H30/2018年 化学・高分子 Ⅱ−1−4 問題 模範解答と解説

問題文

Ⅱ-1-4 熱可塑性樹脂の大型中空成形品(容量50L以上)を製造する代表的な方法であるブロー成形と回転成形について、以下の問いに答えよ。

(1)それぞれの成形方法の概要を述べよ。

(2)それぞれの成形方法を①生産性②製品形状の自由度③製品の高付加価値の観点から比較せよ。

(3)それぞれの成形方法で製造される代表的な製品を1つ挙げ、その製品に用いられる樹脂名を記せ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.7.2   専門事項 成形加工技術・加工

(1)ブロー成形と回転成形の概要

①ブロー成形:熱可塑性樹脂パリソンを加熱してパイプ状に押し出す。樹脂が柔らかい状態でパリソン内に圧縮エアーを吹き込み、樹脂を金型に押し当てる。PETボトルなどの容器類に適応されている。多数個とりでコストダウンできるところが特徴であり、現在は96個取りが主流である。

②回転成形:最初に金型内に粉体や液体原料を投入し、二軸回転しながら金型を加熱し原料を金型内面に付着・溶融させる。二軸回転を続けながら冷却し、固化した成形体を金型から取り出す。この操作を繰り返す。

(2)それぞれの成形方法の比較

①生産性:ブロー成形はサイクル時間が短く、金型の取り数が多いので生産性は回転成形より勝る。

②形状自由度:ブロー成形はパリソンに制約があるため、回転成形が優れる。

③製品の高付加価値:ブロー成形は日用品に欠かせない。回転成形は、大型成形品(最大7m)・小ロット多品種ができる。

(3)それぞれの成形方法の代表的な製品

①ブロー成形:ペットボトルである。樹脂はポリエチレンテレフタレートを用いる。

②回転成形:タンクローリー車用ローリータンク。樹脂は直鎖状低密度ポリエチレンである。    以上           

H30/2018年 化学・高分子 Ⅱ−2−2 問題 模範解答と解説

問題文

Ⅱ-2-2 A社は射出成形技術を得意とするプラスチック成型メーカーで、数年前にフィルムインサート成形技術を完成し、国内外の自動車メーカー向け製品の国内生産を行っている。今後、A社はこのフィルムインサート成形技術を完成し、国内外の自動車メーカー向け製品の国内生産を行っている。今後、A社はこのフィルムインサート成形技術を自社の海外工場に移転し、現地での生産を計画している。これらを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)フィルムインサート成形法の概要について述べよ。

(2)フィルムインサート成形法の長所及び短所をそれぞれ3つ挙げよ。

(3)フィルムインサート成形法を適用するのに最も適した自動車部品の具体例を挙げ、その理由を述べよ。

(4)フィルムインサート成形技術を自社の海外工場に移転するにあたり、A社が事前に調査しておくべき重要な事項を5つ挙げよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.6.21   専門事項 成形加工技術・加工

(1)フィルムインサート成形法の概要

50μ〜100μ程度のPETフィルムに絵柄を印刷する。フィルム面を表とし、絵柄裏面には接着剤を印刷しておく。成形品の3次元形状と同形状にプレスしてトリミングした形状フィルムを製造する。金型コア側は射出シリンダー側とする。成形金型のコア側に形状フィルムをセット、型締め後射出成形し樹脂成形品を一体化させる。

(2)フィルムインサート成形法の長所、短所

長所①射出成形と加飾が同時に行える。②表面物性の耐摩耗性が良い。表面に透明の厚いフィルム面があるため、手で触れても柄が劣化しない。③環境面に優れる。塗装に比べて有機溶剤を使わず、メッキに比べて重金属排水がない。

短所①不良品がリサイクルできない。フィルムはPET,本体はABSなど異なるので、粉砕再成形できないし、フィルムをはがせないので廃棄処分ない。②柄の位置合わせが難しい。③平面形状に印刷すると、成形時に3次元曲面となるため柄伸びする。3次元柄印刷を逆解析した図柄印刷が要る。

(3)最も適した自動車部品具体例

自動車内装品のインストルメントパネル、ダッシュボード周辺、アームレストなどが適している。理由は材質感と強度を両立させることが可能なためである。

(4)自社海外工場移転前に調査すべき重要事項5つ

①室内環境(室温・湿度)

インサートフィルムは、膨張収縮するので室内気温・湿度の影響を受ける。常に25℃/60%で安定させる。

②納品方法 製造した製品を客先に納品する手段を組むことができるか。梱包材料・運搬便など。

③粉じん

外部からの埃・粉じんが作業部屋に持ち込まないよう留意できる構造とする。

④不良品処理方法 

⑤射出成形能力レベル

現地に射出成形機があり。量産作業が行われている場合、射出成形能力レベル(型変え・条件出し・不良時条件調調整など)の確認。

(5)訓練生受け入れ時の留意重要項目5つ

①訓練期間:十分技術を習得できる期間を設定する。②モノづくりに対する心構えを伝授する。納品期日、不良品対策など。

③業務命令伝達方法の統一化

 指示命令系統の一本化、不良発見時の報告方法。

④海外支店と国内本社間の技術用語相関確認確立

⑤射出成形機の取り扱い方法

 日々の業務終了後の成形機メンテナンス方法、チョコ停時の止め方、不良発生時の止め方と際成形時の立ち上げ方など。

H30/2018年 化学・高分子 Ⅲ−2 問題 模範解答と解説

問題文

Ⅲ-2 合成高分子はその基本的な材料特性を生かして、さまざまな製品あるいは部材に用いられ市場を拡大してきた。一方、競合する材料としては、天然高分子、金属、セラミックスなどがあり、合成高分子とこれらの材料はそれぞれ独自の市場を形成してきた。このような材料間の競争関係を考慮して以下の問いに答えよ。

(1)高度成長期を挟んで、昭和30年代初頭から現在に至るまでの我が国における市場ニーズの変化に対応して、合成高分子がどのように他材料を代替して市場に拡大してきたかについて概略を述べよ。

(2)現在我が国の社会を支えている重要分野の代表例として、自動車分野、ライフライン分野及び医療・ヘルスケア分野が考えられる。それぞれの分野において合成高分子が果たしている役割について、材料特性の観点を踏まえて、具体的に述べよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.6.27   専門事項 成形加工技術・加工

(1)合成高分子の他材料代替過程概略

①天然高分子

 置き換わった理由は「高機能」「大量生産」である。例えば木綿に代わってナイロンが衣服に使われる。この特徴は①吸湿性が低く早い乾燥・洗濯簡単②弾力性に富み、しわになりにくい③形くずれすることがない④薬品、油、海水に強い⑤カビ、虫の害がない。染色しやすく、安定大量生産できる。ポリエステル・アクリルなども使われ、今や繊維の7割以上が合成繊維である。そのほか、ゴムタイヤ・生活雑貨など合成高分子主役の世界は広がっている。

②金属

 最大の理由は「比重」である。例えば航空機は当初鋼板プレス(比重7.86)で形作られていたが、軽量化のためアルミ材(比重2.7)に置き換わった。さらに現在は合成高分子構造体である炭素繊維樹脂(比重1.5)に代替していくことで、市場を拡大している。

③セラミックス

「割れない」ことが第一の理由である。例えば食器。茶碗は落とせば破損してその場で使い物でなくなる。メラミンなどの合成高分子でできた樹脂食器は、落としても亀裂すら入らない。

(2)3分野にて合成高分子が果たしている役割

①自動車分野 

燃費向上・省エネルギー・化石燃料の節約に役立っている。例えばインストルメントパネル回り、バンパーなどである。バンパーは当初鋼材(比重7.86)であったが、二液反応性樹脂のポリウレタン(比重1.5)に変わった。次に熱可塑性樹脂のPP(比重0.9)に置き換わり、リサイクルによる資源循環も可能になった。

②ライフライン分野

 日本では主にエネルギー施設供給施設、交通施設、情報施設を「ライフライン」という。ライフラインで合成高分子が使われているものは、ポリエチレン水道管がある。一度設置すると100年の寿命と言われている。また電線には「耐熱絶縁性」が必要である。碍子はもちろんその性能があるが、破損しやすい。すべての電力と道となっている「電線」は合成高分子で被覆されているので安全・安定して電力配分している。

 合成高分子は今のライフラインを目立たないところでしっかりと支えている存在である。

③医療・ヘルスケア分野

 医療機器は一般分野では、シリンジ・採血管・輸液バッグ/セット各種チューブがある。冠状動脈や脳血管など治療を目的としたもの、人工心肺装置やダイアライザーのように臓器機能を代替するもの、ペースメーカー・人工血管,ステントのように埋込型人工臓器まで,非常に広範囲にわたる。この分野でも合成高分子はなくてはならないものである。デイスポーザブル化を支えてきたのはPE/PP/PVCに代表される熱可塑性樹脂の大量生産である。

(3)合成高分子を生かせる分野と技術課題

 選んだのは自動車分野である。理由は地球温暖化防止にもっとも必要な「二酸化炭素削減」に直結しているからである。

高分子製品としての技術課題は第1に「車体軽量化」、第2に「電気自動車電池の開発」である。

現在図1のように1㎞移動に必要なエネルギーは自動車が断然大きい。排出二酸化炭素を削減するために、ガソリン車から電気自動車へと変換が加速している。しかしながら、問題点をつぶしていき、変換してゆくには年月が必要である。

第一に合成高分子で車体軽量化すれば、動力源と関連性なく二酸化炭素排出量は抑えられる。航空機で実績を挙げている高分子製品を一般自動車に適応する。例えば、ボデーの炭素繊維樹脂化が挙げられる。

第二に優秀な合成高分子固体充填剤が開発されれば、電気自動車用電池充電時間は飛躍的に縮まる。かつ、1回の充電による走行距離は伸び、予備バッテリーを併用することで、長距離ドライブが可能となる。物流

による二酸化炭素も削減する。

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