R2年 建設部門、鋼構造及びコンクリートの答案について添削致しました。 20210114

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この答案についての講評

 この試験答案ⅠⅡⅢの評価はBBAで、Ⅱ+ⅢはBと惜しい評価でした。その理由として、Ⅱで前提条件にぴったりの提案ができず、一般的な対応になってしまっていたことがあげられます。また、Ⅲは難問にも関わらずA評価を取られ、実力は感じますが、BIMの本質的な事項が不足しており、Aの中でも高得点は取れていなかった可能性があります。これがB評価の原因と思われます。

 敗因について「専門知識の不足」を挙げる方がたくさんいらっしゃいます。しかし、技術士試験の答案の通りの知識をあらかじめ暗記しておくなどということは無理です。この問題のテーマ「既設構造物を使用しながら改築」は建設の現場経験を要する応用的な問題でした。技術士としての「技術応用」するには経験業務から選ぶ必要があります。しかしご経験がなくとも、おそらくこの方も具体的な対応練習をされていたら解答できたと思います。このような対応力は練習を重ねていけば、身につけられます。実際、講座の受講生様でそのように問題を変えられて正解されている方もいらっしゃいます。本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので、このようにどこがいけないかわからない、どう書いたら正解できるかわからない方に是非お勧めいたします。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(13分39秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題  Ⅰ-2 

(1) 老朽化対策に関する課題

1)点検・診断作業の省力化

 高度経済成長期に大量に建設された社会インフラが一斉に更新期を迎えている。一方で、社会インフラの多くを管理している市町村では、土木技術者がいない自治体が町では約3割、村では約6割に上っている。土木技術者が不足している自治体の観点から、点検・診断作業の省力化が課題である。

2)戦略的予防保全の推進

■戦略的予防保全とは何か。「戦略的」がダブリです。

つまりアセットマネジメントですか。

 我が国の維持管理は、老朽化インフラの劣化・損傷が大きくなってから対処する事後保全的な維持管理が中心である。対処の際には、補修・更新の設計、施工が大がかりになり、高コストとなっている。今後は老朽化インフラが急増するため、LCC削減と更新する構造物の更新時期を平準化していく必要がある。そのため、アセットマネジメントの観点から、戦略的予防保全の推進が課題である。

3)相互活用できる維持管理システムの構築

 高度経済成長期に集中的に整備された社会インフラの劣化・損傷の程度は、各地域、各施工条件により異なるため、多様で複雑化している。

■相互活用できる維持管理システムとはつまりどうすることか、ややあいまいです。目的だけでなく方策、方針に言及するようにしましょう。

そのため、各自治体の維持管理情報を定量的に収集し、自治体間で相互活用できるようにデータベース化し、プラットフォームを構築する必要がある。よって、多様で複雑化している劣化への対応の観点から、相互活用できる維持管理システムの構築が課題である。

(2) 最も重要と考える課題と解決策

 上述した課題のうち、点検・診断作業の省力化が最も重要であると考え、以下に解決策を示す。

1)ICT技術の活用

 ICT技術を活用する。ドローンやモニタリング技術などのICT技術を活用することで、従来では足場や高所作業車が必要であった点検作業を省力化できる。また、診断AIの活用により、人の作業の支援だけでなく、人の診断の支援を行うことで、さらなる省力化が期待できる。

2)CM方式の導入

 CM方式を導入する。CMRが自治体の補助者となることで、発注者側の体制不足を解消することができる。また、発注者支援型CM方式による民間技術者の経験・ノウハウを取り入れることで、発注者職員の技術力向上が期待できる。

3)社会インフラの選択と集中

 社会インフラの選択と集中を行う。インフラの重要度やストック効果の観点から、今後維持管理していくインフラを選択し、集中的に対策を講じることで、点検・診断作業の省力化を図る。また、地域住民の利用状況により、撤去でなく集約化することも有効である。

(3) 共通して新たに生じうるリスクと対応

1)共通して生じうるリスク

 ICT技術の活用による初期コストの増加、民間技術者派遣や社会インフラの選択と集中の仕組み整備に時間がかかる。そのため、上記対策を一斉に推進すると、普及しないリスクが新たに生じる。

■「普及しない」場合は、そもそも新たなリスクにならないことを理解しましょう。

2)リスク対策

リスク対策として、点検・診断作業を行う中小企業が共同出資して組合を作り、リースなどを行うことにより費用分担を図る。また、民間の専門技術者派遣や社会インフラの選択と集中の仕組み整備を早期に実現させるため、国と地方自治体でプラットフォームを構築し、人材派遣、基準や仕組みを整備していく。

(4) 業務遂行に当たり必要となる要件

1)技術者としての倫理

 社会インフラの維持管理では、技術者不足、財政難の中で膨大な社会インフラに対し業務を行うため、データ改ざんなどの不正が懸念される。業務遂行に当たり必要となる要件は、不正を行わないことである。

■維持管理とデータ改ざんではギャップがあります。

論理的に因果関係がつながるようにしましょう。

ISO9001の義務化、品質管理体制の構築が必要である。

2)社会の持続可能性

 社会を持続させるために必要となる要件は、安全・安心な社会資本を次世代に引き継ぐことである。そのため、人口減少社会を想定し都市構造を集約化することで、不要な社会インフラを撤去し、維持管理するインフラを選択と集中することで、次世代に引き継いでいくことが必要である。          以上

■新たにこのようなことをする、のではなく2の方策をやるだけで構わないです。だだ2のICT,CM,選択をやるのではなく、どうせやるなら社会の持続可能性も高めてするにはどうするかという問題ということを理解しましょう。

本講座ではこのような細かい意味、対照法について具体的に添削指導しています。

Ⅱ−1−4

 ①〜③に示すコンクリート構造物の劣化現象について1つを選択し、その劣化メカニズムを概説せよ。また、選択した劣化現象に対して、新設構造物の設計・施工における留意点、若しくは既設構造物の調査・診断、又は補修における留意点を説明せよ。

①   水分浸透を考慮した中性化による鋼材腐食

②   凍結防止剤散布環境下における凍害

③   アルカリシリカ反応

1.中性化の劣化メカニズム

 中性化とは、二酸化炭素がコンクリート表面から侵入し、水酸化カルシウムと炭酸化反応することで、炭酸カルシウムを生成し、pHが下がる現象である。pHが下がると、鋼材周囲の不動態被膜が破壊され、鉄筋が腐食する。鉄筋腐食が進行すると、コンクリート構造物の耐久性および耐荷性能に影響を及ぼす。

2.新設構造物の設計・施工における留意点

(1)設計における留意点

 設計の際には、現地条件(湿度条件、雨がかりの有無)などに留意する必要がある。上記条件を考慮し、水セメント比を小さくし、コンクリートを緻密化することで、中性化を抑制する。また、中性化の鋼材への到達を遅くするため、適切なかぶり厚さを確保する必要がある。水などの劣化因子による腐食を考慮し、ステンレス筋やエポキシ樹脂塗装鉄筋などの防食鉄筋を採用することも有効である。

(2)施工における留意点

 施工の際には、豆板などの初期欠陥は中性化を早める原因となるため、コンクリートの品質確保に留意する必要がある。そのため、施工時には、入念な締固めを実施するなど、新設コンクリートの品質向上を図る。また、水分浸透を抑制するため、表面被覆工法などの表面保護工法を施す。さらに、排水装置などの排水処置を適切に行うことも有効である。     以上

■十分です

Ⅱ-2-1

既設構造物を使用しながら、改築・増築、又は補修・補強に関する業務を行うこととなった。この業務を鋼構造あるいはコンクリートの技術に関わる担当責任者として進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。

(1)対象とする構造物を1つ挙げ、工事中の既設構造物の使用条件を設定し、業務の内容を明確にした上で、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順とその際に留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

 コンクリートに関わる技術者として以下に論述する。

(1)調査・検討すべき事項とその内容

 既設道路を夜間に通行規制して、その直下で打設するアンダーパスのコンクリートの打設責任者とした業務を想定する。

1)既設道路の交通状況

 既設道路の交通量や通行車両の種類などを調査し、覆工板が受ける影響やコンクリートの性状へ与える影響について検討する。

2)構造物条件

 構造物の配筋状況や配筋の過密度などを調査し、標準的な打込みや締固め方法で対応可能か検討する。また、特に配筋が過密な場合は、高流動コンクリートの採用を念頭に置き、検討する必要がある。

3)作業環境

 作業環境、作業時間、作業空間などの現地状況を調査し、作業環境について検討する。また、埋設物の有無などを確認し、近接施工の際に施工可能かについても検討する。

(2)業務を進める手順

1)施工計画

 上記の調査・検討事項を踏まえ、施工計画を立案する。また、施工時間に限りがあるため、高流動コンクリートを採用するなど、省力化を図る工夫を行う。

2)打設計画

■2は特別答案の前提条件と関係ない一般論となっています。

鋼コンの技術の視点からの提案をするようにしましょう。建設・施工ならOKです。

 施工計画を具現化するための打設計画を立案する。生コンの供給計画では、運搬時間や打重ね間隔の増大がないように留意する。GNSSを用いた運行管理システムを活用するなどの工夫を行う。

3)品質管理の実施

 コンクリートの品質管理を行うことによって、品質の精度を高める必要がある。また、夜間でもコンクリートの性状を確認できるようにするため、周辺環境に配慮しライトアップするなどの工夫が必要である。

(3)関係者との調整方策

1)発注者との調整方策

■このような手続きは必要ですが、しかし技術士がやる必要はないです。

 ここは試験官が、受験者がどのように巧みに対応してくれるか、技術者コンピテンシーを(黙って試している)測っているところです。 解答としては試験官が読み取りやすいように、プロマネの調整の本質を表すような意識が必要です。

 施工計画を計画する際には、 

確認を行う必要がある。また、高流動コンクリートなどへ発注仕様を変更する場合、発注者の承認が必である。そのため、仕様の変更で品質が向上するなどの施工実験などを行う。

2)協力会社との調整方策

 生コンプラントや下請会社の関係者と施工計画における留意点について協議、打合せを実施し、施工計画に反映する必要がある。 

3)地域住民などとの調整方策

 域住民や警察に対し、作業内容や作業時間などについて、個別に訪問し事前説明を行う。  

Ⅲ−1

 Ⅲ−1 国土交通省は,調査・測量から設計,施工,検査,維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスでICT等を活用する「i ―Construction」を推進し,建設現場の生産性を,2025年度までに2割向上させることを目指している。建設業で生産性を低下させている要因の1つとして,2次元の紙の図面で各種作業を進めていることが挙げられることから,建設生産・管理システムでも3次元モデルを利活用することで,全体の効率化・高度化を図る,いわゆるIM/CIMが生産性革命のエンジンとして推進されている。このような 状況を踏まえ,鋼構造あるいはコンクリートに関わる技術者の立場から以下の問いに答えよ。

(1)BIM/CIMの活用により生産性の向上が期待できる業務を1つ挙げよ。また,BIM/CIMを導入してその業務の生産性を向上させるために解決すべき課題を多面的な観点から抽出し,その内容を観点とともに示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前間(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

■この答案は1見して、1〜2ページとも良く書けて いるように 見えますが実は肝心な 内容が述べられていません。 あるのは一般論としての ITに対する取り組み姿勢だけであって、 建設の本質的な BIM/CIMに関する 技術応用が見られません。一応Ⅲ答案単独ではAでしたが、それが原因となってⅡ+ⅢではB評価となって、Aまで持ち上げることができなかったと思われます。

 コンクリートに関わる技術者として以下に論述する。

(1)BIM/CIMを活用する業務と課題

 BIM/CIMの活用により、生産性の向上が期待できる業務として、コンクリート橋脚の設計業務を想定し、以下に課題を示す。 

1)BIM/CIMに精通した技術者の不足 

 BIM/CIMの活用には、コンクリート技術に加えて、BIM/CIMに精通した技術者が必要である。しかし、従来のコンクリートに関する専門知識に加え、BIM/CIMの知識を取得するには、業務量が増加している中で、負担が大きくなる懸念がある。よって、BIM/CIMに精通した技術者の不足が課題である。

2)BIM/CIMの導入による初期コストの増加 

 BIM/CIMを活用するためのソフトの導入には、初期コストやメンテナンスコストがかかる。そのため、中小企業の経営を圧迫する懸念がある。よって、BIM/CIMの導入による初期コストの増加が課題である。

3)ICT依存によるトラブルの発生 

 BIM/CIMの活用が進み、ICT技術への依存が進むことで、システムエラーなどのトラブルが発生した場合、対応困難となる懸念がある。また、コンクリート橋脚の設計業務の作業工程の遅れは、橋梁上部工の工程遅延などの影響を及ぼす。よって、ICT依存によるトラブルの発生が課題である。

(2)最も重要と考える課題と解決策 

 上記課題のうち、最も重要と考える課題は、BIM/CIMに精通した技術者の不足である。なぜなら、建設業界全体として、担い手不足であるため、コンクリート技術に加え、BIM/CIMに精通した有能な技術者が必要である。また、BIM/CIMに精通した技術者不足では、BIM/CIMの活用が進まないからである。

1)民間活力の活用 

 民間活力を活用する。BIM/CIMの知識がない民間会社や技術者に対し、民間の建設コンサルタント会社の専門技術者を派遣し、民間会社の経験・ノウハウを伝承することで、BIM/CIMの知識を取得できる。また、建設業界内での人材育成を行うためには、BIM/CIMに関する研修会や講習会を開催することで、技術力向上を図る。

2)IT技術者の活用 

 IT技術者を活用する。建設業界外からIT技術者を獲得することで、BIM/CIMに精通した技術者不足の解消を図る。また、コンクリート構造物は一品毎に仕様が異なるため、コンクリート部材の規格の標準化を進め、IT技術者でもBIM/CIMを活用しやすく簡略化を図る必要がある。

(3)共通して生じうるリスクと対策 

1)他業種への移動

 民間の専門技術者の派遣やIT技術者の活用により、コンクリート技術に加え、BIM/CIMに精通した有能な建設技術者となる。そのため、労働環境が良い建設業界外の他業種に移動してしまうリスクが新たに生じる。

 対策として、建設業界を労働環境が良い魅力ある環境にしていく必要がある。そのためには、設計業務の省力化を進めていく必要がある。コンクリート橋脚の設計業務では、ハーフプレキャスト化による規格部材の採用による設計の簡略化や性能規定方式の積極的な採用により設計の省力化が図れる。

■リスクも一見よさそうに見えます。しかしよく考えてみるとBIM/CIMと関係ないことです。

2)コストの増大

 民間の専門技術者の派遣回数や研修会、講習会の開催数の増加、IT技術者の人材獲得の費用増加により、コストが増加する懸念がある。そのため、将来的なコストの増加がリスクとして新たに生じる。

 対策として、官民連携したプラットフォームを構築する必要がある。プラットフォームを構築することで、民間会社の費用負担だけでなく、国と民間会社で費用分担を図ることができる。また、プラットフォームにおける専門技術者を人材派遣するなど、積極的に行うことで、更なる推進が図れる。

R2年 建設部門、施工計画、施工設備及び積算の答案について添削致しました。 20210114

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この答案についての講評

この試験答案ⅠⅡⅢの評価はACAで、Ⅱ+ⅢはBと何とも惜しい評価でした。その理由としてⅡで前提条件に合わせて提案ができていなかったことがあげられます。これがC評価の原因と思われます。軟弱地盤での深さ20m掘削というめったにない難工事に対して、書かれているのは、他の現場でも通用する、いわば市街地工事の基本的事項であったため解答の方向性を誤った可能性もあります。

 敗因について「専門知識の不足」を挙げる方がたくさんいらっしゃいます。しかし、技術士試験の答案の通りの知識をあらかじめ暗記しておくなどということは無理です。このⅡ問題の難工事対策は特殊な経験問題でした。技術士としての「技術応用」するには経験業務から選ぶ必要があります。おそらくこの方もⅡ-2-2ではなくⅡ-2-1(河川の橋脚)を選択されたら具体的に提案が可能だったかと思います。このような対応力は練習を重ねていけば、身につけられます。実際、講座の受講生様でそのように問題を変えられて正解されている方もいらっしゃいます。本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので、このようにどこがいけないかわからない、どう書いたら正解できるかわからない方に是非お勧めいたします。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(21分44秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題  Ⅰ-2 

 我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速的に高くなる見込みであり、急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また、高度経済成長期と比べて、我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。こうした状況下で、社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)  社会・経済情勢が変化する中で、老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通した新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

(1)老朽化する社会インフラの戦略的メンテナンスを推進するための課題

1)課題①:社会インフラ長寿命化に向けた維持管理

 一斉に老朽化する社会インフラを、長寿命化に向けて維持管理を実施することが課題と考える。

 今後20年の内に一斉に老朽化する社会インフラが膨大で広域に存在するため、メンテナンスにかかる人材や資金面で困難になるからである。

2)課題②:社会インフラプラットフォームの構築

 社会インフラの基本情報を取りまとめることが出来るプラットフォームを構築することが課題と考える。

 地方公共団体や関係機関などの管理・運営をする多くの施設のデータの整備ができていない。そのため、効果的なメンテナンスの実施ができていないからである。

3)課題③:人材確保に向けた働き方改革の推進

 人材確保に向けた働き方改革を推進していくことが課題と考える。

■担い手確保はメンテナンスと直接の関係はないことを理解しましょう。

 建設業は、他の産業と比較して約100時間も長く、多くの建設現場では4週4休のため休日日数も少ない。そのため、新規入職者減少などにより、適切なメンテナンスを実施できないからである。

(2)最も重要と考える課題と複数の解決策

1)最も重要と考える課題

「課題①:社会インフラ長寿命化に向けた維持管理」と考える。

 適切な維持管理が出来なければ、更新工事を実施することになる。その更新工事により、長期間利用不可能や利用制限になり、地域の利便性減少や経済活動などの阻害をするからである。

2)複数の解決策

a)解決策①:メンテナンスサイクルの構築

■解決策の内容が◎なので評価されました。

 社会インフラ個別ごとのメンテナンスサイクルを構築することが解決策と考える。

 点検・診断、修繕・記録のサイクルを回すことで、社会インフラの状態を把握することができ、適切なメンテナンスを実施することができるからである。

b)解決策②:ICT技術の維持管理現場への導入

 ドローンなどのICT技術を維持管理現場へ積極的に導入することが解決策と考える。

 従来、人が作業車両を使用して、高所などで近接目視や打音検査を実施していた。それをドローンなどがなり替わることで、省人化や省力化、安全性向上などの効率向上を図ることができるからである。

C)解決策③:予防保全型管理への転換

 多くの施設が取り入れている事後保全から予防保全へ転換することが解決策と考える。

 施設の機能が低下する前に修繕を実施することで、大掛かりな人材や資金などをつぎ込む必要が無く、コストや人材、施設の機能をバランス良く管理できるからである。

(3)新たに生じうるリスクとそれへの対策

1)新たに生じうるリスク

 老朽化する社会インフラが膨大で広域に存在するため、「様々な解決策を講じる技術者に対して、より高度な技術と知見を求められること」が新たに生じうるリスクである。

2)新たに生じうるリスクへの対策

■技術者に対して高い技術を求められることはリスクではないので意味が違います。リスクとは、将来いずれかの時に起こる不確定な事象とその影響、という意味です。日本語においては、何か悪い事が起こる可能性、予想通りにいかない危険、危機が生じる度合いなど「危険」や「危機」をさすことが多いが、悪い事象そのものだけではなく可能性を含めた意味があります。つまり「不確定な要素を事前に測定できるもの」と定義されます。

 人材の育成・確保をすることが対策と考える。OJTやOFF-JT、E-ラーニングなどを活用することでスペシャリストを確保することができる。また、認定資格制度を活用することが対策と考える。その資格により、人材を適正に評価することができ、スキルアップやモチベーションの向上を図ることで、定着率の向上につながるからである。

(4)業務として遂行するに当たり必要となる要件

1)技術者としての倫理

 公衆の利益の優先、法令順守などを理解し、技術者としての信条を築き、アイデンティティを構築することが必要となる要件である。

2)社会の持続的可能性

 日々進歩する技術を社会のニーズに適合させて、循環型社会を構築して、地球環境の保全に努めることが必要な要件である。

Ⅱ−1−3

 市街地における橋梁下部工の施工計画に当たり、施工の安全を確保するために必要な検討事項を3つ挙げ、それぞれについて技術上の留意点及び施工上必要な措置等を具体的に述べよ。

(1)施工の安全を確保するために必要な検討事項

1)墜落・転落災害防止対策

2)建設機械・クレーン災害防止対策

3)倒壊・崩壊災害防止対策

(2)技術上の留意点及び施工上必要な措置など

1)狭い土地を有効活用するために、高層化や大深度化になりやすい。そのため、建設現場では高所作業が発生する。作業床を設置する仮設足場には、手摺先行型足場を使用することや、欧米では標準であるフルハーネス型安全帯を使用する。

■OKです問題ありません。

2)建設機械やクレーン災害の操作は、主にヒトが行っているため、誤操作や機械の死角に立ち入るなどの人的要因により災害が発生する。人感センサーなどを建設機械に装着させて作業員が近づくと警報がなるなどのICT技術を活用することで災害を防止する。

3)熟練した技術者の不足により、経験の浅い技術者が仮設構造物の立案をすることで、計算違いや見込み違いなどにより、災害が発生する。

 仮設足場などでは、水平力の計算をしっかりとしたり、地下水位が高い土留壁では地下水位を低下させたり、薬液注入を実施する。地盤の強度が不足している場合には地盤改良工を実施して地盤を固める。

Ⅱ−2−2

 既設市街地内の幹線道路下で、新駅工事(延長約200m、幅約25m、深さ約20m、掘削土総量約10万m3・沖積土層)が開削工法(ソイルセメント柱列式地下連続工法)により計画されている。本工事は、掘削は約1年間で完了し、発生土は道路や河川堤防事業等の他事業に搬出。再利用する計画となっているが、受け入れ先の状況・条件に合わせた適切な搬出計画とする必要がある。以上を踏まえて、本工事の担当責任者として、発生土の処分に関する業務に当たり、以下の内容について記述せよ。

(1)調査・検討すべき事項(関係者との調整事項は除く)のうち業務の特性を踏まえて重要なものを2つ挙げ,その内容について説明せよ。

(2)業務の手順を述べた上で,業務を管理する際に留意すべき点,工夫を要する点について述べよ。

(3)業務において必要な関係者との調整事項を1つ挙げ,業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

(1)調査・検討すべき事項

1)事項①:地質調査

 下水位の高さ、土の性質や地盤支持力、圧密沈下量、地層などを確認するための調査である。

2)事項②:占用物調査 

 架空線や埋設物などの工事に支障する占用物の有無を図面や現地で確認するための調査である

■前提事項として示された現場の特性に対して応えるようにしましょう。

他の現場でも通用する、いわば「便利な答え」ではなく、真の解答を提案しましょう

(2)業務の手順

1)準備工:安全性の高い効率の良い作業帯の確保 

 掘削時や連続壁造成時に使用する建設機械やクレーンなどが効率的に作業できる作業帯を計画する。その際に、作業に使用する資機材の仮置場や運搬の大型車両の退避場などの点に留意する。また、搬入車両が道路に駐停車しない様に、間口を食い込んで設置するなどの工夫が必要である。 

2)掘削工:土留工が存在する中での効率の良い掘削環境の確保 

 掘削幅が約25mで、掘削深さも約20mあるため、土留支保工と中間杭の計画が必要になる。その中で、掘削時に土留支保工や中間杭が支障するため、機械を路下内に投入して掘削・集土を行わなければならない。そのため、機械が排出した排気ガスが路下内に充満しない様に排気設備の設置などの点に留意する。また、土留支保工の切梁・腹起しをサイズアップする。それにより、切梁設置位置を広くとることができるなどの工夫が必要である。 

3)運搬工:手待期間などがない効率的な搬出計画 

市街地内での掘削なので地元住民との協議が必要になる。搬出可能時間や、搬出可能台数などの取り決めが重要である。

■余白が小さいにもかかわらずC評価だったということは、大変厳しいことですが、この答案が答えとしてテーブルに乗っていないと考えざるを得ません。

Ⅲ−1

 我が国は人口減少局面にあることに加え、総人口に占める高齢者の割合は増加しており、他国も経験したことのない超高齢化社会を迎えようとしている。こうしたなか、全国平均に比べて早い時期から高齢化が進行している過疎地域では、今後の地域社会の維持管理・継続が困難になる事態が多数発生すると危惧されている。このような状況を踏まえ、施工計画・施工設備及び積算分野の技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)過疎化が進行しつつある地域におけるインフラの維持管理・更新を実施するに当たって,多面的な観点から課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示した解決策の実施に際して生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

(1)過疎化が進行しつつある地域におけるインフラの維持管理・更新を実施する上での課題

1)課題①:社会インフラ長寿命化に向けた維持管理

 一斉に老朽化が進行する社会インフラが膨大で広域にあるため長寿命化に向けた維持管理が課題と考える。

 高度経済成長期に集中的に整備されたので、今後20年のうちに社会ンフラが老朽化する。そのため、メンテナンスにかかる人材や費用面などが困難になるからである。

■問題趣旨そのものに近いです。問いと同じでは答えにならないことを理解しましょう。

2)課題②:社会インフラストック効果の発揮

 コンパクト化など、社会インフラが人口減少社会に対して対応していくことが課題と考える。

 地方部での過疎化や都市のスポンジ化などで、コンパクト化やネットワーク化などで対応していかなければ、地域住民の生活環境サービスを維持していけないからである。

3)課題③:人材確保に向けた働き方改革の促進

 建設業の維持管理を実施する人材を確保するための働き方改革を促進していくことが課題と考える。

 建設業は、年間総労働時間は約2,050時間であり、他の産業の約1,950時間と比較して約100時間も長い。また、建設現場の多くは4週4休であり、労働者の多くも日給月給制のため休日も取得しにくいからである。

■理由は求められていないので、ややくどくなっています。それより課題を述べましょう。

(2)最も重要と考える課題と複数の解決策

1)最も重要と考える課題

「課題①:社会インフラ長寿命化に向けた維持管理」と考える。

 切な維持管理がしていかなければ、更新工事をしなければならない。その工事により、長期間利用不可能になったり、利用制限がかかる。それにより地域の利便性減少や経済活動などの阻害になるからである。

■理由は求められていません。重要ではないし、難しくないため。

2)複数の解決策

■解決策を力説されたので、A評価につながったと思います。

a)解決策①:メンテナンスサイクルの構築

 社会インフラ個別ごとのメンテナンスサイクルを構築することが解決策と考える。

 点検・診断、修繕・記録のサイクルを回すことで、社会インフラの状態を把握することができ、適切なメンテナンスを実施することができるからである。

b)解決策②:ICT技術の維持管理現場への導入

 ドローンなどのICT技術を維持管理現場へ積極的に導入することが解決策と考える。

 従来、人が作業車両を使用して、高所などで近接目視や打音検査を実施していた。それをドローンなどがなり替わることで、省人化や省力化、安全性向上などの効率向上を図ることができるからである。

C)解決策③:予防保全型管理への転換

 多くの施設が取り入れている事後保全から予防保全へ転換することが解決策と考える。

 施設の機能が低下する前に修繕を実施することで、大掛かりな人材や資金などをつぎ込む必要が無く、コストや人材、施設の機能をバランス良く管理できるからである。

(3)新たに生じうるリスクとそれへの対策

1)新たに生じうるリスク

 超高齢化社会を迎えることにより、社会保障費の増加や、人口減少に伴い労働人口の減少により税収減などの要因で、「社会インフラ長寿命化に向けた維持管理を講じうるための事業の予算の確保」が新たに生じうるリスクである。

■見積もり段階ですぐわかることであり、正しいリスクと言えないことを理解しましょう。

2)新たに生じうるリスクへの対策

 PPP/PFIを活用することが対策と考える。民間企業の経営ノウハウや資金を活用することで、国や地方自治体の事業のコスト削減を図れるからである。また、法令などで制度化することが対策と考える。制度化することで強制力を持たすことができるため、ICT建機などの購入費用の補助や、AIによる解析システムの導入補助をすることが可能になり、利用促進を図ることができ、生産性向上につながるからである。

R2年 建設部門、道路の答案について添削致しました。20201031

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この答案についての講評

 この答案Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの評価はすべてAでした。答案の内容については本来は何も申し上げることはないのですが、ここの答案ではまだ改善できるところは見受けられます。今回は良かったですが、油断すると減点される危険性がないとは言えません。こうした出題者が要求する答えの中心について、いつも的確に答えることが楽勝の合格法かと考えます。本講座では無駄な記述を無くすことにより、簡潔な文章で正解の本質を鋭く突く論述をお勧めしています。これをすることによって答えが発散することなく、間違いなく正解にたどり着けるということです。このHPの添削の中では残念ながらすべての正解をお示しすることはできませんが、受講された方に対してはマンツーマン方式で丁寧にご説明しておりますのでご安心ください。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(31分45秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題  Ⅰ-2 

 我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速度的に高くなる見込みであり、急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また、高度経済成長期と比べて、我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。こうした状況下で、社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)社会・経済情勢が変化する中、老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての論理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

■この添削は、合格評価が出る前に、口頭試験対策の一環として行ったため、多少厳しいものとなっています。答案によっては、口頭試験前に対策を要する場合もあるからです。ご了承願います。

社会インフラの戦略的なメンテナンスについて

1.多面的な課題の抽出と分析

(1)いかに人材不足の状況下で維持管理するか

 建設就業者の推計では、2023 年までに21万人の人材が不足する。また、地方自治体の土木部門の職員数は、2005年度から2018年度までに約14%減少。この減少は、今後も確実に進行していく。

 このため、進行する人材不足の状況下で、いかに維持管理するかが、特に重要な課題の一つである。

■維持管理の問題を指摘するだけでなく、その解決方向について方針を示すようにするとさらに良くなるでしょう。

(2)いかにメンテナンスコストを抑えるか

 高度成長期以降、大量に建設された社会資本の老朽化が進行。例えば、72万橋ある道路橋では、2033年に63%が建設後50年以上を経過し、維持・更新が必要。

 このため、今後増大する維持・更新費の縮減のため、いかにメンテナンスコストを抑えるかが課題である。

(3)いかに維持・更新の優先順位を付けるか

 建設工事費に占める維持・修繕工事費の割合は増加傾向にあり、2017年度は約30%。今後も老朽化対策や耐震化等により、財政需要が一層高まる

 このため、建設部門の限られた財源の中で、いかに維持・更新の優先順位を付けるかが課題である

2.最も重要な課題

 前述より、進行する人口減少を踏まえ、1)いかに人材不足の状況下で維持管理するかを最も重要な課題として選び、以下に解決策を述べる。

3.解決策

(1)予防保全への転換

■解決策は「予防保全」の1つだけでなく、他にも挙げてみましょう。内容的にも具体性に述べましょう。

 これまでの「事後保全」は、損傷や劣化が著しく、補修の設計や施工が大がかりであった。このため、早めにこまめに補修し、構造物の寿命を延ばす「予防保全」に転換する。計画的に維持・更新することで、施工の平準化が図られる。

 また、予防保全に切り替えることで、維持・更新費の将来推計については、2018年から30年間で3割削減できる。

(2)新技術の活用

 新技術を活用して、維持・更新の高度化・効率化を図る。例えば、近年進歩が著しいドローン等に、小型カメラを搭載する。その画像を近接目視点検に代替えする。

■一言で新技術だけでは表現しきれないことを理解しましょう。ドローンの一例ではなく、汎用的な広い視点での対応姿勢を表現しましょう。

 また、測量・調査から設計、施工、維持管理に至る建設生産プロセス全体で得られたデータを集約・共有・活用し、効率性等を高める。

(3)地方自治体間の連携や国による支援

 「道路や河川の維持管理を包括的民間委託」や「都道府県と市区町村の業務を共同発注」等により、契約から施工管理・検査までの合理化を図る。

 また、国から地方自治体への技術者派遣等、人的支援を行う。さらに、産学官民の技術や知識を総動員する体制を強化する

■産学官民では他力本願的な印象を与えますので、具体的な社会ニーズをとらえたビジネスとして成立しやすい提案をしましょう。

4.新たに生じうるリスクとその対策

 維持管理の高度化・効率化等により、人材不足を上回る生産性の向上が図られる効果がある。

(1)リスク

 防災・減災対策等の社会資本整備を進めることで、今後も維持管理の負担は増え続けるリスクがある。

■提案内容に由来するリスクを答えるようにしましょう。

2)対策

 今後、新たな構造物は、維持管理の負担が減るよう設計段階から考慮する。例えば、エポキシ樹脂塗装鉄筋を使用した高耐久対策の桟橋上部工等、フロントローディングにより事業を進める。

 また、測量・調査から維持管理までICT技術を活用する。i-Constructionの推進により効率化を図る。

5.業務遂行に当たり必要となる要件

(1)技術者倫理の観点

■予防保全に「損傷による公衆への危害を防ぐ効果」まであるかどうか疑問です。

また、ここは提案内容の遂行をただ単に効率的にするのではなく、2つの観点を高めるものです。1の解答は提案内容の結果の効果になっているので、自身が遂行する上での要件を答えるようにしましょう。

 損傷してから措置する事後保全と異なり、予防保全は、損傷による公衆への危害を防ぐ効果もある。これは、公衆の安全の最優先に相当し、「公衆の利益の優先」技術士倫理綱領第一条に適合する。

(2)社会の持続可能性の観点

 新技術の活用・高度化で、誰もが安全に使えるシステムを備え、若手・女性技術者、外国人労働者の就労を促す。これにより、全労働者に安全・安心な労働環境の提供が可能となる。これは、SDGsの8.8「あらゆる人々の活躍の推進」に該当する。 

■流れは良いですが、新技術でどうして、若手・女性となるのか、その根拠を明確にするようにしましょう。SDGsの8.8と根拠を示したのは素晴らしいです。

Ⅱ−1−2

令和 2 年 5 月の道路法改正により創設された歩行者利便増進道路の概要を述ベよ。また,それにより期待される効果を説明せよ。

1.歩行者利便増進道路の概要

 都市部の道路では、バイパスの整備等により、自動車交通量が減少してきている。一方、コンパクトシティの進展等により、歩行者交通量の増加が生じている。このため、歩行者を中心とした道路空間の再構築が必要な状況にある。

■概要とは、意味、ねらい、しくみなど簡潔に述べるようにしましょう。

見識のチェックが行われますのでここでは求められている「効果」が主体となるように書くとよいでしょう。

 これまで、運用上の対応として、京都市の四条通や仙台市の青葉通等、賑わい空間の創出に取り組んでいる事例もある。しかし、道路法上は、あくまで歩道等であり、「賑わいを目的とした空間」の位置付けがなかった。このため、警察等の関係機関との調整・協議に苦慮する等の課題があった。

 その解決策として、歩行者利便増進道路が制度化された。この制度は、歩行者の安全かつ円滑な通行及び利便の増進を図り、快適な生活環境の確保と地域の活力の創造に資する道路を道路管理者が指定する。

2.歩行者利便増進道路により期待される効果

 歩行者利便増進道路は、地域を豊かにする歩行者中心の道路空間を構築する道路を指定する。指定道路では、歩道等の中に歩行者の滞留・賑わい空間を整備することが可能となる。

■道路の指定や↓下記のような付随的効果が主体となっております。出題者が求めている「効果」を力説するようにしましょう。

 さらに、カフェやベンチの設置等、無余地性に関する占用基準を除外される。また、最長20年の占用が可能で、多額の初期投資が必要な物件も設置しやすくなる。

Ⅱ−2−2

道路の地下空間には様々な占用物件が埋設されているが,近年,占用物件の老朽化に起因する路面陥没や上水道の断水といった事象が発生し,問題となっている。これらの事象を踏まえ,市街地での舗装修繕工事の計画を立案し実施する担当責任者として,下記の内容について記述せよ。

(1)調査・検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順と,その際に留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的・効果的に進めるための,関係者との調整方策について述べよ。

老朽化した占用物件を考慮した舗装修繕計画・工事

1.調査、検討すべき事項とその内容

(1)調査事項

①舗装

 舗装の健全度について、路面性状調査により舗装の平坦性やひび割れ、わだち堀れを調べる。

占用物件のことではなく、主体である舗装修繕のことについて調べるようにしましょう。

 地下占用物件の経年状況や修繕・更新計画について、各占用物件管理者に照会する。

(2)検討事項

①舗装

 路面性状調査により得たMCI(維持管理指数)に基づき、舗装修繕を行う路線の優先度を検討する。

②占用物件

 各地下占用物件の修繕・更新計画を重ね合わせ、路線毎に掘り返し予定時期をまとめる。

2.業務を進める手順および留意点と工夫

(1)調査、分析

①舗装

 限られた予算の中で、効果的な調査を行うため、重要物流道路や主要幹線道路等、重交通量が多く舗装疲労が起きやすい路線を優先するよう留意する。

■一般的原則に留まっています。具体的な舗装改善の方法を提案しましょう。

②占用物件

 各占用物件管理者からの回答は、道路台帳システムにデータを追加してもらうよう工夫する。各占用物件を一元的に管理でき、効率的だからである。

■「手順」の説明を優先するようにしましょう。

(2)検討

 MCI等により舗装修繕計画を検討する。この時、占用物件の掘り返し時期と比べ、舗装修繕後まもない掘り返しにならないよう留意する。

(3)工事

 各占用物件の修繕・更新工事を先行させる場合、工期短縮を図るため、共同施工となるよう工夫する。

■主題と関係が高いことに集中した議論をするようにしましょう。

(4)効果検証と改善

 MCIの予測値と経年の実査値を比較・評価し、実査値が著しく低い場合は、修繕を前倒すよう改善する。

3.関係者との調整方策

(1)交通管理者との協議

 工事中の交通規制形態について、分かりやすい資料を準備し、綿密に協議を行う。

(2)各占用物件管理者との協議

 舗装修繕計画を提示し、舗装修繕後の掘り返し禁止を周知・徹底させる。 

■分かり易い資料、常識レベルではなく、業者間の難問を解く技術的提案をするようにしましょう。プロマネの経験を表すと良いでしょう。

■末尾の「以上」は多くの方々が記載されていますが、無くて構いません。

以上

Ⅲ−2

甚大な被害をもたらした東日本大震災から9年が経過したが,その後も,大きな地震や集中的な豪雨,豪雪による甚大な災害が発生しており,また今後も首都直下地震や南海トラフ巨大地震が高い確率で発生することが予想されてい。るこのような状況を踏まえ,道路の防災対策に携わる技術者として,以下の問に答えよ。

(1)激甚化・頻発化する災害に備え,道路が発災時に救命救急・復旧活動や広域的な物資の輸送等に貢献し続けるため,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行した上で生じる波及効果と,新たな懸案事項への対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

激甚化・頻発化する災害に備えた道路の防災対策

1.多面的な課題の抽出と分析 

(1)いかに大規模災害時に機能を保持させるか

 近年、相次ぐ大規模災害で、緊急輸送道路の橋梁等が損壊し、通行止めが発生。迅速で円滑な救援物資の輸送等に支障が生じている。

問題の指摘だけでなく、解決方向の議論をするようにしましょう。

 このため、大規模災害時において、いかに道路機能を保持させるかが重要な課題である。

(2)いかに日頃から維持管理するか

 高度成長期以降、大量に建設された道路橋の老朽化が進行。約72万橋のうち、2033年に63%が建設後50年以上を経過し、今後、維持更新が必要となる。

 このため、多くの老朽化した橋等の道路施設を、いかに日頃から維持管理するかが課題である。

(3)いかに防災対策の優先順位を付けるか

 道路工事費に占める維持・修繕工事費の割合は増加傾向にある。今後の老朽化対策や耐震化等により、財政需要が一層高まる。

 このため、限られた道路予算の中で、いかに防災対策の優先順位を付けるかが課題である。

2.最も重要な課題

 前述より、(1)いかに大規模災害時に機能を保持させるかを最も重要な課題として取り上げる。なぜなら、道路は大災害時の生命線になるからである。その解決策を次に述べる。

3.解決策

(1)リダンダンシー(多重性)の確保

 東日本大震災では、被災により太平洋側の高速道路が通行止め。その代替えに、日本海側の幹線道路網が、物資輸送等の機能を果たした。このことを踏まえ、次により高速道路等の多重性確保を図る。

①  高速道路のミッシングリンク解消

 費用対効果分析に防災・減災効果を盛り込み、未整備区間約2,100kmを早期に整備する。

■予算制約のあるので、コストダウンしながら実現する提案をすると良いでしょう。

②新たな広域道路ネットワークの整備

 高速道路を補完する新たな広域道路網を定め、早期に整備を進める。

(2)道路の耐震対策

 大規模地震時には、道路橋等の損壊を防ぎ、物資等の輸送ルートを確保する必要がある。このことを踏まえ、次により緊急輸送道路を優先して、耐震化を図る。

①橋梁の耐震化

 レベル2地震動でも、通行機能を保持するため、落橋防止装置の設置やロッキング橋脚の補強、支承の補強・交換等、橋梁の耐震化を進める。

②  無電柱化

 地震や強風で電柱が道路に倒壊するリスクを排除すため、電線等を地中化し、無電柱化を図る。

■無電柱化は防災になりますが、その逆は論理的に無理があります。無電柱化のコストを考えてみましょう。

3)防災機能の強化

 東日本大震災復興のかさ上げ道路は、通行機能のほか、津波防御の機能を付加。このことを踏まえ、次により「賢く投資」し、ストック効果を高める。

■前置きは不要です。単刀直入に必要な事項を書くようにしましょう。

①沿岸部の盛土形式での道路整備

 盛土形式の道路により、大規模な津波や高潮に対する堤防機能を持たせる。法尻等を補強し、津波による法面流出等の被災を予防しておく。

②防災機能を持つ「道の駅」の整備

 救援物資の中継・分配機能や災害医療支援機能等を併せ持つ、「防災道の駅」を整備する。

4.波及効果と新たな懸念事項および対策

(1)波及効果

 発災時の多重性の確保や耐震対策、防災機能の強化により、道路の耐災害性が高まる効果がある。

■分かり易い話なので、技術士の分析とは考えにくいです。波及とは水に投げた石で輪を描いて波が広がるように、物事の影響が一点から段々に他に及ぶことであり、ここではそのように発展的な推論が求められています。

(2)懸念事項

 防災対策のための新たな整備により、将来的な維持管理の負担が増大するリスクが生じる。

■材料の方策と計画法では、論理的に飛躍がありますので、因果関係がわかるように地道な説明をしてください。

(3)対策

 新たな構造物は、維持管理の負担が減るよう設計段階から考慮する。例えば、エポキシ樹脂塗装鉄筋を使用した高耐久対策の橋梁上部工等、フロントローディングにより事業を進める。 

 また、測量から維持管理までの全てのプロセスで、ICT技術を活用する。i-Constructionの推進により、人材不足を上回る生産性向上を図るとともに、トータルコストを抑える。              以上

■ICT、i-Constructionだけでは情報工学の提案ですので、専門外になる危険があります。建設部門 道路の技術提案で中身の議論をするようにしましょう。 

R2年 建設部門、施工計画、施工設備及び積算の答案について添削致しました。 20201029

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この答案についての講評

この試験答案ⅠⅡⅢの評価はAABという評価でした。その理由としてⅢで明確に課題を定義できず、そのため解決策が発散したことがあげられます。これがB評価の原因と思われます。課題の分析で多用されている「いかに・・する」という定型文は、問題の難しさを再確認するだけで、真の課題を見え無くしていますので、問題の本質に向かうようにされると良いでしょう。このような分析が甘いという弱点は、ⅢだけでなくⅠ、Ⅱ-2でも見られ、論述する上での弱点のように拝見いたしますので、改善が可能です。

 敗因について「専門知識の不足」を挙げる方がたくさんいらっしゃいます。しかし、技術士試験の答案の通りの知識をあらかじめ暗記しておくなどということは無理です。このⅢ問題の公共工事品確対策は経験と共に合理的に考えることを要する問題でした。このような対応力は練習を重ねていけば、身につけられます。実際、講座の受講生様でそのように問題を変えられて正解されている方もいらっしゃいます。本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので、このようにどこがいけないかわからない、どう書いたら正解できるかわからない方に是非お勧めいたします。

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問題  Ⅰ-2 

 我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速的に高くなる見込みであり、急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また、高度経済成長期と比べて、我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。こうした状況下で、社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)  社会・経済情勢が変化する中で、老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通した新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

1.課題の抽出

 以下に多面的な観点から課題を抽出し、分析する

■前置きは不要です。

(1)いかに効率よく維持管理を進める

■これは出題趣旨そのものになっています。

 高度経済成長期に集中的に整備された社会インフラは建設後50年以上を経過するものの割合が増加し、老朽化や不具合が顕在化してきている。また、わが国の社会・経済情勢も大きく変化し、少子高齢化による働き手の不足、財政不足による予算の確保困難といった状況にある。このような現状において、社会インフラによってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、ストック効果を最大限発揮させることが重要であるとの観点から、いかに効率よく維持管理を進めるかが重要である

 主題の追認、確認のような内容は△になります。技術士としての提案を考えましょう。

(2)いかに新技術を開発するか

 上述のように働き手の数が不足するため、それをカバーする方策が必要であるという観点から、なるべく人に頼らない技術を開発することが必要である。開発支援や実証フィールドの提供といった方が求められる。  ↑間接的、消極的になっています。 積極的な姿勢で提案をするようにしましょう

(3)いかに都市の集約化を進めるか

 高度経済成長期には広範囲に渡って社会インフラが整備された。源不足により限られた予算でこれらの維持管理を行わなくてはならないという観点から、余計な手間や費用をかけないように対象を絞り込み、分散した都市を集約させることが必要である。

■考え方はわかりますが、つまりはコストダウンの基本的な取り組みに留まっており、建設部門施工としてどのような意味があるのか疑問です。本来は専門家として技術応用の視点からダウンのテクニックをプレゼンをするのが大切です。

2.最も重要な課題

 前述の課題の中から最も重要な課題として、いかに効率よく維持管理を進めるかを取り上げる

3.解決策

(1)選択と集中

①ストック効果を算出

 安全・安心、生活の質の向上、生産性向上といったストック効果を定量化し、選択の指標する。

■政策議論ではなく、コンサルタントとして実現可能な提案をするようにしましょう。

②優先順位の設定

 地域ごとの人口推移や経済活動の状況などをモニタリングし、必要な社会資本ストックに優先順位を設定することにより、選択と集中を徹底する。

■「選択と集中」の説明が冗長です。選択や意思決定ではなく、求めているのは「メンテナンス」ということを理解しましょう。

③廃止や廃棄

 地方では、場合によっては使用中止や廃棄、廃止となる構造物も現れる。代替手段の確保や地元住民への丁寧な説明が重要となる。

(2)予防保全

①確実なメンテナンスサイクルの実施

 2015年から社会インフラの5年に一度の点検が義務付けられ、現在2巡目を迎えている。点検・診断・措置・記録といったメンテナンスサイクルを確実に実施することによって、施設に不具合が起きてから対策を行う事後保全から、施設に不具合が生じる前に対策を行う予防保全に転換して効率的な維持管理を行う。

■「予防保全」は主題にほぼイコールです。これを具体的に①〜③の項目で提案しましょう。

(3)新技術の活用 

■↑単に新技術では△になります。

①ICTの活用

 ドローンによる点検により、作業を効率よく安全に行える。また、各種センサーで計測したデータをリアルタイムに送信することで、これまで人が目視で確認してきた劣化の情報を継続して収集・分析でき、データベース化も可能となる。

デジタルトランスフォーメーション(DX)

 技術が進展しており、AI、ビックデータ、5Gといった新たな潮流が起こっている。建設部門においても、これらのデジタル技術やデータの活用を推進することにより業務の進め方を革新的に変化させ、社会インフラ維持管理の効率化を図る。

■「予防保全」は主題にほぼイコールです。これを具体的に①〜③の項目で提案しましょう。

4.新たに生じうるリスクと対策

■もっと大きなリスク、深い答えを提案しましょう。試験でリスクを推論させられている理由は何かを考えてみましょう。

(1)新たなリスク

 省力化や機械化、AIの活用、業務の効率化などが進むことで、若手技術者の技術力低下や、限られた条件への対応能力低下が懸念される。

(2)対策

対策として、一定の教育や資格制度を拡充することが必要である。

5.業務の遂行にあたり必要となる要件

 業務を進めるにあたっては、常に公益確保を優先させ、安全・安心な社会資本ストックを構築し、維持し続けていくという意識を持つことが重要である。

■「業務の遂行にあたり必要となる要件」とは

まず、(1)〜(3)を遂行するために技術士としてしなければならないことです。

技術士は利益確保だけでなく、仕事の質を高めて下記2点も満たす必要があります。それは、

1「技術者倫理」を高めるには何をすべきか。

2「社会の持続可能性」を高めるには何をすべきか。

この2つを高めて、提案した業務を行うにはどうするか、具体的に述べるようにしましょう。

Ⅱ−1−4

 鉄筋コンクリート構造物の劣化機構について次のうちから2つを選び、それぞれについて、劣化現象を概説せよ。また、選んだ劣化機構について、劣化を生じさせないよう事前にとるべき対策を各2つ以上述べよ。

①      中性化

②      塩害

③      凍害

④      化学的侵食

⑤      アルカリシリカ反応

1.中性化

(1)劣化現象

 コンクリート中に二酸化炭素と水が存在することにより、元々アルカリ性であったコンクリートのpHが下がり中性に近づく。

CO2があるとどうしてpHが下がるのか。現象のメカニズムを説明できていません

「中性に近づく」とは「中性化」の言葉の意味か言葉の言い換え。

これにより鉄筋の不動態皮膜が破壊され鉄筋が腐食する。鉄筋が腐食すると体積膨張によりコンクリートにひび割れを発生させ、コンクリート構造物の耐荷力、耐久性を低下させる。

(2)事前にとるべき対策

・フレッシュコンクリートの水セメント比を低くする。

・高炉スラグ微粉末を添加してコンクリートを緻密化する。

・表面含浸材を塗布して二酸化炭素の侵入を防ぐ。

2.塩害

(1)劣化現象

 コンクリート中に塩化物イオン、水が存在することにより、鉄筋の不動態皮膜が破壊され鉄筋が腐食する。中性化と同様に鉄筋が腐食して体積膨張しコンクリートにひび割れを発生させ、コンクリート構造物の耐荷力、耐久性を低下させる。コンクリート中の塩分侵入は、建設時の骨材に内在するものや、融雪剤が含まれた水が浸透することによるものなどに起因する。

(2)事前にとるべき対策

・表面保護塗装を行い塩化物を遮断する。

・エポキシ樹脂塗装鉄筋を用いて鉄筋の防錆を行う。

Ⅱ−2−1

図のような地形を横断する2車線道路橋の橋脚1基(直接基礎、高さ18m)を河川区域内に建設する工事を責任者として実施することとなった。この業務には仮設の方法・内容を確定することも含まれている。なお、提内地は耕作利用されており、現場へアクセス可能な道路は無いものとする。以上を踏まえて、以下の内容について記述せよ。

(1)検討すべき事項(関係者との調整事項は除く)のうち工事の特性を踏まえて重要なものを2つ挙げ、その内容について説明せよ。

(2)業務の手順を述べた上で、業務の工程を管理する際に留意すべき点、工夫を要する点について述べよ。

(3)業務において必要な関係者との調整事項を1つ挙げ、業務を効率的・効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

1.検討すべき事項

(1)仮設アクセス道路

 現場へのアクセス可能な道路は無いため仮設アクセス道路の設置について検討する必要がある。段丘崖や流水部側からのアクセスは避けるため、方法としては水田側からの土工による仮設道路か仮桟橋形式の仮設道路が考えられる。仮桟橋形式は水田やブロック積護岸への影響が少ない、出水期の河川阻害率が小さいといったメリットがあるがコスト増となる。

(2)周辺への環境対策

 現場は河川区域であり流水部が近接していること、水田が隣接していることから、汚水・汚泥の流出による環境汚染が懸念される。仮締切の施工を確実に行う、コンクリート打設時の養生を確実に行うなどして周辺環境への配慮を行う。

2.業務の手順および行程を管理する際の留意点、工夫点

・調査・測量を行う。周辺環境や支障物件について調査を行い、必要に応じて聞き取り調査も行う。業務範囲に仮設の方法・内容も含むため測量においては重要性が大きいことに留意する。工夫を要する点は測量にドローンや3Dスキャナを活用して効率化することが考えられ

■「適正な利潤」だから「適正な工期」、「適正な設計」は単なる建前論に留まっています。上記の問題は1で課題として取り上げたほうが良いでしょう。

工計画を作成する。河川区域であることから出水期・非出水期を考慮した行程作成に留意が必要である。コンクリート打設については、材料や施工方法を検討することによりひび割れ対策を行うことに留意が必要である。工夫を要する点としてはFEM解析によるひび割れ対策があげられる。

・仮設アクセス道路を設置する。ここでは仮桟橋形式を想定する。大型の重機や仮設資材が現場に搬入されることになるため農道、水田、ブロック積護岸に損傷や影響を与えないように留意する。

・仮締切を施工する。汚水が流出しないように確実な施工に留意する。

・型わく、鉄筋、コンクリートを施工する。養生を確実に行い汚水の流出を防ぐことに留意する。

・仮締切、仮桟橋を撤去する。新設橋脚やブロック積護岸などを損傷させないように留意する。

■↑これらが本題です。もっと詳しく述べましょう。

3.関係者との調整方策

 必要な関係者との調整事項は農家との調整・協議を取り上げる。影響のある農家と調整・協議を行うことは当然ながら、地区の農家の責任者にも申し入れを行い工事の理解を得る。また、工事の説明会等において、3Dによる説明を行うことで、理解度が増し業務を効率的に進めることができる

■近隣住民は関係者ですが、「業務を効率的・効果的に進める」こととして、もっとふさわしいものがあるはずです。

この問題では、特段近隣調整はテーマとして挙っていません。

また調整内容自体が物足りなくなっています。

3Dは位置関係が直観的にわかりやすいことはありますが、しかしだからと言って工事の影響についての納得性が高まるとは思えません。

Ⅲ−2

 「公共工事の品質確保の促進に関する法律」には、品質確保のために、発注者の責務として公共工事の品質確保の担い手が育成・確保されるための適切な利潤を確保することが出来るように予定価格を適正に定めることが、また、受注者の責務として適正な額の請負代金を定める下請契約の締結、技術者・技能者の労働条件の改善等が明記されている。また、一般社団法人日本建設業連合会からは、下請取引の適正化を図るため受注者である元請企業(元請負人)自らが発注者と適正な請負代金を締結することが不可欠であるとの方針が示されている。このような状況を踏まえて、施工計画、施工設備及び積算分野の技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)担い手の育成・確保のため、元請負人(受注者)が下請負人(協力会社)と契約を締結する場合、適正な利潤を確保することができる下請契約を締結する上での課題(留意点)を、多面的な観点から抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示した解説策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

1.課題の抽出

(1)いかに働き方改革を実現する

■この「いかに・・する」文は真の課題を見え無くしています。改めたほうが効果的です。

 担い手3法(品確法、入契法、建業法)の改正により、担い手育成・確保のための適正な利潤を確保することができる適正な予定価格の設定や適正な工期の設定は発注の責務であることが示された。続いて改正が行われた2019年6月の新担い手3法は、頻発する災害に対応する担い手の確保や長時間労働の削減、生産性の向上など建設産業へ求められていることへ対応するものであった。それらの観点からも働き方改革を実現することが必要である。

■これらは法の考え方とその追認、また背景に留まっています。

(2)いかに品質を確保するか

 少子高齢化時代を迎え働き手が減少している現状においては、技術を伝承することが難しく今後の公共工事において品質の低下が懸念される。

■「働き方改革」の中身が問われてることを理解しましょう。

技術者・技能者の労働条件改善の観点から、新技術を開発し活用することによって業務の効率化を図り、それにより技術の伝承が可能となり品質の低下を防ぐ。

答えの方向違いになっています。「適正な利潤が得られる下請契約」へはどうつなげるか考えましょう。

(3)いかに安全を確保するか

 今後建設現場には不馴れな技術者・技能者、外国人労働者が多く従事することになりる。多様な担い手確保の観点から、安全対策を一層充実させると共に、多様なコミュニケーションや文化の違いにも対応した安全対策も必要となる。

■こちらも答えの方向違いのようです。「適正な利潤が得られる下請契約」へはどうつなげるか考えましょう。

2.もっとも重要な課題

 前述の課題の中からもっとも重要な課題としていかに働き方改革を実現するかを取り上げる。

3.解決策

(1)適正な契約の締結

①適正な工期の設定

 新担い手3法の改正においても、適正な工期の設定は発注者の責務であることが示された。元請・下請間においても同様であり、週休2日制や夏期における熱中症対策も考慮に入れた適正な工期の設定が求められる。

■「適正な利潤」だから「適正な工期」、「適正な設計」では単なる建前論に留まっており、答えになりません。この問題は1で課題として取り上げたほうが良いでしょう。

②適正な設計変更

 適正ない工期の設定と同様に、適正な設計変更も発注者の責務であることが示された。元請・下請間においても、工期延伸の正当な理由がある場合や、当初契約と施工条件が変更となるなどした場合には、適正な設計変更が必要である。

(2)週休2日制の推進

 直轄工事においては週休2日制が普及してきたところであるが、今後は地方自治体発注の工事においても普及率を高めていくことが必要である。そのためには、労務者においては日給月給の割合が大きいという普及を妨げている課題を解決するために、発注者・業団体をはじめとして取り組みを進めているところである。

(3)建設キャリアアップシステムの導入

 建設キャリアアップシステムを導入することで、建退協の管理や現場の労務管理が効率化される。また、これまで技能者の中には経験や技能が賃金に適切に反映されていない事例が認められた。建設キャリアアップシステムの導入によって、技能者の経験や技能を「見える化」することによって適切な処遇が受けられることが必要である。

■3解決策を書きすぎなので、全体のバランスを図るようにしましょう。

(4)新技術の活用

①ICTの活用

 建設工事においてICTを活用することで業務の効率化を図る。土工においてICT施工を適用することにより、これまでは丁張を設置して出来形管理をしていたが、丁張が不要となり施工履歴データによる管理が可能となり労働条件の改善に繋がる。

②AIの活用

 AIを活用することにより「人の作業」の支援だけでなく「人の判断」の支援を行うことで業務の効率化に繋がる。

4.新たに生じうるリスクと対策

 これまで建設業は厳しい環境の中で技術力や経営力を積み上げてきたが、今後それら伝承ができないことが懸念される。デジタル化やリモート化といった新たな潮流に対応していくことで技術、経営の基盤を築くことが対策としてあげられる。

R2年 衛生工学部門、建築物環境衛生管理の答案について添削致しました。 20201017

答案の一覧>

この答案についての講評

 この試験答案ⅠⅡⅢの評価はBBBとの残念な結果でした。その理由としてⅠは新しい問いかけ問語である「街区スケールでの」対応について、衛生工学としての全体形を目指した提案ができていなかったことがあげられます。またⅡ、Ⅲでは主題が見えないため答えが発散してしまったように拝見いたします。敗因について「専門知識の不足」を挙げる方がたくさんいらっしゃいます。しかし、技術士試験の答案の通りの知識をあらかじめ暗記しておくなどということは無理です。技術士としては、課題を分析して、解決策を提案し、そのチェック・反省をするだけのことです。技術士としての「技術応用」の提案が必要です。これは練習を重ねていけば、能力を高めていけますので、楽勝で合格することが可能です。本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので、このようにどこがいけないかわからない、どう書いたら正解できるかわからない方に是非お勧めいたします。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(41分51秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

音声ガイドの添削時期が合格発表前であったため、判定については明確にはできておりません。この時点ではもっぱら口頭試験対策としてお伝えしております。

問題  Ⅰ-1

2019年12月以降,世界中で「新型コロナウイルス感染症」の感染拡大が問題となっている。感染拡大防止を目的とした法律として「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」「検疫法」などがあり,「新型コロナウイルス感染症」も同法の指定感染症に定められている。その一方で,感染拡大防止のためには法令等による社会制度で取り組む対策から,民間組織,個人が取り組む対策まで多様な取組が考えられ,我が国においても感染拡大防止の観点から,多くの社会活動が制限・自粛されるなど,経済活動にも大きな支障が出ている。

このことを踏まえて,以下の問いに答えよ。

( 1 )新型コロナウイルス感染症も含め,今後にこのような新種の感染症が発生した場合, 街区スケールでの感染拡大防止に関して,衛生工学の技術者の立場で多面的な観点から課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。

( 2 )抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

( 3 )上記すべての解決策を実行した上で生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

( 4 )前問( 1 ) ( 3 )の業務遂行に当たり,技術者としての倫理,社会の保全の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。

I−1 2019年12月以降,世界中で「新型コロナウイルス感染症」の感染拡大が問題となっている。感染拡大防止を目的とした法律として「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」「検疫法」などがあり,「新型コロナウイルス感染症」も同法の指定感染症に定められている。その一方で,感染拡大防止のためには法令等による社会制度で取り組む対策から,民間組織,個人が取り組む対策まで多様な取組が考えられ,我が国においても感染拡大防止の観点から,多くの社会活動が制限・自粛されるなど,経済活動にも大きな支障が出ている。

このことを踏まえて,以下の問いに答えよ。

( 1 )新型コロナウイルス感染症も含め,今後にこのような新種の感染症が発生した場合, 街区スケールでの感染拡大防止に関して,衛生工学の技術者の立場で多面的な観点から課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。

( 2 )抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

( 3 )上記すべての解決策を実行した上で生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

( 4 )前問( 1 ) ( 3 )の業務遂行に当たり,技術者としての倫理,社会の保全の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。

1.感染拡大防止の課題の抽出及びその内容

 はじめに 

 世界中にウイルス感染症が拡大し、パンデミックの状況となった。それに対する対応は今までと同じような方法ではうまく行かなくなってきており、建築物も設備も新たな対応策が必要となってきている。

 以下に課題の抽出とその内容を示す。

■前置きは、今は不要になっております。

課題①:空調システムの見直し

 感染症拡大防止のため、我が国では3密(密閉空間

密集場所、密接場所)の回避が第一の対策となっているが、その内の密閉空間を回避するために換気設備の見直しが必要となる。

■①②③とも「街区スケールでの感染拡大防止」の視点を広げて考えましょう。

課題②:衛生設備の見直し

 ウイルス感染の原因の一つとし接触感染が挙げられる。衛生設備の洗面器や流し台の水栓は不特定多数の人が触れるものであり、自動水栓への見直しが必要である。

課題③:部屋の大きさの見直し 

 感染症拡大防止の一つとしてソーシャルディスタンスの確保が挙げられる。人員を減らすことのできない学校等においては、部屋の大きさの見直しが必要とされ、それに伴い空調負荷の見直し、換気風量の見直しが必要となる。

2.最も重要と考える課題と解決策

 最も重要と考える課題は「①空調システムの見直しとする。理由は、スペースインパクトが最も大きいためである。 

■こちらも「街区スケールでの感染拡大防止」の視点を広げて考えましょう。

解決策①:換気風量の増大化、換気口配置の適正化

 換気風量は建築基準法やビル管法で必要風量が決められているが、可能な範囲で換気風量を大きくする。

また、ショートサーキット防止のため、給気口と排気口の位置を極力離すようにする。

解決策②:室圧の陰圧化、HEPAフィルターの設置

 病院で感染者が入院する病室や疑感染者を検査治療する治療室は、ウイルスが他の部屋に拡散しないように部屋を陰圧に保つ必要がある。また、部屋の排気に含まれるウイルスを大気に拡散させないよう、排気ダクトの途中に高性能HEPAフィルターを設置する。

3.波及効果と懸念事項への対応策

1)波及効果

 換気設備の見直しを行ったことにより感染症拡大防止対策は進むことにはなるが、実際にその換気設備を適正に運用し続けることが重要である。

■「波及効果」について、波及とは波がうつっていくように、だんだんと影響の及ぶ範囲が広がっていくことですので、問2解決策として提案した換気や陰圧化が影響を及ぼす結果を推論するようにしましょう。

2)懸念事項と対応策

懸念事項①:操作ミス 

 保守員の操作ミスにより換気設備が停止するといった懸念事項が生じる。

 対応策として、操作や状態を見える化し、・・・

解決策でご自身が提案した事項をもとに考えましょう。

複数の目でチェックして操作ミスや判断ミスを防止する。また職場全員参加によるKY活動を通じてヒヤリハットの情報を収集・分析し、ヒューマンエラーの防止につなげる。

懸念事項②:経年劣化

 換気設備の経年劣化により換気風量が低下し、室圧の陰圧を保持できなくなるといった懸念事項が生じる。

 対策として、保守員による定期的な点検を実施したり、複数の目でチェックしたりするなど工夫する。また、HEPAフィルターの目詰まりが生じないよう定期的に交換する。HEPAフィルターの差圧を計測し、警報を出力するようなシステムとする。

4.業務遂行に当たり必要となる要件・留意点

1)必要となる要件

①常に高い倫理観を持ち続け、多くの人と意見交換をし、多様な観点での物事を評価・分析する。

②公益の確保、公共の安全・健康・福祉を確保する。

2)留意点

①技術の日進月歩、最新の技術知見を常に注視し、感染症拡大防止に反映し改良する。技能向上、資質向上、継続研鑽(CPD) に努める。

②将来世代にわたって人々が健康で暮らせる社会となるよう努める。

SDGsの目標の一つである「住み続けられる街づくりを」を常に意識して日々の業務を遂行する。

一般的な技術者の心構えの表現に留まっています。

物件の改善が求められているため、新たな提案ではなく、ご自身が問1,2,3で提案したことに対して、さらなる品質改善や自己評価、公益性を高める貢献を求めています。

 本講座ではこのような細かい意味、対処法について具体的に添削指導しています。

Ⅱ−1−4

 排気中の煤や粉塵などの粒子を気体から分離する集じん装置の方式を3っ挙げ,それぞれの原理と留意点を述べよ。

集じん装置の方式について 下線は不要

1.フィルターによるろ過方式

1)原理

 フィルターによるろ過の原理は、衝突・さえぎり・静電気・ブラウン運動による吸着の4つである。

2)留意点

 ィルターの清掃を怠ると目詰まりを起こし風量の低下が生じ、場合によってはフィルターの破損、ダクトの破損生じることもある。従って、定期的な清掃が必要である

■間違えではありませんが、もっと衛生工学の知見や 原理に基づく工夫、提案などが見られるようにしましょう。

2.電気集じんによる吸着方式

1)原理

 放電された空間に排気中の粒子を通過させ、粒子を帯電させた後、電気式電極板に吸着させる。

2)留意点

 粒子と一緒にほこりが電極板に吸着し、ほこりが剥離する際に粒子も一緒に取れてしまう。電極板の定期的な清掃が必要である。

電極版の清掃という日常管理の話ではなく、ここは電気集塵の原理に基づいて電気的な引力を高めて粒子を補足する工夫を述べたほうが良いでしょう。

3.帯電粒子による分解方式

1)原理

 帯電された水粒子を排気中に放出し、化学反応により粒子を分解する。 

煤や粉塵を分離する方法とは違うようです。帯電された粒子をどのような技術で集塵するのかまで述べるようにしましょう

2)留意点

帯電粒子は人体に悪影響を及ぼすため、臭いが強くなった場合は、その使用を中止する。

■留意点は改善方法を提案しましょう。そのためには無臭化の方法を提案しましょう。

Ⅱ−2−1

   15階以上の高層建物が密集した都心部にて,延床面積30 , 000m2,地上18 階,地下2階,オフィス基準階面積1 , 400m2でそのうちオフィス専有面積1 , 000m のグローバル企業の本社オフィスビルの建設プロジェクトに空気調和設備設計業務の担当責任者として参画することになった。優れた省エネルギー性能を有し,かっ地震や洪水等によりそれぞれの公共インフラ(電力,上水道,下水道,都市ガス)機能が停止した時に事業継続が可能となる中央供給式の空調熱源システムを計画するに当たり,下記の内容について記述せよ。なお, ここで言う事業継続が可能となる空調条件とは,企業の基幹部門が入居する6フロアのオフィス階にて,最低3日間は通常と同じ事業活動が可能であることを指す。

( 1 )調査,検討すべき事項を3つ以上挙げ,その具体的な内容について説明せよ。

( 2 )業務を進める手順とその際に留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。

( 3 )業務を効率的,効果的に進めるに当たり,計画を決定するための関係者との調整方策について述べよ。

調査、検討すべき事項

■調査と検討を対にして、「〇〇を調査して、〇〇を検討する」という文にしましょう。

1)調査すべき事項

 ①周囲環境の調査

  周囲建築物の高さ、騒音対策、工場や地下鉄の有

  無を調査する。 

■ねらいが見え辛いので、プロジェクトの 最終目的に直結する 品質項目を 優先的に取り上げて、 それらを 改善する方法を 検討するようにしましょう。

 ②インフラ状況の調査

  力・都市ガス・上水の敷設状況を調査する。 

  もし、建物周囲まで敷設されていなかれば、各インフラ担当者と協議する

■基本的事項にならないように注意しましょう。

2)検討すべき事項

 未利用エネルギーの活用 

  工場排熱や地下鉄排熱の活用を検討す

■いきなり、これだけでは△。 何のために 未利用エネルギーを活用するのか、 それがどのような効果があるのか、 提案の価値を推し量れるようにしましょう。

2.業務を進める手順、留意すべき点、工夫を要する点

1)与条件の整理 施主に空調範囲温湿度条件をヒアリングする。自治体の法規制、省エネ法の確認。省エネと快適性の高い空調方式とす

■ここ↑に書かれていることは、 残念ながら前置きの作業 のように読み取れます。1)に挙げるべきでしょう

エネルギーの二重化、電力とガスのベストミックスを検討する。BCP対応の範囲について施主と打合せする。地冷の有無の確認。

2)方針決定 与条件を元に方針を決める。BCP、再エネ利用、未利用エネルギー、地域冷暖房の採用方針を決める。気設計者と電気容量の打合せを行う。 

3)計画 方針を元に設備計画決める。熱源機器の仕様を決定する。BCP対応とする機器の電気容量を電気設計者に伝達す

■構築の手順が見えるようにしましょう。ここで提案すべき業務とは、「省エネルギー性能を有し,かっ地震や洪水に事業継続が可能となる中央供給式の空調熱源」です。

具体的な方針がなく「BCPをする」では 技術士の答えにならないので気をつけましょう。

4)建築調整 構造計画及び搬入ルート、メンテナンスルートを調整する。設備機器の配置を計画し、建築設計者・構造設計者に対して要望事項を出して調整する。特に地下階のマシンハッチや屋上機器の将来揚重計画に留意する。(上記は表形式としてまとめました)

3.関係者との調整方策

1)施主との調整方策

 ①熱源機器の構成

  熱源機器の構成について、電力をガスのベストミックス、イニシャルコストとランニングコスト、エネルギーの二重化等について比較表を作って分かりやすく説明する。また、BIMを使って系統図の説明を行う。

■設計した結果をプレゼンするための方策のように 読み取れてしまいます。

ここで求められている考察とは、まずはご自身が解決策として推進しようとしていたことは何か、それを明確にして、それらを効率的に進める上で、関連する協力者たちに対する調整を考えるということになります。

プロジェクトマネージャーは自らの業務部署で行う作業効率化するため、ほかの部署の協力を仰ぐ、または他の部署とのバッティングする事項を解消して行くなどの対外的な交渉が必要です。

こうしたproマネの業務を行うことによって、プロジェクトは障害を乗り越えて進捗が効率化されることを考えて答えるようにしましょう。

 ②建物の使われ方

  空調時間帯や時間外空調の要否を確認する。また本社オフィスビルの建設になっているが、テナントの有無、個別空調の要否についても確認する。

 ③施設管理部門へのヒアリング

  施設管理部門の意見を聞き、熱源システム計画の参考とする。

■やはり調整とは「打合せして、取り決める」という程度の意味で書かれているように読み取れてしまいます。

単に担当者の仕事の域を出るためにはどうしたら良いか。

ここはプロマネの仕事の仕方をアピールするため指導力とか、とりまとめを提案すると良いでしょう。

2)地方自治体との調整方策

 地方自治体独自の法規制(騒音・振動等)に対して

自治体担当者と早期に打合せを行う。

3)設計部門での調整方策

 建築設計担当者と屋上及び地下機械室の機器設置スペース及びマシンハッチについて調整する。また、構造設計担当者に重量機器の運転重量情報を伝達し、調整を行う。電気設計担当者に熱源機器の電気容量と、BCP対応となる設備機器の電気容量などの情報を連絡し、調整を行う。

Ⅲ−1

 2009年11月から始まった住宅用余剰電力買取制度の適用を受けた太陽光発電については,買取期間( 10年)が満了になりつつある。また, 2012年7月から導入された固定価格買取制度(Feed-In Tariff : FIT)において太陽光発電による電力の買取価格が住宅用・事業用ともに引き下げられている。これを踏まえて,今後の太陽光発電の普及策について,次の設問に答えよ。

( 1 )政策を提案する技術者としての立場で多面的な観点から,太陽光発電の固定価格買取制度からの自立及び以上の状況下における太陽光発電の普及について,課題を抽出し分析せよ。

( 2 )前問( 1 )で抽出した課題のうち,最も重要と考えられる課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

( 3 )前問( 2 )で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれの対策について述べよ。

1.太陽光発電の普及の課題の抽出及び分析

1)はじめに

 2015年にパリ協定が採択され、地球の平均気温の上昇を産業革命前より2℃を十分に下回るよう抑制し、1.5 ℃に抑えることを努力目標としている。我が国はGHG削減目標を2013年比で2030年で▲26%、2050年で 

▲80%としている。このような状況下において、電力の脱炭素化として太陽光発電の早期普及が望まれている

■問題文の内容にも近く、求められていない不要な前置きなので、一応触れてる程度にしておいて、衛生工学・建築物環境衛生管理の視点から課題を分析するようにしましょう。

2)課題の抽出及び分析

課題①:電力の平準化

■アンダーラインはなくても構いません。

 太陽光発電は夜間は発電されず、またその日の天候により発電量が左右され、その出力は不安定である。一方、電力供給量と電力需要量は同じ量でバランスが保たれていることが望まれ、もしこのバランスが崩れてしまうと停電が生じる可能性がある。従って、電力の平準化が課題である。

■現状の問題点を挙げだけではなく、求められている問いに答えましょう。

買取制度からの自立、太陽光発電の普及についての課題を提案しましょう。

課題②:太陽光発電の高効率化

 太陽光発電のエネルギー密度は小さい。我が国の都市部の建物は高層ビルが多く、屋上や壁面に太陽光パネルを設置したとしてもその面積は不足する。従って太陽光発電の高効率化が課題である。

太陽光発電をどうやって普及させるかの課題を述べましょう。

課題③:初期コストの増大化

太陽光発電の導入にあたり、初期コストの増大という問題が生じるが、補助金制度や低金利融資を活用しESCO事業、ESG投資を活用し、初期コストに充てる。

■問題趣旨を読み誤らないようにしましょう。買取制度FITからの自立を求めているのに、補助金目当てでは本末転倒になってしまいます。答えの方向性は技術による自助努力です。

2.最も重要と考えられる課題と解決策

 最も重要と考えられる課題は「①電力の平準化」とする。理由は、電力の平準化が最もハードルが高く、しかも停電という人為災害の可能性があるからである。

解決策①:蓄電池設備の開発 

■蓄電池も電力、H2もいずれも衛生工学の領域外になっております。

Ⅲにふさわしい専門技術での課題遂行能力を示すようにしましょう。

 太陽光発電からの不安定な電力を一旦蓄電池設備に貯め、必要な時に安定した電力として供給する。今後蓄電池設備のさらなる高効率化、高密度化、低コスト化を目指した技術開発を行う。

解決策②:電力の融通 

 陽光発電から生じる余剰電力を他の電力ネットワークと自由に融通し合える仕組みを作ることにより、電力の平準化を図る。また、スマートシティのように各建物間や事業者間で余剰電力を自由に融通し合えことができる仕組みを構築する

解決策③:H2と蓄熱材の活用

■リスクとはどんなことか。正確に示す。

何のためにリスクが求められるのか。

何に対するリスクなのか。

この3つを考えてみましょう。

 太陽光発電からの不安定な電力を他のエネルギーに姿を変えて、必要な時に再度電力に戻す。例えば、太陽光発電の電力を用いて水を電気分解しH2を得るH2の状態でエネルギーを貯めておき、必要な時にH2とO2の化学反応により安定した電力を供給する。また、太陽光発電の電力を熱エネルギーに変更し蓄熱効率の高い蓄熱材に熱エネルギーとして蓄エネする。必要な時に蓄熱材から熱エネルギーを取り出し安定した電力に変換する。

■「H2とO2の化学反応」は仮想的にはOKですが、どのくらい実現性があるか今一度考えてみましょう。衛生工学としてすぐに提案できないものは△になります。

3.新たに生じうるリスクとそれへの対策

リスク①:危機意識の欠如、取組意識の低下

 太陽光発電を導入するにあたり、コストがかかるということが障壁となり、事業者の取組意識の低下につながる。光熱費削減だけがメリットであれば、その動機付けとしては不明確であり、危機意識の欠如というリスクが生じうる。

■「機意識の欠如」に対して「取組意識の向上」では対応しません。

 対策として、太陽光発電の導入によりBCP性能の向上、社会的評価の向上になることを事業者に分かりやすく説明し、取組意識の向上に努める。

■「分かりやすく説明」とはどのようにするのか。具体的内容を示すことです。意識の向上だけでは△。

リスク②:技術者不足、技術力低下

 太陽光発電を数多く設置すると、その維持管理に技術者が数多く必要とされ、技術者が不足する。また、若手技術者の技術力が低下するといったリスクが生じうる。

 対策としAI・IoTを導入し省人化・省力化を図り、若手技術者に対しては教育資格制度を充実せる

■多数設置すると維持管理に忙殺されるのは当然ですので、目に見えていることは「リスク」とは言えないことを理解しましょう。AI・IOTもあいまいにならないように述べてください。

リスク③:経年劣化

 太陽光発電を運用する上で、経年劣化が発生し、予定された発電量を得ることができなくなるといってリスクが生じうる

■経年劣化も常識です。太陽光の弱点はそれしかないので、常識的に考えてすでに対策されています。

対策として、定期的な点検・設備劣化診断を行う。またBEMSを導入して太陽光発電量を見える化し、発電量の低下により経年劣化を早期発見する。

R2年 建設部門、施工計画、施工設備及び積算の答案について添削致しました。 20210114

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この答案についての講評

この過去問答案の評価はⅠⅡⅢすべて、Aということで実力派の答案と言えます。一応、合格点だから何も言うことはないのですが、次の口頭試験で楽勝でパスされるには、弱点を押さえておく必要があります。口頭試験で筆記関連連問題が聞かれるからです。それぞれコメントいたします。ここではAをAのままさらに高得点にするにはどうすべきかを申し上げます。本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので是非お勧めいたします。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(42分34秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題  Ⅰ-2 

 我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速的に高くなる見込みであり、急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また、高度経済成長期と比べて、我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。こうした状況下で、社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)  社会・経済情勢が変化する中で、老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通した新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

1.課題の抽出と観点

 設業は、「社会資本の担い手」としてストック効果の積極的な引出しと効果の向上を求められている。以下に課題を抽出し、観点を述べ

■こういった解釈や出題者意図の追認は不要です。

(1)効率的な維持管理

 我が国の社会資本は、今後10年で施設の老朽化に伴い維持管理・更新工事の増加が懸念されている。また、建設投資は、2020年は減少傾向にあるが政府投資工事は大型事業を中心に底堅く推移する見通しである。増加する建設需要に加え、財政的人材的制約の中で、いかに効率的に維持管理に取組むかが課題となる。

この前提は問題文にあることの繰り返しに留まってしまっています。

一方、肝心の効率化の課題が無いので、そのことを述べるようしましょう。

(2)想定外な災害への対応

 が国の国土は脆弱で毎年のように自然災害により多くの被害を受けている。近年の災害からわかるように施設の能力を超える外力により甚大な被害が発生している。これに加え、南海トラフ地震などの巨大地震の切迫性も高まっている。国民の安全安心を確保する観点から、いか維持管理による防災・減災対策を講じるかが課題となる。

この「・・いかに・・することが課題である。」文を無くして、具体的に方針を示すようにすると、良くなります。

(3)人材の確保

 建設需要は整備から維持管理・防災・減災へとニーズが変化している。しかし地方を中心に建設事業者は減少しており維持管理を担当する人材や知識が不足している。事業の持続性の確保の観点からいかに担い手を確保し育成・訓練するかが課題となる。

■人材育成の本質的課題について述べましょう。

前提事項を整理するだけでは消極的で、試験官から見ると、冗長で退屈にとられてしまうため。

2.重要な課題と解決策

 戦略的にメンテナンスを実施するためには、「賢く投資・賢く使う」が重要であるため、効率的な維持管理を最も重要な課題とし、以下に解決策を記述する。

■「選択と集中」の意味を考えてみましょう。

冷静に考えると同義語2つ

そして本文の趣旨はやや異なります。「政策」用語を安直に引用せず、技術提案をするようにしましょう。

(1)選択と集

 従来の事後保全では、増加する維持管理・更新工事に対応することは困難であり非効率である。ストック効果の高い事業を目的や役割などを考慮して選択・集中する。想定外な災害に対して、施設特性や経済性などを考慮し人命や財産の保護に重点を置いた対策の実施などが有効であると考える。これを併せて、維持管理に予防保全の考えを導入した長寿命化計画を策定し、これらの情報を活用したメンテナンスサイクルを構築することでメンテナンスに係るトータルコストの縮減・平準化にも期待できる。

(2)維持管理の省力化

 地方を中心に新たなニーズに対応する人材・技術が不足しており、限りある人的リソースを有効活用することが重要である。そこで、ICTの活用し、維持管理の省力化・省人化を図る。具体的には、UAVを使用した劣化診断と三次元設計図を連動した劣化範囲診断図の作成、ICT施工による自動制御、モニタリングシステムの構築などを行う。また、これらの情報をビックデータとして活用する共有データプラットフォームを構築することで将来的な維持管理の効率化にも期待ができる。

■解決策は◎です。これを導く課題が1. にあればさらにベストです。

(3)民間投資の誘発と新技術の活用

 継続的な維持管理の効率化を図るため、メンテナンス産業の育成・拡大による競争力の強化が不可欠である。優れた技術やと知識を活用し産学民を総動員した取組みを実施する。具体的には、地方フォーラムやメンテナンスに関する優れた技術の表彰や全国展開、点検診断に関する民間資格の創設などが有効であると考える。

■解決策は◎。 ややや提案が幅広で漠然としています。

3.リスクと対策

(1)リスク

 以上(1)〜(3)の対策を講じた場合、ストック効果が小さいことで廃棄される社会資本の代替が必要となるリスクが生じる。

■つまりリスクは何なのか?を考えてみましょう。

「代替が必要となる・・」では対策ありきになってしまいます。

「ストック効果が小さいから廃棄」したのにそれのどこがいけないのか。

「代替」がないことに由来する真のリスクが見えるようにしましょう。

(2)対策

 選択と集中、集約と再編により廃棄される社会インフラの代替案について、周辺住民や使用者に対しストック効果の見える化や事業の必要性などの説明を行い、事業への理解を得られるようにする。

■2. と同じことをひたすらやるのみでは請負企業としての責任を示したのみになってしまいます。

公益性(市民の経済活動)についての解決策としては物足りなくなります。

4.必要となる要件

 持管理は公共性が高く常にエンドユーザーの安心安全を第一に考え、地域特性に応じた対策を実施し、ニーズに沿った合意形成が必要である。また、継続的な維持管理や将来的なコスト削減、地域環境の保全と環境再生に取組むことが重要であ。  

■合意形成や地域配慮は技術者としての基本事項ですが、それだけで戦略的維持管理ができるものではなく、その心構えを求めてはいないことを理解しましょう。

また、問4の問題趣旨についてですが、

「問(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件」

1つは技術者倫理の観点から述べ、他一つは社会の持続可能性の観点から述べるようにしましょう。

以上

■末尾の「以上」は多くの方々が記載されていますが、実は無くて構いません。

Ⅱ−1−4

 鉄筋コンクリート構造物の劣化機構について次のうちから2つ選び、それぞれについて、劣化現象を概説せよ。また、選んだ劣化機構について、劣化を生じさせないよう事前に取るべき対策を各2つ以上述べよ。

①     中性化

②     塩害

③     凍害

④     化学的侵食

⑤     アルカリシリカ反応

1.劣化現象の概説

(1)塩害

 塩害は、塩化物イオンにより鉄筋の不動態被膜が破壊される。そこに水分・酸素が供給されることで鉄筋腐食が促進し、膨張することでひび割れが発生する。塩化物イオンには、骨材に海砂使用による内在塩分と飛来塩分や融雪剤などの外来塩分とがある。

■専門知識は◎です。

(2)アルカリシリカ反応

 アルカリシリカ反応は、アルカリ反応性鉱物とアルカリ水溶液が反応しアルカリシリカゲルを生成し、吸水・膨張することで軸方向鉄筋に沿ったひび割れなどが発生する。

2.事前に取るべき対策

(1)塩害

 ①コンクリート中の塩化物イオン総量を0.3kg/m3以下にする必要がある。骨材に川砂を使用する。②水セメント比の小さい密実なコンクリートや表面被膜工法による劣化因子の遮断を行う。た、受入れ時にカンタブ等を使用して塩化物量を確認することも重要である。

■「事前に取るべき対策を各2つ以上を示す」ですので末尾は③としましょう。

(2)アルカリシリカ反応

事前に取るべき対策を各2つ以上を示す

 ①コンクリート中のアルカリ総量を3.0kg/m3(Na2O換算)とする。モルタルバー法や化学法により無害と判断された骨材を使用する。②高炉セメントやフライアッシュセメントなどを使用し、密実で化学抵抗性に優れたコンクリートとすることが有効である 

■対策なので文末は「‥する」でよいでしょう。

Ⅱ−2−1

 図のような地形を横断する2車線道路橋の橋脚1基(直接基礎、高さ18m)を河川区域内に建設する工事を責任者として実施することとなった。この業務には仮設の方法・内容を確定することも含まれている。なお、堤内地は耕作資料されており、現場へのアクセス可能な道路はないものとする。以上を踏まえて、以下の内容について記述せよ。

(1)検討すべき事項(関係者との調整事項は除く)のうち工事の特性を踏まえて重要なものを2つ挙げ、その内容について説明せよ。

(2)業務の手順を述べた上で、業務の工程を管理する際に留意すべき点、工夫を要する点について述べよ。

(3)業務において必要な関係者との調整事項を1つ挙げ、業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

1.検討すべき事項

(1)流水部の切回し検討

 河川区域内での橋脚構築に伴い、流水部の切回しが必要であると考えられる。河川上流や下流部の河川線形や流量、段丘崖の状況など施工条件を確認する。調査結果から、切回し線形や仮設流水部面積の検討、使用材料や濁水防止対策などを検討する。

■本体(下部工)の施工検討も述べましょう。

(2)橋梁下部工の仮設検討

 堤内地は耕作利用されているため、アクセス道路を確保できない。そこで、仮設道路や施工ヤードの検討を行う。農道や河川上下流部から乗込み可能か確認する。また、橋脚構築には掘削を必要とするため、工事車両などを考慮して河川内アクセス道路の検討を行う。

また、土留め掘削について地盤調査から検討を行う。

■不要な前置きです。わかりきったことなので説明不要になります。

ここでは施工の手順が焦点になりますのでそのことを述べるようにしましょう。

2.業務手順および工程管理上の留意点・工夫点

1)業務手順

 業務は、仮設計画・土留め工計画・コンクリート計画・施工及び河川復旧の順に行

(2)工程管理上の留意点・工夫点

 ①仮設計画では、河川特性・流量・堤内地に留意して仮設計画を行う。流水部を切回すことが望ましいが堤内地側は工事用道路や施工ヤードをして使用するため、大型土のうによる仮堤を構築する。

仮説を立てて、大事な工事のポイントを説明する。

これにより流水部の幅員を減少させ、河川流水部断面積を確保しつつ線形規制を行う。

■内容はOKですが、やや冗長です。

 ②土留め施工計画では、河川や地下水位に留意し、施工計画を行う。土留め壁は鋼矢板もしくは鋼管矢板とする。通常バイブロハンマーにより打設するが、河川底面ということで玉石による打設不能が考えられるため、ウォータージェット併用方式とする。また、可能であれば鋼管矢板を使用し剛性を向上させる。これにより切梁・腹起しを削減し後工程の短縮を図る。

■ここは具体的に書かれていてOKです

 ③コンクリート打設計画では、作業手順に留意し計画を行う。通常足場・鉄筋・型枠・打設・養生と行うが、ハーフプレキャスト工法を採用し、鉄筋・型枠工の省力化・省人化を図る

■一般的事項になっております。他の現場と同じことにならないようにしましょう。

これによりコンクリート工の工期短縮と安全性を確保する。

 ④施工・河川復旧では、施工条件・施工環境の変化に留意する。

■前提事項のような内容になっております。もっと具体的に提案しましょう。

施工計画による作業手順にて施工を行うが、雨季などの増水など施工環境の変化に対応するため、余裕のある工期を確保す

■こちらも質問の意味を理解し、具体的に何をどうするか提案しましょう。

3.関係者との調整事項

(1)河川管理者協議

 河川管理者と事前協議を行い、河川切回しにおける対策や安全対策・濁水防止対策について検討する。また、緊急時の体制構築や情報の伝達方法などを確認し効率的・効果的に施工を進めるように調整する。

                      以上

Ⅲ−1

 我が国は人口減少局面にあることに加え、総人口に占める高齢者の割合は増加しており、他国も経験したことのない超高齢化社会を迎えようとしている。こうしたなか、全国平均に比べて早い時期から高齢化が進行している過疎地域では、今後の地域社会の維持管理・継続が困難になる事態が多数発生すると危惧されている。このような状況を踏まえ、施工計画・施工設備及び積算分野の技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)過疎化が進行しつつある地域におけるインフラの維持管理・更新を実施するに当たって,多面的な観点から課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示した解決策の実施に際して生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

1.課題の抽出と観点 

(1)施工管理の効率化

 我が国の社会資本は今後20年で増加する老朽化に伴い維持管理・更新工事の重要性はますます高まっている。一方、維持管理は施設の劣化状況に講じた対策が必要とされ、設計変更が必ず生じる上、品質確認には手間を要する。さらに、施工量は流動的で工期も不明瞭である。過疎化が進行する地域においては維持管理を担当する人材が不足している。人的リソースの有効活用の観点から、いかに施工管理の効率化を図り対応するかが課題でる。

■出題趣旨の追認では消極的になってしまうので気を付けましょう。

(2)調査における安全性の確保

 持管理が必要とされる施設は、建設後50年が経過しているものも多く、設計図書や点検調書などが不足している場合もある。これに加え施設の劣化状況の確認が必要となり供用中の施設にて調査が必要なる。

■こちらも問題文に書いてあることで出題趣旨の追認になってしまっております。

労働災害防止の観点から、いかに調査における安全性を確保するかが課題となります。

(3)工事の瑕疵リスクの軽減

 維持管理・更新工事では、様々な原因による劣化現象に対し多様な工種・工法・材料から組合せて適用する。

出題趣旨とあまり関係性のない提案にならないようにしましょう。

そのため、知識・技術不足から時に予期せぬ不具合が生じ再施工などの不具合事例が多く余分な工期やコストが発生するリスクがある。施工会社のリスク軽減の観点から、いかに施工を進めるかが課題である

テーマを見誤った可能性があります。

高齢化社会→安心安全だけで問題は解決しません。

施工技術者の視点で述べましょう。

2.最も重要な課題と解決策

 安全安心の確保・生活の質の向上のストック効果の確保が重要であり、確実に維持管理・更新工事を実施するため、施工管理の効率化を最も重要な課と考え、以下に解決策を記述する。

(1)三次元設計図の活用

 維持管理・更新工事では施設の劣化状況に応じた対策を講じるため手戻りの軽減が重要である。三次元設計図を用いたフロントローディングを実施することで

■3Dが安全安心の施工になるのか今一度考えてみましょう。

設計の品質を向上することが有効であると考える。調査結果から属性情報の作り込みを行い分析・解析・問題点の抽出、対応策の検討を行うことで、手戻り・手持ちの軽減を図る。これと併せて設計・施工一括発注方式を採用することで施工条件に応じた合理的な設計とするこができ、更なる省力化・工期の短縮に期待できる。

(2)新技術活用

 維持管理では施設の劣化状況を的確に把握することが重要である。しかし調査診断には専門性が求められ、超音波や赤外線などの機器を要する。

「新技術」 新しければよいというものでは無く、ねらいや目的があるはずですので、中身の話を述べましょう。

3Dは(1)とダブリになっております。

新技術を活用することで点検調査の寮緑化を図る。具体的にはAIによる劣化診断や三次元設計図と連動した劣化範囲図の作成や共有データプラットフォームを構築し専門家による診断システムを構築することが有効であると考える。これにより、診断ミスの防止・対策の検討の省力化、検討に関する時間短縮に期待できると考える。

(3)施工記録のデータベース化

 維持管理・更新工事において、施設毎の状況に応じて対策を検討するため時間を要する。そこで施工記録などの情報をベータベース化し有効活用することで更なる効率化に有効であると考える。

提案の前置きがやや長いようです。データベースは業務改善の手段に留まっています。

どうやって応用するかという本質的提案をしましょう。

施設の劣化状況、診断方法・補修方法・使用材料や施工条件などの情報の共有化・見える化を行う。そしてこれらの情報をビックデータとし共有データプラットフォームを構築し、類似工事へ適用することで発注業務や施工業務の継続的な効率化と省力化また人材不足や担い手不足に有効であると考える。

3.リスクと対策

(1)リスク

 記(1)〜(3)の対策を講じた場合、過去の納品データの活用が困難になるリスクが生じる。

■「リスク」は

本題が見えないため、仕方なくこの結論に持ち込んだ結末となっています。

正しい分析をしましょう。

(2)対策

 老朽化が懸念される施設の設計図書などはデジタル化されていないことが多い。過去の納品データを有効活用するため、デジタル化を促進する。また、これらのデータの共通プラットフォームを構築し過去の納品データを有効活用し、今後の維持管理に利用する。

R2年 建設部門、鋼構造及びコンクリートの答案について添削致しました。 20201010

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この答案についての講評

 この試験答案の評価はわかりませんが、不合格という結果でした。その理由としてⅢでBIM/CIMについて具体的な提案ができていなかったことがあげられます。敗因について「専門知識の不足」を挙げる方がたくさんいらっしゃいます。しかし、技術士試験の答案の通りの知識をあらかじめ暗記しておくなどということは無理です。この問題のテーマBIM/CIMはスパーゼネコンや大手設計などが手掛けていますが、そのほかではまだ実施されていません。先進的な問題でした。技術士としての「技術応用」するには経験業務から選ぶ必要があります。おそらくこの方もⅢ-1ではなくⅢ-2(性能規定)を選択されたら具体的に提案が可能だったかと思います。このような対応力は練習を重ねていけば、身につけられます。実際、講座の受講生様でそのように問題を変えられて正解されている方もいらっしゃいます。本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので、このようにどこがいけないかわからない、どう書いたら正解できるかわからない方に是非お勧めいたします。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(30分22秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題  Ⅰ-2 

 我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速度的に高くなる見込みであり、急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また、高度経済成長期と比べて、我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。こうした状況下で、社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)社会・経済情勢が変化する中、老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての論理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

(1)戦略的なメンテナンスを推進するための課題 

①施設管理者の人材不足 

地方公共団体では、管理者の人材不足が深刻化している。地方公共団体では、現状、少人数で対応している、他の業務を兼任している等、維持管理に割ける時間は極めて少ない。さらに技術者に関しては、もっと少なく、0人の自治体もある。人材不足により、適切な維持管理が行えなくなり、重大な事故につながる危険性がある。このように人材の観点から、施設管理者の人材不足が課題である。

■自治体の問題ではないので、建設部門全体の視点でとらえたほうが良いでしょう。

問題文で「戦略的なメンテナンスが必要不可」とまで指摘されていますから、その先を考えてみましょう。

後戻りして消極的印象を与えないようにしましょう。

②メンテナンス費用の増大 

 現在の維持管理の体制を継続した場合、メンテナンス対策費用は、20年後には現在の約1.5倍まで増大すると予測されている。現在でも厳しい財政状況の中、さらに財政を圧迫するおそれがある。すなわち、財政の観点から、メンテナンス費用の増大が課題である。

■費用の件は明白です。自治体の予算措置だけの話にとどめないようにしましょう。

どうやって安くするかを課題とします。

③技術力の低下 

技術の細分化や専門化が進行し、さらに業務多忙により、外部に業務委託する傾向にある。外部委託により、作業の効率化は図られるが、本質を理解しないまま、外注先から挙がってきた結果を鵜呑みにするため、判断力や応用力が低下する。このように技術の観点から、外部委託への依存による技術力の低下が課題である。

最低限真面目に努力するのが基本です。好ましくない状況を前提としても始まりませんので、技術を高めて維持していくにはどうするのかを課題とするようにしましょう。

(2)最も重要と考える課題と複数の解決策 

 最も重要な課題として技術力の低下を挙げる。

①    解決策:ICT技術の導入 

調査から維持管理までの各段階でICT技術を積極的に導入する。高精度にコントロールすることで、作業の自動化や省力化を図る。さらに今まで熟練技術者の知識や経験に頼っていたことを、ICT技術を活用することによって、若年技術者でも一定の成果を出せるようになる。

■キーワードだけで提案が不明確です。ICTとはつまり何をするのか。

実際に何をするかという考えが見えるようにしましょう。

②    決策:維持管理データのデータベース化 

設計図面や施工記録、点検結果、補修履歴等の膨大なデータを蓄積し、データベース化する。自由に閲覧可能にすることで、技術者の判断を迅速にする。

■「台帳」を作るだけでは何も解決しないので、そのような手段ではなく、解決に至る「方法論」、解決策を示すようにしましょう。「何かちょっとでも役に立てばよい・・」では×になります。

(3)新たに生じるリスクとリスク対応策 

①新たに生じるリスク:膨大な導入コスト 

CT技術の導入には莫大なコストがかかる。建設業界の大半が中小企業であり、この初期導入コストが経営を圧迫するリスクもある。さらにシステムの運用や更新にもコストがかかる。

■これは一概には言えません。むしろ最近の普及を見ると逆でしょう。現在普及しているICT技術を使って、可能な方法を提案しましょう。

②リスク対応策:協業によるコスト分担化 

同業他社やIT企業、実務を担当する協力会社等と連携し、協業することが有効である。ICT技術の導入に関して、地域及び業界全体で取り組むことで、コストの分担化を図る。さらに技術の発展、操作方法の共有化等にも効果的である。

(4)業務遂行するための必要条件 

①技術者倫理の観点:品質確保 

必要な要件として、品質確保が挙げられる。メンテナンス需要が増加するが、担する業務量が増大する。目先の納期を優先し、品質確保が困難となり、不正行為が生まれる危険性もある。そこで倫理教育の導入、社内倫理規定の周知徹底等が重要である。さらに人間による改ざんの余地のない完全な自動化システムの構築等も有効である。

ここで求められている要件とは、技術士としての基本的な心構えを述べるのではなく、業務を効率化する方法を端的に述べることです。このため2で提案した内容について具体的に項目ごとに述べるようにしましょう。

②社会持続可能性の観点:技術継承 

必要な要件として、技術継承が挙げられる。現在の建設業の就業者は、55歳以上が約3割を占め、今後さらに高齢化が進行し、熟練技術者の大量離職が見込まれる。したがって、技術継承の場が得られないまま、若年技術者が取り残される危険性がある。建設技術に関する知識や経験を伝承するため、熟練技術者とのOJTやナレッジマネジメントの導入等が有効である。さらに今後は、建設技術だけでなく、ICT技術にも対応できる技術者の育成が重要である。 ―以上―

■「社会の持続」ではなく、自ら技術者の持続性になっています。

問題を誤解しないようにするために、まずはSDGsについて勉強しましょう。

Ⅱ−1−1

 次に示す高性能公より2つ選択し、特徴、利点、適用する際の留意点を述べよ。

①    耐候性鋼    ② 耐火鋼

②    クラット鋼   ④ 低温用ニッケル鋼

⑤ ステンレス鋼  ⑥ 低降伏点鋼

⑦ 高HAZじん性鋼  ⑦ 予熱低減鋼

①耐候性鋼

(特徴)

鉄にCr、Ni、Cu等を添加し、耐食性を向上させた鋼材である。適度な乾湿の繰返しにより、緻密な安定錆を形成し、腐食を抑制する。一般環境下では、無塗装仕様で適用できる。

■よく勉強されています。専門分野の見識は十分です

(利点)

塗装塗替え等のメンテナンス費用を低減することができ、ライフサイクルコストの削減につながる。

(適用する際の留意点)

飛来塩分量が0.05mdd以上の場合、適用できない。Niの含有量を多くした高耐候性鋼材が有効である。

②クラッド鋼

(特徴)

母材金属の片面もしくは両面に、異種金属である合せ材を接合する。母材に鋼を使用し、合せ材にはチタン等を使用する。母材は主に強度を受け持ち、合せ材には耐食性や耐摩耗性等を受け持たせる。

(利点)

単一の金属では得られない特性を持たせる。高価な合せ材を必要最小限にすることで、経済的になる。

(適用する際の留意点)

溶接の際は、異種金属の溶接になる。先に母材の溶接を行い、合せ材を溶かさないようにする。合せ材を溶かした場合、割れ等を生じる。

Ⅱ−2−2

 既設構造物を使用しながら、改築・増築、又は補修・補強に関する業務を行うこととなった。この業務を鋼構造あるいはコンクリートの技術に関わる担当責任者として進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。

(1)    対象とする構造物を1つ挙げ、工事中の既設構造物の使用条件を設定し、業務の内容を明確にした上で、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)    業務を進める手順とその際に留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)    業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

鋼構造

(1)構造物、使用条件、業務内容、調査・検討事項 

1)対象とする構造物と使用条件 

 市街地に位置する鋼道路橋とする。大型車の交通量が多く、冬季には凍結防止剤を散布する。

2)業務の内容 

 定期点検において、著しい腐食が検出されたため、当て板補修を行う。

3)調査・検討事項 

既存資料の整理 

 設計図面や施工記録、点検結果、補修履歴等の既存資料を調査する。既存資料が充実すると、効率的な補修工事が可能とな

■必要ではありますが、難しくない話です。技術士の仕事としてあえて書く必要はありません。

それより②が大切です。

②現地状況の確認 

地状況を把握するため、現地踏査を実施する。現地踏査では、既存資料の整合性、周辺環境、損傷の進行性、詳細調査の必要性等を検討する。さらに資材の搬入経路や、足場設置の際に障害となる添架物や落橋防止装置等の有無を確する。

■腐食、非破壊試験、素地、付着塩分量など、具体的に調査すべき事項があるはず。

それによって対処法が異なってきます。ここでは実務の経験知が問われています。

(2)業務を進める手順 

1)詳細調査 

 点検結果と比べて、腐食が著しく進行していたため、超音波板厚測定を実施する。非破壊試験は、高い精度を求められるため、試験の原理や手法、金属材料に関する十分な知識と経験を持つ有資格者が実施する点に留意する。■ほぼOKです。

2)素地調整 

 塗膜や錆、塩化物イオン等を除去するため、ブラスト処理を行う。このとき、塩化物イオン等が残留していると、早期に再劣化する点に留意する。ブラスト処理後、電気伝導度法により付着塩分量を測定し、完全に除去されていることを確認する。

3)当て板補修 

 腐食による断面欠損部分を補うため、当て板補修を行う。接合方法は高力ボルト接合とする。留意点は、ジャッキを用いて、既設部材を無応力状態にした上で接合を行うことである。

(3)関係者との調整方策 

 現地踏査において、著しい腐食が見られたため、発注者に事前に詳細調査を行うことを提案した。近接する手段として橋梁点検車が必要であったが、発注者は車両規制に伴う交通渋滞を懸念していた。そこで、足場架設に伴う交通規制を併用することで、業務の効率化を図った。安全対策として、足場架設の工区をバリケードで完全に分離し、混在作業や橋梁点検車との接触を防止する。予告看板を設置し、地元住民には工事概要、車両規制時間、迂回路の設置等の案内書を配布することで、周知を図った。      ―以上―

■関係者に対する働きかけは「調整」としては◎です。

しかし施工管理の業務の印象を与え、領域外ととられかねないため、2の「超音波板厚測定、ブラスト処理、当て板補修、高力ボルト接合」の提案内容に由来する効率化の提案を行いましょう。

Ⅲ−1

 Ⅲ−1 国土交通省は,調査・測量から設計,施工,検査,維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスでICT等を活用する「i ―Construction」を推進し,建設現場の生産性を,2025年度までに2割向上させることを目指している。建設業で生産性を低下させている要因の1つとして,2次元の紙の図面で各種作業を進めていることが挙げられることから,建設生産・管理システムでも3次元モデルを利活用することで,全体の効率化・高度化を図る,いわゆるIM/CIMが生産性革命のエンジンとして推進されている。このような 状況を踏まえ,鋼構造あるいはコンクリートに関わる技術者の立場から以下の問いに答えよ。

(1)BIM/CIMの活用により生産性の向上が期待できる業務を1つ挙げよ。また,BIM/CIMを導入してその業務の生産性を向上させるために解決すべき課題を多面的な観点から抽出し,その内容を観点とともに示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前間(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

↓本講座では下図のような教材でこの問題の正解を表すヒントを提供しております。

kensetsuR2_3-1.jpg (500×377)

鋼構造

(1)生産性の向上が期待できる業務と課題 

1)生産性の向上が期待できる業務 

 CIMの活用により生産性向上が期待できる業務として、点検・診断等の維持管理が挙げられる。

2)解決すべき課題 

①担い手不足 

インフラ施設の維持管理には、設計や施工等、幅広い知識や経験が必要とされる。建設現場を熟知し、かつ3Dモデルを作成・活用できるような技術者は極端に少ない。人材の観点から、担い手不足が課題である。

②データ形式の不一致 

 各社バラバラにCIMを導入すると、使用するソフトによってデータ形式が揃わない。計画から維持管理まで連動させることが重要であるが、ータ形式が異なる場合、データを開けない、修正・更新できない等のトラブルが生じる

初歩的な問題を指摘するだけで、真の課題をとらえていません。

■CIMは、建設の鋼コンの立場から方針と方法論、具体的な提案が要ります。

特に維持管理では、竣工年が古い構造物が多く、3Dモデルでの復元や構造諸元等の属性情報を入力する必要があるが、業務が円滑に進まなくなる。技術的な観点から、データ形式の不一致が課題である。

③莫大な導入コスト 

ステム構築に関して、ソフトの導入やPC及びネットワークの整備等に莫大なコストがかかる。CIMは、調査から維持管理まで、すべての企業及び技術者が3次元データを連動することで、大きな効果が出る。しかし、これらすべての人がシステムを導入すると、膨大なコストになる。建設業界の大半が中小企業であり、この導入コストが経営を圧迫するおそれがある。さらにシステムの運用や更新にもコストがかかる。企業の経営面の観点から、システム導入コストが課題ある。

■解決策を示さずに、問題点を指摘するだけでは、提案力が物足りないと思われてしまいます。「課題」の意味を建設的なものと考える必要があります。

(2)最も重要と考える課題と複数の解決策 

 最も重要と考える課題として、担い手不足を挙げる。

①解決策:講習会の強化 

■わからなければ教えるは分かり易い話なので、技術士の提案としてはやや不足しています。

何を学ぶかの話を提案しましょう。

 解決策としては、講習会の強化を挙げる。特にCIMに特化した講習会に参加する。講習会のデータを、社内で参考にすることで、迅速な判断につながります

②解決策:IT企業との協業 

解決策として、CIMに精通したIT企業との協業を挙げる。ネットサポート等を充実させ、いつでもどこでも不明な点は解決することができるようにする。また解決事項は自由に閲覧できるようにすることで、業務の円滑化を図る。

■協業とは技術を提供してもらうだけでは、提案内容として物足りなくなります。

解決策:発注形態の改善 

 解決策として、発注形態の改善を挙げる。発注の際に、CIMを導入した場合、評価点を加点する等を行い、CIMの普及を促す。 

■無理やりにならないようにしましょう。

(3)新たに生じるリスクとリスク対応策 

①新たに生じるリスク:点検・診断能力の欠如 

 新たに生じるリスクとして、点検・診断能力の欠如を挙げる。技術者は、3次元データの作成に多くの時間と労力を取られる。現場経験は減少し、本質を理解できないため、点検・診断能力が低下するおそれがある。

■内容的には〇です。誤りはありません。

ただし、伝聞、教科書の知識だけでは△ですので、実際に経験されるか、専門的知見を勉強されると、確かなものとなるでしょう。

②リスク対応策:現地OJT、ナレッジマネジメント 

熟練技術者と若年技術者がチームを組んで現地点検作業をこなし、熟練技術者の知識や技術を習得する。

■まじめさ、指導力は、試験で評価される可能性はあります。

これらさらに高めると、もっと確かなものとなるでしょう。

さらに熟練技術者の知識や経験を、見やすい形でマニュアル化する。暗黙知を形式知に変換し、社内で参考にすることで、若年技術者でも一定の判断が可能となる。さらに新しい知識や技術の入手等に有効である。

 幅広い知識を習得するために、資格取得も有効である。資格取得は、自発的な努力が不可欠である。近年では、資格を取得して終わりではなく、資格を更新する必要がある。更新には、更新試験や講習会が必須となる傾向があり、継続的な自己研鑽につながる。

R2年 建設部門、建設環境の答案について添削致しました。 20201007

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この答案についての講評

 この試験答案ⅠⅡⅢの評価は不明です。ただし、出題の趣旨にちゃんと答えられているかどうか、やや疑問が残ります。答案について「書ける」ことが一つの目安となっていますが、合格するには内容で勝負しなければなりません。問題文の意味はわかっても、では何をどこまで書けばよいか、理解しきれていないように拝見いたします。

 敗因について「専門知識の不足」を挙げる方がたくさんいらっしゃいます。しかし、技術士試験の答案の通りの知識をあらかじめ暗記しておくなどということは無理です。このⅢ問題の公共工事品確対策は経験と共に合理的に考えることを要する問題でした。このような対応力は練習を重ねていけば、身につけられます。実際、講座の受講生様でそのように問題を変えられて正解されている方もいらっしゃいます。本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので、このようにどこがいけないかわからない、どう書いたら正解できるかわからない方に是非お勧めいたします。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(30分28秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題  Ⅰ-2 

 我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速的に高くなる見込みであり、急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また、高度経済成長期と比べて、我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。こうした状況下で、社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)  社会・経済情勢が変化する中で、老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通した新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

(1) 多面的な観点からの課題と問題

 会インフラの急速な老朽化に関し、例えば道路橋は2050年には約50%以上が老朽化を迎える。そこで我が国のインフラ長寿命化基本計画を踏まえ、以下の課題が挙げられる

■前置きは不要です

課題①既存社会インフラの効率的な運用・整理:公共事業関係予算は平成9年をピークに4割減少をしている。限られた公的資金を有効活用するために、既存社会インフラの運用の工夫を通じた機能強化や、拡散型都市から都市機能の集約を通じた社会インフラの統廃合が求められる。■問1は良く書けています。

課題②社会インフラの長寿命化:気候変動による自然災害の頻発・激甚化を受け、防災・減災の推進のために社会インフラの長寿命化・耐震化が求められる。

課題③社会インフラの担い手の確保と省人化:少子高齢化により入職者の減少や熟練技術者の退職により、2025年には130万人の需給ギャップが生じる。そのため、ICTやドローンを活用や部材の標準化による作業の省人化や効率化が求められる。また担い手の確保のため、新担い手3法を踏まえ、建設キャリアアップシステムによる評価構築、技術者の週休2日制、工期のダンピング禁止で、魅力的な環境整備が求められる。

(2)最重要課題と解決策

課題②の社会資本の長寿命化が最重要課題と考える。なぜなら、公衆の利益を最優先にするために、自然災害から人命を守り、安全・安心の長期的な確保が重要だからである。そのための解決策を以下に示す。

(2) 解決策

■曖昧にならないように、対策、予防保全とは何かを考えましょう。

解決策1.メンテナンスサイクルの構築:社会資本を計画的に点検・診断し、その結果に基づき適切に措置を行う。また社会インフラの状況や修繕状況を記録し、次期点検・診断等の計画を更新する(図)。また損傷箇所を早期発見する予防保全を行い、ライフサイクルコストの低減・平準化を図る

■効果までは不要です

これにより、ライフサイクルコストは30年後には約30%以上減少し、維持管理費に充てることができる。

解決策2. フェイルセーフの導入: 維持管理の知見は途上であり、気候変動の予測には不確実性を伴うため、修繕が不十分な恐れがある

■前置きは不要です

図がかかれていましたが、あまり役に立たないので不要です。

 このため、社会インフラの損傷が、直ちに利用者への事故に発展しない設計・修繕である、フェイルセーフを導入する。

■建設部門としての対策とは考えにくいので、具体的にフェイルセーフとは何をすることかを考えましょう。

解決策3.自然災害のハード対策:気候変動による将来の海面水位上昇を見込み、将来の堤防のかさ上げのための基礎荷重の増強を考慮する。また堤防決壊の主因は越水であることから、堤防の法面に遮水シートを被せる他、堤防内部に剛体を入れ、洪水に対し粘り強い堤防へと発展させる。

■良く書けています

3.共有リスクと対策

リスク:①県と市町村の技術格差による、不十分な維持管理情報の整備である。多くの市町村では社会インフラの維持管理の台帳が未整備のため、不適切な維持管理対策を実施する恐れがある。②工事中に埋設物への支障や、建設機械の転倒・接触などの公衆災害の恐れがある。

■リスクの意味を誤解しないようにしましょう。

ここは、問2でご自身が提案した「メンテナンスサイクル、フェイルセーフ、洪水対策」の結果として生じるリスクになります。

対策:①情報不足の低減のため、橋梁等の構造物にセンサーを設置し、ひずみや振動の分析から異常検知データを収集する。②土地所有者を通じ埋設物の台帳と設計図を参照し、埋設物の位置を特定する。また工事地盤の地耐力を調整し、建設機械の転倒を回避する。また工事車両の誘導員を配置し、歩行者に注意を行い車両との接触を回する。

4.必要要件

(1) 技術者倫理の観点:①業務において真実性の確保が求められる。そのため顧客等への社会資本の維持管理に関する説明を行う際には、客観的かつ事実に基づく情報を用いることが求められる。②業務遂行において秘密保持・信用保持が求められる。顧客から知り得た社会資本の情報の外部流出を防ぐため、セキュリティ対策を行う。

(2) 社会の持続可能性の観点:業務には地球環境保全の考慮が求められる。気候変動に対する低炭素社会構築の観点から、メンテナンスサイクルの向上により、効率的な維持管理を通じ、作業に係るエネルギー消費を削減し、CO2排出量を減らす。循環型社会に向けては、環境配慮設計として部材の耐久性向上で廃棄物発生の抑制を行う。(最終行まで書けた。)

■思いや信条、姿勢を書くところではないことを理解しましょう。

問いの意味を取り違えないように気を付けましょう。

Ⅱ−1−1

 再生可能エネルギー源を利用した一般的な事業内容を有する発電設備の設置計画がある。この発電設備が存在するとこと、又は供用されることにより、環境の自然的構成要素の良好な状態の保持の点から調査、予測および評価されるべき環境要素がある。

環境影響評価法に基づく手続きを進めることを前提としたとき、計画している「再生可能エネルギー源を利用した発電設備」、「調査、予測および評価されるべき環境要素」、およびその「対策」の組み合わせを2つ挙げ、それぞれの内容を説明せよ。


1. 発電設備1

環境要素A

対策a

2. 発電設備2

環境要素B

対策b

■答えはこのような解答の構成になると思います。

当たり前の知識を単刀直入に聞いています。

それがⅡ-1のねらいですので素直に答えるようにしましょう。

1計画する発電施設

①50MWの事業用太陽光発電施設を想定する 。設置環境は山林部に計画され、近くには農村や一般国道が存在する。

②着床式の沿岸洋上風力発電所を想定する 。対象地は一年を通じ平均毎秒7mの風が吹き、水深30m以内の遠浅の海底地形である。

2.調査、予測、評価すべき環境要素と対策:

・山林部斜面の切土による土地の安定性低下が挙げられる。対策は、盛土材料に応じた法面勾配の設定や浅層混合処理工法等で地盤安定化を図る。

・パワーコンディショナーの稼働音が、周辺住民への騒音となる恐れがある。対策は、パワーコンディショナーを出来る限り住宅から引き離すことや、コンテナに収納する。

・太陽光パネルからの反射光のまぶしさが、周辺住民に影響があると予測される場合、アレイの向き・配置を調整する。

・工事による水の濁りが発生する恐れがある。対策として、汚濁防止膜の設置や、洗浄済の捨石を使用する。

・工事時の水中音が騒音となる恐れがある。対策は、低騒音の建設機械を使用する。

(実際には2〜3行空白まで埋めた。)

Ⅱ−2−1

 環境影響評価法に定める第一事業に当たる海域の公有水面埋立事業が計画されている。対象事業実施区域近傍には、自然干潟や藻場が存在しているものとする。本事業における工事の実施、及び埋立地の存在に掛かる環境影響評価について、方法書以降の手続に掛かる環境への影響に関する調査・予測及び保全措置の検討を担当責任者として進めるに当たり、以下の問に答えよ。

(1) この事業が干潟・藻場に与える環境影響に関して、調査・検討すべき事業とその内容について説明せよ。

(2)方法書以降の手続に沿って業務を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

(1)調査・検討すべき事項と内容 

■この問題では環境影響評価の経験知が問われています。しかし、具体的な対処を求められているのに対して、答えはマニュアルに従った一般論になってしまっています。答えやねらい、事業者としてやるべきことが見えていないように感じます。

■環境影響評価のご経験が全くなければこの解答は無理です。別問題を選択すべきです。

事業計画の調査および検討:市町村の窓口を通じ、干潟や藻場に関する法規制を調査し、左記への配慮事項を検討する。

②文献調査:環境アセスメントデータベース等を基に、対象区域の干潟における動植物や藻類への環境特性を調査し、配慮事項を検討す

(2)業務手順と留意点および工夫点 

順1.方法書の作成:環境影響評価の方法を伝えるため、ティアリングから計画段階の配慮事項を踏まえ方法選定し、スコーピングを行う。 

・留意点:正確な状況把握のため、最新の文献を収集する。また多様な関係者とのヒアリングでバイアスに対応する。 

・工夫点:配慮項目の選定は、市の条例や法規制の参考項目および希少種等の重大な環境影響がある項目を重点的に検討する。 

手順2.準備書の作成:環境影響評価の結果を伝えるため、方法書への意見と事業者見解、環境影響評価の結果を公告する。 

・留意点:環境影響評価の結果を伝える上で、周辺の海域や付帯施設など事業との関連事項の影響への説明も示す。 

・工夫点:環境保全措置に関し、事業区域が閉鎖性海域の場合、リンの分解等の富栄養化対策などに不確実がある場合、影響把握のために事後調査を検討する。

手順3.評価書・報告書の作成:事業実施のため、準備書への意見と事業者見解、および事後調査の必要性の検討を記した評価書を作成する。また事後調査に基づく環境保全状況を示す報告書を作成する。

・留意点:事後調査で干潟の動植物の生息環境の改変が判明した場合、改変期間の短縮を検討する。

・工夫点:事後調査は環境影響評価の結果との比較検討のため、環境影響評価と同じ調査地域・手法を検討する。

(3)関係者との調整方策:

・手順1では、配慮書への意見と事業者見解を方法書に記し、住民へ説明を行う上で、予め住民の懸念事項に応じる。市や専門家を相談し、地域の希少種の保全方法について知見を得る

■ごく普通のことで、最低限自分でやることにすぎないような気がします。これでは効率化されるまでの改善はむずかしいのでは。

・手順2では、知事への説明には、審議会の答申を活用し議論の背景・根拠を示す。た議事録を関係者で共有する

・手順3では、県との審査会で、準備書への意見と業者見解を示す報告書や公聴会資料を基に準備書について議論し、議事録を関係者で共有する。

(実際には最終行まで埋めた。)

Ⅲ−2

 問題文:グリーンインフラとは、グリーンインフラ推進戦略(令和元年7月国土交通省)によれば、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能な魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取り組みである。グリーンインフラの特徴と意義は、①機能の多様性、② 多様な主体の参画、③ 時間の経過とともにその機能を発揮するという点にある。これらの点を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)グリーンインフラの取り組みを社会資本整備や土地利用等を進める際の検討プロセスに取り込むに当たって、取り組みを実現する技術者としての立場で、グリーンインフラの特徴と意義を踏まえた多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2)(1)で抽出した課題の内、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

多面的観点からの課題と問題

リーンインフラを社会資本整備や土地利用に活用

する上で、我が国の環境行動計画等を踏まえ以下の課題が挙げられる

■前置きは不要です

課題①総合的な知見の担い手確保・体制構築:例えば多自然川づくり推進において、河川工学・生物学・地域の文化・歴史など多分野の知見が求められる。そのため、総合的な知見を有する人材の確保・育成と共に、多分野の専門家を結びつける調整役が求められる。

課題②突発的な災害への対応力の確保:グリーンインフラで自然環境の機能を生かした防災・減災機能があるが、効果発現までに時間を要す。そのため、気候変動などで自然災害の頻発・激甚化に対し、十分な機能を発揮できない恐れがある。そのため、突発的な自然災害に対する対応力の確保が求められる。

■これはグリーンインフラの課題ではないです。

今回の主題は「①機能の多様性、② 多様な主体の参画、③ 時間の経過とともにその機能を発揮する」です。これに応える課題以外は解答になりません。

課題③景観創出による地域活性化:多自然川づくりや里地里山の維持管理による、美しい自然景観の創出・維持管理が求められる。そのため、自然再生推進法より自然再生協議会を通じ、里山の動植物のモニタリングや在来種の植樹を通じた自然再生が求められる。

2.最重要課題と対策:

・最重要課題は、課題②突発的な災害への対応力の確保と考える。理由は、公衆の利益を最優先にするために、自然災害から人命・資産を守り、かつ社会経験活動を継続するための道路等の社会インフラが不可欠だからである。そのための解決策を以下に示す。

・解決策1.流域治水の推進:①堤防整備による洪水対策と河道の流下能力向上を前提に、②霞堤や水田による遊水機能や、公園緑地での雨水浸透向上による雨水貯留機能の向上を図り、河川や氾濫域も含めた流域治水を行う(図)。また、土砂崩れの原因の1つは山の表層崩壊であることから、里山の間伐による防災林の大径化で、根系発達の促進により地盤安定化や雨水の貯留機能の強化を図る。

・解決策2.人工建造物との組み合わせと環境配慮:気候変動などにより頻発・激甚化する自然災害に対し、防災・減災に関し単一の強い機能を発揮する堤防等の人工建造物とグリーンインフラを組み合わせる。また人工建造物に緑地等により、自然環境の機能を付与する。具体的には、堤防の盛土に海岸防災林を整備し、動植物の生育環境を確保する。また養浜により堤防の基部を砂で被せることで、堤防の長寿命化に寄与し防災能力の向上を図る。これにより、ウミガメの生育環境も確保する。ダムに関しては、ダムの事前放流で洪水調節容量を確保する弾力的管理を行うと共に、フラッシュ放流で勢いのある放流で川底の石のぬめりを除去し、魚の生育環境を改善する。河川では、多自然魚道を整備する他、浚渫を通じ流下能力の向上と共に、汚泥を回収し水質環境の改善を図る。土砂災害には、砂防えん堤整備としてスリットダムで土砂や流木を捕捉する他、緑枠工や山腹に土留や排水工等の山腹工を通じた治山対策を行い、土砂崩れ防止を行う。

3.共通リスクと対策

・共通リスク:

①ダム下流や都市部の水田は、洪水時に遊水地となれば損失を受けるため、遊水地の土地所有者から遊水地受け入れ拒否の恐れがある。

②気候変動の予測には不確実があるため、防災・減災対策が不十分となる恐れがある。

・対策:

①   損失補償について流域関係者間で議論し合意形成

を行い、遊水地受け入れの拒否の回避を図る。

②   気象・地震の観測・予想の高度化を行う。高度化した結果を基に災害リスクを評価し、グリーンインフラの計画の見直しを行い、防災・減災への機能の不十分さを低減する。

(実際には最終行まで埋めた。)

 

R2年 建設部門、河川砂防の答案について添削致しました。 20201006

答案の一覧>

この答案についての講評

 この過去問答案は、必須科目の問題番号を書き忘れたため、失格となり、評価は不明だったということです。残念な結果です。答案の記載事項は十分注意が必要です。それぞれコメントいたします。ここではBをAにするにはどうするか。AをAのまま維持するにはどうすべきかを申し上げます。本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので是非お勧めいたします。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(37分44秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題  Ⅰ-2 

 我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速度的に高くなる見込みであり、急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また、高度経済成長期と比べて、我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。こうした状況下で、社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)社会・経済情勢が変化する中、老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての論理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

1.老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するための課題 

■冗長です。短くしましょう

1−1.対策すべき社会インフラの増加

 が国の社会インフラは高度経済成長期にその多くが整備され、建設後50年を経過化する施設の割合は、2033年に道路橋で64%、河川管理施設で63%になると試算されている。また、その維持管理費は、予防保全を行ったとしても、2044年には7.1兆円になると想定されている

■問題文の追認、前提事項の整理にならないようにしましょう。

1−2.技術者の不足

 少子高齢化の進展により、建設部門の労働環境の良くないイメージもあり、就業者数は減少している。労働者の高齢化や熟年労働者の持つ技術の継承が課題である。

■この中身について議論しましょう。

1−3.人口減少に伴う利用密度の低下

 口減少を背景として、中山間地域の自治体では、過疎化が進行し、社会インフラを利用する人が減少する。社会インフラは、利用者が減少したとしても、安全に利用できるよう、適正な管理が求められることから、相対的に維持管理費は増大することとなる。利用の低密度化により、利用者数と維持管理に要するコストとのバランスに不均衡が生じることとなる。

■本質的な課題になっていません

2.増加する社会インフラについての対応・解決策 

2−1.ICTの活用

■3Dにすればよいという話ではないので、CIMなどを挙げたりして、もう少し具体的に何をするか方向性を示しましょう。

 情報通信技術の土木分野への導入により、計画・設計段階から3次元データを活用し、施工や維持管理においてもこのデータを更新して利用することで、構造物の見える化が図られ、直感的な状態把握が可能となる。

 国が進めるi-Constructionを活用し、点検や施工の自動化、ロボットによる画像取得から損傷診断など、人が行っている業務を支援し、業務の簡素化を図る。

 また、道路の分野ではETC2.0を活用し、車両の走行データをビックデータとしてデータベース化することで、危険箇所(段差の把握、ブレーキポイントの把握など)を特定し、効率的・効果的な対策を講じることが可能となる。

■キーワードの羅列になっており、あまり内容が読み取れません。

2−2.計画・設計段階から維持管理しやすい構造とする

■簡単なことなので、解決にならないことを理解しましょう。

 点検孔や管理用通路などを設け、管理しやすい構造とするとともに、更新時の作業性を考慮し、躯体の補強や開口部(搬入路)を予め設けておく。

2−3.既存ストックの有効活用

 既存ストックの有効活用の観点から、適正なメンテナンスサイクルを実施し、社会インフラの長寿命化を図ることが必要である。

■漠然としたアセットマネジメントの話です。具体的に述べましょう。

 ストック効果の最大化を目指し、「賢く使う、賢く投資」の観点に立ち、ダム再生やねばり強い河川堤防への改修など、老朽化対策に合わせて、施設の改築を実施する。

■考え方として親近性はありますが、都市及び地方計画の提案ですので、必ずしも解決にならないことを理解しましょう。

2−4.コンパクト+ネットワーク

 増加する社会インフラと人口の減少に伴う維持管理コストの上昇に対応するため、コンパクトな街づくりを進める必要がある。核となる市街地を中心に、人口を集中させ、効率的なインフラの管理を行うとともに、都市間を結ぶネットワークの形成により、生産性を確保できるよう、土地利用の規制・誘導を進めなければならない。

3. 共通して新たに生じるリスクとそれへの対応 

3−1.社会インフラをなくすことはできないというリスク(増加し続ける) 

■題意を誤解しないようにしましょう。

 人々の暮らしの根幹をなす社会インフラは、経済・生活を支えるうえで欠くことはできない。また、新たに建設された社会インフラについても、管理の必要が生じることから、増加し続ける構造物をいかに管理していくかは共通の課題であ

3−2.効率的・効果的な維持管理の実施(無くならない社会インフラへの対策について)

■冗長になっています。発散しないようにしましょう。

 既存の社会インフラを適切に維持管理していくためには、予防保全の観点に立った長寿命化計画を策定し、着実に実施してく必要がある。また、新規建設を行う場合にも、可能な限り施設の統廃合を検討し、管理する構造物を少なくする。 

 人の手による作業を簡素化し、効率化するため、メンテナンスサイクルにおける、これまでのドローンやロボットによる点検支援から、ビックデータを活用し、AIによる損傷分析までの診断支援までが自動化されるような、技術開発・取組みが求められる

■ここは題意を誤解されています。有効な解答になっていません。

4.務遂行にあたっての技術者要件 

 公益性の確保を最優先として、法令を遵守しつつ、社会インフラの構築と適正な維持管理について、継続的に取り組む

本講座では細かい意味、対処法について、より具体的に添削指導しています。

Ⅱ−1−2

 将来にわたり貯水池機能が確実に発揮されることを可能とするために実施する、適正な貯水池土砂管理のための調査・観測の目的を説明した上で、調査・観測の項目とその内容について各々説明せよ。また、貯水池土砂管理のための調査・観測の項目における技術的留意点を2つ以上述べよ。

1.適正な貯水池管理のための調査・観測の目的

■冗長すぎます。端的に述べるようにしましょう。

 ダムの堆砂は100年を計画期間としており、容量配分の中に、あらかじめ堆砂容量を設けている。

 一方で、現実の堆砂は、上流の緩傾斜の区間で堆砂が進み、デルタの肩と呼ばれる地点を境に、堆砂が沈み込む状況となる。

 そこで、運用開始後何年で、どの場所に、どの程度の土砂が堆積してるのかを把握するために、貯水池内の観測を行う。

2.貯水池土砂管理のための調査・観測の項目とその内容

2−1.深浅測量

■2〜3個項目を挙げて幅広い対処を述べたほうが良いでしょう。

 ダム貯水池において、縦断測量、横断測量を行う。

 予め定めた横断測量地点で、船上からポールやレーザーにより水深を観測する。ダム運用開始時、前年度、当該年度観測時の横断面を記載し、経年変化を確認する。必要に応じて、堆砂対策の検討を行う。

3.貯水池土砂管理のための調査・観測の項目における技術的留意点

3−1.洪水調節容量内への堆砂量把握

■技術士でなくてもわかる一般的なことです。

何のために留意点が求められているか考えましょう。

ここは2で書いた内容について、性能アップ策を述べてください。

 水調節容量内に堆砂が進むと、洪水調節に充てられる容量が減少し、洪水調節機能の低下、異常洪水時防災操作のリスクが高くなる。 

 洪水調節容量内への堆砂は、ダム機能に直結するため、早期の掘削・撤去が必要である

3−2.地震・大規模出水後の調査・観測 

■災害対応ですので別課題になっています。

 地震や大雨の後は、上流からの土砂流入や、周辺地山の崩壊など、堆砂の状況が大きく変化することがある。そのため、緊急的に堆砂の状況を確認するべきである。

Ⅱ−2−2

 近年、毎年のように発生する大規模な水害・土砂災害において、逃げ遅れによる犠牲者が数多く発生している状況を踏まえると、住民の適切な行動を促し避難の実効性を高めることが極めて重要となる。あなたが台風襲来時の水害・土砂災害に対する市町村における警戒避難体制の整備にかかる業務を担当することとなった場合、河川、砂防及び海岸・海洋のいずれかの分野を対象として、以下の内容について記述せよ。

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的・効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

1.調査・検討すべき事項とその内容

1−1.その土地の状況把握(地形・人口など)

■内容が分かり易いにもかかわらず、説明が冗長です。

 当該市町村の位置する状況について、山間部の高齢化が進んでいる地域なのか、市街地で人口が密集している地域なのかなど、地域の特徴を把握する。

 合わせて、要配慮者施設がどこにあり、どの程度の人が、どこに避難するのかを予め確認しておき、町内会毎の防災に関する取り組み状況などをとりまとめ、基礎資料とする。■←これが目的ではないです。

1−2.過去に発生した洪水の調査・把握

■調査の中身の説明に終始せず、ねらいを言いましょう。

 この地域での実績洪水がどのようなものであったのかを調査・把握する。降雨強度(時間最大雨量、24時間雨量、48時間雨量など)、降雨波形(前線か台風か、1山か複数波形かなど)、浸水区域などを調査する。洪水実績を把握することで、想定最大規模の降雨にスケールアップし、警戒避難体制の整備に活用する。

1−3.現在の河川整備状況

 現在の河川の整備状況について、流域の堤防やダム、遊水地、下水道、排水機場などがどのように整備されているかを把握し、ボトルネックになっている箇所、河川管理設備の故障などを確認し、必要に応じて対策を検討する。

2.調査を進める手順についての留意すべき点、工夫を要する点   ■↑冗長なので1行にしましょう。

2−1.ハード整備

 これまでに河川整備は着実に進めてきているが、気候変動に伴う降雨の激化の進行により、既存の整備水準では、治水安全率を満足しない状況が生じている。

■対策内容は求められていません。

ここは「手順」と「留意点」です。

そこで、「想定を上回る洪水は必ず発生するもの」との観点に立ち、中小規模の洪水は防ぐが、大規模洪水に対しては避難の時間を確保するような対策を進める。

 既存の社会資本ストック有効活用の取り組みを念頭に、ねばり強い堤防、ダム再生など国土強靱化につながる整備を実施することで、円滑な避難を実現する。

2−2.ソフト対策

 危機管理型水位計や河川カメラの情報で河川の状況を把握するとともに、気象情報、河川の危険度部分布などにより、的確に避難情報を発表する。

 緊急時には、プッシュ型のエリアメールを活用し、危機感が伝わる情報発信を行う必要がある。加えて、行政機関が発表する情報の意味を理解し、住民避難につながるよう、出前講座などにより、防災情報の意味を理解してもらう。

 また、町内会レベルから行政機関まで、それぞれの部門で、防災体制、避難体制を構築し、災害弱者の避難を確実に確保する方策などを予め定めておく。

3.関係者との調整方策

 防災減災対策協議会や治水協定など様々な場面、機会を捉えて関係者同士の顔の見える関係を築き、気軽にコミュニケーションが取れる状況を構築しておく。

■建設工学的にあまり意味のないコミュニケーション術の話です。

建設技術士のプロマネとしては、具体的に問題を捉え、関係者に指示を与えてプロジェクトの進行が改善するようなアクションを取る必要があります。

 近年では、気象観測精度や降雨予測精度が向上しており、これらも活用して他機関連携型のタイムラインを運用することで、水害・土砂災害の被害軽減を図ることが可能となる。

■この問3での焦点は関係者間の行動をプロマネとしてどのようにコントロールするかにあります。

Ⅲ−1

 気候変動の進展に伴い、海面水位の上昇などによる海岸浸食の更なる進行や山間部からの土砂流出の変化が懸念される中、流砂系全体として持続可能な土砂管理の目標について検討し、総合的な土砂管理の取り組みを推進することが求められている。

(1)国土を保全するため、流砂系全体として持続可能な土砂管理を実現するに当たって、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

1.流砂系全体として持続可能な土砂管理を実現するに当たっての課題  

■いずれの見出しも冗長です

1−1.山間部における山腹崩壊や山肌の露出(山地の荒廃)

 我が国では、山間部において植林が成され、下草刈りや枝打ちにより、適正な管理が行われていたが、工業化や生活スタイルの変化により、樹木の活用が減少している。 

■分かり易い現象(問題点)の記述です。

主題は「持続可能な土砂管理の目標について検討し、土砂管理する」ことです。

そのために技術士が提案する課題は何かを考えましょう。

また、近年の降雨の激甚化とも相まって、保水機能が低下した樹林地での大規模な土砂崩れや山腹崩壊が発生している。山腹崩壊や山火事が起きた土地は民地であることから、そのままの状態で放置され、山肌の露出が進行し、土砂流出の原因となっている。

1−2.ダムによる流水の連続性の分断

 ダムは河川を横断する形で建設され、上下流の流水の連続性を分断している。これにより、河床の砂の移動がなくなる、水生生物の移動がなくなる、貯水池の水質悪化、下流河川での無水区間の発生、巨石化・アーマー化など、河川環境悪化の原因となっている。

■やはり現況の問題点の記述です。

1−3.天井川による市街地の水害・土砂災害リスクの増大

 ■昔から言われている問題点です。技術士の視点に相応しい独自の工夫を述べるようにしましょう。

川は築堤により流域の水を安全に流下させているが、同時に上流域から土砂が供給され、河道や河床に堆積する。市街地では河床の上昇に伴い、更に築堤を実施することとなり、これを繰り返すことで、市街地の地盤高よりも河床が高い状況の河川(天井川)となる。この状況で、内水氾濫や越流・越水による破堤が起こった場合には、甚大な被害となることが想定される。

1−4.海浜への土砂供給不足による海岸浸食の進行

■こういった現象も、今日常識的に市民によく知られていることですので、特別有意義な知見とは言えません。

何かがおかしいと気づきましょう。

海浜の土砂供給原理に基づいて、技術士の視点に相応しい独自の工夫を述べるようにしましょう。

 浜は河川からの土砂供給によって、良好な環境が形成されるが、ダムや堰により土砂供給が不足することで、水産資源の枯渇・減少や海浜浸食による国土の減少が起こる

2.ダムによる流水の連続性の分断を防止するための解決策 

2−1.排砂バイパストンネルの設置

■具体的ではありますが、単発の提案です。

汎用的に広い視野で提案するようにしましょう。

 気候変動に対応した既存社会インフラの有効活用の観点からも、ダムの排砂バイパストンネル設置は有効な対策であり、ダム再生のメニューのひとつに位置付けられている。

 通常、ダムの堆砂対策は水中掘削し、ダンプトラックにより運搬・処分を行うが、経済性・環境面から推奨されない。

 そこで、ダム上流と下流をバイパストンネルで結び、洪水時に合わせて上流土砂を下流に流下させる。これを土砂還元と呼び、洪水時に合わせて実施することで、濁りの問題を生じず、下流への土砂供給が実現する。 

2−2.フラッシュ放流の実施

■ダムに焦点を合わせた一連の対策です。間違いではありませんが、ダム以外の対策も挙げましょう。

Ⅱ-2やⅡ-1ではないので視点の広さが欲しいです。

 洪水調節容量に一時的に水を貯留し、一気に下流へ流すことで、河床に付着した藻類の除去、瀬や淵の形成が促進される。

 フラッシュ放流に合わせて、ダム湖内から掘削した土砂をダンプで運搬したのち、下流河川に置土することで、本来の河川環境が形成される効果が期待できる。

 フラッシュ放流は、晴天放流となることから、下流河川における危害防止を確実に実施しなければならない。

2−3.透過型ダムの採用

 新規に建設するダムにおいては、通常は流水を流下させ、洪水時には貯留する透過型ダムの採用を検討する。

 ダム上流の湛水エリアは、通常時は水がないことから、河川公園の利用など、地域活性化や地域コミュニティ形成に寄与するような活用を検討する。

3.共通して生じたリスクとその対策 

3−1.利害関係者における土砂管理についての意識共有

■「関係者の意識共有」自体がリスクになることはありません。

問2の解決策に由来して発生するリスクを考えるようにしましょう。

 ダム下流には利水者や沿川住民がおり、土砂管理について共通の認識を持つ必要がある。例えば、内水面漁業者は水質の悪化、上水道事業者は取水施設の閉塞、沿川住民は河床上昇についての懸念など、相反する意見を調整しなければならない。

3−2.対策

 土砂還元の実施により、良好な河川環境の創出が実現できることを、長良川において実証実験されている。これらのデータや、更なる効果検証の結果を踏まえ、データに基づく土砂還元の有効性を関係者に示し、理解を得ながら事業を進めていく

R2年 建設部門、施工計画、施工設備及び積算の答案について添削致しました。 20200927

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この答案についての講評

 この試験答案Ⅲの評価はAとのことで、合格点をクリアしているレベル感があります。ⅠやⅢの問2の解決策で高い評価点を獲得されているように拝見いたします。一方で減点されているところもあり惜しい感じがいたします。添削で具体的にご指摘致します。その理由として、テーマに対して個別の議論ではなく一般論的な説明に終始ししていたことがあげられます。前提条件に沿って具体的な提案ができればよかったと思います。これは練習を重ねていけば、能力を高めていけますので、楽勝で合格することが可能です。

 本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので、このようにどこがいけないかわからない、どう書いたら正解できるかわからない方に是非お勧めいたします。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(24分52秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題  Ⅰ-2 

 我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速的に高くなる見込みであり、急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また、高度経済成長期と比べて、我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。こうした状況下で、社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)  社会・経済情勢が変化する中で、老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通した新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

(1)  課題抽出

1)効率的な維持管理

高度経済成長期に建設された我が国のインフラ資本は、同時期に膨大な量の更新期を向かえる。これらの維持補修業務を全ての対象構造物に同じレベルで施すことは、現実的に不可能である。よって、維持管理業務をいかに効率的に行うかが課題となる。

展開が遅い感じがします。「効率的な維持管理」とは基本姿勢のようなものです。それを具体的にどう実現するかを問われています。

2)技術者および技能労働者不足

 少子高齢化が進んでいること、また建設業への入職者が少なっていることや、離職者の割合が大きいことなどにより、社会インフラメンテナンスの実務を行う技術者や技能労働者の数は不足している。少ない人的リソースでいかにメンテナンスを推進していくかが課題となる。

■問題点の再確認に留まっています。真の課題は他にあることを理解しましょう。

「・・でいかに〇〇していくかが課題である」という文では肝心の内容が表現できません。つまりそこから先が技術士の答えです。

3)廃棄資産の処理

 老朽化した社会インフラの多くはコンクリート構造物である。その更新作業により大量のコンクリート殻が発生する。これらの再利用技術は進歩し、リサイクル率は高まっているものの、建設副産物が全く発生しないことは有り得ない。そこでいかに環境に負荷をかけずに社会資本メンテナンスを行うかが課題とな

■「いかに・・」文の真意を具体的に表すようにしましょう。

4)地方自治体の財政難

 公共機関や地方自治体の財政難が叫ばれている中、メンテナンス事業に関する予算が減少しているのが現実である。少ない財源でいかに維持管理を行っていくが課題である。

 (2)  最重要課題と解決策

 前項で挙げられた課題の内、「効率的な維持管理」を最重要課題とし、解決策を挙げる。

1)選択と集中

■方針、政策のみにならないように、技術内容を述べましょう。

 社会インフラのストック効果として、エンドユーザーの、①安全・安心の確保、②生活の質の向上、③生産性の向上がある。これらの効果を数値化・見える化し、メンテナンス効果の高い物から優先的に整備を行う。一方で、ストック効果が低い資産については、そのまま放置するか、廃棄するなどの対応がとられる。この様に、めりはりを付けて管理することで、効率的な維持管理が可能となる。

2)新しい技術の活用

 超音波や電磁波を利用して点検作業を行うことにより、効率的に作業を行うことができる。さらに、この作業自体をロボットなどで無人化すれば、安全面での課題もクリアすることができる。

■技術応用はOKです。しかし、新しければよいというものではないことを理解しましょう。

また、画像解析技術の向上により、微細なクラックを発見することが可能になったことや、ドローンからの映像を利用して、対象インフラを含む地域全体の継時的変化を把握することができる。

さらに、施工時の情報や補修履歴をデータ化して蓄積し、そのビッグデータをAIが活用し、保守点検などのスケジュールを効率的に管理させれば、今までの技術者による管理の負担が大幅に軽減される。

3)間企業の参画

■漠然とした方針にならないよう、PFIなどの提案をしましょう。

 会資本整備事業は永らく、計画・実施または費用面でも公共機関が主導で行われてきた。しかしながら、

民間企業が社会資本整備事業をビジネスチャンスと捉えるならば、利益を追求し、どこに資金や人材を投入するか、極めて効率的に行われることが期待され

 (3)  新たなリスクとその対応

 ストック効果が小さい社会資本については廃棄される可能性が高く、そのインフラの使用者に対し、代替のプロポーザルも含めて丁寧に説明する必要がある

趣旨を読み取りましょう。

求めているのは2の提案内容に対するリスクです。一般論にならないように気を付けましょう。

(4)  必要とする要件

■問4の問題趣旨から推論して、出題者の趣旨を読み取る練習が必要です。

 設事業は公共性が高く、常にエンドユーザーの安全・安心を第一に考えなければならない。さらに、インフラを整備して終わりではなく、それらを安全に長期間、維持管理し続けられるように取り組む必要がある。これらの倫理思想を持ち合わせていることが必要であるとすると、技術者倫理を保証する「技術士」資格を保有していることを要件とすることが望ましい。

 また、インフラの補修技術は日進月歩で進歩を遂げており、常に知識のアップデートが必要である。担当技術者が常に継続研鑽(CPD)することが、社会の持続可能性で必要となってきており、この点においても「技術者」の資格を保有していることを要件とすべきである。

■書かれているのは漠然とした技術者の責務に留まっています。

この業務において、技術者倫理・社会持続性を高める要件を述べましょう。

Ⅱ−1−4

 鉄筋コンクリート構造物の劣化機構について次のうちから2つを選び、それぞれについて、劣化現象を概説せよ。また、選んだ劣化機構について、劣化を生じさせないよう事前に取るべき対策を各2つ以上述べよ。

①      中性化                        ② 塩害                ③ 凍害 ④ 科学的浸食                    ⑤ アルカリシリカ反応

①  中性化

 通常コンクリート内部はアルカリに保たたれているが、時間の経過と共に、コンクリート表面やひび割れなどの不具合箇所から二酸化炭素が侵入し、内部を中性化する。これにより、アルカリで被覆されていた鉄筋が腐食して膨張し、結果としてクラックを発生させることで、コンクリートの耐久性を著しく低下させる。

 対策としては、(a)コンクリート配合の水セメント比を小さくし密実なコンクリートにすること、(b)施工時に、鉄筋のかぶりを十分に取ること、(c)コンクリート表面を塗装し、二酸化炭素の侵入を防ぐこと、などが挙げられる。

■良く書けています。

⑤アルカリシリカ反応

コンクリート中のアルカリ成分と、骨材に含まれているシリカ化合物が反応してゲルを生成する。このゲルが水分を吸収し膨張することで、コンクリート内部にクラックを発生させたり、はく離を生じさせたりする。この反応により、コンクリートの耐久性は著しく劣化する。

対策としては、(a)コンクリート内のアルカリ総量を3.0kg/m

3

以下に抑えること、(b)使用予定の骨材をサンプリングして試料を採取し、シリカ化合物の含有量を測定する。その結果、規定の上限値を上回る量を含むという結果が出た場合、骨材の産地を変更し、アルカリシリカ反応の被害を未然に防ぐことを対策とする。

■良く書けています。

見出しの下のアンダーラインは効果がないので無くした方が良いでしょう。

Ⅱ−2−1

 図のような地形を横断する2車線道路橋の橋脚1基(直接基礎、高さ18m)を河川区域無内に建設する工事を責任者として実施することとなった。この業務には仮設の方法・内容を確定することも含まれている。なお、堤内地は耕作利用されており、現場へのアクセス可能な道路は無いものとする。以上を踏まえて、以下の内容について記述せよ。

(1) 検討すべき事項(関係者との調整事項は除く)のうち工事の特性を踏まえて重要なものを2つ挙げ、その内容について説明せよ。

(2) 業務の手順を述べた上で、業務の工程を管理する際に留意すべき点、工夫を要する点について述べよ。

(3) 業務において必要な関係者との調整事項を1つ挙げ、業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方法について述べよ。

(1)  検討事項

1)現場へのアクセス道路

■いきなり対策が書かれています。しかし、要求は調査、検討すべき事項です。性急に対策を考えるのではなく、落ち着いて分析しましょう。

 見出しの下のアンダーラインは効果がないので無くした方が良いでしょう。

 川両岸からはアクセスできないため、現場へのアクセス道路を河川内に川に沿って造成することとする。検討事項は、仮設道路天端高さを工期内の最高河川水位以上に設定することである。また、盛土法面浸食防護のために、土のうを設置するものとする

2)橋脚フーチング施工時の仮締切り工

 橋脚フーチングの設計高さが河川水位より低いため、土留めを兼ねた仮締切りが必要となる。完成時には撤去しなくてはならないので、引抜き可能なものとして鋼矢板の使用を検討する。掘削深さ、土質性状、河川水位を考慮し、切梁の段数などを計算する。継手からの湧水は内部に釜場を設けポンプ排水することとする。また、礫などが存在し矢板の打設が困難な場合を想定し、ジェット併用工法を準備する

(2)  業務手順および留意点、工夫点

1)施工計画の策定

■事務的な流れではなく、現場の取り組みになるようにしましょう。

ここは具体的な施工の手順が求められています。

①  仮設道路建設、②河川水対策,③橋脚施工といった流れで述べるようにしましょう。

 仮設計画は、前述のアクセス道路造成や仮締切り工などを計画する。た、橋脚躯体施工時に足場を設置するので、その計画も行う。仮設設計結果は必ず第三者機関に照査してもらう。また、本設工の計画では、橋脚の鉄筋・型枠・コンクリート工の他、構造物の埋戻し方法も計画する。

2)施工管理

 品質管理、出来形管理、工程管理、安全管理、原価管理を行う。施工中、仮締切り工の動態観測や、河川水位のモニタリングは継続して行う。

3)検査・引渡し

■特に本題に関係ないことで解答には不要です。

 事完成時には引渡し検査を行い、竣工図書を作成し、発注者への申し送り事項も含め提出する 

4)工程管理上の留意点・工夫点

 施工時期が、河川水位が低下する乾季中になるように発注者と協議を行う。また、工程が遅延した際の挽回策としては、橋脚のコンクリート工のサイクルタイムを短縮するために、型枠のセット数を増やすことを検討する。

(3)  調整事項

■(2)に書かれていたことをどう推し進めるかという趣旨です。

いきなりCIMでは話が通じなくなり、一貫性を無視すると専門家らしさまで失うなってしまいます。

内容的に難しいものではありませんので、プロマネの貢献が求められていることを理解しましょう。

 着工前および施工中に近隣農家への説明が必要となる。説明時にはCIMによる3次元画像を用いることによって、その効果を視覚的に判り易く説明することが可能となる。また、施工中における協議ではドローンからの映像を用い、現場周辺を含めた地域全体の継時変化を視覚的に把握することが可能となる。

重要な点は、協議はこちらからの一方的な説明に終始するのではなく、先方の意見や要望事項を聞き入れ、双方向の情報発信や意見のやり取りが生まれるように留意することである。これが、業務を効率的、効果的に進めるための調整方策となる。

Ⅲ−1

 我が国は人口減少局面にあることに加え、総人口に占める高齢者の割合は増加しており、他国も経験したことのない超高齢化社会を迎えようとしている。こうしたなか、全国平均に比べて早い時期から高齢化が進行している過疎地域では、今後の地域社会の維持管理・継続が困難になる事態が多数発生すると危惧されている。このような状況を踏まえ、施工計画・施工設備及び積算分野の技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)過疎化が進行しつつある地域におけるインフラの維持管理・更新を実施するに当たって,多面的な観点から課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示した解決策の実施に際して生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

(1)  課題抽出と分析

1)人員の不足

■「・・でいかに〇〇していくかが課題である」という言い回しでは肝心の内容が表現できないことを理解しましょう。つまりそこから先が技術士の答えになります。

こうした問いかけや、問題点の記述に終始していると、回りくどいという印象を与えかねません。ここは積極的に「〇〇を〇〇する」と提案するようにしましょう。

 過疎地域では高齢化が進んでいる一方、新たに建設産業に入職する技術者も少子化・理科離れの影響で減少している。それに伴い、インフラの維持管理・更新の実務を行う技能労働者も不足している。少ない人員でいかに整備事業を行うかが課題となっている

2)フロー効果が小さい

 過疎地域に残存する社会資本インフラは、その利用者数が少ないため、フロー効果が小さくなる。よって整備・更新の優先順位がフロー効果値で決まる場合、優先度は低くなり、維持・更新はしないという判断が下される場合もある

3)施工機械の不足

 過疎地域においては新規工事の出件もほぼ無く、地元の中小建設会社が保有していた機械は殆ど売却されているため施工機械がっておらず、実作業を行うには困難になっている。実施に際し、いかに必要機械を調達するかが課題となる。

4)地方自治体の財政難

 公共機関や地方自治体の財政難が叫ばれている中、メンテナンス事業に関する予算が減少しているのが実情である。歳入が少ない地方自治体でいかに維持管理を行っていくかが課題である。

(2)  最重要課題とその解決策

 前項で挙げた課題の中から最重要課題として、「人員の不足」を取り上げる。

1) 省力化

 超音波や電磁波を利用して点検作業を行うことにより、効率的に作業を行うことができる。さらに、この作業自体をロボットなどで無人化すれば、省力化は基より安全面での課題もクリアすることができる。

また、画像解析技術の向上により、微細なクラックを発見することが可能になったことで、今まで専門の技術を持つ人員に依存していた業務計画の自由度が大幅に向上する。

次に、ドローンからの映像を利用して、対象インフラを含む地域全体の測量を行うことは、今まで膨大な労力と時間を費やしてきた地形測量からの解放を意味する。

さらに、施工時の情報や補修履歴をデータ化して蓄積し、そのビッグデータをAIが活用し、保守点検などのスケジュールを効率的に管理させれば、今までの技術者による管理の負担が大幅に軽減される。

■良く書けています

2)外国人労働者の活用

積極的に外国人労働者を活用することは、労働力不足解決のひとつの解決策となる。以前は「技能実習生」というカテゴリーであったが、2019年4月、新たに「特定技能」制度が設けられ、建設労働者も加わった。

外国人による、インフラの維持管理・更新の専門グループを作り、全国に派遣できるシステムが構築されれば、それは解決策のひとつに成り得る。

■良く書けています

3)民間企業の参画

 社会資本整備事業は永らく、計画・実施または費用面でも公共機関が主導で行われてきた。しかしながら、

民間企業がインフラ整備事業をビジネスチャンスと捉え、PPP/PFIなどを利用して、事業資金のみならず保有する技術や労働力を提供する場面が増えれば、人材不足の解決策となる。

■良く書けています

 (3)  新たなリスクとその対応

 省力化施工、外国人労働者の登用、民間企業の参画は、若手技術者の技術力の低下をもたらす懸念がある。土木工学は「経験工学」とも呼ばれるように、実地での経験が重視されるフィールドである。ものごとが簡素化され、その現場経験値を得る機会が損なわれることは大きな損失となる。

よって、若手技術者や外国人労働者の現場OJT教育を充実させることが重要となる。その際の教育内容は、経験者がノウハウ・施工経験をフィードバックする、技術伝承的要素が必要となる。機器やシステムの単純な操作ミスに起因する、深刻な品質事故・災害事故は絶対に避けなければならない。

また、技術士に必要な要件として、ある一定期間の現場OJT経歴を加えれば、技術者ライセンスとしては、より信頼できるものになると思う。 

■良く書けています

R2年 上下水道部門、上水道及び工業用水道の答案について添削致しました。 20200927

答案の一覧>

この答案についての講評

 この試験答案ⅠⅡⅢの評価はABB、Ⅱ+Ⅲの平均評価はBとの残念な結果でした。その理由としてⅠは広い視点が評価されたようですが、一方Ⅱ、Ⅲでは出題者が求めた事項に対して、具体的に上水道及び工業用水道としての全体形を目指した提案ができていなかったことがあげられます。主題が見えないため答えが発散してしまったように拝見いたします。

 こうした敗因について「専門知識の不足」とお感じの方がたくさんいらっしゃいます。しかし、技術士試験の答案の通りの知識をあらかじめ暗記しておくなどということは無理です。技術士としては、課題を分析して、解決策を提案し、そのチェック・反省をするだけのことです。技術士としての「技術応用」の提案が必要です。これは練習を重ねていけば、能力を高めていけますので、楽勝で合格することが可能です。本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので、このようにどこがいけないかわからない、どう書いたら正解できるかわからない方に是非お勧めいたします。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(22分24秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

音声ガイドの添削時期が合格発表前であったため、判定については明確にはできておりません。この時点ではもっぱら口頭試験対策としてお伝えしております。

問題  Ⅰ-2

 I−2 上下水道事業は,都市生活を支えるインフラとして整備が進められてきた。水道晋及率は98.0%,下水道処理人口普及率は79. 3%ともに平成30年度末)となっており,両事業ともこれまでに整備した膨大な施設を有している。一方で,日本の総人口は平成20年のピーク後に減少へ転じており,大半の地域では水需要減少が見込まれている。 各事業体の財政状況は厳しく,官民双方における技術者不足,施設の老朽化等の多くの課題を抱える中で,快適で衛生的な生活に不可欠な上下水道事業を安定的に継続させるための方策が求められている。  このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)上下水道事業を将来的に安定して継続させるためのさまざまな取組が求められている。  これについて,技術者としての立場で多面的な観点から,上下水道事業に共通する課題を複数抽出し,その内容を観点と共に示せ。

(2)前間(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その理由を述べるとともに,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)〜(3)の業務遂行において必要な要件を,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。

(1)上下水道に共通する課題。

■↓ほとんど前提事項の確認に終始しており、消極的な感じを与えます。出題者が提供している内容ですから、解答になっていないことを理解しましょう。

日本の水道事業は、高度経済成長期に建設した水道施設が耐用年数に達し、今後それら施設の更新・再構築が急務となっている。

併せて、頻発する地震や集中豪雨などの自然災害への対策も必要であり、それら事業の実施に必要な資金、人員の確保が必要である。

しかし、人口減 に伴う給水量減 のような外部環境の変化により、現状の料金体系にあっては、必要な収入を確保することが困難な状況となっている。

また、団塊世代職員の大量退職による水道施設職員の減少や高齢化により、人材不足や水道技術の継承、水道サービスの質の低下、災害時対応力の低下が課題となっている。

そのため、特に中小規模の事業体においては、その多くが技術基盤や財政基盤が脆弱であるため、将来にわたり持続可能な水道事業の運営が困難な状況である。 

■これ↓が課題です

これらの課題に適切に対応していくため、アセットマネジメントによる資産管理、広域連携、官民連携、人材育成・組織力強化、ICT活用や省エネによる経営効率の向上、ダウンサイジングも含めた水道事業の再構築を図ることにより、運営基盤の強化を図ることが求められている。

(2)最も重要と考える課題に関する技術的提案

 民双方における技術者不足のため、官民連携の推進を重要課題として挙げる。

■「官民連携」は役立つかもしれませんが、これらの解決策は、ほとんどが事業のやり方に留まっています。上下水道技術に関するものを提案しましょう。技術士試験は、真のコンピテンシーを表すことが重要です。

①個別委託:水道事業者等の管理下で設計や水質検査など業務の一部を委託するものである。

②第三者委託:水道の管理に関する業務を委託するものである。水道法上の責任は委託事業者が負うこととなる。

③DBO:施設の設計、建設、維持管理等の業務について民間事業者のノウハウを活用して包括的に実施する委託。水道事業者が資金調達を行う。

④PFI:施設の設計、建設、維持管理等の業務について民間事業者のノウハウを活用して包括的に実施する委託。委託事業者が資金調達を行う。

⑤コンセッション:水道資産を地方公共団体が所有し、地方公共団体と民間事業者が事業権契約を締結することで、民間事業者が水道施設を経営する方法。間事業者が水道利用者から直接料金を徴収して水道事業を運営する。

⑥完全民営化:水道事業を実施している地方公共団体が、民間事業者に水道資産を含めた水道事業を譲渡し、民間事業者が資産を保有した上で水道事業を経営する方法。民間事業者が水道利用者から直接料金を徴収して水道事業を運営する。

■「官民連携の導入のための技術的提案を以下に示す」とありますが、実際は、「官民連携」の技術領域以外に入り込んでいます。

民連携の導入のための技術的提案を以下に示す。

対応時期は施設の更新にあわせて実施することが有効である。発注範囲はアセットマネジメントにより得られた更新需要や財政収支の見通しから課題を抽出し、その課題に対して目標となる対応レベル、対応期間を見極めて決定する必要がある。実施期間は、長い方が効果が期待できるが、請負者の倒産リスクを考慮する必要がある。機械・電気・計装設備の耐用年数が30年程度以内になることを踏まえ、対応期間は10年程度にすることが有効である

(3)リスクと対策

■一般論になっています。求めているのは2の提案内容に対するリスクです。問題の趣旨を考えましょう。

道事業は、水道水の安全性の確保と供給体制の持続性の確保が強く求められる事業である。そのため、リスクの分担に加えて、リスク発生を事前に察知し、またリスクが発生した際の対応策を事前に検討することが必要である。

・モニタリング実施によるトラブル予兆の早期発見

・ 水道事業者と民間事業者間の情報共有、信頼関係の構築

・ 水道事業者と民間事業者双方における事業継続計画等の策定

(4)業務遂行において必要な要件

■漠然とした技術者の責務になっています。この業務において、技術者倫理・社会持続性を高める要件を述べましょう。

設計、施工、維持管理等、業務遂行における全段階において、衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮する必要がある。また、社会、文化及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代に渡る社会の持続性の確保に努める必要があ。    以上

 本講座ではこのような細かい意味、対処法について具体的に添削指導しています。

Ⅱ−1−1

 地表水を原水とする浄水場に紫外線処理を導入する場合、確保すべき施設整備の技術的要件を述べる。

■サービス問題のように拝見いたします。不要な前置きなしに、単刀直入に述べて、楽勝で合格点を取りましょう。

リプトスポリジウムは耐塩素性の病原生物である。

クリプトスポリジウムは家畜の糞便の河川排出によって発生するため、浄水施設でクリプトスポリジウム等を十分に不活化できなければ、感染症による健康被害が発生する可能性がある

リプトスポリジウム対策として、紫外線処理設備を導入する必要があるが、確保すべき技術要件は以下の通りである。

①       原水はろ過処理水である必要がある。

②       原水濁度2度、色度5度、紫外線透過率75%超という条件を満足する必要がある。濁色度計、UV計等を設置し、常時監視を行う必要がある。

③       紫外線強度計により常時紫外線強度を監視し、紫外線(253.7nm 換算)の照射量が概ね 10mJ/cm2 以上得られていることを確認する。

④       ンテナンスや事故時に備え、予備施設を設ける必要がある

■↓こちらも得点にならない不要な後付けです。

おわりに

リプトスポリジウム対策としては、紫外線処理以外に処理水濁度を0.1度以下に処理できるろ過設備が挙げられる。ライフサイクルコストや維持管理性、将来の水質汚染リスク、環境負荷低減技術の導入などを比較検討し、最適な選択を行う必要がある。  以上

Ⅱ−2−2

   河川表流水を原水とする浄水場において横流式沈殿池からのフロック流出が問題となっており、改善が求められている。

 あなたが、この改善業務の担当責任者として進めるに当たり、下記の内容について説明せよ。

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点、工夫点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的・効果的に進めるための関係者との調整方法について述べよ。

1. 調査、検討すべき事項とその内容

■問題趣旨に含まれる前提事項に留まっています。

ロック流出が継続した場合、後段のろ過池の閉塞などの被害が発生するため、迅速な対応が求められる。

必要情報の整

(1)水水量、水質(濁度や色度)のデータ収
■横流式沈殿池からのフロック流出問題に対して、これのみでは対処は無理になります。

(2)既存施設に関する情報(施設台帳、財務台帳、維持管理台帳、構造物の図面など)

2.業務手順について、留意点、工夫点を含めて述べよ。

■確かな見通し(経験)に基づいた手順、提案をするようにしましょう。

(1)危害原因事象の抽出

・水源

 ・下水未処理水の放流

 ・湖沼の富栄養化

 ・油事故などの突発的な事象

・浄水場

 ・誤操作によるもの

・凝集剤注入量設定ミス

   ・原水流量の設定ミス

・老朽化などによるもの

   ・凝集剤注入設備の故障

   ・混和池の撹拌機の故障

   ・沈殿池の洗浄不足によるフロック流出

  ・薬品に関するもの

  ・凝集剤などが粗悪品

 ・管理の不徹底

(3)対策

■対策は求めていません。あくまでも「手順」を述べましょう。

・水源

 原水水質が変化している場合は、以下の手順で薬品注入量の変更や凝集剤の変更を実施する。

①  ジャーテスト

既存の凝集剤以外も含めた最適凝集剤注入量の確認

②  設備の見直し(必要に応じて)

③  実証実験(後段のろ過地への影響などの確認)

④  性能評価(処理水濁度など)

⑤  維持管理(貯留箇所や条件、凝集沈殿処理の管理方法の決定)

・浄水場

・誤操作によるもの

 凝集剤注入量や原水流量の適正化を行う。

・老朽化などによるもの

 定期的な点検、劣化状況の診断、健全性の評価を行い、補修や補強、更新などのいずれかの対策を講じる。

・薬品に関するもの

 薬品受入れ時の比重測定や品質の確認。適切な管理の実施

3.関係者との調整方法。

術者は、雇用者、上司や同僚、クライアントやユーザー等の関係者との間で、口頭や文書等の方法を通じて、明確かつ効果的な意思疎通を行う必要がある。このため、ICTを活用し、依頼主に迅速かつ確実に情報提供を行うとともに、関係者間で情報共有を行う。    以上

■雇用者としての責務になっています。一般論に留まらず、技術的内容を述べましょう。

ここで求められているのは「横流式沈殿池からのフロック流出問題解決」に際しての調整です。

また、末尾の「以上」はなくても構いません。

Ⅲ−2

 水道事業では,外部環境として,原水水質の悪化,水需要の減少及び自然災害の頻発化への対応等の多くの課題を抱えている。また,内部環境として,水道事業の基幹施設である多くの浄水施設で老朽化が進んでいる。このため,今後の水道水の安定供給に向けた浄水施設の更新や機能強化が求められている。  上記の状況を踏まえ,水道分野の技術者として,以下の問いに答えよ。 

(1)浄水施設に関して,上記の要因を考慮した多面的なそれぞれの観点(水質,水量,強靭)について複数の課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。 

(2)前問(1)で抽出した課題のうち,強靭の観点に関して,近年の自然災害を踏まえ,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対して浄水場で実施する場合の複数の解決策を具体的に示せ。 

(3)前問(2)で提示した解決策に新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

(1)水質、水量、強靭に関する課題。

■ここは不要な前置きです。問題文では「・・上記の状況を踏まえ」と書かれているにすぎず、その内容を記述することは求めていないことを理解しましょう。

本の水道事業は、高度経済成長期に建設した水道施設が耐用年数に達し、今後それら施設の更新・再構築が急務となっている。

併せて、頻発する地震や集中豪雨などの自然災害への対策も必要であり、それら事業の実施に必要な資金、人員の確保が必要である。

しかし、人口減 に伴う給水量減 のような外部環境の変化により、現状の料金体系にあっては、必要な収入を確保することが困難な状況となっている。

また、団塊世代職員の大量退職による水道施設職員の減少や高齢化により、人材不足や水道技術の継承、水道サービスの質の低下、災害時対応力の低下が課題となっている。

そんな中、特に中小規模の事業体においては、その多くが技術基盤や財政基盤が脆弱であるため、将来に渡る持続可能な水道事業の運営が困難な状況である。

また、近年、都市部への人口集中、産業構造の変化、地球温暖化に伴う気候変動等の様々な要因によって水循環の健全性が損なわれている

■ここから下が真の課題です。しかし、箇条書き形式では、技術者としての見解が読み取れないので気をつけましょう。

以上の事を踏まえ、水道事業の役割は、新水道ビジョンで掲げている「安全(水道水の安全性の確保)」、「強靭(確実な給水の確保)」、「持続(供給体制の持続性の確保)」を維持する事である。

そのため、克服すべき課題としては以下の事項が挙げられる。

・安全

水源保全、水質・水量監視、水安全計画に基づく施策の推進

・強靭

耐震化対策、事故・災害に対する危機管理体制の構築

・持続

適切な資産管理(点検を含む維持・修繕やアセットマネジメントの活用)、広域連携、官民連携、人材育成・組織力強化、ICT活用や省エネによる経営効率の向上、給水人口減少を踏まえた水道事業の再構築

 水質、水量、強靭に関する具体的な課題は以下の通りである。

・水量

①地下水の過剰揚水による地盤沈下

②都市化の進展等により雨水の地下浸透量が減少

・水質

①過疎化等により森林や農地の手入れがされず水源涵養機能が低下する地域が存在する。

②湖沼等の閉鎖的水域は改善されておらず、水道水の安全性が損なわれている。

・強靭

地震や集中豪雨などの自然災害への対策

(2)最も重要と考える課題と対策(強靭:浄水場)

 地震は広範囲で被害が発生するため、重要課題として挙げる。

■解決策の内容はわずかこれだけです。わずか10行ではコンピテンシーを十分に表現できません。

・耐震化対策

①  施設の耐震化(耐震設計、耐震補強、耐震管や伸縮可とう管の布設)

②バックアップの確保(施設間のネットワーク化、施設の複数化(予備施設)、連絡管の整備、自家発電設備の整備)

・応急対策

①応急復旧(人員の確保、資機材の備蓄(配管材料、補修金具等))

②応急給水(人員の確保、資機材の備蓄(給水車、ボトルウォーター等)、拠点給水施設の整備)

(3)リスクと対策

■ここは設問を誤解されています。出題者は2で解答したご自分の提案「耐震化、応急対策」についてのリスクを聞いています。なぜかというと自らの方針の見直しやチェック能力を求めているからです。(それが技術士の資質、能力というものです)

問題文の意味を解釈しても答えになりません。

日本大震災等では液状化発生地区、盛土地区における管路被害が多く発生している。

設計段階では適切な技術であっても、新たに発生した災害等により、新たな課題が明らかになる場合もある 

これ↑がリスクというものです

このため、被害想定にあたっては、ハザードマップ等により旧河道、埋立地等の液状化の可能性がある地区、盛土地区を十分把握する必要がある。

被害想定を再度実施したうえで、耐震補強や耐震設計の見直しや、耐震管や伸縮可とう管の変位量、伸縮量の見直しを図る必要がある。       以上

R2年 建設部門、鋼構造及びコンクリートの答案について添削致しました。 20200923

答案の一覧>

この答案についての講評

 この試験答案ⅠⅡⅢの評価はBBBとのことでした。その理由としてⅠは具体的な提案ができていなかったことがあげられます。また、ⅢではBIM/CIMについて具体的な提案ができていなかったことがあげられます。敗因について「専門知識の不足」を挙げる方がたくさんいらっしゃいます。しかし、技術士試験の答案の通りの知識をあらかじめ暗記しておくなどということは無理です。Ⅲの問題のテーマBIM/CIMはスパーゼネコンや大手設計などが手掛けていますが、そのほかではまだ実施されていません。先進的な問題でした。技術士としての「技術応用」するには経験業務から選ぶ必要があります。おそらくこの方もⅢ-1ではなくⅢ-2(性能規定)を選択されたら具体的に提案が可能だったかと思います。このような対応力は練習を重ねていけば、身につけられます。この方も初回受験とのことで試験の経験知が不足されていた可能性があります。実際、講座の受講生様でそのように問題を変えられて正解されている方もいらっしゃいます。本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので、このようにどこがいけないかわからない、どう書いたら正解できるかわからない方に是非お勧めいたします。

 技術士としての「技術応用」の提案力は練習を重ねていけば、能力を高めていけますので、楽勝で合格することが可能です。本研究所ではコーチング形式で応用力を高める練習をしておりますので、このようにどこがいけないかわからない、どう書いたら正解できるかわからない方に是非お勧めいたします。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(33分15秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題  Ⅰ-2 

 我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速度的に高くなる見込みであり、急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また、高度経済成長期と比べて、我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。こうした状況下で、社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)社会・経済情勢が変化する中、老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての論理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

1.社会インフラをメンテナンスするための課題

(1)効率的なメンテナンスに資する技術開発の促進

 我が国の建設業就業者は2040年に現在の500万人から40%減少する見込みである。そんななか、今後老朽化したインフラの修繕、更新が増加する。一方でICTAI技術などのテクノロジーの発達はめまぐるしい

■実にあいまい。暗にICT、AIを示唆するだけで、答えを読み手に推論させるのは△

 よって、テクノロジーを有効活用しメンテナンスを効率的にする観点から、メンテナンスに資する技術の開発を促進させることが課題である

(2)戦略的なインフラの撤去・集約

 我が国の長期債務残高はGDPの2倍に上る。社会インフラを効率的に維持管理するためには投資を選択と集中する必要がある。しかし、スプロール化の影響で利用率の低いインフラが散在している。

■これは事業主の視点です。「社会インフラの戦略的なメンテナンス」を建設鋼コン技術者として行うには違う視点でしょう。

 よって、社会インフラの利用率が低下している観点から、戦略的にインフラを撤去・集約することが課題である。

(3)地方自治体の効率的な予防保全への移行

■実にあいまい。暗に地方自治体のインフラ管理手法の改善を示唆するだけで、答えを読み手に推論させるのは△

今どき維持管理を事後保全から予防保全へ移行するのは当然すぎます。

 これまでの事後保全管理は劣化が顕著になるまで放置するため、修繕費が高く、寿命が短い。今後は、劣化が軽微な段階で修繕する予防保全管理で維持管理費を削減する必要がある。しかし、地方自治体は財政難や人材不足で予防保全管理ができていない。

■「地方自治体の行政改革」の話は不要です。政策は求めていません。

それより技術的に、効率的な予防保全法を提案してください。

 よって、社会インフラのライフサイクルコストを縮減する観点から、地方自治体のインフラ管理手法を効率的な予防保全へ移行することが課題である。

2.重要な課題とその解決策

 ここでは1.(3)の「地方自治体の効率的な予防保全への移行」を重要な課題として挙げ、以下に二つの解決策を記述する。地方自治体は9割の公共インフラを管理している。地方自治体の管理手法が予防保全への移行することで、効率的なメンテナンスになるため重要な課題と言える。

(1)データ活用型インフラメンテナンスの実施

 各管理者が保有しているインフラデータを集約し一括管理することで、適切な補修時期を判断することができ、地方自治体が予防保全へ移行できる。

■あまり独創的な方法でもありません。過去データを生かして判断するなんて、従来からしていることでは。建設の専門技術の提案もありません。

 たとえば、道路橋にひび割れが生じている場合、集約した過去の点検結果から類似の劣化を検索し、対策の必要性を判断できる。予防保全するためには、劣化が顕著になる前に修繕する必要がある。よって、適切な補修時期を判断する必要がある。過去の点検結果などを参考とすることで、劣化進行を予測でき、適切な補修時期を判断できる。

(2)ICT技術を活用した点検の実施

 点検にICT技術を活用することで、点検コストを削減でき、予防保全のための修繕費を確保できるため、地方自治体が予防保全へ移行できる。

■ICTはわかりますが、自治体の改善ではなく、現場の改善普及を訴えるように。例えばの1事例では汎用性がありません。1点がわかるだけでなく、全体の応用性、汎用性も示してください 。

■問題点にとらわれすぎ。ここ↓だけ話が冗長です。

 たとえば、高架橋の点検でドローンとAI画像診断技術を活用すれば、仮設足場や点検者を不要とでき点検コストを削減できる。地方自治体は道路構造物の5年に1回の点検を実施するのに精一杯で、予防保全のための修繕費を確保できていない。地方自治体は予防保全のための修繕に2割しか着手できていない。今後、点検データ蓄積していけば劣化予測精度が向上する。

■ツールに依存するとどうして誤診断なのですか。そんないい加減な方法は使わないはず。前提がお粗末では正しいリスク分析とは言えません。

3.解決策に共通して生じうるリスクとその対策

 上記2で挙げた解決策は、点検や診断がツールに依存するため、点検結果を誤診断するリスクがある。たとえば、ひび割れは発生位置によって対策の必要性が異なる。AI画像診断ではひび割れ幅のみで評価してしまう可能性がある。

 その対策として「点検技術者の資格の義務化」を挙げる。点検、診断の知識を有する技術者がツールを活用することで誤診断を防止する。近年、テクノロジーの発達で多種の点検技術が開発されている。最適なツールを有資格者が選定し、適切に点検をおこなう。

4.業務遂行に必要となる要件

(1)技術者倫理の観点

ICTなどは新技術であるため検査体制が確立していない。このような状況でも、公衆の安全、利益を優先し改ざんなどはおこなってはいけない。

■技術者倫理を言うのに「改ざん」は問題外でしょう。もっとふさわしい、高度で微妙な判断を披露すべきです。

 (2)社会持続可能性の観点

 建設業の二酸化炭素排出量は全産業の2割を占めている。地球環境の保全のため、インフラを長寿命化させ、建設行為を削減する必要がある

■解決策は維持管理の提案ですから、すなわち長寿命化の一環です。

長寿命化は目的としていたことなのだから、ここでの要件にはなりませんん。

つまり同じことのダブリ。考えるまでもない答えです。

本講座ではこのような細かい意味、対処法について具体的に添削指導しています。

Ⅱ−1−3

 コンクリート構造物の品質を確保した上で生産性向上に資する取組について,次の①と②のうち1つを選択し,下記の内容について説明せよ。

① 機械式接手工法のコンクリート構造物への適用に関する各種ガイドライン等が整備され,機械式継手工法の採用が拡大している。機械式継手工法による生産性向上の効果について述べ,機械式継手工法を採用した場合の設計・施工の留意点について述べよ。

② JIS A 5308 (レディーミクストコンクリート):2019に,普通コンクリートの呼び強度とスランプフロー45cm, 50cm, 55cm, 60cmの組合せが追加された。これらのコンクリートの特色と,コンクリート構造物に採用する上での効果と留意点について述べよ。

②に対して記述する。

1.追加されたコンクリートの特色 

 材料分離抵抗性を有した状態でスランプを高めたコンクリートである。自己充填性に優れるため、締固めを不要とできる。一般的に高流動コンクリートと言われている。製造方法は、粉体量を増加させる方法と増粘剤を使用する方法がある。流動性のランクは1〜3に分類されている。

2.コンクリート構造物に採用する上での効果と留意点 

(1)効果 

品質を確保した上で生産性向上に資する取組を説明するように。

自己充填性に優れるため、締め固め作業を不要とでき、生産性が向上する。これまでは、経験が浅い技能者が締固め作業をおこなうと、締め固め不足で豆板などが生じることがあった。高流動コンクリートは締固め不良による初期欠陥を防止できる。とくに、柱と梁の接合部の過密配筋となる部位で使用すると効果的である。

(2)留意点 

 粉体量を増加させた高流動コンクリートの場合、水和熱の上昇による温度ひび割れに留意する必要がある。粉体として単位セメント量を増加させると、水和熱が大きくなり体積変化量が増加する。

その対策として、セメントとフライアッシュを置き換える。フライアッシュは水和熱低減効果があるため、温度ひび割れを抑制できる。

Ⅱ−2−2

   既設構造物を使用しながら,改築・増築,又は補修・補強に関する業務を行うこととなった。この業務を鋼構造あるいはコンクリートの技術に関わる担当責任者として進めるに当たり,下記の内容について記述せよ。

(1)対象とする構造物を1つ挙げ,工事中の既設構造物の使用条件を設定し,業務の内容を明確にした上で,調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順とその際に留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。。

「コンクリート」の立場で記述する。

対象とする構造物:コンクリート橋(1径間RCT桁)、主要地方道に架橋されている、片側1車線。

 工事中の既設構造物の使用条件:片側1車線の通行を可能とする。 

前置きが↑長いです。

業務内容:劣化したRCT桁の主鉄筋を入れ替える補修業務。

1.調査、検討すべき事項 

(1)既往資料の調査 

 設計時の想定荷重、使用材料を確認し、劣化原因を特定するため、既往資料を調査する。

確かに必要ですが、↑これらは事前に済ませておくべき事項。参照はしますが調査するほどのことではありません。

主要な事項に集中して、発散させないことです。

(2)周辺環境の調査 

補修設計、施工計画をするために交通量や周辺環境を調査する。 そしてどうするのか、検討は?

(3)外観調査・物理試験 

劣化程度を把握するため、外観調査をする。また、劣化原因を定量的に把握するため、物理試験をおこなう。試験は中性化試験、塩化物含有量試験など。

これ↑が1のメインです。力説する。

一方、↓下記は不要です。

(4)緊急措置の必要性の検討 

道路使用者の第三者被害を防止するため、緊急措置の必要性を検討する。

(5)補修工法の検討 

 保有性能を回復させるための補修工法を検討する。

2.業務を進める手順 

①劣化原因の特

1で書くべき事項を2でも引きずっています。冗長感

 補修後の再劣化を防止するため、劣化原因を特定する。その際、複合劣化に留意する。たとえば、塩害と中性化の複合劣化が生じていた場合、双方の対策が必要となる

調査、検討の手順はどうなっていますか。そこがメインのはず。

②補修設計 

機能を回復させるため補修設計をおこなう。その際、鉄筋を入れ替える際におこなう断面修復による新旧コンクリートの電位差によるマクロセル腐食に留意する。電位差をなくすため犠牲陽極材埋設などを採用するように工夫する。

③施工計画 

ここ↓は、ほとんど「施工計画」の事項です。建設・鋼コンとしてはどうですか。

筋を入れ替えるための施工方法を計画する。その際、鉄筋撤去時の応力状態に留意する。無鉄筋で応力超過する場合、支保工を計画する。 

④補修工事 

 機能を回復させるため、補修工事をおこなう。その際、新旧コンクリートの一体性不良に留意する。ドライアウトを防止するため、下地を水湿しする。

3.業務を効率的、効果的に進めるための調整方策 

鋼コン技術士としての貢献はありませんか。あまり難しくない話ばかり。間違いではありませんが、ごく普通なような気もします。これでは技術士としてのコンピテンシーをアピールできません。

 工事の中断を防止するため地元住民と調整する。設計段階で地元説明会を開催し、工事の必要性を説明し、工事の理解を得る。工事中は、進捗状況を広報する。

工事の手戻りを防止するため、設計者、発注者、施工者で工事着手前に3者会議をおこなう。その際、3次元モデルを使用すれば、工事の理解が早まる。

Ⅲ−1

 Ⅲ−1 国土交通省は,調査・測量から設計,施工,検査,維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスでICT等を活用する「i ―Construction」を推進し,建設現場の生産性を,2025年度までに2割向上させることを目指している。建設業で生産性を低下させている要因の1つとして,2次元の紙の図面で各種作業を進めていることが挙げられることから,建設生産・管理システムでも3次元モデルを利活用することで,全体の効率化・高度化を図る,いわゆるIM/CIMが生産性革命のエンジンとして推進されている。このような 状況を踏まえ,鋼構造あるいはコンクリートに関わる技術者の立場から以下の問いに答えよ。

(1)BIM/CIMの活用により生産性の向上が期待できる業務を1つ挙げよ。また,BIM/CIMを導入してその業務の生産性を向上させるために解決すべき課題を多面的な観点から抽出し,その内容を観点とともに示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前間(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

「コンクリート」の立場で記述する。

ンクリート橋の設計・施工・維持管理の生産性を向上させるため、CIMを活用する業務を挙げ記述する。

■↑問題文の前提の確認にすぎません。

「BIM/CIMの活用により生産性の向上が期待できる業務」がなぜこれで生産性の向上をするかあいまいです。具体的に何をどう造るか宣言するようにしましょう。

1.CIMを導入するための課題 

(1)各部門のCIM技術者の育成 

 国は2023年までに全工事にBIM/CIMを適用する計画である。BIM/CIMは建設プロセスで一貫して活用しなければ効果を発揮しない。たとえば、設計・施工で3次元モデルを活用しても管理者が活用できなければ、効果を発揮しない 

 よって、CIMを建設プロセスで活用する観点から、各部門のCIM技術者を育成することが課題である。 

■残念ながらここはCIMの答えになっていません

(2)官民の連携強化 

■事務的な話になっています。CIMの問題を考えましょう。

 設計段階でCIMとして3次元モデルを作成すれば、鉄筋の干渉、縦断図と横断図の不整合などを防げる。しかし、3割の市町村では技術職員がいないため、市町村のみではCIMを活用できない。 

よって、CIMを普及させる観点から、官民の連携を強化することが課題である

■この問題は、やはりCIMをやったことのある人しか選択すべきではありません。大手ゼネコンや設計事務所、技術コンサル・・など。経験知がなければ解けないと思います。

(3)中小企業へのCIM活用の拡大 

■CIMとはこのような、企業の問題ではありません。

 3次元モデルは維持管理を高度化することができる。たとえば、CIMでコンクリート橋を施工し、その3次元データを保管しておけば、地震による被災後、3次元測量をするだけで変位量や損傷程度を把握できる。しかし、中小企業では金銭、人材の不足からCIMの活用が進んでいない。 

 よって、CIMの利用を拡大させる観点から、中小企業のCIM活用を拡大させることが課題である。

2.重要な課題とその解決策 

■問題がすり替わっています。公共事業の受注問題の話ではないです。

 ここでは1.(3)の「中小企業へのCIM活用の拡大」を重要な課題として挙げ、以下に二つの解決策を記述する。公共工事の7割を地方自治体が発注しており、その業務を中小企業が受注している。BIM/CIMを推進し生産性を向上させるため、中小企業へのCIM活用の拡大は重要な課題と言える。

(1)BIM/CIM専用のデータセンターの設置 

■形式的なことでは解決しません。

■外見的、事務的にできることだけ考えていませんか。

それよりもソフトやノウハウを確立することが大事です。

 BIM/CIMのデータを集約し公表することで、そのデータを参考にしてBIM/CIMを活用できるようになるため、中小企業のCIM活用が拡大する。

■添削はここまでといたします。

 たとえば、コンクリート橋の設計でCIMを活用する場合、類似の橋梁形式、橋長のものを検索すれば、そのデータを参考とできる。そうすることで、中小の建設コンサルタントが設計段階でCIMを活用できるようになる。また、データセンターで3次元モデルのビュア、編集ソフトを無償で提供することで、金銭的にCIMを導入できない中小企業でも3次元モデルが作成できるようになる。

(2)簡易型ICT工事の実施 

 「3次元設計データの作成」、「3次元出来形管理」、「3次元データの納品」のみでICT工事として経費計上、工事成績の加点を受けられるため、中小の施工会社のICT施工が進み、CIMを活用した工事が拡大する。

 たとえば、ICT施工を施工会社がおこなうことで、3次元モデルを活用できるようになる。CIMで設計しても施工会社がICT施工をおこなえなければ、CIMの効果が発揮できない。中小の施工会社は経営上ICT建機を購入できない。簡易型ICT工事は、ICT建機がなくてもICT施工と認められるため、3次元モデルを活用する機会が増える。

3.解決策に共通して生じうるリスクとその対策 

 上記2で挙げた二つの解決策は、業務がシステムに依存し技術的検証をおこなえず、品質低下が生じるリスクがある。たとえば、3次元モデルを活用した出来形管理ではコンクリート打設後、形状計測を3次元レーザースキャナでおこなう。仕上がり状態を目視確認する機会が減るため、豆板などの初期欠陥を見落とす可能性がある。

その対策として「CIMの技術基準、検査基準の整備」を提案する。たとえば、CIMでは半自動で数量を算出できる。しかし、これは算出過程がブラックボックス化して検証がおこなえない可能性がある。そこで、CIMの技術基準、検査基準を整備し、技術的検証をおこなう。また、CIMの技術者制度をつくる。

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