する。また、機器と配管の接続にはフレキシブル継手を設置する。
③機器の運転音の放射・透過・伝搬を防止するため ダクトには消音エルボや消音器を設置する。気流発生音源となる急拡大・縮小、曲りは設置しない。
(3)収蔵室の空気調和設備の留意事項(3つ)
①花粉・塵埃・pm2.5などの汚染空気の侵入防止のため中性能フィルター(比色法95%以上)を設置する。
②収蔵品に適した温度(夏期24℃・冬期22℃)・湿度(絵画55%・写真30%)のコントロールを行う。
③天井内の水配管を避けて漏洩を防止すると共に、吹出し・吸込み口の気流が収蔵品に当たらないように離隔をとる。
(4)熱源システム構成の留意事項と対策
(4)-1用途別の空調ゾーニング
音楽・多目的ホールはイベント開催時に負荷が集中し、変動は少ない。一方、市民プラザ・ミュージアムは多様な用途が混在し在室人員などの負荷が変動する。両者は負荷パターンが異なるため熱源方式を分離する。
対応策:音楽・多目的ホールは中央熱源方式+AHU、市民プラザ・ミュージアムはヒートポンプPACを採用する。空調システムを分けることで、負荷変動の追随性を高め、高効率運転とする。
(4)-2省エネルギー化・再生可能エネルギーの活用
地球環境保護の観点より成績係数の高い機器の採用、地中熱を利用した空調システムの採用を行う。
対応策:空冷HPモジュールチラー(IPLV5.0以上)、空冷HPパッケージ(APF5.5以上)の採用。
地中熱利用HP (20HP×3台、基礎杭利用熱交換器75m×24本、設置間隔4m以上)の採用。
(4)-3災害時の空調システムの機能確保
換気設備や避難スペースの空調設備など災害時の機能維持を行う。
対応策:重要機器は耐震クラスSとし、ダクト・配管は耐震支持を行う。熱源は電気式HPパッケージ、モジュールチラー、ガス焚き冷温水発生器などを採用することで動力の多重化を図る。
問題文
Ⅲ-2 2015年9月に開催された国連サミットで採択された「SDGs(Sustainable Development Goals) (持続可能な開発目標)」に関連して以下の問いに答えよ。
(1) SDGsの概要について説明せよ。
(2) SDGsにおける具田的指標の1つとして「最終エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー比率」がある。建物における再生可能エネルギーの利用技術を5つ挙げ、原理と適用上の留意点を簡潔に説明せよ。
(3) 建物における再生可能エネルギーの利用量を拡大さえる上で,技術的な課題を3つ挙げ説明せよ。
また,それらの課題を克服するための方策を総合的に説明せよ。
(4) 空気調和設備設計においてSDGsの達成に向けて貢献するには,組織・個人においてどのような活動を行う必要があるか。その体制や取組内容などについて具体的に説明せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 6回 2019.5.8 専門事項 一般ビル空調
(1)SDGsの概要:人類の発展と地球の持続の両立を実現するために達成すべき課題とその具体的目標。社会、経済、環境の3つの次元の統合を目指すことが重要である。特に環境の分野において、建築物における徹底した省エネルギー化と再生可能エネルギー活用は地球温暖化防止に効果が多きい。
(2)-1太陽光パネルによる発電:光電効果にて発電を行う。エネルギー変換効率が低い(20%程度)ため、屋根面のみだけでなく壁面も利用して発電量を確保する。
(2)-2クール・ウォームピットによる外気負荷の低減:地下ピットに外気を取込んで、地中熱と熱交換を行い、外気負荷を低減する。外気は顕熱のみ交換されるため,潜熱処理能力の高い空調機を採用する。
(2)-3フリークーリング:冬期に熱源機器を運転せずに冷却塔で冷水を製造して直接冷房に利用する。開放型冷却塔の水は大気開放により汚染されているため,水質管理を行うことで配管・空調機の劣化や故障を防ぐ。
(2)-4外気冷房:中間期や冬期など外気のエンタルピーが室内のエンタルピーよりも小さい場合に直接外気を導入して冷房を行う。在室時だけでなく夜間の蓄熱負荷の除去にも活用することで設備機器の立ち上がり時の空調負荷を低減する。
(2)-5地中熱利用ヒートポンプ冷暖房システム:地中熱との熱交換により採熱・放熱を行う。空調のベース負荷を地中熱利用の空調機とし,変動負荷は空冷ヒートポンプで処理することで高効率運転を行う。
(3)-1技術的な課題:①バックアップ空調設備の最小化②パッシブ・アクティブ併用空調による処理負荷の混同防止③建物と空調設備の融合
(3)-2課題を克服するための方策:
空調の負荷パターンを把握し、ベース負荷のみアクティブ空調を行うことでバックアップ設備の最小化を図る。バックアップ機器を複数台に分割し,パッシブ空調で処理できない負荷の変動に合わせて設備機器の稼働を台数制御する。パッシブ空調は夏・冬期は外気・ナイトパージ・ペリメータ負荷の処理、中間期は全館空調に利用するなど季節・時刻で使い分けを行い高効率運転とする。
建物(ピット・基礎・天窓など)を利用して,構造物と空調を一体化させてコスト削減する。
(4)SDGsの達成に向けた組織・個人の活動、体制、取組内容:エネルギーマネージメントサービス(ESCO、コミッショニング)を行う。用途、規模、建設地域ごとの機器運転データ、消費エネルギー量、ランニングコストなどの実績値を収集・整理(ライブラリ化)し、そのデータを活用して建物の保全計画、エネルギーの見える化、省エネ制御、運転データの検証・改善などを支援する。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.5.16 専門事項 一般ビル空調
(1)SDGsの概要
人類の発展と地球の持続の両立を実現するために達成すべき課題とその具体的目標。17のゴールが設定されており,先進国,開発途上国を含む全ての国々の共通の目標である。社会、経済、環境の3つの次元の統合を目指すことが重要である。特に環境の分野において、建築物における徹底した省エネルギー化と再生可能エネルギー活用は地球温暖化防止に効果が多きい。
(2)-1太陽光パネルによる発電
光電効果にて発電を行う。エネルギー変換効率が低い(20%程度)ため、屋根面のみだけでなく壁面も利用して発電量を確保する。
(2)-2クール・ウォームピットによる外気負荷の低減
地下ピットに外気を取込んで、地中熱と熱交換を行い、外気負荷を低減する。外気は顕熱のみ交換されるため,潜熱処理能力の高い空調機を採用する。
(2)-3フリークーリング
冬期に熱源機器を運転せずに冷却塔で冷水を製造して直接冷房に利用する。開放型冷却塔の水は大気開放により汚染されているため,水質管理を行うことで配管・空調機の劣化や故障を防ぐ。
(2)-4外気冷房
中間期や冬期など外気のエンタルピーが室内のエンタルピーよりも小さい場合に直接外気を導入して冷房を行う。在室時だけでなく夜間の蓄熱負荷の除去にも活用することで設備機器の立ち上がり時の空調負荷を低減する。
(2)-5地中熱利用ヒートポンプ冷暖房システム
地中熱との熱交換により採熱・放熱を行う。空調のベース負荷を地中熱利用の空調機とし,変動負荷は空冷ヒートポンプで処理することで高効率運転を行う。
(3)-1技術的な課題
①バックアップ空調設備の最小化
気象状況で変化する再生可能エネルギーのバックアップを必要最小の機器とする。
②パッシブ・アクティブ併用空調による処理負荷の混同防止
同一空間でパッシブ・アクティブ空調を併用した場合の処理負荷の重複を防止する。
③建物と空調設備の融合
空調設備システムの構築を設備単独で構築するのではなく,駆体などを利用することで建物一体としての空調設備を構築する。
(3)-2課題を克服するための方策
①空調の負荷パターンを把握し、ベース負荷のみアクティブ空調を行うことでバックアップ設備の最小化を図る。
②バックアップ機器を複数台に分割し,パッシブ空調で処理できない負荷の変動に合わせて設備機器の稼働を台数制御する。パッシブ空調は夏・冬期は外気・ナイトパージ・ペリメータ負荷の処理、中間期は全館空調に利用するなど季節・時刻で使い分けを行い高効率運転とする。
③建物(ピット・基礎・天窓など)を利用して自然換気や地中熱を利用するなど,構造物と空調を一体化させて工期短縮,コスト削減を行う。
(4)SDGsの達成に向けた組織・個人の活動、体制、取組
①実績値の収集・整理
規模、建設地域ごとの機器運転データ、消費エネルギー量、ランニングコスト,気象状況などの実績値を収集・整理(ライブラリ化)する。
②エネルギーマネージメントサービス(ESCO、コミッショニング)の実施
ライブラリ化されたデータを活用して保全計画、エネルギーの見える化、省エネ制御、運転データの検証・改善など建物の徹底したエネルギー管理を行う。
③学会活動などへの積極的な参加
研究機関・他の企業と連携することにより大量のデータ(ビックデータ)を収集・整理することで,サービスの質(精度)の向上を図る。また,そのデータの公開を行い業界全体に展開する。
問題文 Ⅱ−1−1 軟岩とは、硬い岩石からなる(硬岩)と土質地盤の中間領域に位置するもので、特有の工学的性質をもつ岩盤である。我が国における軟岩を岩種や成因に基づいて3つに分類し、それぞれの特徴について述べよ。次に軟岩の室内試験を行うに当たって6つの事項(①試料の採取、②試料の保存、③試料の運搬、④供試体の作成、⑤供試体の調整、⑥試験前の供試体観察)から2つを選択し、それぞれの留意点について説明せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 1回 2019.5.1 専門事項 土木構造物地質
1. 軟岩の分類
①堆積岩
堆積岩の特徴:新第三紀以降の堆積年代では粒子同士の結合力が弱く、一般的に軟質になることが多い。
②風化岩
風化岩の特徴:地表面付近に露出した岩が大気との接触による化学的変化により、風化作用が起こりやすい。
③蛇紋岩
蛇紋岩の特徴:応力解放するともともと蛇紋岩が持つ葉片状の剥離性に富む構造が原因で、結合度が下がり脆弱になる性質をもつことが多い。また、スメクタイトが多く含有する場合は膨潤化する。
2-1 ①試料採取の留意点
1)軟質であるため試料破壊しないように、過大な振動を与えないために掘進速度を遅くする。
2)破砕帯はコアの硬さが不均一であり、送水が多い場合は極軟質部が選択的に流出するため、送水を極力少なくする。
2−2 ②試料の保存の留意点
1)泥岩は含水率が低下するとスレーキングに伴う潜在亀裂が生じ、本来の強度より大幅に低下するため、含水比を維持する必要があり、試験試料をラッピングする。
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 0回 2019.5.1 専門事項 土木構造物地質
1. 軟岩の分類
①堆積岩
堆積岩の特徴:新第三紀以降の堆積年代では粒子同士の結合力が弱く、一般的に軟質になることが多い。
②風化岩
風化岩の特徴:地表面付近に露出した岩が大気との接触による化学的変化により、風化作用が起こりやすい。
③蛇紋岩
蛇紋岩の特徴:応力解放するともともと蛇紋岩が持つ葉片状の剥離性に富む構造が原因で、結合度が下がり脆弱になる性質をもつことが多い。
2−1 ①試料採取の留意点
1)軟質であるため試料破壊しないように、過大な振動を与えないために掘進速度を遅くする。
2)破砕帯は通常の清水や泥水を使用した場合、コアの細粒分が混在し流出するため、コア形状を保てない。対処方法としてポリマー系の泥水を使用することにより細粒分の流出を防ぐことができる。
2−2 ②試料の保存の留意点
1)新第三紀以降の泥岩は含水率が低下するとスレーキングに伴う潜在亀裂が生じ、本来の強度より低下するため、含水比を維持する必要がある。このため、試験試料をラッピングする必要がある。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.5.3 専門事項 土木構造物地質
1.軟岩の分類
①堆積岩
堆積岩の特徴:新第三紀以降の堆積年代では粒子同士の結合力が弱く、一般的に軟質になることが多い。
②風化岩
風化岩の特徴:地表面付近に露出した岩が大気との接触による化学的変化により、風化作用が起こりやすい。
③蛇紋岩
蛇紋岩の特徴:応力解放するともともと蛇紋岩が持つ葉片状の剥離性に富む構造が原因で、結合度が下がり脆弱になる性質をもつことが多い。
2−1 ①試料採取の留意点
1)軟質であるため試料破壊しないように、過大な振動を与えないために掘進速度を遅くする。
2)破砕帯は通常の清水や泥水を使用した場合、コアの細粒分が混在し流出するため、コア形状を保てない。対処方法としてポリマー系の泥水を使用することにより細粒分の流出を防ぐ。
2−2 ②試料の保存の留意点
1)新第三紀以降の泥岩は含水率が低下するとスレーキングに伴う潜在亀裂が生じ、本来の強度より低下するため、含水比を維持する必要がある。このため、試験試料をラッピングする。
問題文 Ⅱ−Ⅰ−3 地下水環境の保全を検討する上で、地下水の流向・流速の把握が必要となる場合がある。地下水の流向・流速を把握する調査について以下の問いに答えよ。
(1) 調査範囲を明記し、現地での調査手法を説明せよ。
(2) 上記で挙げた調査手法について、調査を実施する上で留意すべき点を2つ挙げて説明せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 3回 2019.5.10 専門事項 土木構造物地質
1−1.調査範囲
沖積平野。
1−2.調査手法
単孔式地下水流向流速測定。
2.単項式流向流速測定を実施する上での留意点
1)流速の低い箇所で測定した際に正確なデータが得られないため、帯水層を把握する。
測定深度を決定するためには地下水の流動状況を把握することができる地下水の地下水検層を実施する。
2)本試験は点としての試験であり、現場全体の流向を把握できないため、面的な調査を補完する。
直接的に計測する流向流速測定結果を活用するためには、現場内の地下水モニタリング井戸の計測された水位を用いた水位等高線の作成や、帯水層の平面的な把握のため電気探査のように面的な調査を組み合わせることが必要である。
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 0回 2019.5.11 専門事項 土木構造物地質
1−1.調査範囲
沖積平野。
1−2.調査手法
調査範囲内の井戸および観測井において単孔式地下水流向流速測定を行う。
2.単項式流向流速測定を実施する上での留意点
1)流速の低い箇所で測定した際に正確なデータが得られないため、帯水層を把握する。
測定深度を決定するためには地下水の流動状況を把握することができる地下水検層を実施する。帯水層が明瞭でないことが予想される場合はある深度ごとに、地下水位が一定となるように地下
水を汲み上げ、その揚水量を求める簡易揚水試験を併用すると地下水の多少が把握できる。
2)本試験は点としての試験であり、現場全体の流向を把握できないため、面的な調査を補完する。
直接的に計測する流向流速測定結果を活用するためには、現場内の地下水モニタリング井戸の計測された水位を用いた水位等高線の作成や、帯水層の平面的な把握のため電気探査のように面的な調査を組み合わせることが必要である。なお、工事等で地下水の流動が大きく変わることが予想される場合は三次元浸透流解析を実施し、工事後の地下水流動状況をシュミレーションし、変動が激しい予想される箇所において流向流速測定を行うことが多い。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 0回 2019.5.12 専門事項 土木構造物地質
1−1.調査範囲
沖積平野。
1−2.調査手法
調査範囲内の井戸および観測井において単孔式地下水流向流速測定を行う。
2.単項式流向流速測定を実施する上での留意点
1)流速の低い箇所で測定した際に正確なデータが得られないため、帯水層を把握する。
測定深度を決定するためには地下水の流動状況を把握することができる地下水検層を実施する。帯水層が明瞭でないことが予想される場合はある深度ごとに、地下水位が一定となるように地下水を汲み上げ、その揚水量を求める簡易揚水試験を併用すると地下水の多少が把握できる。
2)本試験は点としての試験であり、現場全体の流向を把握できないため、面的な調査を補完する。
直接的に計測する流向流速測定結果を活用するためには、現場内の地下水モニタリング井戸の計測された水位を用いた水位等高線の作成や、帯水層の平面的な把握のため電気探査のように面的な調査を組み合わせることが必要である。なお、工事等で地下水の流動が大きく変わることが予想される場合は三次元浸透流解析を実施し、工事後の地下水流動状況をシュミレーションし、変動が激しい予想される箇所において流向流速測定を行うことが多い。
問題文
Ⅱ-2-1 自然斜面の崩壊による斜面災害が頻発している。このような崩壊による災害は災害発生前にその発生箇所を把握することが重要である。今回、崩壊箇所を事前把握する調査業務を行うことになった。あなたが責任者としてこの業務をすすめるに当り、以下の問いに答えよ。
(1)崩壊はすべり面の深度によって表層崩壊と岩盤崩壊(深層崩壊)とに分類することができる。それぞれの崩壊について、発生場と発生機構の特徴を述べよ。
(2)(1)で述べた崩壊のうち、いずれかの崩壊について、その特徴を踏まえた上で調査手順と調査内容を述べよ。
(3)(2)の調査を実施するうえでの留意点を複数述べよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 8回 2019.5.30 専門事項 土木構造物地質
1−1.表層崩壊
1)発生場
表層崩壊は表層のみが崩壊する現象であり、斜面表層に分布する崩積土、崖錐堆積物及び土砂化した強風化岩が発生場となる。
2)発生機構
基盤岩が風化により劣化し、土砂化する。豪雨により水位が上昇し、基盤岩の部分と土砂化した部分との境界部が不安定化し、すべり面となり崩壊する。
1−2.深層崩壊
1)発生場
深層崩壊は土壌、崩積土及び岩盤も含む斜面の深い深度に崩壊面が分布する。
2)発生機構
素因として、岩盤深部の断層により岩盤深部が劣化、亀裂面が斜面方向に卓越、風化しやすい岩盤が挙げられる。誘因は豪雨や地震が挙げられる。
2.表層崩壊の特徴を踏まえた上での調査手順及び調査手法
1)調査手順および調査手法
① 弾性波探査を行い、崩積土と基盤層の境界部を捉える。
② ボーリング調査で表層崩壊の地質構成やや基盤層の風化状況を調べる
③ 基盤層の境界や地質状況の詳細を確認することによりすべり面を判断する。
④ ①〜③の調査で明確なすべり面が確定されない場合は動態観測を行う。
3.調査実施する上での留意点
1)調査地は急傾斜のため、弾性波トモグラフィーを実施し解析精度を上げる。
急斜面では、十分な探査精度が得られないことが多いため、地表面とボーリング孔を起振点及び受信点とする弾性波トモグラフィーを実施すると解析精度が向上する。
2)すべり面を確定するためボーリング調査を実施する。
採取されたコアを観察し、地すべり粘土を確認する。地すべり粘土が明確でない場合はボアホールスキャナー観測を実施し、地層の層理面や亀裂の傾向を捉え、基岩層と地すべり土塊を区分する。
3)移動速度を把握するため、動態観測を行う。
掘進後の孔に孔内傾斜計のガイドパイプを設置して観測を行い、地すべりの移動速度を把握することで、警戒基準に従い、道路通行止め等の対策を講じる。緊急性が高い場合はWEB 常時モニタリングシステムを適用する必要がある。
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 2回 2019.6.1 専門事項 土木構造物地質
1−1.表層崩壊
1)発生場
表層崩壊は表層のみが崩壊する現象であり、斜面表層に分布する崩積土、崖錐堆積物及び土砂化した強風化岩が発生場となる。
2)発生機構
基盤岩が風化により劣化し、土砂化する。豪雨により水位が上昇し、基盤岩の部分と土砂化した部分との境界部が不安定化し、すべり面となり崩壊する。
1−2.深層崩壊
1)発生場
深層崩壊は土壌、崩積土及び岩盤も含む斜面の深い深度に崩壊面が分布する。
2)発生機構
素因として、岩盤深部の断層により岩盤深部が劣化、亀裂面が斜面方向に卓越、風化しやすい岩盤が挙げられる。誘因は豪雨や地震が挙げられる。
2.表層崩壊の特徴を踏まえた上での調査手順及び調査手法
1)調査手順および調査手法
①弾性波探査を行い、崩積土と基盤層の境界部を捉える。
②ボーリング調査で表層崩壊の地質構成や基盤層の風化状況を調べる。
③基盤層の境界や地質状況の詳細を確認することによりすべり面を判断する。
④①〜③の調査で明確なすべり面が確定されない場合は動態観測を行う。
3.調査実施する上での留意点
1)調査地は急傾斜のため、弾性波トモグラフィーを実施し解析精度を上げる。
急斜面では、十分な探査精度が得られないことが多いため、地表面とボーリング孔を起振点及び受信点とする弾性波トモグラフィーを実施すると解析精度が向上する。
2)すべり面を確定するためボーリング調査を実施する。
採取されたコアを観察し、地すべり粘土を確認する。地すべり粘土が明確でない場合はボアホールスキャナー観測を実施し、地層の層理面や亀裂の傾向を捉え、基岩層と地すべり土塊を区分する。
3)移動速度を把握するため、動態観測を行う。
掘進後の孔に孔内傾斜計のガイドパイプないしはパイプ歪計を設置して観測を行い、地すべりの移動速度を把握することで、警戒基準に従い、道路通行止め等の対策を講じる。緊急性が高い場合はWEB 常時モニタリングシステムを適用する必要がある。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 2回 2019.6.4 専門事項 土木構造物地質
1−1.表層崩壊
1)発生場
表層崩壊は表層のみが崩壊する現象であり、斜面表層に分布する崩積土、崖錐堆積物及び土砂化した強風化岩が発生場となる。
2)発生機構
基盤岩が風化により劣化し、土砂化する。豪雨により水位が上昇し、基盤岩の部分と土砂化した部分との境界部が不安定化し、すべり面となり崩壊する。
1−2.深層崩壊
1)発生場
深層崩壊は土壌、崩積土及び岩盤も含む斜面の深い深度に崩壊面が分布する。
2)発生機構
素因として、岩盤深部の断層により岩盤深部が劣化、亀裂面が斜面方向に卓越、風化しやすい岩盤が挙げられる。誘因は豪雨や地震が挙げられる。
2.表層崩壊の調査の手順及び内容
①弾性波探査を行い、弾性波速度値を得る。弾性波速度値はN値や一軸圧縮試験等の工学的諸量との相関性が良く、崩積土と基盤層の境界部を明瞭に捉える。
②ボーリング調査で地質試料を採取することで表層崩壊の地質構成や基盤層の風化状況を確定する。
③基盤層の境界付近や崩積土内の脆弱部をボーリングコアで詳細に観察することによりすべり面を判断する。
④①〜③の調査で明確なすべり面が確定されない場合は動態観測で地盤の変動深度及び変動量を把握する。
3.調査実施する上での留意点
1)弾性波トモグラフィーによる高精度解析
調査地は急傾斜のため、弾性波トモグラフィーを実施し解析精度を上げる。急斜面では、地層が複雑であることが多く、はぎとり法では局所的な地層の変化を捉えることがでない。このため、地表面とボーリング孔を起振点及び受信点とし、狭い箇所で観測点を多くできる弾性波トモグラフィーを実施する。この結果、高密度にデータを採取でき、解析精度が上がる。
2)境界粘土層確認による地すべり深度の決定
地すべり深度決定のため採取されたコアを観察し、地すべり粘土を確認する。地すべり粘土は高含水の軟質な粘土に伴って鏡肌や擦痕が認められる場合はすべり面である可能性が高い。このため、変質等地すべりと関係ない粘土との違いを判別するため、コアの表面だけではなく、断面についても観察する必要がある。
3)動態観測により崩壊を予測
掘進後の孔に孔内傾斜計のガイドパイプないしはパイプ歪計を設置して観測を行い、地すべりの移動速度を把握する。崩壊を予測し、警報することで道路通行止め等の対策を講じる。危険性が高く、大規模災害が予想される場合はWEB 常時モニタリングシステムを適用する必要がある。
問題文 Ⅲ-1 道路、鉄道等の社会資本の整備や、大規模建築物等の立地などの地下空間の利活用に関しては、地質や地下水等の状況を詳らかに把握することが不可欠で、そのための手段の1つとして、ボーリング柱状図、N値、土質試験結果、物理探査データ等の地盤情報等の集積と利活用が重要である。このような状況を考慮し、以下の問いに答えよ。なお、回答の目安は(1)で1枚程度、(2)及び(3)で2枚程度とする。
(1)地盤情報等を集積と利活用するために、地質調査に携わる技術者として検討すべき課題を多様な視点から挙げ、その理由を述べよ。
(2)上述した検討すべき課題から1つを選択し、それを解決するための技術的提案を示せ。
(3)あなたの技術的提案を実施した場合の国民への効果と弊害について論述せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 10回 2019.6.26 専門事項 土木構造物地質
1. 地盤情報等を集積と利活用するために、検討すべき課題
1)使用者にとって利用価値の高い加工データの提供
地盤情報の三次元データ整理や各種地盤のハザード情報が必要である。その理由として、災害時の対策が明確になるため、経済的価値が高い。
2)地盤情報データ形式の統一
各事業団体の地盤情報の保存形式が統一化されていないため、データを既存検索サイトに連携してデータを相互流通出来るようにする。理由は、地質情報の汎用性を高め、支持層深度マップ等のデータの二次利用を普及させるためである。
3)集積した地盤情報の品質管理
提供する地盤情報を信頼性の高いものとするため、1次データについて品質管理を行う。理由は、加工データ作成時に地層の整合性がとれなくなるからである。
2.使用者にとって利用価値の高い加工データの提供に対する技術的提案
1)3次元地盤モデルを複数の属性データも扱えるようにする。
3次元地盤モデルは地層のみを扱うのではなく、弾性波探査等の連続性の高いデータも扱えるように検討し、モデルの精度を高める。
2)建築費用の概算算定システムの構築
建築に関する基本データ(建築面積・延べ床面積他)を入力し、3次元地盤モデルとリンクさせ、概算の工事費を作成できるシステムを構築する。
3)ハザードマップの適用性を広げる
ハザードマップは洪水・土砂災害・火山等の自然災害については整備が進んでいるが、土壌汚染や水位低下に伴う地盤沈下予測等の人為的なリスクについても整備を進める必要がある。
3.技術的提案を実施した場合の国民への効果と弊害について
a)国民への効果
Ⅰ)不要な地質調査を防ぎ、調査経費を抑制する。
調査必要箇所と既往データが比較的近い場合は、3次元データを入手することで地質の傾向を捉えることができるため、調査の可否を決定できる
Ⅱ)土壌・地下水汚染対策の対策が容易になる。
地質が三次元データ化されることにより地下水汚染挙動予測を行うにあたり、水理地質構造図の作成が容易になり、事業予算を縮減することができる。
b)国民への弊害
Ⅰ)軍事機密情報として悪用される。
秘匿性の高い地域周辺の地盤データを三次元データ化することで地盤構造が視覚化しやすくなり、軍事機密情報などに悪用される可能性が高くなる。
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 1回 2019.6.28 専門事項 土木構造物地質
1.地盤情報等を集積と利活用するために、検討すべき課題
1)使用者にとって利用価値の高い加工データの提供
地盤情報の三次元データ整理や各種地盤のハザード情報が必要である。その理由として、災害時の対策が明確化や公共事業の広域調査計画の効率化が図れるため、経済的価値が高い。
2)地盤情報データ形式の統一
各事業団体の地盤情報の保存形式が統一化されていないため、各事業団体のデータを収集し、データ量の多い国土検索地盤サイトkunijibanに連携してデータを相互流通出来るようにする。理由は、地質情報の汎用性を高め、支持層深度マップ等のデータの二次利用を普及させるためである。
3)集積した地盤情報の品質管理
提供する地盤情報を信頼性の高いものとするため、ボーリング柱状図やサウンディングデータ等の1次データについて品質管理を行う。その理由は、加工データ作成時に地層の整合性がとれなくなるからである。
2.使用者にとって利用価値の高い加工データの提供に対する技術的提案
1)3次元地盤モデルを複数の属性データも扱えるようにする
3次元地盤モデルはボーリング柱状図データのみを扱うのではなく、弾性波探査・レーザー探査・電気探査等の連続性の高いデータも扱えるように検討し、モデルの精度を高める。
2)建築費用の概算算定システムの構築
建築に関する基本データ(建築面積・延べ床面積他)を入力し、3次元地盤モデルの支持層深度データとリンクさせ、概算の工事費を自動的に作成できるシステムを構築する。
3)ハザードマップの適用性を広げる
ハザードマップは洪水・土砂災害・火山等の自然災害については整備が進んでいるが、土壌汚染や水位低下に伴う地盤沈下予測等の人為的なリスクについても整備を進める必要がある。
3.技術的提案を実施した場合の国民への効果と弊害について
a)国民への効果
Ⅰ)不要な地質調査を防ぎ、調査経費を抑制する。
調査必要箇所と既往データが比較的近い場合は、3次元データを入手することで地質の傾向を捉えることができるため、調査の可否を決定できる。
Ⅱ)土壌・地下水汚染対策の対策が容易になる。
地質が三次元データ化されることにより地下水汚染挙動予測を行うにあたり、水理地質構造図の作成が容易になる。このため、予測ニーズの多い地域において水理地質構造図の作成を発注することが不要になり、事業予算を縮減することができる。
b)国民への弊害
Ⅰ)軍事機密情報として悪用される。
秘匿性の高い地域周辺の地盤データを三次元データ化することで地盤構造が視覚化しやすく、地質状況を予想することができるため、軍事機密情報などに悪用される可能性が高くなる。
X線の発生原理と特徴を説明せよ。X線を用いた分析法であるX線回折について、その原理と特徴を説明せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 8回 2019.3.16 専門事項 単結晶育成・加工
1−1.X線の発生原理
電子を物質に衝突させると、制動された電子は余ったエネルギーで連続X線を発生、更に電子を加速すると、内殻電子をはじき出しその軌道に外殻電子が落ちて準位間エネルギーをもつ特性X線を発生する。
1−2.X線の特徴
① エネルギーが大きいため物質を透過し細胞を破壊、電子をはじき出す光電効果を生じさせる。
② 電磁波であるため、光と同じく散乱、反射や回折を生じる。
2−1.X線回折の原理
照射された特性X線が平行な結晶格子面でそれぞれ散乱し、ブラッグ式に則った散乱角度で強め合い回折する。この回折パターンは結晶構造ごとに特有のものであるため物質の同定ができる。
2−2.X線回折の特徴
① 同じ化学式でも結晶構造を特定できるため物質の特性(毒性や光触媒性等)を決定できる。
② 散乱のみの非破壊分析なので、前処理不要で簡便、薄膜から大型試料まで分析でき、高温や反応ガス中でのin situ測定も可能。
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 1回 2019.3.24 専門事項 単結晶育成・加工
1. X線の発生原理と特徴
①X線の発生原理
加速した電子が物質に衝突して制動され余ったエネルギーで連続X線を発生する、更に加速すると内殻電子をはじき出しその軌道に外殻電子が落ちて準位間エネルギーをもつ特性X線を発生する、の2つがある。
②X線の特徴
エネルギーが大きいため物質を透過し細胞を破壊、電子をはじき出す光電効果を生じる、電磁波であるため光と同じく散乱、反射や回折を生じる、等がある。
2.分析法であるX線回折の原理と特徴
①分析法であるX線回折の原理
照射された特性X線が平行な結晶格子面の原子によって散乱され、それらの光路差がX線波長の整数倍となる角度で強め合い回折パターンを生じる。それは結晶構造格ごとに特有のものであるため物質の同定ができる。
②分析法であるX線回折の特徴
同じ化学式でも結晶構造を特定できるため物質の特性(毒性や光触媒性等)を決定できる。適用面では、散乱のみの非破壊分析なので、前処理不要で簡便、薄膜から大型試料まで分析でき、高温や反応ガス中でのin situ測定も可能となる。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.3.30 専門事項 単結晶育成・加工
1−1.X線の発生原理
加速した電子が物質に衝突して、制動され余ったエネルギーで連続X線を発生する、更に加速すると内殻電子をはじき出しその軌道に外殻電子が落ちて準位間エネルギーをもつ特性X線を発生する、の2つがある。
1−2.X線の特徴
X線はエネルギーが大きいため物質を透過し細胞を破壊する、電子をはじき出す光電効果を生じる。また電磁波であるため光と同じく散乱、反射や干渉を生じる。X線の波長は物質の格子定数に近いのでX線回折分析に応用される。
2−1.分析法であるX線回折の原理
特性X線は、結晶に照射すると平行な格子面の原子それぞれで散乱される。するとそれらの散乱光路差がX線波長の整数倍となる角度で強め合う回折パターンを生じる(ブラッグの回折)。それは結晶構造ごとに特有のものであるため物質の同定ができる。
2−2.分析法であるX線回折の特徴
同じ化学式でも結晶構造を特定できるため物質の特性(毒性や光触媒性等)を決定できる。適用面では、前処理不要で簡便、低分子から生体等の高分子まで、粉体や薄膜から大型試料まで分析できる。また散乱のみの非破壊分析なので高温や反応ガス中の実プロセスでのin situ測定も可能となる。
問題文
バンド構造を調べるための分光法を2つ以上挙げて概説せよ。また、バンド構造を評価することによってどのようなことがわかるか記述せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 1回 2019.4.5 専門事項 単結晶育成・加工
1. バンド構造を調べる分光法
① 光電子分光法:結晶にエネルギーを増やしながら光を照射すると価電子帯電子が励起され、光電子を放出する閾値がある(分光)。それが価電子帯最上部と真空準位のエネルギー差になる。更に放出光電子の運動エネルギーと強度の分光分布は、元の価電子帯電子分布と同等であるので、バンド構造を調べられる。
② 紫外線吸収分光法:結晶にエネルギーを増やしながら紫外線照射すると、価電子帯の電子が伝導帯へ励起され、吸収が始まる閾値がある(分光)。それが価電子帯と伝導帯のバンドギャップであり、バンド構造を調べられる。
2.バンド構造評価からわかること
① 価電子帯、伝導帯の電子分布から、絶縁性等の電気特性がわかる。
② バンドギャップから、物質の色や吸光特性、太陽電池発電効率がわかる。
③ 軌道間エネルギーからレーザーの発光波長がわかる。
④ 価電子帯の電子エネルギー分布は、物質の組成や化学結合状態を示す。
模範解答1 (簡易形式2) 添削履歴 0回 2019.4.9 専門事項 単結晶育成・加工
バンド構造とは結晶中の電子エネルギー状態で、下から価電子帯、禁制帯、伝導帯のバンドで構成される。
1.バンド構造を調べる分光法
① 光電子分光法:結晶にエネルギーを増やしながら光を照射すると価電子帯電子が励起され、光電子を放出する閾値がある(分光)。それが価電子帯最上部と真空準位のエネルギー差になる。更に放出光電子の運動エネルギーと強度の分光分布は、元の価電子帯電子分布と同等であるので、バンド構造を調べられる。
② 紫外線吸収分光法:結晶にエネルギーを増やしながら紫外線照射すると、価電子帯の電子が伝導帯へ励起され、吸収が始まる閾値がある(分光)。それが禁制帯幅のエネルギー(バンドギャップ)であり、バンド構造を調べられる。
2.バンド構造評価からわかること
① 価電子帯、伝導帯の電子分布から、絶縁性等の電気特性がわかる。
② バンドギャップから、物質の色や吸光特性、太陽電池発電効率がわかる。
③ 軌道間エネルギーからレーザーの発光波長がわかる。
④ 価電子帯の電子エネルギー分布は、物質の組成や化学結合状態を示す。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.4.10 専門事項 単結晶育成・加工
バンド構造は結晶中の電子エネルギー状態で、下から価電子帯、禁制帯、伝導帯のバンドで構成される。
1.バンド構造を調べる分光法
①光電子分光法
結晶にエネルギーを増やしながら光を照射すると、価電子帯電子が励起され、光電子を放出する閾値がある(分光)。それが価電子帯最上部と真空準位のエネルギー差になる。また放出される光電子の運動エネルギーと強度の分光分布は、元の価電子帯電子分布と同等である。これらより、バンド構造を調べられる。
②紫外線・X線吸収分光法
結晶にエネルギーを上げながら紫外線照射すると、価電子帯電子が伝導帯へ励起、吸収が始まる閾値がある(分光)。それが禁制帯のバンドギャップとなる。X線では内殻電子が外殻へ励起され吸収が起こるため軌道間エネルギーがわかり、バンド構造を調べられる。
2.バンド構造評価からわかること
物質や電子デバイスで生じる物理現象の多くが、バンド構造から理解される。例えば、抵抗等の電気特性は、価電子帯、伝導帯の電子分布から説明される。物質の色、吸光特性、太陽電池発電効率は、バンドギャップから知れる。レーザーの発光波長は、軌道間エネルギーから計算できる。物質の組成や化学結合状態は、価電子帯の電子エネルギー分布からわかる。
問題文
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 8回 2019.5.2 専門事項 単結晶育成・加工
超電導薄膜のドライエッチング配線加工での特性劣化防止、生体適合樹脂の弾性変形後の凍結機械加工によるバイオチップ3D流路形成等が想定される。
1.目的を達成するために調査・検討すべき事項
① 薄膜を成膜した基板である場合、低温化により膜に歪、剥離を生じないか。
② 樹脂材料等の水を含む材料の場合、氷結して膨張し、歪、破損を生じないか。
2.業務を進める手順
1)1.ですべてNoの場合は4)を進める。
2)1.①がYESの場合、製品の低温化速度を遅くし熱歪を小さくする。次に4)。
3)1.②がYESの場合は、減圧や加熱による脱水処理後に低温化する。次に4)。
4)製品の冷却、加工熱の除去方法を検討する。クライオポンプ、液体窒素から選択する。液体窒素は噴霧で直接製品を冷却でき、加工時の温度上昇を防止できる。
3.業務を進めるに当たって留意すべき事項
・低温機械加工では加工油を使用できず、加工屑の排出を液体窒素噴霧で対処する。
・加工ロットの初めと終わりや、加工の時間間隔で加工装置や冶具の温度が異なり加工寸法精度に影響するため、温度測定とそれによる加工補正を検討する。
・低温ドライエッチングを減圧下で行う場合は、処理中に反応生成物、除去物が低温の製品に付着しやすく加工を妨げるので、排気速度を増やすことで対処する。大気圧プラズマを使用する場合は、パージガスに100K窒素ガスを用い冷却維持しながら除去する。
問題文
新しい化学反応プロセスを導入することになり、あなたはその責任者として業務を担当することになった。昨今のSDGsの開発目標を鑑み、下記の内容について記述せよ。
(1)SDGsに掲げられる事項のうち、化学反応プロセスに設計に関わるものを複数選択し、選択しその理由を記述せよ。
(2)選択したSDGsを達成するために事前に調査・検討すべき内容を記述せよ。
(3)プロセス設計業務を進める手順と選択したSDGsを達成するために留意すべき事項を記述せよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 7回 2019.5.21 専門事項 単結晶育成・加工
しい化学反応プロセスとして、アンモニア合成のハーバーボッシュ法に変わる低温・常圧・カーボンレスプロセスを導入する。
1.アンモニア化学反応プロセス設計に関わるSDGsとその理由
・7:この化学反応は、従来高温高圧処理のため大エネルギーが必要であるから。
・12:この化学反応は、炭化水素からのH2を使用しCO2を多く排出するから。
・13:この化学反応はCO2排出と必要エネルギーが大きく温暖化に影響するから
2.SDGsを達成するために事前調査・検討すべき内容
1)省エネ・CO2削減のため、室温常圧でH2でなく水を原料とし、SmI2で還元し合成するプロセスの課題:消費廃棄されるSmI2の使用量、再生技術を調査する。
2)省エネのため、C12A7触媒を使用し従来温度&1気圧でH2からアンモニア合成する課題:合成効率、低温化、触媒寿命の対策を調査する。
3)CO2削減のため、H2を水の電気分解で生成する課題:コストの対応策を調査。
3−1.業務を進める手順
A)1)SmI2のリサイクルを光還元等で行う。OKならD)へ。NGであればB)へ。
B)2)C12A7にRu、Baを担持させOKならC)へ。NGならLaを添加し改善する。
C) 3)で安価なマンガン系触媒を使用し再生可能エネルギーからH2を製造する。
D) 生成する副生成物、熱や反応物をプロセス内で循環させるシステム構築する。
3−2.達成するために留意すべき事項
・A) SmI2を再生利用する際、光と電解の併用で再生効率を高めるなどする。
・B) Ru等はナノ粒子化し活性化させ担持、合成効率、寿命、低温化改善を増やす。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.3.30 専門事項 単結晶育成・加工
新しい化学反応プロセスとして、アンモニア合成のハーバーボッシュ法に変わる低温・常圧・カーボンレスプロセスを導入する。
1.アンモニア化学反応プロセス設計に関わるSDGsとその理由
・7:この化学反応は、従来、高温、高圧の処理であるため大きなエネルギーが必要であるから。
・12:この化学反応は、天然ガスなど炭化水素から生成される水素を原料に使用するが、水素生成の際に二酸化炭素を多く排出するから。
・13:この化学反応でのアンモニア生成では、全世界の使用エネルギーの1%以上を占有しており、また多量の二酸化炭素排出によって温暖化に大きく影響しているから。
2.SDGsを達成するために事前調査・検討すべき内容
1)省エネ・二酸化炭素削減のため、水素でなく水を原料とし、モリブデン触媒と還元剤SmI2を使用して、室温常圧で合成するプロセスの課題を調査する。特に還元剤SmI2は大量に消費されるため、その対策として低エネルギー再生技術を検討する。
2)1)以外で、省エネのため、C12A7触媒を使用し従来温度&常圧で水素からアンモニア合成するプロセスの課題を調査する。特に合成効率と触媒寿命UP、低温化の技術を検討する。
3)2)での二酸化炭素削減のため、水素を水の電気分解で生成する課題を調査する。特にコストの対応策を検討する。
3−1.業務を進める手順
A)1)SmI2の還元再生は一般に高温熱分解を使用するが、省エネの電気化学還元法等で行う。再生効率がOKならD)へ。NGであればB)の2)案を検討する。
B)2)C12A7触媒にルビジウム、バリウムを担持させることで、合成効率と触媒寿命が増加し、低温化が進むならC)へ。NGなら更にランタンを追加担持させ改善する。
C)3)では効率を上げるために、安価なマンガン系触媒を使用し再生可能エネルギーと海水から水素を生成する。
D)生成する副生成物、熱や反応物をプロセス内で循環させるシステム構築する。
3−2.達成するために留意すべき事項
・A)SmI2のヨウ素はアンモニア合成後にはI2として沈殿しているので、塩酸処理でSmI3とする。しかし強く酸化されているため電気化学還元法だけでは還元再生の効率が一般に悪い。そのため光還元法との併用で再生効率を高める。
・B)ルビジウム、バリウム、ランタンはナノ粒子化して担持させる。反応面積を増大させ活性化することで、合成効率、寿命、合成の低温化改善を増やす。
問題文
地球環境を保全するために、電気自動車の普及が進められている。このような状況を考え以下の問いに答えよ。
(1)電気自動車の普及において、検討しなければならない項目を3つ以上挙げ、それらについて多面的に記述せよ
(2)上述した検討すべき項目のうち1つについて、大きな技術課題と考えるものを1つ挙げ、それを解決するための技術的提案を示せ。
(3)あなたの技術提案がもたらす効果を具体的に示すとともに、実現に向けての問題点について論述せよ
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 2回 2019.6.11 専門事項 単結晶育成・加工
1. 電気自動車普及のために検討すべき項目
1)航続距離増大:蓄電池性能向上以外に、電気制御に用いられるパワー半導体のSiC化、GaN化による電力ロス削減、インホイールモーター等での駆動ロス削減、人体に接触する部分の冷暖房による空調高効率化、車体の遮熱、放熱等。
2)低価格化:蓄電池性能を上げ高価な電池ユニットを減らすとともに、蓄電池正極のレアメタルの代替、蓄電池のリユース拡大等。
3)充電仕様、設備整備:充電規格の統一化、高速充電化または充電済み電池交換システムのための電池規格の統一、充電スポットの拡充、充電電力網の整備。
2−1.大きな技術課題:電池容量増大のための電極構造
1)の航続距離増大には、軽量大容量の蓄電池が必須である。リチウムイオン電池の負極をグラファイトからシリコンに変えることで電気容量を10倍以上にできる。しかし充電時のリチウム吸収による体積膨張で、クラックを生じ劣化するため、体積膨張を電極自身で吸収できる電極構造にして解決する必要がある。
2−2.解決のための技術提案:シリコン電極のスポンジ化
リチウムイオン電池負極材料をシリコンのナノ粒子スポンジに変更することで体積膨張を内部に吸収させる。シリコンナノ粒子をスポンジ状に焼結させハウジングで外側を拘束して負電極とする。
3−1.技術提案の効果
充電時にシリコンの膨張はナノ粒子ごとに隙間を埋める方向に進む。これにより電極全体の応力は減少、クラックによる劣化が無くなり、10倍の電気容量を安定的に獲得できる。更に電極をスポンジ状にすることで電極表面積が大きくなりリチウムイオンとの反応が促進され、高速充電できる。
3−2.実現に向けての問題点
1)スポンジ状電極の安定製造
電極密度が高いと拘束されクラックを生じ易く、少なすぎると電極としての強度不足になる。ナノ粒子は凝集しやすく、電極全体で微細なスポンジ構造を安定的に製造するのが難しい。
2)電極強度劣化
スポンジ構造にすることで強度が低下し車の衝撃や振動疲労の耐性が劣化する。
Ⅱ-1-3 ポリマーアロイは高分子多成分系と定義できる。ポリマーアロイに関する以下の問いに答えよ。
(1)ポリマーアロイは構成要素(高分子の種類と組合せ)から大別して3つに分類される。3つの分類すべてについて、その構成要素と形成されるモルフォロジーについて説明せよ。
(2)ABS樹脂はポリマーアロイの代表的な成功例とされている。ABS樹脂の工業的な製造法は大別して重合法とブレンド法があるが、それぞれの製造法の概略と特徴について説明せよ。
(3)ABS樹脂のモルフォロジーを観察するための代表的な保々を一つ挙げその方法の概略を説明せよ。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.6.21 専門事項 成形加工技術・加工
(1)ポリマーアロイの3つの分類
①ブロック共重合体やグラフと共重合体のように化学結合されている高分子間化合物。モルフォロジー(以下MF)はミクロ層分離状態。②PPE/PSのような高分子相溶体。MF:完全相溶体。③相分離して微分散構造を有する非相溶体。MF:海島構造。
の3つの分類である。
(2)ABS樹脂の製造法(重合法とブレンド法)
①重合法:アクリルニトリルとスチレンとブタジエンを組合せてBRをつくり、グラフト法によりABS樹脂を製造する。ブレンド法でのABSより耐衝撃性が高い。
②ブレンド法:スチレンとアクリロニトリルの共重合体とアクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴム:(NBR)を混合、共重合体の組成・混合割合により曲げ強度・耐衝撃性などの物性を変えることができる。
(3)ABS樹脂のモルフォロジー観察方法
透過型電子顕微鏡(TEM)で観察する。3つをどう見分けるのか
まず、観察する試料をダイヤモンドナイフで極薄にカットする。次に、観察したい極薄試料を染色、資料台にセットし、電子ビームを照射する。透過してきた電子を結像させて観察を行う。観察では、重合法・ブレンド法とも①モルフォロジーの各部位による均一性、
②曲げ強度・アイゾット強度など物性との相関性を確認し、目標の配合を決める。
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