見違えるほど良くなる業績の書き方 3 「問題点では業績の意義の大きさを示す 」

2017.02.22

  技術士試験の申し込み書には業務経歴の欄があり、自分がやってきた物件名を書くしかないと考えられているようですが、特別決まりがあるわけではありません。

 一方、申し込書は口頭試験で考課の対象となり、その内容が合否を左右することとなります。このため申し込書の作成は答案と同じように内容を高めていかなければならないといえそうです。そこで、「業務経歴」と「業務内容の詳細」について業績の何を書けば合格につながるのか、文部科学省が求めるコンピテンシーの視点から合格に有利な申し込み書の書き方を考えてみたいと思います。今回は「見違えるほど良くなる業績の書き方」9回シリーズの3回目で

「問題点では業績の意義の大きさを示す 」

です。

  業績論文を書くときにまず最初に考えるべきものは、業績の前提事項である目的や問題点です。大抵の業務は従来行っていた内容に問題があるから、新たな対応が必要となるわけで、業績の前提として問題点が最初に存在することが多いようです。また、新規にビルを建設するような事例においても、従来の方法で行った場合にどのような問題が想定されるか、といった視点で問題提起をすることは可能です。

 いずれにしても、業績の前提となる

問題点は、大きければ大きいほどその業績の意義が高まる

わけで、まずは最初に大きな問題点を取り上げて、業績の意義深さを宣言すべきです。これが小さいと業績のメインのパートを行ったわけではなく、付随的な作用をしたという印象を与えかねません。

 逆に業績の中で大きな問題点を見つけるという作業は、その業務に対して

責任者として取り組んだ立場を示す

ことにもなります。技術士は技術マネージャの資格でもあるため、組織の中での地位はある程度高いことが好ましいといえます。業績に対して責任者の立場で取り組んだという事は、そうしたマネジメントの面でも技術士にふさわしいという資質を表すことになります。

 建設部門鋼構造コンクリートのF様は、道路にかけるコンクリート橋の設計について、次の問題点を挙げていました。

  • 従来法の2次元骨組解析モデルでは曲げ変形以外の変形量予測が不可能で、一方、3次元FEM解析では部分計算しかできない。

  ここで分かる事は、手法上の制約があると言うことだけで、それがコンクリート橋設計という全体に対してどのような制約事項となったのか、業務の全体に対する意義が見えてきません。このままですと、手法検討、すなわち手段的な領域においてのみ業績に関わり、全体設計のマネジメントは行わなかったということになってしまいます。

 そこで、この問題点がコンクリート橋設計に対して、いかに大きな障害となるかを示すようにしました。その結果、

  • 従来の2次元骨組解析モデルはせん断変形やねじり変形を考慮せず、最大変形を想定するため、不経済な桁の設計を余儀なくされている。

という、橋梁設計の経済性に関する問題意義が表現できました。

  技術士は物件の技術経営を管理する務めなので、技術判断が経済的視点からどう影響するかを考えていくと、業績の意義が明確に示すことが可能です。経済性に関し直接関連付けしにくいときは、品質管理や安全性、完成までの納期など、経済性の代替指標に結論づけても同じような評価が可能です。

  以上整理すると技術士試験の申込書は、まず最初に技術マネージャとして主要なパートを務めたことをアピールするため、業績の問題や意義が大きい事を宣言すだといえます。業績をあるがままに見てもらうものではなく、合格を目指すなら、当然コンピテンシーを高めた表現としなければならないのです。そのためには、業績の中の主要な事項を見極めて、その業務の最も困難な問題点に取り組んだと言う技術者としての立場を訴えねばならないということです。こうした結果、見違えるほどを専門家らしい印象を与えることが可能となります。

  技術士試験は合格率が20%以下で、だれでも勉強すれば合格出来るとは限りません。しかも1年に1回しかチャレンジできないため、試験での失敗は長期間の時間の無駄となります。このため出来る限り過去の教訓から不合格の要因を学んで、一回の受験で合格出来るように努力すべきです。本研究所では、コーチングによる指導で受講者様の自己変革を導き、答案に対して前向き提案ができるように新たな視点での成長を促します。

  この結果、自分は何をすべきか、何を提案すべきか、それはなぜかと言うような自分にとって重要な疑問に対して明確な答えが持てるようになりその結果継続的な技術研鑽が行なわれるようになるということです。こうした自己変革がない限り、だらだらと暗記勉強を続けるだけでは技術士試験で一発合格は難しいでしょう。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、それぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、各受講者様の自己変革を促し、楽勝で一発合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

見違えるほど良くなる業績の書き方 2 「大事と小事を区別し、苦労ではなく貢献に着目する! 」

2017.02.21

  技術士試験の申し込み書には業務経歴の欄があり、自分がやってきた物件名を書くしかないと考えられているようですが、特別決まりがあるわけではありません。

 一方、申し込書は口頭試験で考課の対象となり、その内容が合否を左右することとなります。このため申し込書の作成は答案と同じように内容を高めていかなければならないといえそうです。そこで、「業務経歴」と「業務内容の詳細」について業績の何を書けば合格につながるのか、文部科学省が求めるコンピテンシーの視点から合格に有利な申し込み書の書き方を考えてみたいと思います。今回は「見違えるほど良くなる業績の書き方」9回シリーズの2回目で

「大事と小事を区別し、苦労ではなく貢献に着目する! 」

です。

  業績論文を書くときにまず最初に思い浮かべるのが、なぜその業務を行ったかと言う理由や目的です。実際の業務では何か問題点があって、対策を行う場合が少なくありません。このため業績の書き方は、問題点+対策という対にして書かれる場合が多いようです。例えば、

  • 強度が足りず崩壊したため、〇〇を建設した。
  • エネルギー消費量が大きいため、断熱構造にした。

というようにです。

 こうした問題点+対策の書き方は、一見、業績を理解しやすいものにしてくれます。原因があって対策があるので論理的に納得しやすいわけです。問題点にぶち当たって苦労をしたためにそのことが記憶に強く残っているという、本人の強い記憶のせいもあります。しかし逆な見方をすれば、当たり前の対応をしたに過ぎず、誰がやっても同じ対応を取ったのではないか、と考えてしまいます。

 これでは技術士らしさを表現することはできません。なぜならコンピテンシーとは普通の人が行う対応からは特別高い資質、能力を感じさせないからです。逆に、普通ではありえないような特別な、独創的な対応を行い、しかも結果が効果的であった場合にはコンピテンシーは高く感じられることとなります。このようにコンピテンシーにはレベルがあり、意識して高めることによって技術者の資質能力は自然と高いものと感じられるようになります。

 例えば先程の例で申し上げますと、

  • 〇〇を補強するため、巻き付け補強を採用した。
  • 省エネ化するためZEB(ゼロエネルギービル)設計を行った。

というように異なる視点でまとめることも可能です。

 前述の例との違いは、問題点ではなく、貢献の表現に重きを置いた表現となっている事はお分かりでしょうか。問題点より、技術者をしたの貢献に力を入れた表現をすることでコンピテンシーの高さを表現しています。業績を書くときには、成り行き的にどうしても、苦労したことを大きくとらえて問題点を中心に考えてしまいがちですが、しかしそうした自身の苦労から開放されて、冷静に業績を見つめることによって、本当に成果につながった貢献が何であったが見えてきます。この真の意味での貢献こそが業績論文で最も力を入れて果かねまならない大事な事項なのです。ですので、

苦労ではなく、貢献に着目すべき

といえます。

 また業績の何を取り上げるかという着目点も大事なポイントとなります。付随的な書きやすい事項ではなく、業績の中心となる本質的な事項を取り上げねばなりません。すなわち

大事と小事を区別する

ことが重要なのです。業績の中の主要な問題点に取り組んで、その本質的な解決を提案しなければ貢献は強く訴えることがいません。

 以上を整理すると技術士試験の申込書は、業績をただあるがままに見てもらうものではなく、合格を目指す場合、当然コンピテンシーを高めた表現としなければなりません。そのためには、業績の中の主要な事項を見極めて、その中心業務に絞り込んで、技術者としての貢献の大きさを訴えねばならないということです。こうした結果、見違えるほどを専門家らしい印象を与えることが可能となります。

 技術士試験は1年に1回しかなく、 1回の失敗は長期間の時間の無駄となります。このためもし可能ならば過去の受験体験よりたくさん学んで、一回の受験でできるだけ合格出来るように努力すべきです。技術士合格への道研究所では、コーチングによる指導で受講者様の能力開発に努めています。

 エンジニアが能力を高めるためには、自己変革が必要ですが、それを自分で起こす事は容易ではありません。本研究所のコーチングでは、それぞれの技術士にふさわしいビジョンやバリューを明確にすることによって、受講者様ご自身が進んで行くべき目標を見出し、それを言葉に表すことによって技術者としての変革を促しています

 この結果、

  • 自分は何をすべきか
  • 何を誰に提案すべきか
  • それはなぜか

と言うような自分にとって重要な疑問に対して明確な答えが持てるようになりその結果継続的な技術研鑽が行なわれるようになるということです。こうした自己変革がない限り、だらだらと暗記勉強を続けるだけでは技術士試験で高い資質能力を表現する事は難しいと考えられます。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、それぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、各個人の自己変革を促し、楽勝で一発合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

見違えるほど良くなる業績の書き方 1 「物件よりも貢献を力説する! 」

2017.02.17

  技術士試験の申し込み書には業務経歴の欄があり、自分がやってきた物件名を書くしかないと考えられているようですが、特別決まりがあるわけではありません。

 一方、申し込書は口頭試験で考課の対象をとなり、その内容が合否を左右することとなります。このため申し込書の作成は答案と同じように内容を高めていかなければならないといえそうです。そこで、「業務経歴」と「業務内容の詳細」について業績の何を書けば合格につながるのか、文部科学省が求めるコンピテンシーの視点から合格に有利な申し込み書の書き方を考えてみたいと思います。今回は「見違えるほど良くなる業績の書き方」9回シリーズの1回目で

「物件よりも貢献を力説する! 」

です。

  技術士試験の申し込み書の業務経歴の欄は、3行で書いた場合、51文字しか書けず、フォントの小ささからこれが限界です。この文字数の範囲内で表そうとした場合、物件名やその仕様の記述で業務内容を表すしかないと考えられがちです。例えば、

 〇〇ビル新築工事の施工管理、計画(5000m2)

というように施工管理の場合ですと物件名を、それ以外の職務の場合、業務(作業)名を書くことになるのですが、これでは試験官は採点が出来ません。なぜなら、試験対象となるのは個人の職務がどうであったかという事であり、物件の出来栄えとは必ずしも一致しません。さらにその業績が技術士にふさわしいかどうかかかっているわけで、肝心の内容はこのような物件に関する記述からでは判断できないということになります。この結果は、口頭試験で厳しい質問に答えることとなり、それをクリアしない限り合格できないこともありうるということです。

 そこで考え方を変えて、個人の職務すなわち技術士としての貢献を前面に押し出すように書いていけば良いのです。こうすれば技術士にふさわしい貢献が表現できるようになり、申込書を見ただけで業績については合格の判断がしやすくなります。この結果は、口頭試験で業績に対する厳しい質問がなくなり、試験に安心して臨めるということです。すなわち、

物件よりも貢献を力説する!

ということです。

 先の事例をもとに考えると、貢献に相当する技術や方法を添えることにより技術士らしい貢献が見やすくなります。下記の例の末尾の数字は文字数を話しており、 51文字以内でしっかりと貢献を表現することにより、技術士らしさが明確になっていく様子が伺えます。

 〇〇ビル新築工事の施工管理、計画(5000m2) 24

 〇〇ビル新築工事施工計画(5000m2)、〇〇工法導入により施工期間短縮 34

 〇〇ビル新築工事施工計画(5000m2)、〇〇工法を導入し、CPMにより躯体工事を機械化、施工期間短縮 51

 以上を整理すると技術士試験の申込書は合否を判断する材料なので、極力利用してご自分の能力資質を表現することに努めるべきです。そのため技術士にふさわしい理由を明確にする、すなわち物件の概要を書くだけではなく、技術士らしい貢献を記述すべきだと言うことです。

 技術士試験は1年に1回しかなく、 1回の失敗は長期間の時間の無駄となります。このためもし可能ならば過去の受験体験よりたくさん学んで、一回の受験でできるだけ合格出来るように努力すべきです。技術士合格への道研究所では、過去18年の実績より、毎年の敗因分析の結果合格の理論が確立しつつあります。申し込み書については、文部科学省技術士分科会の考え方も分析し、当然過去の業績におけるコンピテンシーがチェックされると信じております。このためもし本書は答案の1部と考えて、講座の主要な指導対象として指導を行っております。

 技術士試験に合格するには一朝一夕では無理で、長期間にわたる勉強となる場合がほとんどです。このため1番忘れてはならない事は、

無駄のない勉強法を続ける

ことです。長い勉強期間を有効にすごすためには無駄のない勉強を行わないと、長い年月の末には大きな差となり、合格に影響を及ぼしかねません。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、こうしたそれぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、確実に高得点を狙い、楽勝で一発合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

技術経営、市場動向について学ぶべし 8 「MECE(ミーシー)でモレダブリのない明解な文章」

2017.02.15

  技術士試験の勉強法は、一般的にはキーワード学習と呼ばれる専門用語の暗記学習が知られていますが、こうした専門知識だけでは問題は解けません。なぜなら、試験問題は現実のコンサルティングの場面を想定して、技術経営や市場動向を前提として回答するよう求められ、ヒントを与えてくれないからです。多くの方は技術経営や市場動向について学ぶ機会が少ないみたいです。そんな方が専門知識だけで解こうとすると、出題趣旨の中心がどこにあるかわからず、答えが絞り込めずにほとんどが正解では無い、意味のない答えを書いてしまいます。

 こうした、技術経営や市場動向がいかに大切かと言うことを、指導実績をもとに説明してみたいと思います。今回は「技術経営、市場動向について学ぶべし」8回シリーズの最終回で

MECE(ミーシー)でモレダブリのない明解な文章

です。

平成28年建設部門、施工のIII−1問題は、

 我が国の労働人口が総じて減少する中で、将来にわたる社会資本の品質確保を実現するためにその担い手(建設技術者、建設技能労働者)の中長期的な育成及び確保を促進するために対策を講じる必要があると考えられる。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)担い手不足が生じる要因を2つ挙げ、それに伴って発生する施工分野の課題を記述しなさい

(2)(1)で挙げた課題について、あなたが実施できると考える具体的な対応策と期待される成果を発注者、受注者の立場を明確にしたうえで記述しなさい

(3)担い手不足に対応するために建設部門全体で取り組むべきとあなたが考える方策を記述しなさい

という問題でした。

 建設部門施工のT様は、(3)建設部門全体で取り組むべき方策についてどう対処すべきなのかが理解できていませんでした。

(3)建設部門全体での取り組む方策

 上記を踏まえた対策として、建設業に従事する労働力自体の不足を解消する必要がある。超高齢社会となった現在の日本においては、活用できる労働力としては、女性や外国人の活用が考えられる。機械化により重労働が解消されれば、女性が活躍できる可能性が広がる。そのためには、衛生面や育児支援体制の労働環境を整えていくことで、十分な可能性がある。また、未経験を含め、外国人などの新たに建設業に従事しようとする者に対しても、プレキャスト材や仮設材のユニット化により、長い経験を積まずに安全で優れた現場での組立作業が可能である。

とてもわかりにくいので、(3)の答えについて一文ごとに分析してみますとこうなります。
上記を踏まえた対策として、建設業に従事する労働力自体の不足を解消する必要がある。
これは前置き文であまり意味はありません超高齢社会となった現在の日本においては、活用できる労働力としては、女性や外国人の活用が考えられる。
女性と外国人を労働力として提案しています。機械化により重労働が解消されれば、女性が活躍できる可能性が広がる。
女性や外国人の使い方ではなく、機械化に展開し、その結果として女性の可能性が広がることをに触れています。結論として労務か機械化なのか意図がわからなくなります。そのためには、衛生面や育児支援体制の労働環境を整えていくことで、十分な可能性がある。再びに女性の労務課題に戻って労働環境を整えることを提案しています。また、未経験を含め、外国人などの新たに建設業に従事しようとする者に対しても、プレキャスト材や仮設材のユニット化により、長い経験を積まずに安全で優れた現場での組立作業が可能である。
今度は、女性でも外国人でもない「未経験者」という新しい労働力をいきなり定義しています。後半の「プレキャスト材、ユニット化」は工法の提案なのか、あるいは労働力に対しての相乗効果を言っているのかよくわかりません。
 以上を整理すると本来記述すべき内容は、次の
3つの独立した方策
となりそうです。
女性、外国人、未経験者を新たな労働力源として確保し、そのような人たちが建設業で就業できるよう労働環境整える機械化、自動化で労働者の肉体的に負担を軽減する。プレキャスト材、ユニット化工法により、建設現場の生産活動の工場生産に移行し、建設現場での作業を軽減する。
このようなモレやダブリのない考え方をMECE「ミーシー」と言い、試験では回答趣旨を明快に伝えるためMECEによる整理が必要だと言うことです。
MECE「ミーシー」とは
Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive
の頭文字をとったもので意味は以下のようになります。
  • Mutually( 相互に)
  • Exclusive(重複せず)
  • and Collectively(全体として)
  • Exhaustive(漏れがない)
そしてミーシーだと何がいいのかと言うと、
考え方が明解に整然として伝わる
からです。
ミーシーでは、前記の答案の解答例で示したように、ある事柄を全体集合と考え、漏れもダブリもない部分集合に分けることを行ないます。
 この漏れ・ダブリをなくす理由は次の3つです。
  • 網羅できるので見落としを排除できる
  • 混乱がなくなる
  • 整然としてコミュニケーションが取りやすい。

 つまり、答案の答えが  

  MECE「ミーシー」なら、わかりやすく試験官に伝わり合格点を取りやすい 

   ということです。  一方、 T様が解答として書かれた内容は、工法による対策が漏れていたり、労務対策等工法対策が混同していたりして、提案の焦点がどこにあるのかよくわかりませんでした。これでは提案内容がはっきりしないばかりか、提案者の真意を疑われかねません。最悪の結果は分析力や判断力が欠けているという評価をされて、答案内容とは別に最低の評価を受けることになってしまう危険性があると言うことです。 

 すなわちこうした複雑な内容に対しては、一読して内容が伝わるように、 2〜3の柱ごとに整理して伝えるべきで、解答者としては読み手の理解力を考慮してわかり易い構成を取るべきなのです。逆に出題者としては、こうした複雑な提案を求めることにより、分析や提案における明快な問題解決能力を試しているともいえます。

 論文試験では、解答者は出題者の期待しているテーマに沿って書くことが求められます。建設部門施工のこの問題では、技術者個人としてではなく建設部門全体での取り組みが求められました。このような問題では、個人としての活動等部門全体としての提案を分けて考える必要があります。そして部門全体における対策としては、すなわちそれは 

  コーディネーターかマネジメントリーダーとして会社または組織を束ねていく、取りまとめの役割 

を担う事を意味しており、プロジェクトマネージャーってとしての技術経営の知識が必要です。

 こうした問題はこれからも出題されることが予想されます。そこでは事例が何であるかはとくに縛りはありません。ご自分の体験の中にある建設部門が抱える課題に対する提案であれば何でも良いのです。大事な事は提案内容に矛盾がなく、漏れやダブリがないこと、すなわちミーシーであると読みとれることです。こうした考え方を短時間で組み立てていく必要があります。

 これは暗記する勉強で学ぶ事は出来ません。自分で考え提案し、上司や先輩と相談することで初めて培われるものです。相談相手のいらっしゃらない方は本講座にしつつお申し込みいただければ、上司や先輩に変わって講師が相談に乗り課題解決力や応用力を鍛えることが可能です。 

 技術士試験の勉強は長期間にわたるものとなります。今回の記事で述べたような、評価を高めるようなポジティブな提案ができる様になるためには一朝一夕では無理です。講師と相談しながら地道に提案力を高めていくしかなく、長期間にわたる勉強となりますので1番大事な事は、無駄のない思考を学ぶ訓練です。長い勉強期間を有効にすごすためには無駄のない思考を身につけないと、長い年月の末には大きな差となり、合格に影響を及ぼしかねません。

 建設部門のT様は、現場の施工管理の業務に携わってこられ、その業務が定型作業的な業務が多かったために、新たなケースを想定して解く問題では力が発揮できませんでした。これまで技術経営を学ぶ機会が少なかったようです。しかし技術士試験では1人のマネージャーとしての姿勢を問う問題が出題されるため、正しい技術経営や市場動向を勉強する必要があります。  

 当研究所では、申込書の業績論文対策や筆記試験論文対策指導、口頭試験対策の際に、受講者様の解答の趣旨を面談やスカイプ、電話で詳細に確認、分析し、その認識のどこに誤りがあるかを分析し、根本原因を突き止めます。この時ネガティブな考え方を払拭して、前向きな考え方をコーチングによって言葉で伝えます。この結果だれでもむだのない思考を学ぶ訓練が行えることとなり、正しい提案が早くできるようになり、試験も楽勝で合格出きるということです。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、こうしたそれぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

技術経営、市場動向について学ぶべし 7 「ありえない提案は逆効果」

2017.02.14

  技術士試験の勉強法は、一般的にはキーワード学習と呼ばれる専門用語の暗記学習が知られていますが、こうした専門知識だけでは問題は解けません。なぜなら、試験問題は現実のコンサルティングの場面を想定して、技術経営や市場動向を前提として回答するよう求められ、ヒントを与えてくれないからです。多くの方は技術経営や市場動向について学ぶ機会が少ないみたいです。そんな方が専門知識だけで解こうとすると、出題趣旨の中心がどこにあるかわからず、答えが絞り込めずにほとんどが正解では無い、意味のない答えを書いてしまいます。

 こうした、技術経営や市場動向がいかに大切かと言うことを、指導実績をもとに説明してみたいと思います。今回は「技術経営、市場動向について学ぶべし」8回シリーズの7回目で

ありえない提案は逆効果

です。

平成28年衛生工学部門、空気調和ののIII−1問題は、

 企業,官庁,公共施設などでは,地震などによる大規模災害が生じた場合に建物の継続的使用を図るためにBCPBusiness Continuity Planning事業継続計画)が策定される。ある新築建物であなたはBCPへの対応を考慮した計画を策定することになった。そのことを踏まえて以下の問いに答えよ。なお,地震時においては,建物自体は大きな被害を免れ,継続的に使用できる状態を想定する。

(1)BCPの目的,策定時に考慮すべき事項をそれぞれ3つ述べよ。

(2)BCP策定後,それを実効性のあるものにしていかなければ,実際に運用する事態に際して機能しないことが考えられる。そこで災害時のBCP運用で問題になると思われるリスクとその対応策について述べよ。

(3)データセンター,病院など対象とする建物の種類や用途を自由に設定し,BCP策定上の特徴を述べよ。また,空気調和設備で考慮すべきこととその対策を具体的に述べよ。

という問題でした。

 衛生工学空気調和のT様は、(3)空気調和設備で考慮すべきこととその対策を具体的に述べよ。に対してどう対処すべきなのかが理解できていませんでした。

(3)空気調和設備で考慮すべきこととその対策 

 避難生活が長期化するため、高齢者には快適な空調が求められる。考慮すべきこととその対策 長期的に省電力にて空調を行うことが必要となる。再生可能エネルギーを利用した潜熱顕熱分離空調とする。地中熱(地下水)(15〜20℃)と太陽熱(55℃〜80℃)を熱源として、デシカント空調および天井放射パネルを採用する。

 冷房時は地下水にて、外気を予定、デシカント空調での除湿、天井放射パネルに供給して空調する。暖房時は、太陽熱にて外気の予熱および天井放射パネルにて空調する。能力不足時は、水冷チラーにて冷房時は地下水をカスケード利用し、暖房時は地下水を蒸発器に投入し、凝縮器にて温水を高効率に得ることで空調する。

(3)では避難生活を前提とし、高齢者のための快適な空調について述べられています。しかし、その内容は請うような用途ではありえないハイテクばかりです。
  • 再生可能エネルギーを利用した潜熱顕熱分離空調
  • 地中熱(地下水)(15〜20℃)と太陽熱(55℃〜80℃)を熱源として
  • デシカント空調および天井放射パネルを採用する。
  • 冷房時は地下水にて、デシカント空調での除湿、天井放射パネル
  • 暖房時は、天井放射パネルにて空調する。
  • 冷房時は地下水をカスケード利用し、
  • 暖房時は地下水を蒸発器に投入し、凝縮器にて温水を高効率に得る
まず、対応策はデータセンター,病院など設備比率の高い建物用途を前提とし、BCP策定することが求められているのに対して、提案内容は避難所として利用される体育館に過ぎません。一般的に非常時の体育館の空調とは夏季は自然換気、冬季は開放式ストーブで十分です。

 一方、解答として書かれた内容は、まったく用途が異なるインテリジェントビルやデータセンターに対して行われる内容です。これでは建物用途に対して提案内容が高度すぎてありえない提案となってしまいます。その結果逆に判断力を疑われて評価を損なう結果になりかねません。つまり、

ありえない提案は逆効果

だということです。

 こうした施設用途を限定して、それに対して提案を述べる場合は、一般的な施設の要求品質に適応した技術内容が示されなければなりません。逆に出題者としてはそうしたマーケットのレベルに応じて適切な提案ができる判断力を試しているともいえます。

 空調設備の分野でハイテク技術の提供は、高度な資質能力の証となるかもしれませんが、しかし対象が、そのような技術にふさわしくない低グレードの建物であったとしたら、提案する技術者としての資質が疑われるということです。例えばこの問題で避難所の体育館としての利用法を取りあげたとしたら、それなりの低グレードの冷暖房対応を示するのが妥当であると考えられます。逆に、上記に回答されたようなハイテクを提案するとしたら、対象とする建物はインテリジェントビルやデータセンターなど設備比率の高い建物用途とすべきです。

 論文試験では、解答者は出題者の期待しているテーマに沿って書くことが求められます。衛生工学部門空気調和のこの問題ではBCP対応をテーマとして、まず問題を予測し、施設を想定し、それに対応するする技術を求められました。このような問題では非常時に建物の室内環境にどんな問題が起こりうるのかという空気調和衛生工学の常識的な知識と、それに対してどう対処するかと言う技術経営の知識が必要です。

 こうした問題の事例が何であるかはとくに縛りはありません。ご自分の体験の中にある衛生工学空気調和の非常時の持続性に由来する問題と、施設の稼働率低下を回避するする空気調和技術であれば何でも良いのです。大事な事は提案内容に矛盾がなく、不均質に由来して品質が左右されないこと、すなわち品質管理が良いと読みとれることです。こうした考え方を誤りなく短時間で組み立てていく必要があります。これは暗記する勉強で学ぶ事は出来ません

自分で考え提案し、上司や先輩と相談することで初めて培われていく

ものです。

 相談相手のいらっしゃらない方は本講座にお申し込みいただければ、上司や先輩に変わって講師が相談に乗り課題解決力や応用力を鍛えることが可能です。平成30年には試験制度改正が予定されており、択一問題も論文式となり、現行の論文試験はさらに応用力を試す問題となっていきます。このため考える力、応用力を養う勉強法は今後ともますます重要性が高まってきます。

 技術士試験の勉強は長期間にわたるものとなります。今回の記事で述べたような、評価を高めるようなポジティブな提案ができる様になるためには一朝一夕では無理です。講師と相談しながら地道に提案力を高めていくしかなく、長期間にわたる勉強となりますので1番大事な事は、無駄のない思考を学ぶ訓練です。長い勉強期間を有効にすごすためには無駄のない思考を身につけないと、長い年月の末には大きな差となり、合格に影響を及ぼしかねません。

 衛生工学部門のT様は、現場の施工管理の業務に携わってこられたために体験した業務には精通していましたが、新たなケースを想定して解く問題では力が発揮できませんでした。現場管理の定型業務が多かったために、技術経営を学ぶ機会が少なかったようです。しかし技術士試験では1人のマネージャーとしての姿勢を問う問題が出題されるため、正しい技術経営や市場動向を勉強する必要があります。

 当研究所では、申込書の業績論文対策や筆記試験論文対策指導、口頭試験対策の際に、受講者様の解答の趣旨を面談やスカイプ、電話で詳細に確認、分析し、その認識のどこに誤りがあるかを分析し、根本原因を突き止めます。この時ネガティブな考え方を払拭して、前向きな考え方をコーチングによって言葉で伝えます。この結果だれでもむだのない思考を学ぶ訓練が行えることとなり、正しい提案が早くできるようになり、試験も楽勝で合格出きるということです。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、こうしたそれぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

技術経営、市場動向について学ぶべし 6 「技術はリスクを低減するものなり」

2017.02.10

  技術士試験の勉強法は、一般的にはキーワード学習と呼ばれる専門用語の暗記学習が知られていますが、こうした専門知識だけでは問題は解けません。なぜなら、試験問題は現実のコンサルティングの場面を想定して、技術経営や市場動向を前提として回答するよう求められ、ヒントを与えてくれないからです。多くの方は技術経営や市場動向について学ぶ機会が少ないみたいです。そんな方が専門知識だけで解こうとすると、出題趣旨の中心がどこにあるかわからず、答えが絞り込めずにほとんどが正解では無い、意味のない答えを書いてしまいます。

 こうした、技術経営や市場動向がいかに大切かと言うことを、指導実績をもとに説明してみたいと思います。今回は「技術経営、市場動向について学ぶべし」8回シリーズの6回目で

技術はリスクを低減するものなり

です。

平成28年建設部門、土質基礎のIII−1問題は、

  地盤内に施工される,杭基礎,地盤改良,グラウンドアンカーなどの構造物は,直接的に品質を確認することが難しい。このため地盤技術者は,調査・設計・施工の各段階において,地盤特性及び地盤内構造物の特徴に応じ,品質向上に努めなければならない。

  以上のような状況を踏まえて,地盤内構造物の品質確保に関して,以下の問いに答えよ。

(1)地盤内構造物において想定される,地盤の不均質性や調査の不確実性に起因する不具合を2つ挙げ,それぞれの原因及び技術的課題について抽出し,記述せよ。

(2)(1)で挙げた2つの不具合に対し,抽出した技術的課題について,品質を確保するために実施すべき,最も効果的な対応策を提示し,説明せよ。また,提示した対応策を実施した場合の効果(メリット)と,それらを実行する際の問題点・留意点を論述せよ。

という問題でした。

 建設部門土質基礎のY様は、なぜ不確実性や不具合がテーマとなるのか、そして技術者はそれに対してどう対処すべきなのかが理解できていませんでした。まず(1)の回答は次のようなものでした。

(1)地盤の強度不足による不具合

 ここでいう地盤の強度不足とは、地耐力や周面摩擦力など、支持地盤として必要な抵抗力不足を示す。特に、不連続性などにより施工後に現れる不具合について記述する。

原因 地中構造物は、本体が地中にあり常に不可視部分となるため、試験などにより品質を確認したとしても、その結果が地盤のどこ部分の強度が発揮されてのものかを正確に判断することができない。したがって、品質確認が地盤の不均一性や調査の不確実性を補完することに必ずしもつながっていないことが原因である。

 (1)では地盤の不均質性や調査の不確実性に起因する不具合を求められているのに、回答は調査の不確実性が目的となっているか、またはその他対策を挙げてしまっています。これは出題趣旨を正しく読み取れていないことと、いつも対策の提案に焦っていることが原因だと考えられます。じっくりと考えて地盤の不均質性に由来する不具合、例えば地面の填圧不足による地盤沈下などをまず挙げるべきです。

 次に    (2)の解答は、

(2)地盤の不具合に対して効果的な対応策、効果、問題点・留意点

対応策 地盤内構造物の造成時に、ICTを活用し地盤の不均一性を把握しながらモニタリング施工を行う。

効果(メリット) 調査結果に基づいて、設計者が経験則から支持地盤・定着地盤を定める手法に比べ、解釈による違いが発生しない。

問題点・留意点 この手法を実行する際には、調査、設計、施工の各業務を別業務として発注する現行の発注制度の見直しが必要である。問題点としてはICTを活用するための技術者の育成が必要となる点が挙げられる。また、ICTにて蓄積されたデータについても、従来の経験則同様に財産として後輩に残すべきものでることに留意が必要である。

 対応策は地盤の不均質性に対してどう対処するかという、「不均質」問題を解かなければならないのにその本質が述べられておらず、ICTでモニタリング施工とあるだけです。

 ここでY様の誤解の原点は、

技術はリスクを低減するものなり

と言う技術経営の一般法則がお分かりでなかったことにあると言えそうです。

 すなわち土質基礎とは、問題文の前置き文にあるように直接的に品質を確認することが難しくかつ不均質性が伴うものであり、それゆえ土質基礎の技術によって、不均質に由来する不具合を解消するという技術応用の狙いがあるわけです。これは技術によってリスクマネジメントを行うと言う技術経営の基本方針に基づくものであり、もっぱら技術の役目はリスク低減にあると言うことです。

 技術によって不均質に由来する不具合を改善するとは、例えばこの問題で地盤沈下を取りあげたとしたら、物理探査などのモニタリングによって締め固め道を測定し、不足している場合は補強するということになります。

 技術コンサルティングにおいてリスクは付き物でして、これをどうリスクヘッジするかが技術士の課題となります。その場合に大抵技術応用によって不確実性を低減し、高い確率で好ましい結果に導いていくというのが技術提案の役目です。例えて言うと、病気を治すのにおまじないや神頼みではなく、医学と言う技術を用いて確実にその病気の治癒を目指すことと似ています。このように

技術応用というものは不確実性を低減するもの

だと位置づければわかりやすいかと思います。

 論文試験では、解答者は出題者の期待しているテーマに沿って書くことが求められます。建設土質の問題では「不均質性」をテーマとして、まず問題を予測しそれを改善する技術を求められました。このような問題では土質基礎に一般的にどんな問題が起こりうるのかという土質基礎の実務に関する知識と、それに対してどう対処するかと言う技術経営の知識が必要です。

 こうした問題の事例が何であるかはとくに縛りはありません。ご自分の体験の中にある土質基礎の不均質性に由来する問題と、不均質性を低減する土質技術であれば何でも良いのです。大事な事は

  • 提案内容に矛盾がなく
  • 不均質に由来して品質が左右されないこと
  • 土質基礎の技術応用がある

すなわち品質管理が良いと読みとれる提案であることです。こうした考え方を誤りなく短時間で組み立てていく必要があります。これは暗記する勉強で学ぶ事は出来ません。自分で考え提案し、上司や先輩と相談することで初めて培われてものです。

 相談相手のいらっしゃらない方は本講座にお申し込みいただければ、上司や先輩に変わって講師が相談に乗り課題解決力や応用力を鍛えることが可能です。平成30年には試験制度改正が予定されており、択一問題も論文式となり、現行の論文試験はさらに応用力を試す問題となっていきます。このため考える力、応用力を養う勉強法は今後ともますます重要性が高まってきます。

 技術士試験に勝つ方法は、今回の記事で述べたような、評価を高めるようなポジティブな提案ができる、そのような考え方を身につけるしかありません。講師と相談しながら提案力を高めていくことが重要となります。この時1番忘れてはならないことは、

無駄のない思考を学ぶ訓練

です。長い勉強期間を有効にすごすためには無駄のない思考が身についていないと、無駄な疑問や誤りの修正ばかりで、合格に向けて前進する事が出来ません。

 建設部門のY様は、現場の施工管理の業務に携わってこられたために体験した業務には精通していましたが、新たなケースを想定して解く問題では力が発揮できませんでした。現場管理の定型業務が多かったために、技術経営を学ぶ機会が少なかったようです。しかし技術士試験では1人のマネージャーとしての姿勢を問う問題が出題されるため、正しい技術経営や市場動向を勉強する必要があります。

 当研究所では論文対策指導や口頭試験対策の際に、受講者様の解答の趣旨を面談やスカイプ、電話で詳細に確認、分析し、その認識のどこに誤りがあるかを分析し、根本原因を突き止めます。この時ネガティブな考え方を払拭して、前向きな考え方をコーチングによって言葉で伝えます。この結果だれでもむだのない思考を学ぶ訓練が行えることとなり、正しい提案が早くできるようになり、試験も楽勝で合格出きるということです。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、こうしたそれぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

技術経営、市場動向について学ぶべし 5 「実効性とは新技術×汎用性できまる」

2017.02.09

  技術士試験の勉強法は、一般的にはキーワード学習と呼ばれる専門用語の暗記学習が知られていますが、こうした専門知識だけでは問題は解けません。なぜなら、試験問題は現実のコンサルティングの場面を想定して、技術経営や市場動向を前提として回答するよう求められ、ヒントを与えてくれないからです。多くの方は技術経営や市場動向について学ぶ機会が少ないみたいです。そんな方が専門知識だけで解こうとすると、出題趣旨の中心がどこにあるかわからず、答えが絞り込めずにほとんどが正解では無い、意味のない答えを書いてしまいます。

 こうした、技術経営や市場動向がいかに大切かと言うことを、指導実績をもとに説明してみたいと思います。今回は「技術経営、市場動向について学ぶべし」8回シリーズの5回目で

実効性とは新技術×汎用性できまる

です。

平成28年建設部門、道路のIII−1問題は、

 我が国における道路構造物の老朽化が深刻な状況となっており、道路構造物を適切に維持・修繕するための取組が進められている。道路管理に携わる技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)道路構造物を適切に維持・修繕するためのメンテナンスサイクルの考え方を述べよ。

(2)メンテナンスサイクルによる維持・修繕を進める上で発生している課題について述べよ。

(3) (2)の課題を解決し、老朽化対策の実効性を高めるための方策について述べよ。

という問題でした。

 前回に引き続き今回も、建設部門のもう一人のT様も(1)の考え方は国土交通省をの方針と言うことで暗記していた答えで乗り越えました。

 一方(2)の課題は若干抽象的なものとなっていました。その回答内容は次のようなものでした。

2.維持・修繕を進める上で発生している課題

(1)近接目視困難な部位の点検が出来ない

1)立地環境の厳しい場所

 人による近接目視では、コンクリート橋での中空床版内や山岳などに設置された高さの高い橋脚、水中・土中の橋台、斜張橋におけるワイヤーの破断等の立地環境の厳しい場所では、点検に膨大な時間と労力を要すため点検に遅れが生じてしまい、結果として発見の遅れにより、老朽化の損傷が進行してしまう

2)構造物内部

人による近接目視は、表面の劣化・損傷個所は確認できるが、施設内部で起こっている劣化・損傷に対しては確認ができない

(2)構造物全体に対する複合的な診断が出来ない

 構造物の診断は、部材単位の健全性の診断を行い、その結果をもとに構造物全体の健全性の診断を行うこととなっており、次回の点検までにどのような措置が必要までを示さなければならない

しかし、構造物が複数の部材が複合的に繋がっているため、部材ごとの評価はできても全体として複合的な評価は難しい。また、劣化・損傷は多数の要因が複雑に影響しているため、高い精度の劣化予測を行うことは難しい

 一応「メンテナンスサイクル」の要素に答えてはいますが、「〜ができない」と言う問題点を指摘するだけで、ではどうすべきなのかと言う技術的方向性(方針)を示していません。これは問題点と課題の混同であり、多くの人が誤解されています。

 技術士試験における課題とは、技術者の資質能力を測るためのものであるため、技術的な方針を含むものでなければなりません。問題点の指摘やその結果がとしての悪い状況を表現しても、それは見た通りのことであり、技術的な考察には至りません。このT様の場合には問題点を分析し、道路工学技術で考察した上で、根拠を前提として解決すべき方向性を示すべきなのです。本来、課題は「〜を〜のため〜する」という方針を表す文とすべきです。

 T様はこの答案で合格されることとなり、課題表現の難点はあるもののそれを上回る問(3)の提案があったということです。問(3)は

(2)の課題を解決し、老朽化対策の実効性を高めるための方策について述べよ。

という問題でした。それに対するT様の回答は次のようなものです。

3.実効性を高めるための方策

(1)近接目視を補完する点検技術の導入

1)立地環境の厳しい場所で近接目視を補完する技術

  • ドローンの無人ヘリロボットによる赤外線・高感度カメラを使った点検
  • 道路橋にセンサーを多数設置して橋梁の挙動から劣化・損傷を見つける点検などを積極的に導入する。

2)施設内部広範囲かつ非破壊で点検するための技術

  • コンクリート中の鉄や水分の存在を水の透過率の差を利用して把握する「中性子線透過法
  • 鉄骨の溶接不良や鉄パイプの傷などに対して、超音波の反射を利用した「超音波探傷法
  • 人が容易に近づくことができない箇所に対し、コンクリート表面のはく離やひび割れ、空洞部分を赤外線カメラの温度差で検知する「赤外線サーモグラフィ法
  • 床板コンクリートの滞水・砂利化・鉄筋腐食・空洞・ホットポール周辺の劣化範囲やかぶり厚不足等の検出については、「電磁波レーダを用いたスキャナー技術」などを積極的に導入する。

(2)劣化予測モデルの開発

1)パイロットインフラを活用した劣化予測の構築

社会インフラの健全性の評価、予測技術の確立および想定寿命と限界状態の明確化を目的としたパイロットインフラに対する高密度・多種類モニタリングと、劣化に関する実験的検討および解析ツールの開発を含めた体系的な研究開発を行う。

2)ビッグデータを活用した劣化予測の構築

点検および計測結果に基づくインフラの健全性評価・予測結果を共通管理できるデータベースと、それを運用するためのプラットフォームの構築を行う。

このビッグデータの健全度と経過年数との関係(劣化曲線)を回帰分析することで、劣化予測モデルの構築を図る。

 T様の回答からはいくつかの特徴的なキーワードを読み取ることができます。

  • ドローンや物理探査手法(中性子線透過法ほか)
  • 劣化予測モデルの開発
  • 社会インフラの健全性の予測
  • ビッグデータ解析

 これらに共通した事は、新技術であり、かつ汎用性の高い技術であると言うことです。なぜそのことが決め手になるかと言うと、いつ会社求める「実効性」とは実社会において維持管理の現状を改善しうる提案という意味であり、そのためには現状を改善できる新たな力(すなわち新技術)がまず必要であり、それが技術者の第一の務めであると言うことです。

  そして、効果が広がるためには適用性が良いことが条件であり、その意味から汎用性が高い事が実効性を高める条件となるわけです。

 この2つのことから、技術提案における

実効性とは新技術×汎用性で決まる

ことがわかります。

 論文試験では、解答者は出題者の期待しているテーマに沿って書くことが求められます。「実効性」と求められた時には、まず現状を改善し得る技術を考え、同時にその技術の汎用性の高さを考え、両者の席が最大になるものを取り挙げれば良いのです。この時、専門とする部門科目の技術が応用されてていることが前提です。

 その事例が何であるかはとくに縛りはありません。ご自分の体験の中にある新技術、汎用性に相当する提案であれば何でも良いのです。大事な事は提案内容に矛盾がなく、新技術×汎用性が大きくなること、すなわち実効性が高いと読みとれることです。こうした考え方を誤りなく短時間で組み立てていく必要があります。これは暗記する勉強で学ぶ事は出来ません。自分で考え提案し、上司や先輩と相談することで初めて培われてものです。

 相談相手のいらっしゃらない方は本講座にお申し込みいただければ、上司や先輩に変わって講師が相談に乗り課題解決力や応用力を鍛えることが可能です。平成30年には試験制度改正が予定されており、択一問題も論文式となり、現行の論文試験はさらに応用力を試す問題となっていきます。このため考える力、応用力を養う勉強法は今後ともますます重要性が高まってきます。

 長期的に見て技術士試験に勝つ方法は、今回の記事で述べたような、評価を高めるようなポジティブな提案ができる、そのような考え方を身につけるしかありません。そして講師と相談しながら提案力を高めていくことが重要となります。この時1番大事な事は、

無駄のない思考を学ぶ訓練

です。長い勉強期間を有効にすごすためには無駄のない思考をが身についていないと、無駄な疑問や誤りの修正ばかりで、合格に向けて前進する事が出来ません。

 建設部門のT様は、行政の設計監理の業務に携わってこられたために国土交通省のホームページより知識は吸収したものの、経済性の高い実務的な提案には自信がありませんでした。役所の定型業務が多かったために、技術経営を知る機会が少なかったようです。一応筆記試験は合格されたものの、しかし口頭試験では、1人のマネージャーとしての姿勢を問う質問が出題されるため、正しい技術経営や市場動向を勉強する必要がありました。

 当研究所では論文対策指導や口頭試験対策の際に、受講者様の解答の趣旨を面談やスカイプ、電話で詳細に確認、分析し、その認識のどこに誤りがあるかを分析し、根本原因を突き止めます。この時ネガティブな考え方を払拭して、前向きな考え方をコーチングによって言葉で伝えます。この結果だれでもむだのない思考を学ぶ訓練が行えることとなり、正しい提案が早くできるようになります。試験も楽勝で合格出きるということです。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、こうしたそれぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

技術経営、市場動向について学ぶべし 4 「経済性向上につながる一貫した考えを示す」

2017.02.08

  技術士試験の勉強法は、一般的にはキーワード学習と呼ばれる専門用語の暗記学習が知られていますが、こうした専門知識だけでは問題は解けません。なぜなら、試験問題は現実のコンサルティングの場面を想定して、技術経営や市場動向を前提として回答するよう求められ、ヒントを与えてくれないからです。多くの方は技術経営や市場動向について学ぶ機会が少ないみたいです。そんな方が専門知識だけで解こうとすると、出題趣旨の中心がどこにあるかわからず、答えが絞り込めずにほとんどが正解では無い、意味のない答えを書いてしまいます。

 こうした、技術経営や市場動向がいかに大切かと言うことを、指導実績をもとに説明してみたいと思います。今回は「技術経営、市場動向について学ぶべし」8回シリーズの4回目で

経済性向上につながる一貫した考えを示す

です。

平成28年建設部門、道路のIII−1問題は、

 我が国における道路構造物の老朽化が深刻な状況となっており、道路構造物を適切に維持・修繕するための取組が進められている。道路管理に携わる技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)道路構造物を適切に維持・修繕するためのメンテナンスサイクルの考え方を述べよ。

(2)メンテナンスサイクルによる維持・修繕を進める上で発生している課題について述べよ。

(3) (2)の課題を解決し、老朽化対策の実効性を高めるための方策について述べよ。

という問題でした。

 建設部門のT様は試験当日この問題を見たときに(1)の考え方は国土交通省をの方針だと言うことがすぐにわかりました。一方(2)の課題を提案することや、(3)の方策については具体的に何が正解か、イメージを把握しきれていませんでした。(3)の回答内容は次のようなものでした。

(3) 課題解決し老朽化対策の実効性を高める方策

1) 橋梁補修

a. 耐荷力実荷重は、T-25を基本とするが、大型車の通行頻度により判断し、一般国道以上の規格の高い路線はB荷重とし、その他の路線はA荷重を採用する。

b. 耐震性の向上 性能レベル2に対する限界状態は、下部工は橋脚柱部で塑性化によりエネルギー吸収を図る。上部工は、早期供用性を図るため、弾性限度に留める。

2) 土構造物の補修 切土・盛土のり面の補強のり枠は、地山に沿った施工が可能な吹付けのり枠を受圧版として施工する。その後、摩擦型の永久アンカー工法で緊張力を導入する。緊張力は、すべり土塊に対する抑止力を導入するが、地山の長期安定性の確保のためすべり安全率を1.2とする。なお、将来アンカー力の低下が生じる恐れもあり、再緊張型の製品を使用する。

 これでは、補修工事の各論であって設問の趣旨である、「メンテナンスサイクル」に答えていません。そもそもこの問題では(1)でなぜメンテナンスサイクルの考え方について問われていたのか?それはこの問題の全体的な出題趣旨を宣言するためでした。解答者はその考え方に沿って(2)、(3)問題を解いていくことが求められていたのです。

 論文試験では、解答者は出題者の期待しているテーマに沿って書くことが求められます。ですので何について書こうかとを考える前に、何が求められているのかを冷静に推論する必要があります。

 メンテナンスサイクルの考え方とは何か。それはメンテナンスを繰り返しサイクル的に行うことによって、社会資本の維持管理を効果的に行う。すなわち維持管理の品質と経済性を高めていくことに他なりません。これはかつては「アセットマネジメント」の概念として国土交通省などから提唱されて、今回はさらに推し進めた考え方として、試験戦略的に応用課題として、呼び名を変えて出題されたわけです。

 「アセットマネジメント」について述べよという問題なら簡単に答えられたかもしれません。しかしそれでは課題解決問題になりません。建設のIII問題では必ず、こうした応用力を試し、暗記を書き出す戦略では勝てない問題がこれからも出題されます。

 そこで大事な事は、

技術テーマにまつわる経済性向上につなげる一貫した考え方を持つ

ことです。メンテナンスサイクルの考え方がメンテナンスの方策に終始するものではなく、その結果として経済性を高めるための手段であるとしたら、問(3)の解答は理解しやすいものとなるはずです。

 先のT様の答案はその後修正されて、次の3つの経済性につながる提案が出てきました。

(3)課題解決し老朽化対策の実効性を高める方策

1)点検作業を自動化して効率化する。

2)新技術で性能を大幅向上し耐用年数を延ばし補修費を低減する。

3)予防保全技術で既設舗装の表層対象として補修し、トータルでのLCC低減を図る。

 ここで注目していただきたいのが、技術士とは技術を応用して経済的にクライアントを支える役目を担っており、エンジニアは技術経営によって、いわば経営者として顧客代わって経済性をどうやって高めるか、実社会で成立するようなビジネス提案をすべきだということです。

 この問題では「メンテナンスサイクル」をテーマとしてビジネスのアイデアを求められていたわけで、(3)解答では、最後まで

経済性につなげるような考え方を示す

必要がありました。このため、答案の記述内容が維持管理の方法論やその手続きに終始していたとしたら大きな減点が予想されるわけです。

 技術士論文試験では、採点者は実はこうした技術経営的な提案を求めているというヒントを与えてくれる事はありません。プロエンジニアの試験であるため、こうしたビジネスの基本、専門家の心構えに関する事項は、エンジニアの常識的な継続研鑽事項となるためで。もしこうした知識を持ち合わせなければ、まず合格は無理と考えるべきです。

 建設部門のT様は、設計者として経験を積まれていましたが、行政の設計監理の業務に携わってこられたために経済性向上を目指す真のエンジニア業務とは多少距離があったみたいです。このため技術経営を知る機会が少なかったようです。しかし技術士試験では1人のマネージャーとしての姿勢を問う問題が出題されるため、正しい技術経営や市場動向を勉強する必要があります。

 当研究所では論文添削の際に、受講者様の解答の趣旨を面談やスカイプ、電話で詳細に確認、分析し、その認識のどこに誤りがあるかを分析し、根本原因を突き止めます。この時ネガティブな考え方を払拭して、前向きな考え方をコーチングによって言葉で伝えます。このため誰でも提案力に富んだ前向き姿勢になれます。こうした前向きな考え方を保ち続けることにより、どの問題でも正しい提案ができるようになり、試験も楽勝で合格出きるということです。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、こうしたそれぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

技術経営、市場動向について学ぶべし 3 「技術士試験では大人のビジネス提案が求められている」

2017.02.06

  技術士試験の勉強法は、一般的にはキーワード学習と呼ばれる専門用語の暗記学習が知られていますが、こうした専門知識だけでは問題は解けません。なぜなら、試験問題は現実のコンサルティングの場面を想定して、技術経営や市場動向を前提として回答するよう求められ、ヒントを与えてくれないからです。多くの方は技術経営や市場動向について学ぶ機会が少ないみたいです。そんな方が専門知識だけで解こうとすると、出題趣旨の中心がどこにあるかわからず、答えが絞り込めずにほとんどが正解では無い答えを書いてしまいます。

 こうした、技術経営や市場動向がいかに大切かと言うことを、指導実績をもとに説明してみたいと思います。今回は「技術経営、市場動向について学ぶべし」8回シリーズの3回目で

技術士試験では大人のビジネス提案が求められている

です。

平成28年建設部門、施工のIII−1問題は、

 我が国の労働人口が総じて減少する中で、将来にわたる社会資本の品質確保を実現するためにその担い手(建設技術者、建設技能労働者)の中長期的な育成及び確保を促進するために対策を講じる必要があると考えられる。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

 (1)担い手不足が生じる要因を2つ挙げ、それに伴って発生する施工分野の課題を記述しなさい。

(2)(1)で挙げた課題について、あなたが実施できると考える具体的な対応策と期待される成果を発注者、受注者の立場を明確にしたうえで記述しなさい。

(3)担い手不足に対応するために建設部門全体で取り組むべきとあなたが考える方策を記述しなさい。

という問題でした。

 建設部門のH様はこの問題を最初に見たときに(2)の対応策については具体的に回答はできたものの(1)の要因、課題は不十分でした。

 また、(3)建設部門全体で取り組むべき事は、私見を述べるだけで実現性の高い提案ができていませんでした。(3)の回答内容は次のようなものでした。

(3)担い手の確保(建設業全体として)

 産官学連携により、魅力をアピールする。具体的には、高校生や大学生などの現場見学会を積極的に開催する。

 杭や橋梁付属物の偽装など一部の者が行う不祥事が、建設業全体に蔓延したイメージをもたれるため、こういった行為は行わない。

 公共工事は、国民の税金を使用しているため談合などを行わない。

 高速道路工事や新幹線工事などのビッグプロジェクトには、橋梁やトンネルなど最先端の技術が使用されていることが多いため、若い

技術者に工事現場をみせることで『やりがい』を感じてもらい若手技術者の建設業の定着に貢献できると考える。

 これでは設問の趣旨である(建設業全体として)に答えていません。

 そこで私がH様に申し上げたのが、

ビジネス提案として成立する可能性が高い「大人」の提案をする

ことです。この「建設業全体としてすべきこと」の意味は、

あなたがコーディネーターとなって業界全体で担い手不足を解消するための変革を起こすためには、建設部門の(自社内組織や他社、学会、役所などの)組織に対してどう働きかけるべきか?

という質問です。ですので自分ひとりで身近な問題を解決する事ではなく、他組織や他社を巻き込んで担い手不足問題を解消していくための方策を提案する必要があるのです。一般的にこのような役目を「取りまとめ」と呼んでおり、技術士に必要な資質能力として文部科学省技術士分科会のホームページで示されています。

 こうした取りまとめによって、他組織や他社を巻き込むためには、他組織や他社が納得するための経済的メリットや大義名分が成り立たねばなりません。いわば仕事の組み立てを行い、その上で複数の主体、すなわち建設会社や設計事務所、役所等に対してプレゼンを行ってそれぞれが自発的に行動できるように導いていきます。

 そして確実に合格するためには技術士の資質として求められているコンピテンシーを高める必要があります。そのためにはありきたりの提案や普通のレベルの成果しか出ない対策では十分な結果は期待できません。コンピテンシーを高めるために、もっと高度な影響を生み出すような、例えば担い手不足を解消する社会変革が起きるような提案をすればベストだと言うことです。

 技術士論文試験では、採点者は実はこうした大人のビジネス提案を求めているというヒントを与えてくれる事はありません。プロエンジニアの試験であるため、こうしたビジネスの基本、専門家の心構えに関する事項は、エンジニアの常識的な認識事項となるためで。もしこうした知識を持ち合わせなければまず合格は無理と考えるべきです。

 建設部門のH様は、現場管理されていましたので、真の管理者としての技術経営を知る機会が少なかったようです。しかし技術士試験では1人のマネージャーとしての姿勢を問う問題が出題されるため、正しい技術経営や市場動向を勉強する必要があります。

 当研究所では論文添削の際に、受講者様の解答の趣旨を面談やスカイプ、電話で詳細に確認、分析し、その認識のどこに誤りがあるかを分析し、根本原因を突き止めます。この時ネガティブな考え方を払拭して、前向きな考え方をコーチングによって言葉で伝えます。このため誰でも提案力に富んだ前向き姿勢になれます。こうした前向きな考え方を保ち続けることにより、どの問題でも正しい提案ができるようになり、試験も楽勝で合格出きるということです。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、こうしたそれぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

技術経営、市場動向について学ぶべし 2 「環境社会配慮はグローバル企業の社会的責任」

2017.02.03

  技術士試験の勉強法は、一般的にはキーワード学習と呼ばれる専門用語の暗記学習が知られていますが、こうした専門知識だけでは問題は解けません。なぜなら、試験問題は現実のコンサルティングの場面を想定して、技術経営や市場動向を前提として回答するよう求められ、ヒントを与えてくれないからです。多くの方は技術経営や市場動向について学ぶ機会が少ないみたいです。そんな方が専門知識だけで解こうとすると、出題趣旨の中心がどこにあるかわからず、答えが絞り込めずにほとんどが正解では無い答えを書いてしまいます。

 こうした、技術経営や市場動向がいかに大切かと言うことを、指導実績をもとに説明してみたいと思います。今回は「技術経営、市場動向について学ぶべし」8回シリーズの1回目で

「環境社会配慮はグローバル企業の社会的責任」

です。

平成26年建設部門、施工のIII−2問題は、

「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の施工に伴い,総合評価落札方式による工事契約が拡大し,極端なダンピング受注などのインフラ整備の品質確保に対する懸念は改善されてきた。

 しかしながら現場周辺や社会的要請の多様化・複雑化する中で,施工計画策定段階の検討が十分なされていないこと等により,成果の品質が損なわれた施工例が引続き報告されており,円滑な工事の進捗を図りつつ品質確保を確実に担保する適切な施工計画の策定が益々重要となっている。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)工事を施工する上で,品質確保の観点から施工計画策定時において検討すべき基本的事項を3つ挙げ,説明せよ。

(2)(1)で挙げた3つの基本的事項に対し,それぞれについて検討する上での課題と技術的解決策を論述せよ。

という問題でした。

 建設部門のM様はこの問題を最初に見たときに前置き文の意味がわからず、ただ単に工事の品質をどうやって確保するかを考えたようです。

 しかしそれでは単なる品質管理の答えになってしまい、出題趣旨に全く答えられていませんでした。

その回答内容は次のようなものでした。

1.品質確保の観点から施工計画策定時検討すべき基本的事項

1)仮設計画(揚重計画,養生計画,支保工計画)

2) 検査計画(検査時期,検査項目,検査体制,検査基準,特別採用)

3) 工程計画(作業手順,作業エリアの搬入動線・荷卸し場・組立作業場)

これでは設問の趣旨を全く捉えず一般的な工事管理の項目に過ぎません。

そこで私がM様に申し上げたのが、前置き文の趣旨を読み取ることです。

まず第1文「「公共・・てきた。」では発注方式の改善によって品質確保に関して改善しつつあると書かれています。一方、第二文は現場の外的要因によって品質確保が損なわれている状況が書かれており、これを問題視して、その対処が求められています。

ここで言う「現場周辺や社会的要請の多様化複雑化」とはすなわち

企業の環境社会配慮の務め

を意味するものであり、今日国際的な社会規範として重要性が高まっている事項です。

 建設事業は、社会・経済の開発を支援するものであっても、大気、水、土壌、生態系など自然への望ましくない影響や、近隣住民の権利の侵害、移転など社会への望ましくない影響が発生する可能性があります。持続可能な開発を実現するためには、

  • 建設事業が環境や地域社会に与える影響を見極め
  • その回避または最小化のための方策や補填に必要なコストを事業の中に組み入れる

必要があります。このように、

環境・社会に掛かるコストを開発コストの中に内部化させる取り組みが「環境社会配慮」

であり、今日グローバルな分野で先進企業の社会的な責務となっています。

 問題文の趣旨は、こうした配慮を施工計画段階で行ない、対策を講ずることで、外的要因に乱されることなく継続して品質管理に務めることを目指しています。

 環境社会配慮を行なった場合の先の(1)の回答内容は次のようになります。

1.品質確保の観点から施工計画策定時検討すべき基本的事項

1)周辺に騒音振動等の影響を与える場合は緩和するよう施工法を修正する。

2) 周辺の地盤環境が変化しないように山留め、地下水対策する。

3) 集中的な搬出入によって交通問題とならないよう搬出入量を平準化し監視する。

技術士論文試験では、こうした企業の社会的責任については前提事項として正しい認識を持っているものと考えてヒントを与えてくれません。今回述べた環境社会配慮に関する事項は、採点する際にプロエンジニアの常識的な認識事項となるため、こうした知識を持ち合わせなければまず合格は無理と考えるべきです。

 建設部門のM様は、国内の現場管理ばかりでしたので、こうしたグローバル企業の技術経営を知る機会が少なかったようですしかし技術士試験では世界標準を目指した問題が予想され、正しい技術経営やグローバルマーケットの市場動向を勉強する必要があります

 当研究所では論文添削の際に、受講者様の解答の趣旨を面談やスカイプ、電話で確認し、その認識のどこに誤りがあるかを分析し根本原因を突き止めます。そして前向きな考え方を音声ガイドなど言葉で伝えます。この結果ネガティブな考え方を払拭して誰でも提案力に富んだ前向き姿勢になれます。こうした前向きな考え方を保ち続けることにより、どの問題でも正しい提案ができるようになり、試験も楽勝で合格出来きるということです。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、こうしたそれぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

技術経営、市場動向について学ぶべし 1 「技術の用途分野やマーケットの違いを認識せよ」

2017.02.01

 技術士試験の勉強法は、一般的にはキーワード学習と呼ばれる専門用語の暗記学習が知られていますが、こうした専門知識だけでは問題は解けません。なぜなら、試験問題は現実のコンサルティングの場面を想定して、技術経営や市場動向を前提として回答しなければならないからです。多くの方は技術経営や市場動向について学ぶ機会が少ないみたいです。そんな方が専門知識だけで解こうとすると、出題趣旨の中心がどこにあるかわからず、答えが絞り込めずにほとんどが正解では無い答えを書いてしまいます。

 こうした、技術経営や市場動向がいかに大切かと言うことを指導実績をもとに説明してみたいと思います。今回は8回シリーズの1回目で

「技術の用途分野やマーケットの違いを認識せよ」

です。

 平成27年経営工学部門、サービスマネジメントのIII−1問題は、

 近年、再生可能エネルギーに関する固定価格買取り制度(FIT:Feed-in Tariff)が導入され、この制度を利用した発電設備の建設・運用の普及が進んでいる。今、ある地域の事業体において、FITを利用した太陽光発電方式または木質バイオマス発電方式どちらかを選定し、発電設備を建設するためのプロジェクト計画がある、あなたは、このプロジェクト計画の事前評価を依頼された。そこで、以下の問いに答えよ。

(1)太陽光発電設備又は木質バイオマス発電設備を地域に建設する上で、それぞれの発電方式について検討すべき課題を挙げて問題点を説明せよ。

(2)重要と判断した課題に対する解決策を提案せよ。

(3)解決策の効果及び実施する上での不確定要素や留意点について述べよ。

という問題でした。

経営工学部門のT様はこれを解くときに、問(1)の解答として、次の二者択一の選択で疑問になったそうです。

太陽光発電方式、木質バイオマス発電方式の2者から1つを選択して書く。太陽光発電方式、木質バイオマス発電方式の両方について書く。

 T様は、この2つで悩まれて、後者が正しいのではないかと考えたそうです。相談された他の経営工学部門の技術士様もそのように助言してくれたとのことです。

 しかし、この選択は前者が正解だと考えています。

 なぜなら問題の中心は、電力の買取り制度を利用した発電計画の検討であり、太陽光発電方式と木質バイオマス発電方式の両方を比較しなくとも、

どちらか一方について検討するだけでも経営工学的な判断力を見る事は十分可能

と考えるからです。

 しかし、1番の判断根拠は、太陽光発電方式と木質バイオマス発電方式では

事業主の産業分野が全く異なり、両方同時に判断しなければならない機会は常識的に考えて少ない

ということです。上記選択2は問題外として、いわば常識的判断で解決できることなのです。

 なぜなら、太陽光発電方式は太陽の光を受ける広大な面積がエネルギー源となるため、土地の広さに直結したビジネスです。装置的には汎用品が普及しており、その取り扱いにあまり高度な技術を必要としません。端的に言って土地さえあればできる、いわば不動産活用的なビジネスといえます。

 一方、木質バイオマス発電方式は、小規模な火力発電所の形態を取るため、危険物取扱所となり工場と同じような施設用途になります。装置の管理は高温高圧のボイラーを含むため専門的な技術者が必要です。このため、太陽光発電方式と木質バイオマス発電方式ではそもそもスタート時点で、事業主が違ってくるわけで、この2者を同時に検討しなければならない事例は現実には考えにくいということです。

 このほか、技術士の問題として両方について書いたのでは、問題量としてあまりにも多すぎて時間内に解けないという制約もあります。このため先程の二者択一の疑問を、後者の太陽光発電方式、木質バイオマス発電方式の両方について書くと解釈して、ほとんど書き切れずに合格できなかった方も多いと思います。

 このように技術の用途分野やマーケットの違いを認識しないで解答すると、内容が出題者が求めている事項と違う方向に発展してしまうため、大きく誤ってしまう危険性が高まります。まずはこの問題を解決しない限り合格は難しいものと考えます。

 技術士論文試験では、こうした技術経営や市場動向については前提事項として正しい認識を持っているものと考えてヒントを与えてくれません。今回述べた技術領域、事業の領域に関する事項は、採点する際にプロエンジニアの常識的な認識事項となるため、こうした知識を持ち合わせなければまず合格は無理と考えるべきです。

 当研究所では論文添削の際に、受講者様の回答の趣旨を面談やスカイプ、電話で確認して、その認識のどこが誤っているかをお伝えするとともに、正しい前向きな考え方を音声ガイドなど言葉で伝授するように努めております。この結果ネガティブな考え方を払拭して提案力に富んだ前向き姿勢が取れるようになります。こうした回答方針における前向きな考え方を保ち続けることにより、いつでも正しい提案ができるようになり、試験も楽勝で合格出来きるということです。実際の指導内容はこのように専門的です

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、こうしたそれぞれの受講者様の認識の違いにきめ細かく対応して、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

良くある減点ポイントと高得点の書き方 9 「問題文の趣旨と違うストーリーを書いたら合格できない」

2017.01.30

 技術士試験ではどうやったら高得点が取れるか、一般的には高度な技術を披露すれば手堅いと考えられているようです。しかし実態はそうではなく、数々の稚拙な書き方によって大きく減点されています。まずはこうした減点要因をなくすこと、そうすれば自然と技術内容を読んでもらえて、技術士にふさわしいことがアピールできるというものです。

 今回のシリーズでは添削答案や試験当日の再現答案より、減点につながった答案の書き方と、本来どうあるべきかという高得点を狙える書き方についてご説明します。今回は9回シリーズの最終回で

「問題文の趣旨と違うストーリーを書いたら合格できない」

です。

 技術士試験では、それぞれ問題の趣旨が最初に説明され、その趣旨に沿って課題や解決策、留意点を展開することが求められます。こうした趣旨は問題の前置き文として与えられる場合もあり、その内容が分かりにくくなりがちです。このため、充分趣旨を理解せずに解き始めてしまう方が多いようです。しかしそれでは求めることに対してちゃんと回答することができないために大きく減点されてしまう場合があります。

  また出題趣旨を全く理解せずに独自に回答してしまうと、答案がその問題の答案でなくなってしまう危険性があり、この場合は大きく減点されることとなります。実は不合格の最大の原因はこの出題趣旨に沿って答えていない、あるいは問題の趣旨と違うストーリーで書いてしまった場合なのです。

平成28年建設部門、施工のIII−1問題

 我が国の労働人口が総じて減少する中で,将来にわたる社会資本の品質確保を実現するために,その担い手の育成対策について、(1)要因と課題、(2)対策と成果(3)建設部門全体で取り組む方策を記述しなさい。(1部簡略化)

建設部門施工科目のT様は、こうした問題で「(3)建設部門全体で取り組む方策」の趣旨がなかなか理解できないでいました。

 建設従事者不足対策として、職業訓練校等を利用して、建設会社から重機有資格者を派遣して、運転方法の実務教育をする、などの提案はありましたが、その留意点としては

センサー技術の導入で安全性や操作性の向上による、利用者への負担を減らして、利用を促進する

といった部品による改善を唱えるにとどまっていました。

 今回初めて問題文の文言として出現した「建設部門全体で取り組む」とはどういう意味か。これは会社や業種の枠を超えて建設部門全体が共同して担い手不足問題のの解決に向かって取り組む方法を、その当事者として提案しなさいというのが真意です。なぜこのような意味になるかと言うと、実は専門外の技術者や組織も束ねて自らのプロジェクトの目的に向かって力を結集すること、すなわち「取りまとめ力」が技術士の高度な資質能力に相当するからです。これは文部科学省技術士分科会のホームページにも掲載されています。

 こうした取りまとめと言う務めは、現場所長や建設会社の部長クラスのマネージャーになると自然とになっていくことになる務めの1つであり、上級技術マネージャとしての資質であると考えられるいるからです。技術士問題も年代と共に進化してより高度化しているということが読み取れます。

平成28年建設部門、道路のIII−1問題

 道路構造物を適切に維持・修繕するため、(1)「メンテナンスサイクルの考え方」を述べ、(2)維持・修繕の課題、解決策、(3)実効性を高める方策について述べよ。(1部簡略化)

と言う問題でした。これに対して道路部門のT様は、課題、解決策として次のような提案をされました。

 課題 点検部位を特定化し点検・補修作業の合理化を図る

解決策 橋脚基部の限界状態設計(塑性化を許容し、靭性化する)

 課題は出題趣旨に適用するものでしたが、しかし解決策の限界状態設計は課題と一致せず、出題趣旨である「メンテナンスサイクル」とは関連性の薄いものです。レジリエンス設計自体は時代の要請ではありますが、この問題で解答すべき事項ではありません。問題趣旨に沿ってメンテナンスサイクルの一貫性を失わないような解決策とすべきといえます。

 平成27年電気部門、電子応用のIII−1問題

今日では個々の製品に特化した小型化した集積回路を用いるがこと多く,一方少量多品種の回路・システム開発が望まれている。こうした開発には多大な労力と時間を要し、費用対効果が釣り合わず、中長期的には,アフターケアのために人材育成も必要である。

集積回路を1つ挙げ,その生産性を向上するためにハードウェアに携わる技術者として、課題、解決策を述べよ。(1部簡略化)

 こうした問題に対して、通信関連事業にお勤めのY様は、「遠隔制御装置」を取り上げてその製品改良について述べていました。しかし問題文の冒頭にある「個々の製品に特化した小型化した集積回路」の出題趣旨は理解されていませんでした。このため回答内容は提案した装置の一般的な改良設計に関する内容にとどまり、出題趣旨にほとんど答えていない結果となりました。

 このように問題の趣旨(テーマ)と違う内容の解答を書いてしまうと、読めば読むほどを内容が出題者が求めている事項と違うものとなってしまうため、極端に言うと答案がその問題に対する答案でなくなってしまうという危険性があります。まずはこの問題を解決しない限り合格は難しいものと考えます。つまり、

問題文で解答の趣旨を与えられたら、きっちりとそれに沿って答える

と言うことです。

  技術士論文試験では、採点基準がわからないために、採点の尺度の重要度をどこに置くかということによって回答方針が違ってきます。今回述べた問題文の大前提となるような事項は、採点する際の最重要事項となるため、これに充分回答できないとしたら大きな減点が予想され、最重要事項に気づかずに解答したらまず合格は無理と考えるべきです。

 当研究所では合格法研究の一環とし毎年受講者様にの試験の敗因分析を行い、その結果この「出題趣旨と違うストーリーによる減点」が不合格の3大原因(その最大)であると位置づけて、かねてより対策を行ってきました。こうした出題趣旨を受講者様に指導するには、答案添削では困難で、論文骨子の修正や口頭による指導、面談指導が不可欠と考えて指導体制を整えています。

 このため当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、文部科学省の試験方針を間違えずに指導に反映し、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導出来ています。関心のある方は是非お問い合わせください。

良くある減点ポイントと高得点の書き方 8 「図を書いたら好感されるは×」

2017.01.27

 技術士試験ではどうやったら高得点が取れるか、一般的には高度な技術を披露すれば手堅いと考えられているようです。しかし実態はそうではなく、数々の稚拙な書き方によって大きく減点されています。まずはこうした減点要因をなくすこと、そうすれば自然と技術内容を読んでもらえて、技術士にふさわしいことがアピールできるというものです。

 今回のシリーズでは添削答案や試験当日の再現答案より、減点につながった答案の書き方と、本来どうあるべきかという高得点を狙える書き方についてご説明します。今回は9回シリーズの第8回目で

「図を書いたら好感されるは×」

です。 

 技術士試験では課題、解決策、留意点などの論理的な展開が求められ、文章の内容が分かりにくくなりがちです。このため、わかり易い文章や図表による明快な表現が良いと考えられているようです。このため答案用紙の3分の1から2分の1程度を割いて図表を書き込んで説明する方法が良いと考えている人がいるようです。

 さらに図表の枠を超えて、文字ばかりのパワーポイントのスライドのような要点をまとめた図を書く方もいるようです。

  しかし、技術士試験では図表による表現を求める事はほとんどありませんし、そうした表現よりも的確な文章による表現が優先すると考えられます。このため、文章の流れと直接関係のない図表は文脈を乱すこととなりますし、表現の助けにならない図表はマイナス印象を与えてしまいます。つまり答案のスペースを文章を書かずに図表で埋めてごまかしているという消極的な姿勢と、試験官に判断されてしまうのです。

 このため、特別必要のない限り図や表による表現は使わないことが得策です。どうしても必要な場合は答案用紙の 4分の1以下程度の小さなスペースで表現すべきだと考えます。

 平成28年電気電子部門、情報通信のIII−1問題は、

 車の自動運転システムはレベル1〜4まであり、レベル3以上ではシステムが高度となる。(1)レベル3、4で重大となる課題(2)技術的解決策(3)問題点と対処方法について述べよ。

という問題に対して、

 (1)の課題を述べる前に下記のような自動運転支援システムの概略図を書いた方がいらっしゃいました。

jidounten_system.jpg (500×192)

 しかし、問題文ではこのような概略情報求めているわけではなく、さらに突っ込んだ具体的な課題解決策を求めています。図を描くことによって説明の助けにはなるかもしれませんが、あまり役に立たない前置きの説明に過ぎません。ですのでここではこのような文脈と直接関係のない概略図を描いて答案用紙を割くのではなく、

図で表現したい本質的事項を言葉で表して文章で書く

ことが望ましいといえます。

 技術士論文試験では、採点基準がわからないために、講師が過去の合格体験に基づいて独自に教えるスタイルが多いようです。しかし合格基準は文部科学省技術士分科会よって明らかにされており、そうした昔の経験は脱却し、新しいコンピテンシー尺度を目指した指導を行うべきです。

  当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、文部科学省の出題方針を間違えずに読み取って、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

良くある減点ポイントと高得点の書き方 7 「ありえない過剰対応。実現困難な提案は×」

2017.01.26 

 技術士試験ではどうやったら高得点が取れるか、一般的には高度な技術を披露すれば手堅いと考えられているようです。しかし実態はそうではなく、数々の稚拙な書き方によって大きく減点されています。まずはこうした減点要因をなくすこと、そうすれば自然と技術内容を読んでもらえて、技術士にふさわしいことがアピールできるというものです。

 今回のシリーズでは添削答案や試験当日の再現答案より、減点につながった答案の書き方と、本来どうあるべきかという高得点を狙える書き方についてご説明します。今回は9回シリーズの第7回目で

「ありえない過剰対応。実現困難な提案は×」

です。

 技術士試験では課題、解決策、留意点などが求められ、それぞれ巧みな対応が技術士にふさわしい評価の根拠となります。一方、試験戦略の1つとしてキーワード学習と言う反旗を主体とする勉強法があり、それぞれキーワード2関する技術情報を暗記して試験に臨むことになります。この内容が高度な特別な対応である場合が多く、試験の提案として高度すぎてふさわしくないケースが見受けられます。技術士試験では高度な技術内容を提案しなければならないと考えた結果です。しかし高度すぎて実現不可能だと思われるような提案は逆効果です。

 実はこうした高度すぎる提案が論旨の成り行きから考えて、実現不可能かあるいは現実には難しいと思われる場合があり、提案内容として正しい判断力がないということから減点要因となってしまう場合があると言うことです。

 平成28年建設部門、施工のIII−1問題は、

我が国の労働人口が総じて減少する中で,将来にわたる社会資本の品質確保を実現するために,その担い手の育成対策について、(1)要因と課題、(2)対策と成果(3)建設部門全体で取り組む方策を記述しなさい。

こうした問題に対して、

(2)対策と成果

  • 作業が終了したら直ちに退社する。ノー残業デーを週に1回定める。
  • 工期短縮を工事発注の条件とすることがないようお願いする

(3)建設部門全体で取り組む方策

  • 発注者に適正な工期で工事を発注するようお願いする。
  • 若手が活躍できる場を作るため、若手に小さな現場を早期に任せる。

この回答は出題趣旨に沿ったものではありますが、実際には実現困難なものであり、提案者の判断力を疑われる結果となりかねません。なぜなら技術士はプロエンジニアであり、現実のマーケット事情等を正確に把握しておく必要があるからです。こうしたマーケット事情を無視した提案をすると実務的能力を疑われてしまいます。

 上記回答内容の「ノー残業デーを週に1回定める」は理想ではありますが、現実的には相当な困難が伴います。「ノー残業デーを定める」ことよりも、いかにしてそのような余裕のある工程管理技術が問われている、すなわち、

実現困難な提案をするのではなく、そのような提案を可能にするための技術的提案をすべき

ということです。そのような技術的なプレゼンなしに、ただ「ノー残業デーを定める」では責任ある提案とは言えません。

 また、「工期短縮を工事発注の条件とする」や「発注者に適正な工期で工事を発注するように・・」は、実際には受注者が激しく競争する結果、こうした悪条件を自ら受け入れているという、受注者側の事情から来るものです。そして表面的に問題に着目するだけでは本質的解決にはなりません。根本的に解決されるには受注者が価格競争を回避できるような技術的な差別化を行うことが必要です。

 「若手に小さな現場を早期に任せる」も同じです。そうしたいが、しかし経験不足な若手に任せておけない厳しい現実があるはずです。そういった経験不足に由来するリスクを回避するような、セーフティーネットみたいな方策なしでは、このような提案は意味のないものとなってしまいます。やはり状況の改善を楽観的に求めるだけでは不十分で、根本的に解決可能な技術提案が求められているということです。

 技術士論文試験では、技術士の現実的な提案力を試すために簡単には解決できないビジネス上の問題がされることがあります。こうした問題では技術経営の慣行や市場動向を把握して、実際的なビジネス問題をなくすように努めなければなりません。また技術士資格はプロとなるための資格であるため何についてどこまで書くか答えのない試験であることから、例え要求条件に書かれていない場合でも、前後の関係からビジネス常識から推論して答案を作成していかねばなりません。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、出題意図を間違えずに読み取って、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

良くある減点ポイントと高得点の書き方 6 「So what? だから何なのか。ねらいをはっきり書く!」

2017.01.24 

  技術士試験ではどうやったら高得点が取れるか、一般的には高度な技術を披露すれば手堅いと考えられているようです。しかし実態はそうではなく、数々の稚拙な書き方によって大きく減点されています。まずはこうした減点要因をなくすこと、そうすれば自然と技術内容を読んでもらえて、技術士にふさわしいことがアピールできるというものです。 

 今回のシリーズでは添削答案や試験当日の再現答案より、減点につながった答案の書き方と、本来どうあるべきかという高得点を狙える書き方についてご説明します。今回は9回シリーズの第6回目で

「So what? だから何なのか。ねらいをはっきり書く!」

です。 

 技術士試験では何かしら高度な技術内容を提案できれば良いと考えられており、そのような材料をキーワード学習で皆さん用意しているようです。こうして技術のネタは答案の各所に入れ込んで答案作成に役立つこともあります。しかし問題趣旨が見えない時に技術ネタだけが思い起こされると、ストーリーとは別に脈絡のない知識の披露の論文になってしまう危険性があります。この結果は提案内容の意味が不明な回答となっており、読んだ試験官は「だから何なのか?」という疑問を抱いてしまいます。この意味のわからない論文は論旨の一貫性を描いている印象与え、技術士としてふさわしくないという意味で大きな減点要因となります。

 このため提案内容が問題の要求とどう関わっていくのか、すなわち解決策がどのような公益性を高める力があるのかということをはっきりと記述することが必要です。これが曖昧だと提案内容の全体形が伝わらないばかりか、プロエンジニアとしての姿勢を疑われる結果となります。

 平成28年建設部門、施工のII−1−4問題

コンクリート構造物において、コンクリートの劣化機構を挙げて、コンクリートの補修にあたり考慮すべき点について述べよ。

この問題の解答は、 

コンクリートの劣化機構としてアルカリシリカ反応を挙げる。

考慮すべき点

 アルカリシリカ反応はコンクリートに起因するひび割れである。このため、部分補修ではなく鋼板巻き立てにより躯体外周を取り囲むことで、全体の耐力の回復や向上ができる。

これではメカニズムの説明があるだけでどの様に対処したら良いかわかりません。また「部分補修ではなく鋼板巻き立てに」の記述も方法論の1つである事は分かるものの、この問題の目的である補修とどう関わってくるのか(その点を問いかけているにもかかわらず)明らかではありません。つまり答案としての答えは、たとえ技術的に間違っていなくとも、書かれていることが問題文の要求趣旨とどうつながっているのか明確でないと答案として生きてこない(したがって点ももらえない)ということです。

 平成27年電気部門、電子応用のII−1問題

 トランジスタ式電力増幅回路について、市販品で6つの項目※を全て満足できるものがないため自社開発する場合、(1)開発仕様(2)支配的項目を3つ(3)残り3項目への提案とそのリスクを述べよ。

6つの項目とは、電源電圧,電力効率,電力利得,出力電力,線形性,安定性である。(1部簡略化)

  こうした問題に対して、通信関連事業にお勤めのY様は、「通信機器」を取り上げて、「(2)支配的項目を3つ」の解答として、次のようにかかれました。

2.重要と考えられる6つの特性項目

 表1に電力増幅器の仕様を基に6つの特性項目を比較した結果を示す。

表1 電力増幅器の仕様に基づく特性比較

仕様

電源電圧

電力効率

電力利得

出力電力

線形性

安定性

電源電圧

使用周波数

スプリアス

消費電力

周波数帯域幅

出力電力

直線性

評点〇:2点△:1点

12

 結果、1番目が安定性、2番目が出力電力、3番目が電力効率の3つを重要と考えた。理由は、すべての仕様項目に影響する重要な課題だからである。

 しかし、これでは3つの項目の選定根拠が見えないし、その導出根拠が回りくどすぎます。出題者が知りたいのは、電源電圧において安定性が何故「〇」か、すなわち重要であると評価されるのか、その根拠が知りたい(根拠を判断して、技術者としての資質を判定したい)ということです。それなのに、表を示すだけでは、「根拠は自分で考えてください」という意味の解答ととなってしまいます。これでは答えとして意味が通じないということです。 

 このように問題の趣旨(テーマ)と解答の方向が違うと、読んだ感想として内容が出題者が求めている事項と違うものとなってしまうため、極端に言うと答案がその問題に対する答案でなくなってしまうという危険性があります。まずはこの問題を解決しない限り合格は難しいものと考えます。つまり、

答案の要求趣旨に意味がつながるように書く

ことが大切だと言うことです。

  こうした狙いのわからない答案は、出題者の真の狙いをよく読まないでいる場合によく発生します。逆に出題者の気持ちが深くわかると感覚レベルで答えられるようになり、答案趣旨にぴったりの回答が楽勝で出来るようになります。これは例えばプレゼン審査などの場合、事業主の要望がわからないときなど、質疑によってより細く回答姿勢を修正し要求に近い提案ができるできることと同じです。しかし試験では質問が許されないので、初回でそこまで出題意図を読み取れなければなりません。このため出題者の意図に敏感になり、感受性を養うことが欠かせないのです。

  技術士論文試験では、技術士の応用力を試すために出題者の意図が事細かく描かれない場合が多いようです。こうした問題では技術経営の慣行や市場動向を把握して出題意図の読誤りをなくすように努めなければなりません。また技術士試験はプロの試験のため何についてどこまで書くか答えのない試験であることから、例え要求条件に書かれていない場合でも、前後の関係から出題者の趣旨を推論して答案を作成する様にしていかねばなりません。

  当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、出題意図を間違えずに読み取って、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

良くある減点ポイントと高得点の書き方 5 「いつも特別ハイテクな内容を書かなければならない、は大間違い」

2017.01.23 

 技術士試験ではどうやったら高得点が取れるか、一般的には高度な技術を披露すれば手堅いと考えられているようです。しかし実態はそうではなく、数々の稚拙な書き方によって大きく減点されています。まずはこうした減点要因をなくすこと、そうすれば自然と技術内容を読んでもらえて技術士にふさわしいことが理解できるというものです。

 今回のシリーズでは添削答案や試験当日の再現答案より、減点につながった答案の書き方と本来どうあるべきかという高得点を狙える書き方についてご説明します。今回は9回シリーズの第5回目で

「いつも特別ハイテクな内容を書かなければならない、は大間違い」

です。

  技術士試験では一般的に高度な技術が求められると考えられており、この理由で設計や研究所など技術開発に携わる方は有利だが、一方現場などに勤務している技術者は不利だと考える方が多いようです。しかし出題者は特別ハイテク(高度な技術)を求めているわけではありません。出題趣旨に合った記述内容を提案すればよいだけです。

 平成28年建設部門、河川砂防のII−2−1問題は、

インフラ・ストック効果について(1)フロー効果と対比して、(2)インフラ整備に求められる視点について述べよ。

という問題でした。これに対して、(2)の解答を次のように述べたらどう感じますか。

(2)インフラ整備に求められる視点
1)防災・減災からのインフラ整備に求められる視点
 リダンダンシーを付加したスーパー堤防 道路事業と連携した二線堤による自律分散協調システム
2)維持管理からのインフラ整備に求められる視点
 システムの地震時損傷による社会的経済的被害の軽減を図るため維持管理を行う。手順は、
a.流域全体のストでック量を把握
b.健全度ランク分けによる河川情報データベース作成
c.劣化曲線を設定し,補修・更新を行う優先順位を管理する。
d.リスク評価手法に基づき,脆弱性の顕在化する崩壊危険箇所を同定し、長寿命化する。

この回答は河川技術を専門的に研究する方が、その専門分野での研究成果を披露した内容になっています。しかし本来はインフラ整備に求められる視点を述べれば良いだけで、このようなハイテク内容を答える必要まではありません。ですので正解は、

(2)インフラ整備に求められる視点

1)引堤や河道掘削を行うことにより治水安全度を高める。これによって洪水被害がなくなり住宅着工件数(インフラ・ストック効果)が増加する。
2)堤防やダム放水路、砂防堰堤によって土砂災害防止と水質の向上を図る。この結果として河川環境に、人々が集い安らぐ水辺空間が創出される。

つまり特別な災害対応の手法を目指したものではなく、ごく普通のインフラ・ストック効果を確認した問題でした。言い換えると社会資本によるインフラ・ストック効果の発現の原理を理解しているかを問い掛ける問題にすぎなかったのです。

 こうした出題者の真の狙いが分かっていないと、深い知識がある場合には回答できますが、特段深く勉強していないことに対しては堪えられなくなってしまって、答案がまとまりません。その結果、違うことを書いたり一般論でごまかしてすることにより、大幅減点される要因となってしまうのです。つまり、

いつも高度な技術では無理だし、出題者は技術的本質的事項を求めている

と言うことです。

 技術士論文試験では、技術士の活動の公益性や社会資本の本質的な役割を問い掛ける問題が出題されます。こうした問題では技術士活動の意義や社会貢献についての理解がないと、闇雲にハイテクの内容を書こうとして答案作成に失敗してしまいます。

 技術士論文試験は何についてどこまで書くか答えのない試験です。このため過去の成功例に固執した数々の解答手法や、老齢の先生の経験に基づく指導に頼りがちです。しかし、試験は文部科学省の新しい方針に従って科学的な根拠で技術者の資質能力を判定するように転換してきています。そうした技術士の最新情報を踏まえて、無駄なく最短の期間で合格できる道を示すのが当研究所の狙いです。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、出題意図を間違えずに読み取って、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

良くある減点ポイントと高得点の書き方 4 「なんでもいつでも具体例を上げれば良い、は大間違い」

2017.01.20

 技術士試験ではどうやったら高得点が取れるか、一般的には高度な技術を披露すれば手堅いと考えられているようです。しかし実態はそうではなく、数々の稚拙な書き方によって大きく減点されています。まずはこうした減点要因をなくすこと、そうすれば自然と技術内容を読んでもらえて技術士にふさわしいことが理解できるというものです。

 今回のシリーズでは添削答案や試験当日の再現答案より、減点につながった答案の書き方と本来どうあるべきかという高得点を狙える書き方についてご説明します。今回は9回シリーズの第4回目で

「なんでもいつでも具体例を挙げれば良い、は大間違い」

です。

 前回は一般論やタテマエ論は答案の答えにならないということを申し上げましたが、では逆に具体例を挙げれば良いのかというとそうでもありません。具体例を挙げて説明する事が一般的にはわかり易くて良い説明方法だと考えられているフシがありますが、答案作成ではこれは大きな間違いです。

 なぜなら、答案で求めているのはある程度汎用性のある回答であって、それが1事例に集約されると、それ以外の事例に対しては答えでなくなってしまうので、だからいけないのです。出題者が知りたいのはそうしたニュース的な事例ではなく、汎用性のある対応だと言うことです。

 喩え話で恐縮ですが、(理解しやすいように別な話題で)例えば

日本のB級グルメの傾向について述べてください

と言う問いに対して

「島根県では赤天というフィッシュかつがあります」

ではほとんど答えたことにならないということです。一部の愛好家の間ではこれで盛り上がるかもしれません。しかし、出題者は日本のB級グルメについて幅広く当てはまる特徴を求めているにもかかわらず、その答えが1事例の紹介であっては、ほとんど情報を得ることができないため、意味が通じないということです。

 こうした求めに対して答えになっていないとか、そのために意味が通じないということは、技術士の提案として大きな失望感を招き大幅減点される要因となっています。

 上記の例では、日本のB級グルメの傾向について、島根県の赤天ではなく、

「各ご当地の農水産品の素材を生かした加工食品」

なら汎用性が高まるので答えとして意味を成すという事はお分かりでしょうか。

 つまり、特に指定のないときに

課題、解決策を求められた時に具体的な事例で説明に代えるという論法は成り立たない

ということです。一般論を求められたときには出来るだけ汎用性を失わないようにして、特殊事例にハマり込むことなく、全体を述べて網羅性を高めるようにしなければならないということです。言い換えると、安直に自分の得意ネタを出して無難な説明するのではなく、しっかり顧客ニーズをとらえて満たすように努めなければならないということです。

 技術士論文試験は何についてどこまで書くか答えのない試験です。このため過去の成功例に固執した数々の解答手法や、老齢の先生の経験に基づく指導に頼りがちです。しかし、試験は文部科学省の新しい方針に従って科学的な根拠で技術者の資質能力を判定するように転換してきています。そうした技術士の最新情報を踏まえて、無駄なく最短の期間で合格できる道を示すのが私の研究所の狙いです。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、出題意図を間違えずに読み取って、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

良くある減点ポイントと高得点の書き方 3 「わからないからとりあえず調べる、は対策にならない」

2017.01.19

 技術士試験ではどうやったら高得点が取れるか、一般的には高度な技術を披露すれば手堅いと考えられているようです。しかし実態はそうでは無い数々の稚拙な書き方によって、大きく減点されています。まずはこうした減点要因をなくしていくこと、そうすれば自然と技術内容を読んでもらえて技術士にふさわしいことが理解できるというものです。 

 今回のシリーズは添削答案や試験当日の再現答案より、減点につながった答案の書き方と本来どうあるべきかという高得点を狙える書き方についてご説明します。今回は9回シリーズの第3回目で

「わからないからとりあえず調べる、は対策にならない」

 平成28年建設部門道路II-1問題は

自転車ネットワークを計画するために(1)事前に調査すべき事項、(2)計画作成手順、(3)留意点を述べよ。

という問題でした。この問題ではまず最初に前提事項を調査して把握し、その後計画作業に取り組んでいくことになります。事前に調査すべき事項とはこうした手順の前提となる計画に関連する要因なのです。

 しかし、ここで一般的な事項を挙げたとすると、それは答ではなくなってしまいます。例えば、

  • 自転車利用者の年齢層、性別、利用目的
  • 既存道路の幅員等の道路の構成
  • 歩行者の歩道の利用状況
  • エリア内の自転車と歩行者、車の交通事故件数

など関連事項をとりあえず調査するというものです。これらの調査は無関係ではありませんがここで求められる計画を推進する根拠にはなりません。

 こうした「調査すべき事項」を問う意図は、

何が支配的な要因か理解しているか?

今知っている支配的な要因を示して欲しい。

という問いに等しいといえます。つまり、自転車ネットワークを計画する上で考慮すべき主要因が何であるか、それを考慮したら何を調査すべきかという問題なのです。主要因を理解していることは、計画の質を高める前提条件になってくるからです。

 ですので、この問題ではまず主要因を明らかにして、それに沿ってそれぞれ調査事項を挙げれば良いのです。何を調査すべきか、その正解は次のようになります。

(1)自転車事故の現況把握
・エリア内における自転車事故の実態調査
・各路線における自転車利用交通量調査

(2)放置自転車及び駐輪場の現況把握
・自転車放置場所の調査
・各施設の駐輪場収容台数調査

(3)観光客の自転車利用の現況把握
・観光地内のレンタル自転車貸出調査
・観光施設内の駐輪場保有調査

 技術士試験は何についてどこまで書くか答えのない試験です。このため焦点が定まらないと闇雲に進んで発散しまいます。しかし、冷静に考えると物作りの前提条件は数少ない要因によって支配されているわけで、そうした主要な影響因子をとらえて重点的に管理していくことが技術士の務めと言えそうです。主要な要因を漏らさずとらえて、ピンポイントの対策を提案していくことが合格のポイントとなります。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、出題意図を間違えずに読み取って、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

良くある減点ポイントと高得点の書き方 2 「タテマエ論をだらだら書いたら大幅減点」

2017.01.18

 技術士試験ではどうやったら高得点が取れるか、一般的には高度な技術を披露すれば手堅いと考えられているようです。しかし実態はそうでは無い数々の稚拙な書き方によって大きく減点されています。まずはこうした減点要因をなくしていくこと、そうすれば自然と技術内容を読んでもらえて技術士にふさわしいことが理解できるというものです。

 今回は添削答案や試験当日の再現答案より、減点につながった答案の書き方と本来どうあるべきかという高得点を狙える書き方についてご説明します。今回は9回シリーズの第2回目で

「タテマエ論をだらだら書いたら大幅減点」

です。

 平成28年建設部門道路III-1問題は

道路構造物の維持管理について(1)メンテナンスサイクルの考え方、(2)課題、(3)解決策を述べよ。

という問題でした。この問題ではまず最初に維持管理の業務サイクル(メンテナンスサイクル)の考え方を述べますが、この様な場合に日常業務の取り組み手順みたいな話を披露しても答えになりません。例えばある方は、

1. メンテナンスサイクルの考え方わが国の社会資本は急速に廊下を迎え道路構造物の老朽化は今後急速に進むことが予想される。以下メンテナンスサイクルの考え方について述べる。(前置き)
1-1道路管理者の義務の明確化 (建て前上の手順)
1-2メンテナンスサイクルを回す仕組みの構築 (建て前上の手順)
1)予算措置
2)体制構築
3)技術力の向上
4)国民の理解を得て協働体制で行う ( 1)〜4)は全て建て前) 

 このように答案を書かれていますが、これはいわゆるタテマエ論に相当し、間違いでは無いのですが、技術的には提案価値がなく(技術者でなくとも可能)ここで述べるべき事項ではありません。こうしたタテマエ論を展開していては、本来のあるべき考え方が何であって、どう行動すべきか何も見えません。

 答えが難解な場合にとりあえず建前や前置きを書いて、文字数を稼いでしのぐという解答姿勢は、間違ったことを書いて減点されないための措置です。しかし、それがくどいと文字数稼ぎと見られてしまい、大幅減点の危険性がありますので、決して行ってはなりません。

 ではこの問題の正解は何かというと、

 メンテナンスサイクルの考え方とは、「点検、診断、措置、記録」と言うサイクルを回すことによって、経済性の高い道路構造物の維持管理を進めることです。

 このように、現実の問題を解くのにふさわしい

本質的な要因をとらえて、技術的な体験をもとに課題や考え方を提案する

ことが求められています。

 技術士試験は答えのない問題であって、だれでもご自分の知識をもとに考えて正解を造り出すことが可能です。暗記しなくても応用力の考え方一つで正解を目指せます。しかし、問題が難解だからと言って、考えることをやめて当たり前の答えタテマエ論を展開してしまうと大幅減点されます。したがって大きな出題の狙いを間違えずに読み取ることが合格のポイントとなるのです。

 当研究所の指導では、マンツーマン個別指導により、出題意図を間違えずに読み取って、確実に高得点を狙い、楽勝で合格出来るように指導しています。関心のある方は是非お問い合わせください。

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