総合技術管理部門 H29論文の解き方1

 2017年の総合技術管理部門、記述式の論文、I-2問題について、解きかたを考えてみましょう。

問題はこうです。

 2015年に「国連持続可能な開発サミット」が開催され,持続可能な開発目標(SDGs)を含む「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。これは,開発途上国の開発に関する課題にとどまるものではなく,世界全体の経済,社会及び環境の三側面を,不可分のものとして調和させる統合的取組である。

 我が国でも政府がSDGs推進本部を設置し,実施指針を示している。その中では,「持続可能で強靭,そして誰一人取り残さない,経済,社会,環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す」ことがビジョンとして掲げられ,8つの優先課題と具体的施策が示されている。表1がその具体的な内容であり,これらは日本としての施策の観点からまとめられているものの,総合技術監理部門の技術士にとっても参考となろう。

 ここでは,総合技術監理に携わる技術士として,事業における持続可能性(Sustainability)に関する課題を考えていきたい。持続可能性は,持続可能な開発(持続可能な発展とも訳されており,この方が先進国の実態には近い。)の前提となる概念であるが,経済,社会,環境などが将来にわたって適切に維持・保全され,発展できることを意味している。

 なお,事業は有期のプロジェクト(開始と終了が計画されている。)とは異なり,ある程度の継続性を前提としたまとまりとして捉えるべきものである。例えば,一定の地域における水循環システムを対象とした上下水道事業などが該当する。また,水供給のみに限定し上水事業として捉えることもできるし,水処理事業,浄水場維持管理事業などとして限定的に捉えることも可能である。ただし,例えば個々の浄水場建設や高度水処理システム更新工事などは一過性のプロジェクトであり,ここでの事業の定義とは異なる。その他にも事業としては,河川維持管理事業,道路交通安全事業,電気自動車事業,医薬品事業など様々なものが挙げられよう。

 ここで,あなたがこれまでに経験した,あるいはよく知っている事業を1つ取り上げ,その事業が目指している社会ニーズの充足や目的とする成果物の創出などを考えたとき,事業が対象としている経済,社会,環境などの持続可能性について,その課題と解決の方向性について,総合技術監理の視点から以下の(1)〜(4)の問いに答えよ。ここでいう総合技術監理の視点とは,「業務全体を俯瞰し,経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理に関する総合的な分析,評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う」立場からの視点をいう。また,表1の内容は施策を示したものであり,参考として利用することは推奨するものの,この中から項目を選択することを誘導しているものではない。

 なお,書かれた論文を評点する際,考察における視点の広さ,記述の明確さと論理的なつながり,そして論文全体のまとまりを特に重視する。

表1 8つの優先課題と具体的施策

1あらゆる人々の活躍の推進

■一億総活躍社会の実現

■女性活躍の推進

■子供の貧困対策

■障害者の自立と社会参加支援

■教育の充実

2健康・長寿の達成

■薬剤耐性対策

■途上国の感染症対策や保健システム強化,公衆衛生危機への対応

■アジアの高齢化への対応

3成長市場の創出,地域活性化,科学技術イノベーション

■有望市場の創出

■農山漁村の振興

■生産性向上

■科学技術イノベーション

■持続可能な都市

4持続可能で強靭な国土と質の高いインフラの整備

■国土強靭化の推進・防災

■水資源開発・水循環の取組

■質の高いインフラ投資の推進

5省・再生可能エネルギー,気候変動対策,循環型社会

■省・再生可能エネルギーの導入・国際展開の推進

■気候変動対策・循環型社会の構築

6生物多様性,森林,海洋等の環境の保全

■環境汚染への対応

■生物多様性の保全

■持続可能な森林・海洋・陸上資源

7平和と安全・安心社会の実現

■組織犯罪・人身取引・児童虐待等の対策推進

■平和構築・復興支援

■法の支配の促進

8SDGs実施推進の体制と手段・マルチステークホルダーパートナーシップ

■国際協力におけるSDGsの主流化

■途上国のSDGs実施体制支援

(1)本論文においてあなたが取り上げる事業の内容を次の1)〜3)に沿って示せ。

 1)事業の名称及び概要を記せ。概要については,事業の対象範囲についても明示すること。

 2)この事業の目的(充足すべき社会ニーズ)を記せ。

 3)この事業の成果物(創出すべき製品,構造物,サービス,技術など)を記せ。

 問題は複雑ですが、問い(1)は本題である問い(2)以降の前提となる業績を定義できれば良いのです。

好ましくない解答例

(1)事業内容

1)-1事業名称 首都圏を除く関東地区における建物維持保全工事

1)-2事業の概要 建物の屋上外壁修繕工事,耐震補強,天井下地補強工事

2)事業の目的 建物修繕維持,構造補強で倒壊防止,天井下地補強で落下防止

3)事業の成果物 水平震度1G垂直震度0.5Gに対応できる天井の組み方

 上記の解答では、表1マーカー部に相当しており、条件的には誤りではありません。その業務内容は確かにわかりますが、いくつかの理由で答えとして適切ではありません。その理由は、

  • 「建物維持保全工事」では、個々の工事自体は一過性のプロジェクトであり、開始と終了が計画されている有期のプロジェクトである。
  • 建設部門の業務そのものに近く、総合技術管理部門の問題解決を前提としたまとまり感に欠ける。

 このため、業務内容は、部門、科目の要素技術そのものではなく、

多少経営的なマネジメントまでを含む業務の総体と考えた方が良い

と思います。

 例えば正解は次のような内容です。

理想的な解答例

(1)事業内容

1)-1事業名称 新築工事獲得を有利にするためのメンテ工事によるパートナー作りビジネス

1)-2事業の概要 建物の屋上外壁,耐震補強,天井下地補強,インフラ更新

2)事業の目的 顧客の建物への要望に即応し好感度UPし特命発注率を高める

3)事業の成果物 新築案件引渡後も継続的な受注ができ顧客の事業発展に貢献

 技術士総合技術監理部門の試験では、総監の知識や、総監以外の建設部門や機械部門の知識を確認する試験ではなく、総合技術監理部門の専門家にふさわしい、俯瞰的な視点からの判断や行動力が問われる試験です。文部科学省では、この試験では部門の枠を超えて会社全体をマネジメントする上級プロエンジニアとしての能力を診断するため、独自のケースを受験者自らが提案し、その業務に由来する課題解決能力を測ります。このため、

問い(1)はプレゼン提案を考えるための前提条件に過ぎず、高度な業務である必要は無い

ということです。逆に考えるとあとに控える本題において答えやすいように、

単純で説明しやすいご自身の日常業務を取り上げることがベストである

ということです。ただし、ある程度を俯瞰的なマネジメントが役立つように建物のメンテというような個別の業務ではなく、

ある程度(経営者のような)俯瞰的な視点からの判断を必要とする、技術経営的に見て業務的に広がりのある業務

が良いでしょう。

 本研究所では、上記の添削のように、字句の直しだけでなく、答案としての構成がふさわしくないと感じられた時は、音声ガイドを用いたコーチングにより骨子に立ち返って修正をしながら、総監としての合格力を高めることに努めております。

建設・道路Ⅱ-2問題の解き方3

 2017年の建設部門、道路のⅡ-2問題について、引き続き解きかたを考えましょう。

問題はこうです。

 A市では、バイパスが完了し市内の交通状況に変化が生じていることから、中心部の4車線の幹線道路について、歩行者と自転車の輻輳による危険性や様々な地域課題の解決に向け、道路空間の再配分を検討することになった。この検討業務を担当する責任者として、下記の内容について記述せよ

(1)事前に調査する事項

(2)業務を進める手順

(3)業務を実施する際の工夫や留意事項

 前回(2)まで解答しましたので、今回は(3)から。ここでは「業務を実施する際の工夫や留意事項」と求められていますが、「工夫、留意事項とは」何でしょう。

 工夫、留意事項とは、作業の付加価値です。道路空間の再配分において、ただ、歩行者、自転車、車を必要とする幅〇mとする・・・ではなく、どうやってその品質を高めるかです。

 あなたならどうするか「ものづくりの品質やサービスの品質を挙げる工夫を提案せよ」

と読み替えるとわかりやすいでしょう。

好ましくない解答例

(3)業務を実施する際の工夫や留意事項

1) 車両・自転車・歩行者の通行空間を分離する:自動車、自転車・歩行者の相互安全・円滑性のため通行空間を分離。

2) 自転車網を設定する:BP完成に伴う自転車交通の円滑化のため、対象エリアの自転車網を再設定。

3) 市街地の魅力を創出する:景観向上、防災機能の強化のため無電柱化する。

4) 沿道生活環境を確保する:大気汚染を浄化し、自動車騒音低減、道路粉塵を補足するため、道路緑化を行う。また、車道部の低騒音舗装を行う。

 この解答では、業務課題解決の方法は確かにわかりますが、それをどのように工夫して上手に行うかという提案を答えていません。

  • バイパスが完了して中心部の4車線の幹線道路の交通量が減っているから、その余裕を利用して歩行者と自転車道を広げる
  • 歩行者と自転車の輻輳による危険性があるから、両者を分離する
  • 地域の課題を探して、道路によって改善する。

 実はこれを動巧みに行うかというのが問(3)の趣旨であり、一般的な道路計画は求めていないのです。そこでこのような、出題者が用意した特記事項に対して提案する問題で注意すべき事は

解決策の提案に示した事項に対して、効果的に、品質アップを図る方法を提案する

ということです。解決策は(2)で述べたので、それに対してただ対策するのではなく、の方向性を見極めて、業務手順を提案することです。

  • 解決策を実施する際に問題となりそうなことを予測して、未然に解決する。
  • コストがかかる要因を探して、コストダウンできる改善案を提案する。
  • 長寿命化、高品質化、安全性、社会環境的に品質がアップするような提案をする。

 こうした実施方法の改善案は常に求められることを前提に考えておくべきです。

 試験官はこうした、特に答えを求めていない問いに対して、ちゃんと顧客の利益を考えて品質改善の提案ができるかを見極めて、プロエンジニアとしての対応力を採点しようとしてるわけです。ですから「解決策」の良さとともに、(3)の留意点でさらに改善されると技術者としての評価が高まります。

 例えば正解はのような内容です。

理想的な解答例

(3)業務を実施する際の工夫や留意事項

車線数(2車線に縮小)は時間単位の検証する

 交通量は地域や路線により時間変動特性を有するため、2車線の妥当性検証は、それに応じた車線数を決定する必要がある。車線数縮小に伴う、ピーク・方向特性、大型車混入率等の変化を考慮した時間単位の交通量を検証し適切な車線数とする。

細路交差点の集約化・改良し交差点容量向上する

 車線数の縮小により細路交差点への新たな交通需要が発生する恐れがあり、細路交差点の効果的な集約化を行い右折交通量に応じた滞留長の確保、及び従道路側で小型車1台分の滞留スペースを確保する。

歩行者・自転車道は余裕のある通行空間確保する

 歩行者・自転車道とも、交通量に応じた幅員とするが、歩行者道は車椅子と歩行者の並行に必要な幅員とし、自転車道は、対向に必要な幅員を確保する。このため、各々余裕のある最小w=2.0mを確保する。

 技術士試験は、知識を確認する試験ではなく専門家としての判断や行動力が問われる試験です。文部科学省ではプロエンジニアとしての能力を診断するため、解決策としてすべきこと以外に、任意で独創的な品質管理能力を測ります。このため、

言われたことをやるだけでなく、顧客のニーズを先取りして提案しなければならない。

ということです。今回の問題のように、一貫性をもって解決内容の高度化を図ることを提案できれば、

一般的に行われる道路技術を用いた改善や、最近のニーズを予測した提案をすると専門家らしさが増す

ということです

 このような解答者としてのマネジメント方法を学ぶのに役立つのが、コーチングです。 本研究所では従来の添削による赤ペン指導ではなく音声ガイドを用いたコーチングにより合格力を高めるのに成果をあげています。

建設・道路Ⅱ-2問題の解き方2

 2017年の建設部門、道路のⅡ-2問題について、さらに解きかたを考えましょう。

問題はこうです。

 A市では、バイパスが完了し市内の交通状況に変化が生じていることから、中心部の4車線の幹線道路について、歩行者と自転車の輻輳による危険性や様々な地域課題の解決に向け、道路空間の再配分を検討することになった。この検討業務を担当する責任者として、下記の内容について記述せよ

(1)事前に調査する事項

(2)業務を進める手順

(3)業務を実施する際の工夫や留意事項

 前回(1)を解答しましたので、今回は(2)から。ここでは「業務を進める手順」と求められていますが、「手順とは」何でしょう。

手順とは、作業の順番です。道路空間の再配分を検討する、すなわち歩行者、自転車、車を幅何mとし、交差点をどう作るかです。

好ましくない解答例

(2)業務を進める手順

1)主要道路の交通容量の解析:現道の再配分検討資料として対象エリアの主要道路について交通容量を解析。

2)主要地点の交通量推計:社会環境変化による主要地点の将来交通量推計。

3)混雑率の計算:現況・将来交通量の混雑率を把握。

4)現道の計画横断構成の設定:現道の歩行者・自転車の安全走行及び沿道環境向上を図った横断面構成を設定。

5)再配分に対する渋滞予測:再配分横断構成により渋滞予測・解析。

6)道路断面の変更に伴う環境アセス実施:再配分による沿道環境の変化を環境アセスで確認。

7)現道の計画横断構成の決定:上記の5)、6)を踏まえ計画横断構成を決定。

 この解答では、実際の業務がどのように行われるかは確かにわかりますが、問題の焦点となってい次のことに答えていません。

  • バイパスが完了して中心部の4車線の幹線道路の交通量が減っている。
  • 歩行者と自転車の輻輳による危険性がある。
  • 地域課題の解決が求められている。

 実はこれに答えるのが問題の趣旨であり、一般的な道路計画の説明は求めていないのです。そこでこのような、出題者が用意した特記事項に対して提案する問題で注意すべき事は

提起された問題点の解決を最優先課題とし、一般的事項は省略する

ということです。そして、解決策の提案が求められていますので、漫然とただ調べるのではなく、解決策の方向性を見極めて、業務手順を提案することです。

  • 中心部の4車線の幹線道路の交通量が減っているから、2車線とし、空いたスペースを有効に利用する。
  • 歩行者と自転車の輻輳による危険性があるから、余裕を持って過ごできるよう各レーンを設ける。
  • 地域課題として、道路空間の景観の向上が求められているため、電線を地中化する。

 上記の提案はほんの一例にすぎません。こうした要求に対する答えを調べるとは決して難しくはありません。手っ取り早く調べる方法は「歩行者 自転車 共存 中心市街地」のキーワードでネット検索してみることです。例えば、
中心市街地活性のページでは、ちょっと大きな話ですが、地域課題である街並みの活性化をどのように取めば良いかという政策がうかがえます

 
都市における自転車通行空間の創出のページでは多数の自治体による取り組みの事例が整理されており、道路空間の断面図、すなわち再配分の答えみたいなものまで示されています。> 

都市計画道路 狐小路尼寺線(元茶畑工区)【仙台市】

 試験官はこうした、提案力や問題解決力を読み取って、プロエンジニアとしての判断力を採点しようとしてるわけです。ですから正解である答えの「手順」とともに、具体的解決の方向性を添えて述べると完全な答えとなります。

 例えば正解はのような内容です。

理想的な解答例

 (2)業務を進める手順

1)現道を2車線に縮小する前提の交通容量解析

現道の主要地点について2車線に縮小し、交通量が処理できることを解析する。

2)主要地点の交通量・混雑度推計

社会環境変化による主要地点の将来交通量を推計し、現況・将来交通量の混雑度を推計しその最大容量を目標とする。

3)2車線道路に縮小、渋滞予測し横断構成の設定

現道を2車線に縮小する条件で渋滞予測・解析し、

渋滞長が最小となる計画横断構成を設定する。

4)歩行者、自転車、自動車通行空間を各々分離するこ

とにより相互の通行安全性を向上させ、交通容量や走行速度低下を防ぎ、自動車交通の円滑化を図る。

5)無電柱化による景観保護:電力配電及び、通信に必要な地中配管のスペースを確保する。

6)沿道環境保護:緑化を進めるとともに、街の史跡を掘り起こし、市民や来訪者が自然・歴史・文化に容易に触れ合える街づくりをする。

 技術士試験は、知識を確認する試験ではなく専門家としての判断や行動力が問われる試験です。文部科学省ではプロエンジニアとしての能力を診断するため、応用力や提案力といったマネジメント能力を測ります。このため、

時代にマッチした答えの方向性を推論できなければ点を取れない

ということです。逆に今回の問題のように、出題意図から類推して

今日本の各地で進められている道路の改善や革新を推論しながら答えると、驚くほど合格力が増す

ということです

 このような解答者としてのマネジメント方法を学ぶのに役立つのが、コーチングです。 本研究所では従来の添削による赤ペン指導ではなく音声ガイドを用いたコーチングにより合格力を高めるのに成果をあげています。

建設・道路Ⅱ-2問題の解き方1

 2017年の建設部門、道路のⅡ-2問題について、解きかたを考えていきましょう。

問題は次のようなものでした。

 A市では、バイパスが完了し市内の交通状況に変化が生じていることから、中心部の4車線の幹線道路について、歩行者と自転車の輻輳による危険性や様々な地域課題の解決に向け、道路空間の再配分を検討することになった。この検討業務を担当する責任者として、下記の内容について記述せよ。(1)事前に調査する事項

(2)業務を進める手順

(3)業務を実施する際の工夫や留意事項

 まず(1)から。ここでは「調査する事項」と求められていますので、とりあえず調べればよいのでは・・と考えてしまいます。

好ましくない解答例

(1)事前に調査する事項:対象エリアを設定し、以下の調査を実施。

1)  道路交通量(車、自転車、歩行者)12h、24h、旅行速度

2)  BP開通後の交通事故(死傷事故件数、死傷者数、事故率)

3)  主要道路の横断構成:道路の交通容量解析するための基礎データ

49  主な自転車利用施設:主要施設を最短経路で結ぶため自転車利用施設(鉄道駅、公共施設、大型商業施設)、駐輪場、規模。

 この解答では、知調べる事項は確かにわかりますが、何のためにとか、調べる狙いが分かりません。調べるべき事項が正しいのか否か判断のしようがないのです。

 そこでこのような、自由に提案する問題で注意すべき事は

解答者の考え方や狙いが読み取れる

ということです。ただ単に調べる調査事項が書かれているだけでなく、

  • なぜそのことを調べる必要があるのか(必要性)
  • そのことを調べる意義はどこにあるか(有用性)
  • それによってもたらされる効果は(効果、経済貢献性)

といった根拠や未来に関することを添えて説明すると回答者の考え方が分かり易くなります。

 試験官はこうした、受験者の考え方を読み取って、プロエンジニアとしての判断力を採点しようとしてるわけです。ですから正解である答えの「調査事項」とともに、理由や根拠を添えて述べると完全な答えとなります。

 例えば正解はのような内容です

理想的な解答例

(1)事前に調査する事項

1)車線数縮小時の現交通量の処理が可能であるか検証するため、12h道路交通量(車、自転車、歩行者)を調べる。

2)将来道路網における混雑度を推計するため、対象エリア内の道路改良計画、都市計画等を調べる。

3)交通渋滞要因を把握するため主要路線の車線数、主要なボトルネック交差点、路上駐車状況を調べる。

4)市街地の魅力向上を図るため、無電柱化計画に必要な道路を含む周辺の既存電力・通信線網、及び地下空間を調べる。

5)緑化に適した樹種選定のため、土壌、年間の降水量、平均気温を調査する。

 技術士試験は、知識を確認する試験ではなく専門家としての判断や行動力が問われる試験です。文部科学省ではプロエンジニアとしての能力を診断するため、コミニケーション能力やとりまとめ力といったマネジメント能力を測ります。このため、

答えの内容だけでなく、伝わりやすい答え方をしなければ点を取れない

ということです。逆に今回の問題のように、出題意図から類推して

出題者が求める内容、事項を推論しながら答えると、驚くほど合格力が増す

ということです

 このような解答者としてのマネジメント方法を学ぶのに役立つのが、コーチングです。 本研究所では従来の添削による赤ペン指導ではなく音声ガイドを用いたコーチングにより合格力を高めるのに成果をあげています。

建設・施工Ⅲ問題の解き方3

 2017年の建設部門、施工計画のⅢ-2問題について引き続き、解きかたを考えていきましょう。

問題は次のようなものでした。

 建設産業には、安全と成長を支える重要な役割が期待されているものの、今後10年間に労働力の大幅な減少が予想されており、建設現場の生産性向上は避けて通ることのできない課題である。そのため、国土交通省においては、産官学が連携して、生産性が高く魅力的な新しい建設現場が創出されるように、i-Constructionに取り組んでいるところである。他方、政府においては、一億総活躍社会の実現に向けた産業・世代間等における横断的な課題を解決するために、働き方改革にチャレンジしている。建設産業は他産業に比べて厳しい労働環境にあり、小規模な企業の技能労働者を始めとして、働き方改革の改善が喫緊の課題となっている。これらを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)働き方改革を考える上で、建設業が抱える慢性的な課題を3つ挙げ、その背景も含め説明せよ。

(2)(1)で挙げた課題について、あなたが有効と考えるi-Constructionの方策を1つ挙げ、適用できる場面と具体的な利用方法、及びそれによって得られる改善効果を、事例を交えながら説明せよ。

(3)建設部門における働き方改革を効果的に進めるために、雇用や契約制度などに関して改善すべき事項を取り上げ、あなたの考えを述べよ。

模範解答

1.建設業の慢性的な課題

(1)課題:長時間労働を削減する。

背景:経験のある労働者の不足。

(2)課題:女性や高齢者が働きやすいように就労環境を整備する。

背景:男性社会の名残りが多く、衛生面や就労体制が男性中心である。

(3)課題:高所などの危険を伴う作業を削減する。

背景:人身事故が多く発生する。

2. i-Constructionの有効策と適用、効果、改善効果

有効なi-Construction:マシンコントロール

a.  適用できる場面:広範囲を切土や盛土する造成工事

b.  具体的な利用方法:地形測量情報を記憶した重機により、自動的に切土と盛り土量を計算しながら施工する。

c.  改善効果:①測量待ちがなく、施工位置と施工量が短時間で確定するので、作業時間の短縮になる。

(2)施工の難易度が事前に把握できるため、重機の種類変更などがスムーズにでき、工程遅延による運転者への負担が減少する。

(3)重機と測量作業者の近接作業がなくなり、事故防止になる。

以上は前回述べた範囲です。

 次に(3)では、「建設部門における働き方改革を効果的に進めるために、雇用や契約制度などに関して改善すべき事項を取り上げ、あなたの考えを述べよ。」と求められていました。

 ここで注意しなければならないのは、(3)は(2)とは別個の問題であり、(3)が(2)に関連して因果関係を持って答えなくても良いということです。一般的に、IIIの問題は(1)(2)(3)と論理的に順番に、例えば、課題、解決策、留意点というように論理的な関連性を持った答えを求められることが多いのです。しかし今回はそうではなく、(2)(3)は別個にそれぞれ別な分野を広範囲に答えるという出題形式でした。

 実はこの問いについても、国土交通省で答えが示されていました。雇用および契約制度について、それぞれ次のような提案がされています。

 雇用については、建設キャリアアップシステムの構築や外国人材の活用です。

 建設キャリアアップシステムとは、建設会社の社員や専門業者、技能者が数々の仕事の経験を経てある種の専門家としてキャリアアップしていける職能形態を表しています。単に現在行われているojtやかつての徒弟制度を超えた新しいシステムとしての創造的な提案を求めているということです。

 契約制度についても、建設業で懸案となっている労働時間や雇用保険の問題がありました。これについて国土交通省から次のような提案がされています。

(3)の解答としては上記ページの

項目1「適正な工期設定 、施工時期の平準化」

項目2「社会保険の法定福利費や安全衛生経費の確保」が相当します。

このような事項を取り上げて記述すればほぼ正解だということです。

 今回の資料の原典「建設業の働き方として目指していくべき方向性(参考資料)」はここにありますのでぜひ目を通しておいてください。>

 今回建設・施工のIII問題は、(1)(2)(3)と論理的につながった1連の答えを確認するという形式ではありませんでした。こうした出題意図を素早くとらえて、(2)(3)はまったく異なる別系統の回答即座に答えていくという回答してを取る必要がありました。

 これは何を意味しているかというと、回答者の応用力を試していることがいえます。それとともに過去の答案練習で得られた模範解答暗記して解答する・・・という旧来の試験勉強を無効にするための狙いもありました。なぜなら、

技術者のコンピテンシーを図るためには、暗記でで解答できる問題であってはならない

からです。今後ますます、こうした応用力重視の傾向が顕著になるものと思われます。出題者は回答者の裏を書くように、これまでになかった問題形式で問い掛けることが予想されます。そのためには、出題意図を正しく読み解いて解答の方向性誤らないにする必要が高まってくるといえます。

 技術士試験では、専門知識を暗記してそれを書けば合格できる場合はほとんどなくなりました。文部科学省では応用力や課題解決能力を測るため、

形式や暗記だけで書ける問題は全く出題されなく

なりました。逆に今回の問題のように、出題意図から類推して

独自の体験の中から答えを導き出す力を試す

問題が普通になっています。つまり答えがなく独自に答えを導く問題に強くならなければならないことです。

 このような問題を解く方法を学ぶのに役立つのが、コーチングです。 本研究所では従来の添削による赤ペン指導ではなく音声ガイドを用いたコーチングにより合格力を高めるのに成果をあげています。

建設・施工Ⅲ問題の解き方2

2017年の建設部門、施工計画のⅢ-2問題について引き続き解きかたを考えていきましょう。

問題は次のようなものでした。

 建設産業には、安全と成長を支える重要な役割が期待されているものの、今後10年間に労働力の大幅な減少が予想されており、建設現場の生産性向上は避けて通ることのできない課題である。そのため、国土交通省においては、産官学が連携して、生産性が高く魅力的な新しい建設現場が創出されるように、i-Constructionに取り組んでいるところである。他方、政府においては、一億総活躍社会の実現に向けた産業・世代間等における横断的な課題を解決するために、働き方改革にチャレンジしている。建設産業は他産業に比べて厳しい労働環境にあり、小規模な企業の技能労働者を始めとして、働き方改革の改善が喫緊の課題となっている。これらを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)働き方改革を考える上で、建設業が抱える慢性的な課題を3つ挙げ、その背景も含め説明せよ。

(2)(1)で挙げた課題について、あなたが有効と考えるi-Constructionの方策を1つ挙げ、適用できる場面と具体的な利用方法、及びそれによって得られる改善効果を、事例を交えながら説明せよ。

(3)建設部門における働き方改革を効果的に進めるために、雇用や契約制度などに関して改善すべき事項を取り上げ、あなたの考えを述べよ。

模範解答

1.建設業の慢性的な課題

(1)課題:長時間労働を削減する。

背景:経験のある労働者の不足。

(2)課題:女性や高齢者が働きやすいように就労環境を整備する。

背景:男性社会の名残りが多く、衛生面や就労体制が男性中心である。

(3)課題:高所などの危険を伴う作業を削減する。

背景:人身事故が多く発生する。

以上は前回述べた範囲です。

(2)については、(1)で挙げた課題について、次のことが求められていました。

  • フォローフォロー「あなたが有効と考える」i-Constructionの方策を1つ挙げよtop。
  • 適用できる場面と具体的な利用方法事例を交えながら説明せよ。
  • それによって得られる改善効果事例を交えながら説明せよ。

 この「具体的な利用方法」とか「事例を述べる」といったあたりは各自の経験に依存しているとこ男ろであり、いわばそうした業務経験が前提となった設問だと言うことができます。

 しかし経験だけでは答えることができずi-Constructionが実際にどのような土木・建設の場面で行えるかを説明しなければなりません。

 この答えは、実はそんなにたくさんはありません。国土交通省の資料によると、

  • ドローン等による3次元測量と検査
  • 3次元測量データによる設計・施工計画
  • ICT建設機械による施工(建設現場のiot)
  • コンクリート・鉄筋のプレハブ化

この4つぐらいしか相当するものがありません。この資料をご覧ください。>

 ですので、上記から1つを選んで、その具体的な状況を述べればほぼ正解ということになります。

 模範解答の1つを掲載しておきます

2. i-Constructionの有効策と適用、効果、改善効果

有効なi-Construction:マシンコントロール

a.  適用できる場面:広範囲を切土や盛土する造成工事

b.  具体的な利用方法:地形測量情報を記憶した重機により、自動的に切土と盛り土量を計算しながら施工する。

c.  改善効果:①測量待ちがなく、施工位置と施工量が短時間で確定するので、作業時間の短縮になる。

②施工の難易度が事前に把握できるため、重機の種類変更などがスムーズにでき、工程遅延による運転者への負担が減少する。

③重機と測量作業者の近接作業がなくなり、事故防止になる。

 実はこの受講者様もict建設機械による施工の合理化が解答として正解である事は練習の早い段階からお気づきになっていたようです。しかし、答案添削で手間取ってしまったのは、そうした知識の部分ではなく問い掛けられていた要件、

  • まずi-Constructionの方策であることを述べる。
  • 具体的な事例を挙げて、適用場面、利用方法を表現すること。
  • 改善効果を具体的に説明すること

このようなことに添削の時間を要していたのです。

  技術士試験では、専門知識が分かっていても、そのことを書けば答えとなる場合は少ないようです。文部科学省では応用力や課題解決能力を測るため、形式や暗記だけで書ける問題はほとんど出題しなくなりました。逆にこの問題のように、前提条件を挙げて独自の体験の中から答えを導き出す問題が普通になっています。つまり答えがなく独自に答えを導く問題だと言うことです。このような問題を解く方法を学ぶのに役立つのが、

  • 出題意図の読み取解き方を学ぶこと
  • 答える趣旨の正しさを細かい視点でチェックすること。
  • 何通りもの考え方、答えを掲示して、自分なりの判断基準を養うこと

です。

 そのような力を養うため、本研究所では従来の添削による赤ペン指導ではなく音声ガイドを用いたコーチングにより合格力を高めるのに成果をあげています。

建設・施工Ⅲ問題の解き方1 

2017年の建設部門、施工計画のⅢ-2問題は次のような問題でした。

 建設産業には、安全と成長を支える重要な役割が期待されているものの、今後10年間に労働力の大幅な減少が予想されており、建設現場の生産性向上は避けて通ることのできない課題である。そのため、国土交通省においては、産官学が連携して、生産性が高く魅力的な新しい建設現場が創出されるように、i-Constructionに取り組んでいるところである。他方、政府においては、一億総活躍社会の実現に向けた産業・世代間等における横断的な課題を解決するために、働き方改革にチャレンジしている。建設産業は他産業に比べて厳しい労働環境にあり、小規模な企業の技能労働者を始めとして、働き方改革の改善が喫緊の課題となっている。これらを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)働き方改革を考える上で、建設業が抱える慢性的な課題を3つ挙げ、その背景も含め説明せよ。

(2)(1)で挙げた課題について、あなたが有効と考えるi-Constructionの方策を1つ挙げ、適用できる場面と具体的な利用方法、及びそれによって得られる改善効果を、事例を交えながら説明せよ。

(3)建設部門における働き方改革を効果的に進めるために、雇用や契約制度などに関して改善すべき事項を取り上げ、あなたの考えを述べよ。

 (1)から考えていきましょう。まず働き方改革とはどの様な事を改革すべきなのか。ここでは問題文からそのヒントを読み解くことができます。

「・・小規模な企業の技能労働者を始めとして・・」というあたりです。

 小規模な企業の技能労働者の労働環境と言えば、いわゆる建設の3「きつい、汚い、危険」をまず思い起こします。国土交通省の「i-Construction」の取り組みでは、建設現場の生産性を高めることで、企業の経営環境や労働環境を改善させ「給与が良く、十分な休暇が取得でき、将来に希望が持てる」という新3Kの実現を目指しています。 

 このことは他産業からも注目されている日本の雇用問題大きな課題です。実は、株式会社 いよぎん地域経済研究センターは、地域経済広報誌の中で「建設業の生産性向上の取り組み、3Kから新3Kへ、ICT活用で建設現場が変わる」という記事としてこの課題を紹介されています。従来の3Kを、新3Kで解決すること次のような図で簡潔に表しています。

建設業の3K

 そして、こうした過去の3Kを、新3Kで解決するのが、i-Construction なのです。

  i-Construction とは、すでにドローンの活用などとして始まっている建設業の生産性向上の取り組みであり、一方で現場で働く人々の「働き方改革」も含んでいます。

建設業のi-Construction

 ところで、全産業的に見て、建設業は生産性があまり改善されていませんでした。中でも過去 30 年間で生産性改善が最も遅れている「土工」と「コンクリート工」をターゲットとし、3つの具体的施策が国土交通省から打ち出されています。先の紹介記事の中で土木工事への「ICTの全面的な活用(土工)」について取り上げられていますのでぜひお読みください。

 さて問(1)の答えですが、上記のことを踏まえて解答としては例えば次のような答えが正解と考えます。課題とともに背景が求められていますので、対にして表すのが良いでしょう。

1.建設業の慢性的な課題

(1)課題:長時間労働を削減する。

背景:経験のある労働者の不足。

(2)課題:女性や高齢者が働きやすいように就労環境を整備する。

背景:男性社会の名残りが多く、衛生面や就労体制が男性中心である。

(3)課題:高所などの危険を伴う作業を削減する。

背景:人身事故が多く発生する。

 さて問題の解き方について導入部分の答えの考え方をしましたが、今回の問い(1)のように見識問題的性格が強い問いは、ネット検索ですぐに答えが出るために、解答でそれほど悩むことはありません。

 一方、技術士試験では、答えがなく独自に答えを導く問題が出題されることが多いようで、これが解答者を悩ましています。そのような場合に役立つのが、

  • 出題意図を正確に読み解く洞察力
  • マーケットの動向などから正解の方向性を推論する力

です。

 そのような力を養うため、本研究所では従来の添削による赤ペン指導ではなく音声ガイドを用いたコーチングにより合格力を高めるのに成果をあげています。

業績の書き方5 業務内容では仕事の成り行きではなく業績の骨格を表現する。

2017.09.20

 引き続き、鉄道設計技士論文指導コースの指導内容から、技術士および鉄道設計技士合格に役立つ情報をお伝えします。業績論文の書き方は、技術士試験でも鉄道設計技士試験でも共通しています

 鉄道設計技士、電気科目を目指す方に対するこの指導では、業務経歴の導入部分を効果的にまとめるため、論文の冒頭部分で書かれたことを一つ一つ検証しました。この指導内容についてご紹介します。

 講座の様式である「業績記述チェックシート」には次のように書かれていました。

---------------------------------------------------

名称、時期

1. 名称:〇〇本線線通信ケーブル更新基本計画の策定

 時期:平成〇年8月〜平成〇年8月

2. 立場 (指導監督的立場がわかるように)

 基本計画策定の中心的役割

3. 業務概要(物件・対策の概要、自分の成果・貢献を宣言する。)
(1)物件の仕様
 本施策により、〇〇線の基幹通信網は2本の光ケーブルと各駅機器室間に設置されたWDM光搬送装置により整備される。

(2)対策の概要

メタルケーブルを使用している設備の光化を実施し、基幹通信用のケーブルを光ケーブルのみで構成する。

(3)自分の貢献、応用技術名

通信品質の向上と設備の通信伝送方法の基盤整備、将来の管路スペース確保、工期短縮

(4)経済的成果

メタルケーブル網として単純取替する場合と比較して、約115億円から約97億円(約19%)のコスト低減を達成した。

4. 技術的問題点と解決方法

4-1 技術的問題点
(1)光化が必要な約10種類の設備を全て、各設備のメーカに新しく開発させて導入するとコストも工期もかかってしまう。
(2)全ての沿線設備向けに多量の光ケーブルを敷設すると、事故リスクの増加や障害早期復旧を妨げるため、設備管理上望ましくない。

4-2 解決策(技術的提案、4-1を改善に導いた方策)

(1)  設備の設置環境や特性毎に、極力既設設備に手を加えずに光化を実施した。(2)  最寄の基幹光ケーブルに最も近い位置から必要最小限のアプローチ用の光ケーブルを敷設できる、無切断後分岐工法を導入した。
 

以上前回掲載範囲、以下今回の範囲です。

4-3 苦心した点(解決策を検討、遂行する上で検討した事)(1)約〇〇kmの沿線の中で、メタルケーブルを使用している設備は何があるかを発見しなければならなかったこと。また、その設備の情報伝送方法の種類を全て把握し、元設備の改良の可否を検討すること。
 

(2)メタルケーブルは接触導通させれば電流が流れ、任意の個所で分岐が可能であるが、光ケーブルはそれが難しいため、回線構成の変更方法を検討すること。
 

(3)変更による設備投資上の優位性については、法定耐用年数を使用してDCF法等により経済性の比較を実施し、最適な光の心線数(〇〇心)と決定したこと。

この「苦心した点」では、苦心して労力や時間を要した内容ではなく、苦心を乗り越えるためにどんな工夫をしたかが求められています。業績を評価するために必要なのは、人的資源の投入量や原材料費の金額ではなく、その本人が

  • どれだけ独創的なアイディアによって経済性の高い問題解決を行たか
  • その業務で開発したアイディアが、他の分野でどれだけ経済的な波及効果が得られるか

を評価する必要があるからです。

 上記(1)から(3)をこうした独創性や汎用性の視点からチェックしてみましょう。

(1) 設備の台数を確認し、設備の改良の可否を検討しなければならないという業務上の必要性を記していますが、独創的なアイデアでそれを行ったという内容が書かれていません。そこで、

普通は長時間かかる、設備の台数確認や設備の改良の可否検討を、〇〇のアイデアを導入した方法で〇〇というようにスピード化した。

というように表すと良いでしょう。

(2) メタルケーブルから光ケーブルに変更する際、回線構成の変更方法を検討することが多大なる作業を要したという仕事の大変さを述べていますが、そういう苦労話ではなく、ではどうやってそれを可能にしたか。すなわち、

メタルケーブル配線を光ケーブルに変更する際、光の分岐困難性を解決するため、送り配線へ変更することで全設備を接続可能とした

と表現するとよいでしょう。
 

(3) 設備の投資判断を定量的にDCF法によって経済性評価したことは、独創性に相当します。ただしこのような、設備の選択的な投資判断を行う必要性があったならば、それに相当する問題点と解決策を、それぞれ前期4−1、4−2で宣言しておく必要があります。つまり、

  • アピールしたい独創的な考え方を最後に提示するのは話の一貫性を失うために好ましくない。
  • もしそのような主張があるならば、最初の問題点の提起、解決策を提案の段階で、その考え方を導く業績内容を記しておく必要がある

ということです。

 こうした、業績をどのように表現したら技術者としての先見性や考え方の一貫性を表現できるかということは、技術士試験の勉強を始めたばかりの方にとっては難しいものです。そこで本講座ではコーチングによって業績内容をヒアリングし、業績の中にどのような独創的で汎用性の高い、すなわちプロエンジニアにふさわしい、アピールできるポイントを探索しながら指導する作業を毎日行っております。

業績の書き方4 業務内容では仕事の成り行きではなく業績の骨格を表現する。

2017.09.19

 引き続き、鉄道設計技士論文指導コースの指導内容から、技術士および鉄道設計技士合格に役立つ情報をお伝えします。業績論文の書き方は、技術士試験でも鉄道設計技士試験でも共通しています

 鉄道設計技士、電気科目を目指す方に対するこの指導では、業務経歴の導入部分を効果的にまとめるため、論文の業績の分析(技術問題点の抽出)部分で書かれたことを一つ一つ検証しました。この指導内容についてご紹介します。

 講座の様式である「業績記述チェックシート」には次のように書かれていました。

---------------------------------------------------

名称、時期

1. 名称:〇〇本線線通信ケーブル更新基本計画の策定

 時期:平成〇年8月〜平成〇年8月

2. 立場 (指導監督的立場がわかるように)

 基本計画策定の中心的役割

3. 業務概要(物件・対策の概要、自分の成果・貢献を宣言する。)
(1)物件の仕様
 本施策により、〇〇線の基幹通信網は2本の光ケーブルと各駅機器室間に設置されたWDM光搬送装置により整備される。

(2)対策の概要

メタルケーブルを使用している設備の光化を実施し、基幹通信用のケーブルを光ケーブルのみで構成する。

(3)自分の貢献、応用技術名

通信品質の向上と設備の通信伝送方法の基盤整備、将来の管路スペース確保、工期短縮

(4)経済的成果

メタルケーブル網として単純取替する場合と比較して、約115億円から約97億円(約19%)のコスト低減を達成した。

4. 技術的問題点と解決方法
4-1 技術的問題点
(1)光化が必要な約10種類の設備を全て、各設備のメーカに新しく開発させて導入するとコストも工期もかかってしまう。

(2)全ての沿線設備向けに多量の光ケーブルを敷設すると、事故リスクの増加や障害早期復旧を妨げるため、設備管理上望ましくない。

 以上前回掲載範囲、以下今回の範囲です。

4-2 解決策(技術的提案、4-1を改善に導いた方策)
(1)  設備の設置環境や特性毎に、極力既設設備に手を加えずに光化を実施した。
(2)  最寄の基幹光ケーブルに最も近い位置から必要最小限のアプローチ用の光ケーブルを敷設できる、無切断後分岐工法を導入した。

 

 解決策では技術部門、専門科目の技術を応用した解決策を提示版しなければなりません。そのためには前段の4−1で問題点を核心をつくことが必要で、 4−2では問題の核心を技術によって改善に導く方法論や原理、具体的方法について述べます

 上記解決策の(1) は「極力既設設備に手を加えず」と言う目的ねらいを書いていますが、ではどんな技術でそれを可能にしたか、という本質的な記述がありません。試験官からすると物足りなく感じる危険性があります。そこで具体的に

既存設備の出力をそのままに、信号変換装置を設けることによって、その二次側設備増することによってシステムを構成した事を述べると良いでしょう。すなわち

解決策では、ご自身が所属する部門の専門技術でもって、どうものづくりを実施したかを述べる

ということです。

 解決策(2)も「最寄の基幹光ケーブルに最も近い位置から必要最小限のアプローチ用の光ケーブルを敷設できる、」と云う狙いを示していますが、ではそれをどうやって実施したかという肝心の原理が書かれていません。すなわち

光伝送はメタルと違って、 2分岐することができないため、複数の設備を直列に送り配線でつなげるしかない

という事情があるわけで、つまりこのような光伝送に由来すること、すなわち、

解決策では、部門の専門技術や原理、法則、工法などを背景として課題解決をどう進めたか

を表現するとよいでしょう。

 こうした、業務に対して本来どのように取り組んでいくか、すなわち技術者としての貢献のあるべき姿が何かということは、ご自身ではわかりにくいものです。そこで本講座ではコーチングによって業績内容をヒアリングして、ケースバイケースの対応で、受講者様の業績の中から技術的貢献の核となるものを拾いあげるという作業を毎日の指導をの中で行っております。

業績の書き方3 業務内容では仕事の成り行きではなく業績の骨格を表現する。

2017.09.15

 引き続き、鉄道設計技士論文指導コースの指導内容から、技術士および鉄道設計技士合格に役立つ情報をお伝えします。業績論文の書き方は、技術士試験でも鉄道設計技士試験でも共通しています

 鉄道設計技士、電気科目を目指す方に対するこの指導では、業務経歴の導入部分を効果的にまとめるため、論文の業績の分析(技術問題点の抽出)部分で書かれたことを一つ一つ検証しました。この指導内容についてご紹介します。

 講座の様式である「業績記述チェックシート」には次のように書かれていました。

---------------------------------------------------

名称、時期

1. 名称:〇〇本線線通信ケーブル更新基本計画の策定

 時期:平成〇年8月〜平成〇年8月

2. 立場 (指導監督的立場がわかるように)

 基本計画策定の中心的役割

3. 業務概要(物件・対策の概要、自分の成果・貢献を宣言する。)
(1)物件の仕様
 本施策により、〇〇線の基幹通信網は2本の光ケーブルと各駅機器室間に設置されたWDM光搬送装置により整備される。

(2)対策の概要

メタルケーブルを使用している設備の光化を実施し、基幹通信用のケーブルを光ケーブルのみで構成する。

(3)自分の貢献、応用技術名

通信品質の向上と設備の通信伝送方法の基盤整備、将来の管路スペース確保、工期短縮

 以上前回掲載範囲、以下今回の範囲です。

(4)経済的成果 メタルケーブル網として単純取替する場合と比較して、約115億円から約97億円(約19%)のコスト低減を達成した。

経済効果はこのような簡潔な表現で結構です。

4. 技術的問題点と解決方法
4-1 技術的問題点
(1)光化が必要な約10種類の設備を全て、各設備のメーカに新しく開発させて導入するとコストも工期もかかってしまう。

(2)全ての沿線設備向けに多量の光ケーブルを敷設すると、事故リスクの増加や障害早期復旧を妨げるため、設備管理上望ましくない。

 (1)については、光通信の一般的な問題を取り上げるのではなく、ではそのような難問をどうやって解決するのかという解決策を想定し、それをベーストして、そこから実施する上での技術的問題点がどこにあるかを論じます。つまり問題点を論じる場合は、

 初期段階のわかりやすい問題ではなく、専門的な技術的な要因を洗い出すことが求められています。このため、初期の問題点に対して技術的対処をした場合に、どんな新たな問題があるかという事を取り扱うのか理想的です。

 つまり、試験官が論文を読んで、受験者の技術対応能力を採点しようとしているとき に、誰でもわかる初歩的な問題の指摘に終始していては、能力をアピールするチャンスを失ってしまいます

 そこで、問題の指摘は、

  • 初期段階の技術対応については、常識の範囲内なので、あえて論じる必要はない。
  • 初期の技術対応を実施した後に、なお存在する、実務的な問題には真剣に取り組むべき

ということです。

 (2)について、「すべての設備に対処すると、設備故障による問題発生が増加する」ことは、想像に難くない話です。ですからここではまずは、設備故障による事故を想定した上で、どうやって対象とする設備を絞り込んでいくか、ということを前提に問題点を洗い出すのが良いでしょう。

 また光通信に関して新規設備であるという理由から、特別故障率が高いという弱点があるならば、そのような根拠を添えて問題点の前提とすべきといえます。つまり、

  • たくさんの作業項目の中から、目的達成に結びつく有効な対処を絞り込んでいく
  • 対象の絞り込みの判断に工学的な根拠の裏付けがある

といった姿勢が大事なのです。

 こうした、業務に対して本来どのように取り組んでいくか、すなわち技術者としての貢献のあるべき姿が何かということは、ご自身ではわかりにくいものです。そこで本講座ではコーチングによって業績内容をヒアリングして、ケースバイケースの対応で、受講者様の業績の中から技術的貢献の核となるものを拾いあげるという作業を毎日の指導をの中で行っております。

業績の書き方2 業務内容では仕事の成り行きではなく業績の骨格を表現する。

2017.09.14

 引き続き、鉄道設計技士論文指導コースの指導内容から、技術士および鉄道設計技師合格に役立つ情報をお伝えします。

 鉄道設計技士、電気科目を目指す方に対する指導では、業務経歴の導入部分を効果的にまとめるため、論文の冒頭部分で書かれたことを一つ一つ検証しました。この指導内容についてご紹介します。

 講座の様式である「業績記述チェックシート」には次のように書かれていました。

---------------------------------------------------

名称、時期

1. 名称:〇〇本線線通信ケーブル更新基本計画の策定

 時期:平成〇年8月〜平成〇年8月

2. 立場 (指導監督的立場がわかるように)

 基本計画策定の中心的役割

3. 業務概要(物件・対策の概要、自分の成果・貢献を宣言する。)
①物件の仕様
 本施策により、〇〇線の基幹通信網は2本の光ケーブルと各駅機器室間に設置されたWDM光搬送装置により整備される。

 以上前回掲載範囲、以下今回の範囲です。

②対策の概要

メタルケーブルを使用している設備の光化を実施し、基幹通信用のケーブルを光ケーブルのみで構成する。

 ③自分の貢献、応用技術名

通信品質の向上と設備の通信伝送方法の基盤整備、将来の管路スペース確保、工期短縮

②対策の概要の記述では、電気設備の内容を何をどう実施したかという説明が必要です。

メタルケーブルを光化する」では改修工事のイメージしかありません。業務の難しさの中心は光ケーブルシステムをいかに構成するかというところにあり、そのシステムの構成や中心的な通信技術について言及するとよいでしょう。つまり

 「概要」というと周辺を取り巻く概略的な事情と捉えがちですが、そうではなく専門分野、専門技術を応用した中心的な技術内容について訴えるべきです。

 ③自分の貢献、応用技術名。実はここが最も表現が難しく一方、得点に響いてくるところです。答案では「・・基盤整備」とか「・・スペース確保」、「工期短縮」とか作業内容取り組みの基本姿勢みたいなことが書かれていますが、これでは専門性を訴えることができません。

 なぜなら、業務方針である通信品質の向上とはメタル/光の変化によるものであり、それはメタルから光に代替することによって自動的にに得られる機能の変化にすぎません。むしろここで訴えるべきことは、光伝送設備をどのように高品質に仕上げるかという内容です。

 ですので、ここは改修前後の比較ではなく、 同じ光通信でも一般的な計画法ではなく、創造的な革新に富んだ先進性を含んだものであることを主張したいものです。つまりご自分の貢献を訴えるために

一般的な方法に比べて独創的なアイディアを導入することによって品質アップに貢献している

という事を力説するようにしてください。

 また貢献をわかりにくくしている原因の1つは、業績と言うと物件の仕様を求められていると誤解している方が多いことです。あくまでも技術士試験は個人に対する評価であるため、物件の出来栄えは結果として評価はされるものの、それ以上に

個人としてどう関わったかということの方が評価対象となる

ということです。 

こうした業績の技術的な貢献内容がどこにあるかという事はご自身ではわかりにくいものです。そこで本講座ではコーチングによって業績内容をヒアリングして、その中から業績の核となるものを拾いあげるという作業を主導の中で行っております。

業績の書き方1 業務内容では仕事の成り行きではなく業績の骨格を表現する。

2017.09.12

 鉄道設計技士論文指導コースの指導内容から、技術士および鉄道設計技師合格に役立つ情報をお伝えします。

 鉄道設計技士、電気科目を目指す方に対する指導では、業務経歴の導入部分を効果的にまとめるため、論文の冒頭部分で書かれたことを一つ一つ検証しました。この指導内容についてご紹介します。

 講座の様式である「業績記述チェックシート」には次のように書かれていました。

---------------------------------------------------

名称、時期

1. 名称:〇〇本線線通信ケーブル更新基本計画の策定

 時期:平成〇年8月〜平成〇年8月

2. 立場 (指導監督的立場がわかるように)

 基本計画策定の中心的役割

3. 業務概要(物件・対策の概要、自分の成果・貢献を宣言する。)
①物件の仕様
 本施策により、〇〇線の基幹通信網は2本の光ケーブルと各駅機器室間に設置されたWDM光搬送装置により整備される。

 2の立場は「基本計画策定の中心的役割」では、当然過ぎて具体的な役割がわかりません。そこで本来は

施工計画策定時の通信設備の伝送方法検討に関する主担当者

などと専門とする事項がわかるようにするとよいでしょう。

3. 業務概要は、上記の内容のように実際のケーブル施設についてあるがままに表現することが可能です。しかしこれでは物件の内容が主体になってしまい、自分の貢献内容を効果的に表現することができません。

そこで論文のテクニックとしては、

業績の貢献行われた部分が物件全体のどこであるかという絞り込みを行う。その設備に対して、専門部門科目の技術を応用して課題解決対策提案行ったことを示す。解決策の提案では、一般的に誰もが思いつく普通レベルの提案ではなく、独創性や汎用性に富んだ優れたアイディアであることを示す。

このようなチェックリストで絞り込みを行っていいく必要があります。

 具体的にこの方の場合は、業績の貢献内容の中心である光通信の仕様として、通信方式や、ケーブル長やケーブルのスペック、 WDM装置の機能などに言及すると専門性を表すことができます。

専門家は自らの行動の反省によって学ぶ以外に技術を高める道はない

2017.05.23

 この日、コーチングによる指導時間は21時30分から、30分間行なわれ,その受講者様は鉄道設計技士部門、車両科目を目指す方で、場所は愛知からライン電話を用いて相談されました。現時点での評価をするため、解決策として提案したことを一つ一つ検証しました。この指導内容についてご紹介します。

 講座の様式である「業績記述チェックシート」には次のように書かれていました。

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業務上の課題と解決策

小型機関車を開発するのに、汎用機関車部品を開発するとコスト高となるため、旅客車用の台車や主電動機のほか、補助電源一体型の車両制御装置等の機器も、一般機器箱の状態で転用し開発コスト3割カット・期間を6ヶ月縮減した。 機関室が高温となるため、上下方向に2段とし、放熱機器を上段配置とすること、車体側面下部に吸気口と屋根に排気口を設けることで温度差換気で冷却した。

----------------------------------

 この2つについて、ライン電話で検証しながらヒアリングしてみました。すると、

 1の機器類転用による開発コストカット、期間縮減は計画通りで反省点は見つかりませんでした。

 一方、温度差換気による冷却効果は実は冷却量不足となっていました。この理由は、現場保線区での使用方法に起因し、実際の線路の補修工事ではバラストを均一に撒いていくため、機関車は超低速での運転を求められました。

 この時勾配区間を上か下りかどちらで運転するかが問題となり、超低速移動を行うため、当初は坂道を下り方向にブレーキを緩めながら、低速前進する想定をしていました。

 しかし、現場の申告によりますとこれだとブレーキ動作に伴う速度変動によりなめらかな運転ができないことが判りました。このため現場では下りではなく上り方向に移動しながらバラスト散布を行うことを余儀なくされているということです。

 この時、予想以上に

機関室内の放熱が発生し、当初計画した温度差換気だけでは処理できなくなった

ということです。

 これらのことから、現時点ではこうした

機関車運用に関する現場ニーズの認識がなかったことが反省点

であると言う事です。機関車の品質を高めるためには、現場でどのように運用されているかを詳しく知る必要があったということです

 なお、現在は機械換気に改造されて対応しています。

 鉄道設計技士業績論文では「現時点での評価」が求められます。その内容は、実施した業務内容について反省が行われているか、すなわち

PDCAがちゃんと行われているか

と言う問いかけを意味しています。

 多くの方がこの現時点での評価の意味を誤解されており、半数以上の方が「現在はこのように修正している」あるいは「現在行うとしたらこのように最新技術を用いて行う」というような、現時点で行うとした場合の通常の行為を書かれているようです。しかしこれでは技術者が専門性を高めるための反省は得られません。これらの回答に対する評価は低いものになってしまうということです。

 逆に言うと

専門家は自らの行動の反省によって学ぶ以外に技術を高める道はない

と言うことです。このためには厳しい(PDCAの)チェックの視点が必要で、今回のようにヒアリング、分析することで初めて独自の反省点を発見することができたということです。

 コーチングの内容は以上です。本研究所では疑問が生じた際は随時相談をこのような方法受け付けており、疑問を短時間で解決するよう努めています。

要因、課題、解決策の書き方・・それはロジカルシンキング

2017.05.22

 技術士試験で求められる、要因、課題、解決策についてどの様に答えたら良いか、お悩みの方が多いようです。しかしこの言葉の定義は決まっており、すなわち技術者コンピテンシーを確かめるため、問題が論理的に説かれているか、すなわち

ロジカルシンキングができているか

を問いかけているのです。ITH様の答案で確認してみましょう。

 H28年、建設部門、鉄道科目のII-1-1問題はこうでした。 

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II-1-1 踏切事故の現状と課題を簡潔に述べるとともに、事故防止のための方策3つ挙げ、その内容を述べよ。

--------------------------------------

それに対してITH様は次のように考えられていました。

--------------------------------------

1. 要因

踏切事故は踏切横断者(自動車、歩行者)が列車接近直前横断により渡り切れないこと、落輪やエンスト等による停滞により踏切内に取り残されてしまうことにより発生している。

2.踏切事故の課題

交通弱者も含めてすべての踏切横断者が列車接近前に踏切を渡り切ることができるように列車接近を警報すること、また踏切を円滑に通行することができるように設備を整えること

3.事故防止の方策

3、4種踏切を警報機と遮断機のある1種化へ改良、全方位警報機への取替え

 障害物検知装置、非常停止ボタン、踏切内照明

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このため指導では、

  • 現状分析の要因は根本的原因まで分析すること
  • 課題の立案は要因をもとに技術的な視点でもって前向きに提案すること
  • 方策の項では具体的に何をどうするか説明すること

の3点を申し上げました。

現状分析の要因は根本的原因まで分析すること

 踏切事故の現状についての分析では踏切横断者が渡り切れないことや踏切内に取り残されてしまうことが要因とされていましたが、しかしこれらは結果としての現象であってその根本原因品を明らかにしないと対策が立案できません。

 そこで踏切横断者が渡り切れないのはなぜか。歩行路の形状や踏切の時間間隔が短いためです。また、踏切内に取り残されてしまうのは踏切内での車のすれ違いが円滑に行えないからだと言うことがわかりました。こうした根本原因である分析できると課題は明確に一覧できます。

課題の立案は要因をもとに技術的な視点でもって前向きに提案すること

 課題の内容が「踏切を渡りきることができるようにする」となっていましたがこれは、事故の要因である「踏切を渡り切れない」の言葉を逆にしたに過ぎません。これでは解決の視点が見えていません。

 そこで課題を述べる時は技術的にどう結果を書いていくかということを具体的に考えねばならないのです。ここでの問題、すなわち踏切を渡りきることができない要因が歩行路の形状にあることから、それらを改善していくことが渡りきる事を可能にさせると考えられます。

方策の項では具体的に何をどうするか説明すること

 方策の内容は具体的に何をどうするかということを述べなければなりません。解答では「 3種、4種の踏切を1種に変更する」と言うこれは国土交通省が鉄道会社の方針です。

 しかしこれでは何の意味が解りません。すなわち踏切が、警報だけでなく遮断機のある踏切するということ、また運転士の停止信号を送るための非常停止ボタンを設置することも必要です。

-----------------------------

まとめ

 こうした現状分析、課題設定、方策の提案では、技術士の考え方を比較に伝えること、コミニケーション方正しく行うことなどが大切です。こうしたことを守ることによって、技術者の資質能力が正しく試験官に伝わり、あなたの印象を信頼性の高いものにする事は間違いありません。

見違えるほど良くなる業績の書き方 9 「今後の課題、展望とは何を書く?」

2017.03.09

  技術士試験の申し込み書には業務経歴の欄があり、自分がやってきた物件名を書くしかないと考えられているようですが、特別決まりがあるわけではありません。

 一方、申し込書は口頭試験で考課の対象となり、その内容が合否を左右することとなります。このため申し込書の作成は答案と同じように内容を高めていかなければならないといえそうです。そこで、「業務経歴」と「業務内容の詳細」について業績の何を書けば合格につながるのか、文部科学省が求めるコンピテンシーの視点から合格に有利な申し込み書の書き方を考えてみたいと思います。今回は「見違えるほど良くなる業績の書き方」9回シリーズの最終回で

「今後の課題、展望とは何を書く?」

です。

  業務内容の詳細が今のような形になって、今後の課題や展望は書きにくくなりましたが、もし簡潔に書けることがあれば是非最後に添えておく事をおすすめします。今後の課題や展望があることは、それだけで専門家としての能力を予感させる可能性があるからです。かつては業績論文において論文の末尾に今後の課題や展望を書き添えることによって「技術士にふさわしい」ことを表現することが行われていました。

 ただし、今後の課題や展望として何を書くかが問題です。たいていの方が考える「今後の課題」とは自分がやり残した仕事であったり、「展望」とはマーケットに対する個人的な予想であったりします。これではわざわざ今後の課題も展望も書き添える意味がありません。「今後の課題」とは、

同じ技術分野で今後技術者は何をすべきかという、いわば部門全体で取り組むべき課題

です。また展望とはそのような

課題に対してどのように取り組んでいくか、そして現状の社会問題がどのように解決していくかの見通し

です。それぞれどのように書けば良いかここでまとめておきましょう。

 まず「今後の課題」とは、

1. 専門とする部門、科目の業績について、自分がやってきた内容の延長線上に考える。

2. 専門とする部門、科目の技術応用に焦点を当てた課題を考える。

3. 実施した業績の失敗や反省点に基づいて改善方法を考える。

4. 課題解決によって大きな成果が見込めることを考える。

5. 課題解決に対して自分が貢献できる可能性がある事だけを考える。

この5つだと考えられます。

 また「展望」とは、

1. 自分の業績の専門とする部門、科目の延長線上に考える。

2. 専門とする部門、科目の技術応用が将来どうなるかという視点で考える。

3. 業績の失敗や反省点という独自の体験に基づいて将来の改善を考える。

4. 将来の課題解決がどのように効果的に行えるかという視点で展望を考える。

5. 社会変革やパラダイム転換に対して自分がどう貢献していくかという視点で考える。

この5つだと考えられます。

 以上、「今後の課題」、「展望」について述べてまいりました。この2つの項目で技術士にふさわしいことを述べる事は容易では無いと言うことがお分かりいただけたと思います。逆に合格戦略としては、この2項目を効果的に表現するだけで、専門家らしさを一挙に増すことができ、試験後楽勝で合格出きるということです。もし記述欄に余裕があるなら簡潔にまとめて書き添えるべきだと考えます。

 技術士試験では、こうした合格の要件を誰も教えてはくれません。本研究所では、コンピテンシーの視点からこのような試験合格の原理に早くから着目して、効率よく学び合格することを提案してきました。技術士二次試験の合格率は約2割以下ですから、受験者の多くは5回以上受験して初めて合格出来る計算になります。実際このような試行錯誤されている方もいらっしゃいます。しかしそれではあまりにも無駄が多すぎます。出来る限り過去の教訓から学んで、数回の受験で合格出来るように努力すべきです。

 本研究所では、コーチングによる指導で受講者様の自己変革を導き、答案に対して前向き提案ができるように新たな視点での成長を促します。講師の前向きな言葉によって、ネガティブな考えを払拭して、いつも効率的に問題解決の考え方ができる様になるのです。

 試験の合否は技術者としての人生を左右することになります。運良く合格すれば何も言う事はありませんが、逆に不合格の場合はその後の人生設計が変わってきます。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、それぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、各個人の自己変革を促し、楽勝で一発合格出来るように指導しています。この学びの体験は今後のキャリア形成において有益な知見となる事は施工された方が異口同音におっしゃっています。関心のある方は是非お問い合わせください。

見違えるほど良くなる業績の書き方 8 「技術士にふさわしいとは、高等の専門的応用能力とは」

2017.03.08

  技術士試験の申し込み書には業務経歴の欄があり、自分がやってきた物件名を書くしかないと考えられているようですが、特別決まりがあるわけではありません。

 一方、申し込書は口頭試験で考課の対象となり、その内容が合否を左右することとなります。このため申し込書の作成は答案と同じように内容を高めていかなければならないといえそうです。そこで、「業務経歴」と「業務内容の詳細」について業績の何を書けば合格につながるのか、文部科学省が求めるコンピテンシーの視点から合格に有利な申し込み書の書き方を考えてみたいと思います。今回は「見違えるほど良くなる業績の書き方」9回シリーズの8回目で

「技術士にふさわしいとは、高等の専門的応用能力とは 」

です。

  業績論文を採点するときに、最終的に合否の判断根拠となるのがこの「技術士にふさわしいか」、あるいは「口頭の専門的応用能力」があるかと言うことです。これを判定する根拠には複数の要因があり、単純ではありません。ここではわかりやすく説明するため4つの要素に分けてご説明します。一般的に試験官がチェックしているのは次の4つです。それは

専門とする部門、科目の業績を行っているか。物件の仕様がふさわしいこと。専門とする部門、科目の技術応用が見られる。その業績に置いて本人の貢献が読み取れる。貢献の結果として経済的な成果が導かれている。

この4つだと考えられます。

1.専門とする部門、科目の業績を行っているか。物件の仕様がふさわしいこと。

 専門とする部門、科目の業績がある事は、前提事項であり、当たり前のことかもしれませんが、資質能力を評価する上でその根拠となる最も確かな事項です。このため確かにそのような経験をしたかどうかが口頭試験でしっかり問われることが多いようです。

 また物件の仕様が技術士としての技術を発揮するのに十分なくらいに規模が大きいか、難度が高い事も大事なことです。例えば建設部門、施工管理科目で受験する場合に、業績が木造家屋の建設だとしたら、大工さんでも可能であり特別高度な技術応用は必要としない、すなわち技術応用のプレゼンには値しないと考えるのが常識的だからです。

2. 専門とする部門、科目の技術応用が見られる。

 物件の仕様の次に大事なのは、実際にその専門とする部門、科目の専門技術が応用されたかどうかです。これは技術士としての取り組みを見るうえで最低限の事となります。物件の建設はともかくとして、適切な技術応用がされているかどうかが技術士としての業務の証となりますので、まずは問題を分析して、課題を設定し、解決策を提案している。しかもそのプロセスに正しい技術応用が見られるということが重要です。

3. その業績において本人の貢献が読み取れる。

 技術応用の次に大事な事は本人が貢献したかどうかです。すなわち技術士二次試験は受験者の資質能力に関する試験のため、本人による貢献があるかどうかが試験の対象となるわけです。物作りに対して問題解決があったとして、そのプロセスが本人の貢献とは関係なしに導かれていたとしたら、試験の業績としては意味がないわけです。

 逆に試験で合格を得るためには、技術士にふさわしい貢献をしていることを訴える必要があります。しかも、上記2で申し上げた技術応用が最低限の取組ではなく、独創性や汎用性に富んだ希少性のある貢献である事を訴えることが重要です。この希少性というのはコンピテンシーの要素であり、どこにでもある、誰もが行う普通の仕事をしていては十分な貢献にはならないということです。逆に他の誰もが思いつかない発明や発見といった独創性に富んだ提案と言うのはそれだけで技術者としての貢献の大きさが読み取れます。また提案内容が汎用性の高い技術応用であったとしたら、適用マーケットの拡大が期待されるため経済的効果から、やはり技術的な貢献が大きいと評価されます。

4. 貢献の結果として経済的な成果が導かれている。

 この成果が導かれているかどうかは、コンピテンシーの重要な要素であり、実務では必ずチェックされることです。一方、技術に対する評価として技術提案のプロセスの途中から結果につながる一貫性のある取り組みが行われているかどうかは、経済的な成果を約束する行為となりますので高い評価が得られやすいといえます。

 業績論文は自由に業績が得られますので、したがって成果が得られた業績をまずは取り上げるべきです。しかしそのような成果を明快に訴えることができない場合は、例外的に失敗から学んだ知見を工学的な成果としてプレゼンすることも可能です。

 以上、「技術士にふさわしい」ことを表現するための4つの要素を述べてまいりました。試験官が受験者の技術士にふさわしい判断をするための思考プロセスが単純ではないと言うことがお分かりいただけたかと思います。逆に合格戦略としては、前記4項目をそれぞれきっちり満たしていくことが重要です。どれかひとつが欠けても、技術士としての資質に対して信頼感を失ってしまうため、高い評価を得ることが難しくなってしまいます。

 技術士試験では、こうした合格の要件を誰も教えてはくれません。本研究所では、コンピテンシーの視点からこのような試験合格の原理に早くから着目して、効率よく学び合格することを提案してきました。受験者の多くはあれこれ悩んで無駄な時間を過ごしながら、 3回、4回と受験しながら試行錯誤して合格されることが少なくありません。しかしそれでは無駄が多すぎます。出来る限り過去の教訓から不合格の要因を学んで、一回の受験で合格出来るように努力すべきです。いわば

受験世代間での知の移転(ナレッジマネジメント)

です。本研究所では、こうした過去の知見を蓄えて、新しく学ぶ方に対してコーチングによる指導で自己変革を導き、答案に対して前向き提案ができるように成長を促します。講師の前向きな言葉によって、ネガティブな考えを払拭して、いつも効率的に問題解決の考え方ができる様になるのです。

 試験の合否は技術者としての将来を左右することになります。運良く合格すれば勉強法など考える必要もありませんが、逆に不合格の場合はその対策が大きな課題となります。またその後の1年間の勉強、さらには技術者としての人生設計が変わってくると想像します。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、それぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、各個人の自己変革を促し、楽勝で一発合格出来るように指導しています。この学びの体験はその後のキャリア形成において有益な知見となる事は受講された方が異口同音におっしゃっています。関心のある方は是非お問い合わせください。

見違えるほど良くなる業績の書き方 6 「課題、対策はモレダブリがないように整理する」

2017.03.06

  技術士試験の申し込み書には業務経歴の欄があり、自分がやってきた物件名を書くしかないと考えられているようですが、特別決まりがあるわけではありません。

 一方、申し込書は口頭試験で考課の対象となり、その内容が合否を左右することとなります。このため申し込書の作成は答案と同じように内容を高めていかなければならないといえそうです。そこで、「業務経歴」と「業務内容の詳細」について業績の何を書けば合格につながるのか、文部科学省が求めるコンピテンシーの視点から合格に有利な申し込み書の書き方を考えてみたいと思います。今回は「見違えるほど良くなる業績の書き方」9回シリーズの7回目で

「課題、対策はモレダブリがないように整理する 」

です。

  業績論文を採点するときに、いちばん苦労されるのが

  • 何のために何をやったか、
  • 目的と方策、
  • その効果がどうであったか

の確認です。実はこれがエンジニアとして問題を解決する際にその判断内容が技術士にふさわしいものかという判断につながっています。クライアントが技術的な問題の解決を技術士に委託した場合、その解決内容に無駄とか誤りとかがあってはいけません。たとえ間違いがあったとしても

クライアントには判断できない

ので、これをなくしていくことが技術者全体のレベルアップ、すなわち技術士制度の確立につながっていくわけです。このため技術士試験では、技術的問題の解決の問題点の分析やその課題の設定、解決策(対策)の技術内容や論理的プロセスがチェックされるわけです。

 こうした他人がやった業務の成り行きをチェックする時に1番わかりにくいのが、

やったことが絡み合ってて整理できない

ことです。例えば

現場のコンクリートの品質管理の業務では、

コンクリートの調合管理打設計画養生、型枠脱形

などというように時系列ごとに分離した3つの作業に区分できます。このようにいくつかの独立した作業グループに業績の問題点、課題、解決策等をまとめることができたら、業務内容の理解はスムーズにいくと思います。

 逆に、問題点が欠落していたり、解決策が省略されてていたりすると、技術的提案の趣旨が損なわれることとなります。すなわち業績の説明はモレやダブリがないように系統的にまとめなければならないということです。この様な考え方を

 MECE(ミーシーもしくはミッシー、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略)

と呼んでいます。MECE(ミーシー)とは、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味する言葉です。 要するに「重複なく・漏れなく」という意味で、経営学、経営コンサルティングなどの領域でよく使われています。ロジカルシンキングにおいて欠かせない思考法であり、課題に取り組む際に、テーマを分類化するとき、MECEを使うことで「全体と部分」「部分間の関係」を正しく捉えることが出来ます。

 例えばMECEになっていない例としては、

現場のコンクリートの品質管理の業務として、

コンクリートの調合管理AE減水剤の使用養生、型枠脱形

を行なう。

1,2がダブリです。

現場のコンクリートの品質管理の業務として、

コンクリートの調合管理打設計画4週強度試験

を行なう。

3が目的とダブリで、養生が漏れています。

 このように技術者の問題解決においてその巧みさを表現するためには、説明の前提として論理性や漏れダブリのないことが求められます。そうした

精密な思考プロセスであるからこそ問題解決の結果や方法論が信頼される

ということです。技術士の業績論文と言うと難易度の高い技術提案をしていれば良いって考えられているようですが、実はこうした基本的な対応姿勢がとても大事なんです。基本的な素養で信頼感を失ってしまうとその先の貢献がたとえ素晴らしいものであったとしても、高い評価を得ることが難しくなってしまうからです。

  業績については口頭試験でも厳しくチェックされることとなります。この時も記述内容が論理的に理解しにくいものであれば、その点に質問が集中して場合によっては厳しい問いかけもあり得るを言うことです。先に記したような納得しやすい、モレダブリのない書き方で申し込み書が書かれていると、試験官も問いかけのポイントが整理されて、口頭試験が和やかな会話の場となることもあり得ます。

 こうした技術者の資質能力はコンピテンシーの尺度でチェックされるため、普通レベルの誰もが行う対応を書いている限りは特別能力が高いとは感じ取ってはもらえません。コンピテンシーとは普通レベルではありえない、サプライズの内容を含んだ工夫であったときに「とても優れている」と感じるのです。どうせ表現するならそのように高く評価してもらえるように記述したいものです。そのためには工夫の内容が具体的でかつ目的とする結果を得るために有効に貢献をしていること訴えれば良いのです。

 技術士試験では、こうしたコンピテンシー尺度による評価の内情を誰も教えてはくれません。しかしこのことは文部科学省を技術士分科会のホームページにも記されており、技術専門家の評価として納得しやすいものです。本研究所ではこのような試験の原理に早くから着目して、効率よく学び合格することを提案しております。受験者の多くはあれこれ悩んで無駄な時間を過ごしながら試行錯誤で勉強法を見出すことが少なくありません。しかしそれでは無駄が多すぎます。出来る限り過去の教訓から不合格の要因を学んで、一回の受験で合格出来るように努力すべきです。本研究所では、コーチングによる指導で受講者様の自己変革を導き、答案に対して前向き提案ができるように前向きな視点での成長を促します。講師の前向きな言葉によって、ネガティブな考えを払拭して、いつも効率的に問題解決の考え方ができる様になるのです。

 この結果、自分は何をすべきか、何を提案すべきか、それはなぜかと言うような自分にとって重要な疑問に対して明確な答えが持てるようになりその結果継続的な技術研鑽が行なわれるようになるということです。こうした自己変革がない限り、だらだらと暗記勉強を続けるだけでは技術士試験で一発合格は難しいでしょう。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、それぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、各個人の自己変革を促し、楽勝で一発合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

見違えるほど良くなる業績の書き方 6 「具体的、定量的に書くと工夫が伝わりやすい」

2017.03.02

  技術士試験の申し込み書には業務経歴の欄があり、自分がやってきた物件名を書くしかないと考えられているようですが、特別決まりがあるわけではありません。

 一方、申し込書は口頭試験で考課の対象となり、その内容が合否を左右することとなります。このため申し込書の作成は答案と同じように内容を高めていかなければならないといえそうです。そこで、「業務経歴」と「業務内容の詳細」について業績の何を書けば合格につながるのか、文部科学省が求めるコンピテンシーの視点から合格に有利な申し込み書の書き方を考えてみたいと思います。今回は「見違えるほど良くなる業績の書き方」9回シリーズの6回目で

「具体的、定量的に書くと工夫が伝わりやすい 」

です。

  業績論文を書くときに、いちばん苦労されるのが技術的背景をどうやって表現するかです。くどくど述べると冗長になるし、簡潔すぎると説明が足りなくなります。そこで多くの方が誤るのが、具体的ではない大雑把な表現でまとめてしまうことです。例えば、

  • 配管ルートは圧力の問題がないように・・・する。
  • 熱機器の配置は温度差換気を考慮した配置した。

と言うような、何かやったことが分かるが、具体的にどうしたかがわからない文章となっています。この2つは具体的には次のような内容を含んでいます。

  • 配管ルートは管内圧力が400KPaを越えないようにする。
  • 熱機器は温度差で効率よく換気されるよう高温機器を鉛直方向に配置した。

 このように技術的留意点は定量的に書くとよりその記事的な根拠が明確となります。あるいは次のような方法でもわかりやすく技術的ポイントを伝えることができます。

応用した技術名を〇〇の法則等の名称表す。根拠となる計算式を示す。力学や流体など向き合っ方向を図で表す。身近な事例に例えて表現する。

などの方法があります。

 例えば身近な事例に例える表現として「ベルヌーイの法則」を表現してみましょう。これは流体のエネルギー保存の法則とも呼ばれます。すなわち流体の圧力エネルギーと運動エネルギーとは常にその総和が一定となるように両者がバランスされているというものです。これを風船の空気に例えるとこうなります。

 風船に空気を吹き込むと、圧力エネルギーが蓄えられて、風船が膨れ上がります。これは流体のエネルギーが圧力の成分が100%の状態です。次に風船の口を開くと勢い良く空気が吹き出します。この時、風船の中の空気は圧力を失い、一方噴き出したあと運動エネルギーを得ています。つまり圧力エネルギーが減少し、運動エネルギーが増加することでエネルギーの総和は一定に保たれているということです。

 長々とした説明となってしまいましたが、計算式で表すと1行で済むかもしれません。

 このように技術者の問題解決においてその巧みさを表現するためには、そこで行われた工夫の内容を具体的に表す必要があり、その表現方法に先に挙げたような工夫が必要だと言うことです。ともすると具体的方策ではなく、「・・が無いように・・する」と言うような目的や機能を用いた漠然とした表現になりがちです。しかしそれでは、技術者としての貢献をしっかりと表現することはできません。

 技術応用と言うと、よく誤解されるのが難しいや特別なことをやってのけたことと誤解されがちですが、普通に技術体系からしかるべき要素技術をケースバイケースで応用すれば技術者としては十分なのです。技術応用を説明しようとすると複雑な文章になってしまうことがよくありますが、その理由の1つが技術的な根拠がよく見えてない場合があると言うことです。どんな場合でも応用した技術が何だったのか明確に意識して、単刀直入に表すようにすればわかりやすくて根拠性に富んだ技術者貢献の表現になると思います。

 このような技術応用の体験は、口頭試験でも主要なチェックポイントとなっています。いわゆる「技術士にふさわしい事は何か」という質問です。とても答えることが難しい質問だと思われているようですが、全然心配することはありません。ご自身の業績の中で、技術体系から部門科目の要素技術をどう応用して問題解決を行ったか、その応用の巧みさを表現できれば何も心配することはないと言うことです。

 こうした技術者の貢献はコンピテンシーの尺度でチェックされることとなり、普通レベルの誰もが行う対応を書いている限りは特別能力が高いとは感じ取ってはもらえません。コンピテンシーには段階があり、普通レベルではありえない、サプライズの内容を含んだ工夫であったときに「とても優れている」と感じるのです。どうせ表現するならそのように高く評価してもらえるように記述したいものです。そのためには工夫の内容が具体的でかつ目的とする結果を得るために有効に貢献をしていること訴えれば良いのです。

 技術士試験では、こうしたコンピテンシー尺度による評価の内情を誰も教えてはくれません。しかしこのことは文部科学省を技術士分科会のホームページにも記されており技術専門家の評価として納得しやすいものです。本研究所ではこのような試験の原理に早くから着目して、効率よく学び合格することを提案しております。受験者の多くはあれこれ悩んで無駄な時間を過ごしながら試行錯誤で勉強法を見出すことが少なくありません。しかしそれでは無駄が多すぎます。出来る限り過去の教訓から不合格の要因を学んで、一回の受験で合格出来るように努力すべきです。

 本研究所では、コーチングによる指導で受講者様の自己変革を導き、答案に対して前向き提案ができるように新たな視点での成長を促します。講師の前向きな言葉によって、ネガティブな考えを払拭して、いつも効率的に問題解決の考え方ができる様になるのです。

 この結果、自分は何をすべきか、何を提案すべきか、それはなぜかと言うような自分にとって重要な疑問に対して明確な答えが持てるようになりその結果継続的な技術研鑽が行なわれるようになるということです。こうした自己変革がない限り、だらだらと暗記勉強を続けるだけでは技術士試験で一発合格は難しいでしょう。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、それぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、各個人の自己変革を促し、楽勝で一発合格出来るように指導しています。

見違えるほど良くなる業績の書き方 5 「訴えるのは努力ではなくクールな工夫」

2017.02.27

  技術士試験の申し込み書には業務経歴の欄があり、自分がやってきた物件名を書くしかないと考えられているようですが、特別決まりがあるわけではありません。

 一方、申し込書は口頭試験で考課の対象となり、その内容が合否を左右することとなります。このため申し込書の作成は答案と同じように内容を高めていかなければならないといえそうです。そこで、「業務経歴」と「業務内容の詳細」について業績の何を書けば合格につながるのか、文部科学省が求めるコンピテンシーの視点から合格に有利な申し込み書の書き方を考えてみたいと思います。今回は「見違えるほど良くなる業績の書き方」9回シリーズの5回目で

「訴えるのは努力ではなくクールな工夫 」

です。

  業績論文を書くときに、たいていの方は真面目に努力したことや大きな問題点を解決したことを訴えたくなります。感覚的に努力したことが貢献につながると錯覚しやすいからです。しかし、これは逆効果です。業績論文の読み手は、客観的に資質、能力を見ていますので、あなたがいつも努力しなければならないとしたら、逆に基本的な資質は低いというようにを感じかねません。また、問題点の困難さからは大変さはわかりますが、貢献の巧みさは見えません。つまり、

努力や問題点の大きさからは資質、能力の高さは伝わらない

のです。

 そこで大事になってくるのは、やはりクールな工夫をしたことを訴えることです。問題解決に際して技術者なら誰もが努力はするでしょうけれども、そこで良い結果を生むための工夫があるかどうかが技術的貢献の成否を左右するのです。ただ普通に最低限の技術対応するよりは、他の技術者が思いつかないような巧みな工夫で解決したとしたら効果的な結果ががもたらされるに違いありません。

 このように技術者の貢献は問題解決につながる工夫にかかっており、その工夫の評価は

技術内容の独創性と汎用性の2点で決まる

考えられます。独創性とは奇抜なアイデアでそれまでにない高い効果を産む工夫のことであり、一方汎用性とはその物件の問題解決のみならず他の物件や他の用途での幅広い技術応用が可能であること、すなわち技術の市場的な価値を意味しています。

 独創性と言うと、よく誤解されるのが「日本で初めて・・した」と言うような前例がないことを想像しますが、時系列的に初めてやることが特別な意味があるとは限りません。むしろそれまで事例がなかったのは、何かしらその事例に代表される技術応用をすべきではないと言う理由があったからだ考えたほうが自然です。世間では理由があってやらないことを自分はあえてそれに逆らって行ったとしても独創的とは呼べません。このため、過去に事例がなかった場合はその理由を考えて、それを乗り越えるための技術的提案をして、その新しい改善に独創性を見いだすべきなのです。

 例えば真空管に対してトランジスタの発明が挙げられます。真空管の小型化技術は最終段階では豆粒ほどの製品化に成功していました。一方、初期のトランジスタはそれに比べて、やや小さいという程度に過ぎませんでした。しかしトランジスタの独創性は真空管より小さいと言う事ではなく、熱電子から半導体への原理的な転換にありました。この電子の流れの原理的な転換によって、性能や小型化が飛躍的に進んだのです。このような技術的で本質的な技術転換のアイデアが独創的だと言えるのです。

 一方、汎用性ついてはその事例だけでなく、他の事例でも適用可能なことが汎用性の基本です。ただし同じ様な物件で繰り返し行うことは汎用性ではありません。繰り返し同じことを行うことには工夫は必要としないからです。では同じ物件ではなく他の物件でしかも用途が異なる場合、あるいは異業種異分野で利用される場合、おそらくその場合はただ繰り返し行うのではなく何らかの技術的なギャップを乗り越える工夫があったはずです。その意味で独創的な技術応用があったと考えられるわけです。

 以上の事から問題解決において、技術者の工夫を述べる時は、

技術応用の独創性や汎用性を訴えれば良い

ということになります。

 こうして業務経歴技術者の工夫を書けば良いわけですが、その結果は口頭試験でチェックされることとなります。最近口頭試験での質問で多く見受けられるのが、「あなたの業績の何処が技術士にふさわしいですか」という質問です。この質問は実は上記の問題解決の独創性や汎用性が他の技術者に比べて優れているかどうかを問いかけているものです。こうした技術応用の独創性、汎用性を業績論文作成時に検討しておけば口頭試験で楽勝で合格出来るということです。

 技術士試験の申込書は、行ったことの結果をただ書くだけではなく、技術的応用の意義がどうであったのかを、改めて振り返って、整理しながら表現する必要があると言うことです。業務の最中には習慣的に作業を流しているだけと言う場合も多いからです。しかし、合格を目指すなら、技術者としてのコンピテンシーを高めるため、技術応用の独創性と汎用性を訴えねばならないということです。こうした結果、見違えるほどを専門家らしい印象を与えることが可能となります。

 技術士試験は、2、3年の長い戦いとなり、その間に効率よく学び続ける事は容易ではありません。大抵の方はあれこれ悩んで無駄な時間を過ごしながら試行錯誤で勉強法を見出すわけです。しかしそれでは無駄が多すぎます。出来る限り過去の教訓から不合格の要因を学んで、一回の受験で合格出来るように努力すべきです。本研究所では、コーチングによる指導で受講者様の自己変革を導き、答案に対して前向き提案ができるように新たな視点での成長を促します。講師の前向きな言葉によって、ネガティブな考えを払拭して、いつも効率的に問題解決の考え方ができる様になるのです。

 この結果、自分は何をすべきか、何を提案すべきか、それはなぜかと言うような自分にとって重要な疑問に対して明確な答えが持てるようになりその結果継続的な技術研鑽が行なわれるようになるということです。こうした自己変革がない限り、だらだらと暗記勉強を続けるだけでは技術士試験で一発合格は難しいでしょう。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、それぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、各個人の自己変革を促し、楽勝で一発合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

見違えるほど良くなる業績の書き方 4 「解決策では技術応用をきっちり示す 」

2017.02.23

  技術士試験の申し込み書には業務経歴の欄があり、自分がやってきた物件名を書くしかないと考えられているようですが、特別決まりがあるわけではありません。

 一方、申し込書は口頭試験で考課の対象となり、その内容が合否を左右することとなります。このため申し込書の作成は答案と同じように内容を高めていかなければならないといえそうです。そこで、「業務経歴」と「業務内容の詳細」について業績の何を書けば合格につながるのか、文部科学省が求めるコンピテンシーの視点から合格に有利な申し込み書の書き方を考えてみたいと思います。今回は「見違えるほど良くなる業績の書き方」9回シリーズの4回目で

「解決策では技術応用をきっちり示す 」

です。

  業績論文を書くときに、最も重要で説明の中心となるのは解決策の記述です。この解決策こそが技術者としての務めの中心となります。技術者の評価は解決策の中身によって左右されると言っても過言ではありません。解決策に表現すべき内容としては具体的にどう問題点を解消するかということともう一つ、技術の応用方法を示すことです。これは無理にでも行う必要があります。

 なぜなら、技術士試験では部門科目の技術者としての資質能力、すなわちその科目における技術応用力を確かめる必要があります。このためそうした技術応用を記述すれば手っ取り早く評価してもらえるということです。逆に技術応用について書かれていないと、たまたま出来ただけで、汎用的な対応力がなく、本質的な資質能力があるのか確かめることができず、能力不足という印象を与えてしまいかねません。

 建設部門鋼構造コンクリートのF様は、道路にかけるコンクリート橋設計について、次の解決策を挙げていました。

 従来法の平面骨組解析モデル(2次元)での変形量と、3次元FEM解析モデルでの変形量を比較し、変形増加率10%をせん断変形量として型枠高さを決定した。 

 上記の文が意味するのは、2次元FEM解析モデルと3次元FEM解析モデルで変形量を比較し、両者の差から、算術的に変形増加率10%をせん断変形量としたということですが、数学的な意味しか読み取ることができません。3次元モデルでは、2次元モデルと違って奥行き方向に材料の厚みがあるため、それによる曲やねじりが発生します。こうした違いを、考慮すべきなのですが算術平均ではそこまでの技術背景は窺い知ることができません。

 そこで、この解決策がどの様な技術背景で導かれたのかを考えながら、説明の改善をしてみました。その結果、

 せん断及びねじり変形量を算出する為に必要なポアソン比の評価が可能な3次元FEM解析モデルを使用して上げ越し計算を行い、型枠設置高さを決定した。

 つまり、目標とする型枠設置高さの決定のため、せん断及びねじり変形量を考慮しなければならず、それらを算出する為にポアソン比というパラメーターを計算条件に入れて3次元FEM解析を行ったわけです。

 技術士は物件の技術的問題点を解決する務めがありますので、どういった方法で技術応用を図っていくかを提案しなければなりません。技術応用や原理名を直接表現しにくいときは、工法や設計法など、その部門科目の代替指標表現することも可能です。よく見かける、好ましくない例としては、解決方法を示してはいるものの、技術や原理の説明がなく、なぜそうなったのかわからない、解決の結果だけの記述の場合があります。この場合たまたま解決したのか、技術による結果なのか判然とせず、せっかくの貢献が無効なものとなってしまいます。

 以上整理すると技術士試験の申込書は、技術マネージャとして主要な技術問題の解決を務めたことをアピールするため、技術応用をきっちり表現すべきだといえます。業務で行ったことの結果をただ書くだけではなく、そこにどのような技術的な応用があったのかを、改めて振り返って、整理しながら表現する必要があると言うことです。業務上の操作は習慣となっていて、そうした技術応用を意識せずにをこなれている場合も多いからです。しかし、合格を目指すなら、技術者としてのコンピテンシーを高めるため、その業務のみならずどの様な場合でも対応可能な、汎用性に富んだ技術体系からの応用を訴えねばならないということです。こうした結果、見違えるほどを専門家らしい印象を与えることが可能となります。

 技術士試験は、5人に1人しか合格せず、 逆に1人が合格するためには5回受けでは初めて合格出来る計算になります。 1つの資格を取得するのに、5年間も費やすなんて無駄が多すぎます。出来る限り過去の教訓から不合格の要因を学んで、一回の受験で合格出来るように努力すべきです。本研究所では、コーチングによる指導で受講者様の自己変革を導き、答案に対して前向き提案ができるように新たな視点での成長を促します。

 コーチングの指導では、

あなたを育てる「自分への質問」を投げかけます。

その結果、自分は何をすべきか、何を提案すべきか、それはなぜかと言うような自分にとって重要な疑問に対して明確な答えが持てるようになり、継続的な技術研鑽が行なわれるようになるということです。つまり

新たな視点で自己変革を促す

わけです。こうした自己変革がない限り、だらだらと暗記勉強を続けるだけでは技術士試験で一発合格は難しいでしょう。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、それぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、各個人の自己変革を促し、楽勝で一発合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

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